JP3995247B2 - 美白用ゲルシート - Google Patents

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本発明は、美白効果或はコラーゲンの合成促進などに優れたビタミンC誘導体であるアスコルビン酸誘導体を安定的に含有し、皮膚に貼付することで容易にその効果を発揮させることのできる、美白用ゲルシートに関する。
ビタミンC(アスコルビン酸)及びその誘導体は、メラニンの生成阻害作用を有することから優れた美白効果を示すことが従来知られており、さまざまな化粧品に配合されてきた。ただし、アスコルビン酸そのものは非常に酸化されやすい不安定な物質であるため、化粧品のように製造後使用されるまで長期間保管されることがある製品では、保管中の劣化を防ぐため、比較的安定性のよいアスコルビン酸の各種誘導体が用いられることが多かった。アスコルビン酸誘導体は、皮膚表面や体内の酵素の働きなどで、アスコルビン酸に変化しその作用を発現するが、剤型や性状によって最適な誘導体を選択して用いることが従来行われてきた。
ところで、アスコルビン酸誘導体の美白効果を十分に発揮させうる化粧品の剤型としては、パック剤が挙げられる。これは、紫外線などでダメージを受けた部分の皮膚に対し、高濃度の薬効成分を長時間集中的に施用することが可能であり、かつ施用中は皮膚を閉塞するため、薬効成分を皮膚の中にまで浸透させる効果が期待できるからである。パック剤の中でも近年多用されているのが、施用する体の部分の形状に適合するように形状を整えたシート状パック剤であり、その中でも、膏体をシート状のゲルにしたものが、多量の薬効成分を担持可能であり、閉塞効果も高く、柔軟性を生かして複雑な形状の顔面などにもフィットさせやすい上に、使用方法が簡便である等の利点から注目されている。
美白効果を有するアスコルビン酸誘導体は、このようなゲルシートに配合する薬効成分の例としても従来取り上げられている(特許文献1)。同特許文献1では、カラギーナンやマンナンなどの天然多糖類を用いることで、不織布などの基材を使用しない外用ゲル組成物を得ているが、その中にアスコルビン酸やL−アスコルビン酸−2−グルコシド(以下、「AA−2G」と称する場合がある。)などのアスコルビン酸誘導体を含有させることが例示されている。ただし、これら天然多糖類は、ゲル化させる過程において80℃などの高温に加熱する必要があり、アスコルビン酸誘導体のような熱による分解されやすい成分を配合するには適切なゲル基材とはいえない。
特開2002−87993号公報
また、従来、2種以上のアルミ化合物を併用して高分子化合物を架橋して得られるゲルにビタミンC誘導体を含有させたパップ剤が開示されている(特許文献2)。この場合使用可能な高分子としてゼラチン、アラビアガム、などの天然高分子のほか、ポリアクリル酸やポリアクリル酸ナトリウムのような合成高分子も挙げられているが、いずれもアルミ化合物が多価のカチオン性を示すことを利用したイオン架橋反応を利用してゲルを形成しており、その際アスコルビン酸誘導体が存在することで架橋が不完全になることを防ぐため、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、乾燥水酸化アルミニウムゲル及び塩化アルミニウムから選ばれる2種を用いて架橋するとしている。
特開2001−64175号公報
しかし、ここに挙げられた金属架橋剤のうち、乾燥水酸化アルミニウムゲルは、通常“老化”といわれる経時的な結晶構造の変化に伴う架橋反応性の経時変化が著しいため、反応性のばらつきが起きやすく、また、塩化アルミニウムは水溶性が高く架橋反応が急速に進みやすいため、配合液に添加する際に不均一なゲル化が起こりやすい上に、強酸性で肌への刺激が懸念されるという欠点があった。つまり、この特許文献2では、挙げられている3種の架橋剤のうち2種は使用にあたっての課題を有しており、更に、残ったメタケイ酸アルミン酸マグネシウム単独では上記文献に記載の通り架橋作用の阻害が出やすいため、多量のアスコルビン酸誘導体をゲル中に含有させるのは困難である。
さらに、L−アスコルビン酸−2−グルコシドなどの水溶性アスコルビン酸誘導体を、イオン架橋が可能なポリアクリル酸などの高分子電解質のゲル中に配合する場合、たとえ架橋反応が進んでも、同誘導体が電解質として作用するため不安定になりやすく、ゲルを形成せずに高分子のみが凝集したり、ゲルシート形成後に多量の液体を滲出して、包装中でゲル保護用のセパレートフィルムがずれたり、肌の上で滑って固定できないという問題点も有していた。
美白化粧品の効果に対するユーザーの期待は、高まる一方であり、バック用ゲルシート中のアスコルビン酸誘導体の配合量もますます増えていく傾向にある。アスコルビン酸誘導体の中でもL−アスコルビン酸−2−グルコシドは、施用後の効果が比較的長く持続することが期待されるため、美白化粧品に配含するには最適であるが、ゲル体形成時に高温処理などの必要のないイオン架橋性のゲル体に配合する場合には、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムのような使用性の優れた架橋剤のみを使用しても十分な架橋が得られ、且つ、アスコルビン酸誘導体の配合量を増やしても、高分子の凝集や皮膚への貼着時にゲルシートの密着を妨げるような液体の滲出が起こらない、新たなゲルシートが求められていた。
本発明の課題は、ゲル形成時に高温処理の必要がなく、アスコルビン酸誘導体を高濃度で配合しても安定して保持可能であって、皮膚表面に対する密着性が大きく、肌への刺激が少ない中性から弱酸性側のpH領域での適用範囲を有し、皮膚に貼付することで容易にその効果を発揮するアスコルビン酸誘導体配合の美白用ゲルシートを提供するところにある。
上記の課題を解決するため、鋭意研究した結果、アスコルビン酸誘導体を変性させない穏やかな架橋反応である、前述の多価カチオンの架橋の際に、抱水作用の強いトリメチルグリシンを同時に配合することにより、前記乾燥水酸化アルミニウムゲル及び塩化アルミニウムを併用しなくても、高濃度のアスコルビン酸誘導体をゲルシート中に安定して配合できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、アクリル酸又はその誘導体を重合してなるアニオン性水溶性高分子化合物の多価カチオン性化合物による架橋体と、水を含む溶媒から少なくともなり、アスコルビン酸誘導体及びトリメチルグリシンを含み、
前記トリメチルグリシンが、前記アスコルビン酸誘導体100重量部に対して、10〜200重量部含まれている高分子ゲルシートで構成された、美白用ゲルシートである。
本発明によれば、健康な皮膚の表面と同じく中性から弱酸性側のpH領域を持つ美白用ゲルシートに、アスコルビン酸誘導体を、その効力を損なうことなく、ゲルの収縮やゲルからの液体の過剰な滲出なしに、安定的に配合させたものを提供することができる。それにより、より効果の高いアスコルビン酸誘導体を高濃度に含有した美白効果の高いシート状バック材を、簡単な施用方法で使用することができる。
また、本発明のゲルシートは、アクリル酸又はその誘導体を重合してなるアニオン性水溶性高分子化合物の多価カチオン性化合物による架橋体と、少なくとも水を含む溶媒からなるゲルシートであるため、その製造工程において、不飽和単量体のラジカル重合架橋反応により得られるゲルのように、熱や紫外線による反応開始工程や、高濃度のフリーラジカルが発生する重合反応を経ることがなく、また、カラギーナンやゼラチンなどの天然高分子類のように加熱による可溶化の工程も必要としないため、熱や紫外線に対して非常に壊れやすい成分を安定的に配合させることが可能となる。
また本発明のゲルシートは、水溶性高分子を骨格として、水を含む溶媒を担持させたゲル体であるので、肌に貼付した際もムレやかゆみの原因となる汗などの水分を吸収し、皮膚へ与えるダメージも、親油性のゲル(粘着剤)を使用する場合に比ベはるかに少なくなる。
(アニオン性水溶性高分子化合物)
本発明で使用できるアニオン性水溶性高分子化合物としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸及び、それらのアルカリ金属塩から選ばれる1極又は2種以上を重合して得られる、水に溶解してアニオン性を示す水溶性高分子が挙げられる。これらのアクリル酸及びその誘導体の重合体は、ゲル強度と弾性のバランスに優れ、水溶性もよいうえに架橋性にも優れている。
このアニオン性水溶性高分子化合物の好適な分子量の範囲は、重量平均分子量で10万〜800万、より好ましくは、50万〜500万で、この範囲より小さいとゲル強度が保てずちぎれやすいゲルになり、この範囲より大きいと、原料の配合時に高粘度となりすぎ均一なゲルとするのがむずかしくなる。アニオン性水溶性高分子化合物の配合量は、ゲル体全体に対する重量比で、1.5〜15%であるのが好ましい。この範囲より少量では、ゲル体がシートとして十分な強度を有さず、またこの範囲より多いと、ゲル体が強固になりすぎてゲルシートが柔軟性を失ってしまう。より好ましい範囲は、2.5〜5%である。
(多価カチオン)
また、多価カチオン性化合物としては、上記アニオン性水溶性高分子化合物のカルボキシル基とイオン的に結合し得る2価以上の金属塩を含み、少なくとも特定の条件においては水に可溶性を示す多価金属塩が用いられ、その中でも、pH7未満の酸性側で水溶性を示す多価金属塩が好適に用いられる。具体的には、合成ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテート、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ヒドロタルサイトなどが挙げられるが、これらは単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。中でも、架橋反応の速さや、反応時に気泡が発生しないなどの点から、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムが好適に用いられる。
多価カチオン性化合物の配合量としては、アニオン性水溶性高分子化合物の配合量を100重量部とした場合に、5〜50重量部の間が好ましい。
(溶媒)
溶媒としては少なくとも水を含む必要があるが、そのほかに、水と相溶性のある溶剤を乾燥性改善、粘着性付与などの目的で併用することもできる。水と相溶性のある溶媒としては、皮膚に対する悪影響が少なく化粧品やバップ剤の分野で従来より用いられているものをその目的に応じて選択すればよい。例えば、乾燥性改善や保湿性・粘着性の付与の目的でグリセリン、ジグリセリン、ソルビトールなどを添加したり、保湿性の付与の目的でジプロピレングリコール、1, 3−ブチレングリコール、トリエチレングリコールを添加するなどである。
溶媒の配合量としては、ゲル体中の重量比で60〜96%の範囲にあるのが好ましい。溶媒の配合量がこの範囲を下回るとゲル体は柔軟性を失い、ゲルシートとしたときに、肌表面の複雑な局面への追従性が悪くなり実用性に乏しいものとなる。この範囲を超えるとゲル体としての強度が弱くなり、ゲルシートとしての実用性が失われる。この溶媒配合量のうち、水の配合量としては溶媒全体の30〜100%の範囲にあるのが好ましい。水の配合量が溶媒の30%を下回ると、アニオン性水溶性高分子のゲル中での広がりが悪くなり、ゲルの均一さが失われる場合がある。
(アスコルビン酸誘導体)
本発明で使用できるアスコルビン酸誘導体としては、例えば、L−アスコルビン酸−2−グルコシド(AA−2G)、リン酸L−アスコルビルマグネシウム、リン酸L−アスコルビルナトリウムなどが挙げられる。
特に、L−アスコルビン酸−2−グルコシドは、皮膚に施用した場合、他の誘導体に比べてビタミンC活性が長く持続することが従来知られており(J.Natr Sci Vitaminol,1998,44,345−359)、皮膚に吸収された後他の誘導体よりその効果が長く持続すると考えられる。この他にも、L−アスコルビン酸−2−グルコシドは水溶性で中性から弱酸性側のpH領域でもその安定性を失わないことから、弱酸性の水性ベースの化粧品に配合可能であり、かつ、酵素作用によりアスコルビン酸が遊離する際に生成するグルコースはすぐにエネルギー代謝系で分解されるため、非常に高い安全性を有している。
アスコルビン酸誘導体の配合量は、ゲル全体に対して重量比で、1〜12重量%であることが好ましい。この範囲より少ないと、美自の効果が得にくくなり、この範囲より多いと、ゲル体の凝集が始まってゲル体が保持できなくなる場合がある。より好ましい配合量の範囲は、3〜10重量%である。
なお、本発明のゲルシートはpHが4.5〜7の範囲内にあることが好ましい。
特に、前記アスコルビン酸誘導体としてL−アスコルビン酸−2−グルコシドが含まれる美白用ゲルシートの場合、前記架橋体が、前記アニオン性水溶性高分子化合物が持つカルボキシル基と、当該カルボキシル基とイオン的に結合するメタケイ酸アルミン酸マグネシウムとのイオン架橋によって形成されており、pHが4.5〜6の範囲内にある美白用ゲルシートが好ましい。
また、前記アスコルビン酸誘導体としてリン酸L−アスコルビルマグネシウムが含まれる美白用ゲルシートの場合は、前記架橋体が、前記アニオン性水溶性高分子化合物が持つカルボキシル基と、当該カルボキシル基とイオン的に結合するジヒドロキシアルミニウムアミノアセテートとのイオン架橋によって形成されており、pHが6〜7の範囲内にある美白用ゲルシートが好ましい。
(トリメチルグリシン)
本発明では、トリメチルグリシンをアスコルビン酸誘導体と一緒に配合することにより、アスコルビン酸誘導体の配合量が低濃度でも高濃度でも、ゲル体の収縮や溶媒の過剰な滲出のない、安定性に優れたゲルシートとすることができる。 トリメチルグリシンは、次の構造式1に示す構造を有し、その配合量はアスコルビン酸誘導体の配合量を100重量部とした場合に10〜200重量部であることが重要である。トリメチルグリシンの配合量がこの範囲より多くても少なくても、ゲル体の収縮や溶媒の過剰な滲出が起こりやすく、ゲル体が不安定になりやすい。
Figure 0003995247

(有機酸)
また本発明では、アニオン性水溶性高分子化合物の架橋体が、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム及びジヒドロキシアルミニウムアミノアセテートから選ばれる少なくとも1種の多価金属塩と、酒石酸及びグリコール酸から選ばれる少なくとも1種の有機酸とを反応させることにより架橋されている美白用ゲルシートが好ましい。かかる架橋構造によりゲル体を構成することにより、弱酸性の状態でゲル体を短時間に架橋・硬化させて、気泡の発生が少なく透明性に優れたゲルを得ることができる。
前記有機酸の配合量は、ゲル体のすべての配合成分を均−に混合した配合波のpHが3.0〜6.0の範囲になるように添加するのが好ましく、pHが3.5〜5.5の範囲になるように添加するのが更に好ましい。
(その他)
本発明のゲルシートには、上記の各種成分以外に各種の添加剤を本発明の目的を阻害し
ない範囲で適宜配合することができる。例えば美容、美顔および皮膚の治療等を目的とす
る薬効成分のほか、湿潤剤、香料、着色料、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、粘着付与剤、pH調整剤、キレート剤、防腐剤、抗菌剤等が挙げられる。
また、本発明のゲルシートは、高分子ゲル体単独で使用することができるが、ゲルシートの引裂強度と取扱い性とを向上させるために、シートの内部又は表面に織布又は不織布などの補強布を内在又は積層させることが好ましい。上記の織布又は不織布は柔軟性に富むため、これらを支持体として用いたシート状含水ゲルは、肌へ容易に密着させることができる。なお、前記織布又は不織布などの補強布は、目付量が3〜20g/mでゲルシートに内在又は積層させることが好ましい。
本発明のゲルシートの厚みについては、その使用状況に応じて適宜設定すればよく、全体に均−であっても、部分的に厚さが異なっていてもよいが、皮膚に貼り付けたときの違和感や強度を考慮すると、0.1〜3mmの範囲であるのが好ましい。ゲルシート全体の厚みが0.1mmを下回るとゲルシートの強度が弱くなったり、溶媒の滲出量が減少する恐れがある。一方、厚みが3mmを超えると、シートの自重が大きくなりすぎて、皮膚に貼り付けたときに違和感が生じるおそれがある。なお、ゲルシート全体が厚くないのであれば、部分的にシートの厚みを6mm程度にまで厚くすることが可能である。
(実施例)
下記の表1に示す各成分をよく混合して得た配合液を、手早く100μm厚のPETフィルムの上に展延した。その周囲に厚み1mmのスペーサーを置き、ナイロン製編布(15デニールのモノフィラメント糸をトリコットハーフ織りしたもの、目付量17g/m2)を展延した配合液の上に乗せ、更に38μm厚のPETフィルムをかぶせ、その上から平坦な金属板でプレスした。厚み1mmのシート状とした状態で24時間静置して固化ざせ、厚み1mmのゲルシートを得た。得られたゲルシートは厚み1mmで、ナイロン製編布を内在しており、その両面は、剥離可能なPET製のセバレーターでカバーされた状態である。これを顔全体を覆えるマスク状に裁断機で打抜いた後、遮光性と水蒸気バリア性に優れたアルミラミネートフィルム製のパウチ袋の中に密封して、マスク状ゲルシートパック剤を得た。なお、表中、配合量は重量部で示す。
(比較例)
下記の表2に示す各成分をよく混合して得た配合液を、実施例と同様に、100μm厚PETフィルムの上に展延した。その周囲に厚みlmmのスペーサーを置き、ナイロン製編布(15デニールのモノフィラメント糸をトリコットハーフ織りしたもの、目付量17g/m2)を展延した配含液の上に乗せ、更に38μm厚のPETフィルムをかぶせ、その上から平坦な金属板でプレスした。厚みlmmのシート状とした状態で24時間静置して固化させ、厚みlmmのゲルシートを得た。これを実施例と同様に加工・包装して、マスク状ゲルシートパック剤を得た。なお、表中、配合量は重量部で示す。
Figure 0003995247

Figure 0003995247


[評価方法]
次に、実施例及び比較例のゲルシートを、以下に述べる方法によって評価した。測定結果はそれぞれ表1及び表2に示す。
<ゲルシートのpH>
pHメーター(堀場製作所製B−212型)の電極部にゲルシートを貼り付けて測定した。
<変色>
ゲルシートの色調に異常がないかを目視判定した。
<液体の滲出率>
シートパック剤に加工したゲルの表面から滲み出す液体の量は以下の方法で測定した。ゲルシートパックを作成後(包装後)24時間室内で放置した後、パウチ袋を開封し、クレシア社製の紙製ワイパー(商品名「キムワイプ ワイパーS−200」)を1枚ずつ精密天秤にて秤量した後、ゲル及びセパレーターの表面及びパウチ袋の内面をきれいにぬぐい、液を吸収したワイパーを再度秤量してその差を滲出した液の量(a)とした。さらに、滲出液を拭き取った後のゲルシートパックの重量(b)を測定し、滲出率(c)を、c=a/(a+b)により算出した。
<アスコルビン酸誘導体の残存率>
ゲルシート中に残存するアスコルビン酸誘導体の残存率は以下の方法で算出した。滲出液を拭き取ったゲルシートパックからゲルをかき取ってその重量を精秤し、0.1%リン酸により90時間抽出した後、超音波粉砕して遠心分離にかけることで得たゲルの抽出液を、高速液体クロマトグラフィー(Waters、HPLC Alliance2695カラム:東ソー製 ODS−80Ts検出器:Waters3D 2996(UV235nm))にかけることで、ゲル中のアスコルビン酸誘導体の含有率(d)を測定した。さらに、液体の滲出率の項で求めたゲルの重量(b)から、ゲルシートパック中の残存アスコルビン酸誘導体量(e)を、e=b×dにより求め、更に、滲出液の重量も合わせた配合時のゲルシートパックの重量(a+b)と配合中のアスコルビン酸誘導体の比率(f)から、アスコルビン酸誘導体の残存率(g)を、g=e/((a+b)×f)により算出した。
<使用性>
開封したゲルパックの使用性を、パウチ袋からの取出しやすさと、肌への密着性に関しては以下表3の3段階の基準に基づき、10人のパネラーの意見を集計して行った。結果は10人の平均により算出した、
Figure 0003995247
表1より、いずれの実施例のゲルシートも、L−アスコルビン酸−2−グルコシド等のアスコルビン酸誘導体を配合しても、ゲル体の収縮や溶媒の過剰な滲出もない美白用シートパックとして得られることが認められる。
これに対して、表2に示される様に、トリメチルグリシンを含まない比較例1では、実施例と比較して液体の滲出率が大きく、アスコルビン酸誘導体の残存率も低く、使用性も低いもので、結果として完成後のゲルからの溶媒の滲出がひどく、実用性のないゲルシートとなった。更に、トリメチルグリシンと同様に抱水作用を持つ乳酸ソーダやピロリドンカルボン酸ソーダを含む比較例2及び比較例3では、いずれもゲル化せず、美白用ゲルシートが得られなかった。
他方、表1及び表2に示されるように、比較例5及び比較例6はトリメチルグリシンの配合量がアスコルビン酸誘導体に対して多すぎるか或は少なすぎ、高分子の凝集が起こり、均一なゲル化が行えなかったことから、アスコルビン酸誘導体100重量部に対して10〜200重量部含むゲルシートであることが重要である。
比較例4は、アニオン性水溶性高分子化合物の変わりに、天然高分子のカラギーナンを用いた例であるが、加熱した後には、ゲル体が明らかに黄褐色に着色しており、また、糖分の炭化したような臭気も感じられた。アスコルビン酸誘導体の定量でも低い値がでていることから、添加したアスコルビン酸誘導体に分解が起こっているものと推察される。
本発明の美白用ゲルシートは、アスコルビン酸誘導体を高濃度に含んだシートを、美白を施す部位に長時間貼付することで、高い美白効果或はコラーゲンの合成促進などに優れた効果を発揮する美白化粧料を提供することができる。

Claims (8)

  1. アクリル酸又はその誘導体を重合してなるアニオン性水溶性高分子化合物の多価カチオン性化合物による架橋体と、水を含む溶媒から少なくともなり、
    アスコルビン酸誘導体及びトリメチルグリシンを含み、
    前記トリメチルグリシンが、前記アスコルビン酸誘導体100重量部に対して、10〜200重量部含まれている高分子ゲルシートで構成された、
    ことを特徴とする美白用ゲルシート。
  2. 前記アスコルビン酸誘導体が、L−アスコルビン酸−2−グルコシド及びリン酸L−アスコルビルマグネシウムの群から選ばれる少なくとも1以上の誘導体からなることを特徴とする、請求項1記載の美白用ゲルシート。
  3. pHが4.5〜7の範囲内にある、ことを特徴とする請求項1又は2記載の美白用ゲルシート。
  4. 前記アスコルビン酸誘導体としてL−アスコルビン酸−2−グルコシドが含まれ、
    前記架橋体が、前記アニオン性水溶性高分子化合物が持つカルボキシル基と、当該カルボキシル基とイオン的に結合するメタケイ酸アルミン酸マグネシウムとのイオン架橋によって形成されており、pHが4.5〜6の範囲内にある、ことを特徴とする請求項3記載の美白用ゲルシート。
  5. 前記アスコルビン酸誘導体としてリン酸L−アスコルビルマグネシウムが含まれ、
    前記架橋体が、前記アニオン性水溶性高分子化合物が持つカルボキシル基と、当該カルボキシル基とイオン的に結合するジヒドロキシアルミニウムアミノアセテートとのイオン架橋によって形成されており、pHが6〜7の範囲内にある、ことを特徴とする請求項3記載の美白用ゲルシート。
  6. アニオン性水溶性高分子化合物の架橋体が、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム及びジヒドロキシアルミニウムアミノアセテートから選ばれる少なくとも1種の多価金属塩と、酒石酸及びグリコール酸から選ばれる少なくとも1種の有機酸とを反応させることにより架橋されていることを特徴とする、請求項4又は5記載の美白用ゲルシート。
  7. 前記アスコルビン酸誘導体の含有量が、前記高分子ゲルシート全量に対して、3重量%〜10重量%である、ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかの項に記載の美白用ゲルシート。
  8. 高分子ゲルシートの内部又は表面に、補強布を内在又は積層させた請求項1乃至7のいずれかの項に記載の美白用ゲルシート。

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