JP4818575B2 - 外用貼付剤及び放射線照射外用貼付剤の変色防止方法 - Google Patents
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【産業上の利用分野】
本発明は、粘着性に優れ、しかも皮膚刺激性を低減した含水系貼付剤に関する。特に、創傷や荒れ肌に適用する貼付剤、敏感肌に適用するための貼付剤に関する。
【0002】
【従来技術】
従来、創傷被覆剤は、ガーゼなどの吸収能を有する繊維や、吸収性高分子を配合した吸収性パッドを傷口にあてて固定し、創傷部からの滲出液を吸収させ、傷口を乾燥しながら治癒させていた(特開昭59−82864;特許文献1)。しかし、最近、創傷部を適度な湿潤状態に維持し表皮再生を促進する治療方法が効果的であることが知られ、その一つに含水系ハイドロゲルを使用する創傷被覆剤が着目されている。含水系ハイドロゲルとしては、例えば、ポリビニルアルコールやポリビニルピロリドンを主基剤とするもの(特開平9−262249、特開平10−28726、特開平10−201838、特開平10−216215;特許文献2〜5)、さらにこれらに放射線をあてた吸水性の含水ゲル(特公平3−44096、特開昭59−82864、特開2001−310949;特許文献6〜8)を主基剤とするものなどが提案されている。
【0003】
しかし、前記含水ゲルを使用した創傷被覆剤は粘着性が弱く、材の周囲または材全体を粘着性テープやシートで固定する必要があった。一方、特開平11−116458(特許文献9)には、ポリアクリル酸(塩)を含む含水ゲルを使用した創傷や火傷の治療用貼付剤が開示されている。ポリアクリル酸などのカルボキシル基を有する高分子を含有する含水ゲルは粘着力に優れるが、ポリアクリル酸系ゲルの傷口への適用は、残存する微量のモノマーや剤の溶解、防腐剤による刺激が課題となる。
一方、防腐剤無配合製剤としてとして、放射線照射による滅菌製剤が考えられるが、過架橋により粘着性、異臭や変色などの劣化が生じるといった問題が生じる。したがって、粘着力が良好で、しかも異臭や変色がない含水系ハイドロゲル貼付剤が望まれていた。
【0004】
【特許文献1】
特開昭59−82864
【特許文献2】
特開平9−262249
【特許文献3】
特開平10−28726
【特許文献4】
特開平10−201838
【特許文献5】
特開平10−216215
【特許文献6】
特公平3−44096
【特許文献7】
特開昭59−82864
【特許文献8】
特開2001−310949
【特許文献9】
特開平11−116458
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、創傷被覆剤や、荒れ肌・敏感肌に好適な、刺激がなく、粘着性に優れた外用貼付剤を提供することを目的とする。また、放射線照射によっても経時による異臭や変色などの劣化が生じない前記外用貼付剤を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決する手段】
本発明者らは、検討の結果、ポリアクリル酸(塩)と、架橋剤と、ブタンジオールとを配合することで、放射線照射しても過度の架橋を生じないため粘着性が良好な貼付剤が得られることを見出し、本発明を完成した。これにより、モノマーが低減され、損傷・ダメージを受けた皮膚や粘膜に対しても刺激がない優れた貼付剤、特に皮膚治療・改善剤(創傷被覆剤など)が得られた。さらに、ブタンジオールを選択することによって、保存安定性が良好な前記貼付剤が得られることを知見した。即ち、本発明は、
(1)ポリアクリル酸及び/またはポリアクリル酸塩、架橋剤、多価アルコール、及び水を含有する組成物に放射線を照射してなる含水ゲルであり、前記多価アルコールはその80〜100質量%がブタンジオールであり、かつ、前記含水ゲル中の前記ブタンジオールの含有量が5〜15質量%であることを特徴とする、外用貼付剤
(2)前記含水ゲルは、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸、カルボキシビニルポリマー、及びこれらの金属塩から選ばれる1種以上を含有する、(1)記載の外用貼付剤
(3)前記含水ゲルはゼラチンを含有する、(1)または(2)記載の外用貼付剤
(4)前記含水ゲル中のアクリル酸のモノマー量が0〜0.05%である、(1)〜(3)のいずれか一つに記載の外用貼付剤
(5)皮膚治療剤または皮膚改善剤である、(1)〜(4)のいずれか一つに記載の外用貼付剤
(6)ポリアクリル酸及び/またはポリアクリル酸塩、架橋剤、水、及びブタンジオールが80〜100質量%の多価アルコールを含有し、かつ、前記ブタンジオールの含有量が5〜15質量%である含水ゲルに放射線を照射することを特徴とする、放射線照射外用貼付剤の変色防止方法
(7)前記含水ゲルは、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸、カルボキシビニルポリマー、及びこれらの金属塩から選ばれる1種以上を含有する、(6)記載の放射線照射外用貼付剤の変色防止方法
(8)前記含水ゲルはゼラチンを含有する、(6)または(7)記載の放射線照射外用貼付剤の変色防止方法
を提供する。
以下に、本発明について詳細に説明する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の貼付剤に使用する含水組成物は、カルボキシル基を有する水溶性高分子を架橋剤で架橋させた高分子マトリックスに、水・グリコール溶媒などの成分が保持されている含水系粘着剤である。
【0008】
分子内にカルボキシル基を有する水溶性高分子物質としては、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸、カルボキシビニルポリマー、等及びこれらの金属塩等が例示される。 好ましくは、ポリアクリル酸及び/またはその塩と、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸、カルボキシビニルポリマー、等及びこれらの金属塩から選ばれる1種以上とを含有する含水系粘着剤である。
【0009】
ポリアクリル酸塩としては、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウム等のポリアクリル酸の一価金属塩、ポリアクリル酸モノエタノールアミン、ポリアクリル酸ジエタノールアミン、ポリアクリル酸トリエタノールアミン等のポリアクリル酸のアミン塩、ポリアクリル酸のアンモニウム塩等が挙げられる。
【0010】
上記中、ポリアクリル酸及び/又はその塩、カルボキシメチルセルロース及び/又はその塩から選択される少なくとも1種の水性高分子物質を用いることが望ましい。これらの水性高分子物質を含む水性粘着基剤は、架橋後の含水率が高く、しかも、皮膚への粘着力に優れている。 特に好ましい水溶性高分子は、ポリアクリル酸及び/またはポリアクリル酸塩である。
【0011】
ポリアクリル酸としては、分子量1万〜1000万のものを用いることが好ましく、特に重量平均分子量が1万〜50万未満、50万〜200万未満、200万〜400万の平均分子量を有するポリアクリル酸を2種以上組み合わせると、使用感が向上するので好適である。なお、通常のアクリル酸を重合して得られた重合体のほか、カーボポール(商品名:米国グッドリッチ社製)等のアクリル酸重合体を一部架橋したものも好適に使用し得る。
【0012】
また、ポリアクリル酸塩としてはポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウム等のポリアクリル酸の一価金属塩、ポリアクリル酸モノエタノールアミン、ポリアクリル酸ジエタノールアミン、ポリアクリル酸トリエタノールアミン等のポリアクリル酸のアミン塩、ポリアクリル酸のアンモニウム塩等の1種又は2種以上が好適に使用し得る。
【0013】
上記ポリアクリル酸とポリアクリル酸塩は、単独で使用してもよいが、これらを併用すると、皮膚への粘着性が高くなるため好ましい。ポリアクリル酸とポリアクリル酸塩の配合比(重量比)は1:0.01〜1:10、特に1:0.1〜1:1とすることが好ましいが、ポリアクリル酸又は塩を一部中和してポリアクリル酸塩が上記比率になるようにしたものを用いることもできる。好ましくは、ポリアクリル酸とポリアクリル酸塩の両方を配合する。
【0014】
ポリアクリル酸及びポリアクリル酸塩の合計配合量は組成物全体の0.5〜20重量%(以下重量%は、単に%と言う)、特に1〜15%とすることが好ましく、0.5%未満では粘着力が不足する場合があり、20%を超えると粘度が高くなり、製造時の作業性に問題が生じることがある。
【0015】
その他の水溶性高分子化合物としては、使用感向上のために、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロースなどのセルロース類(カルボキシル基を含むものを除く)、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、ペクチン、キサンタンガム、トラガントガム、カンテン、アラビヤガム、カラヤガム、カラギーナン等が挙げられる。これらは、本発明の効果を妨げない範囲で、適宜配合することができる。
【0016】
本発明の水溶性高分子を架橋するための架橋剤としては、上記水溶性高分子物質を架橋し得る限り、その種類は特に制限されないが、特に、多価金属化合物が好適に使用される。この場合、多価金属化合物としてはマグネシウム化合物、カルシウム化合物、亜鉛化合物、カドミウム化合物、アルミニウム化合物、チタン化合物、錫化合物、鉄化合物、クロム化合物、マンガン化合物、コバルト化合物、ニッケル化合物等が使用し得るが、皮膚に対する安全性を考慮するならば、アルミニウム化合物、マグネシウム化合物、カルシウム化合物等を用いることが好ましい。
【0017】
この場合、アルミニウム化合物、マグネシウム化合物及びカルシウム化合物はいずれのものも好適に使用し得、例えばカリウムミョウバン、アンモニウムミョウバン、鉄ミョウバン等のミョウバン類、水酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムアンモニウム、硫酸アルミニウムカリウム、塩化アルミニウム、ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテート、酢酸アルミニウム、酸化アルミニウム、合成ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミニウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硝酸カルシウム、塩化カルシウム、酢酸カルシウム、酸化カルシウム、リン酸カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化アルミナ・マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ヒドロタルサイト、アルミニウムグリシネートこれらの金属を含む複塩等の水溶性化合物、水難溶性化合物のうちの1種又は2種以上を使用し得る。
【0018】
ここで、上記架橋剤の好適な配合量は、その種類により種々異なるが、例えば上記多価金属化合物を使用する場合、その配合量は組成物全体の0.001〜5質量%、特に、0.1〜2.5質量%とすることが好ましい。0.001%未満では組成物の凝集力が低下する場合があり、5%を超えると放射線照射によって粘着力が低下する。
【0019】
本発明の含水粘着剤の溶媒にグリコール類を配合すると、水溶性高分子の放射線照射による過架橋を抑制し、良好な粘着力を維持することができ、患部を湿潤させ症状をより改善させることができる。
【0020】
グリコール類としては、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、ヘキシレングリコール、オクタンジオール等が挙げられ、これらは1種単独で又は2種類以上で適宜組み合わせて使用することができる。保存安定性(変色・不快臭)の点から、好ましくは炭素数4〜10のジオール、特にブタンジオールの使用が好ましい。
【0021】
グリコール以外の多価アルコールは、本発明の効果を損なわない範囲で使用することができるが、グリコール以外の多価アルコール溶媒、特にグリセリンは、放射線照射による変色、異臭発生が顕著であり、その配合は極力制限されるべきである。好ましくは、多価アルコール中のグリコール類の割合が50〜100質量%、より好ましくは80〜100質量%、さらに好ましくは90〜100質量%とする。最も好ましくは、多価アルコール溶媒としてはグリコールのみを使用する。
【0022】
本発明の含水系組成物には、上記の他、架橋調整剤、界面活性剤、充填剤、油性成分などの基剤成分、薬物、香料、色素、防腐剤など、通常外用貼付剤に使用される各種成分を、本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。
【0023】
架橋調整剤としては、エデト酸、酒石酸、クエン酸、それらの塩などがあげられる。
(配合量:0.05〜2質量%)
【0024】
界面活性剤としては、例えば(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル,ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等のノニオン界面活性剤、高級脂肪酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩等のアニオン界面活性剤、N−アシルメチルタウリン塩、酢酸ベタイン等の両性活性剤、第4級アルキルアンモニウム塩、アルキルアミン塩等のカチオン界面活性剤が挙げられるが、ノニオン界面活性剤が好ましい。具体的にはソルビタンモノオレート、グリセリルモノオレート、デカグリセリルモノオレート、ジグリセリルジオレート、ヘキサグリセリルモノラウレート、プロピレングリコールモノステアレート、POE(20)ソルビタンモノオレート、POE(60)ソルビットテトラオレート、POE(40)モノステアレート、POE(10)オレイルエーテル、POE(10)ノニルフェニルエーテル、POE(50)硬化ヒマシ油、POE(5)オレイン酸アミド、ラウリル硫酸ナトリウム、POEアルキルエーテル硫酸ナトリウム、POEアルキルエーテル酢酸ナトリウム、トリPOE(10)アルキルエーテルリン酸、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、イミダゾリニウムベタインまどがあげられる。
(配合量:0.1〜5質量%)
【0025】
充填剤としては、カオリン、スメクタイト等の粘度鉱物、酸化チタン等があげられる。
(配合量:0.1〜5質量%)
【0026】
油性成分としては、オレイルアルコール、セタノール、ラウリルアルコールなどの高級アルコール、オレイン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸などの高級脂肪酸、ミリスチン酸イソプロピル、アジピン酸プロピル、セバシン酸ジエチルなどの高級脂肪酸エステル、スクワラン、パラフィンなどの炭化水素油、ヒマシ油などの油脂などがあげられる。
(配合量:0.1〜5質量%)
【0027】
薬物としては、インドメタシン、サリチル酸グリコール、サリチル酸メチル、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、スプロフェン、ロキソプロフェン、ザルトプロフェン、ピロキシカム、フェルビナク、ジフェンヒドラミン、ジブカイン、プロカイン、リドカイン、ビタミンE誘導体、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸、あるいはこれらの誘導体、塩等が挙げられる。
【0028】
香料としては、外用剤に使用する各種香料成分を適宜調整し、付香することができる。また、天然香料を配合してもよい。天然香料としては、例えばウイキョウ油、ヒマシ油、ハッカ油、ミント油、スペアミント油、ハッカハク油、ダイウイキョウ油、ケイヒ油、チョウジ油、チミアン油、テレビン油、ヘノポジ油、ヤマジン油、ユーカリ油、ラベンダー油、レモン油、オレンジ油、トウカ油、ベルガモット油、ローズ油、シトロネラ油、レモングラス油、樟脳油、ゼラニウム油、ローズ油、ローズマリー油等が挙げられる。(配合量:0.0005〜10質量%)
【0029】
色素としては、外用貼付剤に使用可能な色素(例えば法定色素ハンドブック記載の色素)を1種単独で又は2種類以上で適宜組み合わせ、本発明の効果を損なわない範囲で使用することができる。好ましくは、顔料を使用すると、皮膚への染着が生じないため好ましい。
【0030】
本発明の含水ゲルは、残部を水とすればよいが、含水率は30〜98質量%、好ましくは50〜93%、さらに好ましくは60〜90%である。この範囲で、ゲル物性が良好な貼付剤とすることができる。
【0031】
本発明の貼付剤は、上記含水組成物を支持体に塗布して、あるいは含水組成物(ゲル)の片面を過架橋させて非粘着化させ、貼付剤とすることができる。
【0032】
前記支持体としては、織布、不織布、編み布などの繊維シート(ポリエステルなど)、樹脂フィルム(ポリエチレン、ウレタンなど)、それらの積層体があげられる。好ましくは、樹脂と繊維シートの積層体を使用する。
【0033】
ゲルの片面を過架橋させる場合は、ゲルをシート状に薄く伸ばし、その表面にミョウバン水溶液などの架橋剤溶液を塗布すればよい。
【0034】
上記貼付剤の粘着面を剥離フィルムで被覆し、次いで放射線を照射する。放射線の種類としてはγ線、電子線、X線があげられるが、透過性、製造製の面からγ線が好ましい。照射線量としては5〜50kGy、特に10〜35kGyとすることが好ましい。
【0035】
放射線の照射によって、カルボン酸モノマー(例えばポリアクリル酸のときはアクリル酸モノマー)量が低減されるため、皮膚・粘膜等の患部に刺激がない良好な貼付剤が得られる。好ましいモノマー量は、0.05%以下、より好ましくは0.025%以下、さらに好ましくは0.01%以下である。
【0036】
放射線照射して得た本発明の貼付剤は、アルミニウム製などの密封可能な包装体に収納・密封され、貼付剤製品とすることができる。
【0037】
本発明の貼付剤は、皮膚や傷口に刺激がなく、皮膚の各種トラブルの治療に好適な治療が可能であるため、傷や荒れなどのダメージがある皮膚に適用する貼付剤、例えば創傷被覆剤、荒れ肌用貼付剤、敏感肌用貼付剤、顔用パック剤として、非常に有用である。
【0038】
<1>カルボキシル基を有する水溶性高分子、架橋剤、グリコール類を含有する含水組成物に、放射線を照射してなる含水ゲルを有することを特徴とする、外用貼付剤
<2>グリコール類が炭素数4〜10のグリコールである、<1>記載の外用貼付剤
<3>照射する放射線が、5〜50kGyのγ線、電子線、またはX線である<1>または<2>記載の外用貼付剤。
<4>アクリル酸のモノマー量が0〜0.05%である<1>〜<3>記載の外用貼付剤
<5>含水ゲルが支持体に塗布されている<1>〜<4>記載の外用貼付剤
<6>皮膚治療または改善剤である<1>〜<5>記載の外用貼付剤
<7>創傷被覆剤である<1>〜<6>記載の外用貼付剤
<8>荒れ肌用貼付剤であることを特徴とする<1>〜<6>記載の貼付剤
<9>敏感肌用貼付剤であることを特徴とする<1>〜<6>記載の貼付剤
<10>顔用パック剤であることを特徴とする<1>〜<6>記載の貼付剤
【0039】
【発明の効果】
本発明の貼付剤によれば、皮膚や傷口に刺激がなく、皮膚の各種トラブルの治療に好適な治療が可能であり、保存安定性にも優れている。
【0040】
【実施例】
表1〜3に記載した組成の含水ゲルを調製し、不職布に所定量塗布し、含水ゲル表面をポリエチレンフィルムで被覆した。この貼付剤に、γ線あるいは電子線を照射し、本発明の貼付剤を得た。その後、(ポリエチレン/アルミニウム/エチレンメタクリル酸共重合樹脂)製の密封可能な袋に収納して熱溶融にて密封し、40℃で6ヵ月保存した。
各サンプルについて、保存前後の粘着性、臭い、色調、アクリル酸モノマー量、皮膚刺激性、水(生理食塩水)への溶解性を評価した。
ただし、表1に記載した組成番号1、2の含水ゲルと、表2に記載した組成番号7〜10の含水ゲルは実施例である。
表1に記載した組成番号3〜6の含水ゲルと、表2に記載した組成番号11、12の含水ゲルは参考例である。
表3に記載した組成番号1〜4の含水ゲルは比較例である。
【0041】
(評価方法)
粘着性
JIS Z0237(傾斜角30°)に準じて測定した。
【0042】
臭い官能評価
10人のパネラーにより下記基準で評価し、平均点を求めた。
1:きわめて感じた
2:非常に感じた
3:かなり感じた
4:やや感じた
5:全く感じなかった
【0043】
色調
色差計(日本電飾工業 Z−1001DP型)を使用し、貼付剤の含水ゲルのb値を測定し、厚さ0.1mmあたりに換算した。
【0044】
アクリル酸モノマー量
化粧品種別配合成分規格におけるアクリル残存モノマー試験法に準じて行なった。
【0045】
荒れ肌に対する刺激評価
荒肌の症状を有するパネラー10人により、下記基準で評価し、平均点を求めた。
++:非常に強い
+ :強い
± :弱い
− :ない
【0046】
微生物試験
第十四改正日本薬局方記載の「無菌試験法」に準じて行なった。
陽性:菌が検出された
陰性:菌が検出されなかった
【0047】
水(生理食塩水)への溶解性
放射線照射した本発明の外用貼付剤の含水ゲル10gを100gの生理食塩水に24時間浸した後製剤を引き上げ、生理食塩水を蒸発乾固したときの重量が、初期の生理食塩水中の食塩量を上回っているかどうかで溶解性を調べた。この評価で溶解性がないものは、特に傷口への刺激を感じず、優れている。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
Claims (8)
- ポリアクリル酸及び/またはポリアクリル酸塩、架橋剤、多価アルコール、及び水を含有する組成物に放射線を照射してなる含水ゲルであり、
前記多価アルコールはその80〜100質量%がブタンジオールであり、かつ、前記含水ゲル中の前記ブタンジオールの含有量が5〜15質量%であることを特徴とする、外用貼付剤。 - 前記含水ゲルは、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸、カルボキシビニルポリマー、及びこれらの金属塩から選ばれる1種以上を含有する、請求頂1に記載の外用貼付剤。
- 前記含水ゲルはゼラチンを含有する、請求頂1または2に記載の外用貼付剤。
- 前記含水ゲル中のアクリル酸のモノマー量が0〜0.05%である、請求頂1から3のいずれか一項に記載の外用貼付剤。
- 皮膚治療剤または皮膚改善剤である、請求頂1から4のいずれか一項に記載の外用貼付剤。
- ポリアクリル酸及び/またはポリアクリル酸塩、架橋剤、水、及びブタンジオールが80〜100質量%の多価アルコールを含有し、かつ、前記ブタンジオールの含有量が5〜15質量%である含水ゲルに放射線を照射することを特徴とする、放射線照射外用貼付剤の変色防止方法。
- 前記含水ゲルは、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸、カルボキシビニルポリマー、及びこれらの金属塩から選ばれる1種以上を含有する、請求頂6に記載の放射線照射外用貼付剤の変色防止方法。
- 前記含水ゲルはゼラチンを含有する、請求頂6または7に記載の放射線照射外用貼付剤の変色防止方法。
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