JP3993424B2 - 電池用電解質溶液の固形化材および電池 - Google Patents

電池用電解質溶液の固形化材および電池 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電池の電解質溶液の固形化材(以下「電解質溶液の固形化材」を単に「固形化材」という)および該固形化材を構成要素として含む電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より電池の電解質溶液は液状であるので、安全性の面からも電解質溶液は容器に格納されている。該電解質溶液を長期的に安全に保持するためには、上記容器は頑丈である必要があり、その結果、電池を薄型にすることは困難であった。近年、高分子物に電解質溶液を吸収させて電解質溶液を固形化することが提案されている。このアプローチは、電池から電解質溶液の漏洩を防ぎ、電池の安全性を向上させるだけでなく、電池の形状の自由性、電池の薄型化、耐久性の向上、さらには大面積化による高出力が期待されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
電解質溶液を固形化する従来の高分子物は、架橋構造を有しており、溶剤に不溶性であり、かつ熱によって溶融されないことから、均一な厚さの薄いフィルムに成形することができない。電池の小型化、特に、薄型化には薄いフィルム状の固体電解質の使用が必須であるが、上記高分子物を薄いフィルム状に成形できないことから、均一な厚みで薄いフィルム状の固体電解質を得ることは困難であった。
従って、本発明の目的は、均一な厚さでかつ薄膜のフィルムまたはシート(以下両者を纏めて「フィルム」という場合もある)に成形可能であり、電池の電解質溶液を容易に吸収して固形化し得る電解質溶液の固形化材を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的は以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明は、電池用電解質溶液に対して非親和性である重合体A(セグメントA)と、電解質溶液に対して親和性である重合体B(セグメントB)とからなり、電解質溶液を吸収して固形化するブロック共重合体であって、該ブロック共重合体の最小単位がA−B−Aであり、上記セグメントBには、それぞれ−S−結合を介してカルボキシル基、エステル基、水酸基、スルホン酸基、アミノ基、環状カーボネート基およびポリオキシアルキレン基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基が結合していることを特徴とする電解質溶液の固形化材、および該固形化材を構成要素として含む電池を提供する。
【0005】
また、本発明は、上記本発明の固形化材からなるフィルムと、該フィルムを補強する支持体とからなり、該支持体が、織布、不織布または多孔質フィルムであることを特徴とする電解質溶液の固形化材、および該固形化材を構成要素として含む電池を提供する。
【0006】
本発明の固形化材は、適当な溶媒に溶解または微分散させることが可能、あるいは熱によって溶融させることが可能であるので、任意の厚みのフィルムに成形することができる。また、このフィルムを支持体によって補強することによって、その強度を高めることができるのでより薄膜化が可能である。これらのフィルム状固形化材は電解質溶液を良好に吸収して、該溶液を固形化することができ、該固形化された電解質溶液は良好な導電性を有し、電池の固体電解質として有用である。
【0007】
【発明の実施の形態】
次に好ましい実施の形態を挙げて本発明をさらに詳細に説明する
発明の固形化材は、電解質溶液に対して非親和性である重合体A(セグメントA)と、電解質溶液に対して親和性である重合体B(セグメントB)とからなり、電解質溶液を吸収して固形化するブロック共重合体であって、該ブロック共重合体の最小単位がA−B−Aであり、上記セグメントBには、それぞれ−S−結合を介してカルボキシル基、エステル基、水酸基、スルホン酸基、アミノ基、環状カーボネート基およびポリオキシアルキレン基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基が結合していることを特徴とする。
【0008】
上記固形化材の原料として使用するブロック共重合体は、セグメントAと、不飽和二重結合基を含有するセグメントBとのブロック共重合体である。これらの原料ブロック共重合体は、工業材料第24巻第12号(1976)「特集熱可塑性エラストマー」、石油学会誌第18巻565頁(1975)などにおいて記載されている。これらのブロック共重合体は、それらの各セグメントの結合様式がいわゆるテレ−ブロック(tele-block)共重合体型あるいはマルチ−ブロック(Multi-block)共重合体型、星型ブロック共重合体型という名称で表現されてい るように、不飽和二重結合を含有するセグメントBの2点間をセグメントAで挟んだ(セグメントA)−(セグメントB)−(セグメントA)のような構造を有する高分子物である。また、セグメントAとセグメントBのシングル−ブロック(Single-block)共重合体がこの中に混入してもよい。該高分子物は重量平均分子量10,000〜500,000であることが好ましい。
【0009】
発明の固形化材を構成するセグメントAとしては、ポリスチレン、ポリエチレンおよびポリプロピレンから選ばれる1種が好ましい。また、セグメントBとしてはポリブタジエン、ポリクロロプレンおよびポリイソプレンから選ばれる1種が好ましい。上記セグメントAは、ブロック共重合体中で結晶化しており、ブロック共重合体を常温で物理的に架橋させている。また、このセグメントAは、電池の電解質溶液、例えば、濃厚水酸化カリウム水溶液に対して優れた非親和性(不溶性)を有している。
【0010】
ブロック共重合体中のセグメントAの含有量は、0.5〜70重量%であることが好ましい。セグメントAの量が0.5重量%未満では、セグメントAによる共重合体の結晶化の作用が発現せず、70重量%を超えると電解質溶液に対する固形化材の吸液率が小さくなる。より好ましくは1.0〜50重量%の範囲である。
【0011】
本発明の固形化材を構成するセグメントBは、上記の通りポリブタジエン、ポリクロロプレンおよびポリイソプレンからなる群から選ばれた1種であり、その重量平均分子量10,000〜300,000の重合体であることが好ましい。該セグメントBの含有量は、ブロック共重合体中において99.0〜50重量%、好ましくは95.5〜30重量%である。
【0012】
上記セグメントBは、−S−結合を介して電解質溶液に対する親和性基を有している。該親和性基としては、カルボキシル基、エステル基、水酸基、スルホン酸基、アミノ基、環状カーボネート基、エーテル基などであり、エーテル基では、ポリオキシエチレン基またはポリオキシプロピレン基の単独あるいはこれらのブロックまたはランダム共重合体が挙げられる。エステル基は、その加水分解などによってセグメントBに電解質溶液に対する親和性を発現させることができる。これらの親和性基は電解質溶液に対応して適切に選択および組み合わせる。例えば、電解質溶液としては水系と非水系があり、何れかの系の溶液を吸収するような親和性基を選択してセグメントBに導入することが好ましい。
【0013】
上記セグメントBに前記親和性基を導入する方法としては、例えば、メルカプト基(−SH)を1個を有する親和性化合物、酸性亜硫酸ソーダなどを、セグメントB中の二重結合に付加させる方法が挙げられる。メルカプト基を有する化合物としては、例えば、チオグリコール酸、チオ乳酸、チオリンゴ酸、チオ琥珀酸、チオサリチル酸、メルカプトプロパンスルホン酸、チオエタノールアミン、チオグリコール、チオグリセリンなどが挙げられる。これらのメルカプト化合物、酸性亜硫酸ソーダなどを、フリーラジカル発生剤、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシアノバレリック酸、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、キュメンハイドロパーオキサイド、過硫酸アンモニウムおよびそのアルカリ塩、過酸化水素などの存在下で、あるいは加熱のみでセグメントBに付加され、本発明の固形化材が得られる。
【0014】
セグメントBに−S−結合を介してポリエチレンオキサイド基またはポリプロピレンオキサイド基を導入する方法としては、前記方法にて共重合体中に水酸基またはカルボキシル基を導入し、これらの導入基にエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドを付加重合させることによって行なわれる。付加されるポリエチレンオキサイド基またはポリプロピレンオキサイド基の重量平均分子量は200〜1,000の範囲が好ましい。
【0015】
前記親和性基の導入に際しては溶媒を用いて行なうことが好ましい。好ましい溶媒としては、例えば、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、トルエン、キシロール、ターペン、ペンタン、ナフテン、灯油、メチルエチルケトン、アセトン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアルデヒド、ジオキソラン、ジオキサン、エチルセロソルブ、ジエチルセロソルブ、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、ブチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、エチルアルコール、メタノール、水などが挙げられる。
【0016】
以上の如くして得られる発明の固形化材は、水系溶解型、水分散型、溶剤分散型、溶剤溶液型、粉末状などの何れの形態でも採り得る。以上の如くして得られる固形化材の製造方法自体は、本出願人が開示した特開平1−168968号公報に示してある
【0017】
発明の固形化材はフィルム状であることが好ましい。フィルム化の方法としては、前記固形化材の溶液または分散液を用いて流延および乾燥するキャスト方法、あるいは熱可塑性樹脂に粉末の固形化材を分散し、該分散物を押出方式、カレンダー方式などでフィルム化する方法が挙げられる。特に得られるフィルムに優れた強度を付与するために、前記固形化材の溶液または粉末に、電解質溶液に不溶性の天然または合成の樹脂を添加することができる。
【0018】
上記天然または合成の樹脂としては、例えば、天然ゴム、並びにクロロプレン、イソプレン、ブチルゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、これらの水素添加物などの合成ゴムが挙げられる。これらの共重合体は、ランダム、ブロックあるいはグラフトのいずれの結合様式の共重合体であってもよい。この天然または合成の樹脂の添加量は、固形化材の85重量%以下であることが好ましい。添加量が85重量%を超えると、得られるフィルム状固形化材の電気伝導度が小さく、固形化材としては使用できない。その他の添加剤として可塑剤も使用でき、特に耐薬品性のあるプロセスオイルが有効である。
【0019】
以上の如くして得られるフィルムの厚さは0.0001〜2mmである。0.0001mm未満の厚みでは均質なフィルムが得られない場合がある。また、2mmを超えるとフィルム化が困難であり、仮にフィルム化ができたとしても、電解質溶液の吸収に長時間を必要とするし、また、このような厚みでは薄型の電池が得られない。
【0020】
発明の固形化材は、固形化材からなるフィルムと、該フィルムを補強する支持体とからなり、該支持体が、織布、不織布または多孔質フィルムであることを特徴とする。上記固形化材は、前記発明のブロック共重合体である。
【0021】
電解質溶液が水系溶液のときは、固形化材は、イオン親和性基を含有することが好ましく、非水系溶液の場合は、アルカリイオンの移送に係るポリエチレンオキサイド基を含有することが重要である。固形化材に吸収させる電解質溶液の量は、該固形化材に対して5〜5,000重量%の範囲であり、好ましくは10〜1,000重量%である。吸収量が5重量%未満では固形化された電解質溶液の電気伝導度が不充分であり、1,000重量%を超えると膨潤ゲル(電解質溶液を吸収して膨潤した固形化材)の強度が脆弱となる。
【0022】
発明の固形化材は、上記の固形化材と補強用支持体から構成される。固形化材の成形性および成形物の強度を上げるために、固形化材にエラストマー特性を有する電解質溶液に対して親和性のない重合体を添加することが好ましい。このような重合体は、発明において述べた天然ゴムおよび合成ゴムのいずれでもよい。
【0023】
固形化材を補強するために、支持体として織布、不織布あるいは多孔質フィルムを用いることができる。これらの材質は、例えば、ポリエチレン、ポロプロピレン、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ弗化ビニルなどである。好ましくは、耐薬品に優れているポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリルである。水系の電解質溶液の場合には、固形化材を含む塗布液を安定化するために、スルホン酸基などを導入した親水性支持体が好ましい。さらにはポリアクリロニトリル繊維からなる織布または不織布の表面を濃硫酸などで加水分解して、カルボキシル基を導入したものでもよい。なお、かかる処理は繊維の表面のみで十分である。
【0024】
支持体としての織布、不織布或いは多孔質フィルムは、厚さが1〜1,200μmの範囲が好ましく、さらに好ましくは2〜400μmである。1μm未満ではこれらの調製が困難であり、1,200μmを超えると薄いフィルム状固形化材を形成することは困難である。また、不織布の開口率は95〜10%の範囲が好ましい。開口率が95%を超えると固形化材に対する補強効果が小さく、10%未満では電解質溶液を吸収および固形化したフィルムの電気伝導性が著しく小さくなる。織布の織り方は特に制限されず、例えば、平織(plain)、綾織(twilled)、平畳織(plain dutch)、綾畳織(twilled dutch)などのいずれでもよい。
【0025】
固形化材を補強用支持体へ固着させる方法としては、例えば、(1)塗布液(固形化材の分散溶液)の中に補強用支持体を浸し、マングルなどで絞り、乾燥する方法、(2)補強用支持体に、上記塗布液をグラビアコータ、コンマコータ、リバースコータ、ブレードコータなどを用いてコーティングし、乾燥する方法、(3)固形化材を公知の方法で製膜し、これを補強用支持体に貼付(例えば、固形化材のキャストフィルムを熱ロールあるいはプレスで圧着する)する方法などが挙げられる。場合によっては、補強用支持体に塗布液を塗布した後、これを貧溶媒に投入して固形化材層を多孔質化し、乾燥する方法を用いることができる。
【0026】
本発明の固形化材に電解質溶液を吸収させるに際しては、例えば、補強用支持体で補強されたフィルム状固形化材に電解質溶液を吸収させる方法、固形化材の溶液に電解質溶液を入れて混合液とし、これをフィルム状固形化材に吸収させた後、乾燥して電解質溶液を吸収した固形化材フィルムを調製する方法などが挙げられるが、特に限定されない。また、場合によっては電池の電極に支持体を貼付し、これを固形化材の溶液に浸漬或いは該溶液を塗布および乾燥させ、これに電解質溶液を吸収させることもできる。この方法は、電極と電解質溶液を固形化したフィルムとの界面(インターフェース)での相互の接触を良好にする効果があり、好ましいものである。
【0027】
以上の発明の固形化材に吸収させる電池の電解質としては、希硫酸、塩化カリウム、塩化亜鉛、水酸化カリウム、過塩素酸リチウム、LiBF、LiPF6、LiCF3SO3、LiN(CF3SO22、LiC(CF3SO22などのリチウム塩が挙げられる。
【0028】
また、上記電解質溶液の媒体としては、例えば、水、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、メチルフォメート、酢酸メチル、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタンなど、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0029】
【実施例】
次に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、文中「部」または「%」とあるのは特に断りのない限り重量基準である
施例1(固形化材Aの製造例)
15部のポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレンからなるブロック共重合体(ポリスチレン含有量30%、重量平均分子量10万)を、45部のトルエンと75部のシクロヘキサンと35部のメチルエチルケトンとからなる混合溶媒に溶解し、窒素気流下で70℃に昇温した。この中に20部のチオグリコール酸と0.3部のアゾビスイソブチロニトリルを添加して12時間付加反応させた。この反応液を、飽和Na2SO4水溶液で洗浄して反応液中の未反応のチオグリコール酸を抽出除去した。洗浄後の溶液に15%の水酸化カリウムメタノール溶液73部を添加して、得られた固形化材中のカルボキシル基をカリウム塩とした。
【0030】
その後溶媒を留去して溶液の固形分を30%に調整した。該溶液中の固形分を赤外吸収スペクトル分析した結果、ポリブタジエンの不飽和基は殆ど消失していた。この溶液中に懸濁している粒子の粒径を光散乱法(コールタ社N4タイプ)で測定した結果、粒子は粒径約100nmであった。また、該溶液から取り出した固形化材Aの脱イオン水に対する膨潤度は3,000%であった。
【0031】
試験1(熱水酸化カリウム耐久試験)
上記固形化材Aを20%水酸化カリウム水溶液(電解質溶液)に入れ、80℃で3ヶ月間連続で静置した。該固形化材Aによる水酸化カリウム溶液の吸収量は400%であり、該固形化材Aには変化は認められなかった。
【0032】
試験2
前記固形分30%の固形化材Aの溶液と、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン(SBR−TR)ブロック共重合体(ポリスチレン含有量30%、重量平均分子量10万)のトルエン/メチルエチルケトン溶液(固形分濃度20%)とを、下記表1に記載のそれぞれの固形分比(重量比)で混合し、該混合液をそれぞれガラス板の上に流延して乾燥し、厚さ約100μmのフィルムを作成した。
【0033】
各フィルムの吸液率を、吸液状態のフィルムの電気伝導度と共に表1に示した。吸液率は、次のようにして求めた。各溶液(脱イオン水、10%塩化カリウム水溶液)にフィルムのサンプルをそれぞれ24時間浸漬し重量変化より算出した。一方、電気伝導度は、以下のようにして求めた。25℃で各溶液(脱イオン水、10%塩化カリウム水溶液)にフィルムのサンプルをそれぞれ24時間浸漬し、取り出して1cm2の白金のプレートに挟み、6Vの電圧を掛けてその時の電流より算出した。
【0034】
Figure 0003993424
【0035】
上記表1より、固形化材Aの含有量が25%以上において、各溶液を吸収したフィルムは十分な電気伝導度を示すことが分かった。これらの結果からして、本発明の固形化材が、カドニカ電池、ニッケル−水素電池などの電解質溶液の固形化材として有用であることが分かる。
【0036】
実施例2(固形化材Bの製造例)
8部のポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレンからなるブロック共重合体(ポリスチレン含有量30%、重量平均分子量10万)を、50部の石油系溶媒と80部のメチルエチルケトンとの混合溶媒に溶解し、窒素気流下70℃に昇温させた後に、12部のチオグリセリンと0.2部のアゾビスイソブチロニトリルを添加して12時間付加反応させた。反応終了後に飽和Na2SO4水溶液で洗浄し、反応液中の未反応のチオグリセリンを抽出除去した。
【0037】
この溶液中にアルカリ触媒下でエチレンオキサイドを吹き込み、水酸基1個当たり3モルのエチレンオキサイドを付加させた。この溶液中の微粒子の粒径は、光散乱法(コールタ社N4タイプ)で測定した結果、約200nmであった。溶液から取り出した固形化材Bの脱イオン水に対する膨潤度は2,000%であった。
【0038】
なお、上記固形化材Bは、例えば、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、メチルエチルケトンなどの他の溶媒も約500〜1,000%吸収することができる。このことからこの固形化材Bは、リチウム電池の非プロトン性溶媒からなる電解質溶液の固形化材としても利用できる
【0039】
施例(固形化材Dの製造例)
特開昭55−56615号公報に記載の方法に従って、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレンからなるブロック共重合体(ポリスチレン含有量40%、重量平均分子量15万)のポリブタジエンの二重結合にチオグリコール酸カリウムを95モル%付加して固形化材Dを調製した。
【0040】
トルエン/シクロヘキサン/MEK(35/35/30:重量比)の混合溶媒と上記の固形化材Dを混合し、固形分を25%に調整した。この溶液中の上記固形化材Dの平均分散粒子径は、光散乱法(コールタ社製N4タイプ)で測定(以下も同様。)した結果、約100nmであった。前記固形化材Dの脱イオン水に対する膨潤度は100倍であった。
【0041】
実施例(固形化材Eの製造例)
上記と同様にしてポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレンからなるブロック共重合体(ポリスチレン含有量30%、重量平均分子量10万)のポリブタジエンの二重結合にチオグリコールを90モル%付加し、この水酸基にエチレンオキイドを平均7モルを付加して固形化材Eを調製した。これをトルエン/シクロヘキサン/MEK(35/35/30:重量比)の混合溶媒と混合し、固形分20%に調整した。この溶液中の上記固形化材Eの平均分散粒径は、約200nmであった。前記固形化材Eの脱イオン水に対する膨潤度は10倍であった。
【0042】
下記の補強用支持体を用意した。
(1)ポリプロピレン製織布(厚さ0.122mm、目付量33g/m2、糸の太さ0.080mm、オープニング径:0.098mm)の表面をスルホン化した織布。
(2)厚さ0.081mm、目付量45g/m2のポリアクリロニトリルからなる不織布を硫酸で処理し、繊維表面を加水分解したもののカリウム塩(不織布(A))。
(3)不織布(ポリプロピレン繊維:厚さ0.1mm、目付量33g/m2、気密度3sec/リットル)の表面をスルホン化した不織布(不織布(B))。
【0043】
実施例(固形化材フィルム1の製造例)
固形化材D/ポリスチレン−ポリブタジエン系ブロック共重合体(スチレン30%、重量平均分子量10万。以下も同様)/芳香族系プロセスオイルを64/21/15の重量比率でトルエンと混合し、固形分を20%に調整し、固形化材の塗布液を得た。前記の織布(1)の両面に上記塗布液を塗布し、80℃で24時間乾燥して厚さ0.11mmの固形化材フィルム1を得た(塗布量=100g/ m2:乾燥基準。以下も同様。)。
【0044】
実施例(固形化材フィルムの製造例)
固形化材D/ポリスチレン−ポリブタジエン系ブロック共重合体/芳香族系プロセスオイルを64/21/15の重量比率でトルエンと混合し、固形分で20%に調整して塗布液を得た。前記の不織布(A)の両面に塗布液を塗布し、80℃で24時間乾燥して厚さ0.9mmの固形化材フィルムを得た(塗布量40g/m2)。
【0045】
実施例(固形化材フィルムの製造例)
固形化材D/ポリスチレン−ポリブタジエン系ブロック共重合体/芳香族系プロセスオイル=64/21/15の重量比率でトルエンと混合し、固形分を20%に調整して塗布液を得た。前記不織布(B)の両面に該塗布液を塗布し、80℃で24時間乾燥して厚さ0.12mmの固形化材フィルムを得た(塗布量=45g/m2)。
【0046】
試験
以上の実施例の各固形化材フィルムについて以下の特性の評価を行なった。結果を表に示す。
(1)固形化材フィルムの強度
15mm幅の各フィルムを用い、20℃、60%RHの環境下で強度測定機(東洋精機社製ストログラフE−L)で引張り速度100mm/分で引張り強度を測定した。測定は各サンプルともそれぞれ10回行い、その平均値を測定データとした。
【0047】
(2)電気伝導度
25℃で、10%塩化カリウム水溶液および脱イオン水に各フィルムのサンプルを24時間浸漬した後取り出し、2枚の1cm2の白金プレートで挟み、6Vの電圧を掛けた時の電流より算出した。
【0048】
(3)吸液率(%)
各フィルムを10%塩化カリウム水溶液に室温で24時間浸漬した後取り出し、表面を拭いた時の重量を求め、下記式で計算する。
Figure 0003993424
Figure 0003993424
【0049】
(4)表面状態
織布または不織布に塗布液を塗布後の状態を目視で観察し、以下の基準で表示する。
◎:極めて平滑かつ均一である。
○:平滑で均一良好。
×:凸凹があり、塗布が困難。
【0050】
Figure 0003993424
【0051】
実施例(固形化材フィルムの製造例)
固形化材E/ポリスチレン−ポリブタジエン系ブロック共重合体/過塩素酸リチウム/エチレンカーボネート/プロピレンカーボネートを1/0.5/1/10/10の重量比率でテトラヒドロフランと混合し、固形分を20%に調整して塗布液を得た。前記の不織布(A)の両面に塗布液を塗布し、60℃で48時間乾燥して厚さ0.12mmの固形化材フィルムを得た。このフィルムはイオン伝導度が2.0×10-3S/cmであり、リチウム電池に利用できるものである。
【0052】
【発明の効果】
以上の如き本発明によれば、均一な厚さでかつ薄膜のフィルムであり、電池の電解質溶液を容易に吸収して固形化し得る電解質溶液の固形化材を提供することができる。
また、以上説明した本発明によれば、固形化材を補強用支持体で補強することによって固形化材の膜強度が向上し、より薄膜化できるとともに、電解質溶液を吸収する際の膜の体積が増加する方向が、断面方向、すなわち、電極面に延びるために電極と膜との接触が確実かつ強固なものとなる。特に支持体としての織布は開口面積が大きい割合に強度があり、電気伝導度の低下が小さく、さらに粒径の大きい固形化材も使用できる利点がある。

Claims (9)

  1. 電池用電解質溶液(以下単に「電解質溶液」という)に対して非親和性である重合体A(セグメントA)と、電解質溶液に対して親和性である重合体B(セグメントB)とからなり、電解質溶液を吸収して固形化するブロック共重合体であって、該ブロック共重合体の最小単位がA−B−Aであり、上記セグメントBには、それぞれ−S−結合を介してカルボキシル基、エステル基、水酸基、スルホン酸基、アミノ基、環状カーボネート基およびポリオキシアルキレン基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基が結合していることを特徴とする電解質溶液の固形化材。
  2. セグメントAが、ポリスチレン、ポリエチレンおよびポリプロピレンからなる群から選ばれた重量平均分子量10,000〜500,000の重合体であり、その含有量がブロック共重合体中において0.5〜70重量%であり、セグメントBが、ポリブタジエン、ポリクロロプレンおよびポリイソプレンからなる群から選ばれた重量平均分子量10,000〜300,000の重合体である請求項1に記載の電解質溶液の固形化材。
  3. さらにブロック共重合体の85重量%以下の、電解質溶液に対して非親和性であるエラストマーを含む請求項1に記載の電解質溶液の固形化材。
  4. 厚みが、0.0001〜2mmのフィルムまたはシートに成形されている請求項1に記載の電解質溶液の固形化材。
  5. 請求項1〜の何れか1項に記載の電解質溶液の固形化材を構成要素として含むことを特徴とする電池。
  6. 請求項4に記載のフィルムまたはシートと、該フィルムまたはシートを補強する支持体とからなり、該支持体が、織布、不織布または多孔質フィルムであることを特徴とする電解質溶液の固形化材。
  7. 支持体が、ポリエチレンまたはポリプロピレン製である請求項に記載の電解質溶液の固形化材。
  8. 支持体が、厚さが1〜1,200μmおよび開口率が95〜10%のフィルムまたはシートである請求項に記載の電解質溶液の固形化材。
  9. 請求項の何れか1項に記載の電解質溶液の固形化材を構成要素として含むことを特徴とする電池。
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