JP4086546B2 - 包装袋および包装体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、易開封性を備えた包装袋および包装体に関し、例えば、バッグインカートン、バッグインボックスに用いられる内装袋として好適に用いることができる。
【0002】
【背景技術】
従来より、飲料等の液体、バター、クリーム等のゲル状の半固形体の包装形態として、いわゆるバッグインカートンまたはバッグインボックスという包装形態が利用されている。このバッグインカートンまたはバッグインボックスは、液体または半固形体を収納して包装体外への漏洩を防止する樹脂製の内装袋と、外部から作用する力によってこの内装袋が破れることを防止する段ボール等で形成した外装体とを備えている。
【0003】
このようなバッグインボックス用の内装袋を構成するフィルムには、収納物を漏洩させないために、フィルム強度、製袋した際のヒートシール性等が要求される。
この内装袋に用いられるフィルムとしては、例えば、特開昭59−64357号公報に示されるEVAおよびポリエチレンの共押出フィルム、特開平4−163041号公報に示されるLLDPEにエチレン−α−オレフィン重合体ゴムを配合した中間層を設けた多層フィルム、特開平9−328582号公報に示される特定のLLDPEに特定のポリプロピレン径の軟質樹脂を配合した樹脂組成物からなるフィルムが知られている。
【0004】
また、特開2000−153591号公報には、ポリエチレン層で3層サンドイッチ構造体を形成させた積層フィルム、特に3層の内外層を形成するポリエチレンの密度が、中間層を形成するポリエチレンの密度よりも大きな積層フィルムが提案されている。
これらのフィルムは、バッグインカートン、バッグインボックス用のフィルムとして好適なものとして挙げられ、主としてヒートシール強度の確保が必須とされている。
【0005】
ところで、前述のバッグインカートン、バッグインボックスに用いられる内装袋において、ワイン、ジュース等の液体収納用の内装袋としては、ポリプロピレン、ポリエチレン等の樹脂からなる内装袋の一部に注ぎ口を一体的に設け、この注ぎ口にスクリューキャップを取付可能にしたものが広く知られている。
一方、バター、クリーム等の半固形体収納用の内装袋は、液体の場合のように容器を傾けて注ぎ口から出すことができないため、使用時内装袋を破袋させて収納物を取り出すようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述したヒートシール強度が確保された内装袋を破袋させて収納物を取り出すには、カッタ、刃物等を用いる必要があり、開封作業が繁雑になるという問題がある。特に、レストラン、食品工場等では、バター、クリーム等を大量に使用するため、バッグインカートン、バッグインボックスという形態で購入する可能性が高く、いちいちカッタ等で開封していては手間がかかるという問題がある。
また、特開平9−12059号公報に示されるように、内装袋の端部にイージーピール性を持たせ、そこから開封するようなフィルムも提案されているが、フィルムの製造が困難であり、製造、材料コストが高騰してしまうため、現実的な対応とは言い難い。
【0007】
本発明の目的は、バッグインカートン、バッグインボックスの内装袋として、収納物が漏洩することのない十分なヒートシール性を具備しつつ、開封容易な包装袋およびこの包装袋を含む包装体を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ポリエチレンおよびポリブテン−1を混合すると、シール温度とシール強度との関係が略比例関係となる温度領域が生じるという知見に基づいて、本発明を想到するに至ったものである。
具体的には、本発明の包装袋は、シール層、中間層、及び外層からなる積層フィルムを重ね合わせ、互いに向き合う層をシール層として溶着されるガセット折部を有する包装袋であって、前記シール層は、密度0.900g/cm3〜0.940g/cm3のポリエチレンを95wt%〜70wt%、および密度0.880g/cm3〜0.920g/cm3のポリブテン−1を5wt%〜30wt%含み、前記外層は、密度0.900〜0.940g/cm3のポリエチレン100重量部に対してエチレン−α−オレフィン共重合体エラストマー(ポリブテン)20重量部以下添加されたものであり、シール温度とシール強度との関係が略比例関係にある範囲のシール温度でヒートシールした第1ヒートシール部と、シール温度の上昇に対してシール強度が略飽和した範囲のシール温度でヒートシールした第2ヒートシール部とを備えていることを特徴とする。
以上において、前記中間層は、高密度ポリエチレンであるのが好ましい。
【0009】
ここで、第1ヒートシール部のシール温度は、要するに、シール温度の上昇に伴ってシール強度が上昇するような領域であればよく、両者の関係は完全な比例関係である必要はなく、例えば、シール温度に対してシール強度が二時関数的に変化する場合も含むものである。
また、第2ヒートシール部のシール温度は、要するに、フィルム同士が完全にタイトシールされるような領域であればよく、シール温度の上昇に対してシール強度が略飽和した範囲、具体的には、ヒートシール部を含む試験片を引っ張った際、フィルムが延びてしまってシール強度が上昇しないような状態になればよい。
【0010】
さらに、ポリブテン−1の配合量が30wt%を超えると、飽和領域でのヒートシール強度を確保できず、重量物包装用には適さなくなる。
そして、ポリブテン−1の配合両が5wt%未満となると、前述した略比例関係となる範囲が極めて狭い温度領域でしか生じなくなり、第1ヒートシール部のシール強度を制御しにくくなる。
【0011】
また、シール温度とシール強度との関係を表す曲線は、略比例関係にある範囲の傾きが1.18N/15mm幅/℃(120gf/15mm幅/℃をSI単位に換算した値)以下であり、120℃におけるシール強度が7.85N/15mm幅(800gf/15mm幅をSI単位に換算した値)以上であるのが好ましい。
さらに、前記ポリエチレンおよび前記ポリブテン−1のより好ましい配合は、ポリエチレンが93wt%〜80wt%、ポリブテン−1が7wt%〜20wt%である。
そして、包装袋が収納物を挿入する開口部に向き合うように配置される底部と、この底部を囲むように形成され、底部と反対側の端部で開口部を画成する側部とを備えている場合、側部および/または底部の溶着が第2ヒートシール部で構成され、開口部を塞ぐ側部同士の溶着が第1ヒートシール部で構成されるのが好ましい。
【0012】
このような本発明によれば、包装袋の底部、側部等のヒートシール強度の確保が必要な部分を第2ヒートシール部でシールし、開口部等のイージーピール性が必要な部分を第1シール部でシールすることができるため、包装袋のヒートシール強度を確保しつつ、開封性の良好な包装袋とすることができる。また、このような材料構成をシール層とするだけでよいから、通常のヒートシール層の一部にイージーピール層を形成する必要もなく、材料コスト、製造コストの大幅な削減を図ることができる。
【0013】
以上において、包装袋を構成する積層フィルムとしては、前記シール層を内層とし、中間層および外層とした三層構成の積層フィルムを採用するのが好ましい。
中間層としては、密度0.915g/cm3〜0.945g/cm3、好ましくは0.920g/cm3〜0.940g/cm3のポリエチレンを採用するのが好ましく、例えば、LLDPE(Linear Low Density Polyethylene)、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンのいずれか一種またはこれらの混合物を採用することができる。
これらの中間層のうち、特に高密度ポリエチレンを採用することにより、包装袋を構成する積層フィルムに腰を持たせることができるため、開封時のイージーピール性を向上させることができる。
【0014】
外層としては、密度0.900g/cm3〜0.940g/cm3のポリエチレンを採用するのが好ましく、より好ましくは、エチレン−α−オレフィン共重合体エラストマーを、ポリエチレン100重量部に対して、20重量部以下添加したものを採用するのがよい。
このようにエチレン−α−オレフィン共重合体エラストマーを添加したポリエチレンを採用することにより、バッグインカートン、バッグインボックスで多く用いられる包装袋のガセット折部をヒートシールするに際して、外層同士の重ね合わせ部分もヒートシールできるため、ガセット折部のシール性を向上させることができる。
【0015】
また、本発明の包装袋を構成する積層フィルムの厚さは、用途、袋のサイズによって適宜選定することができるが、好ましくは、30μm〜200μm、より好ましくは40μm〜100μmとするのがよい。
さらに、内層および外層は、全フィルム厚に対して、それぞれ5%〜40%、とするのが好ましく、より好ましくは、10%〜30%とするのがよい。また、フィルムは、2層または3層構成に限定されるものではなく、必要に応じてナイロン等のガスバリア性フィルム層をさらに設けてもよい。
【0016】
そして、前記包装袋を構成する積層フィルムの製造は、インフレーション成形、Tダイ押出成形、ラミネート成形等種々の方法を採用することができる。
また、積層フィルムの各層には、必要に応じて、アンチブロッキング剤、スリップ剤、着色剤等のフィルム用添加剤を添加してもよい。
【0017】
【実施例】
以下、実施例及び具体例を挙げて本発明をより詳しく説明するが、本発明はこれに限られるものではない。
I.積層フィルムの製造
〔実施例1、実施例2〕
図1に示される内層11、中間層12、外層13からなる積層フィルム1を、三層共押出インフレーション成形により、折幅1500mmの筒状フィルムとして製造した。尚、筒状フィルムの内側が内層11であり、外側が外層13となるように共押出成形を行った。
また、フィルム厚さは、60μmであり、各層の比は、内層/中間層/外層=25%/50%/25%である。
実施例1および実施例2は、内層11の材料構成が相違し、具体的な各層の材料を表1に示す。
【0018】
〔比較例1〕
実施例1、実施例2の内層11に添加されているポリブテン等を添加せず、LLDPEのみで内層を形成し、その他は、実施例1、実施例2と同様の方法により積層フィルムを形成した。具体的な積層フィルムの材料構成を表1に示す。
【0019】
【表1】
【0020】
尚、表1中、LLDPE、HDPE、ポリブテン、エラストマー、アンチブロッキング剤、スリップ剤、着色剤は、以下の材料を使用した。また、下記材料中の密度の測定は、JIS K7112に準拠して行い、MFR(Melt Flow Ratio)の測定は、JIS K7210に準拠して行った。
(1)LLDPE:出光石油化学株式会社製 MORETEC IDEMITSU
LL0138H(密度0.917g/cm3、MFR1.3g/10分)
(2)HDPE:出光石油化学株式会社製 IDEMITSU HD(密度0.947g/cm3、MFR0.21g/10分)
【0021】
(3)ポリブテン:三井化学株式会社製 タフマーBL BL−3110(密度0.910g/cm3、MFR1.0g/10分)
(4)エラストマー:三井化学株式会社 タフマー A−4085(密度0.880g/cm3、MFR3.6g/10分)
(5)アンチブロッキング剤:15wt%のマスタバッチにより添加した。
(6)スリップ剤:5wt%のマスタバッチにより添加した。
(7)着色剤:60wt%のマスタバッチにより添加した。
【0022】
II.袋の製造
実施例1、実施例2、比較例1で製造した筒状フィルム1を、図2に示されるように両側折り返し部分で内側にガセット折りし、図3に示される筒状フィルム1の下端縁Dを温度120℃、圧力19.6N/cm2(2kgf/cm2をSI単位に換算した値)でヒートシールして袋底部を形成した(第2ヒートシール部)。
続けて、各袋に粘調物を充填し、袋の上端縁Uを温度110℃、圧力19.6N/cm2(2kgf/cm2をSI単位に換算した値)でヒートシールして開口部を塞いだ(第1ヒートシール部)。
【0023】
III.評価方法
(1)シール強度の傾き測定
東洋精機製の熱傾斜試験機により、実施例1、実施例2、比較例1の内層11材料のシール曲線を測定し、二次近似曲線を作成してシール強度2.94N/15mm幅(300gf/15mm幅をSI単位に換算した値)でのシール温度に対するシール曲線の傾きを求めた。傾きを求めるために作成した二次近似曲線を図4に示す。
(2)シール強度の測定
各実施例および比較例1の袋について、第1ヒートシール部が幅15mmとなるように袋を切りだし、また同時に第2ヒートシール部が幅15mmとなるように袋を切りだして試験片を作成し、各試験片のフィルム端部をテンシロンにより引っ張ってヒートシール部が破断する荷重を測定した。
各試験結果を表2に示す。
【0024】
【表2】
【0025】
尚、表2中「〜以上」とあるのは、引っ張り試験時、フィルムが延びてしまい、それ以上のシール強度測定ができなくなってしまった状態を意味する。
【0026】
IV.評価結果
図4の実施例1、実施例2のグラフから判るように、内層11にポリブテンを添加することにより、シール曲線にシール温度およびシール強度の関係が略比例関係となる部分が発現している。従って、この部分を利用して第1ヒートシール部とすることにより、4.90N/15mm幅(500gf/15mm幅をSI単位に換算した値)という疑似融着部分を形成することができるため、第1ヒートシール部の開封性を向上させることができることが判る。
これに対して比較例1は、シール曲線の立ち上がりの傾斜が急になっているため、シール温度を110℃に下げると融着しないため、疑似融着部分を形成できず、120℃とするとシール強度が出過ぎてしまい、易開封性を確保できない。
【0027】
また、実施例1と実施例2とを対比すると、実施例2の場合、ポリブテンの他にエラストマーを添加したことにより、120℃におけるシール強度がフィルムの材料破壊として現れている点を鑑みれば、フィルム強度が向上していると考えられる。
【0028】
【発明の効果】
前述のような本発明によれば、包装袋の底部、側部等のヒートシール強度の確保が必要な部分を第2ヒートシール部でシールし、開口部等のイージーピール性が必要な部分を第1シール部でシールすることができるため、包装袋のヒートシール強度を確保しつつ、開封性の良好な包装袋とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る積層フィルムの構成を表す断面図である。
【図2】前記実施例における製袋方法を表す模式図である。
【図3】前記実施例におけるヒートシール部分を表す模式図である。
【図4】前記実施例におけるシール温度とシール強度の関係を表すグラフである。
【符号の説明】
1 積層フィルム
11 シール層
U 第1ヒートシール部
D 第2ヒートシール部
Claims (5)
- シール層、中間層、及び外層からなる積層フィルムを重ね合わせ、互いに向き合う層をシール層として溶着されるガセット折部を有する包装袋であって、
前記シール層は、密度0.900g/cm3〜0.940g/cm3のポリエチレンを95wt%〜70wt%、および密度0.880g/cm3〜0.920g/cm3のポリブテン−1を5wt%〜30wt%含み、
前記外層は、密度0.900〜0.940g/cm3のポリエチレン100重量部に対してエチレン−α−オレフィン共重合体エラストマー(ポリブテン)20重量部以下添加されたものであり、
シール温度とシール強度との関係が略比例関係にある範囲のシール温度でヒートシールした第1ヒートシール部と、
シール温度の上昇に対してシール強度が略飽和した範囲のシール温度でヒートシールした第2ヒートシール部とを備えていることを特徴とする包装袋。 - 請求項1に記載の包装袋において、
前記中間層は、高密度ポリエチレンから構成されていることを特徴とする包装袋。 - 請求項1又は請求項2に記載の包装袋において、
前記シール温度とシール強度との関係を表す曲線が、略比例関係にある範囲の傾きが1.18N/15mm幅/℃以下であり、120℃におけるシール強度が7.85N/15mm幅以上であることを特徴とする包装袋。 - 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の包装袋において、
収納物を挿入する開口部に向き合うように配置される底部と、この底部を囲むように形成され、前記底部と反対側の端部で前記開口部を画成する側部とを備え、
前記側部および/または前記底部の溶着が前記第2ヒートシール部で構成され、
前記開口部を塞ぐ側部同士の溶着が前記第1ヒートシール部で構成されることを特徴とする包装袋。 - 請求項1〜請求項4のいずれかに記載の包装袋を内装袋とし、この内装袋を覆う外装体を含んで構成されることを特徴とする包装体。
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