JP3994542B2 - 極細ポリアミド系繊維構造物の染色方法および染色物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、極細ポリアミド系繊維構造物の染色方法および染色物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
単糸繊度が1デニール以下の極細ポリアミド系繊維構造物は、通常の繊度を有するポリアミド系繊維構造物に対し、表面積が大きいため見かけの表面濃度が低下することが知られている。また極細繊維は1デニール以下になると染料の染着に有効とされる緻密な非晶部が減少し、染料は吸尽するが固着しないといった問題が生じてくる。仮に大量の染料を使用して十分な発色性を得られたとしても、洗濯堅牢度等の湿潤堅牢性に劣り実用上問題が多い。このような問題は比較的湿潤堅牢性と発色性が良好とされる金属錯塩染料を使用しても解決されていないのが現状である。
【0003】
こういった背景から極細ポリアミド系繊維構造物の十分な発色性と湿潤堅牢性を満足させるための方法がいくつか提案されている。例えば特公平6−15750号公報ではポリアミド系超極細繊維を中性型金属錯塩染料で染色後、8%owf以上のタンニン酸と金属塩でフィックス処理を行う方法が開示されている。この方法は、吸尽した染料を繊維中に封じ込めることで染料の脱落を防止し、発色性および堅牢性を向上させる技術である。しかし、この方法では、錯塩染料を使用することで色相が暗味になり、鮮明性が十分表現できないこと、風合いがやや堅くなることなどの問題点があり、別の方法が望まれているのが実状である。
【0004】
また、特開平6−306780号公報ではタンニン酸フィックス後にさらに還元洗浄を行う方法が開示されている。この方法ではフィックス処理で封じ込めなかった染料を洗浄することにより予め除去しておくことで染色物の湿潤堅牢性は向上するが、逆に発色性が低下する問題があり濃色表現が困難である問題があった。
【0005】
このように現在の技術は完全ではなく、濃色で湿潤堅牢度を十分に満足できるには至っていないのが現状である。また金属錯塩染料の湿潤堅牢度は酸性染料に比べ良好であるが、色相が暗味になり鮮明色が表現できない問題もある。従って鮮明でかつ湿潤堅牢性が良好な極細ポリアミド系繊維構造物の染色方法が望まれていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来技術の背景に鑑み、十分な発色性と湿潤堅牢度を達成しかつ鮮明な色相を表現できる極細ポリアミド系繊維構造物の染色方法および染色物を提供せんとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。
【0008】
すなわち、本発明の極細ポリアミド系繊維構造物の染色方法は、主として単糸繊度が0.0001〜0.5デニールであるポリアミド系繊維構造物を染色する際に、モノハロゲン化トリアジン基を含む反応染料を含むpH3〜8に調整した染液により染色し、ついで界面活性剤を用いpH8〜12でソーピング処理することを特徴とするものである。
【0009】
そして、本発明の極細ポリアミド系繊維染色物は、上記染色方法により得られる染色物である。また、他の態様は、主として単糸繊度が0.0001〜0.5デニールのポリアミド系繊維構造物が反応染料により染色されてなり、JIS L−0844に定められる洗濯堅牢度が3級以上で、かつ、JIS L−0842に定められる耐光堅牢度が3級以上であることを特徴とするものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明における0.0001〜0.5デニールの極細ポリアミド系繊維構造物とは、製造方法を問わず、単糸繊度が0.0001デニール〜0.5デニールのポリアミド系繊維を含む繊維構造物であればよい。また含有するアミノ末端基量は特に限定されず、3×10-5eq/g〜25×10-5eq/gのものを使用することが出来る。アミノ末端基量はすべて同じものを使用する必要はなく、例えばアミノ末端基量3〜5×10-5eq./gのポリアミド系繊維と8〜25×10-5eq./gのポリアミド系繊維を8/2〜2/8の割合で混合させたポリアミド系繊維構造物などでもよい。かかる極細ポリアミド繊維の他にポリエステル、ポリウレタン、アクリル等の合成繊維、綿、麻、絹、羊毛等の天然繊維、レーヨン、テンセル等の半合成繊維など、他の繊維を含有していてもよい。さらにこれらにポリエステル、アクリル、ポリウレタン等の合成高分子がコーティングまたは含浸などにより付与されていても差し支えない。また上記単糸繊度以外に通常デニールのポリアミド繊維をミックスさせたものでもよい。単糸繊度が上記範囲外であっても本発明により染色することが可能であるが、従来から使用されている酸性染料と比較して堅牢性の差が小さい。本発明では0.5デニール以下、さらに好ましくは0.1デニール以下の極細ポリアミド系繊維構造物に対して有用な方法である。
【0011】
極細ポリアミド系繊維の製造方法としては、特に限定されないが、例えば海島型多成分系繊維の海成分を除去して得られる繊維、剥離型繊維から剥離して得られる繊維、直接溶融紡糸により得られる繊維等を使用することができる。また本発明の繊維構造物の組織は特に限定されず織物、編物、不織布等のシート状のものを含むものである。不織布等からなる人工皮革の場合、繊維繊度の異なる繊維を混合したもの、例えば0.01〜0.2デニールと0.001〜0.1デニールの繊維が重量比で8/2〜2/8程度に混合されたものに本発明を適用すると発色性が優れたものを得ることができる。
【0012】
本発明では、例えば式 [I] に示すモノクロロトリアジン基(X=Cl、Y=置換基)、モノフルオロトリアジン基(X=F、Y=置換基)のようなモノハロゲン化トリアジン基を含む反応染料を用いる。
【0013】
また、例えば式[I]のモノクロロトリアジン基を分子内に2つ以上有している染料や、式[I]のモノクロロトリアジン基又はモノフルオロトリアジン基と式[III]のスルファトエチルスルホン基を同一分子内含む異種反応基型染料として、例えば式[I]においてYが式[III]を含むものもある。
【0014】
【化1】
【化2】
【化3】
(式中において、Zは−CH=CH2 又は −CH2CH2Z1を表しZ1は−OSO3H、−OCOCH3、−OPO3H2、−Cl、などの脱離基を示す)
こういった反応基を持つ染料としてはたとえばSumifix、Sumifix Supra、Remazol、Celmazol、Levafix、Procion、Cibacron、Basilen、Drimarene、Drimalan、Lanasol、Kayacion、Mikacion、Kayaceron React、Verofix、Realan等の冠称名で市販されている。これらの反応染料のうち、モノクロロトリアジン基やモノフルオロトリアジン基などのモノハロゲン化トリアジン基を少なくとも1つ以上を有する反応染料により染色することにより、堅牢度をさらに向上させることができる。またさらに、発色性の点でもモノクロロトリアジン基やモノフルオロトリアジン基などのモノハロゲン化トリアジン基のうち少なくとも1つ以上を有しており、かつ、ビニルスルホン基および/又はビニルスルホン基を形成する反応基を少なくとも1つ以上有する異種多官能基型反応染料が好ましい。ビニルスルホン基を形成する反応基とは、スルファトエチルスルホン基など、脱離基で補語されているビニルスルホン基をいう。これらの染料は、市販されているものを適宜使用することができ、例えばSumifix Supra染料(住友化学(株)製)、Cibacron染料(チバスペシャリティケミカルズ(株)製)、Kayacion染料(日本化薬(株)製)、Basilen染料(三井BASF(株)製)などを使用することができる。
【0015】
本発明の染色方法における染液のpHは3〜8、好ましくは4〜7、より好ましくは4〜5.5に調整するのが染料利用率の向上又は吸尽率の向上の点で好ましい。pH3未満であると吸尽率は向上するが染色物の堅牢度が低下する。pH8を越えると吸尽率、利用率が低下して濃色が表現できず、また染料の利用率が小さく排水負荷や経済性の点で不利になる。pH調整には、酸または緩衝液を適宜調製できる。その際に使用する酸や塩等は特に限定されず、酸発生剤としては、酢酸、蟻酸、塩酸等を使用することができ、硫酸アンモニウム等のpHスライド剤も使用することができる。緩衝液としては、酢酸と酢酸ナトリウムにより調製されたもの等を使用することができる。また染料と水以外に何も添加しなくても、前記pHが達成されていれば、本発明の効果を達成することができる。
【0016】
本発明の染液は、前記構成物質の他、必要に応じて塩類、界面活性剤、均染剤、堅牢度向上剤、還元防止剤等を添加することができる。
【0017】
本発明では浸染、捺染、パディング染色等種々公知の染色方法に使用することができ、浸染の場合は、60℃以上、好ましくは90℃〜130℃で処理し、捺染およびパディング染色では、まず色糊として、本発明の反応染料と糊剤等をpH3〜8、好ましくは4〜5、さらに好ましくは4〜5.5に調整して付与した後に80〜130℃で10〜30分程度、飽和または加熱蒸気による湿熱処理、感熱処理またはマイクロ波照射する。また浸染染色する場合、アルカリ性でビニルスルホン基を形成する反応基を少なくとも1つ以上有する染料を使用する際には、ポリアミド繊維構造物を染液に投入する前に予め該染料と助剤、水を混合した後、pH8〜13に調整し、70〜100℃で約5〜20分加熱して、ビニルスルホン基を形成させた後、染液をpH3〜8に戻してポリアミド系繊維構造物を投入し染色してもよい。
【0018】
これらの方法により染色物の十分な発色性、堅牢性を得ることができるが、さらに染色物の堅牢性を向上させる必要がある場合には、染色後に60℃以上でpHが8〜13にシフトするpHスライド剤および弱アルカリ発生剤から選ばれた少なくとも1種を付与し、ついで湿熱処理を行うことができる。染料濃度が10%owf以上の濃色を必要とする場合に特に好ましい方法である。pHスライド剤は特に限定されず、例えばトリクロロ酢酸ナトリウム等や市販されているpHスライド剤(例えばカヤスライド509(日本化薬(株)製)等を適宜使用することができる。また弱アルカリ発生剤も特に限定されず、例えば炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等を使用することができる。付与するにはパッド法、コーティング法、スプレー法等の通常の技術を採用することができる。この処理液は、付与時には堅牢度を悪化させないようにpH3以上であることが好ましく、濃色化するためにpH12以下であることが好ましい。より好ましくはpH4〜9に調整する。かかるpHスライド剤および弱アルカリ発生剤を付与する際には、無機塩類および/又はアニオン性界面活性剤を併用すると効果はさらに向上する。かかる薬剤は、pHスライド剤および/又は弱アルカリ発生剤とともに同時に付与するか、別の工程に分けて付与してもよい。かかる薬剤の付与にはパッド法、コーティング法、スプレー法等の通常の技術を使用することができる。
【0019】
本発明に使用する無機塩類としては、例えば硫酸ナトリウムや塩化ナトリウム等を使用することができる。またアニオン性界面活性剤としては、特にスルホコハク酸ジエステル型のアニオン性界面活性剤は効果がより高いといった点でより好ましく使用される。スルホコハク酸ジエステル型のアニオン性界面活性剤としては、例えばスルホコハク酸ジ−2−エチルヘキシルエステルナトリウム、スルホコハク酸ジ−1−メチルヘプチルエステルナトリウム、スルホコハク酸ジ−1−メチル−4−エチルヘキシルエステルナトリウム、スルホコハク酸ジ−n−オクチルエステルナトリウム、スルホコハク酸ジ−n−ヘプチルエステルナトリウムなどを使用することができる。これらのものをpHスライド剤およびアルカリ性発生剤と併用することにより、染色物の発色性を向上させることができる。
【0020】
かかる無機塩又はアニオン性界面活性剤の付与量は、所望の濃度を得るのに必要な分を適宜調製することができる。付与量は好ましくは0.5%〜20%owf、さらに好ましくは1〜10%owf付与する。付与量が多すぎても少なすぎても効果は半減するため、前記範囲内で付与することが好ましい。
【0021】
本発明の染色方法では、染色後または上記湿熱処理の後にフィックス処理および/又はソーピングを行うことができる。フィックス剤は通常のものを使用することができ、極細繊維の場合フィックス剤を通常より多くし例えば5%owf以上とすることが湿潤堅牢性の点で好ましい。布帛の風合いを良好に保つ観点から高々20%owfまでとするのが好ましい。フィックス剤を付与するには、例えばタンニン酸と吐酒石の2段処理、合成タンニン酸の1浴処理等を使用することができる。
【0022】
また、本発明でいうソーピング処理とは、染色後に未固着染料あるいは弱い結合力で染着している脱落しやすい染料を取り除く処理のことをいい、一部の未固着染料や弱い結合力で染着している染料を繊維内に封じ込めるフィックス処理とは異なるものである。この方法であるとフィックス処理による風合いの硬化、色相の変化等がないため好ましい。かかるソーピング処理は、pH8〜12、さらに好ましくはpH10〜12で行うことが、より未固着染料を除去でき堅牢度が向上する効果を奏する。上記pHによって調整された液に従来公知の界面活性剤等を適宜添加する。界面活性剤としては特に限定されず、例えばアニオン性界面活性剤、ノニオン性解面活性剤、又はその配合品などを用いることができる。
【0023】
本発明により得られる染色布帛は、染料が繊維に強固に染着反応しているため、例えばピリジン20%水溶液等で100℃において連続的に6時間程度処理しても、繊維構造物の色が残るものである。従来の酸性染料で染色された物にこういった処理をした場合、大部分の染料が脱落してわずかに色が確認される程度かあるいは染色前の状態になる。
【0024】
また本発明のかかる方法によって染色された極細ポリアミド系繊維構造物からなる染色物は、JIS L−0844に定められる洗濯堅牢度が3級以上で、かつ、JISJIS L−0842に定められる耐光堅牢度が3級以上であり、鮮明且つ発色性、湿潤堅牢性の優れるもので、特に衣料用途に好ましく用いることができる。
【0025】
【実施例】
実施例中に記載の%はすべて重量%を表し、%owfは布帛重量に対する染料あるいは助剤等の重量%を表す。いずれの実施例も下記布帛および染色条件、フィックス条件、ソーピング条件を使用した。
【0026】
【0027】
得られた染色布帛について色の鮮明性、発色性を◎、○、△、×で評価した。また洗濯堅牢度はJIS L−0844 A−2法により行い9ファイバーにて汚染を評価し、耐光堅牢度はJIS L−0842により評価した。
【0028】
実施例1
布帛a,b、c、dを用い、スルファトエチルスルホン基とモノクロロトリアジン基を有する染料( SumifixSupra Blue BRF 住友化学(株)製) を用いて染色方法1により染色した。ついでソーピング処理を行い染色布帛1(a)、2(b)、3(c)、4(d)を得た。得られた布帛の発色性、洗濯堅牢性、耐光堅牢性を評価し、結果を表1に示した。
【0029】
実施例2
布帛aを用い、ビニルスルホン基とモノフルオロトリアジン基を有する染料( Cibacron Blue FN−R チバスペシャリティケミカルズ(株)製) を用いて染色方法1により染色した。ついでソーピングを行い染色布帛5を得た。得られた布帛の発色性、洗濯堅牢性、耐光性を評価し、結果を表1に示した。
【0030】
実施例3
布帛aを用い、スルファトエチルスルホン基とモノクロロトリアジン基を有する染料( SumifixSupra Blue BRF 住友化学(株)製) を用いて染色方法1により染色した。ついでトリクロロ酢酸ナトリウムの50g/L水溶液をパッド法にてピックアップ率65%で絞り、常圧スチーマーを用い102℃で20分処理した。さらにソーピング処理を行って染色布帛6を得た。得られた布帛の発色性、洗濯堅牢性、耐光性を評価し、結果を表1に示した。
【0031】
実施例4
布帛aを用い、スルファトエチルスルホン基とモノクロロトリアジン基を有する染料( SumifixSupra Blue BRF 住友化学(株)製) を用いて染色方法1により染色した。ついでトリクロロ酢酸ナトリウムの50g/L水溶液、硫酸ナトリウムの50g/L水溶液をパッド法にてピックアップ率65%で絞り、常圧スチーマーを用い102℃で20分処理した。さらにソーピング処理を行って染色布帛7を得た。得られた布帛の発色性、洗濯堅牢性、耐光性を評価し、結果を表1に示した。
【0032】
実施例5
布帛aを用い、スルファトエチルスルホン基とモノクロロトリアジン基を有する染料( SumifixSupra Blue BRF 住友化学(株)製) を用いて染色方法1により染色した。ついでトリクロロ酢酸ナトリウム50g/L、スルホコハク酸ジ−2−エチルヘキシルエステルナトリウムの20g/L水溶液をパッド法にてピックアップ率65%で絞り、常圧スチーマーを用い102℃で20分処理した。さらにソーピング処理を行って染色布帛8を得た。得られた布帛の発色性、洗濯堅牢性、耐光性を評価し、結果を表1に示した。
【0033】
比較例1
布帛a,b、c、dを用い、ミリング酸性染料( Kayanol milling Ultra Sky SE 日本化薬(株)製) を用いて染色方法1により染色した。さらにフィックス処理を行って染色布帛9(a)、10(b)、11(c)、12(d)を得た。得られた布帛の発色性、洗濯堅牢性、耐光性を評価し、結果を表1に示した。
【0034】
比較例2
布帛a、b、cを用い、金属錯塩酸性染料(Irgalan Blue 3GL チバスペシャリティケミカルズ(株)製)を用いて染色方法1により染色した。ついでフィックス処理を行って染色布帛13(a)、14(b)、15(c)を得た。得られた布帛の発色性、洗濯堅牢性、耐光性を評価し、結果を表1に示した。
【0035】
この結果から本発明に係る染色布帛は、鮮明性、発色性、湿潤堅牢性に優れたものであることがわかる。また、単糸繊度2デニールでは酸性染料との有意差がなく、1デニール以下の繊維で従来の方法に比べ優れている。さらに、特に高アミノ末端基繊維を含む布帛に適用した場合は、堅牢性を維持しつつ発色性の向上が認められた。
【0036】
実施例6
布帛aを用い、スルファトエチルスルホン基とモノクロロトリアジン基を有する染料( SumifixSupra Blue BRF 住友化学(株)製) を用いて、染色方法2により染色した。ついでソーピング処理を行ない、染色布帛16を得た。得られた布帛の発色性、洗濯堅牢性、耐光性を評価し、結果を表2に示した。
【0037】
比較例3
布帛aを用い、ミリング酸性染料( Kayanol milling Ultra Sky SE 日本化薬(株)製) を用いて、染色方法2により染色した。さらにフィックス処理を行って染色布帛17を得た。得られた布帛の発色性、洗濯堅牢性、耐光性を評価し、結果を表2に示した。
【0038】
この結果から浸染の他にもパディング染色や捺染にも本発明の方法によって、湿潤堅牢度、耐光堅牢度とともに鮮明な色相を有する染色物を与えることがわかる。
【0039】
【表1】
【表2】
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば、十分な発色性と湿潤堅牢度を達成し、かつ、鮮明な色相を表現できる極細ポリアミド系繊維構造物を提供することができる。特に本発明より黒を主体とした濃色表現はもちろん鮮明色の濃色も可能となり、特に衣料分野において適した染色物を提供することができる。
Claims (9)
- 主として単糸繊度が0.0001〜0.5デニールであるポリアミド系繊維構造物を染色する際に、モノハロゲン化トリアジン基を含む反応染料を含むpH3〜8に調整した染液により染色し、ついで界面活性剤を用いpH8〜12でソーピング処理することを特徴とする極細ポリアミド系繊維構造物の染色方法。
- 染色後に更にフィックス処理を行うことを特徴とする請求項1記載の極細ポリアミド系繊維構造物の染色方法。
- 浸染法で染色後に60℃以上でpHが8〜13にシフトするpHスライド剤および弱アルカリ発生剤から選ばれた少なくとも1種をpH4〜9で、パッド法、コーティング法又はスプレー方法のいずれかの手段で付与し、ついで湿熱処理を行うことを特徴とする請求項1又は2記載の極細ポリアミド系繊維構造物の染色方法。
- 染色後に硫酸ナトリウム又は塩化ナトリウムを0.5〜20%owf付与し、ついで湿熱処理を行うことを特徴とする請求項3記載の極細ポリアミド系繊維構造物の染色方法。
- 染色後にアニオン性界面活性剤を0.5〜20%owf付与し、ついで湿熱処理を行うことを特徴とする請求項3又は4記載の極細ポリアミド系繊維構造物の染色方法。
- アニオン性界面活性剤が、スルホコハク酸ジエステル型の界面活性剤であることを特徴とする請求項5記載の極細ポリアミド繊維構造物の染色方法。
- 湿熱処理を行った後にさらに界面活性剤を用いpH8〜12でソーピング処理を施すことを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の極細ポリアミド系繊維構造物の染色方法。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の染色方法により得られる染色物。
- 主として単糸繊度が0.0001〜0.5デニールのポリアミド系繊維構造物が、モノハロゲン化トリアジン基を含む反応染料により染色されてなり、JIS L−0844に定められる洗濯堅牢度が3級以上で、かつ、JIS L−0842に定められる耐光堅牢度が3級以上であることを特徴とする極細ポリアミド系繊維染色物。
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