JP3994169B2 - ブランチライン型偏波分離器 - Google Patents
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Description
本発明はブランチライン型偏波分離器に関し、特に、確実に偏波分離を行うブランチライン型偏波分離器を簡易な製造方法で製造するための技術に関する。
導波管を利用した偏波分離器は種々開発されている。図8に、この偏波分離器の一種であるブランチライン型偏波分離器の例を示す。同図に示すように、ブランチライン型偏波分離器は、入出力ポートP10,P20を有する主導波管10と、入出力ポートP30,P40を有する副導波管20とを、複数の分岐導波管30で接続する構成をとっている。
導波管は、入力された電磁波の電界の振動方向(偏波方向)と直交する方向の管幅Lと、電磁波の周波数の周波数fとが、f<c/2L(cは光の速度)を満たす場合、入力された電磁波を通さないという性質を有している(f=c/2Lを満たす周波数は、遮断周波数と呼ばれる)。上記ブランチライン型偏波分離器はこの性質を利用したものである。入出力ポートP10から入力した電磁波は、分岐導波管30の管幅と上記遮断周波数との関係によって互いに直交する2つの直線偏波波に偏波分離され、それぞれ入出力ポートP20,P40から出力される。
なお、特許文献1には、このようなブランチライン型偏波分離器の構成例が記載されている。
また、特許文献2に示される偏波分離器も種々ある偏波分離器の一つである。特許文献2に記載の偏波分離器では、導波管に入力された電磁波を、ステップ型導波管による反射及び短絡棒による遮断によって、互いに直交する直交偏波波に偏波分離している。
特開平6−260802号公報
特開平7−58519号公報
ところで、上記ブランチライン型偏波分離器においては、入出力ポートP20から電磁波を得ようとすると、本来入出力ポートP40から出力されるべき直線偏波成分が残ってしまうという問題がある。このため、特許文献1の図1にも示されているように、確実に偏波分離を行うために、取り出したい直線偏波成分ごとに副導波管を設けていた。
しかしながら、このように取り出したい直線偏波成分ごとに副導波管を設けることによって、上記ブランチライン型偏波分離器の形状は極めて複雑なものとなってしまっており、平板部材上に一定幅の溝部を形成するという簡易な製造方法により製造することができなくなっていた。
本発明は上記課題に鑑みてなされたもので、その目的の一つは、確実に偏波分離を行うことができ、しかも簡易な製造方法によって製造可能なブランチライン型偏波分離器を提供することにある。
上記課題を解決するための本発明に係るブランチライン型偏波分離器は、平板部材の表面に一定幅の溝部を形成してなる主導波管であって、該溝部の一方端部が電磁波を入力する入力ポートであり、該溝部の他方端部が電磁波を出力する出力ポートである主導波管と、前記主導波管を構成する溝部から分岐するための接続面を有する溝部を、それぞれ前記平板部材上に形成してなる少なくとも1つの分岐導波管と、を含むブランチライン型偏波分離器において、前記分岐導波管を構成する溝部は、前記入力ポートに入力される電磁波のうち、該平板部材に対して水平方向に偏波した直線偏波成分のうちの少なくとも一部を通過させるよう形成され、前記主導波管を構成する溝部において、前記各分岐導波管が前記主導波管から分岐するための接続面のうち、少なくとも1つの前記分岐導波管に係る接続面よりも出力ポート側に、当該溝部の深さを当該溝部の他の部分よりも浅くして所定の深さとした部分を含む深さ変化部を設けた、ことを特徴とする。
本発明によれば、主導波管の入力ポートに所定の周波数の電磁波を入力した場合、分岐導波管側に抜けるべき水平方向に偏波した直線偏波成分は、主導波管の深さが浅くなることによって遮断される。このため、主導波管の出力ポートからは垂直方向に偏波した直線偏波成分のみが出力されるようになる。
また、上記ブランチライン型偏波分離器において、前記深さ変化部は、前記出力ポートに向けて徐々に前記溝部の深さを浅くすることにより、前記所定の深さに近づくように形成される、こととしてもよい。
特許文献2にも記載されているように、ステップ型導波管と呼ばれる導波管が知られている。ステップ型導波管は導波管の上記性質を利用した導波管であり、通過させたくない電磁波の周波数が上記遮断周波数以下となる管幅を形成することにより、このような電磁波を通過させないようにしている。
ただし、管幅を急激に狭くすると、通過させたい電磁波まで反射してしまい、損失が発生する。そこでステップ型導波管では、管幅が段階的に狭くなるようにして、通過させたい電磁波の反射が極小になるようにしている。なお、その管幅が滑らかに狭くなるようにしたテーパ型導波管も知られており、テーパ型導波管でもステップ型導波管の上記効果が得られる。本明細書では、ステップ型導波管とテーパ型導波管を総称して狭化導波管と称する。
本発明によれば、主導波管において、出力ポートに向けて徐々に溝部の深さを浅くしている。すなわち、深さ変化部の形状は上記狭化導波管となり、垂直方向に偏波した直線偏波成分の反射が極小になるようにできる。
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、各図は正確なスケールで描かれているものではなく、図面を見やすくするために誇張して描かれている部分がある。
[実施形態1]
図1は、本発明の実施形態1に係るブランチライン型偏波分離器Aの斜視図である。図2は、ブランチライン型偏波分離器Aの一部を構成する平板部材1aの正面図である。図3は、図2に示すIII−III線の断面図の模式図である。
図1は、本発明の実施形態1に係るブランチライン型偏波分離器Aの斜視図である。図2は、ブランチライン型偏波分離器Aの一部を構成する平板部材1aの正面図である。図3は、図2に示すIII−III線の断面図の模式図である。
図1に示すように、ブランチライン型偏波分離器Aは、直方体形状の平板部材1aと、直方体形状の平板部材2とから構成される。平板部材1aの一方面には溝部が形成されている。また、平板部材2の表面は平坦である。平板部材1aの溝部を形成した面と、平板部材2の平坦な表面と、を張り合わせることにより、平板部材1aに形成された溝部が導波管として機能する。この導波管は、例えば電波望遠鏡において受信される電波の導波管として使用されるものである。
平板部材1aの一方面に形成する溝部は、図2に示すように、溝部3aと溝部4と溝部5−n(nは1〜Nの整数。本実施形態では、N=31)とから構成されている。溝部3a及び溝部4は、平板部材1aの長手方向と平行に形成された溝部であり、平板部材1aの両端において開放されている。以下では、溝部3aの平板部材1aの一方端部における開放部分を入出力ポートP1と称し、溝部3aの平板部材1aの他方端部における開放部分を入出力ポートP2と称し、溝部4の平板部材1aの一方端部における開放部分を入出力ポートP3と称し、溝部4の平板部材1aの他方端部における開放部分を入出力ポートP4と称する。また、平板部材1aの長手方向であって、入出力ポートP1から入出力ポートP2に向かう方向をX方向、平板部材1aの長手方向に直交する方向であって、溝部を形成した面の法線方向をY方向、X方向及びY方向と直交する方向をZ方向と称する。
溝部3aは、入出力ポートP1側の一定長部分において、ブランチラインカプラ部6の一部を構成し、入出力ポートP2側の残りの部分において、狭化部7aを構成する。
溝部4は、入出力ポートP3側の一定長部分(溝部3aのうちブランチラインカプラ部6を構成する部分と同じ長さ)において、ブランチラインカプラ部6の一部を構成する。
溝部5−nは、溝部3aにより構成されるブランチラインカプラ部6の一部分と溝部4により構成されるブランチラインカプラ部6の一部分とを接続する溝により構成される。以下では、溝部5−nと溝部3aとの接続面を分岐入力ポート、溝部5−nと溝部4との接続面を分岐出力ポートと称する。溝部5−nもブランチラインカプラ部6の一部を構成している。なお、各溝部5−nは等間隔に配置されている。また、溝部5−nの数Nは奇数であることが望ましい。溝部5−nの数Nが偶数である場合には、後述するように入出力ポートP1から電磁波を入力した場合、入出力ポートP3に出力される電磁波の成分が大きくなるからである。
以下では、導波管を構成する溝部において、電磁波の進行方向の長さを管長、電磁波の進行方向と直交する方向の幅を管幅と称する。
ブランチライン型偏波分離器Aは、溝部3aのZ方向の管幅をLA、溝部4のZ方向の管幅をLB、各溝部5−nのZ方向の管長をLC、各溝部5−nのX方向の管幅をLD、溝部5−nの間隔(各溝部5−nのX方向中心線の間隔)をLE、ブランチライン型偏波分離器Aの設計中心周波数(ブランチライン型偏波分離器Aに入力されることが予定される電磁波の周波数)の電磁波の自由空間における波長及び管内波長を、それぞれλ0、λgとすると、LA<λ0<2LA、LB=LA/2、LC=λg/4、LE=λg/4となるよう構成される。
また、LDとLAは、下記の式(1)の関係を満たすよう構成される。図4は、式(1)に示す関係をグラフにより示した図である。同図及び式(1)に示すように、LDは、LA及び溝部5−nの数N(分岐導波管の本数N)に応じて決定される。
なお、これらの関係は絶対的なものではない。実際には、出力結果に応じた微調節により最適化することが望ましい。
図3に示すように、溝部3aは、狭化部7aにおいて、入出力ポートP2に向けて徐々にその深さが浅くなる(Y方向の管幅が狭くなる)ように構成されている。狭化部7aは、より具体的には、複数のステップ8−m(mは1〜Mの整数。本実施形態では、M=10)を有するステップ状に構成されている。この構成により、狭化部7aは、上記狭化導波管のうちのステップ型導波管として機能する。
ブランチライン型偏波分離器Aは、ブランチラインカプラ部6での溝部3aの深さ(Y方向の管幅)をLF、入出力ポートP2における溝部3aの深さをLGとすると、LF=LA、LG=LA/2となるよう構成される。なお、溝部4及び各溝部5−nの深さもLFとなっている。
各ステップ8−mは、ステップ面のX方向長さλg/4で等間隔に配置されている。また、各ステップ8−mのY方向の管幅は、式(2)により示される。なお、式(2)では、各ステップ8−mにおける溝部3aの深さLHmにより、各ステップ8−mの段高を示している。式(2)から分かるように、各ステップ8−mの段高(Y方向の管幅)は一定ではなく、mが大きくなるに従い徐々に段高の変化量が小さくなるよう構成される。
これらの関係も絶対的なものではなく、実際の出力結果に応じた微調節により最適化することが望ましい。
以下、入出力ポートP1から自由空間における波長λ0(LA<λ0<2LA)の電磁波Eを入力した場合のブランチライン型偏波分離器Aの作用について説明する。以下の説明では、溝部3aにより構成される導波管を主導波管、溝部4により構成される導波管を副導波管、溝部5−nにより構成される導波管を分岐導波管nと称する。
まず、入出力ポートP1から入力される上記電磁波Eの垂直偏波成分EV(入出力ポートP1への入力時においてY方向に偏波した偏波成分)に関する作用について説明する。
上述のように、導波管は、入力された電磁波の電界の振動方向(偏波方向)と直交する方向の管幅Lと、電磁波の周波数の周波数fとが、f<c/2L(cは光の速度)を満たす場合、入力された電磁波を通さないという性質を有している。この性質は、電磁波の周波数の波長λがλ>2Lを満たす場合、入力された電磁波を通さない、ということと等価である。
主導波管のブランチラインカプラ部6において、Y方向と直交する方向の管幅(Z方向の管幅)はLAであるので、主導波管のブランチラインカプラ部6は、その偏波方向がY方向である電磁波のうち、その波長λがλ>2LAを満たす電磁波を遮断する。この点、垂直偏波成分EVの偏波方向はY方向であり、その波長λ0はLA<λ0<2LAを満たすので、垂直偏波成分EVは主導波管のブランチラインカプラ部6を通過する。
一方、分岐導波管nのX方向の管幅はLDであるので、分岐導波管nは、その偏波方向がY方向である電磁波のうち、その波長λがλ>2LDを満たす電磁波を遮断する。この点、式(1)より2LD<LAであり、さらに垂直偏波成分EVの偏波方向はY方向であり、その波長λ0はLA<λ0<2LAを満たすので、垂直偏波成分EVは分岐導波管nを通過することはできず、その進路を曲げて分岐導波管nに分岐することはない。結果として、垂直偏波成分EVは主導波管のブランチラインカプラ部6を通過し、狭化部7aに入力される。
狭化部7aでは、主導波管のZ方向の管幅は変化しない。このため、垂直偏波成分EVは狭化部7aを通過し、入出力ポートP2に出力される。ただし実際には、狭化部7aにおいては、垂直偏波成分EVについても若干の反射が発生する。狭化部7aにおけるステップ数m、各ステップ8−mの間隔及び段高は、実験により、この反射が極小になるよう決定される。
次に、入出力ポートP1から入力される上記電磁波Eの水平偏波成分EH(入出力ポートP1への入力時においてZ方向に偏波した偏波成分)に関する作用について説明する。
主導波管のブランチラインカプラ部6において、Z方向と直交する方向の管幅(Y方向の管幅)はLAであるので、主導波管のブランチラインカプラ部6は、その偏波方向がZ方向である電磁波のうち、その波長λがλ>2LAを満たす電磁波を遮断する。この点、水平偏波成分EHの偏波方向はZ方向であり、その波長λ0はLA<λ0<2LAを満たすので、主導波管のブランチラインカプラ部6を通過する。
一方、分岐導波管nのY方向の管幅はLAであり、その偏波方向がX方向である電磁波のうち、その波長λがλ>2LAを満たす電磁波を遮断する。また、水平偏波成分EHが分岐導波管nに移動する場合、分岐導波管n内での偏波方向はX方向に変化し、その波長λ0はLA<λ0<2LAを満たす。このため、水平偏波成分EHは分岐導波管nを通過することができ、その進路を曲げて分岐導波管nに移動していく。そして、主導波管と複数の分岐導波管との接続面(分岐入力ポート)上を通過するうち、ほとんどの水平偏波成分EHは分岐導波管nに移動する。しかし、分岐導波管nに移動することなく、主導波管のブランチラインカプラ部6を通過し、狭化部7aに入力されるものも存在する。なお、分岐導波管の数nとそのx方向の管幅LDは、実験により、最も効率よく水平偏波成分EHが分岐導波管に移動するように決定される。
狭化部7aでは、主導波管のY方向の管幅は段階的に狭くなり、上述のように最終的にはLA/2となる。このため、いずれの分岐導波管nにも移動することなく主導波管のブランチライン部6を通過し、狭化部7aに入力される水平偏波成分EHは、狭化部7aにおいて遮断される。すなわち、水平偏波成分EHは狭化部7aにおいて反射され、最終的にはいずれかの分岐導波管nに移動していくこととなる。
入出力ポートP1から入力されて分岐導波管nに移動した水平偏波成分EHは、分岐出力ポートを通して副導波管に入力され、副導波管を通過して入出力ポートP4から出力される。一方、狭化部7aにおいて遮断・反射され、分岐導波管nに移動した微弱な水平偏波成分EHは、分岐出力ポートを通して副導波管に入力され、副導波管を通過して入出力ポートP3から出力される。入出力ポートP3には電波吸収体が備えられており、上記微弱な水平偏波成分EHは、この電波吸収体により吸収される。なお、上述のように、分岐導波管の本数Nを奇数とすれば、偶数とした場合に比べ、入出力ポートP3に出力される水平偏波成分EHを少なくすることができる。
以上説明したように、本実施形態では、入出力ポートP1に周波数fの電磁波を入力した場合、分岐導波管n側に抜けるべき水平方向に偏波した直線偏波成分(水平偏波成分EH)は、主導波管の深さが浅くなる狭化部7aにおいて遮断される。このため、入出力ポートP2からは垂直方向に偏波した直線偏波成分(垂直偏波成分EV)のみが出力されるようになる。また、入出力ポートP4からは水平偏波成分EHのみが出力されるようになる。このように、本実施形態では、確実な偏波分離を実現している。また、狭化部7aの形状を最適化することによって、垂直方向に偏波した直線偏波成分(垂直偏波成分EV)の反射が極小になるようにできる。
また、平板部材1aに形成される各溝部は、いずれもその幅が一定である。このため、これらの溝部は、例えばプレーナ(平削盤)によって平板部材上に一定幅の溝部を削り出し、該溝部を形成した平板部材を張り合わせる、という簡易な製造方法によって製造することが可能になる。狭化部7aを形成するためには、プレーナによって形成する溝部3aの深さのみを調節すれば足りる。また、半導体プロセスに類似した微細加工によって形成することも容易にできるようになる。
さらに、狭化部7aを設けたことによって、主導波管と副導波管からそれぞれ出力される電磁波のインピーダンスを合わせることができる。すなわち、波動のインピーダンスは電界成分の強さと磁界成分の強さの比で表される。これを導波管に当てはめると、該導波管を通過する電磁波の電界方向の管幅と磁界方向の管幅の比が該電磁波のインピーダンスとなる。本実施形態では、入出力ポートP2の形状は、入出力ポートP4を、X方向を回転軸として90°回転させた形状となっている。一方、入出力ポートP2から出力される電磁波(垂直偏波成分EV)と、入出力ポートP4から出力される電磁波(水平偏波成分EH)と、は互いにX方向を回転軸として90°回転させた方向に偏波した直線偏波波となっている。このため、入出力ポートP2から出力される電磁波のインピーダンスと、入出力ポートP4から出力される電磁波のインピーダンスと、が等しくなっている。
なお、分岐導波管の数N、分岐導波管のx方向の管幅LD、及び狭化部7aにおける各ステップ8−mの間隔及び段高を最適化することにより、広帯域に対応できる条件を見いだすことも可能である。
[実施形態2]
図5は、本発明の実施形態2に係るブランチライン型偏波分離器Bの斜視図である。図6は、ブランチライン型偏波分離器Bの一部を構成する平板部材1bの正面図である。図7は、図6に示すVII−VII線の断面図の模式図である。
図5は、本発明の実施形態2に係るブランチライン型偏波分離器Bの斜視図である。図6は、ブランチライン型偏波分離器Bの一部を構成する平板部材1bの正面図である。図7は、図6に示すVII−VII線の断面図の模式図である。
図5に示すように、ブランチライン型偏波分離器Bの構成はブランチライン型偏波分離器Aとほぼ同様であるが、平板部材1aに代えて平板部材1bを使用する点が異なっている。平板部材1bは、図6にも示すように、溝部3aに代えて溝部3bを設けた点が平板部材1aと異なっている。溝部3bは、狭化部7aに代えて狭化部7bを設けた点が溝部3aと異なっている。なお、この狭化部7bは、上記狭化導波管のうちのテーパ型導波管として機能する。
すなわち、図7に示すように、溝部3bは、狭化部7bにおいてテーパ状(スロープ状)に構成されている。本実施形態では、狭化部7bを構成するスロープの角度(スロープ角度)は一定であるとしている。
ブランチライン型偏波分離器Bの作用効果はブランチライン型偏波分離器Aの作用効果と同様であるが、狭化部7bがテーパ状であるので、電磁波の反射の態様が異なっている。狭化部7bの長さ及びスロープ角度を実験により最適化することにより、垂直偏波成分EVの反射を最小にすることが可能である。この最適化のひとつとして、スロープ角度が入出力ポートP2に向けて任意に変化する(例えば徐々に増大又は減少する)ようにすることも考えられる。
なお、本発明は上記各実施形態に限定されるものではない。例えば、上記各実施形態において平板部材2の表面は平坦であるとしていたが、平板部材2にも平板部材1同様に溝部を形成することとしてもよい。この場合、平板部材2の溝部と平板部材1の溝部の深さを、それぞれ上記各実施形態における溝部の半分の深さとすることが好適である。このようにすれば、平板部材2の溝部と平板部材1の溝部の両方に狭化部を設けることができるようになる。
また、ブランチライン型偏波分離器の各部のサイズ又は形状は、入力する電磁波の周波数に応じたものを選択することが好適である。具体的には、これらのサイズを以下の要件を満たすように決定することができる。
すなわち、各分岐導波管は、主導波管に入力される電磁波に、主導波管への入力時点において当該各分岐導波管の分岐入力ポートから分岐出力ポートに至る方向と平行な方向に偏波した直線偏波成分である水平偏波成分が含まれる場合に、該水平偏波成分を通過させる一方、主導波管に入力される電磁波に、当該各分岐導波管の入力ポートから出力ポートに至る方向と直交し、かつ主導波管の入力ポートから出力ポートに至る方向と直交する方向に偏波した直線偏波成分である垂直偏波成分が含まれる場合に、該垂直偏波成分の通過を遮断するように、そのサイズ又は形状が決定されればよい。また、主導波管に設ける狭化部(狭化導波管)は、少なくとも1つの分岐入力ポートよりも主導波管の出力ポート側に、他の部分よりも浅い所定の深さ部分を設けることによって、水平偏波成分の通過を遮断するように、そのサイズ又は形状が決定されればよい。
A,B ブランチライン型偏波分離器、1a,1b,2 平板部材、3a,3b,4,5 溝部、6 ブランチラインカプラ部、7a,7b 狭化部、8 ステップ、P1,P2,P3,P4 入出力ポート。
Claims (1)
- 第1の平板部材の表面に一定幅の溝部を形成して、第2の平板部材の平坦な表面を張り合わせてなる主導波管であって、該溝部の一方端部が電磁波を入力する入力ポートであり、該溝部の他方端部が電磁波を出力する出力ポートである主導波管と、
前記主導波管を構成する溝部から分岐するための接続面を有する溝部を、それぞれ前記第1の平板部材上に形成して、前記第2の平板部材の平坦な表面を張り合わせてなる少なくとも1つの分岐導波管と、
前記第1の平板部材の表面に一定幅の溝部を形成して、前記第2の平板部材の平坦な表面を張り合わせてなる前記主導波管と平行に延伸する副導波管であって、前記分岐導波管を構成する溝部により前記主導波管と接続される副導波管と、
を含むブランチライン型偏波分離器において、
前記分岐導波管を構成する溝部は、前記入力ポートに入力される電磁波のうち、該第1の平板部材に対して水平方向に偏波した直線偏波成分のうちの少なくとも一部を通過させるよう形成され、該通過した電磁波は、前記副導波管における前記出力ポート側の端部から出力され、
前記主導波管を構成する溝部において、前記各分岐導波管が前記主導波管から分岐するための接続面のうち、少なくとも1つの前記分岐導波管に係る接続面よりも出力ポート側に、前記出力ポートに向けて徐々に前記溝部の深さを浅くすることにより、前記所定の深さに近づくように形成される深さ変化部を設け、
前記副導波管における前記入力ポート側の端部には電波吸収体が備えられる、
ことを特徴とするブランチライン型偏波分離器。
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