JP3994552B2 - Frp製屋根材およびその製造方法 - Google Patents

Frp製屋根材およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、FRP製屋根材およびその製造方法に関し、とくに軽量で容易に任意の形状の形成できるFRP製屋根材およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、屋根自身また庇部等を構成するための屋根材としては、鉄骨による骨組に折板等の金属材料を貼り付けたものが一般的であるが、主構成部材が金属であるため、錆の発生による劣化の問題がある。また、金属で主要部材が構成されているので、重量が大きく、建物の耐震性にとって不利である。軽量化すると、十分な強度、剛性を確保するのが難しくなる。
【0003】
また、平板や折板からなる金属材料を貼り付ける構造では、曲面や立体形状に形成するのが難しい。設計上の制約が大きくなり、屋根材を所望の形状に形成して意匠性を向上するにも限界がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、錆発生のおそれがなく、軽量で建物の耐震性を向上でき、かつ、優れた強度、剛性を確保しつつ、任意の意匠性の高い形状に形成可能なFRP製屋根材、およびその製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明のFRP製屋根材は、少なくとも一方がFRPからなる一対の板が間隙をもって配置され、該間隙に両板を接合するリブ構造体が介装されているFRP製屋根材であって、前記一対の板の少なくとも一方の板の外面に、他部材と連結される連結部材が取り付けられており、該連結部材は、前記リブ構造体の設置位置に対応する位置に取り付けられていることを特徴とするものからなる。
【0006】
このリブ構造体の材料には、FRP、金属、木材等を使用でき、リブ構造体は、一対の板の成形と同時に配置し組み込むことが好ましい。
【0007】
上記一対の板間の間隙の寸法としては、板延在方向において、実質的に一定であってもよく、変化していてもよい。
【0008】
また、板自身の形状としては、単なる平板状のものでもよいが、たとえば、少なくとも一方の板が、山部と谷部が交互に配置された折板形状に形成されているものとすることもできる。この山部または/および谷部は、ある方向に直線状に延びるものの他、ピラミッド形に立体的に形成されたものであってもよい。
【0009】
一対の板間の間隙は、そのまま空間に形成しておくこともできるが、間隙に、一対の板のいずれよりも比重の小さい充填材を配置した、サンドイッチ構造とすることもできる。
【0010】
また、連結部材としては、連結部材やFRP製屋根材のねじれを防止したり、様々な方向に位置する他部材との連結を可能にするため、ユニバーサルジョイントを有するものが好ましい。
【0011】
前記リブ構造体は、後述の実施態様に示す如く、各種断面形状を採用できるが、さらに、トラスまたはラーメン構造体に構成することもできる。
【0012】
また、本発明に係るFRP製屋根材には、厚み方向に貫通する開口部を設けておいてもよい。開口部に窓構成部材を装着すれば、所定の箇所に採光可能な窓を設置でき、所定形状の開口部のまま残しておけば、開放構造の屋根等における通風孔等を形成できる。
【0013】
また、本発明に係るFRP製屋根材においては、耐火性を向上するために、少なくとも一方の板のマトリックス樹脂がフェノール樹脂からなることが好ましい。さらに、少なくとも片面に、耐火材、たとえば耐火性の材料や耐火塗料からなる層を設けておくこともできる。
【0014】
さらに、FRP製屋根材全体、あるいは屋根を構成するためのFRP製屋根材一単位全体について、立体的な形状に形成することが可能である。たとえば、少なくとも一方の板が、多面体状の立体形状部を有している構造や、少なくとも一方の板が、三次元曲面部をもつ立体形状部を有している構造とすることができる。またこれら立体形状部の両方をもつ構造とすることもできる。
【0015】
上記のようなFRP製屋根材は、種々の方法で製造可能であるが、とくに大型のFRP製屋根材の場合、次のような方法が好適である。すなわち、本発明に係るFRP製屋根材の製造方法は、上記のFRP製屋根材の少なくとも一方のFRPからなる板を成形するに際し、型内に強化繊維基材を配置し、全体をバッグ基材で覆った後バッグ基材で覆われた内部を真空状態にし、樹脂を注入して前記強化繊維基材の表面に拡散させるとともに強化繊維基材に含浸させることにより成形することを特徴とする方法からなる。
【0016】
このような本発明に係るFRP製屋根材においては、主要部材がFRPで構成されるため、主要部材が金属からなる場合に比べ、軽量で、かつ、錆発生のおそれがない。屋根全体の重量を軽減できるので、建物の耐震性が向上する。
【0017】
また、少なくとも一方がFRPからなる一対の板間に、両板を接合するリブ構造体が設けられるので、FRP製屋根材全体として高い強度と剛性が確保される。また、板間の間隙は、空間あるいは発泡材等の低比重材料充填構造とされるので、断熱性にも優れている。
【0018】
また、FRPからなる少なくとも一方の板は、その成形型を変更することにより、自由に任意の形状に形成できるから、屋根形状における設計上の制約が大幅に緩和され、設計者が目標とする意匠性の高い自由な形状を採用することが可能となる。
【0019】
さらに、FRPのマトリックス樹脂にフェノール樹脂を使用することにより、優れた耐火性を付与でき、また、少なくとも片面に耐火材を設けることにより、さらに優れた耐火性を付与できる。したがって、法的規制のゆるい庇材のみならず、法的規制のきつい屋根本体にも、適用可能なFRP製屋根材に構成できる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の望ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施態様に係るFRP製屋根材の部分縦断面を示している。図1において、FRP製屋根材1は、間隙2をもって並行に配置された一対の板3a、3bと、間隙2に設けられ、両板3a、3bを接合するリブ構造体4とを有している。本実施態様では、板3a、3bの両方が、FRPで構成されており、かつ、リブ構造体4もFRPで構成されている。ただし、リブ構造体4は、金属や木材等の他の材料から構成することが可能である。リブ構造体4がいずれの材料で構成される場合にも、板3a、3bの成形と同時に、配置、組み込みを行うことが好ましい。
【0021】
本発明におけるFRPのマトリックス樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化樹脂が好適であり、なかでもフェノール樹脂が安価で、かつ難燃性に優れており、好ましく使用される。
【0022】
また、FRPの強化繊維としては、好ましくは無機繊維が使用され、たとえば、ガラス繊維、チラノ繊維、炭素繊維、シリコンカーバイト繊維、シリコンナイトライド繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維、鉱物繊維等を使用することができる。これらの繊維はコスト、性能を配慮して単独または複合で使用することができる。さらに、強化繊維基材の形態としては、織物(平織り、一方向織り)、不織布、編み物、組み物等が挙げられるが、中でもFRPによく用いられ補強効果が大きい織物の形態が好ましい。
【0023】
リブ構造体の断面形状としては、各種の形状を採り得る。図1には、単に上下方向に延びる断面形状のリブ構造体4を示したが、たとえば図2に示すような各種形状を採用できる。図2の(A)に示す構造では、断面形状がI形またはH形のリブ構造体4aとされ、(B)に示す構造では、断面形状がC形のリブ構造体4bとされ、(C)に示す構造では、このC形のリブ構造体が背中合せに配置されたリブ構造体4cとされ、(D)に示す構造では、断面形状がかぎ形または連結部材形のリブ構造体4dとされ、(E)に示す構造では、断面形状がハット形のリブ構造体4eとされている。また、これら異なる断面形状のリブ構造体をFRP製屋根材の部位に応じて選択し、組み合わせて採用することもできる。
【0024】
本発明に係るFRP製屋根材においては、図1、図2に示したように、一対の板3a、3b間に形成される間隙2の寸法(図における上下方向の寸法)が、板延在方向において、実質的に一定である構成とできる。また、間隙の寸法が板延在方向において、変化する構成としてもよい。たとえば図3に示すように、断面でみて、一方の板3cが曲線状に変化しており、他方の板3dを直線状に延びる形状とすることにより、両板3c、3d間の間隙2aの寸法を連続的に変化させることができる。
【0025】
また、屋根材としては、従来から、強度や剛性を高めるために折板形状の部材を用いることがあるが、本発明においても同様に採用できる。たとえば図4に示すように、断面でみて、一方の板3eを、山部と谷部が交互に配置された、のこ刃状の折板形状に形成し、他方の板3fを直線状に延びる形状とすることができる。
【0026】
上記図3に示した構造では、図の下側に板3dも曲線状に変化する形状に形成してもよく、図4に示した構造では、図の下側の板3fも折板形状に形成してもよい。
【0027】
また図5に示すように、一対の板3g、3hをともに折板状あるいはジグザグ状に形成し、両板間に間隙2を実質的に一定に保つ配置とすることもできる。
【0028】
さらに、上記のようなFRPからなる板の凹凸形状を、三次元的に拡大することもできる。たとえば図6に示すように、FRPからなる板3iを、ピラミッド形に膨出させ、あるいはへこませ、この膨出あるいはへこみ部5を、単独で設けたり、複数配設したりする構造に構成できる。この膨出部やへこみ部5は、曲面(三次元曲面)に形成されてもよい。
【0029】
このように、屋根材の表面(片面または両面)をFRPからなる板で形成することにより、実質的に自由な形状に形成でき、設計上の制約が大幅に緩和されて、意匠性を大幅に向上することが可能になる。しかも、所望の自由な形状を安価に実現できる。
【0030】
また、FRP板を主要構成部材とする屋根材であるから、従来の金属を主要構成部材とする屋根材に比べ、大幅に軽量化でき、その分建物の耐震性を向上できる。しかも、容易に外面に金属部分が現われない構造とできるから、本質的に錆の発生の不安がない。
【0031】
また、両板3a、3b間をリブ構造体4で接合した構造を有するから、軽量性を維持しつつ、屋根材自身の強度や剛性も極めて高い。しかも、両板3a、3b間には間隙2が設けられているので、断熱性も極めて高い。
【0032】
さらに、FRPのマトリックス樹脂にフェノール樹脂を使用すれば、優れた耐火性が得られる。
【0033】
上記各実施態様では、両板間の間隙2を空間に形成したが、この間隙2に、たとえば一対の板のいずれよりも比重の小さい充填材を配置することができる。このように比重の小さい充填材を用いることにより、屋根材全体の軽量性を損なわずに、さらに強度、剛性を向上したり、断熱性を向上したりできる。また、所定の断面形状を、より確実に保つことができるようになる。
【0034】
充填材としては、たとえば木材や発泡体が使用できるが、軽量化の点で発泡体が好ましい。発泡体の材質としては、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、PVC、シリコンなどを用い、その比重は0.02から0.2の間で選択することが好ましい。FRP製屋根材の要求特性、使用する樹脂の種類などによって、発泡体の材質、比重を選ぶことができる。比重が0.02未満のものを用いると、十分な強度が得られなくなる恐れが生じる。また、比重が0.2を超えると、強度は高くなるが、重量が嵩み軽量化という目的に反するものになってしまう。
【0035】
この充填材は、たとえば図7に示すように、サンドイッチ構造体として構成されるFRP製屋根材11のコア材12として機能する。
【0036】
また、本発明に係るFRP製屋根材では、一対の板間に、リブ構造体として、トラスまたはラーメン構造体を配置することができる。たとえば図8にラーメン構造体13を一対の板3a、3b間の間隙2に配置した構造を示す。ラーメン構造体13により、両板3a、3bは、極めて強固に接合され、板間の寸法のずれも抑えられる。このラーメン構造体13やトラス構造体にも、FRPや金属、木材等の材料が使用できる。
【0037】
本発明は、FRP製屋根材を現実に施工するに際しては、FRP製屋根材の少なくとも一方の板の外面に、他部材(他の建築部材)と連結される連結部材が取り付けられていることを必須とする。この連結部材は、FRP製屋根材の所定の断面形状を保つために、リブ構造体が設けられている位置に対応する位置に取り付ける。
【0038】
たとえば図9に示すように、リブ構造体4aの配置位置に対応する板3aの外面や板3bの外面に、連結部材14a、14bを取り付ける。取り付けは、板外面に接着する方法や板と一体に成形する方法でもよいが、貫通ボルト15等によりリブ構造体4aと直接連結して接合することが、荷重伝達性の点で好ましい。
【0039】
また、図10に示すように、連結部材14は、ねじれを防ぐために、一方向だけでなく、多方向に回転できるユニバーサルジョイント16を有していることが好ましい。ユニバーサルジョイント16の使用により、FRP製屋根材の取り付けや施工が容易になるとともに、ねじれ応力等好ましくない応力の発生や伝達を防止できる。なお、図10に示すユニバーサルジョイント16では回転範囲がやや狭いので、斜めの台14cを補助的に用いているが、角度によっては用いなくてもよい場合がある。
【0040】
図11に、上記のようなユニバーサルジョイント16を使用し、かつ、FRP製屋根材の部位に応じた形状のリブ構造体4、4aを配置し(複数種のリブ構造体を混在させて配置し)、しかも発泡体からなるコア材12を用いた、望ましい実施態様の一例を示す。図11に示す例では、下側のユニバーサルジョイント16aには、互いに垂直な方向に延びる2つのピン16b、16cを有するタイプのものを用いている。
【0041】
また、本発明に係るFRP製屋根材においては、窓や通気孔を形成するために、厚み方向に貫通する開口部を設けることができる。
【0042】
たとえば図12に示すように、FRP製屋根材1の厚み方向に貫通する開口部17を形成しておき、この開口部17に窓構成部材18を装着する構造とすることができる。窓構成部材18の外縁部と開口部17の内縁部との間には、適当な嵌着構造を採用すればよい。窓構成部材18には、アクリルやガラス、ポリカーボネート等の透光性材料からなる窓ガラス部材19が嵌め込まれている。この窓構成部材18は、リブ構造体と同材質や同じ配置としてもよく、別体で作製して後からFRP製屋根材に接合することもできる。
【0043】
さらに、本発明に係るFRP製屋根材においては、耐火性を高めるために、少なくとも片面に耐火材を設けた構造とすることもできる。
【0044】
たとえば図13に示すように、FRP製屋根材1の片面に、耐火材層20を設けることができる。耐火材としては、耐火塗料や、発泡性の耐火性プラスチック材を使用できる。発泡性耐火性プラスチック材は、所定の温度に加熱されると発泡して断熱性能を発揮するものである。
【0045】
上記のような本発明に係るFRP製屋根材は、各種の立体形状に自由に形成可能である。たとえば図14に示すように、多面体状(図示例では四角錐状)のFRP製屋根材41に形成し、所望の面(図示例では二面)に、窓構成部材42を装着した構造や、図15に示すように、各面を任意の角度で組み合わせた、より複雑な形状を有するFRP製屋根材43等にも構成できる。さらに図16に示すように、三次元曲面図44をもつ立体形状部を有するFRP製屋根材45等にも構成できる。
【0046】
このような本発明に係るFRP製屋根材は、大型のものにあっても、所定の型等を用いることにより、次のような方法により容易に一体成形できる。図17は、本発明に係る一体成形法の一例を示しており、説明の簡単化のために、全体が平板状のFRP製屋根材の場合を示しているが、型を変更することにより、自由な形状のものに成形可能である。
【0047】
図17に示す方法においては、型21内に、発泡体等からなる複数のコア材22が配置されるとともに、少なくともその両面に強化繊維基材23が配置される。本実施態様では、複数のコア材22が平面的にみて縦横に配列されている。配列されたコア材22の列の端部は、上記強化繊維基材23がコア材22を包み込むように配置されてもよいし、図17に示すように、コ字状のキャップ状強化繊維基材28を配置してもよい。
【0048】
各コア材22はたとえば図18に示すように構成される。このコア材22は、樹脂の通り道となる大溝24と、該大溝24から分岐した多数の小溝25を有している。この大溝24および小溝25を介して樹脂が強化繊維基材23の面方向に拡散され、拡散された樹脂が強化繊維基材23の厚み方向に基材23に含浸される。この実施態様では、コア材22自身に、溝部分により、樹脂を基材面方向に拡散するための拡散路を付与してあるが、この構造とは別に、あるいはこの構造とともに、別部材からなる、樹脂を強化繊維基材の面方向に拡散するシート状の媒体を設けてもよい。この媒体は、強化繊維基材23の上面側に、あるいは上下両面側に配置することができる。媒体の構造は特に限定されないが、図18に示したと同様の溝構造とするシート状部材、あるいは縦横に溝を有するシート状部材、さらには網状部材等から構成できる。
【0049】
そして図18に示した実施態様では、コア材22の両側部(または四辺部)に切り欠き凹部26が形成されており、該切り欠き凹部26に図17に示すように断面コ字状のリブ構造体を形成するための強化繊維基材27が配置されている。FRP製屋根材の中央部ではこのリブ構造体を形成するコ字状強化繊維基材27同士が突き合わされており、配列されたコア材22の端部部分では、コ字状のキャップ用強化繊維基材28が配置されており、これらがコア材22とともに、両面に配置した強化繊維基材23で覆われている。但し、配列されたコア材22の端部部分を強化繊維基材23で覆うようにする場合等には、該端部部分のコ字状のキャップ状強化繊維基材28は必ずしも設ける必要はない。
【0050】
上記強化繊維基材23の上面側が、バッグ基材29で覆われ、内部が真空ポンプ30による吸引によって真空状態にされる。次いで、バルブ31を開いて、液状の樹脂32が上記真空状態に保たれた型21内に注入される。注入は、たとえば多孔質材等からなるエッジブリーザ33を介して行われ、ポンプ30への吸引も同様のエッジブリーザ34を介して行われる。樹脂の注入位置、真空吸引位置、エッジブリーザ33、34の設置位置は、適宜変更できる。たとえば、FRP製屋根材の中央部から樹脂を注入するようにすることもできる。また、本実施態様では、強化繊維基材23の上面を直接バッグ基材29で覆うようにしたが、必要に応じて、間に成形後に剥離される離型資材(図示略)を介装してもよい。上記実施態様では、バッグ基材29自身が離型資材の機能を備えている。必要に応じて設ける離型資材としては、樹脂は通過できるが硬化後に剥がされFRP構造体から取り除くことが可能な離型資材(たとえば、ナイロン製タフタ織物シートなど)が好ましい。さらにまた、バッグ基材29と強化繊維基材23の型の上面側との間に、鉄板等の剛性板を配置してもよい。
【0051】
注入された樹脂は、前述の如く、コア材22の大溝24、小溝25に沿って強化繊維基材23の表面の面方向に速やかに拡散しつつ、強化繊維基材23の厚み方向に徐々に含浸される。このとき同時に、リブ構造体やキャップを形成するコ字状強化繊維基材27、28にも樹脂が含浸され、リブ構造体やキャップが一体に成形される。含浸された樹脂が、常温で、場合によっては加熱によって硬化され、FRP製屋根材が完成する。硬化後にバッグ基材29が取り除かれ、硬化したFRP構造体が型21から取り出される。このようにFRP製屋根材が一体成形される。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のFRP製屋根材によれば、錆発生のおそれがなく、軽量でありながら十分に高い強度、剛性、さらには断熱性を発揮でき、建物の耐震性向上に寄与できる、任意の意匠性の高い形状にも容易に形成できる、極めて優れた実用性の高い屋根材を提供できる。
【0053】
また、FRPのマトリックス樹脂にフェノール樹脂を使用すれば、あるいは表面に耐火材を設ければ、耐火性についても優れた屋根材とすることができる。
【0054】
さらに、本発明のFRP製屋根材の製造方法によれば、上記のような優れた性能のFRP製屋根材を、たとえ大型のものであっても、実質的に一体成形でき、所望のFRP製屋根材を容易にかつ安価に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施態様に係るFRP製屋根材の部分縦断面図である。
【図2】本発明の別の各実施態様に係るFRP製屋根材の部分縦断面図である。
【図3】本発明のさらに別の実施態様に係るFRP製屋根材の部分縦断面図である。
【図4】本発明のさらに別の実施態様に係るFRP製屋根材の部分縦断面図である。
【図5】本発明のさらに別の実施態様に係るFRP製屋根材の部分縦断面図である。
【図6】本発明のさらに別の実施態様に係るFRP製屋根材の斜視図である。
【図7】本発明のさらに別の実施態様に係るFRP製屋根材の部分縦断面図である。
【図8】本発明のさらに別の実施態様に係るFRP製屋根材の部分縦断面図である。
【図9】本発明のさらに別の実施態様に係るFRP製屋根材の部分縦断面図である。
【図10】本発明のさらに別の実施態様に係るFRP製屋根材の部分縦断面図である。
【図11】本発明のさらに別の実施態様に係るFRP製屋根材の部分縦断面図である。
【図12】本発明のさらに別の実施態様に係るFRP製屋根材の平面図である。
【図13】本発明のさらに別の実施態様に係るFRP製屋根材の部分縦断面図である。
【図14】(A)は本発明のさらに別の実施態様に係るFRP製屋根材の平面図、(B)は側面図である。
【図15】(A)は本発明のさらに別の実施態様に係るFRP製屋根材の平面図、(B)は側面図である。
【図16】本発明のさらに別の実施態様に係るFRP製屋根材の斜視図である。
【図17】本発明の一実施態様に係るFRP製屋根材の製造方法を示す概略縦断面図である。
【図18】図17の製造工程で用いられるコア材の拡大斜視図である。
【符号の説明】
1、11 FRP製屋根材
2、2a 間隙
3a、3b、3c、3d、3e、3f、3g、3h、3i 板
4、4a、4b、4c、4d、4e リブ構造体
5 膨出部またはへこみ部
12 コア材
13 ラーメン構造体
14、14a、14b 連結部材
15 ボルト
16、16a ユニバーサルジョイント
17 開口部
18 窓構成部材
19 窓ガラス部材
20 耐火材層
21 型
22 コア材
23 強化繊維基材
24、25 溝
26 凹部
27 リブ構造体形成用強化繊維基材
28 キャップ状強化繊維基材
29 バッグ基材
30 真空ポンプ
31 バルブ
32 樹脂
33、34 エッジブリーザ
41、43、45 FRP製屋根材
42 窓構成部材
44 三次元曲面部

Claims (14)

  1. 少なくとも一方がFRPからなる一対の板が間隙をもって配置され、該間隙に両板を接合するリブ構造体が介装されているFRP製屋根材であって、前記一対の板の少なくとも一方の板の外面に、他部材と連結される連結部材が取り付けられており、該連結部材は、前記リブ構造体の設置位置に対応する位置に取り付けられていることを特徴とするFRP製屋根材。
  2. 前記間隙の寸法が、板延在方向において、実質的に一定である、請求項1に記載のFRP製屋根材。
  3. 前記間隙の寸法が、板延在方向において変化している、請求項1に記載のFRP製屋根材。
  4. 少なくとも一方の板が、山部と谷部が交互に配置された折板形状に形成されている、請求項1〜3のいずれかに記載のFRP製屋根材。
  5. 前記間隙に、前記一対の板のいずれよりも比重の小さい充填材が配置されている、請求項1〜4のいずれかに記載のFRP製屋根材。
  6. 連結部材がユニバーサルジョイントを有している、請求項1に記載のFRP製屋根材。
  7. 前記リブ構造体がトラスまたはラーメン構造体からなる、請求項1〜のいずれかに記載のFRP製屋根材。
  8. 厚み方向に貫通する開口部を有している、請求項1〜のいずれかに記載のFRP製屋根材。
  9. 開口部に窓構成部材が装着されている、請求項8に記載のFRP製屋根材。
  10. 少なくとも一方の板のマトリックス樹脂がフェノール樹脂からなる、請求項1〜のいずれかに記載のFRP製屋根材。
  11. 少なくとも片面に耐火材が設けられている、請求項1〜10のいずれかに記載のFRP製屋根材。
  12. 少なくとも一方の板が、多面体状の立体形状部を有している、請求項1〜11のいずれかに記載のFRP製屋根材。
  13. 少なくとも一方の板が、三次元曲面部をもつ立体形状部を有している、請求項1〜12のいずれかに記載のFRP製屋根材。
  14. 請求項1〜13のいずれかに記載のFRP製屋根材の少なくとも一方のFRPからなる板を成形するに際し、型内に強化繊維基材を配置し、全体をバッグ基材で覆った後バッグ基材で覆われた内部を真空状態にし、樹脂を注入して前記強化繊維基材の表面に拡散させるとともに強化繊維基材に含浸させることにより成形することを特徴とする、FRP製屋根材の製造方法。
JP32160298A 1998-11-12 1998-11-12 Frp製屋根材およびその製造方法 Expired - Fee Related JP3994552B2 (ja)

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