JP3955201B2 - オートフォーカスカメラ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、写真画面内の複数のポイントを測距できるマルチオートフォーカス機能付のカメラの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、1点を測距ポイントとするスポットオートフォーカス(AF)機能付きカメラのほかに、いわゆる「マルチAF」カメラと呼ばれる多点を測距できる機能を持つカメラが多く見受けられる。この従来のマルチAFカメラによれば、画面内の複数のポイントを測距すると共にピント合わせもできるので、画面内のどの位置に主要被写体がいても正しいピント合わせが可能である。
【0003】
また現在、カメラのAF方式には、被写体からのそのままの像信号を利用する「パッシブタイプ」と、被写体にカメラ側から測距用補助光を投射する「アクティブタイプ」とがある。また、パッシブタイプのAFカメラでも、被写体が暗い場所に存在している場合や、被写体像のコントラストが低い場合には、カメラ側から補助光を投射して、被写体を明るくしたり、被写体に明暗差をつけたりしてアクティブAF的な処理を行って測距の精度を向上させるものもある。更には被写体からの反射光のうち、上記補助光または測距用光以外の成分(定常光)を除去する定常光除去機能を設けて反射光検出精度を高める技術も知られている状況にある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、撮影シーンによっては、主要被写体がマルチAFの測距範囲から外れる場合があり、その際には正しいピント合わせができず、ピンボケ写真を生じてしまう場合があった。例えば、図4(A)に示すような主要被写体である人物が画面周辺部に存在している場合や図11のように画面周辺部に主要被写体である人物が複数存在している場合である。
【0005】
そうした場合に、測距範囲を広げることでピンボケを防ぐ事ができる場合もあるが、やみくもに測距範囲を広げてしまうと、主要被写体以外の像信号の影響を受けてしまうことによりピンボケを生じてしまう可能性がある。よって、測距範囲の広げ方を工夫することでマルチAFの測距範囲から外れた場合でもピンボケにならないようなカメラが求められている。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、マルチAFの測距範囲の広げかたを工夫することによってピンボケを生じさせないオートフォーカスカメラを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明によるオートフォーカスカメラは、被写体に関する像信号を検出するセンサアレイと、上記被写体の輝度が低輝度であるか否かを判定する判定手段と、上記判定手段によって低輝度であると判定された場合に、上記センサアレイによる像信号検出時の上記被写体に向けて測距用補助光を投光する投光手段と、を具備し、上記測距用補助光を投光する場合には、上記測距用補助光を投光しない場合に比べて、上記センサアレイによる像信号の検出領域を拡張することを特徴とする。
【0008】
即ち、本発明のオートフォーカスカメラは、夜景などのシーンで被写体を測距する場合において、被写体に補助光の投光が必要であると判定した場合にはセンサアレイの検出領域を広く取ることで主要被写体をセンサアレイの検出領域内に入れることができるためピンボケ写真にならない。また、被写体に測距用光を投光してその反射光を利用して測距するため、センサアレイの検出領域を広げても主要被写体以外の像信号の影響を受けにくい。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0012】
図1は本発明の一実施の形態に係るオートフォーカスカメラの測距装置に関する部分におけるブロック構成図である。
【0013】
本オートフォーカス(AF)カメラは、受光素子用の画素を並設したセンサアレイ3a,3bが測距対象の被写体Oに対面するように設けられている。また、このセンサアレイ3a,3bに被写体Oの像を結像させるために、センサアレイ3a,3bの前に焦点距離fだけ離した位置に2つの受光レンズ2a,2bが設けられている。これら2つの受光レンズ2a,2bは互いに視差Bに相当する距離を持たせて配置され、周知の「三角測距の原理」によって被写体距離Lを求めることができるように構成されている。
【0014】
被写体距離Lの大小によって2つのセンサアレイ3a,3bに結像する被写体Oの像は、各レンズ光軸基準の相対位置を変化させる。これを検出するためにA/D変換部6は、センサアレイ3a,3bからの積分出力(但し、ここでは積分回路を各センサアレイ3a,3bを構成する画素に含めて表している。)をデジタル信号に変換した後、ワンチップマイコンなどからなる演算制御部(CPU)1に出力する。なお、このときのセンサアレイ3a,3bの積分は積分判定部7を介してCPU1によって制御される。
【0015】
次に、CPU1では2つのセンサアレイ3a,3bのデジタル像信号を比較して、視差Bによる2つのデジタル像信号の相対位置差を検出した後、その相対位置差に基づいて被写体距離Lを求めることができる。そのため、CPU1は所定の制御プログラムにしたがって、像のパターンが測距にふさわしいか否かを調べるために像のパターンを判定するパターン判定部1b、2つの像の相対位置差を検出するための相関演算部1c、上記パターン判定部1bによる像パターン判定の結果が、ローコントラストや繰り返しパターン、単調増加、単調減少のパターンである場合や上記相関演算部1cによって上記相対位置差を検出したときの像の一致度が小さい場合には当該測距の信頼性が低いと判定する信頼性判定部1d等の機能を有している。つまり、A/D変換部6から入力されてきたデジタル像信号はパターン判定部1bに入力されてその像のパターンが判定される。そして、その判定された像のパターンに基づいて信頼性判定部1dで1回目の信頼性判定が行われ、像パターンの信頼性が高いと判定されたデジタル像データは相関演算部1cで相対位置差が演算された後、信頼性判定部1dによって2回目の信頼性判定がなされるのである。そして、信頼性が高いと判定された相対位置差に基づいて、制御部1aにおいて被写体距離Lが演算され、演算された被写体距離Lによりピント合わせ部9の制御量が決定される。
【0016】
更に、ピント合わせ部9によって図示しない撮影レンズのピント調節が行われた後、CPU1はレリーズスイッチ8の入力状態を検出して、図示しないフィルムへの露光動作を開始する。なお、このとき光量判定部1eの結果によってストロボ部5aを介してストロボ発光部5を発光制御する。また、このストロボ発光部5は測距時にも必要に応じて発光制御される。
【0017】
また、このAFカメラの測距装置は、AFカメラが測距を行う際に検出した被写体Oの像から、被写体Oを照らしている太陽光や人工照明のような定常光に起因する光成分を除去するための回路である定常光除去部4と、センサアレイ3a,3bの出力結果によって被写体Oの明るさを判定する光量判定部1eとを有する。そして、この光量判定部1eの測定結果によって被写体Oの明るさが低いと判定された場合には、そのときの光量判定部1eの出力に応じてストロボ発光部5によるパルス的投光のパルス幅を決定し、ストロボ発光部5から被写体Oに向けて測距用光を投光して再測距を行う。なお、この再測距時には定常光除去部4によって定常光成分を除去して測距を行う。
【0018】
更に、このAFカメラは撮影光学系の焦点距離を変化させる図示しないズーム機構を有しており、このズーム機構によって変化するズーム位置を検出するためのズーム位置検出部9aが、その検知した情報をCPU1に通知可能に接続されている。また、このAFカメラは後述する積分電圧VINTなどを記憶しておくためのEEPROM10を有している。なお、本一実施の形態では記憶装置としてEEPROMを使用しているがこれに限定されるものではない。
【0019】
次に、定常光除去部について図2を参照して説明する。図2(A)は測距装置における定常光除去部を含む部分の電気回路図を示し、図2(B)は、被写体像の積分時におけるタイミングチャートを示す。
【0020】
受光素子3a1は、像信号検出用のセンサアレイ3a,3bを構成する1つの画素に相当するものである。入射光量に応じてここから出力される光電流IPは、定常光除去トランジスタ4aを介してGND(アース)に流れるようになっている。このとき積分アンプ6a、積分コンデンサ6b、スイッチ6c、スイッチ6d等からなる積分回路には電流が流れないように、電流検出部4cが定常光除去トランジスタ4aのゲート電圧を制御している。この電流検出部4c、スイッチ6c、スイッチ6dはCPU1内部の制御部1aによって制御されていて、CPU1からのパルス信号によってON/OFFが行われるものである。
【0021】
ホールド用のコンデンサ4bは上記ゲート電圧を固定するために設けられている。この固定状態で、例えばストロボ部5aを発光させて、被写体Oに対して測距用光をパルス的に投光し、かつ電流検出部4cをOFFとすると、そのパルス光の急激な変化に対してコンデンサ4bの両端の電圧変化は応答できない。ここでスイッチ6dをONすると、パルス光に応じた光電流のみが積分回路に入力され、積分アンプ6aの出力にはパルス的に投光した上記測距用光に基づく光電変換電圧(積分電圧VINT)が出力される。よって、この積分電圧VINTをA/D変換すれば、反射信号光に応じた反射光量データ(上記デジタル像信号)が検出可能となる。そして、積分電圧VINTが予めEEPROM10に記憶された所定電圧VCになったときに積分判定用の比較器(上記積分判定部)7から積分終了信号がCPU1に出力される。CPU1はこの積分終了信号を受け取った後、電流検出部4cをON、スイッチ6dをOFFするためのパルス信号を出力して積分を終了する。なお、後述するパッシブモードにおいては、CPU1から出力される積分終了のための上記パルス信号は、比較器7から出力される上記積分終了信号を受け取ったときだけではなく、CPU1内部の図示しない積分計時タイマが所定時間tINTになったときにも出力される。また、アクティブモードにおいては所定時間tINTではなく、CPU1内部の図示しない積分カウンタによって所定回数n1回の積分が終了したときに上記パルス信号が出力される。
【0022】
更に、撮影シーンの明暗を判定するために、電流検出部4cをOFFして、図2(B)に示すようにスイッチ6cを一時的にONした後、積分回路に上記定常光電流IPを流し込み、所定時間tINTの間積分した後の積分電圧VINTを測定してEEPROM10に記憶する。なお、一般に明るいシーンではVINTが低く、暗いシーンではVINTが高くなるため、VINTのレベルを測定することで光量判定部1eにおいて明暗の判定ができる。
【0023】
次に、本一実施の形態に係るオートフォーカスカメラにおけるAF測距範囲の拡張について図3を参照して説明する。
【0024】
図3(A)は、カメラの撮影画角に応じてAF測距範囲を変化させる様子を示した図である。
【0025】
通常、撮影レンズの画角は焦点距離が減少するにしたがって(広角側になるにしたがって)広がっていく。このとき、AF視野角を一定にしたままであると、撮影レンズの画角に対するAF視野角の割合が減少してしまい、撮影レンズの画面周辺部の被写体にピントを合わせることができなくなってしまう。
【0026】
それを防止するために本一実施の形態のオートフォーカスカメラでは、図示しないズーム機構により焦点距離が変化して撮影画角が広がってしまっても、撮影画角に対する測距する角度の割合を一定に保つようにしている。つまり、図3(A)に示すように、ズーム位置検出部9aで検出されるズーム位置とEEPROM10に記憶しておいた焦点距離に係わる所定値とを用いて撮影画角が広角側になるにしたがってセンサアレイ3a,3b(図3(A)では2つのセンサアレイのうち1つのみについて示している。)の画素の使用数を増やすことで、AF測距範囲を例えばA,B,Cの3段階に切り替えているのである。勿論、この3段階は他の複数段階であっても良い。
【0027】
図3(B)に焦点距離とAF測距範囲の関係を示す。上記焦点距離に係わる情報として焦点距離の所定値f1,f2をEEPROM10に記憶しておく。このf1,f2によりAF測距範囲A,B,Cに対応する焦点距離の範囲が決定される(図3(B)では例えば、ズーム位置が38mmからf1までの範囲(WIDE)を測距範囲C13,f1からf2までの範囲(STANDARD)を測距範囲B12,f2から105mmまでの範囲(TELE)を測距範囲A11としている。)。この状態でズーム位置検出部9aにおいて検出したズーム位置が図3(B)に示す焦点距離のどの範囲に入っているかで3段階にAF測距範囲を決定することができる。
【0028】
次に、図4(A)のような夜景シーンにおいて被写体が撮影範囲の周辺部に存在する場合の撮影について考える。
【0029】
撮影シーンが低輝度で撮影レンズが望遠(TELE)位置にある場合の撮影範囲14及びそのときのAF測距範囲は、例えば図4(A)のようになる。このとき、夜景シーンでは主要被写体(例えば人物)が低輝度のため、測距用補助光としてストロボ発光部5を発光制御して主要被写体までの距離を測定する。このとき、図5に示すようにセンサアレイ3a(センサアレイ3bも同様なので省略する。)の測距範囲A11に対応するエリアから出力される像信号が図5の(a)に示すようにローコントラストとなってしまう(夜景に係わる像信号は定常光として除去される。)場合には、正確な主要被写体までの距離を算出できない。
【0030】
そこで、本一実施の形態では、夜景シーンなどのように主要被写体が低輝度で測定されてしまうと判定した場合には、図4(B)のようにAF測距範囲を測距範囲A11から測距範囲B12に広げる。このようにすれば主要被写体が測距範囲B12の中に入るため図5の(b)のような像信号が得られ、主要被写体の距離が測定できる。なお、前述したように測距範囲をやみくもに広げてしまうと主要被写体以外の像信号の影響を受けてしまうことになるが、被写体に測距用光を投光してその反射光成分を抽出して測距するようにすれば主要被写体以外の像信号の影響を受けることがない。
【0031】
以上のような構成を持つ測距装置を備えた本一実施の形態に係るオートフォーカスカメラの動作制御について図6乃至図10を参照して説明する。なお、以後説明に用いる用語として、測距用光を用いず測距対象物の像信号による相対位置差で測距する測距モードを「パッシブモード」と呼び、上記定常光除去部4を伴ってストロボ発光部5等を用いて被写体に光投射を行って測距する測距モードを「アクティブモード」と呼ぶことにする。また、本一実施の形態のオートフォーカスカメラは、センサアレイ3a及びセンサアレイ3bの検出領域を複数の領域に分割して測距を行うマルチAFカメラであるものとする。
【0032】
図6は、AFカメラのAF制御におけるメインの動作について示すフローチャートである。
まず、パッシブモードによるプリ積分を所定時間行う(ステップS1)。ここで、上記ステップS1のプリ積分について図7を参照して更に詳しく説明する。
【0033】
図7(A)は、図6のステップS1のプリ積分について更に詳しく説明するためのフローチャートを示す図である。まず、パッシブモードにおけるプリ積分は、まず、ストロボ発光部5を非投光、スイッチ6dをON、電流検出部4cをOFFとした状態で図7(B)のようなタイミングでスイッチ6cを一時的にONして積分の値をリセットする。積分の値がリセットされた後、積分が開始される。なお、この積分は所定時間tINTだけ積分を行い被写体の像信号を取得する(ステップS1A)。同時に、このときの積分電圧VINTを検出しEEPROM10に記憶しておく。前述したように、一般に明るいシーンではこのVINTが低く、暗いシーンではVINTが高くなるため、このVINTを検出することで明暗判定を行うことができる。次に、被写体輝度の判定として、検出したVINTが予めEEPROM10に記憶してある所定値Vthよりも大きいか否かを判定する(ステップS1B)。なお、この判定はVINTがVthよりも大きい場合に低輝度であると判定し(ステップS1C)、VINTがVth以下の場合には中高輝度であると判定する(ステップS1D)ものとする。
【0034】
上記ステップS1のプリ積分の後、CPU1はプリ積分の結果、主要被写体が低輝度と判定されたか否かを判定する(ステップS2)。主要被写体が低輝度であると判定された後、CPU1は後述する測距範囲設定処理を行う(ステップS3)。そして、被写体にストロボ発光部5による補助光を投光して再び積分を行った後測距演算を行うアクティブAFを行う(ステップS4)。次に、このアクティブAFでの測距が成功したか否かを判定する(ステップS5)。測距が成功した場合にはそのままAF制御を終了する。アクティブAFによる測距が成功しなかった場合には反射光量を利用した光量AFを行って(ステップS6)、AF制御のフローを終了する。なお、この光量AFによる測距方式は、光を投射して反射光量を調べたときに近距離の被写体からは多くの光が、遠距離の被写体からは少ない光が反射されてくることを利用した測距方式であり、コントラストのない被写体に対しても有効な測距方式である。但し、被写体の反射率が所定の範囲に入っているものと仮定している。
【0035】
上記ステップS2の輝度判定において、主要被写体が低輝度ではないと判定された後もCPU1は上記ステップS3とは異なる位置にAF測距範囲を設定する測距範囲設定処理を行う(ステップS7)。そして、2つのセンサアレイ3a,3bから出力された被写体の像信号による相対位置差に基づいて測距を行うパッシブAFを行う(ステップS8)。次に、このパッシブAFでの測距が成功したか否かを判定する(ステップS9)。測距が成功した場合にはそのままAF制御を終了する。
【0036】
一方、パッシブAFによる測距が成功しなかったと判定された後、CPU1は測距範囲設定処理を行う(ステップS10)。そして、被写体にストロボ発光部5による補助光を投光して再び積分を行った後測距演算を行うアクティブAFを行う(ステップS11)。そして、このアクティブAFでの測距が成功したか否かを判定する(ステップS12)。測距が成功した場合にはそのままAF制御のフローを終了する。測距が成功しなかった場合には反射光量を利用した光量AFを行った後(ステップS13)、AF制御を終了する。
【0037】
次に、上記ステップS8のパッシブAF処理について図8を参照して説明する。なお、図8(A)はパッシブAFの動作の流れを説明するためのフローチャートを示し、図8(B)はパッシブモードにおける積分時のタイミングチャートを示す。
【0038】
まず、積分時間を計時するためにCPU1内部の図示しない積分時間計時タイマをスタートする(ステップS20)。ここで、積分時間を長く取りすぎると、ユーザが撮影タイミングを逃す恐れがあるので通常積分時間には積分リミット時間が規定されている。そのため、積分時間が積分リミット時間を超えた場合には、直ちにパッシブモードによる積分を終了する。なお、積分リミット時間は、EEPROM10に記憶されていて、積分時に制御部1aによって読み出されて積分時間計時タイマの時間と比較される。
【0039】
上記ステップS20で積分時間計時タイマをスタートした後、図8(B)に示すタイミングでスイッチ6cを一時的にONして積分値をリセットし、積分を始める(ステップS21)。次に、CPU1は、積分時間計時タイマにより計時した時間tINTが積分リミット時間tlimを経過したか否か、もしくは積分電圧VINTが予めEEPROM10に記憶されている積分終了電圧Vpng(パッシブモードにおける上記図2の所定電圧VCに相当する。)よりも小さくなったか否かを判定する(ステップS22)。tINTがtlimを経過していず、かつVINTがVpngよりも小さくなっていない場合には積分を続ける。一方、tINTがtlimを経過した場合、もしくはVINTがVpngよりも小さくなった場合には直ちに積分を終了し(ステップS23)、積分時間計時タイマをストップする(ステップS24)。上記ステップS22の判定において、積分終了のタイミングを前述の積分リミット時間のほかに積分電圧でも判定するようにしたのは、積分電圧VINTが積分終了電圧Vpngより小さくなってもなお積分を継続したとすれば最終的に積分電圧VINTが飽和してしまい、主要被写体の像信号と主要被写体周辺の像信号との区別ができなくなり、正確な測距を行うことができなくなってしまうためである。なお、積分電圧VINTには、所定のAF測距範囲内におけるセンサアレイの画素のうち最も入射光量の大きいものの積分電圧を選んでも良いし、最も入射光量の小さいものの積分電圧を選ぶようにしても良い。
【0040】
積分終了後にCPU1は、積分電圧VINTと積分終了電圧Vpngを比較して積分終了時の積分電圧VINTが積分終了電圧Vpngよりも小さくなったか否かを判定する(ステップS25)。積分リミット時間tINTが経過してもVINTがVpngよりも小さくならなかった場合には測距失敗(ステップS26)としてパッシブモードAF処理を終了しメインフローに戻る。
【0041】
積分終了後にVINTがVpngよりも小さくなっていた場合には、上記相関演算部1cにおいて2つのセンサアレイ3a,3bの視差Bによる被写体像信号の相対位置差を演算し、その結果に基づいて上記制御部1aにおいて三角測距の原理から被写体距離Lを演算する(ステップS27)。そして、本一実施の形態のオートフォーカスカメラはマルチAFカメラであるので、複数の測距領域について得られた複数の被写体距離Lの中から最も近い距離を出力した測距領域を選択して(ステップS28)、メインフローに戻る。
【0042】
次に上記ステップS4及びステップS11のアクティブAF処理について図9を参照して説明する。なお、図9(A)はアクティブAFの動作の流れを説明するためのフローチャートを示し、図9(B)はアクティブモードにおける積分時のタイミングチャートを示す。
【0043】
まず、CPU1はアクティブモードにおける積分回数を測定する図示しない積分カウンタのカウント用変数nを0にクリアする(ステップS30)。そして、図9(B)のようなタイミングでストロボ発光部5による投光を行いながら積分を行う(ステップS31)。なお、このとき前述したように定常光除去部4の動作により被写体の像信号から定常光成分が除かれることになる。
【0044】
ストロボの発光が終了した時点で、CPU1はそのときの積分電圧VINTが予めEEPROM10に記憶されている積分終了電圧Vang(アクティブモードにおける上記図2の所定電圧VCに相当する。)よりも小さくなったか否かを判定する(ステップS32)。そして、VINTがVangよりも小さくなった場合には積分を終了する(ステップS35)。一方、VINTがVangよりも大きい場合には、上記カウント用変数nを調べ所定回数n1回の積分を行ったかを判定する(ステップS33)。既にn1回の積分を行っていた場合にも積分を終了する(ステップS35)。まだ、n1回の積分を行っていない場合には、上記カウント用変数nを1つインクリメントして(ステップS34)、上記ステップS31に戻り再び積分を行う。ここで、積分回数にn1回という上限を設けたのは必要以上にストロボ投光積分を行うとエネルギーが無駄になり、測距動作時間などのロスにつながるためである。
【0045】
積分が終了した後は、積分回路から出力された積分電圧VINTより積分回数を考慮して、反射光量を積分した結果P(積分電圧VINTを積分回数nで割った値)を求め(ステップS36)、上記パターン判定部1bにおいて反射光量を積分した結果Pのパターンを判定する(ステップS37)。そして、その判定したパターンに基づいてCPU1は三角測距が行えるか否かを判定する(ステップS38)。三角測距が行えないと判定した場合には、測距失敗(ステップS39)としてアクティブAF処理を終了しメインフローに戻る。
【0046】
一方、三角測距が行える場合には、上記相関演算部1cにおいて2つのセンサアレイ3a,3bの視差Bによる被写体像信号の相対位置差を演算し、その結果に基づいて上記制御部1aにおいて三角測距の原理から被写体距離Lを演算する(ステップS40)。ここで、本一実施の形態のオートフォーカスカメラはマルチAFカメラであるので、複数の測距領域について得られた複数の被写体距離の中から最も近い距離を出力した測距領域を選択して(ステップS41)、メインフローに戻る。
【0047】
次に、上記ステップS3、S7及びS10における測距範囲設定処理について図10を参照して説明する。
【0048】
まず、CPU1は、ズーム位置検出部9aによって検出されたズーム位置を判定する(ステップS45)。
【0049】
判定したズーム位置が図3(A)のTELE(初期のAF測距範囲が測距範囲A11である。)の場合にはステップS46に進み、図6のステップS2の輝度判定において低輝度と判定されたか否かを判定する(ステップS46)。低輝度でない、即ち、中高輝度の場合にはAF測距範囲を変える必要がないのでAF測距範囲として測距範囲A11を選択して(ステップS47)、メインフローに戻る。一方、低輝度の場合にはAF測距範囲として1段階広範囲のAF測距範囲である測距範囲B12を選択して(ステップS48)、メインフローに戻る。
【0050】
判定したズーム位置が図3(A)のSTANDARD(初期のAF測距範囲が測距範囲B12である。)の場合にはステップS49に進み、ステップS2の輝度判定において低輝度と判定されたか否かを判定する(ステップS49)。低輝度でない、即ち、中高輝度の場合にはAF測距範囲を変える必要がないのでAF測距範囲として測距範囲B12を選択して(ステップS50)、メインフローに戻る。一方、低輝度の場合にはAF測距範囲として1段階広範囲のAF測距範囲である測距範囲C13を選択して(ステップS51)、メインフローに戻る。
【0051】
判定したズーム位置が図3(A)のWIDE(初期のAF測距範囲が測距範囲C13である。)の場合にはステップS52に進み、輝度に関係なくAF測距範囲を測距範囲C13に選択して(ステップS52)、メインフローに戻る。WIDEの場合において輝度に関係なく測距範囲C13を選択するのはセンサアレイの画素数にも限界があり、所定範囲以上にはAF測距範囲を広げられないためである。センサアレイの画素数に余裕があれば、WIDE時においてもAF測距範囲を広げることができることは勿論である。
【0052】
以上説明したように本一実施の形態によれば、撮影レンズの焦点距離に連動して測距範囲を撮影範囲に対して常に一定の割合を占めるように変化させる機能を持つオートフォーカスカメラにおいて、撮影シーンが図4(A)のような夜景を背景としていて主要被写体が画面の中心からずれているようなシーンでも、測距範囲を広げる事で主要被写体が測距範囲からはずれ背景にピントが合い、主要被写体がピンボケになってしまうことを防ぐことができる。更に、図11のように夜景を背景として2人が並んでいるようなシーンを撮影する場合でも、測距範囲が中抜けして背景にピントが合い、主要被写体がピンボケすることを防ぐことができる。また、測距範囲を拡大したときには被写体を投光して被写体からの反射光成分を抽出して再測距を行うようにすることで、測距範囲の拡大による主要被写体以外の像信号の影響を除くことができる。
【0053】
以上一実施の形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は前述した一実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形や応用が可能なことは勿論である。
【0054】
ここで、本発明の要旨をまとめると特許請求の範囲に記載したものに加えて以下のようなものを含む。
【0055】
(1) 写真画面内に写る被写体像に対応する被写体に測距用光を投射する投光手段と、
該被写体に係わる像信号を検出するセンサアレイと、
を具備し、
オートフォーカスの際に上記投光手段による投光が必要な場合に、センサアレイの有効領域を広げることを特徴とするオートフォーカスカメラ。
【0056】
(2) 写真画面内に写る被写体像に対応する被写体に測距用光を投射する投光手段と、
該被写体に係わる像信号を検出するセンサアレイと、
撮影レンズの焦点距離を検出する焦点距離検出手段と、
該焦点距離検出手段の検出結果に連動して、センサアレイの有効領域を切り替える焦点距離連動センサ領域切替手段と、
を具備し、
オートフォーカスの際に上記投光手段による投光が必要な場合に、上記焦点距離連動センサ切替手段によってセンサアレイの有効領域を実際の焦点距離より小さいときの有効領域を設定することを特徴とするオートフォーカスカメラ。
【0057】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、夜景などのシーンで被写体を測距する際に、被写体に補助光の投光が必要であると判定した場合にはセンサアレイの検出領域を広く取るようにしたので、主要被写体をセンサアレイの検出領域内に入れることができ、ピンボケ写真にならないオートフォーカスカメラを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係るオートフォーカスカメラの測距装置に関する部分のブロック構成図である。
【図2】図2(A)定常光除去部の構成を説明するための回路図であり、図2(B)は被写体像の積分時におけるタイミングチャートを示す図である。
【図3】AF測距範囲の設定について説明するための図である。
【図4】夜景時におけるAF測距範囲の設定について説明するための図である。
【図5】夜景時における被写体の像信号とAF測距範囲の関係を示す図である。
【図6】本発明の一実施の形態に係るオートフォーカスカメラのAF制御を説明するためのフローチャートを示す図である。
【図7】パッシブモードにおけるプリ積分について説明するための図である。
【図8】パッシブモードAFについて説明するための図である。
【図9】アクティブモードAFについて説明するための図である。
【図10】測距範囲設定処理について説明するためのフローチャートを示す図である。
【図11】夜景時に被写体が2種類存在する際の例を示す図である。
【符号の説明】
1 CPU
1a 制御部
1b パターン判定部
1c 相関演算部
1d 信頼性判定部
1e 光量判定部
2a,2b 受光レンズ
3a,3b センサアレイ
3a1 受光素子
4 定常光除去部
4a 定常光除去トランジスタ
4b コンデンサ
4c 電流検出部
5 ストロボ発光部
5a ストロボ部
6 A/D変換部
6a 積分アンプ
6b 積分コンデンサ
6c,6d スイッチ
7 積分判定部
8 レリーズスイッチ
9 ピント合わせ部
9a ズーム位置検出部
10 EEPROM
Claims (1)
- 被写体に関する像信号を検出するセンサアレイと、
上記被写体の輝度が低輝度であるか否かを判定する判定手段と、
上記判定手段によって低輝度であると判定された場合に、上記センサアレイによる像信号検出時の上記被写体に向けて測距用補助光を投光する投光手段と、
を具備し、
上記測距用補助光を投光する場合には、上記測距用補助光を投光しない場合に比べて、上記センサアレイによる像信号の検出領域を拡張することを特徴とするオートフォーカスカメラ。
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