JP3993782B2 - 車両用灯具の設計方法、設計システム、プログラム、及び記録媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車などの車両に用いられる車両用灯具の設計方法、設計システム、車両用灯具の設計をコンピュータに実行させるためのプログラム、及びプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車両用灯具においては、灯具としての(1)機能や性能に関する側面からの条件に加えて、自動車などの車両に取り付けた状態で使用されることから、(2)形状に関する側面からの条件(形状制約条件)、及び(3)外観に関する側面からの条件(外観制約条件)などの制約条件が課せられる。したがって、灯具の設計においては、与えられた形状面及び外観面からの制約条件を満たした上で、性能条件が最適化された灯具を実現することが求められる。
【0003】
性能面からの条件としては、車両用灯具の機能として灯具の種類に応じて要求される配光パターンなどの光学的性能や、構造的性能、熱的性能などによる条件がある。また、車体側からの制約条件については、形状制約条件としては、車体に設けられた灯具収納部の容積及び形状や、灯具のレンズ外面の他の車体部分との連続した形状、などによる条件がある。また、外観制約条件としては、他の車体部分の外観との調和や、車体のデザインなどによる条件がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
車両用灯具に対する形状制約条件や外観制約条件などの設計上の制約条件は、通常、その灯具が使用される車体の形状や外観のデザインなどに応じて、灯具毎に個別の設計条件として与えられる。したがって、このような灯具の設計においては、設計対象となる灯具に対して与えられた制約条件を考慮しつつ、かつ、灯具から出射される光についての光学的性能などの各性能について、車両用灯具としての必要な性能条件を満たすように灯具を設計する必要がある。
【0005】
このような車両用灯具の設計手順としては、例えば、一定の光均一性または光拡散性を有する配光パターンなどの必要とされる性能条件をある程度参照しながら、与えられた制約条件を満たすように灯具の構成や形状などを設計する。そして、設計された灯具について、配光パターンのシミュレーションなどを行って灯具の性能を評価する。この評価結果において、必要な性能条件を灯具が満たしていなければ、評価した灯具の構成や形状などの一部を変更するか、あるいは灯具の設計をやり直すなど、灯具を再度設計し直す。
【0006】
しかしながら、このような設計方法では、灯具に対して与えられた制約条件の内容や、灯具の設計または再設計の段階で用いられる具体的な手順などにより、灯具の設計効率が低下するという問題がある。例えば、車体側からの制約条件を満たすように設計された灯具の構成が、最初の段階で必要な性能条件を満たす構成から離れたものであった場合には、最終的に性能条件を満たす灯具を得るまでに再設計が多数回繰り返して行われることとなり、灯具の設計効率は大きく低下する。
【0007】
本発明は、以上の問題点を解決するためになされたものであり、車両用灯具として要求される性能条件と、灯具毎に与えられる制約条件とを含む設計条件を満たす灯具の設計効率を向上することが可能な車両用灯具の設計方法、設計システム、車両用灯具の設計をコンピュータに実行させるためのプログラム、及びプログラムを記録した記録媒体を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、本発明による車両用灯具の設計方法は、車両に用いられる灯具の設計をコンピュータを用いて行う設計方法であって、(1)車両用灯具として必要な性能条件を満たすように設計された設計済の灯具から選定された標準灯具に対して、標準灯具の構成についての構成データを少なくとも有する所定の統一されたデータ形式で作成された標準データがあらかじめ記憶装置に記憶された標準データベースを用意するとともに、(2)車両用灯具として要求される灯具の光学的性能条件及び灯具の構造的な強度を示す構造的性能条件を有する性能条件、及び形状面からの形状制約条件または外観面からの外観制約条件の少なくとも一方を有し灯具毎に与えられる制約条件を含む設計条件に基づいて、コンピュータが、標準データベースに記憶されている複数の標準データを表示手段に表示し、そのうちから一の標準データを設計者による入力手段からの入力内容に基づいて選択して、コンピュータが、選択した標準データを設計データとして設計データ格納部に格納し、設計データの必要なデータ部分について設計者による入力手段からの入力内容に基づいてコンピュータが更新を行って設計条件を満たす灯具データを作成し、標準データベースにおいて、標準データとして、構成データに加えて、標準灯具の性能についての性能データを有するデータ形式で作成されるとともに、性能データとして、灯具の光学的性能についての配光データ、及び灯具の構造的な強度を示す構造的性能についての構造解析データを含む標準データが記憶装置に記憶されていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明による車両用灯具の設計システムは、車両に用いられる灯具の設計を行う設計システムであって、(1)車両用灯具として必要な性能条件を満たすように設計された設計済の灯具から選定された標準灯具に対して、標準灯具の構成についての構成データを少なくとも有する所定の統一されたデータ形式で作成された標準データがあらかじめ記憶装置に記憶された標準データベースと、(2)車両用灯具として要求される灯具の光学的性能条件及び灯具の構造的な強度を示す構造的性能条件を有する性能条件、及び形状面からの形状制約条件または外観面からの外観制約条件の少なくとも一方を有し灯具毎に与えられる制約条件を含む設計条件に基づいて、標準データベースに記憶されている複数の標準データを表示手段に表示し、そのうちから一の標準データを入力手段からの入力内容に基づいて選択して、選択した標準データを設計データとして設計データ格納部に格納し、設計データの必要なデータ部分について入力手段からの入力内容に基づいて更新を行って設計条件を満たす灯具データを作成する灯具作成手段とを備え、標準データベースにおいて、標準データとして、構成データに加えて、標準灯具の性能についての性能データを有するデータ形式で作成されるとともに、性能データとして、灯具の光学的性能についての配光データ、及び灯具の構造的な強度を示す構造的性能についての構造解析データを含む標準データが記憶装置に記憶されていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明によるプログラムは、車両に用いられる灯具の設計をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、(1)車両用灯具として必要な性能条件を満たすように設計された設計済の灯具から選定された標準灯具に対して、標準灯具の構成についての構成データを少なくとも有する所定の統一されたデータ形式で作成された標準データがあらかじめ記憶装置に記憶された標準データベースを用い、(2)車両用灯具として要求される灯具の光学的性能条件及び灯具の構造的な強度を示す構造的性能条件を有する性能条件、及び形状面からの形状制約条件または外観面からの外観制約条件の少なくとも一方を有し灯具毎に与えられる制約条件を含む設計条件に基づいて、標準データベースに記憶されている複数の標準データを表示手段に表示し、そのうちから一の標準データを入力手段からの入力内容に基づいて選択して、選択した標準データを設計データとして設計データ格納部に格納し、設計データの必要なデータ部分について入力手段からの入力内容に基づいて更新を行って設計条件を満たす灯具データを作成する灯具作成処理をコンピュータに実行させ、標準データベースにおいて、標準データとして、構成データに加えて、標準灯具の性能についての性能データを有するデータ形式で作成されるとともに、性能データとして、灯具の光学的性能についての配光データ、及び灯具の構造的な強度を示す構造的性能についての構造解析データを含む標準データが記憶装置に記憶されていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明による記録媒体は、車両に用いられる灯具の設計をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体であって、(1)車両用灯具として必要な性能条件を満たすように設計された設計済の灯具から選定された標準灯具に対して、標準灯具の構成についての構成データを少なくとも有する所定の統一されたデータ形式で作成された標準データがあらかじめ記憶装置に記憶された標準データベースを用い、(2)車両用灯具として要求される灯具の光学的性能条件及び灯具の構造的な強度を示す構造的性能条件を有する性能条件、及び形状面からの形状制約条件または外観面からの外観制約条件の少なくとも一方を有し灯具毎に与えられる制約条件を含む設計条件に基づいて、標準データベースに記憶されている複数の標準データを表示手段に表示し、そのうちから一の標準データを入力手段からの入力内容に基づいて選択して、選択した標準データを設計データとして設計データ格納部に格納し、設計データの必要なデータ部分について入力手段からの入力内容に基づいて更新を行って設計条件を満たす灯具データを作成する灯具作成処理をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録し、標準データベースにおいて、標準データとして、構成データに加えて、標準灯具の性能についての性能データを有するデータ形式で作成されるとともに、性能データとして、灯具の光学的性能についての配光データ、及び灯具の構造的な強度を示す構造的性能についての構造解析データを含む標準データが記憶装置に記憶されていることを特徴とする。
【0012】
上記した車両用灯具の設計方法、設計システム、プログラム、及び記録媒体においては、車両用灯具の設計に関して、設計済の灯具のうちから設計の雛形として利用可能な標準灯具を選定する。そして、標準灯具に対応する灯具データである標準データが登録された標準データベースを用意しておき、この標準データを元データとして灯具データの作成を行っている。
【0013】
ここで、設計済の灯具から選定される標準灯具は、通常、車両用灯具として要求される配光パターンなどの性能条件を満たすように設計されている。したがって、標準灯具の灯具データをデータベース化しておき、灯具の設計の元データとして利用することにより、性能条件と制約条件とを含む設計条件を満たす灯具の設計効率を向上することが可能となる。
【0014】
また、標準データベースに登録される標準データについて、各標準灯具に対して統一されたデータ形式で灯具データを作成するとともに、それを設計データとして灯具の設計を行っている。これにより、標準データを元データとした灯具データの作成手順が簡単化される。また、このようなデータ形式の採用は、灯具の設計または製造などの各作業者間での灯具データの共有、あるいは、設計後における灯具データの利用の観点からも有用である。
【0015】
ここで、標準データは、構成データに加えて、標準灯具の性能についての性能データを有するデータ形式で作成されていることが好ましい。これにより、灯具の設計時において、設計データの元となっている標準灯具の性能を参照することができる。また、設計データの必要なデータ部分を更新した後に灯具の性能評価を行う場合には、標準データに構成データとともに用意されている性能データを利用して、効率的に性能評価を行うことができる。
【0016】
また、構成データは、標準灯具に用いられる部品についての部品データと、部品データにある部品の属性についての属性データとからなる階層型のデータ形式で作成されていることが好ましい。これにより、灯具に用いられる部品の材質などの属性も含め、標準灯具についての情報を灯具の設計時において充分に利用することが可能となる。また、このような属性データは、灯具の性能評価などにも利用することができる。
【0017】
また、設計システムは、車両用灯具がヘッドランプであるとともに、(3)表示手段は、標準データベースに記憶されている複数の標準データを、設計データの選択肢として、ヘッドランプの灯式によって分類された標準データに対応する標準灯具の画像によって表示することを特徴とする。
【0018】
また、プログラムは、車両用灯具がヘッドランプであるとともに、(3)標準データベースに記憶されている複数の標準データを、設計データの選択肢として、ヘッドランプの灯式によって分類された標準データに対応する標準灯具の画像によって表示手段に表示する表示処理をコンピュータにさらに実行させることを特徴とする。
【0019】
また、記録媒体は、車両用灯具がヘッドランプであるとともに、プログラムが、(3)標準データベースに記憶されている複数の標準データを、設計データの選択肢として、ヘッドランプの灯式によって分類された標準データに対応する標準灯具の画像によって表示手段に表示する表示処理をコンピュータにさらに実行させることを特徴とする。
【0020】
このように、設計画面の表示、及び灯具設計についての指示を行うことが可能な構成とすることにより、灯具の設計を行う設計者は、表示手段に表示される設計画面を参照して、効率的に灯具の設計を行うことができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面とともに本発明による車両用灯具の設計方法、設計システム、車両用灯具の設計をコンピュータに実行させるためのプログラム、及びプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0022】
図1は、本発明による車両用灯具の設計システムの一実施形態の構成を示すブロック図である。この車両用灯具設計システム1は、設計対象となる車両用灯具に対して与えられた設計条件に基づいて、灯具データを作成するための設計システムであり、データベース部2と、灯具作成部3と、入力部4と、表示部5とを備えて構成されている。
【0023】
データベース部2は、本設計システム1において灯具データの作成に利用されるデータが格納されたデータ格納部である。本実施形態においては、このデータベース部2には、標準データベース21と、技術データベース22との2種類のデータベースが用意されている。標準データベース21は、作成される灯具データの元データとして灯具の設計に利用される標準データが格納されたデータベースである。また、技術データベース22は、設計条件を満たす最終的な灯具データの作成手順において利用される技術データが格納されたデータベースである。
【0024】
灯具作成部3は、データベース部2に格納されているデータ等を利用し、設計者からの指示に基づき、あるいは自動処理により、灯具データの作成を行う。この灯具作成部3は、標準データ選択部31と、モーフィング制御部32と、設計データ格納部33とを有している。
【0025】
標準データ選択部31は、設計対象の灯具に対する設計条件に基づいて、標準データベース21に登録されている複数の標準データから、その灯具に好適な一の標準データを選択する。そして、選択された標準データによって、灯具データの作成に用いられる設計データを生成する。
【0026】
また、モーフィング制御部32は、生成された設計データに対し、必要に応じてデータのモーフィングを行う。具体的には、標準データから生成された設計データのうちの必要なデータ部分について、灯具の構成の変更や形状の変形などのデータの変更を行って、設計データの一部または全部を更新する。これにより、設計条件を満たす灯具データが作成される。
【0027】
また、標準データ選択部31において選択された標準データから生成された設計データ、及びモーフィング制御部32においてその一部または全部が更新された設計データは、設計データ格納部33に格納され、必要に応じて参照または更新される。
【0028】
与えられた設計条件に基づいて灯具データの作成を行う灯具作成部3に対し、灯具の設計を行う設計者と設計システム1の灯具作成部3との間で必要な情報のやり取りを行うため、入力部4と、表示部5とが設けられている。入力部4は、設計者が灯具作成部3に対して灯具の設計に関する情報を入力するための入力手段である。また、表示部5は、灯具作成部3から設計者に対して灯具の設計において参照する情報を表示するための表示手段である。
【0029】
具体的には、設計者は、灯具作成部3の標準データ選択部31に対し、標準データベース21に登録されている複数の標準データについて、設計データとする一の標準データの選択を、入力部4を介して指示することができる。このとき、入力部4は、標準データの選択指示手段として機能する。また、設計者は、灯具作成部3のモーフィング制御部32に対し、標準データから生成された設計データについて、設計データの必要なデータ部分の更新を、入力部4を介して指示することができる。このとき、入力部4は、設計データの更新指示手段として機能する。
【0030】
一方、表示部5は、灯具作成部3によって、設計者に対して必要な情報を示す設計画面を表示する表示手段として機能する。例えば、表示部5は、標準データの選択に関して、標準データベース21に登録されている複数の標準データを、設計データの選択肢として表示する。また、表示部5は、設計データの更新に関して、設計データの更新に必要な情報を表示する。
【0031】
また、本実施形態の設計システム1においては、上記した灯具作成部3に対して、灯具評価部6が設置されている。灯具評価部6は、灯具作成部3の標準データ選択部31において生成された設計データ、またはモーフィング制御部32においてデータの更新が行われた設計データなどの灯具データについて、設計者からの指示に基づき、あるいは自動処理により、設計対象の灯具に対して与えられた設計条件を満たしているかどうかなどについて灯具の評価を行う。
【0032】
図2は、図1に示した車両用灯具の設計システムに用いられるハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図1に示した設計システム1における標準データ選択部31での標準データの選択及び設計データの生成、モーフィング制御部32での設計データの更新、入力部4からの入力の受付、表示部5への表示の指示などのソフトウェア的処理機能、及び、本設計システム1によって行われる車両用灯具の設計方法における各ステップに対応する処理は、車両用灯具の設計をコンピュータに実行させるためのプログラムによって実現可能である。すなわち、これらのソフトウェア的処理機能は、例えば、図2に示すハードウェア構成において車両用灯具の設計用プログラムを実行することにより、CPU10によって行われる。
【0033】
CPU10には、設計システム1の処理動作に必要な各ソフトウェアプログラムなどが記憶されているROM11と、プログラム実行中に一時的にデータが記憶されるRAM12とが接続されている。また、このCPU10には、ハードディスクなどの外部記憶装置13が接続されている。この外部記憶装置13は、例えば、標準データベース21及び技術データベース22を含むデータベース部2に格納されるデータや、設計データ格納部33に格納される設計データなどの各データを記憶する記憶装置として用いられる。
【0034】
そして、これらのCPU10等に対して、図1の入力部4に対応する入力装置14と、表示部5に対応する表示装置15とが接続されて、本車両用灯具設計システム1が構成されている。入力装置14としては、例えば、マウスなどのポインティングデバイスやキーボードなどが用いられる。また、表示装置15としては、例えば、CRTディスプレイや液晶ディスプレイなどが用いられる。また、他の設計者等が用いている外部装置との間で灯具データ等のやり取りをする必要がある場合には、外部装置との接続のため、通信I/F16が設けられる。
【0035】
また、車両用灯具の設計の各処理をCPU10によって実行させるための上記した設計用プログラムは、コンピュータ読取可能な記録媒体に記録して頒布することが可能である。このような記録媒体には、例えば、ハードディスク及びフロッピーディスクなどの磁気媒体、CD−ROM及びDVD−ROMなどの光学媒体、フロプティカルディスクなどの磁気光学媒体、あるいは、プログラム命令を実行または格納するように特別に配置された、例えばRAM、ROM、及び半導体不揮発性メモリなどのハードウェアデバイスなどが含まれる。また、このような記録媒体からプログラム等を読み取る記録媒体読取用のドライブ(例えばフロッピーディスクドライブなど)をCPU10に対して接続しておいても良い。
【0036】
図3は、本発明による車両用灯具の設計方法の一実施形態を概略的に示すフローチャートである。以下、図1に示した設計システム1の構成を参照しつつ、車両用灯具の設計方法について説明する。
【0037】
まず、設計システム1において灯具データの作成に利用するデータとしてデータベース部2に用意されている標準データベース21及び技術データベース22について説明する。これらのデータベース21、22は、灯具の設計に先立ってあらかじめ作成されて、設計システム1のデータベース部2に格納されるものである。
【0038】
標準データベース21には、灯具の設計時において、作成される灯具データの元データとして利用することが可能な複数の標準データが格納されている。標準データベースの作成においては、既に設計され、あるいは製品化されている設計済の灯具について、その構成や形状、外観、性能、製造コストなどを検討する。そして、それらの設計済の灯具のうちから、灯具の設計の雛形として利用することが適当と思われる灯具を選定して、標準灯具とする(ステップS201)。
【0039】
次に、選定された標準灯具に対して、標準灯具の構成などについての設計上必要な情報を含む標準データを作成する(S202)。この標準データは、標準データベース21への登録用の灯具データとなる。また、標準データは、標準灯具の構成についての構成データを少なくとも有する所定のデータ形式によって作成される。なお、標準データベース21に登録される標準データのデータ形式については、具体的には後述する。
【0040】
一方、技術データベース22には、灯具の設計時において、灯具の構成の変更や部品の変更、形状の変形、材質の変更などを行って、設計データを更新するためのデータとして利用することが可能な技術データが格納されている。このような技術データとしては、例えば、灯具に使用することが可能な部品のデータや、灯具の各部の形状を変形するためのテンプレートなどがある(S301)。
【0041】
次に、標準データベース21及び技術データベース22に格納されているデータを利用した車両用灯具の設計方法について説明する。まず、顧客からの注文などにより、車両用灯具の設計が開始される(ステップS100)。このとき、設計対象となる灯具に対して、灯具が満たすべき条件である設計条件が与えられる(S101)。この設計条件には、性能条件と制約条件とが含まれる。
【0042】
性能条件は、車両用灯具として機能面、性能面から要求される条件である。具体的な性能条件としては、車両用灯具の機能として灯具の種類に応じて要求される配光パターン等の光学的性能や、灯具の構造的な強度等の構造的性能、灯具を点灯した状態での耐熱性等の熱的性能などによる条件がある。
【0043】
また、制約条件は、灯具毎の設計条件として車体側などから与えられる条件である。具体的な制約条件としては、形状面からの形状制約条件については、車体に設けられた灯具収納部の容積及び形状や、灯具のレンズ外面の他の車体部分との連続した形状などによる条件がある。また、外観面からの外観制約条件については、他の車体部分の外観との調和や、車体のデザインなどによる条件がある。
【0044】
これらの車両用灯具として要求される性能条件、及び灯具毎に与えられる制約条件を含む設計条件に基づいて、標準データベース21に登録されている複数の標準データのそれぞれについて検討し、それらの標準データから灯具の設計の元データとして用いる一の標準データを選択する(S102)。
【0045】
設計者は、表示部5に表示された設計画面の内容などを参照して、灯具データ作成の元データとして好適な標準データを標準データベース21から選択する。そして、灯具作成部3の標準データ選択部31に対し、入力部4を介して選択する標準データを指示する。標準データ選択部31は、入力部4からの入力内容に基づいて、指示された標準データを標準データベース21から読み出し、灯具データの作成に用いる設計データを生成して設計データ格納部33に格納する。
【0046】
次に、生成された設計データの構成及び性能と、設計条件とについて検討し、設計データに対して必要なデータ部分の更新を行って、設計条件を満たす灯具データを作成する(S103)。この設計データの更新に関し、図1に示した設計システム1においては、データベース部2において、標準データベース21と合わせて、技術データベース22が用意されている。
【0047】
設計者は、表示部5に表示された設計画面の内容や、設計対象の灯具に対する設計条件などを参照し、必要に応じて技術データベース22に格納されている技術データを利用して、灯具作成部3のモーフィング制御部32に対し、入力部4を介して設計データの更新を指示する。モーフィング制御部32は、入力部4からの入力内容に基づいて、指示された技術データを技術データベース22から読み出してデータのモーフィングを行い、必要なデータ部分について設計データを更新して設計データ格納部33に格納する。
【0048】
続いて、灯具作成部3において標準データの選択、設計データの生成、及び更新を行って作成された灯具データについて、灯具評価部6において、灯具の性能などを評価する(S104)。そして、得られた評価結果により、作成された灯具データによる灯具が、その灯具に対して与えられている設計条件を満たしているかどうかを判断する(S105)。設計条件を満たしていれば、その時点での設計データを最終的な灯具データとして、灯具の設計を終了する(S106)。一方、設計条件を満たしていなければ、設計データの更新などの設計手順を繰り返して行う。
【0049】
上述した実施形態による車両用灯具の設計方法、設計システム、プログラム、及び記録媒体の効果について説明する。
【0050】
図1及び図3に示した車両用灯具の設計システム1、設計方法、及びそれらに用いられるプログラム、記録媒体においては、車両用灯具の設計に関して、設計済の灯具のうちから設計の雛形として利用可能な標準灯具を選定する。そして、標準灯具に対応する灯具データである標準データが登録された標準データベース21をデータベース部2に用意しておき、この標準データを元データとして、灯具作成部3において灯具データの作成を行っている。
【0051】
ここで、設計済の灯具から選定される標準灯具は、通常、車両用灯具として要求される配光パターンなどの性能条件を満たすように設計されている。したがって、標準灯具の灯具データを標準データベース21にデータベース化し、灯具の設計の元データとして利用することにより、性能条件と制約条件とを含む設計条件を満たす灯具の設計効率を向上することが可能となる。
【0052】
また、標準データベース21に登録される標準データについて、各標準灯具に対して統一されたデータ形式で灯具データを作成するとともに、それを設計データとして灯具の設計を行っている。これにより、灯具の雛形として選択した標準灯具の種類にかかわらず、同様の手順で設計データの確認及び更新等を行うことができるので、標準データを元データとした灯具データの作成手順が簡単化される。
【0053】
また、このようなデータ形式の採用は、灯具の設計または製造などの各作業者間での灯具データの共有、あるいは、設計後における灯具データの利用の観点からも有用である。例えば、設計済または設計中の灯具に対応する灯具データを統一されたデータ形式によって作成することにより、各作業者による灯具データの参照や利用などが可能となる。
【0054】
また、図1に示した設計システム1では、灯具作成部3に対し、標準データベース21に登録されている複数の標準データを示す設計画面を表示する表示手段などとして機能する表示部5と、複数の標準データから一の標準データの選択を指示する選択指示手段などとして機能する入力部4とが設置されている。このような入力部4及び表示部5を設けることにより、灯具の設計を行う設計者は、表示部5に表示される設計画面を参照して、効率的に標準データの選択などの設計手順を行うことができる。
【0055】
図1に示した車両用灯具設計システム1での標準データベース21に登録される灯具の標準データについて具体的に説明する。図4は、図1に示した車両用灯具の設計システムにおいて、標準データベースに登録される標準データのデータ形式の一例を示す模式図である。
【0056】
標準データベース21には、図4に示すように、それぞれ灯具データ作成の元データとして利用することが可能な複数の標準データDSが登録されている。これらの標準データDSは、設計済の灯具から選定された標準灯具に対応するデータとして所定のデータ形式によって作成された灯具データからなる。
【0057】
図4の例に示すデータ形式においては、標準データDSの灯具データは、灯具の製品自体についてのデータである製品データDS0からなる。また、この製品データDS0は、灯具の構成についての構成データDS1と、灯具の性能についての性能データDS2と、灯具の製造時における製造コストについてのコストデータDS3との3つのデータを有して構成されている。
【0058】
図5は、図4に示した標準データにおける構成データのデータ形式の一例について、その一部を示す模式図である。構成データDS1は、標準灯具に用いられる部品についての必要なデータを含む部品データ部DS1aと、部品データ部DS1aにある部品の属性についての必要なデータを含む属性データ部DS1bとからなる階層型のデータ形式によって作成されている。
【0059】
図5に示す例においては、部品データ部DS1aは、灯具の本体(ボディ)部分の部品構成についてのボディアセンブリデータDS11と、反射鏡(リフレクタ)部分の部品構成についてのリフレクタアセンブリデータDS12と、インナーレンズまたはアウターレンズなどのレンズ部分の部品構成についてのレンズアセンブリデータDS13と、光源バルブの部品についてのバルブデータDS14と、後方のカバー部分の部品構成についてのバックカバーアセンブリデータDS15とを有する。
【0060】
また、これらの部品データDS11〜DS15のうち、部品自体のデータではなく部品構成のデータとなっている部品データについては、それぞれ、その下位データとしてさらに部品データが存在する。図5においては、例えば、ボディアセンブリデータDS11は、その下位の部品データとして、ボディデータDS11aと、カバーチューブデータDS11bと、アジャスティングスクリューデータDS11cとを有する。また、リフレクタアセンブリデータDS12は、リフレクタデータDS12aと、シェードデータDS12bとを有する。
【0061】
部品データ部DS1aに含まれるこれらの部品データに対し、属性データ部DS1bには、各部品データでの部品の属性についての属性データが用意されている。
【0062】
例えば、属性データ部DS1bにある属性データのうちで、部品データ部DS1aでのボディアセンブリデータDS11に対する下位データとなっている属性データについてみると、ボディを構成する部品データであるボディデータDS11a、カバーチューブデータDS11b、及びアジャスティングスクリューデータDS11cのそれぞれに対し、その属性である部品の材質についての材質データDS11d、DS11h、及びDS11iが用意されている。
【0063】
また、ボディデータDS11aについては、材質データDS11dに加えて、その下位の属性データとして、構造解析データDS11e、熱解析データDS11f、及びその他のデータDS11gが用意されている。また、ボディアセンブリデータDS11以外の各部品データDS12〜DS15についても、同様に、必要な属性データが属性データ部DS1bに用意されている。
【0064】
図6は、図4に示した標準データにおける性能データのデータ形式の一例について、その一部を示す模式図である。
【0065】
図6に示す例においては、性能データDS2は、出射される光の配光パターンなどの灯具の光学的性能についての配光データDS21と、灯具の構造的な強度などの構造的性能についての構造解析データDS22と、灯具の熱的な耐性などの熱的性能についての熱解析データDS23と、灯具についてのチェック内容などを示すチェック項目DS24とを有する。
【0066】
また、これらの性能データに対し、各性能データに関する具体的なデータが下位データとして用意されている。
【0067】
例えば、配光データDS21に対しては、その下位の性能データとして、光度データDS21a、路面CG画像データDS21b、ランプ設定データDS21c、及び立体角データDS21dが用意されている。また、構造解析データDS22に対しては、形状データDS22a、解析パラメータデータDS22b、及び解析結果データDS22cが用意されている。また、熱解析データDS23に対しては、形状データDS23a、解析パラメータデータDS23b、及び解析結果データDS23cが用意されている。
【0068】
図4〜図6に示したデータ例においては、標準データDSは、灯具の構成についての構成データDS1に加えて、灯具の性能についての性能データDS2を有するデータ形式によって作成されている。これにより、灯具の設計時において、設計データの元となっている標準灯具の性能を参照することができる。
【0069】
また、設計データの必要なデータ部分を更新した後に灯具の性能評価を行う場合には、標準データDSに構成データDS1とともに用意されている性能データDS2を利用して、効率的に性能評価を行うことができる。例えば、図6に示した性能データDS2では、構造解析データDS22、熱解析データDS23について用意された形状データDS22a、DS23a、あるいは解析パラメータデータDS22b、DS23bなどの性能データを、灯具の設計時の性能評価において利用することができる。
【0070】
また、標準データDSの構成データDS1は、図5に示したように、灯具に用いられる部品についての部品データを有する部品データ部DS1aと、部品の属性についての属性データを有する属性データ部DS1bとからなる階層型のデータ形式によって作成されている。これにより、灯具に用いられる部品の材質などの属性も含め、標準灯具についての情報を灯具の設計時において充分に利用することが可能となる。
【0071】
また、このような属性データは、灯具の性能評価などにも利用することができる。例えば、図5に示した構成データDS1において、ボディデータDS11aについて用意された構造解析データDS11e及び熱解析データDS11fは、性能データDS2において用意された構造解析データDS22及び熱解析データDS23と合わせて、灯具の構造解析及び熱解析に利用することができる。構造データDS1の構造解析データDS11eとしては、例えば、比重、引張強度、曲げ強度などが用意される。また、熱解析データDS11fとしては、例えば、熱伝導率、比熱、体積膨張率などが用意される。
【0072】
なお、図4〜図6に示した標準データDSのデータ形式は、標準データベース21から選択された標準データによって生成され、必要に応じて更新される設計データにおいても、同様に用いられるデータ形式である。例えば、設計データの更新においては、標準データDSに含まれている各データのうちで必要なデータ部分を変更することによって、設計データを更新することができる。
【0073】
次に、図1に示した車両用灯具設計システム1において表示部5に表示される設計画面について説明する。
【0074】
図1に示した設計システム1では、灯具の設計を行う設計者に対し、灯具の設計に関する情報を入力するための入力手段である入力部4と、灯具の設計において参照する情報を表示するための表示手段である表示部5とが設置されている。設計者は、これらの入力部4及び表示部5を介して灯具作成部3との間で情報をやり取りしつつ、灯具データの作成を行うことができる。
【0075】
例えば、車両用灯具の設計手順においては、図3のフローチャートに示したように、設計者は、設計対象の灯具に対して与えられた設計条件を参照し、標準データベース21に登録されている複数の標準データから灯具の設計の元データとして用いる標準データを選択する。このとき、設計システム1の表示部5において、標準データベース21に登録されている複数の標準データを設計データの選択肢として表示する設計画面を表示すれば、設計者は、設計画面の表示内容を参照して、効率的に標準データの選択を行うことができる。
【0076】
図7は、標準データの選択のために表示部5に表示される設計画面の一例を示す図である。この設計画面51は、車両用灯具としてヘッドランプの設計を行う際に表示される標準データの選択画面を示している。
【0077】
この設計画面51では、画面51の横方向は、ヘッドランプの灯式により、4灯式欄511と、2灯式欄512とに区分されている。また、画面51の縦方向は、ヘッドランプのパターン形状により、異形系欄513と、横長角系欄514と、丸系欄515と、縦長角系欄516とに区分されている。そして、これらの灯式及びパターン形状によって分類された標準データに対応する標準灯具の画像が、項目欄510のそれぞれに表示されている。設計者は、設計画面51の表示内容を参照し、項目欄510のそれぞれに示されている標準データから、設計に用いる標準データを選択することができる。
【0078】
図8は、標準データの選択のために表示部5に表示される設計画面の他の例を示す図である。この設計画面52は、図7と同様に、ヘッドランプの設計を行う際に表示される標準データの選択画面を示している。
【0079】
この設計画面52では、画面52の縦方向が複数の欄に区分され、それぞれの欄が標準データを表示する項目欄520となっている。また、それぞれの項目欄520には、灯式表示欄521、パターン表示欄522、及び画像表示欄523などの表示欄が設けられている。設計者は、設計画面52の表示内容を参照し、項目欄520のそれぞれに示されている標準データから、設計に用いる標準データを選択指示欄525によって選択することができる。
【0080】
また、車両用灯具の設計手順においては、上述の標準データの選択以外にも、図3のフローチャートに示したように、設計者は、与えられた設計条件を参照して、選択された標準データから生成された設計データについて確認し、必要に応じて設計データの一部または全部を更新する。このとき、設計システム1の表示部5において、灯具の設計の各時点での設計データの内容を表示する設計画面を表示すれば、設計者は、設計画面の表示内容を参照して、効率的に設計データの確認及び更新を行うことができる。
【0081】
図9は、設計データの確認または更新のために表示部5に表示される設計画面の一例を示す図である。
【0082】
この設計画面53では、その左側がデータ表示部530、右側が画像表示部535となっている。データ表示部530には、図4〜図6に示したデータ形式を有する設計データの内容が、その階層構造とともに表示されている。また、画像表示部535には、設計データに対応する灯具の構造を示す画像が表示されている。
【0083】
図9に示す例においては、画像表示部535には、構成データDS1(図5参照)でのボディアセンブリデータDS11に対応するボディアセンブリ536、リフレクタアセンブリデータDS12に対応するリフレクタアセンブリ537、レンズアセンブリデータDS13に対応するレンズアセンブリ538、及びバックカバーアセンブリデータDS15に対応するバックカバーアセンブリ540が表示されている。
【0084】
このような設計画面53によれば、設計者は、設計画面53の表示内容を参照し、データ表示部530及び画像表示部535のそれぞれに示されているデータから、灯具の設計の各時点での設計データの内容を確認し、あるいは必要なデータ部分の更新を指示することができる。
【0085】
本発明による車両用灯具の設計方法、設計システム、車両用灯具の設計をコンピュータに実行させるためのプログラム、及びプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体は、上述した実施形態に限られるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、図1に示した設計システム1において、設計システム内では灯具の性能評価等を行う必要がない場合には、灯具評価部6を設けない構成としても良い。
【0086】
また、標準データベース21での灯具の標準データのデータ形式については、図4〜図6に示したデータ形式はその一例を示すものであり、これ以外のデータ形式を用いても良い。例えば、構成データから灯具の性能を容易に導出できるような場合には、性能データを設けないデータ形式としても良い。
【0087】
【発明の効果】
本発明による車両用灯具の設計方法、設計システム、車両用灯具の設計をコンピュータに実行させるためのプログラム、及びプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体は、以上詳細に説明したように、次のような効果を得る。すなわち、選定された標準灯具に対応した標準データが登録された標準データベースを用意しておき、標準データベースから一の標準データを選択して設計データを生成するとともに、設計データの必要なデータ部分を更新して設計条件を満たす灯具データを作成する設計方法及び設計システム等によれば、車両用灯具として要求される性能条件と、灯具毎に与えられる制約条件とを含む設計条件を満たす灯具の設計効率を向上することが可能な車両用灯具の設計方法、及び設計システム等が実現される。
【図面の簡単な説明】
【図1】車両用灯具の設計システムの一実施形態の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示した車両用灯具の設計システムに用いられるハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図3】車両用灯具の設計方法の一実施形態を概略的に示すフローチャートである。
【図4】図1に示した車両用灯具の設計システムにおいて標準データベースに登録される標準データのデータ形式の一例を示す模式図である。
【図5】図4に示した標準データにおける構成データのデータ形式の一例を示す模式図である。
【図6】図4に示した標準データにおける性能データのデータ形式の一例を示す模式図である。
【図7】標準データの選択のための設計画面の一例を示す図である。
【図8】標準データの選択のための設計画面の他の例を示す図である。
【図9】設計データの確認または更新のための設計画面の一例を示す図である。
【符号の説明】
1…車両用灯具設計システム、10…CPU、11…ROM、12…RAM、
13…外部記憶装置、14…入力装置、15…表示装置、16…通信I/F、
2…データベース部、21…標準データベース、22…技術データベース、3…灯具作成部、31…標準データ選択部、32…モーフィング制御部、33…設計データ格納部、4…入力部、5…表示部、6…灯具評価部。
Claims (11)
- 車両に用いられる灯具の設計をコンピュータを用いて行う設計方法であって、
車両用灯具として必要な性能条件を満たすように設計された設計済の灯具から選定された標準灯具に対して、前記標準灯具の構成についての構成データを少なくとも有する所定の統一されたデータ形式で作成された標準データがあらかじめ記憶装置に記憶された標準データベースを用意するとともに、
車両用灯具として要求される灯具の光学的性能条件及び灯具の構造的な強度を示す構造的性能条件を有する性能条件、及び形状面からの形状制約条件または外観面からの外観制約条件の少なくとも一方を有し灯具毎に与えられる制約条件を含む設計条件に基づいて、コンピュータが、前記標準データベースに記憶されている複数の前記標準データを表示手段に表示し、そのうちから一の標準データを設計者による入力手段からの入力内容に基づいて選択して、コンピュータが、選択した前記標準データを設計データとして設計データ格納部に格納し、前記設計データの必要なデータ部分について設計者による入力手段からの入力内容に基づいてコンピュータが更新を行って前記設計条件を満たす灯具データを作成し、
前記標準データベースにおいて、前記標準データとして、前記構成データに加えて、前記標準灯具の性能についての性能データを有する前記データ形式で作成されるとともに、前記性能データとして、灯具の光学的性能についての配光データ、及び灯具の構造的な強度を示す構造的性能についての構造解析データを含む前記標準データが前記記憶装置に記憶されていることを特徴とする車両用灯具の設計方法。 - 前記標準データベースにおいて、前記標準データとして、前記構成データが、前記標準灯具に用いられる部品についての部品データと、前記部品データにある部品の属性についての属性データとからなる階層型のデータ形式で作成された前記標準データが前記記憶装置に記憶されていることを特徴とする請求項1記載の車両用灯具の設計方法。
- 車両に用いられる灯具の設計を行う設計システムであって、
車両用灯具として必要な性能条件を満たすように設計された設計済の灯具から選定された標準灯具に対して、前記標準灯具の構成についての構成データを少なくとも有する所定の統一されたデータ形式で作成された標準データがあらかじめ記憶装置に記憶された標準データベースと、
車両用灯具として要求される灯具の光学的性能条件及び灯具の構造的な強度を示す構造的性能条件を有する性能条件、及び形状面からの形状制約条件または外観面からの外観制約条件の少なくとも一方を有し灯具毎に与えられる制約条件を含む設計条件に基づいて、前記標準データベースに記憶されている複数の前記標準データを表示手段に表示し、そのうちから一の標準データを入力手段からの入力内容に基づいて選択して、選択した前記標準データを設計データとして設計データ格納部に格納し、前記設計データの必要なデータ部分について入力手段からの入力内容に基づいて更新を行って前記設計条件を満たす灯具データを作成する灯具作成手段とを備え、
前記標準データベースにおいて、前記標準データとして、前記構成データに加えて、前記標準灯具の性能についての性能データを有する前記データ形式で作成されるとともに、前記性能データとして、灯具の光学的性能についての配光データ、及び灯具の構造的な強度を示す構造的性能についての構造解析データを含む前記標準データが前記記憶装置に記憶されていることを特徴とする車両用灯具の設計システム。 - 前記車両用灯具はヘッドランプであるとともに、
前記表示手段は、前記標準データベースに記憶されている複数の前記標準データを、前記設計データの選択肢として、前記ヘッドランプの灯式によって分類された前記標準データに対応する前記標準灯具の画像によって表示する
ことを特徴とする請求項3記載の車両用灯具の設計システム。 - 前記標準データベースにおいて、前記標準データとして、前記構成データが、前記標準灯具に用いられる部品についての部品データと、前記部品データにある部品の属性についての属性データとからなる階層型のデータ形式で作成された前記標準データが前記記憶装置に記憶されていることを特徴とする請求項3または4記載の車両用灯具の設計システム。
- 車両に用いられる灯具の設計をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
車両用灯具として必要な性能条件を満たすように設計された設計済の灯具から選定された標準灯具に対して、前記標準灯具の構成についての構成データを少なくとも有する所定の統一されたデータ形式で作成された標準データがあらかじめ記憶装置に記憶された標準データベースを用い、
車両用灯具として要求される灯具の光学的性能条件及び灯具の構造的な強度を示す構造的性能条件を有する性能条件、及び形状面からの形状制約条件または外観面からの外観制約条件の少なくとも一方を有し灯具毎に与えられる制約条件を含む設計条件に基づいて、前記標準データベースに記憶されている複数の前記標準データを表示手段に表示し、そのうちから一の標準データを入力手段からの入力内容に基づいて選択して、選択した前記標準データを設計データとして設計データ格納部に格納し、前記設計データの必要なデータ部分について入力手段からの入力内容に基づいて更新を行って前記設計条件を満たす灯具データを作成する灯具作成処理をコンピュータに実行させ、
前記標準データベースにおいて、前記標準データとして、前記構成データに加えて、前記標準灯具の性能についての性能データを有する前記データ形式で作成されるとともに、前記性能データとして、灯具の光学的性能についての配光データ、及び灯具の構造的な強度を示す構造的性能についての構造解析データを含む前記標準データが前記記憶装置に記憶されていることを特徴とするプログラム。 - 前記車両用灯具はヘッドランプであるとともに、
前記標準データベースに記憶されている複数の前記標準データを、前記設計データの選択肢として、前記ヘッドランプの灯式によって分類された前記標準データに対応する前記標準灯具の画像によって前記表示手段に表示する表示処理
をコンピュータにさらに実行させる請求項6記載のプログラム。 - 前記標準データベースにおいて、前記標準データとして、前記構成データが、前記標準灯具に用いられる部品についての部品データと、前記部品データにある部品の属性についての属性データとからなる階層型のデータ形式で作成された前記標準データが前記記憶装置に記憶されていることを特徴とする請求項6または7記載のプログラム。
- 車両に用いられる灯具の設計をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体であって、
車両用灯具として必要な性能条件を満たすように設計された設計済の灯具から選定された標準灯具に対して、前記標準灯具の構成についての構成データを少なくとも有する所定の統一されたデータ形式で作成された標準データがあらかじめ記憶装置に記憶された標準データベースを用い、
車両用灯具として要求される灯具の光学的性能条件及び灯具の構造的な強度を示す構造的性能条件を有する性能条件、及び形状面からの形状制約条件または外観面からの外観制約条件の少なくとも一方を有し灯具毎に与えられる制約条件を含む設計条件に基づいて、前記標準データベースに記憶されている複数の前記標準データを表示手段に表示し、そのうちから一の標準データを入力手段からの入力内容に基づいて選択して、選択した前記標準データを設計データとして設計データ格納部に格納し、前記設計データの必要なデータ部分について入力手段からの入力内容に基づいて更新を行って前記設計条件を満たす灯具データを作成する灯具作成処理をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録し、
前記標準データベースにおいて、前記標準データとして、前記構成データに加えて、前記標準灯具の性能についての性能データを有する前記データ形式で作成されるとともに、前記性能データとして、灯具の光学的性能についての配光データ、及び灯具の構造的な強 度を示す構造的性能についての構造解析データを含む前記標準データが前記記憶装置に記憶されていることを特徴とするコンピュータ読取可能な記録媒体。 - 前記車両用灯具はヘッドランプであるとともに、
前記プログラムは、
前記標準データベースに記憶されている複数の前記標準データを、前記設計データの選択肢として、前記ヘッドランプの灯式によって分類された前記標準データに対応する前記標準灯具の画像によって前記表示手段に表示する表示処理
をコンピュータにさらに実行させる請求項9記載の記録媒体。 - 前記標準データベースにおいて、前記標準データとして、前記構成データが、前記標準灯具に用いられる部品についての部品データと、前記部品データにある部品の属性についての属性データとからなる階層型のデータ形式で作成された前記標準データが前記記憶装置に記憶されていることを特徴とする請求項9または10記載の記録媒体。
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