JP3995247B2 - 美白用ゲルシート - Google Patents
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前記トリメチルグリシンが、前記アスコルビン酸誘導体100重量部に対して、10〜200重量部含まれている高分子ゲルシートで構成された、美白用ゲルシートである。
本発明で使用できるアニオン性水溶性高分子化合物としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸及び、それらのアルカリ金属塩から選ばれる1極又は2種以上を重合して得られる、水に溶解してアニオン性を示す水溶性高分子が挙げられる。これらのアクリル酸及びその誘導体の重合体は、ゲル強度と弾性のバランスに優れ、水溶性もよいうえに架橋性にも優れている。
また、多価カチオン性化合物としては、上記アニオン性水溶性高分子化合物のカルボキシル基とイオン的に結合し得る2価以上の金属塩を含み、少なくとも特定の条件においては水に可溶性を示す多価金属塩が用いられ、その中でも、pH7未満の酸性側で水溶性を示す多価金属塩が好適に用いられる。具体的には、合成ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテート、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ヒドロタルサイトなどが挙げられるが、これらは単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。中でも、架橋反応の速さや、反応時に気泡が発生しないなどの点から、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムが好適に用いられる。
溶媒としては少なくとも水を含む必要があるが、そのほかに、水と相溶性のある溶剤を乾燥性改善、粘着性付与などの目的で併用することもできる。水と相溶性のある溶媒としては、皮膚に対する悪影響が少なく化粧品やバップ剤の分野で従来より用いられているものをその目的に応じて選択すればよい。例えば、乾燥性改善や保湿性・粘着性の付与の目的でグリセリン、ジグリセリン、ソルビトールなどを添加したり、保湿性の付与の目的でジプロピレングリコール、1, 3−ブチレングリコール、トリエチレングリコールを添加するなどである。
本発明で使用できるアスコルビン酸誘導体としては、例えば、L−アスコルビン酸−2−グルコシド(AA−2G)、リン酸L−アスコルビルマグネシウム、リン酸L−アスコルビルナトリウムなどが挙げられる。
特に、前記アスコルビン酸誘導体としてL−アスコルビン酸−2−グルコシドが含まれる美白用ゲルシートの場合、前記架橋体が、前記アニオン性水溶性高分子化合物が持つカルボキシル基と、当該カルボキシル基とイオン的に結合するメタケイ酸アルミン酸マグネシウムとのイオン架橋によって形成されており、pHが4.5〜6の範囲内にある美白用ゲルシートが好ましい。
また、前記アスコルビン酸誘導体としてリン酸L−アスコルビルマグネシウムが含まれる美白用ゲルシートの場合は、前記架橋体が、前記アニオン性水溶性高分子化合物が持つカルボキシル基と、当該カルボキシル基とイオン的に結合するジヒドロキシアルミニウムアミノアセテートとのイオン架橋によって形成されており、pHが6〜7の範囲内にある美白用ゲルシートが好ましい。
本発明では、トリメチルグリシンをアスコルビン酸誘導体と一緒に配合することにより、アスコルビン酸誘導体の配合量が低濃度でも高濃度でも、ゲル体の収縮や溶媒の過剰な滲出のない、安定性に優れたゲルシートとすることができる。 トリメチルグリシンは、次の構造式1に示す構造を有し、その配合量はアスコルビン酸誘導体の配合量を100重量部とした場合に10〜200重量部であることが重要である。トリメチルグリシンの配合量がこの範囲より多くても少なくても、ゲル体の収縮や溶媒の過剰な滲出が起こりやすく、ゲル体が不安定になりやすい。
また本発明では、アニオン性水溶性高分子化合物の架橋体が、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム及びジヒドロキシアルミニウムアミノアセテートから選ばれる少なくとも1種の多価金属塩と、酒石酸及びグリコール酸から選ばれる少なくとも1種の有機酸とを反応させることにより架橋されている美白用ゲルシートが好ましい。かかる架橋構造によりゲル体を構成することにより、弱酸性の状態でゲル体を短時間に架橋・硬化させて、気泡の発生が少なく透明性に優れたゲルを得ることができる。
本発明のゲルシートには、上記の各種成分以外に各種の添加剤を本発明の目的を阻害し
ない範囲で適宜配合することができる。例えば美容、美顔および皮膚の治療等を目的とす
る薬効成分のほか、湿潤剤、香料、着色料、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、粘着付与剤、pH調整剤、キレート剤、防腐剤、抗菌剤等が挙げられる。
下記の表1に示す各成分をよく混合して得た配合液を、手早く100μm厚のPETフィルムの上に展延した。その周囲に厚み1mmのスペーサーを置き、ナイロン製編布(15デニールのモノフィラメント糸をトリコットハーフ織りしたもの、目付量17g/m2)を展延した配合液の上に乗せ、更に38μm厚のPETフィルムをかぶせ、その上から平坦な金属板でプレスした。厚み1mmのシート状とした状態で24時間静置して固化ざせ、厚み1mmのゲルシートを得た。得られたゲルシートは厚み1mmで、ナイロン製編布を内在しており、その両面は、剥離可能なPET製のセバレーターでカバーされた状態である。これを顔全体を覆えるマスク状に裁断機で打抜いた後、遮光性と水蒸気バリア性に優れたアルミラミネートフィルム製のパウチ袋の中に密封して、マスク状ゲルシートパック剤を得た。なお、表中、配合量は重量部で示す。
下記の表2に示す各成分をよく混合して得た配合液を、実施例と同様に、100μm厚PETフィルムの上に展延した。その周囲に厚みlmmのスペーサーを置き、ナイロン製編布(15デニールのモノフィラメント糸をトリコットハーフ織りしたもの、目付量17g/m2)を展延した配含液の上に乗せ、更に38μm厚のPETフィルムをかぶせ、その上から平坦な金属板でプレスした。厚みlmmのシート状とした状態で24時間静置して固化させ、厚みlmmのゲルシートを得た。これを実施例と同様に加工・包装して、マスク状ゲルシートパック剤を得た。なお、表中、配合量は重量部で示す。
次に、実施例及び比較例のゲルシートを、以下に述べる方法によって評価した。測定結果はそれぞれ表1及び表2に示す。
pHメーター(堀場製作所製B−212型)の電極部にゲルシートを貼り付けて測定した。
ゲルシートの色調に異常がないかを目視判定した。
シートパック剤に加工したゲルの表面から滲み出す液体の量は以下の方法で測定した。ゲルシートパックを作成後(包装後)24時間室内で放置した後、パウチ袋を開封し、クレシア社製の紙製ワイパー(商品名「キムワイプ ワイパーS−200」)を1枚ずつ精密天秤にて秤量した後、ゲル及びセパレーターの表面及びパウチ袋の内面をきれいにぬぐい、液を吸収したワイパーを再度秤量してその差を滲出した液の量(a)とした。さらに、滲出液を拭き取った後のゲルシートパックの重量(b)を測定し、滲出率(c)を、c=a/(a+b)により算出した。
ゲルシート中に残存するアスコルビン酸誘導体の残存率は以下の方法で算出した。滲出液を拭き取ったゲルシートパックからゲルをかき取ってその重量を精秤し、0.1%リン酸により90時間抽出した後、超音波粉砕して遠心分離にかけることで得たゲルの抽出液を、高速液体クロマトグラフィー(Waters、HPLC Alliance2695カラム:東ソー製 ODS−80Ts検出器:Waters3D 2996(UV235nm))にかけることで、ゲル中のアスコルビン酸誘導体の含有率(d)を測定した。さらに、液体の滲出率の項で求めたゲルの重量(b)から、ゲルシートパック中の残存アスコルビン酸誘導体量(e)を、e=b×dにより求め、更に、滲出液の重量も合わせた配合時のゲルシートパックの重量(a+b)と配合中のアスコルビン酸誘導体の比率(f)から、アスコルビン酸誘導体の残存率(g)を、g=e/((a+b)×f)により算出した。
開封したゲルパックの使用性を、パウチ袋からの取出しやすさと、肌への密着性に関しては以下表3の3段階の基準に基づき、10人のパネラーの意見を集計して行った。結果は10人の平均により算出した、
Claims (8)
- アクリル酸又はその誘導体を重合してなるアニオン性水溶性高分子化合物の多価カチオン性化合物による架橋体と、水を含む溶媒から少なくともなり、
アスコルビン酸誘導体及びトリメチルグリシンを含み、
前記トリメチルグリシンが、前記アスコルビン酸誘導体100重量部に対して、10〜200重量部含まれている高分子ゲルシートで構成された、
ことを特徴とする美白用ゲルシート。 - 前記アスコルビン酸誘導体が、L−アスコルビン酸−2−グルコシド及びリン酸L−アスコルビルマグネシウムの群から選ばれる少なくとも1以上の誘導体からなることを特徴とする、請求項1記載の美白用ゲルシート。
- pHが4.5〜7の範囲内にある、ことを特徴とする請求項1又は2記載の美白用ゲルシート。
- 前記アスコルビン酸誘導体としてL−アスコルビン酸−2−グルコシドが含まれ、
前記架橋体が、前記アニオン性水溶性高分子化合物が持つカルボキシル基と、当該カルボキシル基とイオン的に結合するメタケイ酸アルミン酸マグネシウムとのイオン架橋によって形成されており、pHが4.5〜6の範囲内にある、ことを特徴とする請求項3記載の美白用ゲルシート。 - 前記アスコルビン酸誘導体としてリン酸L−アスコルビルマグネシウムが含まれ、
前記架橋体が、前記アニオン性水溶性高分子化合物が持つカルボキシル基と、当該カルボキシル基とイオン的に結合するジヒドロキシアルミニウムアミノアセテートとのイオン架橋によって形成されており、pHが6〜7の範囲内にある、ことを特徴とする請求項3記載の美白用ゲルシート。 - アニオン性水溶性高分子化合物の架橋体が、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム及びジヒドロキシアルミニウムアミノアセテートから選ばれる少なくとも1種の多価金属塩と、酒石酸及びグリコール酸から選ばれる少なくとも1種の有機酸とを反応させることにより架橋されていることを特徴とする、請求項4又は5記載の美白用ゲルシート。
- 前記アスコルビン酸誘導体の含有量が、前記高分子ゲルシート全量に対して、3重量%〜10重量%である、ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかの項に記載の美白用ゲルシート。
- 高分子ゲルシートの内部又は表面に、補強布を内在又は積層させた請求項1乃至7のいずれかの項に記載の美白用ゲルシート。
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