JP3993465B2 - 包装袋 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、包装袋に関し、例えば、バッグインカートン、バッグインボックスに用いられる内装袋として好適に用いることができる。
【0002】
【背景技術】
従来より、飲料等の液体、バター、クリーム等のゲル状の半固形体の包装形態として、いわゆるバッグインカートンまたはバッグインボックスという包装形態が利用されている。このバッグインカートンまたはバッグインボックスは、液体または半固形体を収納して包装体外への漏洩を防止する樹脂製の内装袋と、外部から作用する力によってこの内装袋が破れることを防止する段ボール等で形成した外装体とを備えている。
【0003】
このようなバッグインカートン、バッグインボックスに用いられる内装袋において、ワイン、ジュース等の液体収納用の内装袋としては、ポリプロピレン、ポリエチレン等の樹脂からなる内装袋の一部に注ぎ口を一体的に設け、この注ぎ口にスクリューキャップを取付可能にしたものが広く知られている。
一方、バター、クリーム等の半固形体収納用の内装袋は、液体の場合のように容器を傾けて注ぎ口から出すことができないため、使用時内装袋を破袋させて収納物を取り出すようにしている。
【0004】
そして、使用時内装袋を容易に破袋させることのできるフィルムとして、特許第2746644号公報に示されるような可剥性シールを可能としたフィルムまたはシートが提案されている。このフィルムまたはシートは、ヒートシール層部分にポリエチレンおよびポリブテン−1を配合した材料からなるものであり、ポリブテン−1を配合することにより、通常のヒートシール強度よりも小さなシール強度とし、可剥性を向上させて、ヒートシール部での破袋を容易にし、開封性を向上させたものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記公報に示されるフィルムでは、可剥性を発現するシール温度領域が狭いため、ヒートシール時のシール温度を厳しく管理しないと、可剥性が実現できないという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、シール温度がある程度ばらついても可剥性を損なうことのないヒートシール用積層フィルムを用いた包装袋を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、直鎖状低密度ポリエチレンと、1−ブテンホモポリマーまたは1−ブテン共重合体とを含む組成物からなるヒートシール層において、エチレン−α−オレフィン共重合体を所定量添加することにより、可剥性を発現するシール温度領域が拡がるという知見に基づいて、本発明を想到した。
具体的には、本発明に係る包装袋は、少なくとも1層がヒートシール層とされ、2層以上を共押出成形して得られるヒートシール用積層フィルムの前記シール層同士を溶着して形成される包装袋であって、前記ヒートシール層は、密度0.900g/cm3〜0.940g/cm3の直鎖状低密度ポリエチレン94wt%〜55wt%と、1−ブテンホモポリマー、または90wt%以上のアイソタクチック1−ブテン重合体を含む1−ブテン共重合体30wt%〜5wt%と、密度0.890g/cm3以下のエチレン−α−オレフィン共重合体1wt%〜15wt%とからなる組成物で構成され、ヒートシール温度の異なる複数のヒートシール部を備えていることを特徴とする。
【0008】
前記直鎖状低密度ポリエチレンは、密度0.900g/cm3〜0.940g/cm3のものを採用するのが好ましいが、より好ましくは密度0.900g/cm3〜0.930g/cm3のものがよく、MFR(Melt Flow Ratio)は0.2g/10分〜10g/10分のものが好ましい。
前記1−ブテンホモポリマー、または1−ブテン共重合体は、密度0.900g/cm3〜0.919g/cm3のものを採用するのが好ましく、より好ましくは、密度0.900g/cm3〜0.910g/cm3のものを採用し、MFRは、0.2g/10分〜10g/10分のものを採用するのが好ましい。
【0009】
また、1−ブテン共重合体は、少なくとも90wt%以上、好ましくは97wt%以上、より好ましくは98wt%以上のアイソタクチック重合体を含むのが好ましく、例えば、1−ブテンを主鎖とするエチレン共重合体を採用するのが好ましい。
さらに、1−ブテンホモポリマーまたは1−ブテン共重合体が30wt%以上を超えると、シール温度を上げてタイトシールした際のヒートシール強度が確保できず、重量物包装用のフィルムとして適さない。一方、1−ブテンホモポリマーまたは1−ブテン共重合体が5wt%未満であると、シール温度を下げても可剥性が発現しない。
【0010】
前記エチレン−α−オレフィン共重合体としては、密度0.890g/cm3以下のものを採用するのがよく、例えば、エチレンを主鎖とするエチレン−ブテン−1共重合体や、エチレン−プロピレン共重合体を採用することができる。
また、エチレン−α−オレフィン共重合体が5wt%未満だと可剥性を発現するシール温度の領域が十分に拡がらず、実用的でない。
一方、エチレン−α−オレフィン共重合体が30wt%を超えると、可剥性を発現するシール温度の領域が広くなり過ぎて、タイトシールを行えるシール温度領域が狭くなり、ヒートシール強度が十分に確保された包装袋を製造することができない。
【0011】
前述したヒートシール用積層フィルムのシール層以外の層は、必要に応じてガスバリア性等の機能層とすることができ、例えば、ナイロン、HDPE(High Density PolyEthylene)等の層とすることができる。
また、このような積層フィルムは、共押出成形によって得られるが、Tダイ押出成形、サーキュラーダイを用いたインフレーション成形いずれも採用することができる。
【0012】
このような本発明によれば、可剥性を発現するヒートシールのシール温度領域が拡がるので、可剥性シールの安定性が大幅に増加する。そして、安定して可剥性シールを行うことができることにより、一部に可剥性シールを形成した包装袋において、可剥性シールによる閉塞を高速に行って、収納物の高速充填を実現できる。
【0013】
本発明の包装袋は、前述したヒートシール用積層フィルムのシール層同士を溶着して形成されることを特徴とし、ヒートシール温度の異なる複数のヒートシール部を備えていることを特徴とする。
具体的には、本発明の包装袋は、一部をタイトシールとなるシール温度で溶着して包装袋の密封性、シール強度を確保し、他の一部を可剥性シールとなるシール温度で溶着して開封性を確保することを特徴とする。
【0014】
このような包装袋は、具体的には、バッグインボックス、バッグインカートン等の内装袋として利用するのが好ましい。
バッグインボックス、バッグインカートン用の内装袋としては、例えば、インフレーション成形による筒状フィルムの両端を、内側に折り込んでガセットを形成し、筒状フィルムの延出方向の一端をタイトシールで封止し、バター、クリーム等の半固形状の収納物を充填した後、他端を可剥性シールで封止するものが考えられる。可剥性シールによる封止後、収納物を封止した包装体を段ボール等の外装体に収納すればよい。
【0015】
【実施例】
以下、実施例及び具体例を挙げて本発明をより詳しく説明するが、本発明はこれに限られるものではない。
I.材料組成
〔実施例1〜実施例4〕
LLDPE、ポリブテン、エチレン−α−オレフィン共重合体の配合割合を変更したシール層と、HDPE層とを、共押出インフレーション成形により、折幅1500mmの筒状フィルムとして製造した。具体的な配合割合は表1に示す。
〔比較例1〜比較例4〕
比較例1として、LLDPEおよびポリブテンからなる樹脂組成物によるシール層と、HDPE層とを、共押出インフレーション成形により、折幅1500mmの筒状フィルムとして製造した。また、比較例2としてポリブテン、エチレン−α−オレフィン樹脂を除いたLLDPE単独のシール層と、HDPE層とを共押出インフレーション成形により、折幅1500mmの筒状フィルムとして製造した。
さらに、比較例3、比較例4としてLLDPEにポリブテン35wt%添加した樹脂組成物にさらにエチレン−α−オレフィン共重合体を加えた樹脂組成物によるシール層と、HDPE層とを、共押出インフレーション成形により、折り幅1500mmの筒状フィルムとして製造した。
これら比較例1〜比較例4の具体的な配合割合は表1に示す。
【0016】
【表1】
【0017】
尚、表1中、LLDPE、HDPE、ポリブテン、エチレン−α−オレフィン共重合体は、以下の材料を使用した。また、下記材料中の密度の測定は、JISK7112に準拠して行い、MFR(Melt Flow Ratio)の測定は、JIS K7210に準拠して行った。
(1)LLDPE:出光石油化学株式会社製 MORETEC IDEMITSULL0138H(密度0.917g/cm3、MFR1.3g/10分)
(2)HDPE:出光石油化学株式会社製 IDEMITSU HD(密度0.947g/cm3、MFR0.21g/10分)
【0018】
(3)ポリブテン:三井化学株式会社製 タフマーBL BL−3110(密度0.910g/cm3、MFR1.0g/10分)
(4)エチレン−α−オレフィン共重合体:三井化学株式会社 タフマー A−4085(密度0.880g/cm3、MFR3.6g/10分)
【0019】
II.ヒートシール方法
実施例1で得られた積層フィルムを幅15mmの短冊状に切断した2枚の試験片をシール層同士を重ね合わせ、重ね合わせ部分のヒートシール温度を、105℃、110℃、115℃、120℃、130℃、140℃と変更してヒートシールして試験体を作成した。実施例2〜実施例4、比較例1〜比較例4についても同様の手順で試験体を作成した。
【0020】
III.評価方法
各実施例および各比較例の試験体のフィルム両端部を把持して、テンシロン等の万能試験機により引っ張り、ヒートシール部分が破断する荷重を測定した。
試験結果を表2に示す。尚、その際のヒートシール部のシールやせ等の評価も同時に行い、表2中△はシールやせ等シール後の外観が好ましくないもの、×はシールバーにフィルムが融着してシールが困難であり、引っ張り試験ができなかったものである。
【0021】
【表2】
【0022】
IV.評価結果
実施例1〜実施例4に示されるように、本発明によれば、110℃〜115℃という広いシール温度領域で可剥性シールを発現させることができることが確認された。
これに対して、比較例1の場合、120℃前後でしか可剥性シールを発現させることができず、可剥性シールを得るためには、シール温度制御を高精度に行わなければならないことが判る。
【0023】
また、比較例2との対比から判るように、ポリブテンを添加することで低いシール温度でタイトシールを行うことができることが判る。
尚、表2において、シール強度が9.81N/15mm幅(1000gf/15mm幅をSI単位に換算したもの)以上の値は、フィルム自体が伸長してこれ以上シール強度が大きくならず、ヒートシール部分の破断に至らなかったことを意味する。
さらに比較例3、比較例4から判るように、ポリブテンを35wt%と過剰に添加した場合、タイトシールした際のシール強度が弱くなりすぎて、バッグインボックス等の重量包装物用の包装袋としては実用的でないことが判る。
【0024】
【発明の効果】
前述のような本発明によれば、可剥性を発現するヒートシールのシール温度領域が拡がるので、可剥性シールの安定性が大幅に増加する。そして、安定して可剥性シールを行うことができることにより、一部に可剥性シールを形成した包装袋において、可剥性シールによる閉塞を高速に行って、収納物の高速充填を実現できる。
Claims (2)
- 少なくとも1層がヒートシール層とされ、2層以上を共押出成形して得られるヒートシール用積層フィルムの前記シール層同士を溶着して形成される包装袋であって、
前記ヒートシール層は、密度0.900g/cm3〜0.940g/cm3の直鎖状低密度ポリエチレン94wt%〜55wt%と、1−ブテンホモポリマー、または90wt%以上のアイソタクチック1−ブテン重合体を含む1−ブテン共重合体30wt%〜5wt%と、密度0.890g/cm3以下のエチレン−α−オレフィン共重合体1wt%〜15wt%とからなる組成物で構成され、
ヒートシール温度の異なる複数のヒートシール部を備えていることを特徴とする包装袋。 - 請求項1に記載の包装袋において、
バッグインボックスまたはバッグインカートン用の内装袋であることを特徴とする包装袋。
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