JP3992036B2 - 熱現像装置 - Google Patents

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Description

本発明は、熱現像装置及び熱現像方法に関し、特に熱現像材料を、加熱したドラム外周面に保持することによって画像の形成を行う熱現像装置及び熱現像方法に関する。
医療分野で診断のために用いられる人体の内部等を撮影した画像においては、医師等がより的確な判断を下せるよう、たとえば1000乃至4000階調という、きわめて高階調の画像を形成することが要求されている。文献1にはこのように高階調の画像を形成するために、シート状の熱現像材料を、加熱したドラムの外周面に連続して供給することにより、かかる熱現像材料に熱反応を生じさせ、それにより潜像として形成された画像を可視的画像として形成できる熱現像装置が開発されている。かかる熱現像装置によれば、シート状の熱現像材料を、一定の回転速度で回転するドラムの外周面に供給し、熱現像材料を保持しつつドラムが所定の回転角度だけ回転した後、加熱された熱現像材料をドラムの外周面から引き剥がし、同時に新たな熱現像材料を前記ドラムの外周面に供給するようになっているため、シート状の熱現像材料を効率的に加熱することが可能となっている。
特表平10−500497号公報
ところで、所定の熱現像温度に温度制御された加熱部材により熱現像材料を保持しながら加熱する熱現像装置(たとえば特表平10−500497号に開示された装置)では、加熱部材の温度ムラに基づいて、熱現像材料に形成される画像に濃度ムラが生じることが判明した。このような温度ムラを抑制すべく、たとえば加熱部材の温度制御を適切に行う等様々な工夫が考えられているが、熱現像材料に形成される画像の濃度ムラを完全に解消するには未だ不十分である。
本発明は、従来技術とは異なる視点から、かかる問題を解消すべくなされたものであり、画像の濃度ムラの発生を抑制し、濃度を安定化させることができる熱現像装置及び熱現像方法を提供することを目的とする。
本発明者は、このような濃度ムラの発生原因を鋭意検討した結果、以下のことを発見し、本発明を成したものである。
すなわち、熱現像された感光性熱現像材料の画像の濃度ムラは、加熱部材により加熱される感光性熱現像材料の温度ムラに起因するものであり、温度ムラを解消するためには、加熱部材と感光性熱現像材料の間における熱収支を適切に管理する必要がある。ところが、きわめて不安定である熱収支を精密に制御することは、一般的には困難である。更に、加熱部材のごとく熱容量の大きなものを加熱又は冷却するには、ある程度時間がかかる(すなわち応答時間が比較的長い)ため、微妙な温度調整を行うことは困難といえる。一方、感光性熱現像材料を露光する際に、ビーム光の露光量を調整することにより、現像される画像の濃度調整がある程度可能である。
従って、本発明の熱現像装置は、ビーム光を偏向光学系により感光性熱現像材料上を特定方向に走査して露光し、画像データに対応する潜像を形成する露光部と、前記露光部で露光された感光性熱現像材料を熱現像する熱現像部と、を有する熱現像装置において、
熱現像を行う対象の感光性熱現像材料に対し、直前に熱現像された感光性熱現像材料の巾手方向のサイズを記憶し、その巾手方向のサイズデータに基づいて補正データを求め、該補正データに基づいて画像データを生成する画像データ補正部とを有し、
該画像データ補正部によって補正された画像データに基づいて、前記露光部で露光し、補正された画像データに対応する潜像を形成することを特徴とする熱現像装置である。
露光部が、たとえドラムの温度ムラが発生しても、本熱現像装置で熱現像された感光性熱現像材料に画像の濃度ムラが発生することを抑制できる。
発明の実施するための最良の形態
以下、本発明の一例である発明の実施の形態及び実施例を説明する。従って、発明の用語の意義や発明自体を、発明の実施の形態及び実施例の記載により限定して解釈すべきではなく、適宜変更/改良が可能であることは言うまでもない。尚、発明の実施の形態及び実施例の欄で用いる平均粒径や平均粒子サイズは、特に断りのない限り、体積平均粒径である。
図1は、本発明の実施の形態にかかる熱現像装置の正面図であり、図2は、かかる熱現像装置の左側面図である。熱現像装置100は、実施例に示すシート状のハロゲン化銀写真感光性熱現像材料であるフィルムFを現像する装置で、フィルムFを1枚ずつ給送する給送部110と、給送されたフィルムFを露光する露光部120と、露光されたフィルムFを現像する現像部130とを有している。図1,2を参照して、熱現像装置100の動作について説明する。
図2において、給送部110は堆積された複数枚のフィルムFを収容するトレイTが上下二段に設けられている。各トレイTの前方端部側の上部には、フィルムFの前端部を吸着して上下動する吸着ユニット111が設けられている。また、吸着ユニット111の近傍には、吸着ユニット111により供給されたフィルムFを矢印(1)方向(水平方向)へ給送する給送ローラ対112が設けられている。また、吸着ユニット111は前後にも移動可能で吸着したフイルムFを給送ローラ対112へ運ぶことができる。そして、給送ローラ対112により給送されたフイルムFを垂直方向に搬送する複数の搬送ローラ対141が設けられいる。これらの搬送ローラ対141により、フィルムFを図2の矢印(2)に示す方向(下方)に搬送する。
熱現像装置100の下部には、搬送方向変換部145が設けられている。この搬送方向変換部145は、図1及び図2に示すように、搬送ローラ対141により図2の矢印(2)に示す鉛直方向下方に搬送されたフィルムFを矢印(3)で示すように水平方向に搬送し、次いで、搬送方向を矢印(3)から矢印(4)へ直角に変換して搬送し、次いで、搬送方向を変換され搬送されたフイルムFを図1の矢印(5)に示す鉛直方向上方に搬送方向を変えて搬送する。
そして、図1に示すように、搬送方向変換部145から搬送されたフイルムFを図1の矢印(6)で示す鉛直方向上方に搬送する複数の搬送ローラ対142が設けられ、フィルムFを熱現像装置100の左側面から図1の矢印(6)で示す鉛直方向上方に搬送する。
この鉛直方向上方への搬送途中で、露光部120は、フィルムFの感光面を赤外域780〜860nmの範囲のレーザ光(本実施形態では810nm)で走査露光し、露光画像信号に応じた潜像を形成させる。
フィルムFはレーザ光Lを受けることにより、後述する態様で潜像を形成する。その後、フィルムFを図1の矢印(6)に示す方向(上方)に搬送し、供給ローラ対143に到達した時点で、そのままドラム14に供給する。すなわち、ランダムなタイミングで供給する。また、到達した時点で一旦停止させるようにしても良い。この場合、供給ローラ対143は、一定の回転速度で回転するドラム14に、フィルムFを供給するタイミングを決定する機能を有し、かかるドラム14周上の次の被供給位置に回転したとき、供給ローラ対143が回転を開始することにより、フィルムFを、ドラム14の外周上に供給するようにしても良い。その具体的な構成については後述する。
熱現像装置100の装置の上部には熱現像部130が設けられ、熱現像部130のドラム14の近傍には、搬送ローラ対142で図1の矢印(6)に示す鉛直方向上方に搬送されたフィルムFをドラム14へ供給する供給ローラ対143が設けられている。
ドラム14へフィルムFを供給するタイミングは、成り行きによるランダムなタイミングで供給する。
なお、ランダムなタイミングによる供給の代わりに、タイミングを図って供給してもよい。タイミングを図って供給する例としては、供給ローラ対143が、ドラム14の周上の次の被供給位置が所定回転位置に到達するまで停止し、ドラム14の周上の次の被供給位置が所定回転位置に到達した時点で回転するようにしても良い。すなわち、供給ローラ対143の回転を制御することにより、ドラム14の所定の被供給位置に、フィルムFを供給するようにしてもよい。
熱現像部130のドラム14は、フィルムFとドラム14の外周面とが密着した状態で、図1の矢印(7)に示す方向に共に回転しながら、ドラム14がフィルムFを加熱し熱現像する。すなわち、フイルムFの潜像を可視画像に形成する。その後、図1のドラム14に対し右方まで回転したときに、ドラム14からフィルムFを離す。熱現像部130の右側方には、複数の搬送ローラ対144が設けられており、ドラム14から離れたフイルムFを、図1の矢印(8)に示すように右斜め下方に搬送しつつ、冷却する。そして、搬送ローラ対144が冷却されたフイルムFを搬送しつつ、濃度計118がフイルムFの濃度を測定する。その後、複数の搬送ローラ対144は、ドラム14から離れたフイルムFを図1の矢印(9)に示すように水平方向に搬送し、熱現像装置100の上部から取り出せるように、熱現像装置100の右上方部に設けられた排出トレイ160に排出する。
図3は、露光部120の構成を示す概略図である。露光部120は、画像信号Sに基づき強度変調されたレーザ光Lを、回転多面鏡113によって偏向して、フィルムF上を主走査すると共に、フィルムFをレーザ光Lに対して主走査の方向と略直角な方向に相対移動させることにより副走査し、レーザ光Lを用いてフィルムFに潜像を形成するものである。
より具体的な構成を以下に述べる。図3において、画像信号出力装置121から出力されたデジタル信号である画像信号Sは、I/F122を介して、変調部123に入力される。変調部123は、かかる画像信号Sに基づき、レーザ光源部110のドライバ124を制御して、レーザ光源部110から変調されたレーザ光Lを照射させる。
レーザ光源部110から照射されたレーザ光Lは、シリンドリカルレンズ115により上下方向にのみ収束されて、図中矢印A方向に回転する回転多面鏡113に対し、その駆動軸に垂直な線像として入射するようになっている。回転多面鏡113は、レーザ光Lを主走査方向に反射偏向し、偏向されたレーザ光Lは、4枚のレンズを組み合わせてなるシリンドリカルレンズを含むfθレンズ114を通過した後、光路上に主走査方向に延在して設けられたミラー116で反射されて、搬送装置142により矢印Y方向に搬送されている(副走査される)フィルムFの被走査面上を、矢印X方向に繰り返し主走査される。このようにして、レーザ光Lを、フィルムF上の被走査面全面にわたって走査する。
ミラー116は、入射したレーザ光LをフィルムFの被走査面上に、副走査方向にのみ収束させるものとなっており、また前記fθレンズ114から前記被走査面までの距離は、fθレンズ114全体の焦点距離と等しくなっている。このように、本露光部120においては、シリンドリカルレンズを含むfθレンズ114及びミラー116を配設しており、回転多面鏡113の反射面とフイルムFの被走査面とが共役の関係にあるので、回転多面鏡113に面倒れや軸ブレが生じても、フィルムFの被走査面上において、レーザ光Lの走査位置が副走査方向にずれることがなく、等ピッチの走査線を形成することができるようになっている。回転多面鏡113は、たとえばガルバノメータミラー等、その他の光偏光器に比べ走査安定性の点で優れているという利点がある。以上のようにして、フィルムFに画像信号Sに基づく潜像が形成されることとなる。尚、潜像が形成される具体的な化学的反応の内容については、図7を参照して後述する。
図4〜6は、フィルムFを加熱する現像部130の構成を示す図であり、より具体的には、図4は、現像部140の斜視図であり、図5は、図4の構成をIV−IV線で切断して矢印方向に見た断面図であり、図6は、図4の構成を正面から見た図である。
現像部130は、フィルムFを外周に保持しつつ加熱可能なドラム14を有している。ドラム14は、フィルムFを所定の最低熱現像温度以上に、所定の熱現像時間維持することによって、フィルムFに、形成された潜像を可視画像として形成する機能を有する。ここで、最低熱現像温度とは、フィルムFに形成された潜像が熱現像され始める最低温度のことであり、本実施の形態のフィルムにおいては80℃以上である。一方、熱現像時間とは、フィルムFの潜像を所望の現像特性に現像するために、最低熱現像温度以上に維持すべき時間をいう。尚、フィルムFは、40℃以下では実質的に熱現像されないものであることが好ましい。加熱により、潜像が可視化される具体的な化学的反応の内容については、図8を参照して後述する。
尚、現像部130は、本実施の形態においては、露光部120と共に熱現像装置100に組み込まれているが、露光部120とは独立した装置であっても良い。かかる場合、露光部120から現像部130へとフィルムFを搬送する搬送部があることが好ましい。
ドラム14の外方には、案内部材として小径のローラ16が27本設けられており、ドラム14に対して平行にかつ、ドラム14の周方向に等間隔に配置されている。ドラム14の両端には、フレーム18に支持されている案内ブラケット21が片側に3個ずつ備えられている。尚、案内ブラケット21を組み合わせることにより、ドラム14の両端において、対向するC字形状が形成されるようになっている。
各案内ブラケット21は、半径方向に延びた長孔42を9つ形成している。この長孔42から、ローラ16の両端部に設けられたシャフト40が突出する。シャフト40には、それぞれコイルばね28の一端が取り付けられており、コイルばね28の他端は、案内ブラケット21の内方縁近傍に取り付けられている。従って、各ローラ16は、コイルばね28の付勢力に基づく所定の力で、ドラム14の外周に付勢される。フィルムFは、ドラム14の外周とローラ16との間に侵入したときに、かかる所定の力でドラム14の外周面に対して押圧され、それによりフィルムFを全面的に均一に加熱する。
ドラム14に同軸に連結されたシャフト22は、フレーム18の端部部材20から外方に延在しており、シャフトベアリング24により、端部部材20に対して回転自在に支承されている。シャフト22の下方に配置され、端部部材20に取り付けられたステッピングモータ26の回転軸23には、不図示のギヤが形成されている。一方、シャフト22にもギヤが形成されている。両ギヤを連結するタイミングベルト(ギヤが刻まれているベルト)25を介して、ステッピングモータ26の動力がシャフト22に伝達され、それによりドラム14が回転する。尚、回転軸23からシャフト22への動力の伝達は、タイミングベルトではなくギヤ列やチェーンを介して行っても良い。
図5に示すように、本実施の形態において、ローラ16は、ドラム14の周囲方向に凡そ234度の角度範囲にわたって設けられている。2本の補強部材30(図5)が、フレーム18の両端部部材20を連結し、両端部部材20を付加的に支持するようになっている。
ドラム14の内周には、板状のヒータ32が全周にわたって取り付けられており、図6に示す電子装置34の制御下で、ドラム14の外周を加熱するようになっている。ヒータ32への電力の供給は、電子装置34に連結されたスリップ・リング・アセンブリ35を介して行われる。
尚、本実施の形態においては、熱現像装置100の構成をコンパクトにするために、ドラム14を回転自在な円筒形状としているが、フィルムFを加熱する手段として別な構成を用いても良い。たとえば、ヒータを備えたベルトコンベヤにフィルムFを載置し、かかるベルトコンベヤによりフィルムFを搬送しつつ加熱することが考えられる。
ドラム14の外周における加熱領域の幅が、フィルムFの幅Wより大きく形成されれば、フィルムFの全面にわたって可視画像の形成が可能となる。一方、ドラム14におけるフィルムFを保持する外周面の直径Dと、ドラム14の回転方向に沿った長さが最小であるフィルムFの回転方向長さLminとが、
Lmin<π×D(πは円周率) (1)
という式を満たすようにすれば、ドラム14の外周径が小さくなりすぎることを防止でき、それによりフィルムFのカールを抑止できる。
図5に示すように、ドラム14は、金属製の支持部材であるアルミ製の支持チューブ36と、この支持チューブ36の外側に取り付けられた柔軟な柔軟層(弾性層)38を備えている。尚、柔軟層38は、支持チューブ36に間接的に取り付けられていても良い。本実施の形態による支持チューブ36は、長さが45.7cm、肉厚が0.64cmであり、外径が16cmとなっている。
一方、支持チューブ36の肉厚のムラは、たとえば4%以内に収めることが好ましい。更に、柔軟層38は、加熱すべきフィルムFに対する密着度を高めるため、十分に滑らかな面を有するようになっており、その表面粗さRaは、5μm(特に2μm)よりも小さいことが望ましい。
しかしながら、シリコンゴムをべースとするような特定の材料についての表面粗さRaは、フィルムFがドラム14に粘着することを防止するために、0.3μm以上とした方が良い。尚、表面粗さRaが0.3μm以上であれば、ガス、特に揮発性材料が、柔軟層38とフィルムFとの間から排出され易くなる。
柔軟層38は、0.3W/m/K以上の十分な熱伝導率を有しており、これによりドラム14の外周面の表面温度が均一に維持される。尚、本実施の形態においては、柔軟層38の熱伝導率は、0.4W/m/K以上としている。
柔軟層38を用いているために、耐摩耗性を犠牲にすることなく、ローラ16によりフィルムFがドラム14に対し、より確実に密着するようになっている。柔軟層38は、デュロメータで測定されるショアA硬さで70以下(特に60以下)であることが好ましい。本実施の形態では、デュロメータで測定されるショアA硬さで55以下の硬度である。
尚、特定の材料においては、熱伝導率を高めるための添加物と、シリコンゴムとを含有しており、かかる材料は、柔軟層38を形成するために、特に有益であることが見い出されている。かかる材料に含まれるシリコンゴムの熱伝導率は比較的小さいものの、当該シリコンゴムにより、フィルムFの押しつけ性能と、フィルムFに対する耐久性(耐摩耗性)とが向上することとなる。
一方、現像の処理能力を向上させるためには、熱伝導率を高くすることが必要となるが、上述した材料中の添加物は、熱伝導率を高く維持することに寄与するものである。しかしながら、柔軟層38を形成する材料において、添加物の添加量を増大させると、シリコンゴムによる押しつけ性能及び耐久性が低下するため、添加物とシリコンゴムの添加量は、ある程度の範囲内でバランスさせる必要がある。尚、シリコンゴム含有材料は、フィルムFに対して容易に離脱し、また化学的に不活性であるという利点を有している。
柔軟層38の厚さは、0.1mmから2mmの範囲にあることが好ましく、これよりも薄い柔軟層38を用いることも可能であるが、薄くなるにつれ、柔軟層30の機能が低下すると共に、その製造が困難になるという問題がある。そこで、柔軟層38の厚さは、0.4mm以上であることが好ましい。さらに、柔軟層38の厚さのバラツキは、表面領域上で、20%以下(特に10%以下)であれば好ましい。本実施の形態では、5%以下に抑えられている。
本実施の形態においては、案内部材としては、回転自在のローラ16を用いている。しかしながら、小さな可動式ベルト等の他の手段を使用することも可能である。本実施の形態では、ローラ16として、外側の直径が1〜2cmであり、肉厚が2mmのアルミ製の管を用いる。ローラ16が中空になっていることにより、熱伝導の抑止が支援され、これにより、現像時における、ローラ16の熱の影響を極力排除することができる。もちろん、ローラ16を、中空とせず、中実又は充填された円筒部材で形成しても良い。
尚、上述したように、コイルばね28の付勢力は、フィルムFがドラム14の外周面により確実に密着して、十分な熱伝達を受けることができるよう、ローラ16の押圧力を決定するものであるため、その値の選定には注意する必要がある。コイルばね28の付勢力が過小であれば、フィルムFに、熱が不均一に伝導するため画像の現像が不完全になる恐れがある。従って、フィルムFの幅1cm当たりのローラ16からの付勢力は3g以上(特に5g以上)であることが好ましい。また、かかるフィルムFの幅1cm当たりのローラ16からの付勢力が14gより過小であると、ローラ16がドラム14に対してつれ回りしない恐れが生じてくる。特に、この付勢力が7g以下だと連れ回りしない。このような場合、フィルムFがドラム14と共に回転移動し、かつローラ16がフィルムFに接しているとき、フィルムFは、ローラ16により傷つけられる恐れがある。このような場合、これらのローラ16の両端に被回転駆動部を設け、この被回転駆動部を介して、ギヤ駆動、摩擦駆動などにより回転駆動させることが好ましい。
一方、コイルばね28の付勢力は、ローラ16がフィルムFに圧痕を生じさせない程度に小さくする必要がある。
従って、フィルムFの幅1cm当たりのローラ16からの付勢力は200g以下、(特に、100g以下)にあることが好ましい。本実施の形態では、この力は、フィルムFの幅1cm当たり5〜7gの間にある。加えて、ローラ16の両端に被回転駆動部を設け、この被回転駆動部を介して、ギヤ駆動により回転駆動させ、この範囲内に力を維持することにより、圧痕の低減と、画像の不均一の低減との調和を確保することができる。
加えて、各コイルばね28が、円筒形状のドラム14の周囲に設けらたローラ16に用いられたとき、各コイルばね28による付勢力を、各ローラ16に作用する重力を考慮して決定すると良い。たとえば、ドラム14の上側に位置するローラ16を付勢しているコイルばね28を、ドラム14の底側でローラ16を付勢している他のコイルばね28よりも、ローラ16の重量により応じてより小さい付勢力とすることにより、フィルムFの全体にほぼ同一の面圧を作用させることができる。
各ローラ16により作用せしめられる力に加えて、隣接するローラ16の間のスペースは、フィルムFにおける高品質の画像形成を行うために重要であるといえる。フィルムFがドラム14に供給されたとき、その温度は、一般的に室温(凡そ20°C)である。従って、現像部130の処理能力を最大限にするために、フィルムFは、現像を開始するに必要な最低熱現像温度(本実施の形態では124℃以上)まで、室温から、速やかに加熱されねばならない。
しかしながら、ある種のフィルムFに含まれている基材、たとえば、ポリエステルフィルムをべースとする板材や、その他の熱可塑性(材料)をべースとする板材は、加熱時に、熱膨張したり、収縮したり(縮んだり)する恐れがある。従って、シワ(ヒダ)が形成されないよう寸法変化を均一とするために、フィルムFは、平らに保持される状態と拘束されない状態との問で交互に状態変化するときに、均―に加熱されるようにしなければならない。これを実現するために、複数のローラ16は、フィルムFがローラ16とドラム14との間で拘束されていないときに、隣接するローラ16の間に位置するフィルムFの面積(領域)の変化を許容することができるように、間隔を置いて設けられている。
しかしながら、上記したように、フィルムFを均一に現像するべく熱を十分にかつ均一に伝導させるために、ローラ16は、フィルムFをドラム14に対して付勢した状態で所定時間保持しなければならない。結果として、隣接するローラ16の間に位置するスぺースは、シワ(ヒダ)が最小限になるように、かつ、フィルムFの加熱が速やかにかつ均一に行われるように選択されるべきである。
更に、円筒形状のドラム14の外周上で、フィルムF自体の剛性により、その前縁がローラ16同士の間で接線方向に延びるようになるが、これを抑えるべく、ローラ16同士は、十分に近接していなければならない。かかる配置は、フィルムFをローラ16とドラム14との間に保持するために重要である。
図4〜6に示すように、27個のローラ16は、ドラム14の回転方向において234度にわたって設けられ、各スぺースは、中心から中心に対して9度だけ隔てられている。この構成は、ドラム14の直径が15cm〜30cmであり、ローラ16の直径が1〜2cmである場合に、ベースの厚さが0.1〜1.2mmのフィルム、例えば、べースの厚さが0.18mmであるポリエステルフィルム等の、フィルムFが比較的硬質であるものや、べースの厚さが0.10mmであるポリエステルフィルム等の、フィルムFの硬度がより小さいものに対して有効に作用するものとなっている。
ヒータ32は、ドラム14の外周面を加熱するべく、ドラム14の内周に取り付けられている。ドラム14を加熱するためのヒータ32は、エッチングされた抵抗性のフォイル・ヒータを用いることができる。
電子装置34は、ドラム14と共に回転し、感知された温度情報に応じてヒータ32に供給される電力を調整することができるようになっている。ヒータ32と電子装置34とにより、特定のフィルムFの現像に適した温度になるよう、ドラム14の外表面温度調整を行うことができる。本実施の形態において、ヒータ32と電子装置34とにより、ドラム14を、60℃〜160℃の温度にまで加熱することができる。
ここで、ヒータ32と、電子装置34とは、ドラム14の幅方向の温度を2.0℃以内(特に、1.0℃以内)に維持すると好ましい。本実施の形態では、後述する補正可能な予測可能な温度ムラを除いて、0.5℃以内に維持する。
供給ローラ対143から所定のタイミングで供給される未現像のフィルムFは、現像部130において、加熱部材14と最も上流側のローラ16とによって形成されるニップ部52に供給される。次いで、フィルムFは、ドラム14と共に回転する。このとき、フィルムFは、ローラ16によりドラム14に対して付勢され、回転の間に所定時間、ドラム14の外周に当接せしめられる。
ドラム14は、現像されるフィルムFと略同一速度で移動することができるため、フィルムFの表面に傷(傷み、損傷)がつく恐れは低くなり、それにより高品質の画像を確保することができる。ドラム14とローラ16との間に搬送された後、現像されたフィルムFは、最も下流側に位置するローラ16とドラム14とにより形成されたニップ部50に案内されて現像部130のドラム14から引き出されることとなる。
現像部130は、例えば実施例に示す赤外線感光性ハロゲン化銀を含む感光性熱現像乳剤がコーティングされた0.178mmのポリエステル基層等の種々のフィルムFを現像するように構成されることができる。ドラム14は、115℃〜138℃の温度、たとえば、124℃に維持され、該ドラム14は、フィルムFを所定時間である約15秒間、その外周面に当接状態で保持するような回転速度で回転せしめられる。当該所定時間及び当該温度で、フィルムFは、124℃の温度まで上昇せしめられることができる。
柔軟層38の厚さと熱伝導率は、複数のフィルムFの連続的処理を効率的に行えるように、選択されている。もちろん、これらのパラメータは、現像されるフィルムFの特性に従って、また、所望される処理能力に従って、変化させることが可能である。たとえば、ドラム14の温度及び回転速度は、現像に係る異なった必要条件を有するフィルムFを現像するために、フィルムFがドラム14に接する所定時間と同様に、変化させることができる。
加えて、ドラム14と同様に、ローラ16にも柔軟層を設けることができる。また、ローラ16に柔軟層を設ける代わりに、ドラム14には、より柔軟でない外層を設けるようにすることもできる。さらに、ドラム14が回転ローラであり、円筒形状のドラム又は支持された平坦なエンドレス・べルトがローラ16として機能するように構成されることも可能である。
フィルムFの感光性熱現像乳剤層を有する側の面は、ドラム14の外周面(本実施の形態では柔軟層38)に接することが好ましい。しかしながら、フィルムFのその反対側の面を、ドラム14の外周面(本実施の形態では柔軟層38)に接するようにすることができる。
画像の熱現像に続いて、好ましくはフィルムFが現像部130のドラム14の表面から離し、隔てられる方向に案内し、その後、冷却装置150Aの方向に案内する。これにより、傷(損傷)が付く恐れが低くなり、またその表面の摩耗の恐れも低くなる。尚、現像されたフィルムFは、冷却装置において、最初は徐々に冷却され、その後急速に冷却される。
図9(a)は、ドラム14の外表面における巾手方向の温度分布を示す図であり、その縦軸は温度を示し、横軸はドラム14の一端をゼロとした場合における巾手方向位置を示している。ところで、シート状の熱現像材料(フィルムF)は均一に加熱しないと、熱現像材料に温度バラツキが生じ、それにより形成される画像の濃度にバラツキが生じる場合がある。従って、ドラム14の外周面は、全周にわたって、図9(a)の点線Bで示すごとくほぼ均一な温度となるように加熱される必要がある。ところが、ドラム14の外表面は、様々な原因により均一な温度を維持することが困難である。
たとえばドラム14の巾手方向における中央領域だけに限れば、一定の温度を維持することは比較的容易である。ところが、ドラム14の端部領域は、中央領域に比して熱が外部に逃げやすいため、ドラム14のヒータの能力を全面で一定とした場合、かかる端部領域においては、中央領域に対して、たとえば図9(a)の実線Aで示すごとく温度が最大でΔTだけ低下することとなる。この温度低下ΔTが0.5℃を超えると、熱現像されたフィルムFに形成される画像において、濃度ムラが顕著に目立つようになることがわかった。
これに対し、ドラム14のヒータを、端部領域だけ更に加熱するようにすることも考えられるが、ヒータの構成がより複雑となり、コストも増大するという新たな問題が生じる。また、ドラム14の熱容量が比較的大きいため、温度の微調整を迅速に行うことは、困難であるという問題もある。かかる問題に対し、本実施の形態においては、露光部の露光量を調整することにより、画像の濃度ムラを抑制するものである。以下、本実施の形態を説明する。
図10は、本実施の形態の露光部120の変調部123の一例を示すブロック図である。図10に示す例において、たとえばCTスキャンなどから、インタフェース122を介して入力された画像信号Sは、画像データ記憶メモリ302に記憶される。一方、補正データ記憶メモリ304には、補正データが記憶されている。
ここで、補正データの求め方について説明する。まず、均一な値の画像データに基き何ら補正を行うことなく露光し、熱現像して画像を形成する。そして、形成された画像の濃度分布を求め、濃度を均一にするように、レーザ光の露光量を増減させるための補正データを決定する。かかる場合、安定した状態におけるドラム14の外周面温度バラツキは、一定の再現性がある。従って、ドラム14の温度分布を直接求めなくても、ドラム14の端部領域に図9(a)の実線Aで示すような温度ムラを補正する補正データ(図9(b))を求めることができる。
尚、図9(b)では、画像データが輝度値に比例するデータであり、補正データがドラム14の温度ムラを補正するために画像データに掛けられる補正係数である例を示す。尚、画像データや補正データはこれらに限られず、例えば、画像データが濃度値に比例するデータであり、補正データが画像データに正される補正定数であっても良い。このようにして求めた補正データを予め補正データ記憶メモリ304に設定する。
また、補正データの別の求め方について以下に説明する。図17は、補正データを求めるためのテストパターンを示している。このテストパターンは、3列×9段の濃度パッチで構成されており、露光系・熱現像系が理想状態の時、図中に記載された濃度値が得られるように、各々の濃度パッチ部分を記録する画像信号が予め決められている。
そして、はじめに何ら濃度補正をかけない状態にて、フイルムFに、上記テストパターンを露光し、熱現像する。前述のように系が理想状態であれば、図17と同じ濃度パターンが得られるはずである。そうすると、図17のテストパターンの5段目のパターンが左・中央・右部の濃度差が最も少なくなり、この場合の補正データのパラメータとして、5段目に相当するパラメータを利用する。
また、ドラム14の回転軸方向両端部の温度が低下している場合などでは、実際に得られる濃度値は左・右部が低下することになる。従って、例えば、本来は濃度が2.15Dになるはずの8段目で、左・中央・右部の濃度が2.0Dで揃ったとすると、補正データのパラメータとして、8段目に相当するパラメータを利用する。
また、左・右部で濃度が違えば、左部と右部とでそれぞれ異なるパラメータを用いればよい。
このように、左部と右部の濃度がそれぞれ何段目で中央部の濃度と等しくなるか求めてやれば、この結果を基に補正データを決定することが可能である。この方法によれば、簡易的にかつ確実に補正データを求めることができる。
なお、上記方法は後述する露光部での露光量のシェーディングを含めた補正に対しても適用可能である。また、上記の例では、補正データは、ドラム14の幅方向に3点しか用いていなかったが、この点数を増やすことにより、より綿密な補正が行えるし、さらに補正データを補間処理した後、画像データの補正を行えば、より滑らかな補正が行える。
図10に示す画像データ補正部303は、画像データ記憶メモリ302に記憶された画像データを、補正データ記憶メモリ304に記憶された補正データに基づき補正し、それにより得られた補正済み画像データを、補正済み画像データ記憶メモリ307に出力する。補正済み画像データ記憶メモリ307に記憶された補正済み画像データを、所定のタイミングで、D/A変換器306へと送り、アナログ信号に変換する、そして、変換したアナログ信号をドライバ124へ送る。ドライバ124は、送られたアナログ信号に応じてレーザ光源部110を制御して発光するレーザ光を、レーザ光としてフィルムFに照射することとなる。図9(b)に示す例によれば、フィルムFの端部領域への露光量を補正係数に応じて増大させるため、ドラム14の温度ムラを防止しなくても、適切な濃度の画像を得ることができる。
このようにすることにより、微調整が比較的困難なドラム14の温度調整を厳密に行う代わりに、画像の濃度分布データに基づいて得られた補正データにより露光制御を行うことで、より簡便かつ低コストで高画質な画像を得ることが可能となる。また、ドラム14の温度ムラだけでなく、偏向光学系に固有なシェーディングも補正できる。
図11は、本実施の形態の露光部120の変調部123の第2の例を示すブロック図である。図11に示す第2の例が、上述の例と異なる点は、補正データの生成の態様である。より具体的には、ドラム14に備えられた温度センサ401により、ドラム14の巾手方向に沿って複数点の実際の温度を測定して、A/D変換部402を介して、補正データ生成部403へ出力する。一方、補正データ生成部403は、シェーディングデータ記憶メモリ404に記憶された、露光部における偏向光学系に固有な露光ムラであるシェーディング補正データを読み出す。
補正データ生成部403は、かかる二つのデータに基づいて、補正データを作成し、画像データ補正部303に送信する。画像データ補正部303は、画像データ記憶メモリ302に記憶された画像データを読み出し、上述のようにして得られた補正データに基づいて補正し、それにより得られた補正済み画像データを、補正済み画像データ記憶メモリ307に出力する。その他の構成及び作用については、上述した例と同様であるので、説明を省略する。
このようにすれば、微調整が比較的困難な温度調整を厳密に行う代わりに、ドラムの温度分布と、偏向光学系に固有なシェーディング補正データとに基づいて得られた補正データにより露光制御を行うことで、より簡便かつ低コストで高画質な画像を得ることが可能となる。
図12は、本実施の形態の露光部120の変調部123の第3の例を示すブロック図である。図12に示す第3の例では、ドラム14に備えられた温度センサ401は、ドラム14の巾手方向に沿って複数点の実際の温度を測定して、温度に応じた温度信号を補正データ生成回路502へ出力する。一方、補正データ生成回路502は、シェーディング補正信号生成回路503からシェーディング補正信号を入力する。
補正データ生成回路502は、かかる温度信号とシェーディング補正信号とから補正信号を生成し、画像データ補正回路501へと出力する。また、インタフェース122を介して入力された画像信号Sを,D/A変換部504がアナログ信号に変換し、画像データ補正回路501へ出力する。また、インタフェース122を介して入力された画像信号Sを、D/A変換部504がアナログ信号に変換し、画像データ補正回路501へ出力する。画像データ補正回路501は、補正データ生成回路502から入力された補正信号により、アナログ信号に変換された画像データを補正し、補正済画像データをドライバ124へ出力する。レーザ露光部305は、画像データ補正回路501の補正信号に基づいて、レーザ光を照射する。その他の構成については、上述した実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
このようにすれば、微調整が比較的困難な温度調整を厳密に行う代わりに、ドラムの温度分布に基づいて得られた補正データにより露光制御を行うことで、より簡便かつ低コストで高画質な画像を得ることが可能となる。また、偏向光学系に固有なシェーディングデータも考慮して、画像を熱現像することができるため、より高画質な画像を形成することができる。さらに、補正信号は、回路上で信号を合成することによって得られ、構成が簡略化される。
図13は、ドラム14の外表面温度分布を示す図9と同様な図である。ここで、巾手方向がサイズW1のフィルムFを複数回熱現像した場合、ドラム外表面温度は、その絶対値は変化するが、その分布形状は、図13の実線Cで示すように、ほぼ一定である。ところが、サイズW1に対し半分のサイズW2のフィルムFを熱現像した場合、かかるフィルムFが接触したドラム14の外表面のみが冷却され、図13の点線Dに示すごとく、ドラム14の右半部に局部的な温度低下が生ずることとなる。
このような場合、図10に示す補正データ記憶メモリ304に、熱現像されたフィルムの履歴として、W2のサイズのフィルムが熱現像されたことを、その都度記憶すれば良い。画像データ補正部303は、サイズW2のフィルムFが直前で熱現像されていると判断すれば、予測される温度低下(点線D)に応じて、次に熱現像されるW1のサイズのフィルムFに対する右半部の露光量を増大するように制御を行うことができ、それにより、より高画質な画像を形成することが可能となる。
図14は、ドラム14の外表面温度分布を示す図であるが、横軸にドラムの周方向(フィルムの搬送方向)における位置を示している。ヒータの発熱性能は、ドラム14全周で均一となるように設定されているが、その取り付け誤差等により、ドラムの周方向にわずかながら温度の増減(たとえば図14のE部)があり得る。かかる温度の増減により、フィルムFの搬送方向に画像の濃度ムラが生じうる。以下に述べる実施の形態によれば、かかる不具合を解消できる。
たとえば図11に示すドラム温度センサ401が、巾手方向の温度ムラのみならずドラム14の周方向の温度ムラをも計測して、補正データ部403に計測信号を送信する。補正データ部403は、上述と同様にして巾手方向の補正データを作成すると共に、搬送方向の補正データをも作成する。より具体的には、ドラム14の周方向の温度分布に応じて、露光量を増減(図14のE部に対応する領域では減少)するように制御する。それにより、ドラム14の周方向の温度ムラがあっても、熱現像された画像において濃度ムラが生じないようにできる。
すなわち、図16に示すように、フィルムが露光されてから、熱現像ドラムに到達するまでの時間Δtは、予め定められているので、フィルムが挿入されるドラム位置より、Δtの時間に相当する回転角分手前のドラム14位置の温度をドラム温度センサ401で測定して、ドラム周方向の温度情報を、露光量にフィードバックしてやることが可能である。この場合、図10に示す第1の例でも、第2の例の補正データ生成部403のように、画像データ補正部303にA/D変換部402を介して、ドラム温度センサ401が接続されている。尚、以下に示す実施例では、このように偏向された装置で実験した。
図15は、給送装置の変形例を示す図である。図15において、ドラム14には、周方向の基準位置Stが設けられ、センサ601は基準位置Stが一定位置(図15に示す位置)にきたことを検出できるようになっている。一方、フィルムFは、ストッパ603により給送を停止させられるようになっている。ストッパ603は、駆動装置602により、フィルムFの給送を停止する停止位置(図15に示す位置)と、フィルムFの給送を許容する給送位置との間で駆動されるようになっている。
図15に示す装置によれば、ドラム14の基準位置Stが一定位置(図15に示す位置)にくるまでは、駆動装置602は、ストッパ603を停止位置へと駆動して、フィルムFの給送を停止する。一方、ドラム14の基準位置Stが一定位置(図15に示す位置)にきたことをセンサ601が検出したときは、検出信号が駆動装置602に送信され、それに応じて駆動装置603は、ストッパ603を給送位置へと駆動して、フィルムFの給送を許容する。それにより、フィルムFの先端が丁度基準位置Stと重なるタイミングで、ドラム14に対してフィルムFが給送されることとなる。
図15に示す給送装置により、ドラム14とフィルムFとが同期して給送されることとなるので、ドラム14の周方向に温度ムラがあっても、予め対応する位置の露光量を調整することにより、熱現像された画像において濃度ムラが生じないようにできる。
図7は、実施例に示すフィルムFの断面図であり、露光時におけるフィルムF内の化学的反応を模式的に示した図である。図8は、加熱時におけるフィルムF内の化学的反応を模式的に示した、図7と同様な断面図である。フィルムFは、PETからなる支持体(基層)上に、ポリビニルブチラールを主材とする感光層が形成され、更に、その上にセルロースブチレートからなる保護層が形成されている。感光層には、図7に示すように感光性ハロゲン粒子と、有機酸銀であるベヘン酸銀(Beh.Ag)と、銀イオン還元剤とを含有し、現像性の向上と最大濃度の向上と銀画像色調の向上のために、調色剤が配合されている。
露光時に、露光部120よりレーザ光LがフィルムFに対して照射されると、図7に示すように、レーザ光Lが照射された領域に、ハロゲン化銀粒子が感光し、潜像が形成される。そして、フィルムFは、40℃以下の温度では実質的に熱現像されないが、フィルムFを80℃以上である最低現像温度以上の現像温度に加熱すると、熱現像される。これは、図8に示すように、ベヘン酸銀から銀イオン(Ag+)が放出され、銀イオンを放出したべヘン酸は、調色剤と錯体を形成して、銀イオンの拡散能力が高くなり、感光したハロゲン化銀粒子まで拡散し、感光したハロゲン化銀粒子を核として還元剤が作用し、化学的反応により銀画像が形成されるからと思われる。
熱現像感光材料の詳細は、例えば米国特許第3,152,904号、同第3,457,075号、及びD.モーガン(Morgan)による「ドライシルバー写真材料(Dry Silver Photographic Material)」やD.モーガン(Morgan)とB.シェリー(Shely)による「熱によって処理される銀システム(Thermally Processed SilverSystems)」(イメージング・プロセッシーズ・アンド・マテリアルズ(Imaging Processes and Materials)Neblette 第8版、スタージ(Sturge)、V、ウォールワース(Walworth)、A.シェップ(Shepp)編集、第2頁、1969年)等に開示されている。
その中でも本発明は、感光材料を80〜140℃で熱現像することで画像を形成させ、定着を行わないものに有用である。この場合、通常、未露光部に残ったハロゲン化銀や有機銀塩は除去されずにそのまま感光材料中に残ることになる。
本発明におけるハロゲン化銀粒子は光センサーとして機能するものである。本発明に於いては、画像形成後の白濁を低く抑えるため、及び良好な画質を得るために平均粒子サイズが小さい方が好ましく、平均粒子サイズが0.1μm以下、より好ましくは0.01μm〜0.1μm、特に0.02μm〜0.08μmが好ましい。ここでいう粒子サイズとは、ハロゲン化銀粒子が立方体或いは八面体のいわゆる正常晶である場合には、ハロゲン化銀粒子の稜の長さをいう。又、正常晶でない場合、例えば球状、棒状、或いは平板状の粒子の場合には、ハロゲン化銀粒子の体積と同等な球を考えたときの直径をいう。又ハロゲン化銀は単分散であることが好ましい。ここでいう単分散とは、下記式で求められる単分散度が40%以下をいう。更に好ましくは30%以下であり、特に好ましくは0.1%以上20%以下となる粒子である。
単分散度(%)=(粒径の標準偏差)/(粒径の平均値)×100
本発明に於いては、ハロゲン化銀粒子が平均粒径0.1μm以下でかつ単分散粒子であることがより好ましく、この範囲にすることで画像の粒状性も向上する。
ハロゲン化銀粒子の形状については、特に制限はないが、ミラー指数{100}面の占める割合が高いことが好ましく、この割合が50%以上、更には70%以上、特に80%以上であることが好ましい。ミラー指数{100}面の比率は増感色素の吸着における{111}面と{100}面との吸着依存性を利用したT.Tani,J.Imaging Sci.,29,165(1985)により求めることができる。
又もう一つの好ましいハロゲン化銀の形状は、平板状粒子である。ここでいう平板状粒子とは、投影面積の平方根を粒径rμmとし、垂直方向の厚みをhμmとした場合のアスペクト比=r/hが3以上のものをいう。その中でも好ましくはアスペクト比が3以上50以下である。又粒径は0.1μm以下であることが好ましく、更に0.01μm〜0.08μmが好ましい。これらは米国特許第5,264,337号、第5,314,798号、第5,320,958号等に記載されており、容易に目的の平板状粒子を得ることができる。本発明に於いてこれらの平板状粒子を用いた場合、更に画像の鮮鋭性も向上する。
ハロゲン組成としては特に制限はなく、塩化銀、塩臭化銀、塩沃臭化銀、具化銀、沃臭化銀、沃化銀のいずれであってもよい。本発明に用いられる写真乳剤は、P.G1afkides著Chimie et Physique Photographique(Paul Montel社刊、1967年)、G.F.Duffin著 Photographic Emulsion Chemistry(The Focal Press刊、1966年)、V.L.Zelikman et al著Making and Coating Photographic Emulsion(The Focal Press刊、1964年)等に記載された方法を用いて調製することができる。即ち、酸性法、中性法、アンモニア法等のいずれでもよく、又可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩を反応させる形成としては、片側混合法、同時混合法、それらの組合せ等のいずれを用いてもよい。このハロゲン化銀はいかなる方法で画像形成層に添加されてもよく、このときハロゲン化銀は還元可能な銀源に近接するように配置する。又、ハロゲン化銀は有機酸銀とハロゲンイオンとの反応による有機酸銀中の銀の一部又は全部をハロゲン化銀に変換することによって調製してもよいし、ハロゲン化銀を予め調製しておき、これを有機銀塩を調製するための溶液に添加してもよく、又はこれらの方法の組み合わせも可能であるが、後者が好ましい。一般にハロゲン化銀は有機銀塩に対して0.75〜30重量%の量で含有することが好ましい。
本発明に用いられるハロゲン化銀には、照度不軌改良や改良調整のために、元素周期律表の6族から10族に属する金属のイオン又は錯体イオンを含有することが好ましい。上記の金属としては、W、Fe、Co、Ni、Cu、Ru、Rh、Pd、Re、Os、Ir、Pt、Auが好ましい。
これらの金属は錯体の形でハロゲン化銀に導入できる。本発明に於いては、還移金属錯体は、下記一般式で表される6配位錯体が好ましい。
一般式〔ML6〕m
式中、Mは元素周期表の6〜10族の元素から選ばれる遷移金属、Lは架橋配位子、mは0、−、2−又は3−を表す。Lで表される配位子の具体例としては、ハロゲン化物(弗化物、塩化物、臭化物及び沃化物)、シアン化物、シアナート、チオシアナート、セレノシアナート、テルロシアナート、アジド及びアコの各配位子、ニトロシル、チオニトロシル等が挙げられ、好ましくはアコ、ニトロシル及びチオニトロシル等である。アコ配位子が存在する場合には、配位子の一つ又は二つを占めることが好ましい。Lは同一でもよく、又異なっていてもよい。
Mとして特に好ましい具体例は、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、レニウム(Re)、イリジウム(Ir)及びオスミウム(Os)である。
以下に遷移金属配位錯体の具体例を示す。
1:〔RhC16〕3−
2:〔RuC16〕3−
3:〔ReC16〕3−
4:〔RuBr6〕3−
5:〔OsC16〕3−
6;〔IrC16〕2−
7;〔Ru(NO)C15〕2−
8:〔RuBr4(H2O)〕2−
9:〔Ru(NO)(H2O)C14〕−
10:〔RhCl5(H2O)〕2−
11:〔Re(NO)C15〕2−
12:〔Re(NO)CN5〕2−
13:〔Re(NO)ClCN4〕2−
14:〔Rh(NO)2Cl4〕−
15:〔Rh(NO)(H2O)Cl4〕−
16:〔Ru(NO)CN5〕2−
17:〔Fe(CN)6〕3−
18:〔Rh(NS)Cl5〕2−
19:〔Os(NO)Cl5〕2−
20:〔Cr(NO)Cl5〕2−
21:〔Re(NO)Cl5〕−
22:〔Os(NS)Cl4(TeCN)〕2−
23:〔Ru(NS)Cl5〕2−
24:〔Re(NS)Cl4(SeCN)〕2−
25:〔Os(NS)Cl(SCN)4〕2−
26:〔Ir(NO)Cl5〕2−
27:〔Ir(NS)Cl5〕2−
これらの金属のイオン又は錯体イオンは一種類でもよいし、同種の金属及び異種の金属を二種以上併用してもよい。これらの金属のイオン又は錯体イオンの含有量としては、一般的にはハロゲン化銀1モル当たり1×10−9,〜1×10−2モルが適当であり、好まじくは1×10−8〜1×10−4モルである。これらの金属のイオン又は錯体イオンを提供する化合物は、ハロゲン化銀粒子形成時に添加し、ハロゲン化銀粒子中に組み込まれることが好ましく、ハロゲン化銀粒子の調製、つまり核形成、成長、物理熟成、化学増感の前後のどの段階で添加してもよいが、特に核形成、成長、物理熟成の段階で添加するのが好ましく、更には核形成、成長の段階で添加するのが好ましく、最も好ましくは核形成の段階で添加する。添加に際しては、数回に渡って分割して添加してもよく、ハロゲン化銀粒子中に均一に含有させることもできるし、特開昭63‐29603号、特開平2‐306236号、同3−167545号、同4−76534号、同6‐110146号、同5‐273683号等に記載されている様に粒子内に分布を持たせて含有させることもできる。好ましくは粒子内部に分布をもたせることができる。これらの金属化合物は、水或いは適当な有機溶媒(例えば、アルコール類、エーテル類、グリコール類、ケトン類、エステル類、アミド類)に溶解して添加することができるが、例えば金属化合物の粉末の水溶液もしくは金属化合物とNaCl、KClとを一緒に溶解した水溶液を、粒子形成中の水溶性銀塩溶液又は水溶性ハライド溶液中に添加しておく方法、或いは銀塩溶液とハライド溶液が同時に混合されるとき第3の水溶液として添加し、3液同時混合の方法でハロゲン化銀粒子を調製する方法、粒子形成中に必要量の金属化合物の水溶液を反応容器に投入する方法、或いはハロゲン化銀調製時に予め金属のイオン又は錯体イオンをドープしてある別のハロゲン化銀粒子を添加して溶解させる方法等がある。特に、金属化合物の粉末の水溶液もしくは金属化合物とNaCl、KClとを一緒に溶解した水溶液を水溶性ハライド溶液に添加する方法が好ましい。粒子表面に添加する時には、粒子形成直後又は物理熟成時途中もしくは終了時又は化学熟成時に必要量の金属化合物の水溶液を反応容器に投入することもできる。
感光性ハロゲン化銀粒子はヌードル法、フロキュレーション法等、当業界で知られている方法の水洗により脱塩することができるが本発明に於いては脱塩してもしなくてもよい。
本発明における感光性ハロゲン化銀粒子は化学増感されていることが好ましい。好ましい化学増感法としては当業界でよく知られているように硫黄増感法、セレン増感法、テルル増感法、金化合物や白金、パラジウム、イリジウム化合物等の貴金属増感法や還元増感法を用いることができる。硫黄増感法、セレン増感法、テルル増感法に好ましく用いられる化合物としては公知の化合物を用いることができるが、特開平7−128768号等に記載の化合物を使用することができる。貴金属増感法に好ましく用いられる化合物としては例えば塩化金酸、カリウムクロロオーレート、カリウムオーリチオシアネート、硫化金、金セレナイド、或いは米国特許2,448,060号、英国特許618,061号などに記載されている化合物を好ましく用いることができる。還元増感法の具体的な化合物としてはアスコルビン酸、二酸化チオ尿素の他に例えば、塩化第一スズ、アミノイミノメ夕ンスルフィン酸、ヒドラジン誘導体、ボラン化合物、シラン化合物、ポリアミン化合物等を用いることができる。又、乳剤のpHを7以上又はpAgを8.3以下に保持して熟成することにより還元増感することができる。又、粒子形成中に銀イオンのシングルアディション部分を導入することにより還元増感することができる。
熱現像材料に用いられる感光性のハロゲン化銀は、有機銀塩に対して、0.75〜25mol%の範囲で用いられることができ、好ましくは、2〜20mol%の範囲で用いられることができる。
有機銀塩には、銀イオンの供給源である有機材料を全て含む。有機酸(特に長鎖脂肪酸(10〜30の炭素原子:好ましくは15〜28の炭素原子))の銀塩が好ましい。配位子が全体的に4.0〜10.0の間で一定の安定性を有する有機又は無機の銀塩錯体であることが好ましい。そして、画像形成層の重量の約5〜30%であることが好ましい。
この有機銀塩は、露光された光触媒(たとえば写真用ハロゲン化銀等)と還元剤の存在において、80℃以上好ましくは115℃以上、特に120℃以上の温度に加熱されたときに銀イオンを供給する銀塩であることが望ましい。
好ましい有機銀塩には、カルボキシル基を有する有機化合物の銀塩が含まれる。それらには、脂肪族カルボン酸の銀塩及び芳香族カルボン酸の銀塩が含まれる。脂肪族カルボン酸の銀塩の好ましい例には、べヘン酸銀、ステアリン酸銀等が含まれる。脂肪族カルボン酸におけるハロゲン原子又はヒドロキシルとの銀塩も効果的に用いうる。メルカプト又はチオン基を有する化合物及びそれらの誘導体の銀塩も用いうる。更に、イミノ基を有する化合物の銀塩を用いうる。
本発明に於いて有機銀塩は、還元可能な銀源であり、還元可能な銀イオン源を含有する有機酸及びへテロ有機酸の銀塩、特に長鎖(10〜30、好ましくは15〜25の炭素原子数)の脂肪族カルボン酸及び含窒素複素環を含むことが好ましい。配位子が、4.0〜10.0の銀イオンに対する総安定定数を有する有機又は無機の銀塩錯体も有用である。好適な銀塩の例は、Research Disclosure(以下、RDとする)第17029及び29963に記載されており、次のものがある:有機酸の塩(例えば、没食子酸、シュウ酸、べへン酸、アラキジン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸等の塩);銀のカルボキシアルキルチオ尿素塩(例えば、1−(3−カルボキシプロピル)チオ尿素、1−(3−カルボキシプロピル)−3,3−ジメチルチオ尿素等);アルデヒドとヒドロキシ置換芳香族カルボン酸とのポリマー反応生成物の銀錯体(例えば、アルデヒド類(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ブチルアルデヒド等)、ヒドロキシ置換酸類(例えば、サリチル酸、安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、5,5−チオジサリチル酸)、チオエン類の銀塩又は錯体(例えば、3−(2−カルボキシエチル)−4−ヒドロキシメチル−4−(チアゾリン−2−チオエン、及び3−カルボキシメチル−4−チアゾリン−2−チオエン)、イミダゾール、ピラゾール、ウラゾール、1,2,4−チアゾール及び1H−テトラゾール、3−アミノ−5−べンジルチオ−1,2,4−トリアゾール及びべンゾトリアゾールから選択される窒素酸と銀との錯体又塩;サッカリン、5−クロロサリチルアルドキシム等の銀塩;及びメルカプチド類の銀塩。これらの内、好ましい銀源はベヘン酸銀、アラキジン酸及び/又はステアリン酸である。
有機銀塩化合物は、水溶性銀化合物と銀と錯形成する化合物を混合することにより得られるが、正混合法、逆混合法、同時混合法、特開平9−127643号に記載されている様なコントロールドダブルジェット法等が好ましく用いられる。例えば、有機酸にアルカリ金属塩(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)を加えて有機酸アルカリ金属塩ソープ(例えば、べヘン酸ナトリウム、アラキジン酸ナトリウムなど)を作製した後に、コントロールドダブルジェットにより、前記ソープと硝酸銀などを添加して有機銀塩の結晶を作製する。その際にハロゲン化銀粒子を混在させてもよい。
本発明に於いて有機銀塩は平均粒径が2μm以下でありかつ単分散であることが好ましい。有機銀塩の平均粒径とは、有機銀塩の粒子が例えば球状、棒状、或いは平板状の粒子の場合には、有機銀塩粒子の体積と同等な球を考えたときの直径をいう。平均粒径は好ましくは0.05μm〜1.5μm、特に0.05μm〜1.0μmが好ましい。又単分散とは、ハロゲン化銀の場合と同義であり、好ましくは単分散度が1〜30である。又、本発明の有機銀塩に於いては、全有機銀塩の60%以上が平板状粒子であることが好ましい。本発明に於いて平板状粒子とは平均粒径と厚さの比、いわゆる下記式で表されるアスペクト比(ARと略す)が3以上のものをいう。
AR=平均粒径(μm)/厚さ(μm)
有機銀塩をこれらの形状にするためには、前記有機銀結晶をバインダーや界面活性剤などをボールミルなどで分散粉砕することで得られる。この範囲にすることで濃度が高く、かつ画像保存性に優れた感光材料が得られる。
本発明に於いては感光材料の失透を防ぐためには、ハロゲン化銀及び有機銀塩の総量が銀量に換算して1m2当たり0.5g以上2.2g以下であることが好ましい。この範囲にすることで硬調な画像が得られる。又銀総量に対するハロゲン化銀の量は、重量比で50%以下、好ましくは25%以下、更に好ましくは0.1%〜15%の間である。
還元剤は、銀イオンを金属銀に還元できるいずれの材料でも良く、好ましくは有機材料である。フェニドン、ヒドロキノン及びカテコールのような従来の写真現像剤が有用である。しかし、フェノール還元剤が好ましい。還元剤は画像形成層の1〜10重量%存在するべきである。多層構成においては、還元剤が乳剤層以外の相に添加される場合は、わずかに高い割合である約2〜15重量%がより望ましい。
好適な還元剤の例は、米国特許第3,770,448号、同第3,773,512号、同第3,593,863号、及びRD17029及び29963に記載されており、次のものがある。
アミノヒドロキシシクロアルケノン化合物(例えば、2−ヒドロキシピペリジノ−2−シクロヘキセノン);還元剤の前駆体としてアミノリダクトン類(reductones)エステル(例えば、ピペリジノへキソースリダクトンモノアセテート);N−ヒドロキシ尿素誘導体(例えば、N−p−メチルフェニル−N−ヒドロキシ尿素);アルデヒド又はケトンのヒドラゾン類(例えば、アントラセンアルデヒドフェニルヒドラゾン);ホスファーアミドフェノール類;ホスファーアミドアニリン類;ポリヒドロキシベンゼン類(例えば、ヒドロキノン、t−ブチル−ヒドロキノン、イソプロピルヒドロキノン及び(2,5−ジヒドロキシ−フェニル)メチルスルホン);スルフヒドロキサム酸類(例えば、ベンゼンスルフヒドロキサム酸);スルホンアミドアニリン類(例えば、4−(N−メタンスルホンアミド)アニリン);2−テトラゾリルチオヒドロキノン類(例えば、2−メチル−5−(1−フェニル−5−テトラゾリルチオ)ヒドロキノン):テトラヒドロキノキサリン類(例えば、1,2,3,4−テトラヒドロキノキサリン);アミドオキシム類;アジン類(例えば、脂肪族カルボン酸アリールヒドラザイド類とアスコルビン酸の組み合わせ);ポリヒドロキシベンゼンとヒドロキシルアミンの組み合わせ、リダクトン及び/又はヒドラジン;ヒドロキサン酸類:アジン類とスルホンアミドフェノール類の組み合わせ;α−シアノフェニル酢酸誘導体;ビス−β−ナフトールと1,3−ジヒドロキシべンゼン誘導体の組み合わせ;5−ピラゾロン類;スルホンアミドフェノール還元剤;2−フェニルインダン−1,3−ジオン等;クロマン;1,4−ジヒドロピリジン類(例えば、2,6ージメトキシ−3,5−ジカルボエトキシ−1,4−ジヒドロピリジン);ビスフェノール類(例えば、ビス(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)メタン、ビス(6−ヒドロキシ−m−トリ)メシトール(mesitol)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、4,5−エチリデン−ビス(2−t−ブチル−6−メチル)フェノール)、紫外線感応性アスコルビン酸誘導体及び3−ピラゾリドン類等。中でも特に好ましい。
還元剤はヒンダードフェノール類である。ヒンダードフェノール類としては下記一般式(A)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0003992036
式中、Rは水素原子、又は炭素原子数1〜10のアルキル基(例えば、−C4H9、2,4,4−トリメチルペンチル)を表し、R′及びR″は炭素原子数1〜5のアルキル基(例えば、メチル、エチル、t−ブチル)を表す。
一般式(A)で表される化合物の具体例を以下に示す。ただし、本発明は、以下の化合物に限定されるものではない。
Figure 0003992036
Figure 0003992036
前記一般式(A)で表される化合物を始めとする還元剤の使用量は好ましくは銀1モル当り1×10−2〜10モル、特に1×10−2〜1.5モルである。
本発明の熱現像感光材料に好適なバインダは透明又は半透明で、一般に無色であることが好ましく、天然ポリマーや合成樹脂ポリマー及びコポリマーなどが好ましい。また、熱現像の速度を速めるために、感光層のバインダー量が10g/m2以下(特に、8g/m2以下)であることが好ましい。また、未露光部の濃度が大幅に上昇し、使用に耐えない場合が生じないように、即ち、濃度が安定するように、1.5g/m2以上(特に、1.7g/m2以上)であることが好ましい。
このようなバインダとしては、例えば:ゼラチン、アラビアゴム、ポリ(ビニルアルコール)、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリ(ビニルピロリドン)、カゼイン、デンプン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メチルメタクリル酸)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(メタクリル酸)、コポリ(スチレン−無水マレイン酸)、コポリ(スチレン−アクリロニトリル)、コポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)及びポリ(ビニルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(ビニルアセテート)、セルロースエステル類、ポリ(アミド)類がある。バインダは、親水性でも疎水性でもよいが、本発明に於いては、熱現像後のカブリを低減させるために、疎水性透明バインダーを使用することが好ましい。好ましいバインダとしては、ポリ(ビニルブチラール)、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリル酸、ポリウレタンなどが挙げられる。その中でもポリビニルブチラール、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリエステルは特に好ましく用いられる。
また、疎水性バインダの場合、残留溶媒が含有されていることが好ましい。残留溶媒としては、メチル−エチル−ケトンやアセトンなどが挙げられるが、これらに限られない。また、残留溶媒量としては、20mg/m2以上(特に、25mg/m2以上)であることが好ましく、また、500mg/m2以下(特に、300mg/m2以下)であることが好ましい。なお、残留溶煤量の測定には、ガスクロマトグラフィーを用いると良い。
本発明の熱現像感光材料は、熱現像処理にて写真画像を形成するもので、還元可能な銀源(有機銀塩)、感光性ハロゲン化銀、還元剤及び必要に応じて銀の色調を抑制する色調剤を通常(有機)バインダーマトリックス中に分散した状態で含有している熱現像感光材料であることが好ましい。本発明の熱現像感光材料は常温で安定であるが、露光後高温(例えば、80℃〜140℃)に加熱することで現像される。加熱することで有機銀塩(酸化剤として機能する)と還元剤との間の酸化還元反応を通じて銀を生成する。この酸化還元反応は露光でハロゲン化銀に発生した潜像の触媒作用によって促進される。露光領域中の有機銀塩の反応によって生成した銀は黒色画像を提供し、これは非露光領域と対照をなし、画像の形成がなされる。この反応過程は、外部から水等の処理液を供給することなしで進行する。
本発明に用いられる好適な色調剤の例はRD17029号に開示されており、次のものがある。イミド類(例えば、フタルイミド);環状イミド類、ピラゾリン−5−オン類、及びキナゾリノン(例えば、スクシンイミド、3−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、1−フェニルウラゾール、キナゾリン及び2,4−チアゾリジンジオン);ナフタールイミド類(例えば、N−ヒドロキシ−1,8−ナフタールイミド);コバルト錯体(例えば、コバルトのへキサミントリフルオロアセテート)、メルカプタン類(例えば、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール);N−(アミノメチル)アリールジカルボキシイミド類(例えば、N−(ジメチルアミノメチル)フタルイミド);ブロックされたピラゾール類、イソチウロニウム(isothiuronium)誘導体及びある種の光漂白剤の組み合わせ(例えば、N,N′−ヘキサメチレン(1−カルバモイル−3,5−ジメチルピラゾール)、1,8−(3,6−ジオキサオクタン)ビス(イソチウロニウムトリフルオロアセテート)、及び2−(トリブロモメチルスルホニル)べンゾチアゾールの組み合わせ);メロシアニン染料(例えば、3−エチル−5−((3−エチル−2−ベンゾチアゾリニリデン(ベンゾチアゾリニリデン))−1−メチルエチリデン)−2−チオ−2,4−オキサゾリジンジオン):フタラジノン、フタラジノン誘導体又はこれらの誘導体の金属塩(例えば、4−(1−ナフチル)フタラジノン、6−クロロフタラジノン、5,7−ジメチルオキシフタラジノン、及び2,3‐ジヒドロ−1,4−フタラジンジオン);フタラジノンとスルフィン酸誘導体の組み合わせ(例えば、6−クロロフタラジノン+ベンゼンスルフィン酸ナトリウム又は8−メチルフタラジノン+p−トリスルホン酸ナトリウム);フタラジン+フタル酸の組み合わせ;フタラジン(フタラジンの付加物を含む)とマレイン酸無水物、及びフタル酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸又はo−フェニレン酸誘導体及びその無水物(例えば、フタル酸、4−メチルフタル酸、4−ニトロフタル酸及びテトラクロロフタル酸無水物)から選択される少なくとも1つの化合物との組み合わせ;キナゾリンジオン類、ベンズオキサジン、ナルトキサジン誘導体;ベンズオキサジン−2,4−ジオン類(例えば、1,3−ベンズオキサジン−2,4−ジオン);ピリミジン類及び不斉−トリアジン類(例えば、2,4−ジヒドロキシピリミジン)、及びテトラアザペンタレン誘導体(例えば、3,6−ジメルカプト−1,4−ジフェニル−1H,4H−2,3a,5,6a−テトラアザペンタレン)。これらの内、好ましい色調剤としてはフタラゾン又はフタラジンである。
本発明には現像を抑制或いは促進させ現像を制御するため、分光増感効率を向上させるため、現像前後の保存性を向上させるためなどにメルカプト化合物、ジスルフィド化合物、チオン化合物を含有させることができる。
本発明にメルカプト化合物を使用する場合、いかなる構造のものでも良いが、Ar−SM、Ar−S−S−Arで表されるものが好ましい。
式中、Mは水素原子又はアルカリ金属原子であり、Arは1個以上の窒素、イオウ、酸素、セレニウム又はテルリウム原子を有する芳香環又は縮合芳香環である。好ましくは、複素芳香環はベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール、ベンゾチアゾール、ナフトチアゾール、べンズオキサゾール、ナフトオキサゾール、ベンゾセレナゾール、べンゾテルラゾール、イミダゾール、オキサゾール、ピラゾール、トリアゾール、チアジアゾール、テトラゾール、トリアジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、ピリジン、プリン、キノリン又はキナゾリノンである。この複素芳香環は、例えば、ハロゲン(例えば、Br及びCl)、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、アルキル(例えば、1個以上の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子を有するもの)及びアルコキシ(例えば、1個以上の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子を有するもの)からなる置換基群から選択されるものを有してもよい。メルカプト置換複素芳香族化合物としては、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトべンズオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプト−5−メチルべンゾチアゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、2−メルカプトキノリン、8−メルカプトプリン、2,3,5,6−テトラクロロ−4−ピリジンチオール、4−ヒドロキシ−2−メルカプトピリミジン、2−メルカプト−4−フェニルオキサゾールなどが挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
本発明の熱現像感光材料中にはかぶり防止剤が含まれて良い。有効なかぶり防止剤として例えば米国特許第3,589,903号などで知られている水銀化合物は環境的に好ましくない。そのため非水銀かぶり防止剤の検討が古くから行われてきた。非水銀かぶり防止剤としては例えば米国特許第4,546,075号及び同第4,452,885号及び特開昭59−57234号に開示されている様なかぶり防止剤が好ましい。
特に好ましい非水銀かぶり防止剤は、米国特許第3,874,946号及び同第4,756,999号に開示されているような化合物、−C(X1)(X2)(X3)(ここでX1及びX2はハロゲンであり、X3は水素又はハロゲン)で表される1以上の置換基を備えたヘテロ環状化合物である。好適なかぶり防止剤の例としては、特開平9−288328号段落番号〔0030〕〜〔0036〕に記載されている化合物等が好ましく用いられる。又もう一つの好ましいかぶり防止剤の例としては特開平9−90550号段落番号〔0062〕〜〔0063〕に記載されている化合物である。更にその他の好適なかぶり防止剤は米国特許第5,028,523号及び英国特許出願第92221383.4号、同第9300147.7号、同第9311790.1号に開示されている。
本発明の熱現像感光材料には、例えば特開昭63−159841号、同60−140335号、同63−231437号、同63−259651号、同63−304242号、同63−15245号、米国特許第4,639,414号、同第4,740,455号、同第4,741,966号、同第4,751,175号、同第4,835,096号に記載された増感色素が使用できる。本発明に使用される有用な増感色素は例えばRD17643IV−A項(1978年12月p.23)、同Item1831X項(1978年8月p.437)に記載もしくは引用された文献に記載されている。特に各種スキャナー光源の分光特性に適した分光感度を有する増感色素を有利に選択することができる。例えば特開平9−34078号、同9−54409号、同9−80679号記載の化合物が好ましく用いられる。
本発明の熱現像感光材料は支持体上に少なくとも一層の感光層を有している。支持体上に感光層のみを形成しても良いが、感光層の上に少なくとも1層の非感光層を形成することが好ましい。この非感光層に用いられるバインダーは感光層に用いられるバインダーと同じ種類でも異なった種類でもよい。感光層に通過する光の量又は波長分布を制御するために感光層と同じ側にフィルター染料層及び/又は反対側にアンチハレーション染料層、いわゆるバッキング層を形成しても良いし、感光層に染料又は顔料を含ませても良い。用いられる染料としては所望の波長範囲で目的の吸収を有するものであればいかなる化合物でも良いが、例えば特開昭59−6481号、特開昭59−182436号、米国特許4,271,263号、米国特許4,594,312号、欧州特許公開533008号、欧州特許公開652473号、特開平2−216140号、特開平4−348339号、特開平7−191432号、特開平7−301890号などの記載の化合物が好ましく用いられる。
又これらの非感光層には前記のバインダーやマット剤を含有することが好ましく、更にポリシロキサン化合物やワックスや流動パラフィンのようなスベリ剤を含有してもよい。
感光層は複数層にしても良く、又階調の調節のため感光層を高感度層/低感度層又は低感度層/高感度層にしても良い。
また、感光材料の表面を保護したり擦り傷を防止するために、感光層の外側に非感光層として保護層を有することができる。
また、感光層側(特に保護層)にマット剤を含有することが好ましく、熱現像後の画像の傷つき防止のためには、感光材料の表面にマット剤を配することが好ましく、そのマット剤を感光層側の全バインダーに対し、重量比で0.5〜30%含有することが好ましい。又、支持体を挟み感光層とは反対側の面に非感光層を設ける場合は、非感光層側の少なくとも1層中にマット剤を含有することが好ましく、感光材料の滑り性や指紋付着防止のためにも感光材料の表面にマット剤を配することが好ましく、そのマット剤を感光層側の反対側の層の全バインダーに対し、重量比で0.5〜40%含有することが好ましい。
マット剤の材質は、有機物及び無機物のいずれでもよい。例えば、無機物としては、スイス特許第330,158号等に記載のシリカ、仏国特許第1,296,995号等に記載のガラス粉、英国特許第1,173,181号等に記載のアルカリ土類金属又はカドミウム、亜鉛等の炭酸塩、等をマット剤として用いることができる。有機物としては、米国特許第2,322,037号等に記載の澱粉、ベルギー特許第625,451号や英国特許第981,198号等に記載された澱粉誘導体、特公昭44−3643号等に記載のポリビニルアルコール、スイス特許第330,158号等に記載のポリスチレン或いはポリメタアクリレート、米国特許第3,079,257号等に記載のポリアクリロニトリル、米国特許第3,022,169号等に記載されたポリカーボネートの様な有機マット剤を用いることができる。
マット剤の形状は、定形、不定形どちらでも良いが、好ましくは定形で、球形が好ましく用いられる。マット剤の大きさはマット剤の体積を球形に換算したときの直径で表される。本発明に於いてマット剤の粒径とはこの球形換算した直径のことを示すものとする。
マット剤は、平均粒径が0.5μm〜10μmであることが好ましく、更に好ましくは1.0μm〜8.0μmである。又、粒子サイズ分布の変動係数としては、50%以下であることが好ましく、更に好ましくは40%以下であり、特に好ましくは30%以下となるマット剤である。
ここで、粒子サイズ分布の変動係数は、下記の式で表される値である。
(粒径の標準偏差)/(粒径の平均値)×100
マット剤は任意の構成層中に含むことができるが、好ましくは感光層以外の構成層であり、更に好ましくは支持体から見て最も外側の層である。
マット剤の添加方法は、予め塗布液中に分散させて塗布する方法であってもよいし、塗布液を塗布した後、乾燥が終了する以前にマット剤を噴霧する方法を用いてもよい。又複数の種類のマット剤を添加する場合は、両方の方法を併用してもよい。
各種の添加剤は感光層、非感光層、又はその他の形成層のいずれに添加しても良い。本発明の熱現像感光材料には例えば、界面活性剤、酸化防止剤、安定化剤、可塑剤、紫外線吸収剤、被覆助剤等を用いても良い。これらの添加剤及び上述したその他の添加剤はRD17029(1978年6月p.9〜15)に記載されている化合物を好ましく用いることができる。
本発明で用いられる支持体は現像処理後の画像の変形を防ぐためにプラスチックフィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、ポリイミド、ナイロン、セルローストリアセテート、ポリエチレンナフタレート)であることが好ましい。支持体の厚みとしては50〜300μm程度、好ましくは70〜180μmである。又熱処理したプラスチック支持体を用いることもできる。採用するプラスチックとしては、前記のプラスチックが挙げられる。支持体の熱処理とはこれらの支持体を製膜後、感光層が塗布されるまでの間に、支持体のガラス転移点より30℃以上高い温度に、好ましくは35℃以上高い温度に、更に好ましくは40℃以上高い温度に加熱することがよい。但し、支持体の融点を超えた温度に加熱しては本発明の効果は得られない。
本発明に係る支持体の製膜方法及び下引製造方法は公知の方法を用いることができるが、好ましくは、特開平9−50094号の段落〔0030〕〜〔0070〕に記載された方法を用いることである。
帯電性を改良するために金属酸化物及び/又は導電性ポリマーなどの導電性化合物を構成層中に含ませることができる。これらはいずれの層に含有させてもよいが、好ましくは下引層、バッキング層、感光層と下引の間の層などに含まれる。本発明に於いては米国特許5,244,773号カラム14〜20に記載された導電性化合物が好ましく用いられる。
発明の実施の形態で示した第1の例〜第3の例の熱現像装置をそれぞれ作成した。そして、以下に示すフィルム1及び2の各々毎に、補正データなどを予め設定した上で、対応するフィルムで、CTスキャン画像とコンピュータラジオグラフィから出力されたX線写真画像をそれぞれプリントアウトした。そして、得られた画像で濃度ムラや擬画像の発生の有無を検査した。
このような検査の結果、いずれの組み合わせでも、実用上問題となるような濃度ムラや擬画像の発生はなかった。この本発明者らによる実験結果により、上述した実施の形態による露光制御により、濃度ムラを効果的に抑制できることが確認できた。
<ハロゲン化銀写真感光性熱現像材料のフィルム1>
[支持体の作製]
濃度0.170(コニカ(株)製デンシトメータPDA−65)に青色着色した、厚み175μmのPETフィルムの両面に8w/m2・分のコロナ放電処理を施した。
[感光性ハロゲン化銀乳剤Aの調製]
水900ml中に平均分子量10万のオセインゼラチン7.5g及び臭化カリウム10mgを溶解して温度35℃、pHを3.0に合わせた後、硝酸銀74gを含む水溶液370mlと(98/2)のモル比の臭化カリウムと沃化カリウムを含む水溶液及び塩化イリジウムを銀1モル当たり1×10−4モルを、pAg7.7に保ちながらコントロールドダブルジェット法で10分間かけて添加した。その後4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデン0.3gを添加しNaOHでpHを5に調整して平均粒子サイズ0.06μm、粒子サイズの変動係数12%、〔100〕面比率87%の立方体沃臭化銀粒子を得た。この乳剤にゼラチン凝集剤を用いて凝集沈降させ脱塩処理後フェノキシエタノール0.1gを加え、pH5.9、pAg7.5に調整して、感光性ハロゲン化銀乳剤Aを得た。
[ベへン酸Na溶液の調製]
340mlのイソプロパノールにベへン酸34gを65℃で溶解した。次に攪拌しながら0.25Nの水酸化ナトリウム水溶液をpH8.7になる様に添加した。この際水酸化ナトリウム水溶液は約400ml必要とした。次にこのベヘン酸ナトリウム水溶液を減圧濃縮を行いべヘン酸ナトリウムの濃度が重量%で8.9%とした。
[ベへン酸銀の調製]
750mlの蒸留水中に30gのオセインゼラチンを溶解した溶液に2.94Mの硝酸銀溶液を加え銀電位を400mVとした。この中にコントロールドダブルジェット法を用いて78℃の温度下で前記ベヘン酸ナトリウム溶液374mlを44.6ml/分のスピードで添加し同時に2.94Mの硝酸銀水溶液を銀電位が400mVになる様に添加した。添加時のベヘン酸ナトリウム及び硝酸銀の使用量はそれぞれ0.092モル、0.101モルであった。
添加終了後さらに30分攪拌し限外濾過により水溶性塩類を除去した。
[感光性乳剤Bの調製]
このべへン酸銀分散物に前記ハロゲン化銀乳剤Aをそれぞれ0.01モル加え、更に攪拌しながらポリ酢酸ビニルの酢酸n−ブチル溶液(1.2wt%)100gを徐々に添加して分散物のフロックを形成後、水を取り除き、更に2回の水洗と水の除去を行った後、残った分散物200gに対し、バインダーとしてポリビニルブチラール(平均分子量3000)の2.5wt%の酢酸ブチルとイソブロピルアルコールの1:2混合溶液60gを攪拌しながら加えた後、こうして得られたゲル状のベへン酸及びハロゲン化銀の混合物にバインダーとしてポリビニルブチラール(平均分子量4000)1.5g及びイソプロピルアルコール240mlを加え500gに仕上げて分散し、感光性乳剤Bを調製した。
[感光層塗布液Bの調製]
前記感光性乳剤B(500g)およびMEK100gを攪拌しながら21℃に保温した。ピリニジウムヒドロブロミドパーブロミド(PHP、0.45g)を加え、1時間攪拌した。さらに臭化カルシウム(10%メタノール溶液3.25ml)を添加して30分攪拌した。
次に増感色素−1、4−クロロ−2−べンゾイル安息香酸、および強色増感剤(5−メチル−2−メルカプトべンズイミダゾール)の混合溶液(混合比率1:250:20、増感色索で0.1%メタノール溶液、7ml)を添加して1時間攪拌した後に温度を13℃まで降温してさらに30分攪拌する。
13℃に保温したまま、ポリビニルブチラール48gを添加して充分溶解してから、以下の添加物を添加し、感光層塗布液Bを調製する。
還元剤−1:15g(0.0484mol)
デスモデュN3300(モーベイ社、脂肪族イソシアネート) 1.10g フタラジン(色調剤) 1.5g
テトラクロロフタル酸 0.5g
4−メチルフタル酸 0.5g
IR染料:8mg
[感光層面側塗布]
感光層塗布液Bを調製した後、13℃に保温して所定時間、停滞保持してから、支持体上に以下の各層を順次形成し、試料を作成した。尚、乾燥は各々75℃,5分間で行い、フィルム1を得た。
感光層1:感光層塗布液Bを塗布銀量2g/m2になる様に塗布する。
<ハロゲン化銀写真感光性熱現像材料のフィルム2>
[感光性乳剤Cの調製]
ハロゲン化銀−ベヘン酸銀ドライ乳剤を、米国特許第3,839,049号に記載の方法によって調製した。上記ハロゲン化銀は総銀量の9モル%を有し、一方べへン酸銀は総銀量の91モル%を有した。上記ハロゲン化銀は、ヨウ化物2%を有する0.055μm臭化ヨウ化銀乳剤であった。
[感光層塗布液Cの調製]
熱現像乳剤を、上記ハロゲン化銀−ベヘン酸銀ドライ乳剤455g、トルエン27g、2−ブタノン1918g、およびポリビニルブチラール(モンサント製のB−79)と均質化した。上記均質化熱現像乳剤(698g)および2−ブタノン60gを攪拌しながら12.8℃まで冷却した。ピリジニウムヒドロブロミドペルブロミド(0.92g)を加えて、2時間攪拌した。
臭化カルシウム溶液(CaBr(1g)とメタノール10ミリリットル)3.25ミリリットルを加え、統いて30分間撹拌した。更にポリビニルブチラール(158g;モンサント製B−79)を加え、20分間攪拌した。温度を21.1℃まで上昇し、以下のものを攪拌しながら15分間かけて加え、感光層塗布液Cを調製した。
2−(トリブロモメチルスルホン)キノリン 3.42g、
1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,5,5−トリメチルへキサン 28.1g、
5−メチルメルカプトべンズイミダゾール0.545gを含有する溶液
41.1g、
2−(4−クロロべンゾイル)安息香酸 6.12g
S−1(増感染料) 0.104g
メタノール 34.3g
イソシアネート(デスモダーN3300、モべイ製) 2.14g
テトラクロロフタル酸無水物 0.97g
フタラジン 2.88g
尚、染料S−1は以下の構造を有する。
Figure 0003992036
[保護層溶液Cの調整]
保護層溶液Cを以下の成分を用いて調製した。
2−ブタノン 80.0g
メ夕ノール 10.7g
酢酪酸セルロース(CAB−171−155、イーストマン・ケミカルズ製)
8.0g
4−メチルフタル酸 0.52g
MRA−1、モトル還元剤、N−エチルペルフルオロオクタンスルホニルアミドエチルメタクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸の重量比70:20:10の3級ポリマー 0.80g
この感光層塗布液Cと保護層溶液Cとを、ナイフ・コータにより、同時に、0.18mmの青色ポリエステル・フィルム・べースに塗布する。この際、感光層塗布液Cの上に保護層溶夜Cを塗布する。また、感光層塗布液は、1m2当たりの乾燥被膜重量が23gとなるように、そして、保護層溶液Cは、lm2当たりの乾燥被膜重量が2.4gとなるように塗布される。そして、塗布されたポリエステル・べースを、79.4℃で4分間乾燥して、フィルム2を得る。
本発明の実施の形態にかかる熱現像装置の正面図である。 本発明の実施の形態にかかる熱現像装置の左側面図である。 露光部120の構成を示す概略図である。 フィルムFを加熱する現像部130の構成を示す図であり、現像部130の斜視図である。 図4の構成をIV−IV線で切断して矢印方向に見た断面図である。 図4の構成を正面から見た図である。 フィルムFの断面図であり、露光時におけるフィルムF内の化学的反応を模式的に示した図である。 加熱時におけるフィルムF内の化学的反応を模式的に示した、図7と同様な断面図である。 図9(a)は、ドラム外周面温度を縦軸に、ドラム巾手方向位置を横軸にとって示す図であり、図9(b)は、それに対応する補正係数を示す図である。 第1の実施の形態を示すブロック図である。 第2の実施の形態を示すブロック図である。 第3の実施の形態を示すブロック図である。 ドラム14の外表面温度分布を示す図9と同様な図である。 ドラム14の外表面温度を縦軸に、横軸にドラム14の周方向(フィルムの搬送方向)における位置を示した図である。 給送装置の変形例を示す図である。 給送装置の概念図である。 補正データを求めるためのテストパターンを示す図である。
符号の説明
14 ドラム
16 ローラ
18 フレーム
21 案内ブラケット
28 コイルばね
30 補強部材
32 ヒータ
34 電子装置
38 柔軟層
100 熱現像装置
110 給送部
120 露光部
130 現像部
143 供給ローラ対
150A 冷却部
150 制御部
151 モータ
301 インタフェース
302 画像データ記憶メモリ
303 画像データ補正部
305 レーザ露光部
306 D/A変換部
307 補正済み画像データ記憶メモリ
401 ドラム温度センサ
402 A/D変換部
403 補正データ生成部
404 シェーディングデータ記憶メモリ
501 画像データ補正回路
502 補正データ生成回路
503 シェーディング補正信号生成回路
F フィルム

Claims (1)

  1. ビーム光を偏向光学系により感光性熱現像材料上を特定方向に走査して露光し、画像データに対応する潜像を形成する露光部と、
    前記露光部で露光された感光性熱現像材料を熱現像する熱現像部と、
    を有する熱現像装置において、
    熱現像を行う対象の感光性熱現像材料に対し、直前に熱現像された感光性熱現像材料の巾手方向のサイズを記憶し、その巾手方向のサイズデータに基づいて補正データを求め、該補正データに基づいて画像データを生成する画像データ補正部とを有し、
    該画像データ補正部によって補正された画像データに基づいて、前記露光部で露光し、補正された画像データに対応する潜像を形成することを特徴とする熱現像装置。
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