JP2004152059A - 樹脂製品の設計方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】数値解析と計算機支援による最適化手法の組み合わせを用いて、樹脂製品の力学特性を最適化する樹脂製品の設計方法において、樹脂材料の特性を表す材料物性値及び樹脂製品の構造に関するパラメータを設計変数として最適化を行なう。又は、樹脂材料の特性を表す材料物性値を設計変数として最適化を行なう工程と、樹脂製品の構造に関するパラメータを設計変数として最適化を行なう工程とを組み合わせて行なう
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、数値解析と計算機支援による最適化手法の組み合わせを用いて、樹脂製品の力学特性を最適化を行なう樹脂製品の設計方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
樹脂製品は、その多くの利点を活かして多種の工業製品の主要要素としてますますその用途を広げつつある。このような製品の開発において、仮想モデルにて力学特性を評価する解析技術は、開発期間短縮・コスト削減の面から非常に有効なツールであるといえる。近年、このような解析技術と計算機支援最適化(CAO)技術の組み合わせによって、特定の用途に望まれる力学特性を持つ製品構造を求める構造最適化手法も実用化されつつあり、複雑な形状の最適設計事例も報告されている。
【0003】
例えば、衝撃吸収特性の評価のような高度に複雑な力学特性を最適化するための構造最適化手法の一例を、自動車等において乗員保護を目的とした車室内装部品として使用されるプラスチック製衝撃吸収用部品の設計について説明する。近年、乗員保護を目的とした車室内衝撃規制(FMVSS201U等)が強化され、このような部品に対しても、より高度な衝撃吸収特性が求められている。この例の衝撃吸収用の内装部品は、室内に面する意匠部と、その裏面側のリブ構造体とを有している。図32は、そのような部品を製造するプロセスのフロー図であり、以下の工程を含んでいる。
【0004】
まず、ステップ2において設計対象部品の意匠部を決め、基準形状を決定する。ステップ3において、設計対象部品の使用材料を決定する。ステップ4において、基準形状の解析モデルを作成する。そして、ステップ5において、設計対象となる修正部分(リブ部)を作成し、これを基準形状に組み合わせた解析モデルを作成する。
【0005】
次に、ステップ6において、作成した解析モデルを用い、設計変数であるリブ部の構造パラメータに初期値を与えて衝撃解析を実行する。ステップ7において、衝撃解析の結果のデータから衝撃吸収性能を評価する。この評価値に対して、ステップ8において、衝撃吸収性能を最良とするリブ部構造であるかを判断する。最良でないと判断した場合は、ステップ9において、用いた最適化手法のアルゴリズムに従って構造パラメータを修正し、ステップ5に戻って解析モデルを再度作成(修正)し、ステップ6〜8を行なう。このようなステップ5〜9のプロセスを評価値が最良の結果に収束するまで繰り返して行なう。
【0006】
ステップ8において評価値が最良の結果に収束していると判断すれば、それによって構造が決定され、ステップ10において部品図面を作成し、ステップ11において金型を作成し、ステップ12において、先に決定した使用材料を用いて部品の成形を行なう。
【0007】
このように、これまでの最適設計においては、予め使用材料を決定してから、解析モデルを用いた最適化を行っていた。このような使用材料の決定は、通常、製造プロセスや供給主体あるいは材料に求められる他の機能等の制約のもとで採用可能なものの中から、人間が材料の特性データ等に基づいて経験的に選んでいた。
【0008】
しかしながら、このような最適化手法を用いた設計方法では、選ばれた材料についての最適な形状が求められるので、他の樹脂材料の使用を考慮した際の最良の力学特性が得られる訳ではない。常に、選ばれなかった材料の中に、同じ条件下でより良い力学特性を発揮する製品を提供することができるものが有る可能性が残る。このような問題点を解決するために、複数の樹脂を選んで上記方法を適用し、その中で最良のものを選ぶことも考えられるが、より良い力学特性を発揮する製品を提供することができるものが他の樹脂材料に有る可能性が残る点は変わらない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、上記問題点に鑑み、広範囲の樹脂材料の使用を考慮して、最良の力学特性が得られるような製品の設計を行なうことができるような樹脂製品の設計方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明は前記課題を解決するためになされたもので、数値解析と計算機支援による最適化手法の組み合わせを用いて、樹脂製品の力学特性を最適化する樹脂製品の設計方法において、樹脂材料の特性を表す材料物性値及び樹脂製品の構造に関するパラメータを設計変数として最適化を行なうことを特徴とする樹脂製品の設計方法である。
【0011】
これにより、構造パラメータとより広い選択範囲における材料特性の組み合わせを考慮した中での最良の結果を得ることができる。ある枠組みの中で最適な力学特性を与える構造パラメータと樹脂材料の特性を表す材料物性値が最適化手法を用いて決定される。力学特性は、製品が要求される機能に関連するものが選択されるが、例えば、剛性、衝撃吸収特性、熱変形特性等が挙げられる。設計変数とする材料特性は、通常、樹脂材料の材料物性値のうち、目的とする力学特性に影響を与えるものを選んで設定する。例えば、弾性率、降伏応力、破断塑性歪み、歪み−応力曲線、時間−歪み曲線等が挙げられる。歪み−応力曲線および時間−歪み曲線はそれぞれ、テーブル形式あるいは数式として取扱うことができる。テーブル形式の場合、一方の軸の値を固定して他の軸の値を設計変数として取扱えばよいし、数式の場合は、例えば1次関数の場合であれば、「stress=A×strain+B」のA、Bを設計変数とすればよい。
【0012】
最適化された変数はこれらの材料物性値(又は複数の材料物性値の組み合わせ)として得られる(以下、最適物性値という)ので、実際に用いる樹脂材料をこれに基づいて決定する必要が有る。実際に使用する樹脂を決定する際に考慮することは、状況に応じて種々のものが考えられるが、大別すると、力学特性自体に関するものと、それ以外の要素とが有る。
【0013】
最適化を行う際の制約条件として、手持ちの樹脂材料ごとに材料物性値の組み合わせを用意し(例えば、弾性率、静的降伏応力、破断塑性歪み)、この組み合わせの中から最もよい力学特性が得られるものを最適化手法によって探索するようにしてもよい。この場合、最適化において材料物性値を修正する際にも、入力された材料物性値の組み合わせの中から選択することとなる。このような離散的に分布するデータを含んだ最適値の組み合わせを得る最適化手法としては、焼き鈍し法、遺伝的アルゴリズム等が上げられる。
【0014】
なお、構造パラメータと材料特性の双方を同時に変数として用いる替わりに、樹脂材料の特性を表す材料物性値を設計変数として最適化を行なう工程と、樹脂製品の構造に関するパラメータを設計変数として最適化を行なう工程とを組み合わせて用いることもできる。
【0015】
最適化のプロセスで用いる解析用形状モデルを作成する際に、特定部分の単位形状モデルを作成する単位マクロ操作を定義する単位マクロファイルを一種又は複数種事前に作成し、これらの単位マクロファイルを反復又は組み合わせて実行する手法を用いることができる。
【0016】
これにより、複数の単位形状モデルを作成する作業を人間の手作業によって繰り返す必要が無くなり、精度の高いモデル作成を効率的に行なうことができる。また、単位マクロファイルを反復して実行するプロセスは、所定のプログラムによって制御することができるので、それにより、反復回数自体を可変パラメータとして扱うことができる。従って、従来の方法では実行できなかった形状要素の数自体をパラメータとして変化させて行なう最適化作業を自動化することができ、解析機能の柔軟性を高めて、部品の設計等に大きな威力を発揮させることができる。
【0017】
また、複数種類の機能マクロファイルを適宜に組み合わせて実行することにより、複雑な操作であっても、マクロファイルをその都度作成する必要がなく、効率的に実行させることができる。また、条件判断を含む分岐プロセスと併用することにより、形状モデル作成のプロセスの要求に柔軟に対応することができ、複雑な処理操作を含む形状モデル作成に基づく最適化作業を自動化することができる。
【0018】
上記の設計方法を用いた樹脂製品は具体的には、例えば、射出成形品として製造される。射出成形は、樹脂加熱手段、混練用スクリュー、及び成形用金型を備えた射出成形機を用いて、以下のような工程で行われる。
▲1▼樹脂材料を射出成形機に投入する。
▲2▼射出成形機に投入した樹脂材料を樹脂加熱手段で加熱することによりその樹脂成分を溶融させると共に、混練用スクリューを回転させることにより混練する。
▲3▼加熱及び混練した樹脂材料を成形用金型に射出することにより射出成形品を成形する。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下に、この発明の実施の形態を図面を参照して説明する。この実施の形態は、自動車用内装部品であるピラーガーニッシュを解析対象とするもので、これは、図1(a)〜(c)に示すように全体に扁平な柱状で、室内に面する意匠部10と、裏面側のボディ部12に囲まれた構造となっている。ボディ部12はパネル状になっており、意匠部10はリブ部14を覆うようなコ字状断面のチャンネル構造を有している。リブ部14は、長手方向の1本の縦リブ16と、複数の横リブ18とから構成されている。
【0020】
これは、図2に示すように、人体の頭部を模したフリーモーションヘッドフォーム(FMH)20を所定の速度で内装部品に衝突させる衝突試験により評価される。この図では、ボディ部を省いて示している。このような部材を実際に作製して試験する代わりに、コンピュータにより衝撃解析ソフトを用いて解析を行い、さらには最適化ソフトを用いて最適な構造を得ることが、この実施の形態の目的である。
【0021】
図3は、この実施の形態における樹脂製内装部品の構造及び材料の決定を含む設計と、それに基づく製造工程を説明するフロー図であり、これは以下のような工程を含んでいる。
【0022】
まず、ステップ2において設計対象部品の意匠部を決め、ステップ3において、基準形状の解析モデルを作成する。解析モデル作成にあたっては、リブ部以外の形状モデルを事前に作成し、基準モデルデータとして保存する。一方、ステップ4において、設計対象となる修正部分(リブ部)を作成し、これを基準形状に組み合わせた解析モデルを作成する。本実施の形態では、リブ数(n)をも設計変数とすることによって、形状位相の変更を伴う範囲でより高性能の構造の最適化を行なう。そこで、1つの横リブを作成する単位マクロ操作を定義する単位マクロファイルを事前に作成し、全体の実行プロセスを制御するテンプレートファイルにおいて、単位マクロファイルの反復数(n)を指定する。これにより、リブ数を設計変数として扱うことができる。
【0023】
ステップ5において、作成した解析モデルを用い、設計変数である材料物性値及びリブ部の構造パラメータに初期値を与えて衝撃解析を実行する。ステップ6において、衝撃解析の結果のデータから衝撃吸収性能を評価する。この評価値に対して、ステップ7において、衝撃吸収性能を最良とする材料物性値及びリブ部構造であるかを判断する。そして、最良でないと判断した場合は、ステップ8において、用いた最適化手法のアルゴリズムに従って構造パラメータを修正し、ステップ4に戻って解析モデルを再度作成(修正)し、ステップ5〜7を行なう。このようなステップ4〜8のプロセスを評価値が最良の結果に収束するまで繰り返して行なう。
【0024】
ステップ6〜8は、いわゆる最適化プログラムによって実行されるプロセスである。この実施の形態では、構造に関するパラメータと、樹脂材料の材料物性値の双方を設計変数として最適化を行う。これにより、最良の力学特性を有する製品を、樹脂材料の特性と構造の両面から直接的に決定することができる。
【0025】
これについて、図4を参照して説明する。図4において、x軸は製品構造に関するパラメータを、y軸は材料特性を表す材料物性値を、z軸は評価すべき力学特性(この例では衝撃性能)を表す。x軸及びy軸に関しては変数が複数の場合も含めて模式的に一次元的に表している。図形Cは、特性を表す曲面であり、この例では、下方に閉じた極小点P0(特性が最良の点)を有するものとしている。
【0026】
従来のように、まず材料を設定して製品構造を最適化する手法では、材料物性値一定(y=const)の条件を示すx−z面に平行な面で切断した曲線m1(図中一点鎖線で示されている)の極小点P1が解となる。
【0027】
構造パラメータを変数とする最適化工程と材料特性を変数とする最適化工程を組み合わせる方法では、上記のP1によって決まる構造に基づき、さらに材料物性値を変数として最適化を行うことになる。これは、P1を含むy−z面に平行な面で切断した曲線m2(図中二点鎖線で示されている)の極小点P2が解となる。このように、樹脂材料の特性を表す材料物性値を設計変数とする最適化と、樹脂製品の構造に関するパラメータを設計変数とする最適化を組み合わせることにより、最良の解P0に順次近づいていくことが分かる。
【0028】
しかしながら、この方法では、特性曲面Cの形状や初期条件によって必ずしもP0に収束しなかったり、多くの試行を必要としたりする場合がある。一方、樹脂材料の特性を表す材料物性値及び樹脂製品の構造に関するパラメータの双方を同時に設計変数として最適化を行えば、最適化支援ソフトの機能によって一度にP0が解として求められる。
【0029】
設計変数とする構造に関するパラメータとしては、製品に求められる力学特性に影響を与えるようなパラメータを選ぶことが望ましい。材料物性値に関しても、目的とする力学特性に影響を与えるものを選んで設計変数とする。例えば、衝撃吸収特性に関しては、弾性率、静的降伏応力および破断塑性歪みを用いる。材料物性値は、解析用入力データ保存用のテンプレートファイルに記述しておき、これを最適化手法のソフトに従って変化させる。これらの設計変数の選び方及び設定数は、最適化プロセスの効率と精度に大きな影響を与える。
【0030】
最適化の際に種々の制約を付与することができる。制約条件が少ないほど、最適化の対象は広くなり、より良い結果が得られる可能性が有るが、現存しないものや種々の理由で実施可能性が低いものまで対象とすると、計算上、及び後の樹脂決定工程での負荷が大きくなって効率的でない。そこで、目的に応じて制約条件を導入するとよい。例えば、弾性率、静的降伏応力、破断塑性歪み等の材料物性値については、現存する樹脂に関して当然に上限、下限が有るので、統計的データ等に基づいてそのような上下限を制約条件を導入する。
【0031】
上記のような制約条件の下では、材料物性値の範囲は連続的であり、現存しない樹脂についての材料物性値も含まれるので、いわば仮想的な範囲を含む最適化がなされる。最適物性値を持つ樹脂が存在しない場合、適当な手法により、そのような樹脂材料を設計することができる場合は、それによって樹脂を入手できる。しかし、既存の樹脂のみの範囲で最良の結果を得ればよい場合には、材料物性値(又はその組み合わせ)は現存する樹脂のみの有限なすなわち離散的なデータとして入力すればよい。その場合は、最適化のプロセス中、材料物性値を修正する際にも、入力された材料物性値の組み合わせの中から選択する。このような離散的に分布するデータを含んだ最適値の組み合わせを得る最適化手法としては、焼き鈍し法、遺伝的アルゴリズム等が上げられる。
【0032】
ステップ7において評価値が最良の結果に収束すれば、それによって最適な構造と樹脂材料の材料物性値が仮決定される。これに基づいて、ステップ9において、実施する樹脂の決定及び必要に応じて構造の修正を行なう。上述した離散的なデータのみが対象である場合、最適物性値は、事前に用意した手持ちの樹脂材料の材料物性値の組み合わせとなるので、樹脂を決定する工程においては、該当する樹脂を選択すればよい。実際に使用する樹脂を決定する際に考慮することは、状況に応じて種々のものが考えられるが、大別すると、力学特性自体に関するものと、それ以外の要素とが有る。
【0033】
(1)力学特性に関する要素
最適物性値と同じ材料物性値を有する樹脂が有ればそれを用いることができる。最適物性値をそのまま有する樹脂材料は必ずしも入手することができない。そのような樹脂を材料設計手法によって設計することができ、そのような手間を掛けることが妥当である場合には、そのようにする。通常の方法は、最適物性値に最も近い材料物性値を有する既存の樹脂を採用することである。最適物性値が複数の材料物性値の組み合わせである場合には、最小自乗法などを用いて決定する。つまり、手持ちの樹脂材料の材料物性値を得られた最適物性値で無次元化し、その無次元数の二乗の和の平方根が一番小さくなる材料を選択する。決定した材料についての衝撃吸収特性を再度算出してその値を確認するのが望ましい。また、決定した材料について再度構造の最適化を行って構造を最終決定するのが望ましい。
【0034】
(2)力学特性以外の要素
これには、樹脂材料選択の際の一般的な指標が全て含まれるが、例えば、その用途に要求される他の樹脂の機能(成形性、色調、めっき性等)、コスト、入手の容易さ、環境や安全性への配慮、製造工程への配慮等が挙げられる。これらの要素については、必要な場合にのみ検討すれば良く、また、事前に制約条件として考慮してあれば、この段階で考慮する必要はない。
【0035】
ステップ9において、実際に使用する樹脂材料を決定した後、ステップ10において部品図面を作成し、ステップ11において金型を作成し、ステップ12において、ステップ9で決定した使用材料を用いて部品の成形を行なう。
【0036】
図3の方法では、図4を用いて説明したように、樹脂材料の特性を表す材料物性値及び樹脂製品の構造に関するパラメータの双方を同時に設計変数として最適化を行うので、最適化支援ソフトの機能によって、最良の力学特性を有する構造及び材料物性値が自動的に求められる。従って、それに基づいて採用可能な範囲内で樹脂を選択し、必要に応じて、決定した材料について再度構造の最適化を行って構造を最終決定することにより、従来法では得にくかった性能を有する製品の製造を、人手による作業を省きつつ達成することができる。
【0037】
図5は、この発明における他の実施の形態を示すもので、材料物性値を設計変数とする最適化の工程(ステップ5〜8)と、構造パラメータを設計変数とする最適化の工程(ステップ9〜13)を組み合わせて行なうようにしたものである。これによりある程度良い結果が得られることは、図4を用いてすでに説明した。なお、図6に示すように、材料物性値を設計変数とする最適化の工程(ステップ5〜8)と、構造パラメータを設計変数とする最適化の工程(ステップ9〜13)とを組み合わせた工程を繰り返してさらに最適化を行なうようにしてもよい。
【0038】
【実施例】
以下に、図7(a)に示すような形状・寸法を初期条件として最適化を行なう場合の実施例を説明する。この例では、樹脂材料の特性を表す材料物性値及び樹脂製品の構造に関するパラメータの双方を同時に設計変数として最適化を行う図3の方法を用いた。内装部品は、意匠部とリブ部を別々に作成し、接合条件を用いて1つの構造体としてモデル化している。内装部品が接触するボディ部については剛体と仮定した。解析モデル作成では、モデル作成ソフトとしてHyper Mesh4.0を用い、リブ部以外の形状モデルを事前に作成し、基準モデルデータとして保存した。また、操作内容を記録したマクロファイルを機能毎に分割して保存し、分割したマクロファイルファイルを1つにまとめるバッチファイルを用意した。以下に、詳しく説明する。
【0039】
図8は、この実施例における解析システムの構成を示すブロック図であり、オペレーティングシステム(OS)上で動作する実行モジュールと、保存されたデータファイルを有している。鎖線の矢印は、実行モジュールへ保存データが読み込まれる場合を示し、一点鎖線の矢印は、実行モジュールから保存データへ出力される場合、つまりデータが書き換えられる場合を示している。
【0040】
実行モジュールとして、モデル作成ソフト、解析ソフト、最適化支援ソフトが用意されており、さらに、モデル作成ソフトを全体マクロファイルを介して制御するバッチプログラムが用意されている。データファイルとしては、モデル作成ソフトにその特定の機能を行なわせる機能別マクロファイル、モデル作成ソフトに一連の処理を行わせる全体マクロファイル、モデル作成ソフトの出力結果である解析用ファイル、及び、解析ソフトの出力である解析結果ファイルが用意される。
【0041】
モデル作成ソフトは、所定の入力された形状データに基づいて有限要素法に基づく解析用のデータを作成するもので、メッシュ要素の作成、要素番号、節点番号の指定、接触条件、接合条件等の各種条件の設定等を、必要に応じて人間の手入力を併用しつつ実行する。既述したように、入力の簡略化・自動化を図るために、所定の命令を実行するマクロ機能を有しており、その内容はマクロファイルに記録されている。
【0042】
最適化支援ソフトは、解析ソフトの解析結果を所定の手法によって評価するもので、必要に応じて、次の解析用モデルを作成するためのパラメータを定め、そのパラメータを含むバッチファイル又は機能別マクロファイルを書き換える。
【0043】
次に、機能別マクロファイルを用意する過程を、図9、図10のフロー図及び図1、図11〜図26を用いて具体的に説明する。まず、図9において、事前作業として基準形状モデルを作成する。ステップ1において、モデル作成ソフトをスタートし、ステップ2において、オリジナルデータファイルを読み込む。このオリジナルデータファイルには、モデル作成に際して必要なデータ、すなわち、予めCADソフトで作成された図1(a)〜(c)に示す意匠部及びボディ部のデータ等が保存されている。
【0044】
モデル作成ソフトは、図1(b)に示す読み込んだCADデータから図11(a)に示すシェル要素[意匠部]を作成し、これに、例えば、節点番号として1〜3205を、要素番号として1〜3083が割り当てる。同様に、図11(b)において、CADデータからシェル要素[ボディ部]を作成する(節点番号:5001〜8840、要素番号:5001〜8840)。さらに、図12(a)において、基準データファイルからF.M.H.モデル(節点番号:10001〜12180、要素番号:10001〜12040)を読み込み、図12(b)において、意匠部の完全拘束部(固定部分)を設定する。次に、図13(a)においてF.M.H.の初期速度を設定し、図13(b)において、F.M.H.と意匠部の接触条件を設定する。そして、図14(a)において、ボディ部と意匠部の接触条件を設定し、図14(b)において、意匠部とリブ部の接合条件の内、意匠部の接合条件のみを設定する。
【0045】
次に、図15に示すように、リブ部作成用の曲面と節点番号・要素番号管理用の仮の要素を作成し(節点番号:59997〜60000、要素番号:60000)、番号の「切り」を良くしておく。これにより、これに続く番号の領域(節点番号:60001〜、要素番号:60001〜)が、作成された形状節点・要素に割り当てる番号となり、これは後に説明するように、仮保存用領域となる。ここまでのプロセスで作成されたデータを、基準形状モデルファイルとして保存する。
【0046】
次に、図10のフロー図に示す工程によって機能別マクロファイルを作成する。モデル作成ソフトをスタートし(ステップ1)、上記の基準形状モデルデータの読み込みを行なう。このプロセスを記録して記録マクロファイルとし、これを修正して機能別マクロファイル(a)とする(ステップ2)。
【0047】
次に、最初の縦リブを形成すべき位置に縦リブを作成する。すなわち、図16(a)において、縦リブ部作成用の基準直線を作成し、図16(b)において、横リブ間隔部以外の基準直線を削除し、図16(c)において、基準直線を意匠/ボディ側の曲面に投影する。そして、図17(a)において、投影した直線を用いて縦リブ部のシェル要素を作成し(節点番号60001〜60054、要素番号:60001〜60040)、要素作成に用いた直線を削除する。
【0048】
次に、図17(b)において、接合条件を指定する。有限要素法に基づく解析を行なう場合に、異なる部材の要素間の拘束条件を設定する方法として、節点どうしを関連付ける節点共有方式と、節点を要素に対して関連付ける節点非共有方式があり、複雑な形状のモデルを作成する場合や、決められた部分を修正することが予測される場合等、条件に応じて使い分ける。ここで採用している節点非共有方式では、一方の部材の拘束される節点を指定すると、解析ソフトが位置関係から事前に指定した範囲の他方の部材の対応する要素を特定する。ただし、形状モデルを自動的に作成することを想定した場合、モデル作成ソフトは、要素のどの節点が接合対象となるエッジにあるかを判断できない。そこで、ここでは、接合条件を指定する目的の仮の梁要素[黒線部]を作成し(要素番号:60041〜60058)、これを用いて、人間がモデル作成ソフトの画面上で接合する節点を指定する作業を行い、これを記録することにより、機能別マクロファイルを作成する。これは、通常、カーソル移動とマウスクリックで達成される簡単な作業である。
【0049】
次に、図17(c)において、作成した要素・節点番号を40001〜60000の範囲で未使用の小さい番号順に並べ替える。この並び替えの操作により、一旦作成してから消去したようなデータに割り当てられていた空白の番号は除去される。また、必要なデータは保存領域に保存されたので、60000番代の仮保存領域は再使用が可能になる。この例では、作成された最初の縦リブでは、節点番号:40001〜40054、要素番号:40001〜40058となる。図16から図17(c)までのプロセスを記録して記録マクロファイルとし、これを修正して機能別マクロファイル(b)とする(ステップ3)。
【0050】
次に、最初の位置から所定のピッチPmm移動し、図16〜図17(b)の操作を繰り返して次のリブのシェル要素と、接合条件を指定する目的の仮の梁要素を作成する(節点番号60001〜60054、要素番号:60041〜60058)。そして、接合条件を指定した後、図17(c)と同じに、作成した要素・節点番号を40001〜60000の範囲で未使用の小さい番号順に並べ替える。ピッチPmmの移動と、それに続く図16から図17(c)までのプロセスを記録して記録マクロファイルとし、これを修正して機能別マクロファイル(c)とする(ステップ4)。
【0051】
次に、指定された位置に横リブを作成する。まず、図19において、意匠/ボディ側間に曲面を作成し、それぞれを3つに分割し、基準円弧を作成し、図20において、基準円弧を要素作成位置へ移動し、図21(a)において、基準円弧をコピーしボディ側曲面に投影する。さらに、図21(b)において、他の8つの曲面に同じ操作を実施する。次に、図21(c)において、意匠/中間曲面上の曲線にて要素を作成し(節点番号:60001〜60055、要素番号:60001〜60040)、図21(d)において、他の2つの部分に同じ操作を実施する(節点番号:60056〜60155、要素番号:60041〜60120)。図21(e)において、ボディ/中間曲面上の曲線にて要素を作成し(節点番号:60156〜60166、要素番号:60121〜60130)、図21(f)において、他の2つの部分に同じ操作を実施する(節点番号:60167〜60186、要素番号:60131〜60150)。図22(a)において、要素作成に用いた曲線を削除する。そして、図22(b)において、接合条件用の梁要素[黒線部]を作成し(要素番号:60151〜60180)、これを用いて接合する節点を指定する。図22(c)において、作成した要素・節点番号を40001〜60000で未使用番号の小さい番号順に並べ替える(節点番号:40379〜40564、要素番号:40407〜400586)。ここまでのプロセスを記録して修正し、機能別マクロファイル(d)が作成される(ステップ5)。
【0052】
次に、最初の位置から所定のピッチPmm移動し、図20〜図22(c)の操作を繰り返し、次の横リブを作成する。ここまでのプロセスを記録して修正し、機能別マクロファイル(e)が作成される(ステップ6)。
【0053】
次に、以下の調整作業を行なう。すなわち、図24(a)において、意匠部とリブの接触条件を設定し、図24(b)において、ボディ部とリブの接触条件を設定する。図25(a)において、梁要素を参照して意匠部とリブの接合条件のリブ部側を設定し、図25(b)において、縦リブと横リブの接合条件のうち、縦リブ部については梁要素を参照して設定し、横リブ部については対象要素を参照し設定する。図26(a)において、作成に用いた曲面、曲線、仮の要素を削除する。図26(b)において、部品モデルとF.M.H.モデルの位置関係を修正する。ここまでのプロセスを記録して修正し、機能別マクロファイル(f)が作成される(ステップ7)。
【0054】
次に、モデル作成ソフトは、作成された形状モデルを解析用入力ファイルに保存する。このプロセスを記録して修正し、機能別マクロファイル(g)が作成される(ステップ8)。
【0055】
以上の工程により、以下のような機能別マクロファイルが作成される。
(1)機能別マクロファイル(a):基準形状モデルを読込む。
(2)機能別マクロファイル(b):指定された位置に縦リブを作成する。
(3)機能別マクロファイル(c):Pmm移動した位置に縦リブを作成する。
(4)機能別マクロファイル(d):指定された位置に横リブを作成する。
(5)機能別マクロファイル(e):Pmm移動した位置に横リブを作成する。
(6)機能別マクロファイル(f):最終的な調整作業を行なう。
(7)機能別マクロファイル(g):形状を解析用入力ファイルに保存する。
【0056】
一方、バッチプログラムはOS上の所定の言語で記述されて作成されている。これは、機能別マクロファイル(a)〜(g)を読み込み、これを以下のように順次並べた全体マクロファイルを作成する。
機能別マクロファイル(a)
機能別マクロファイル(b)
機能別マクロファイル(c)1回目
:
:
機能別マクロファイル(c)(n−2)回目
機能別マクロファイル(d)
機能別マクロファイル(e)1回目
:
:
機能別マクロファイル(e)(n−1)回目
機能別マクロファイル(f)
機能別マクロファイル(g)
【0057】
以上のようにして、機能別マクロファイルを含む全体マクロファイルが用意された。なお、この実施例では、1つのピッチの縦リブの長手方向における要素数は一定(k=8)としたが、ピッチPが大きく変わる場合には、有限要素法による解析の精度を一定に保つために、ピッチPに合わせて要素数を設定する方が良い場合がある。そのためには、1つのピッチの縦リブの長手方向における要素数を変えた複数の機能別マクロファイルを予め作成しておき、全体マクロファイルの実行時に、算出したピッチPに応じてそれら複数の機能別マクロファイルから実行する機能別マクロファイルを選ぶようにすればよい。このように、複数種類の機能マクロファイルを用意し、条件判断を含む分岐プロセスと併用することにより、形状モデル作成のプロセスの要求に柔軟に対応することができる。
【0058】
次に、図8に示す解析システムを用いた最適化の工程を、図27のフロー図を参照して説明する。なお、図27の工程は、図3に示すステップ4〜8の工程に対応している。解析の目的は、剛体シェル要素で作成したボディ部に設置した内装部品に、質量4.54kgのFMHを6.7m/sで衝突させる際の内装部品に負荷される衝撃を再現するものである。衝撃解析ソフトとしてLS−DYNA version 950を用いた。内装部品の衝撃吸収特性は、フリーモーションヘッドフォームの重心での合成加速度の時間変化から算出したHIC(d)にて評価した。
【0059】
解析に用いた設計変数以外の材料物性値は、比重[−]:1.08及びポアソン比[−]:0.40を一定とした。なお、降伏応力の歪み速度依存性はCowper−Symonds式(次式)にて考慮している。
σy=σy0×[1+(ε/C)1/P]
ここで、σy :降伏応力、σy0:静的降伏応力、ε:歪み速度、C,P:パラメータであり、C[1/s]:170、P[−]:4.56とした。
【0060】
設計変数としては、材料物性値に関しては、弾性率(ymd)と静的降伏応力(yst)および破断塑性歪み(fst)とを用いた。リブ構造に関しては、図28に示すように、横リブピッチ(rpi)と縦リブ位置を決定する比率(try)を用いた。設計変数は計5である。横リブピッチを変えることにより、リブ数も変化する。
【0061】
なお、図28に示した、縦リブを含む平面がxy面となす直線が設計範囲内にある線分の始点および終点のy座標(try1、try2)と、設計変数である縦リブ位置を決定する比率(try)の関係は下式のようになる。
try1=5.0+(97.6−5.0)×try
try2=5.0+(111.4−5.0)×try。
【0062】
設計変数の制約条件は500MPa≦ymd≦3500MPa、5.00MPa≦yst≦35.0MPa、0.010≦fst≦0.490、10.0mm≦rpi≦50.0mm、0.100≦try≦0.900とした。これらの条件は、現存する樹脂材料の特性を考慮して定めている。初期条件はymd=2000MPa、yst=20.0MPa、fst=0.250、 rpi=30.0mm、try=0.500とした。本実施例において、最適化支援ソフトはiSIGHT version 5.5を、最適化手法は焼きなまし法を用いた。
【0063】
図27において、ソフトをスタートさせると(ステップ1)、バッチプログラムは機能別マクロファイル(a)〜(g)を読み込み、その内容を全体マクロファイルに上述したように繰り返しを含めて書き込む(ステップ2)。モデル作成ソフトは全体マクロファイルを読み込み、これに沿って1回のモデル作成処理を行い(ステップ3)、作成した形状モデルを解析用ファイルとして出力する(ステップ4)。初期条件として与えられているのは、図7(a)に示すような形状・寸法である。
【0064】
図27のステップ3におけるモデル作成処理プロセスについて、図29及び図15〜26を用いて説明する。形状モデルソフトがスタートし(ステップ1)、全体マクロファイル中の機能別マクロファイル(a)の内容が実行され、基準形状モデルが読み込まれる(ステップ2)。これにより、図15の工程までが実行された状態となる。
【0065】
次に、モデル作成ソフトは、全体マクロファイル中の機能別マクロファイル(b)の部分に従って、図16〜図17(a)のプロセスで最初の縦リブを形成すべき位置に縦リブを作成し、図17(b)において、接合条件を指定し、図17(c)において、作成した要素・節点番号を40001〜60000の範囲で未使用の小さい番号順に並べ替える。作成された最初の縦リブでは、節点番号:40001〜40054、要素番号:40001〜40058となる(ステップ3)。
【0066】
次に、全体マクロファイル中の機能別マクロファイル(c) の部分の指示により、モデル作成ソフトは、最初の位置から所定のピッチPmm移動し、図16〜図17(b)の操作を繰り返して次の縦リブのシェル要素と、接合条件を指定する目的の仮の梁要素を作成する(節点番号60001〜60054、要素番号:60041〜60058)。そして、接合条件を指定した後、図17(c)において、作成した要素・節点番号を40001〜60000の範囲で未使用の小さい番号順に並べ替える。これにより作成される縦リブは、節点番号:40055〜40108、要素番号:40059〜40116となる(ステップ4)。
【0067】
全体マクロファイルには、機能別マクロファイル(c) が(n−2)回分反復して書き込まれているので、上記のピッチPmmの移動、及び図16〜図17(c)の操作がさらに(n−3)回繰り返される。これにより、図18に示すように、最終的にn−1個(ここではn=8)の縦リブが作成される。並び替えの動作により、作成されたデータは順次保存領域に蓄積され、その節点番号は40001〜40378、要素番号は40001〜40406となる(ステップ5)。
【0068】
次に、全体マクロファイル中の機能別マクロファイル(d) の部分の指示により、図19〜図22(c)で既に説明した工程で、モデル作成ソフトは指定された位置に横リブを作成する。この結果、図22(c)において、作成した要素・節点番号は40001〜60000で未使用番号の小さい番号順に並べ替えられる(節点番号:40379〜40564、要素番号:40407〜400586)(ステップ6)。
【0069】
次に、機能別マクロファイル(e) の内容に基づき、モデル作成ソフトは、最初の位置から所定のピッチPmm移動し、図20〜図22(c)の操作を繰り返し、次の横リブを作成する(ステップ7)。機能別マクロファイル(e) の内容は全体マクロファイルに(n−1)回分書き込まれており、横リブ作成の操作がさらに(n−2)回繰り返され、図23に示すように、最終的にn個(ここではn=8)の横リブが作成される(節点番号:40379〜41866、要素番号:40407〜41816)(ステップ8)。
【0070】
次に、機能別マクロファイル(f) の内容に基づき、モデル作成ソフトは、先に説明したように、図24(a)〜図26(b)に示す調整作業を行なう(ステップ9)。次に、機能別マクロファイル(g) の内容に基づき、モデル作成ソフトは、作成された形状モデルを解析用入力ファイルに保存する(ステップ10)。
【0071】
このように、単位となる機能別マクロファイルを作成しておくことにより、それをバッチプログラムで統括して反復動作させ、多数のデータを作成することができるので、煩雑な作業を省くことができる。さらに、従来の方法では、横リブの数(n)自体をパラメータとして変化させて最適化するというループは実行できなかったが、この方法では、バッチプログラムを保存するバッチファイル中のnの値を書き換えることにより、これが達成される。
【0072】
次に、図27のフロー図に戻り、最適化のプロセスを説明する。解析ソフトは作成された解析用ファイルを読み込んで、衝撃解析、構造解析、流動解析等(この例では、衝撃解析)の所定の解析を行い(ステップ5)、解析結果ファイルを出力する(ステップ6)。最適化支援ソフトは、解析ソフトの解析結果を所定の手法によって評価し、求める結果が得られたかどうかを判断する(ステップ8)。求める結果でないと判断した場合は、次の解析用モデルを作成するためのパラメータ(この例では、リブ部の構造パラメータと材料物性値)を定め、修正パラメータを含むバッチファイル又は機能別マクロファイルを書き換える(ステップ9)。以下、ステップ2〜8の過程を、求める結果が得られるまで繰り返す。
【0073】
以上のプロセスによって求めた最適条件の結果を、初期条件とともに表1に示す。また、最適条件の形状モデルを図7(b)に示す。さらに、最適化結果の変位−加速度曲線と時間−加速度曲線をそれぞれ図30と図31に示す。
【0074】
【表1】
【0075】
この最適条件においては、構造的パラメータに関しては、横リブピッチは制約条件の下限値とほぼ同じ値になっており、また、初期条件と比較すると、縦リブ位置はFMHの衝突部分に近づいている。材料特性に関しては、弾性率は大きい側に変化し、静的降伏応力と破断塑性歪みは小さい側に変化している。すなわち、図30と図31からも推定されるように、最適条件のリブ構造と材料物性値をもつ内装部品は、部品剛性を高くすることで、加速度を速やかに1400m/s2程度のピークにまで上昇させ、また、静的降伏応力と破断塑性歪みを小さい側にシフトすることで、ピーク後の加速度を500m/s2程度にまでおさえている。これらのメカニズムにより、HIC(d)値を大幅に低減することができたと考えられる。
【0076】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、構造パラメータと材料特性をそれぞれ設計変数とした最適化工程を組み合わせ、あるいは同時にこれらを設計変数として最適化を行うことにより、広範囲の樹脂材料の使用を考慮して、最良の力学特性が得られるような製品の設計を行なうことができる。従って、製品の使用状況に応じた機能を有する最適な製品を設計することができ、樹脂製品の用途をさらに拡大するとともに、そのような設計に要する手間や時間を減少させ、実用性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の設計方法において作成するモデルの対象である内装部品の意匠部及びボディ部のCADによる形状を示す図である。
【図2】内装部品の衝撃試験方法を示す図である。
【図3】この発明の1つの実施の形態における樹脂製品を製造するプロセスのフロー図である。
【図4】この発明の作用を模式的に示す図である。
【図5】この発明の他の実施の形態における樹脂製品を製造するプロセスのフロー図である。
【図6】この発明のさらに他の実施の形態における樹脂製品を製造するプロセスのフロー図である。
【図7】この発明の設計方法の1つの実施例の、(a)初期条件における形状、(b)最適化後の形状を示すものである。
【図8】この発明の実施例の解析システムの構成を示すブロック図である。
【図9】この発明の実施例の形状モデル作成の準備工程を説明するフロー図である。
【図10】同じく、この発明の実施例の形状モデル作成の準備工程を説明するフロー図である。
【図11】モデル作成ソフトが、読み込んだCADデータからシェル要素を作成する工程を説明する図である。
【図12】(a)は、基準データファイルからF.M.H.モデルを読み込む工程、(b)は、意匠部の完全拘束部(固定部分)を設定する工程、をそれぞれ示す図である。
【図13】(a)はF.M.H.の初期速度を設定する工程、(bは、F.M.H.と意匠部の接触条件を設定する工程、をそれぞれ説明する図である。
【図14】(a)は、ボディ部と意匠部の接触条件を設定する工程、(b)は、意匠部とリブ部の接合条件の内、意匠部の接合条件のみを設定する工程、をそれぞれ説明する図である。
【図15】節点番号・要素番号管理用の仮の要素を作成する工程を説明する図である。
【図16】(a)〜(c)は、縦リブを作成する工程を示す図である。
【図17】(a)〜(c)は、縦リブを作成する工程を示す図である。
【図18】縦リブを作成する工程を示す図である。
【図19】横リブを作成する工程を示す図である。
【図20】横リブを作成する工程を示す図である。
【図21】(a)〜(f)は、横リブを作成する工程を示す図である。
【図22】(a)〜(c)は、横リブを作成する工程を示す図である。
【図23】横リブを作成する工程を示す図である。
【図24】(a)は、意匠部とリブの接触条件を設定する工程を示す図、(b)は、ボディ部とリブの接触条件を設定する工程を示す図である。
【図25】(a)は、意匠部とリブの接合条件のリブ部側を設定する工程を示す図、(b)は、縦リブと横リブの接合条件を設定する工程を示す図である。
【図26】(a)は、作成に用いた曲面、曲線、仮の要素を削除する工程を示す図、(b)は、部品モデルとF.M.H.モデルの位置関係を修正する工程を示す図である。
【図27】この発明の解析システムによる解析の工程を説明するフロー図である。
【図28】この発明の設計方法の1つの実施例における設計変数の採り方を示す図である。
【図29】この発明の形状モデル作成工程を説明するフロー図である。
【図30】この発明の設計方法の1つの実施例における最適化結果の変位−加速度曲線を示す図である。
【図31】この発明の設計方法の1つの実施例における最適化結果の時間−加速度曲線を示す図である。
【図32】従来の衝撃吸収部品を製造するプロセスのフロー図である。
【符号の説明】
10 意匠部
12 ボディ部
14 リブ部
16 縦リブ
18 横リブ
20 フリーモーションヘッドフォーム
Claims (6)
- 数値解析と計算機支援による最適化手法の組み合わせを用いて、樹脂製品の力学特性を最適化する樹脂製品の設計方法において、
樹脂材料の特性を表す材料物性値及び樹脂製品の構造に関するパラメータを設計変数として最適化を行なうことを特徴とする樹脂製品の設計方法。 - 数値解析と計算機支援による最適化手法の組み合わせを用いて、樹脂製品の力学特性を最適化する樹脂製品の設計方法において、
樹脂材料の特性を表す材料物性値を設計変数として最適化を行なう工程と、樹脂製品の構造に関するパラメータを設計変数として最適化を行なう工程とを組み合わせて行なうことを特徴とする樹脂製品の設計方法。 - 前記力学特性は、剛性、衝撃吸収特性、及び熱変形特性の少なくとも1つを含み、前記設計変数として用いる材料特性は、弾性率、降伏応力、破断塑性歪み、歪み−応力曲線、時間−歪み曲線、の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂製品の設計方法。
- メッシュジェネレータ、プリプロセッサ等の特定部分の単位形状モデルを作成する単位マクロ操作を定義する単位マクロファイルを一種又は複数種事前に作成し、これらの単位マクロファイルを反復又は組み合わせて実行することにより、前記最適化の際に用いる形状モデルを作成することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の樹脂製品の設計方法。
- 請求項1ないし4のいずれかに記載の樹脂製品の設計方法によって決定された樹脂材料の特性を表す材料物性値に基づいて、実際に使用する樹脂材料を決定する工程を行なうことを特徴とする樹脂製品の設計方法。
- 請求項1ないし5のいずれかに記載の樹脂製品の設計方法に基づいて設計する工程と、前記設計工程で決定された樹脂製品の構造に対応する金型を用意する工程と、この金型に前記設計工程で決定された樹脂材料を供給して樹脂製品を成形する工程とを有することを特徴とする樹脂製品の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002317172A JP2004152059A (ja) | 2002-10-31 | 2002-10-31 | 樹脂製品の設計方法 |
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Cited By (1)
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---|---|---|---|---|
CN103991458A (zh) * | 2014-05-22 | 2014-08-20 | 江苏大学 | 应用惯容器的轨道车辆二系垂向悬架及其参数确定方法 |
-
2002
- 2002-10-31 JP JP2002317172A patent/JP2004152059A/ja active Pending
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