JP3773101B2 - 画像形成装置及び画像形成方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱現像材料に画像を形成する画像形成装置及び画像形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の画像形成装置の一例として、特開2000−347311の図1、図2に示す構成のものがある。図1は、従来の画像形成装置の正面図であり、図2は、この画像形成装置の左側面図である。画像形成装置100は、シート状の熱現像材料であるフィルムFを1枚ずつ給送する給送部110と、給送されたフィルムFを露光する光出射ユニット200と、露光されたフィルムFを現像する熱現像ユニット130とを有している。図2において、給送部110は堆積された複数枚のフィルムFを収容するトレイTが上下二段に設けられている。各トレイTの前方端部側の上部には、フィルムFの前端部を吸着して上下動する吸着ユニット111が設けられている。また、吸着ユニット111の近傍には、吸着ユニット111により供給されたフィルムFを矢印(1)の方向(水平方向)へ給送する給送ローラ対112が設けられている。また、吸着ユニット111は前後にも移動可能で吸着したフイルムFを給送ローラ対112へ運ぶことができる。そして、給送ローラ対112により給送されたフイルムFを垂直方向に搬送する複数の搬送ローラ対141が設けられいる。これらの搬送ローラ対141により、フィルムFを図2の矢印(2)の方向(下方)に搬送する。
【0003】
画像形成装置100の下部には、搬送方向変換部145が設けられている。この搬送方向変換部145は、図1及び図2に示すように、搬送ローラ対141により図2の矢印(2)の鉛直方向下方に搬送されたフィルムFを矢印(3)の水平方向に搬送し、次いで、搬送方向を矢印(3)から矢印(4)へ直角に変換して搬送し次いで、搬送方向を変換され搬送されたフイルムFを図1の矢印(5)の鉛直方向上方に搬送方向を変えて搬送する。そして、図1に示すように、搬送方向変換部145から搬送されたフイルムFを図1の矢印(6)の鉛直方向上方に搬送する複数の搬送ローラ対142が設けられ、フィルムFを画像形成装置100の左側面から図1の矢印(6)の鉛直方向上方に搬送する。この鉛直方向上方への搬送途中で、光出射ユニット200は、フィルムFの感光面を赤外域780〜860nmの範囲のレーザ光を水平方向に出射して走査露光し、露光画像信号に応じた潜像を形成させる。
【0004】
画像形成装置100の装置の上部には熱現像ユニット130が設けられ、熱現像ユニット130のドラム14の近傍には、搬送ローラ対142で図1の矢印(6)の鉛直方向上方に搬送されたフィルムFをドラム14へ供給する供給ローラ対143が設けられている。
【0005】
熱現像ユニット130のドラム14は、フィルムFとドラム14の外周面とが密着した状態で、図1の矢印(7)の方向に共に回転しながら、ドラム14がフィルムFを加熱し熱現像し、フイルムFの潜像を可視画像に形成する。その後、図1のドラム14に対し右方まで回転したときに、ドラム14からフィルムFを離す。
【0006】
熱現像ユニット130の右側方には、複数の搬送ローラ対144が設けられており、ドラム14から離れたフイルムFを、図1の矢印(8)の右斜め下方に搬送しつつ、冷却する冷却部150Aが設けられている。そして、搬送ローラ対144が冷却されたフイルムFを搬送しつつ、濃度計118がフイルムFの濃度を測定する。その後、複数の搬送ローラ対144は、ドラム14から離れたフイルムFを図1の矢印(9)の水平方向に搬送し、画像形成装置100の上部から取り出せるように、画像形成装置100の右上方部に設けられた排出トレイ160に排出する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のような従来の画像形成装置では、長期間の使用により、形成される画像の鮮鋭性やかぶり濃度などの画質が劣化したり、充分な露光光量が得られなくなったりする問題が発生した。そこで、この原因を鋭意検討した結果、以下に述べる現象も原因の1つであることが推測された。
【0008】
即ち、 同じ遮光枠体内に、光走査装置である光出射ユニット200の上方に熱現像ユニット130が設けられているので、熱現像ユニット130で有機酸銀を含有する感光材料を熱現像すると、熱現像ユニット130から有機ガスが発生する。そして、発生した有機ガスの一部が、熱現像ユニット130へのフイルム入口から下方に沈降し、光出射ユニット200に到達する。そして、光出射用のスリットから有機ガスの一部が光出射ユニット200の内部に侵入する。
【0009】
ここで、光出射ユニット200のカバーは、熱現像ユニット130からの熱により温度が比較的高くなっているが、光出射ユニット200内のビーム光源部や光学系の温度は比較的低いので、これらビーム光源部や光学系に、有機ガスが微量ながら凝縮することになる。そして、長期間に渡るこの微量な凝縮により、形成される画像の鮮鋭性やかぶり濃度などの画質が劣化したり、充分な露光光量が得られなくなったりすることが推測された。
【0010】
本発明は、熱現像感光材料の搬送経路を短くでき装置のコンパクト化が可能な画像形成装置及び画像形成方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明による画像形成装置は、ビームを出射するビーム光源部と、前記ビーム光源部から出射したビームが通過する光学系と、前記ビーム光源部と前記光学系とを実質的に覆うカバーと、を有する光出射ユニットと、前記光出射ユニットによりビーム露光された熱現像感光材料を加熱して熱現像する熱現像ユニットと、前記光出射ユニットと前記熱現像ユニットとを実質的に遮光状態にして覆う遮光枠体と、を備える画像形成装置において、前記光出射ユニットと、前記光出射ユニットに隣接している前記熱現像ユニットとに挟まれ、前記光出射ユニットによりビーム露光された熱現像感光材料が通過するように設けられ、かつ前記現像ユニットから前記光出射ユニットへの熱移動を抑制する断熱部を有し、前記熱現像感光材料を収納する収納部を前記遮光枠体内の前記光出射ユニット及び前記熱現像ユニットの下方位置に配置し、前記収納部から取り出された熱現像感光材料は上方に搬送されてから前記光出射ユニットによりビーム露光されることを特徴とする。
【0012】
この画像形成装置によれば、熱現像感光材料の収納部を遮光枠体内の光出射ユニット及び熱現像ユニットよりも下方に配置し、熱現像感光材料を収納部から取り出し収納部の上方に搬送してから光出射ユニットによりビーム露光するので、熱現像感光材料の搬送経路を短くでき装置のコンパクト化を実現できる。また、装置がコンパクト化されても断熱部により熱現像ユニットから光出射ユニットへの熱伝導を妨げることができる。即ち、光出射ユニットは、熱現像ユニットに隣接するが、熱現像ユニットとの間に断熱部が位置し、熱現像ユニットからの熱伝導が妨げられるので、画像形成装置において安定した露光光量を得ることができる
【0013】
なお、前記ビーム光源部の発熱により、少なくとも前記熱現像ユニットが感光材料を熱現像するタイミングでは、前記ビーム光源部または前記光学系の温度が前記カバーの温度より高くなることが好ましい。これにより、少なくとも熱現像ユニットが感光材料を熱現像するタイミングでは、ビーム光源部または光学系の温度がカバーの温度より高くなるので、光射出ユニットに侵入した微量の有機ガスがカバー内面に凝縮し、光学系に凝縮しにくいので、ビーム光源部または光学系で有機ガスが凝縮することを抑え、長期間に渡り、形成される画像の鮮鋭性やかぶり濃度などの画質を維持し、充分な露光光量が得られる。
【0014】
また、前記熱現像ユニットが熱現像した前記熱現像感光材料を冷却する冷却部を前記遮光枠体内に有し、前記ビーム光源部の発熱により、前記冷却部が感光材料を冷却するタイミングでも、前記ビーム光源部の温度が前記カバーの温度より高くなることが好ましい。これにより、冷却部が感光材料を冷却するタイミングでも、ビーム光源部の温度がカバーの温度より高くなるので、冷却時に光射出ユニットに侵入する微量の有機ガスも、ビーム光源部に凝縮しにくいので、ビーム光源部で有機ガスが凝縮することを抑え、長期間に渡り、形成される画像の鮮鋭性やかぶり濃度などの画質を維持し、充分な露光光量が得られる。
【0015】
また、前記ビーム光源部の発熱により、前記冷却部が感光材料を冷却するタイミングでも、前記光学系の温度が前記カバーの温度より高くなることが好ましい。これにより、冷却部が感光材料を冷却するタイミングでも、光学系の温度が前記カバーの温度より高くなるので、冷却時に光射出ユニットに侵入する微量の有機ガスも、光学系に凝縮しにくいので、光学系で有機ガスが凝縮することを抑え、長期間に渡り、形成される画像の鮮鋭性やかぶり濃度などの画質を維持し、充分な露光光量が得られる。
【0016】
また、前記ビーム光源部が、画像信号に応じて変調駆動される半導体レーザを有し、少なくとも画像形成時は、画像信号によらず、実質的に前記熱現像感光材料を露光しない光量以下となるような電流を前記半導体レーザに流すことが好ましい。これにより、少なくとも画像形成時は、画像信号によらず、実質的に感光材料を露光しない光量以下の電流を半導体レーザに流すという簡単な構成で、ビーム光源部の温度がカバーの温度より高くなるように制御できる。
【0017】
また、前記ビーム光源部が、半導体レーザとダミー負荷とを並列に有し、少なくとも画像形成時は、前記半導体レーザと前記ダミー負荷とを切り替えて交互に電流を流すことが好ましい。これにより、少なくとも画像形成時は、半導体レーザだけでなく、ダミー負荷も発熱するので、簡単な構成で、より安定的に、ビーム光源部の温度がカバーの温度より高くなるように制御できる。また、このように半導体レーザとダミー負荷とを切り替えて交互に電流を流すことで変調信号に高周波信号を重畳することにより干渉縞発生防止の効果を併せて得ることができる。なお、非画像形成時には、ダミー負荷にのみ電流を流すように制御でき、またこのダミー負荷にのみ流れる電流を大きくするように制御してもよい。
【0018】
また、前記ビーム光源部の温度を検出する温度検出手段を有することが好ましく、ビーム光源部の温度を検出することができる。かかる前記温度検出手段の検出結果を用いて、前記ビーム光源部の出射光量を制御することが好ましい。これにより、ビーム光源部の温度の検出結果を用いて、ビーム光源部の出射光量を制御するので、ビーム光源の発光光量の温度依存性を補償することができる。
【0019】
また、前記光出射ユニットから出されるビームの出射方向が下方向きであることが好ましい。これにより、空気より比重が重いために沈降した有機ガスが、光出射ユニットの出射方向から侵入するには、上昇する必要があるため、光出射ユニットに侵入する有機ガスをより少なくでき、結果として、ビーム光源部や光学系に凝縮する有機ガスの量を更に抑えることができ、長期間に渡り、形成される画像の鮮鋭性やかぶり濃度などの画質を維持し、充分な露光光量が得られる。
【0020】
また、前記光学系が、前記ビーム光源部から出射したビームを前記熱現像感光材料を偏向走査するものであり、前記カバーは前記ビームを下方向きに出射するためのスリット状の開口が設けられたものであることが好ましい。これにより、ビーム光源部から出射したビームを感光材料を偏向走査するもので、スリット状の開口なので、有機ガスの侵入口の断面積が小さくなり、有機ガスの侵入をより抑えることができる。
【0021】
また、本発明による画像形成方法は、上述の画像形成装置を用いる画像形成方法において、前記熱現像感光材料が、ハロゲン化銀微粒子と、有機銀塩と、還元剤とを含有する熱現像感光材料であることを特徴とする。
【0022】
この画像形成方法によれば、熱現像感光材料の搬送経路を短くでき装置のコンパクト化を実現できる。また、装置がコンパクト化されても断熱部により熱現像ユニットから光出射ユニットへの熱伝導を妨げることができる
【0023】
この画像形成方法では前記熱現像ユニットの熱現像温度が115℃以上135℃以下であることが好ましい。これにより、熱現像により良好な画像を得られつつ、115℃以上135℃以下の熱現像温度で発生する空気より比重の重い有機ガスが、ビーム出射ユニットまで沈降してきても、ビーム光源部や光学系に凝縮することを抑えられ、これらのガスの凝縮物による光の散乱、吸収、屈折や部材の腐食を抑えることができ、長期間に渡り、形成される画像の鮮鋭性やかぶり濃度などの画質を維持し、充分な露光光量が得られる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による実施の形態について図面を用いて説明する。図1は本発明の実施の形態による画像形成装置の正面図である。
【0025】
図1の画像形成装置10は、レーザビームによって潜像による画像形成がなされる前の熱現像感光材料である熱現像感光フィルム(以下、「フィルム」という。)を収納するための複数の収納部41,42を備え、更に、収納部41,42に収納された多数枚のフィルムを一枚ずつ吸盤で負圧により吸着し移動させることで取り出す公知のフィルム供給機構を内部に備える。
【0026】
画像形成装置10は、取り出されたフィルムを複数の搬送ローラ対16aで図1の下方向(1)に搬送するための下降搬送部16と、下降搬送部16から搬送されたフィルムの位置を規制して曲がりを補正しかつフィルムを複数の搬送ローラ対17aで水平方向(2)に搬送する位置規制部17と、位置規制部17から送り込まれ曲がりの補正されたフィルムを副走査方向(水平方向(2))に定速度で移動させる副走査部18とを有する。副走査部18は、後述の図4のように2つの搬送ローラ対等から構成される。
【0027】
また、画像形成装置10は、副走査部18においてフィルムに対し画像情報に基づいて変調されたレーザビームを露光しながら走査しフィルムに画像情報による潜像を形成する光走査部19と、副走査部18で光走査部19により潜像が形成されたフィルムを複数の搬送ローラ対20aで図1の上方向(3)に搬送する上昇搬送部20とを有する。
【0028】
光走査部19からレーザビームは図1のように下向きに副走査部18に対し照射されるようになっている。また、上昇搬送部20は、フィルムを副走査部18から装置本体の上部まで搬送するための長い搬送経路及び露光中のフィルムに衝撃を与えないため搬送ローラの待避機能等を備える。
【0029】
画像形成装置10は、上述のようにして潜像の形成されたフィルムを加熱し熱現像してから冷却し搬送する熱現像部30を装置本体の上部に有する。熱現像部30で熱現像され画像情報が可視化されたフィルムは冷却されて排出部22へ搬送され装置外部へ排出される。
【0030】
熱現像部30は、熱現像ドラムを含む熱現像ユニット31と、熱現像後のフィルムを搬送しながら冷却する冷却ユニット32と、フィルムを排出部22に向け更に搬送する搬送部33と、フィルムの熱現像時に発生する有機ガスを取り除くための脱臭部34と、を有する。
【0031】
図1のように、画像形成装置10は、遮光枠体43内に上述のような副走査部18、光走査部19及び熱現像部30等をほぼ遮光状態にして覆った状態で収納している。副走査部18及び光走査部19は収納部41,42を介して熱現像部30の下方に配置されているので、熱現像部30からの熱せられた空気が副走査部18及び光走査部19まで到達し難くなっている。フィルムは、図1の1点鎖線で示す搬送路を通って上述のようにして収納部41,42から排出部22まで搬送される。
【0032】
次に、図2により図1の光走査部19について説明する。図2は画像形成装置の光走査部19のカバー部材及び内部の光学系等を概略的に示す斜視図である。
【0033】
図2のように、光走査部19は、略矩方体状のカバー部材19aで光学系及び制御系を構成したユニット基板12を覆うように内部に収容しており、光射出ユニットを構成している。ユニット基板12には、レーザ光源部を構成する半導体レーザ1及びダミー負荷301が取り付けられ、半導体レーザ1の近傍に半導体レーザ1の温度を検知する温度センサ1aが取り付けれており、更に、以下に説明する光学系5が取り付けられている。
【0034】
即ち、図2の光学系5では、半導体レーザ1を出射したレーザビームは、コリメータレンズ2で整形され、シリンドリカルミラー4により回転多面体(ポリゴンミラー)6の回転軸方向が収束し、回転多面体6のミラー面に向かう。回転するポリゴンミラー6のミラー面で反射したビーム(走査光)は、fθレンズ7を通過し、ミラー8で反射され、フィルムF上を走査する。
【0035】
また、図2の光学系5では、コリメータレンズ2とシリンドリカルミラー4との間にビームスプリッタ3が配置されており、ビームスプリッタ3で分岐されたレーザビームはフォトダイオード11に入射し、フォトダイオード11は受光したビームの光量に応じた出力信号を出力する。後述の図3のように、フォトダイオード11からの出力信号を用いて、半導体レーザ1の出射光量の変動を補正した変調信号が出力され、この変調信号は、高周波信号が重畳されて半導体レーザ1の駆動信号として出力され、この変調信号で半導体レーザ1からレーザビームを出射する。なお、光学系5は更に別の光学素子を含む場合がある。
【0036】
図2のように、半導体レーザ1からのレーザビームは、カバー部材19aの下面に設けたスリット状の開口19bから図1,図2の下側にフィルムFに向けて出射する。このように、光走査部19からのビーム照射方向が下向きであり、そのための開口19bがカバー部材19aの下面に設けられているので、図1の熱現像部30でフィルムFの加熱時に発生し、脱臭部34で充分に除去できなかった微量の有機ガスが下方に降りてきても、その有機ガスが光走査部19のカバー部材19a内に侵入し難い構造となっている。
【0037】
次に、図3により図2の光走査部19の制御系の回路構成について説明する。図3は光走査部19のユニット基板12に設けられた回路のブロック図であり、この回路は、半導体レーザ駆動回路200と交互駆動制御回路300とを有する。
【0038】
図3に示すように、半導体レーザ駆動回路200は加減算器210と偏差信号増幅回路220とを有する。画像信号に基づいて変調された光量指令信号(変調信号)S及び光量モニタ部からフィードバックされた負の受光信号Mが加減算器210に入力すると、加減算器210からそれらの偏差を示す偏差信号を出力し、偏差信号増幅回路220に送る。偏差信号増幅回路220は、加減算器210からの偏差信号を増幅してレーザ駆動信号を線形駆動電流出力回路230と非線形駆動電流出力回路240に送る。線形駆動電流出力回路230と非線形駆動電流出力回路240は、偏差信号増幅回路220からのレーザ駆動信号を電圧電流変換して半導体レーザ1を駆動する電流を出力する。線形駆動電流出力回路30は光量指令信号の増減に対応して線形な駆動電流を出力する。非線形駆動電流出力回路240は、半導体レーザの自然発光領域におけるレーザ駆動電流に対する非線形な光出力特性を補償するための非線形駆動電流出力を行い、両者を合わせて光量指令信号と光出力の線形応答を幅広いダイナミックレンジで確保している。また、微小電流出力回路241は、半導体レーザ1から出射するレーザビームが実質的にフィルムを露光しない光量以下となるような微小電流を光量指令信号によるレーザ駆動信号の有無に拘わらず出力する。線形駆動電流出力回路230と非線形駆動電流出力回路240と微小電流出力回路241とから出力されたレーザ駆動電流ILは、合わせて交互駆動制御回路300に送られて半導体レーザ1を駆動する。
【0039】
半導体レーザ駆動回路200のフォトダイオード11、フィルタ270、受光信号増幅回路280およびフィードバックゲイン変更回路290は、光量モニタ部を構成し、フォトダイオード(PD)11は、半導体レーザ(LD)1から発せられる前方出射光の一部を受光して電流信号に変換しフィルタ270に送る。フィルタ270はローパスフィルタであり、電流信号に含まれる高周波成分を遮断し、受光信号増幅回路280に送る。受光信号増幅回路280では、高周波成分がカットされた電流信号を電流電圧変換して電圧出力を所定の電圧レベルまで増幅して受光信号Mとして出力し、フィードバックゲイン変更回路290に送る。フィードバックゲイン変更回路290は、高周波重畳基板13の高周波重畳回路を使用する場合と使用しない場合とで、フィードバックゲインを切り替えるためのものである。高周波重畳回路を使用する場合は、半導体レーザ1はダミー負荷301と交互に通電されることになり平均光量が減少する。そこで、光量指令信号Sに対応する一定の光量を確保するために、交互駆動制御回路300を使用しない場合と比較してフィードバックゲインを高く設定する。フィードバックゲイン変更回路290で調整された受光信号Mは、加減算器210に送られ、閉ループが完成する。
【0040】
また、図2の温度センサ1aからの検知信号を加減算器210に入力し、上述と同様にしてレーザ駆動電流を制御することで半導体レーザ1の出射光量を制御し、半導体レーザ1の発光光量の温度依存性を補償することができる。
【0041】
また、交互駆動制御回路300は、半導体レーザ1に対置された抵抗からなるダミー負荷301と、半導体レーザ1及びダミー負荷301の各々に通電するための電流駆動用トランジスタ310、320と、インバータ330およびバッファゲート340からなる駆動回路部と、発振器からなる制御信号発生回路350とを有する。
【0042】
線形駆動電流出力回路230と非線形駆動電流制御回路240と微小電流出力回路241との出力を合成して得られるレーザ駆動電流ILは、制御信号発生回路350の制御信号により、交互に半導体レーザ1、ダミー負荷301のいずれかに流れることになり、ダミー負荷301は、半導体レーザ1の代わりとなる負荷として作用する。制御信号発生回路350から基準信号が発振されると、バッファゲート340で同位相の増幅された信号が電流駆動用トランジスタ310に伝えられる。また、基準信号がインバータ330で逆位相に反転増幅され、電流駆動用トランジスタ320に伝えられる。電流駆動用トランジスタ310,320は互いに逆の位相で半導体レーザ1とダミー負荷301に交互に通電する動作を繰り返す。そして、半導体レーザ1とダミー負荷301に流れるレーザ駆動電流は、もともと光量指令信号Sに対応しているから、半導体レーザ1の出力は、光量指令信号に高周波信号が重畳された状態となる。
【0043】
このようにして、変調信号に高周波信号を重畳し、この高周波重畳された変調信号で半導体レーザ1からフィルムに画像を書き込むことにより干渉縞の発生を防止できる。また、図3の高速アナログ変調における高周波重畳的な駆動に伴うノイズ等の影響は半導体レーザ駆動回路200に及ばないため、半導体レーザ駆動回路200に高周波ノイズが生じなく、回路の制御が安定化し、レーザビーム出力を正確に制御できる。
【0044】
上述のように、レーザ駆動電流ILは、半導体レーザ駆動回路200に光量指令信号が入力すると、半導体レーザ1及びダミー負荷301に交互に流れるので、半導体レーザ1及びダミー負荷301が発熱する。この発熱により、図2の光走査部19においてカバー部材19a内のユニット基板12が熱伝導で高温となり、ユニット基板12に取り付けられている光学系5の各要素2,3,4,6,7,8,11の温度も高くなる。そして、半導体レーザ1及び光学系5の温度は、フィルムを熱現像しているときの熱現像ユニット31からの熱により熱せられるカバー部材19aの温度よりも高くなる。このため、カバー部材19a内に侵入した微量の有機ガスがカバー部材19aの内面に凝縮し、半導体レーザ1及び光学系5の各要素に凝縮しにくいので、半導体レーザ1及び光学系5で有機ガスが凝縮することを抑え、長期間に渡り、形成される画像の鮮鋭性やかぶり濃度などの画質を維持し、充分な露光光量を得ることができる。
【0045】
また、半導体レーザ駆動回路200に光量指令信号が入力しないときでも、レーザ駆動電流ILとして微小電流出力回路241から微小電流が半導体レーザ1及びダミー負荷301に交互に流れるので、半導体レーザ1及びダミー負荷301が発熱し、半導体レーザ1及び光学系5の温度がカバー部材19aの温度よりも高くなる。この微小電流は半導体レーザ1から出射するレーザビームが実質的にフィルムを露光しない光量以下となる程度であるので、常時流れるようにしても問題はない。
【0046】
次に、半導体レーザ1及び光学系5の別の温度制御方法について説明する。図3に示すように、交互駆動制御回路300の制御信号発生回路350に並列して信号発生回路351を設け、信号発生回路351からの信号がバッファゲート340には流れずにインバータ330に常時流れる位相を有し、電流駆動用トランジスタ310が動作せずに電流駆動用トランジスタ320が動作するように構成することで、半導体レーザ1には通電しないでダミー負荷301にだけ通電させる。そして、半導体レーザ駆動回路200への光量指令信号の入力の有無(画像形成・非画像形成)で制御信号発生回路350と信号発生回路351とを切り替えることにより、光量指令信号が入力しないときは、信号発生回路351が作動し、微小電流出力回路241からの微小電流がダミー負荷301にだけ流れる。これにより、非画像形成時にはダミー負荷301が発熱することで、ユニット基板12を通して半導体レーザ1及び光学系5の温度が高温に維持される。また、非画像形成時に半導体レーザ1に通電しないので、半導体レーザの1の高寿命化に寄与できる。
【0047】
なお、上述の制御信号発生回路350と信号発生回路351との切り替えは、光走査部19からの走査ビームの主走査の始端(または終端)を検知する水平同期センサ(図示省略)からの信号に基づいて行うようにしてもよい。また、光量指令信号の無入力時(非画像形成時)には、微小電流出力回路241から通常よりも大きな電流がダミー負荷301に流れるように制御してもよい。また、ダミー負荷301には、抵抗以外のコイル等のインピーダンス素子を使用してもよい。
【0048】
上述のような半導体レーザ1及び光学系5の温度がカバー部材19aの温度よりも高い状態は、熱現像後のフィルムが図1の熱現像部30の冷却ユニット32で冷却されているときにも、維持できるので、熱現像後フィルムの冷却時にカバー部材19a内に侵入する微量の有機ガスも、半導体レーザ1及び光学系5の各要素に凝縮しにくいので、長期間に渡り、形成される画像の鮮鋭性やかぶり濃度などの画質を維持し、充分な露光光量を得ることができる。
【0049】
次に、図4により図1の副走査部18について説明する。図4は副走査部18の搬送ローラ対等を示す正面図である。
【0050】
図4に示すように、副走査部18は、フィルムFの搬送方向vに沿って上流側に配置された上流側搬送ローラ対121と、同じく下流側に配置された下流側搬送ローラ対122と、上流側搬送ローラ対121の上流側に配置され搬送方向vから搬送されてきたフィルムFを検知するセンサ127と、図1、図2の光走査部19から照射されたレーザビームLを受光し光走査部19にフィードバックしフィルムFの先端から画像記録を行う等の制御を行うためにローラ対121と122との間に配置されたセンサ128と、を備える。
【0051】
図1の位置規制部17の複数の搬送ローラ対17aにより搬送されてきたフィルムFが図4で搬送方向vに搬送され、フィルムFの先端をセンサ127が検知すると、上流側搬送ローラ対121では制御部129の制御によりばね調整部123がばね21cを従動ローラ21bに押圧し、従動ローラ21bと駆動ローラ21aとの間のニップ圧が搬送に適した大きい状態となったところで、フィルムFが従動ローラ21bと駆動ローラ21aとの間に進入してくる。そして、制御部129の制御により回転駆動部125が一定の回転速度で駆動ローラ21aを回転駆動し、フィルムFは上流側搬送ローラ対121で搬送に適した大きなニップ圧で挟持されながら一定の搬送速度で更に搬送される。
【0052】
次に、フィルムFが上流側搬送ローラ対121と下流側搬送ローラ対122との間でセンサ128によりその先端が検知されると、制御部129の制御によりタイミングよく光走査部19がレーザビームLを図1,図4のように上方から下向きに照射してフィルムFの先端から露光を開始する。レーザビームLは被走査体としてのフィルムFを図4の紙面垂直方向に主走査するとともに、搬送方向vに一定速度で移動することで副走査される。フィルムFは更に搬送方向vに搬送され、その先端が下流側搬送ローラ対122に達し、駆動ローラ22aと従動ローラ22bとの間に進入すると、この進入時の力により従動ローラ22bが駆動ローラ22aから離れるように移動し間隙が広がり、フィルムFが駆動ローラ22aと従動ローラ22bとの間に挟まれた状態で図4の搬送方向vに搬送される。
【0053】
以上のようにして、フィルムFは搬送方向vに搬送されながらその先端から後端までのフィルム全面に外部からの画像信号に基づいて潜像が形成されることで画像形成が行われる。このフィルムFにおける潜像形成について、図6により説明する。図6は、本実施の形態におけるフィルムFの断面図であり、上述のような露光時におけるフィルムF内の化学的反応を模式的に示した図である。
【0054】
フィルムFは、PETからなる支持体(基層)上に、ポリビニルブチラールを主材とする感光層が形成され、更に、その上にセルロースブチレートからなる保護層が形成されている。感光層には、図7に示すように感光性ハロゲン粒子と、有機酸銀であるベヘン酸銀(Beh.Ag)と、銀イオン還元剤とを含有し、現像性の向上と最大濃度の向上と銀画像色調の向上のために、調色剤が配合されている。
【0055】
露光時に光走査部19からレーザビームLがフィルムFに対して照射されると、図6に示すように、レーザビームLが照射された領域に、ハロゲン化銀粒子が感光し、潜像が形成される。
【0056】
次に、潜像の形成されたフィルムFは、次に、図1のように、上昇搬送部20の複数の搬送ローラ対20aにより熱現像部30の熱現像ユニット31へと搬送される。熱現像ユニット31は熱現像ドラムでフィルムを115℃以上135℃以下の所定温度で加熱し熱現像してから、冷却搬送ユニット32で冷却し搬送し、更に排出部22へ搬送され装置外部へ排出される。
【0057】
図7は、上述のような加熱時におけるフィルムF内の化学的反応を模式的に示した、図6と同様な断面図である。フィルムFは、40℃以下の温度では実質的に熱現像されないが、上述のようにフィルムFを最低現像温度以上の現像温度に加熱すると、熱現像される。これは、図7に示すように、ベヘン酸銀から銀イオン(Ag+)が放出され、銀イオンを放出したべヘン酸は、調色剤と錯体を形成して、銀イオンの拡散能力が高くなり、感光したハロゲン化銀粒子まで拡散し、感光したハロゲン化銀粒子を核として還元剤が作用し、化学的反応により銀画像が形成されるからと思われる。
【0058】
以上のように、図1の画像形成装置10によれば、遮光枠体43内に光走査部19の上方に熱現像部30が設けられているので、画像形成装置は小型化しやすく、熱現像部30で熱っせられた空気が光走査部19に到達しにくい。
【0059】
また、装置の小型化に関し、図1を参照すると、熱現像部30の高さh1を例えば200mm程度に、収納部41,42全体の高さh2を例えば200mm程度に、光走査部19及び副走査部18全体の高さh3を例えば200mm程度にそれぞれ設定できるので、画像形成装置のコンパクト化を実現できる。そして、画像形成装置全体の高さhは、200mm〜1mの範囲内にでき、700mm以下が好ましく、500mm以下が更に好ましい。
【0060】
また、熱現像部30でフィルムFを加熱すると、115℃以上135℃以下の熱現像温度で空気より比重の重い脂肪酸ガスや有機溶剤ガス等の有機ガスが発生し、光走査部19の近くまで沈降し、光走査部19のカバー部材19a内に侵入したとしても、上述のようにカバー部材19aの内面に優先的に凝縮し、半導体レーザ1及び光学系5の各要素に殆ど凝縮しないので、長期間に渡り、形成される画像の鮮鋭性やかぶり濃度などの画質を維持し、充分な露光光量を得ることができる。
【0061】
また、光走査部19のカバー部材19aから出射するレーザビームの照射方向が下方向きであるので、空気より比重が重いために沈降した有機ガスが、光走査部19のカバー部材19aの内部に照射方向から侵入するには、上昇する必要があるため、カバー部材19a内に侵入する有機ガスをより少なくでき、結果として、半導体レーザ1及び光学系5の各要素に凝縮する有機ガスの量を更に抑えることができ、長期間に渡り、形成される画像の鮮鋭性やかぶり濃度などの画質を維持し、充分な露光光量が得られる。
【0062】
次に、図5により、図1の画像形成装置の変形例を説明する。図5は、本変形例の画像形成装置の正面図であるが、図1と同じ部分には同じ符号を付け、その説明は省略する。
【0063】
図5の画像形成装置は、遮光枠体43内に熱現像部30の直下に断熱部材51を挟んで光走査部19を配置し、フィルムの収納部41を最下方位置に配置したものである。収納部41から取り出されたフィルムは、搬送ローラ対52で方向(11)の上方に搬送されてから水平方向に向きを変え、位置規制部17で複数の搬送ローラ対17aで方向(12)に搬送され、副走査部18で、図1と同様にしてレーザビームで露光され潜像が形成される。潜像の形成されたフィルムは、搬送ローラ対53で方向(13)の上方に搬送され、この搬送のタイミングと合わせて断熱部材51に設けたシャッタ54が開放し、シャッタ54の開口を通して熱現像ユニット31内へ搬送される。フィルムの通過が完了すると、シャッタ54が閉じ、遮光枠体43内の遮光状態を維持する。次に、図1と同様に、フィルムは加熱され熱現像されてから冷却ユニット32で冷却され搬送され、排出部22へ搬送され装置外部へ排出される。
【0064】
上述のように、図5の画像形成装置50によれば、熱現像部30の直下に光走査部19を配置しているが、断熱部材51を介しているので、熱伝導が妨げられるとともに、上述のように、光走査部19の半導体レーザ1及び光学系5の温度は、フィルムを熱現像しているときの熱現像ユニット31からの熱により熱せられるカバー部材19aの温度よりも高いため、カバー部材19a内に微量の有機ガスが侵入したとしてもカバー部材19aの内面に凝縮し、半導体レーザ1及び光学系5の各要素に凝縮しにくいので、半導体レーザ1及び光学系5で有機ガスが凝縮することを抑え、長期間に渡り、形成される画像の鮮鋭性やかぶり濃度などの画質を維持し、充分な露光光量を得ることができる。
【0065】
また、光走査部19と収納部41との間に副走査部18があり、しかも光走査部19が上方にあるので、フィルムの搬送経路を全体として短く構成できるので、装置全体のコンパクト化を実現できる。
【0066】
次に、上述のフィルムFについて説明する。このフィルムはハロゲン化銀微粒子と、有機銀塩と、還元剤とを含有する熱現像感光材料からなる。
【0067】
熱現像感光材料の詳細は、例えば米国特許第3,152,904号、同第3,457,075号、及びD.モーガン(Morgan)による「ドライシルバー写真材料(Dry Silver Photographic Material)」やD.モーガン(Morgan)とB.シェリー(Shely)による「熱によって処理される銀システム(Thermally Processed SilverSystems)」(イメージング・プロセッシーズ・アンド・マテリアルズ(Imaging Processes and Materials)Neblette 第8版、スタージ(Sturge)、V、ウォールワース(Walworth)、A.シェップ(Shepp)編集、第2頁、1969年)等に開示されている。
【0068】
その中でも、本発明では感光材料を115℃以上135℃以下で熱現像することで画像を形成させ、定着を行わないものに有用である。この場合、通常、未露光部に残ったハロゲン化銀や有機銀塩は除去されずにそのまま感光材料中に残ることになる。
【0069】
ハロゲン化銀粒子は、画像形成後の白濁を低く抑えるため、及び良好な画質を得るために平均粒子サイズが小さい方が好ましく、平均粒子サイズが0.1μm以下、より好ましくは0.01μm〜0.1μm、特に0.02μm〜0.08μmが好ましい。ここでいう粒子サイズとは、ハロゲン化銀粒子が立方体或いは八面体のいわゆる正常晶である場合には、ハロゲン化銀粒子の稜の長さをいう。又、正常晶でない場合、例えば球状、棒状、或いは平板状の粒子の場合には、ハロゲン化銀粒子の体積と同等な球を考えたときの直径をいう。又ハロゲン化銀は単分散であることが好ましい。ここでいう単分散とは、下記式で求められる単分散度が40%以下をいう。更に好ましくは30%以下であり、特に好ましくは0.1%以上20%以下となる粒子である。
【0070】
単分散度(%)=(粒径の標準偏差)/(粒径の平均値)×100
【0071】
ハロゲン化銀粒子が平均粒径0.1μm以下でかつ単分散粒子であることがより好ましく、この範囲にすることで画像の粒状性も向上する。
【0072】
ハロゲン化銀粒子の形状については、特に制限はないが、ミラー指数{100}面の占める割合が高いことが好ましく、この割合が50%以上、更には70%以上、特に80%以上であることが好ましい。ミラー指数{100}面の比率は増感色素の吸着における{111}面と{100}面との吸着依存性を利用したT.Tani,J.Imaging Sci.,29,165(1985)により求めることができる。
【0073】
又もう一つの好ましいハロゲン化銀の形状は、平板状粒子である。ここでいう平板状粒子とは、投影面積の平方根を粒径rμmとし、垂直方向の厚みをhμmとした場合のアスペクト比=r/hが3以上のものをいう。その中でも好ましくはアスペクト比が3以上50以下である。又粒径は0.1μm以下であることが好ましく、更に0.01μm〜0.08μmが好ましい。これらは米国特許第5,264,337号、第5,314,798号、第5,320,958号等に記載されており、容易に目的の平板状粒子を得ることができる。これらの平板状粒子を用いた場合、更に画像の鮮鋭性やかぶり濃度などの画質も向上する。
【0074】
ハロゲン組成としては特に制限はなく、塩化銀、塩臭化銀、塩沃臭化銀、具化銀、沃臭化銀、沃化銀のいずれであってもよい。写真乳剤は、P.G1afkides著Chimie et Physique Photographique(Paul Montel社刊、1967年)、G.F.Duffin著 Photographic Emulsion Chemistry(The Focal Press刊、1966年)、V.L.Zelikman et al著Making and Coating Photographic Emulsion(The Focal Press刊、1964年)等に記載された方法を用いて調製することができる。即ち、酸性法、中性法、アンモニア法等のいずれでもよく、又可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩を反応させる形成としては、片側混合法、同時混合法、それらの組合せ等のいずれを用いてもよい。このハロゲン化銀はいかなる方法で画像形成層に添加されてもよく、このときハロゲン化銀は還元可能な銀源に近接するように配置する。又、ハロゲン化銀は有機酸銀とハロゲンイオンとの反応による有機酸銀中の銀の一部又は全部をハロゲン化銀に変換することによって調製してもよいし、ハロゲン化銀を予め調製しておき、これを有機銀塩を調製するための溶液に添加してもよく、又はこれらの方法の組み合わせも可能であるが、後者が好ましい。一般にハロゲン化銀は有機銀塩に対して0.75〜30重量%の量で含有することが好ましい。
【0075】
ハロゲン化銀には、照度不軌改良や改良調整のために、元素周期律表の6族から10族に属する金属のイオン又は錯体イオンを含有することが好ましい。上記の金属としては、W、Fe、Co、Ni、Cu、Ru、Rh、Pd、Re、Os、Ir、Pt、Auが好ましい。
【0076】
これらの金属は錯体の形でハロゲン化銀に導入できる。還移金属錯体は、下記一般式で表される6配位錯体が好ましい。
【0077】
一般式〔ML6〕m
【0078】
式中、Mは元素周期表の6〜10族の元素から選ばれる遷移金属、Lは架橋配位子、mは0、−、2−又は3−を表す。Lで表される配位子の具体例としては、ハロゲン化物(弗化物、塩化物、臭化物及び沃化物)、シアン化物、シアナート、チオシアナート、セレノシアナート、テルロシアナート、アジド及びアコの各配位子、ニトロシル、チオニトロシル等が挙げられ、好ましくはアコ、ニトロシル及びチオニトロシル等である。アコ配位子が存在する場合には、配位子の一つ又は二つを占めることが好ましい。Lは同一でもよく、又異なっていてもよい。
【0079】
Mとして特に好ましい具体例は、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、レニウム(Re)、イリジウム(Ir)及びオスミウム(Os)である。
【0080】
以下に遷移金属配位錯体の具体例を示す。
1:〔RhC16〕3−
2:〔RuC16〕3−
3:〔ReC16〕3−
4:〔RuBr6〕3−
5:〔OsC16〕3−
6;〔IrC16〕2−
7;〔Ru(NO)C15〕2−
8:〔RuBr4(H2O)〕2−
9:〔Ru(NO)(H2O)C14〕−
10:〔RhCl5(H2O)〕2−
11:〔Re(NO)C15〕2−
12:〔Re(NO)CN5〕2−
13:〔Re(NO)ClCN4〕2−
14:〔Rh(NO)2Cl4〕−
15:〔Rh(NO)(H2O)Cl4〕−
16:〔Ru(NO)CN5〕2−
17:〔Fe(CN)6〕3−
18:〔Rh(NS)Cl5〕2−
19:〔Os(NO)Cl5〕2−
20:〔Cr(NO)Cl5〕2−
21:〔Re(NO)Cl5〕−
22:〔Os(NS)Cl4(TeCN)〕2−
23:〔Ru(NS)Cl5〕2−
24:〔Re(NS)Cl4(SeCN)〕2−
25:〔Os(NS)Cl(SCN)4〕2−
26:〔Ir(NO)Cl5〕2−
27:〔Ir(NS)Cl5〕2−
【0081】
これらの金属のイオン又は錯体イオンは一種類でもよいし、同種の金属及び異種の金属を二種以上併用してもよい。これらの金属のイオン又は錯体イオンの含有量としては、一般的にはハロゲン化銀1モル当たり1×10−9〜1×10−2モルが適当であり、好まじくは1×10−8〜1×10−4モルである。これらの金属のイオン又は錯体イオンを提供する化合物は、ハロゲン化銀粒子形成時に添加し、ハロゲン化銀粒子中に組み込まれることが好ましく、ハロゲン化銀粒子の調製、つまり核形成、成長、物理熟成、化学増感の前後のどの段階で添加してもよいが、特に核形成、成長、物理熟成の段階で添加するのが好ましく、更には核形成、成長の段階で添加するのが好ましく、最も好ましくは核形成の段階で添加する。添加に際しては、数回に渡って分割して添加してもよく、ハロゲン化銀粒子中に均一に含有させることもできるし、特開昭63‐29603号、特開平2‐306236号、同3−167545号、同4−76534号、同6‐110146号、同5‐273683号等に記載されている様に粒子内に分布を持たせて含有させることもできる。好ましくは粒子内部に分布をもたせることができる。これらの金属化合物は、水或いは適当な有機溶媒(例えば、アルコール類、エーテル類、グリコール類、ケトン類、エステル類、アミド類)に溶解して添加することができるが、例えば金属化合物の粉末の水溶液もしくは金属化合物とNaCl、KClとを一緒に溶解した水溶液を、粒子形成中の水溶性銀塩溶液又は水溶性ハライド溶液中に添加しておく方法、或いは銀塩溶液とハライド溶液が同時に混合されるとき第3の水溶液として添加し、3液同時混合の方法でハロゲン化銀粒子を調製する方法、粒子形成中に必要量の金属化合物の水溶液を反応容器に投入する方法、或いはハロゲン化銀調製時に予め金属のイオン又は錯体イオンをドープしてある別のハロゲン化銀粒子を添加して溶解させる方法等がある。特に、金属化合物の粉末の水溶液もしくは金属化合物とNaCl、KClとを一緒に溶解した水溶液を水溶性ハライド溶液に添加する方法が好ましい。粒子表面に添加する時には、粒子形成直後又は物理熟成時途中もしくは終了時又は化学熟成時に必要量の金属化合物の水溶液を反応容器に投入することもできる。
【0082】
感光性ハロゲン化銀粒子はヌードル法、フロキュレーション法等、当業界で知られている方法の水洗により脱塩することができるが脱塩してもしなくてもよい。
【0083】
感光性ハロゲン化銀粒子は化学増感されていることが好ましい。好ましい化学増感法としては当業界でよく知られているように硫黄増感法、セレン増感法、テルル増感法、金化合物や白金、パラジウム、イリジウム化合物等の貴金属増感法や還元増感法を用いることができる。硫黄増感法、セレン増感法、テルル増感法に好ましく用いられる化合物としては公知の化合物を用いることができるが、特開平7−128768号等に記載の化合物を使用することができる。貴金属増感法に好ましく用いられる化合物としては例えば塩化金酸、カリウムクロロオーレート、カリウムオーリチオシアネート、硫化金、金セレナイド、或いは米国特許2,448,060号、英国特許618,061号などに記載されている化合物を好ましく用いることができる。還元増感法の具体的な化合物としてはアスコルビン酸、二酸化チオ尿素の他に例えば、塩化第一スズ、アミノイミノメ夕ンスルフィン酸、ヒドラジン誘導体、ボラン化合物、シラン化合物、ポリアミン化合物等を用いることができる。又、乳剤のpHを7以上又はpAgを8.3以下に保持して熟成することにより還元増感することができる。又、粒子形成中に銀イオンのシングルアディション部分を導入することにより還元増感することができる。
【0084】
熱現像材料に用いられる感光性のハロゲン化銀は、有機銀塩に対して、0.75〜25mol%の範囲で用いられることができ、好ましくは、2〜20mol%の範囲で用いられることができる。
【0085】
有機銀塩には、銀イオンの供給源である有機材料を全て含む。有機酸(特に長鎖脂肪酸(10〜30の炭素原子:好ましくは15〜28の炭素原子))の銀塩が好ましい。配位子が全体的に4.0〜10.0の間で一定の安定性を有する有機又は無機の銀塩錯体であることが好ましい。そして、画像形成層の重量の約5〜30%であることが好ましい。
【0086】
この有機銀塩は、露光された光触媒(たとえば写真用ハロゲン化銀等)と還元剤の存在において、80℃以上好ましくは115℃以上、特に120℃以上の温度に加熱されたときに銀イオンを供給する銀塩であることが望ましい。
【0087】
好ましい有機銀塩には、カルボキシル基を有する有機化合物の銀塩が含まれる。それらには、脂肪族カルボン酸の銀塩及び芳香族カルボン酸の銀塩が含まれる。脂肪族カルボン酸の銀塩の好ましい例には、べヘン酸銀、ステアリン酸銀等が含まれる。脂肪族カルボン酸におけるハロゲン原子又はヒドロキシルとの銀塩も効果的に用いうる。メルカプト又はチオン基を有する化合物及びそれらの誘導体の銀塩も用いうる。更に、イミノ基を有する化合物の銀塩を用いうる。
【0088】
有機銀塩は、還元可能な銀源であり、還元可能な銀イオン源を含有する有機酸及びへテロ有機酸の銀塩、特に長鎖(10〜30、好ましくは15〜25の炭素原子数)の脂肪族カルボン酸及び含窒素複素環を含むことが好ましい。配位子が、4.0〜10.0の銀イオンに対する総安定定数を有する有機又は無機の銀塩錯体も有用である。好適な銀塩の例は、Research Disclosure(以下、RDとする)第17029及び29963に記載されており、次のものがある:有機酸の塩(例えば、没食子酸、シュウ酸、べへン酸、アラキジン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸等の塩);銀のカルボキシアルキルチオ尿素塩(例えば、1−(3−カルボキシプロピル)チオ尿素、1−(3−カルボキシプロピル)−3,3−ジメチルチオ尿素等);アルデヒドとヒドロキシ置換芳香族カルボン酸とのポリマー反応生成物の銀錯体(例えば、アルデヒド類(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ブチルアルデヒド等)、ヒドロキシ置換酸類(例えば、サリチル酸、安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、5,5−チオジサリチル酸)、チオエン類の銀塩又は錯体(例えば、3−(2−カルボキシエチル)−4−ヒドロキシメチル−4−(チアゾリン−2−チオエン、及び3−カルボキシメチル−4−チアゾリン−2−チオエン)、イミダゾール、ピラゾール、ウラゾール、1,2,4−チアゾール及び1H−テトラゾール、3−アミノ−5−べンジルチオ−1,2,4−トリアゾール及びべンゾトリアゾールから選択される窒素酸と銀との錯体又塩;サッカリン、5−クロロサリチルアルドキシム等の銀塩;及びメルカプチド類の銀塩。これらの内、好ましい銀源はベヘン酸銀、アラキジン酸及び/又はステアリン酸である。
【0089】
有機銀塩化合物は、水溶性銀化合物と銀と錯形成する化合物を混合することにより得られるが、正混合法、逆混合法、同時混合法、特開平9−127643号に記載されている様なコントロールドダブルジェット法等が好ましく用いられる。例えば、有機酸にアルカリ金属塩(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)を加えて有機酸アルカリ金属塩ソープ(例えば、べヘン酸ナトリウム、アラキジン酸ナトリウムなど)を作製した後に、コントロールドダブルジェットにより、前記ソープと硝酸銀などを添加して有機銀塩の結晶を作製する。その際にハロゲン化銀粒子を混在させてもよい。
【0090】
有機銀塩は平均粒径が2μm以下でありかつ単分散であることが好ましい。有機銀塩の平均粒径とは、有機銀塩の粒子が例えば球状、棒状、或いは平板状の粒子の場合には、有機銀塩粒子の体積と同等な球を考えたときの直径をいう。平均粒径は好ましくは0.05μm〜1.5μm、特に0.05μm〜1.0μmが好ましい。又単分散とは、ハロゲン化銀の場合と同義であり、好ましくは単分散度が1〜30である。又、全有機銀塩の60%以上が平板状粒子であることが好ましい。平板状粒子とは平均粒径と厚さの比、いわゆる下記式で表されるアスペクト比(ARと略す)が3以上のものをいう。
【0091】
AR=平均粒径(μm)/厚さ(μm)
【0092】
有機銀塩をこれらの形状にするためには、前記有機銀結晶をバインダーや界面活性剤などをボールミルなどで分散粉砕することで得られる。この範囲にすることで濃度が高く、かつ画像保存性に優れた感光材料が得られる。
【0093】
感光材料の失透を防ぐためには、ハロゲン化銀及び有機銀塩の総量が銀量に換算して1m2当たり0.5g以上2.2g以下であることが好ましい。この範囲にすることで硬調な画像が得られる。又銀総量に対するハロゲン化銀の量は、重量比で50%以下、好ましくは25%以下、更に好ましくは0.
1%〜15%の間である。
【0094】
還元剤は、銀イオンを金属銀に還元できるいずれの材料でも良く、好ましくは有機材料である。フェニドン、ヒドロキノン及びカテコールのような従来の写真現像剤が有用である。しかし、フェノール還元剤が好ましい。還元剤は画像形成層の1〜10重量%存在するべきである。多層構成においては、還元剤が乳剤層以外の相に添加される場合は、わずかに高い割合である約2〜15重量%がより望ましい。
【0095】
好適な還元剤の例は、米国特許第3,770,448号、同第3,773,512号、同第3,593,863号、及びRD17029及び29963に記載されており、次のものがある。
【0096】
アミノヒドロキシシクロアルケノン化合物(例えば、2−ヒドロキシピペリジノ−2−シクロヘキセノン);還元剤の前駆体としてアミノリダクトン類(reductones)エステル(例えば、ピペリジノへキソースリダクトンモノアセテート);N−ヒドロキシ尿素誘導体(例えば、N−p−メチルフェニル−N−ヒドロキシ尿素);アルデヒド又はケトンのヒドラゾン類(例えば、アントラセンアルデヒドフェニルヒドラゾン);ホスファーアミドフェノール類;ホスファーアミドアニリン類;ポリヒドロキシベンゼン類(例えば、ヒドロキノン、t−ブチル−ヒドロキノン、イソプロピルヒドロキノン及び(2,5−ジヒドロキシ−フェニル)メチルスルホン);スルフヒドロキサム酸類(例えば、ベンゼンスルフヒドロキサム酸);スルホンアミドアニリン類(例えば、4−(N−メタンスルホンアミド)アニリン);2−テトラゾリルチオヒドロキノン類(例えば、2−メチル−5−(1−フェニル−5−テトラゾリルチオ)ヒドロキノン):テトラヒドロキノキサリン類(例えば、1,2,3,4−テトラヒドロキノキサリン);アミドオキシム類;アジン類(例えば、脂肪族カルボン酸アリールヒドラザイド類とアスコルビン酸の組み合わせ);ポリヒドロキシベンゼンとヒドロキシルアミンの組み合わせ、リダクトン及び/又はヒドラジン;ヒドロキサン酸類:アジン類とスルホンアミドフェノール類の組み合わせ;α−シアノフェニル酢酸誘導体;ビス−β−ナフトールと1,3−ジヒドロキシべンゼン誘導体の組み合わせ;5−ピラゾロン類;スルホンアミドフェノール還元剤;2−フェニルインダン−1,3−ジオン等;クロマン;1,4−ジヒドロピリジン類(例えば、2,6ージメトキシ−3,5−ジカルボエトキシ−1,4−ジヒドロピリジン);ビスフェノール類(例えば、ビス(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)メタン、ビス(6−ヒドロキシ−m−トリ)メシトール(mesitol)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、4,5−エチリデン−ビス(2−t−ブチル−6−メチル)フェノール)、紫外線感応性アスコルビン酸誘導体及び3−ピラゾリドン類等。中でも特に好ましい。
【0097】
還元剤はヒンダードフェノール類である。ヒンダードフェノール類としては下記一般式(A)で表される化合物が挙げられる。
【0098】
【化1】
Figure 0003773101
【0099】
式中、Rは水素原子、又は炭素原子数1〜10のアルキル基(例えば、−C4H9、2,4,4−トリメチルペンチル)を表し、R′及びR″は炭素原子数1〜5のアルキル基(例えば、メチル、エチル、t−ブチル)を表す。
【0100】
一般式(A)で表される化合物の具体例を以下に示す。ただし、以下の化合物に限定されるものではない。
【0101】
【化2】
Figure 0003773101
【0102】
【化3】
Figure 0003773101
【0103】
前記一般式(A)で表される化合物を始めとする還元剤の使用量は好ましくは銀1モル当り1×10−2〜10モル、特に1×10−2〜1.5モルである。
【0104】
熱現像感光材料に好適なバインダは透明又は半透明で、一般に無色であることが好ましく、天然ポリマーや合成樹脂ポリマー及びコポリマーなどが好ましい。また、熱現像の速度を速めるために、感光層のバインダー量が10g/m以下(特に、8g/m以下)であることが好ましい。また、未露光部の濃度が大幅に上昇し、使用に耐えない場合が生じないように、即ち、濃度が安定するように、1.5g/m以上(特に、1.7g/m以上)であることが好ましい。
【0105】
このようなバインダとしては、例えば:ゼラチン、アラビアゴム、ポリ(ビニルアルコール)、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリ(ビニルピロリドン)、カゼイン、デンプン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メチルメタクリル酸)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(メタクリル酸)、コポリ(スチレン−無水マレイン酸)、コポリ(スチレン−アクリロニトリル)、コポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)及びポリ(ビニルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(ビニルアセテート)、セルロースエステル類、ポリ(アミド)類がある。バインダは、親水性でも疎水性でもよいが、熱現像後のカブリを低減させるために、疎水性透明バインダーを使用することが好ましい。好ましいバインダとしては、ポリ(ビニルブチラール)、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリル酸、ポリウレタンなどが挙げられる。その中でもポリビニルブチラール、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリエステルは特に好ましく用いられる。
【0106】
また、疎水性バインダの場合、残留溶媒が含有されていることが好ましい。残留溶媒としては、メチル−エチル−ケトンやアセトンなどが挙げられるが、これらに限られない。また、残留溶媒量としては、20mg/m以上(特に、25mg/m以上)であることが好ましく、また、500mg/m以下(特に、300mg/m以下)であることが好ましい。なお、残留溶煤量の測定には、ガスクロマトグラフィーを用いると良い。
【0107】
熱現像感光材料は、熱現像処理にて写真画像を形成するもので、還元可能な銀源(有機銀塩)、感光性ハロゲン化銀、還元剤及び必要に応じて銀の色調を抑制する色調剤を通常(有機)バインダーマトリックス中に分散した状態で含有している熱現像感光材料であることが好ましい。熱現像感光材料は常温で安定であるが、露光後高温(例えば、80℃〜140℃)に加熱することで現像される。加熱することで有機銀塩(酸化剤として機能する)と還元剤との間の酸化還元反応を通じて銀を生成する。この酸化還元反応は露光でハロゲン化銀に発生した潜像の触媒作用によって促進される。露光領域中の有機銀塩の反応によって生成した銀は黒色画像を提供し、これは非露光領域と対照をなし、画像の形成がなされる。この反応過程は、外部から水等の処理液を供給することなしで進行する。
【0108】
好適な色調剤の例はRD17029号に開示されており、次のものがある。イミド類(例えば、フタルイミド);環状イミド類、ピラゾリン−5−オン類、及びキナゾリノン(例えば、スクシンイミド、3−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、1−フェニルウラゾール、キナゾリン及び2,4−チアゾリジンジオン);ナフタールイミド類(例えば、N−ヒドロキシ−1,8−ナフタールイミド);コバルト錯体(例えば、コバルトのへキサミントリフルオロアセテート)、メルカプタン類(例えば、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール);N−(アミノメチル)アリールジカルボキシイミド類(例えば、N−(ジメチルアミノメチル)フタルイミド);ブロックされたピラゾール類、イソチウロニウム(isothiuronium)誘導体及びある種の光漂白剤の組み合わせ(例えば、N,N′−ヘキサメチレン(1−カルバモイル−3,5−ジメチルピラゾール)、1,8−(3,6−ジオキサオクタン)ビス(イソチウロニウムトリフルオロアセテート)、及び2−(トリブロモメチルスルホニル)べンゾチアゾールの組み合わせ);メロシアニン染料(例えば、3−エチル−5−((3−エチル−2−ベンゾチアゾリニリデン(ベンゾチアゾリニリデン))−1−メチルエチリデン)−2−チオ−2,4−オキサゾリジンジオン):フタラジノン、フタラジノン誘導体又はこれらの誘導体の金属塩(例えば、4−(1−ナフチル)フタラジノン、6−クロロフタラジノン、5,7−ジメチルオキシフタラジノン、及び2,3‐ジヒドロ−1,4−フタラジンジオン);フタラジノンとスルフィン酸誘導体の組み合わせ(例えば、6−クロロフタラジノン+ベンゼンスルフィン酸ナトリウム又は8−メチルフタラジノン+p−トリスルホン酸ナトリウム);フタラジン+フタル酸の組み合わせ;フタラジン(フタラジンの付加物を含む)とマレイン酸無水物、及びフタル酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸又はo−フェニレン酸誘導体及びその無水物(例えば、フタル酸、4−メチルフタル酸、4−ニトロフタル酸及びテトラクロロフタル酸無水物)から選択される少なくとも1つの化合物との組み合わせ;キナゾリンジオン類、ベンズオキサジン、ナルトキサジン誘導体;ベンズオキサジン−2,4−ジオン類(例えば、1,3−ベンズオキサジン−2,4−ジオン);ピリミジン類及び不斉−トリアジン類(例えば、2,4−ジヒドロキシピリミジン)、及びテトラアザペンタレン誘導体(例えば、3,6−ジメルカプト−1,4−ジフェニル−1H,4H−2,3a,5,6a−テトラアザペンタレン)。これらの内、好ましい色調剤としてはフタラゾン又はフタラジンである。
【0109】
現像を抑制或いは促進させ現像を制御するため、分光増感効率を向上させるため、現像前後の保存性を向上させるためなどにメルカプト化合物、ジスルフィド化合物、チオン化合物を含有させることができる。
【0110】
メルカプト化合物を使用する場合、いかなる構造のものでも良いが、Ar−SM、Ar−S−S−Arで表されるものが好ましい。
【0111】
式中、Mは水素原子又はアルカリ金属原子であり、Arは1個以上の窒素、イオウ、酸素、セレニウム又はテルリウム原子を有する芳香環又は縮合芳香環である。好ましくは、複素芳香環はベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール、ベンゾチアゾール、ナフトチアゾール、べンズオキサゾール、ナフトオキサゾール、ベンゾセレナゾール、べンゾテルラゾール、イミダゾール、オキサゾール、ピラゾール、トリアゾール、チアジアゾール、テトラゾール、トリアジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、ピリジン、プリン、キノリン又はキナゾリノンである。この複素芳香環は、例えば、ハロゲン(例えば、Br及びCl)、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、アルキル(例えば、1個以上の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子を有するもの)及びアルコキシ(例えば、1個以上の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子を有するもの)からなる置換基群から選択されるものを有してもよい。メルカプト置換複素芳香族化合物としては、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトべンズオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプト−5−メチルべンゾチアゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、2−メルカプトキノリン、8−メルカプトプリン、2,3,5,6−テトラクロロ−4−ピリジンチオール、4−ヒドロキシ−2−メルカプトピリミジン、2−メルカプト−4−フェニルオキサゾールなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0112】
熱現像感光材料中にはかぶり防止剤が含まれて良い。有効なかぶり防止剤として例えば米国特許第3,589,903号などで知られている水銀化合物は環境的に好ましくない。そのため非水銀かぶり防止剤の検討が古くから行われてきた。非水銀かぶり防止剤としては例えば米国特許第4,546,075号及び同第4,452,885号及び特開昭59−57234号に開示されている様なかぶり防止剤が好ましい。
【0113】
特に好ましい非水銀かぶり防止剤は、米国特許第3,874,946号及び同第4,756,999号に開示されているような化合物、−C(X1)(X2)(X3)(ここでX1及びX2はハロゲンであり、X3は水素又はハロゲン)で表される1以上の置換基を備えたヘテロ環状化合物である。好適なかぶり防止剤の例としては、特開平9−288328号段落番号〔0030〕〜〔0036〕に記載されている化合物等が好ましく用いられる。又もう一つの好ましいかぶり防止剤の例としては特開平9−90550号段落番号〔0062〕〜〔0063〕に記載されている化合物である。更にその他の好適なかぶり防止剤は米国特許第5,028,523号及び英国特許出願第92221383.4号、同第9300147.7号、同第9311790.1号に開示されている。
【0114】
熱現像感光材料には、例えば特開昭63−159841号、同60−140335号、同63−231437号、同63−259651号、同63−304242号、同63−15245号、米国特許第4,639,414号、同第4,740,455号、同第4,741,966号、同第4,751,175号、同第4,835,096号に記載された増感色素が使用できる。使用される有用な増感色素は例えばRD17643IV−A項(1978年12月p.23)、同Item1831X項(1978年8月p.437)に記載もしくは引用された文献に記載されている。特に各種スキャナー光源の分光特性に適した分光感度を有する増感色素を有利に選択することができる。例えば特開平9−34078号、同9−54409号、同9−80679号記載の化合物が好ましく用いられる。
【0115】
熱現像感光材料は支持体上に少なくとも一層の感光層を有している。支持体上に感光層のみを形成しても良いが、感光層の上に少なくとも1層の非感光層を形成することが好ましい。この非感光層に用いられるバインダーは感光層に用いられるバインダーと同じ種類でも異なった種類でもよい。感光層に通過する光の量又は波長分布を制御するために感光層と同じ側にフィルター染料層及び/又は反対側にアンチハレーション染料層、いわゆるバッキング層を形成しても良いし、感光層に染料又は顔料を含ませても良い。用いられる染料としては所望の波長範囲で目的の吸収を有するものであればいかなる化合物でも良いが、例えば特開昭59−6481号、特開昭59−182436号、米国特許4,271,263号、米国特許4,594,312号、欧州特許公開533008号、欧州特許公開652473号、特開平2−216140号、特開平4−348339号、特開平7−191432号、特開平7−301890号などの記載の化合物が好ましく用いられる。
【0116】
又これらの非感光層には前記のバインダーやマット剤を含有することが好ましく、更にポリシロキサン化合物やワックスや流動パラフィンのようなスベリ剤を含有してもよい。
【0117】
感光層は複数層にしても良く、又階調の調節のため感光層を高感度層/低感度層又は低感度層/高感度層にしても良い。
【0118】
また、感光材料の表面を保護したり擦り傷を防止するために、感光層の外側に非感光層として保護層を有することができる。
【0119】
また、感光層側(特に保護層)にマット剤を含有することが好ましく、熱現像後の画像の傷つき防止のためには、感光材料の表面にマット剤を配することが好ましく、そのマット剤を感光層側の全バインダーに対し、重量比で0.5〜30%含有することが好ましい。又、支持体を挟み感光層とは反対側の面に非感光層を設ける場合は、非感光層側の少なくとも1層中にマット剤を含有することが好ましく、感光材料の滑り性や指紋付着防止のためにも感光材料の表面にマット剤を配することが好ましく、そのマット剤を感光層側の反対側の層の全バインダーに対し、重量比で0.5〜40%含有することが好ましい。
【0120】
マット剤の材質は、有機物及び無機物のいずれでもよい。例えば、無機物としては、スイス特許第330,158号等に記載のシリカ、仏国特許第1,296,995号等に記載のガラス粉、英国特許第1,173,181号等に記載のアルカリ土類金属又はカドミウム、亜鉛等の炭酸塩、等をマット剤として用いることができる。有機物としては、米国特許第2,322,037号等に記載の澱粉、ベルギー特許第625,451号や英国特許第981,198号等に記載された澱粉誘導体、特公昭44−3643号等に記載のポリビニルアルコール、スイス特許第330,158号等に記載のポリスチレン或いはポリメタアクリレート、米国特許第3,079,257号等に記載のポリアクリロニトリル、米国特許第3,022,169号等に記載されたポリカーボネートの様な有機マット剤を用いることができる。
【0121】
マット剤の形状は、定形、不定形どちらでも良いが、好ましくは定形で、球形が好ましく用いられる。マット剤の大きさはマット剤の体積を球形に換算したときの直径で表される。マット剤の粒径とはこの球形換算した直径のことを示すものとする。
【0122】
マット剤は、平均粒径が0.5μm〜10μmであることが好ましく、更に好ましくは1.0μm〜8.0μmである。又、粒子サイズ分布の変動係数としては、50%以下であることが好ましく、更に好ましくは40%以下であり、特に好ましくは30%以下となるマット剤である。
【0123】
ここで、粒子サイズ分布の変動係数は、下記の式で表される値である。
【0124】
(粒径の標準偏差)/(粒径の平均値)×100
【0125】
マット剤は任意の構成層中に含むことができるが、好ましくは感光層以外の構成層であり、更に好ましくは支持体から見て最も外側の層である。
【0126】
マット剤の添加方法は、予め塗布液中に分散させて塗布する方法であってもよいし、塗布液を塗布した後、乾燥が終了する以前にマット剤を噴霧する方法を用いてもよい。又複数の種類のマット剤を添加する場合は、両方の方法を併用してもよい。
【0127】
各種の添加剤は感光層、非感光層、又はその他の形成層のいずれに添加しても良い。熱現像感光材料には例えば、界面活性剤、酸化防止剤、安定化剤、可塑剤、紫外線吸収剤、被覆助剤等を用いても良い。これらの添加剤及び上述したその他の添加剤はRD17029(1978年6月p.9〜15)に記載されている化合物を好ましく用いることができる。
【0128】
支持体は現像処理後の画像の変形を防ぐためにプラスチックフィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、ポリイミド、ナイロン、セルローストリアセテート、ポリエチレンナフタレート)であることが好ましい。支持体の厚みとしては50〜300μm程度、好ましくは70〜180μmである。又熱処理したプラスチック支持体を用いることもできる。採用するプラスチックとしては、前記のプラスチックが挙げられる。支持体の熱処理とはこれらの支持体を製膜後、感光層が塗布されるまでの間に、支持体のガラス転移点より30℃以上高い温度に、好ましくは35℃以上高い温度に、更に好ましくは40℃以上高い温度に加熱することがよい。
【0129】
支持体の製膜方法及び下引製造方法は公知の方法を用いることができるが、好ましくは、特開平9−50094号の段落〔0030〕〜〔0070〕に記載された方法を用いることである。
【0130】
帯電性を改良するために金属酸化物及び/又は導電性ポリマーなどの導電性化合物を構成層中に含ませることができる。これらはいずれの層に含有させてもよいが、好ましくは下引層、バッキング層、感光層と下引の間の層などに含まれる。米国特許5,244,773号カラム14〜20に記載された導電性化合物が好ましく用いられる。
【0131】
【実施例】
本発明の実施の形態で説明した
【0132】
に示す別の温度制御方法で温度制御する画像形成装置を作製した。そして、これにより、以下に示すフィルム1及び2の各々毎に、補正データなどを予め設定した上で、対応するフィルムで、CTスキャン画像とコンピュータラジオグラフィから出力されたX線写真画像をそれぞれ10枚連続してプリントアウトした。そして、得られた画像の鮮鋭性やかぶり濃度などの画質を検査した。その後、1日当たり約124枚連続して画像を形成し、1年後、同様にプリントアウトした。
【0133】
このような検査の結果、いずれの組み合わせでも、実用上問題となるようなぼけ等の画像の鮮鋭性やカブリ濃度のいずれも良好な結果が得られた。また、1年後の検査でも、画像の鮮鋭性やカブリ濃度のいずれも、1年前の検査と同等の良好な結果が得られた。この本発明者による実験結果により、上述した実施の形態における画像形成装置10で画像の鮮鋭性やかぶり濃度などの画質を効果的に維持できることが確認できた。
【0134】
<ハロゲン化銀写真感光性熱現像材料のフィルム1>
【0135】
[支持体の作製]
濃度0.170(コニカ(株)製デンシトメータPDA−65)に青色着色した、厚み175μmのPETフィルムの両面に8w/m・分のコロナ放電処理を施した。
【0136】
[感光性ハロゲン化銀乳剤Aの調製]
水900ml中に平均分子量10万のオセインゼラチン7.5g及び臭化カリウム10mgを溶解して温度35℃、pHを3.0に合わせた後、硝酸銀74gを含む水溶液370mlと(98/2)のモル比の臭化カリウムと沃化カリウムを含む水溶液及び塩化イリジウムを銀1モル当たり1×10−4モルを、pAg7.7に保ちながらコントロールドダブルジェット法で10分間かけて添加した。その後4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデン0.3gを添加しNaOHでpHを5に調整して平均粒子サイズ0.06μm、粒子サイズの変動係数12%、〔100〕面比率87%の立方体沃臭化銀粒子を得た。この乳剤にゼラチン凝集剤を用いて凝集沈降させ脱塩処理後フェノキシエタノール0.1gを加え、pH5.9、pAg7.5に調整して、感光性ハロゲン化銀乳剤Aを得た。
【0137】
[ベへン酸Na溶液の調製]
340mlのイソプロパノールにベへン酸34gを65℃で溶解した。次に攪拌しながら0.25Nの水酸化ナトリウム水溶液をpH8.7になる様に添加した。この際水酸化ナトリウム水溶液は約400ml必要とした。次にこのベヘン酸ナトリウム水溶液を減圧濃縮を行いべヘン酸ナトリウムの濃度が重量%で8.9%とした。
【0138】
[ベへン酸銀の調製]
750mlの蒸留水中に30gのオセインゼラチンを溶解した溶液に2.94Mの硝酸銀溶液を加え銀電位を400mVとした。この中にコントロールドダブルジェット法を用いて78℃の温度下で前記ベヘン酸ナトリウム溶液374mlを44.6ml/分のスピードで添加し同時に2.94Mの硝酸銀水溶液を銀電位が400mVになる様に添加した。添加時のベヘン酸ナトリウム及び硝酸銀の使用量はそれぞれ0.092モル、0.101モルであった。
【0139】
添加終了後さらに30分攪拌し限外濾過により水溶性塩類を除去した。
【0140】
[感光性乳剤Bの調製]
このべへン酸銀分散物に前記ハロゲン化銀乳剤Aをそれぞれ0.01モル加え、更に攪拌しながらポリ酢酸ビニルの酢酸n−ブチル溶液(1.2wt%)100gを徐々に添加して分散物のフロックを形成後、水を取り除き、更に2回の水洗と水の除去を行った後、残った分散物200gに対し、バインダーとしてポリビニルブチラール(平均分子量3000)の2.5wt%の酢酸ブチルとイソブロピルアルコールの1:2混合溶液60gを攪拌しながら加えた後、こうして得られたゲル状のベへン酸及びハロゲン化銀の混合物にバインダーとしてポリビニルブチラール(平均分子量4000)1.5g及びイソプロピルアルコール240mlを加え500gに仕上げて分散し、感光性乳剤Bを調製した。
【0141】
[感光層塗布液Bの調製]
前記感光性乳剤B(500g)およびMEK100gを攪拌しながら21℃に
保温した。ピリニジウムヒドロブロミドパーブロミド(PHP、0.45g)を加え、1時間攪拌した。さらに臭化カルシウム(10%メタノール溶液3.25ml)を添加して30分攪拌した。
【0142】
次に増感色素−1、4−クロロ−2−べンゾイル安息香酸、および強色増感剤(5−メチル−2−メルカプトべンズイミダゾール)の混合溶液(混合比率1:250:20、増感色索で0.1%メタノール溶液、7ml)を添加して1時間攪拌した後に温度を13℃まで降温してさらに30分攪拌する。
【0143】
13℃に保温したまま、ポリビニルブチラール48gを添加して充分溶解してから、以下の添加物を添加し、感光層塗布液Bを調製する。
還元剤−1:15g(0.0484mol)
デスモデュN3300(モーベイ社、脂肪族イソシアネート) 1.10g
フタラジン(色調剤) 1.5g
テトラクロロフタル酸 0.5g
4−メチルフタル酸 0.5g
IR染料:8mg
【0144】
[感光層面側塗布]
感光層塗布液Bを調製した後、13℃に保温して所定時間、停滞保持してから、支持体上に以下の各層を順次形成し、試料を作成した。尚、乾燥は各々75℃,5分間で行い、フィルム1を得た。
【0145】
感光層1:感光層塗布液Bを塗布銀量2g/mになる様に塗布する。
【0146】
<ハロゲン化銀写真感光性熱現像材料のフィルム2>
【0147】
[感光性乳剤Cの調製]
ハロゲン化銀−ベヘン酸銀ドライ乳剤を、米国特許第3,839,049号に記載の方法によって調製した。上記ハロゲン化銀は総銀量の9モル%を有し、一方べへン酸銀は総銀量の91モル%を有した。上記ハロゲン化銀は、ヨウ化物2%を有する0.055μm臭化ヨウ化銀乳剤であった。
【0148】
[感光層塗布液Cの調製]
熱現像乳剤を、上記ハロゲン化銀−ベヘン酸銀ドライ乳剤455g、トルエン27g、2−ブタノン1918g、およびポリビニルブチラール(モンサント製のB−79)と均質化した。上記均質化熱現像乳剤(698g)および2−ブタノン60gを攪拌しながら12.8℃まで冷却した。ピリジニウムヒドロブロミドペルブロミド(0.92g)を加えて、2時間攪拌した。
【0149】
臭化カルシウム溶液(CaBr(1g)とメタノール10ミリリットル)3.25ミリリットルを加え、統いて30分間撹拌した。更にポリビニルブチラール(158g;モンサント製B−79)を加え、20分間攪拌した。温度を21.1℃まで上昇し、以下のものを攪拌しながら15分間かけて加え、感光層塗布液Cを調製した。
Figure 0003773101
尚、染料S−1は以下の構造を有する。
【0150】
【化4】
Figure 0003773101
【0151】
[保護層溶液Cの調整]
保護層溶液Cを以下の成分を用いて調製した。
Figure 0003773101
【0152】
この感光層塗布液Cと保護層溶液Cとを、ナイフ・コータにより、同時に、0.18mmの青色ポリエステル・フィルム・べースに塗布する。この際、感光層塗布液Cの上に保護層溶夜Cを塗布する。また、感光層塗布液は、1m当たりの乾燥被膜重量が23gとなるように、そして、保護層溶液Cは、1m当たりの乾燥被膜重量が2.4gとなるように塗布される。そして、塗布されたポリエステル・べースを、79.4℃で4分間乾燥して、フィルム2を得る。
【0153】
以上のように本発明を実施の形態及び実施例により説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で各種の変形が可能である。例えば、本実施の形態では、ビーム光源部を半導体レーザとしたが、発光ダイオード(LED)であってもよいことは勿論である。
【0154】
【発明の効果】
本発明の画像形成装置及び画像形成方法によれば、熱現像感光材料の搬送経路を短くでき装置のコンパクト化を実現できる。また、装置がコンパクト化されても断熱部により熱現像ユニットから光出射ユニットへの熱伝導を妨げることができる
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態による画像形成装置の正面図である。
【図2】図1の画像形成装置の光走査部19のカバー部材19a及び内部の光学系5を概略的に示す図である。
【図3】図2の光走査部のレーザ駆動回路200及び交互駆動制御回路300を示すブロック図である。
【図4】図1の画像形成装置の副走査部18を概略的に示す正面図である。
【図5】変形例の画像形成装置の正面図である。
【図6】本実施の形態におけるフィルムFの断面図であり、光走査部からのレーザビームによる露光時におけるフィルムF内の化学的反応を模式的に示した図である。
【図7】本実施の形態におけるフィルムFの断面図であり、図6のような潜像の形成されたフィルムを加熱した時におけるフィルムF内の化学的反応を模式的に示した図である。
【図8】従来の画像形成装置の正面図である。
【図9】図8の画像形成装置の左側面図である。
【符号の説明】
10,50 画像形成装置
1 半導体レーザ(ビーム光源部)
1a 温度センサ
5 光学系
11 フォトダイオード
12 ユニット基板
18 副走査部
19 光走査部(光出射ユニット)
19a 光走査部19のカバー部材(カバー)
19b カバー部材19aの開口19b
30 熱現像部
31 熱現像ユニット
32 冷却ユニット
43 遮光枠体
200 レーザ駆動回路
300 交互駆動制御回路
301 ダミー負荷
F フィルム(熱現像感光材料)

Claims (3)

  1. ビームを出射するビーム光源部と、前記ビーム光源部から出射したビームが通過する光学系と、前記ビーム光源部と前記光学系とを実質的に覆うカバーと、を有する光出射ユニットと、
    前記光出射ユニットによりビーム露光された熱現像感光材料を加熱して熱現像する熱現像ユニットと、
    前記光出射ユニットと前記熱現像ユニットとを実質的に遮光状態にして覆う遮光枠体と、を備える画像形成装置において、
    前記光出射ユニットと、前記光出射ユニットに隣接している前記熱現像ユニットとに挟まれ、前記光出射ユニットによりビーム露光された熱現像感光材料が通過するように設けられ、かつ前記現像ユニットから前記光出射ユニットへの熱移動を抑制する断熱部を有し、
    前記熱現像感光材料を収納する収納部を前記遮光枠体内の前記光出射ユニット及び前記熱現像ユニットの下方位置に配置し、前記収納部から取り出された熱現像感光材料は上方に搬送されてから前記光出射ユニットによりビーム露光されることを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記断熱部にシャッタを有し、
    前記光出射ユニットによりビーム露光された熱現像感光材料の搬送のタイミングと合わせて前記シャッタが開放し、前記熱現像感光材料が前記シャッタの開口を通して前記熱現像ユニット内へ搬送されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 請求項1または2に記載の画像形成装置を用いる画像形成方法において、
    前記熱現像感光材料が、ハロゲン化銀微粒子と、有機銀塩と、還元剤とを含有する熱現像感光材料であることを特徴とする画像形成方法。
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