JP3584433B2 - 写真感光材料の製造方法 - Google Patents

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  • Non-Silver Salt Photosensitive Materials And Non-Silver Salt Photography (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は写真感光材料、特に熱現像感光材料の製造方法、その中でも特に乾燥方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱現像感光材料は支持体上に少なくとも一層の感光性層を有していればよいが、通常は感光性層の上に少なくとも一層の非感光性層を設ける。これは感光性層に透過する光の量又は波長を制御する染料層であり、また熱現像時半溶融状態となる感光性層を保護する保護層である。通常は染料層と保護層は一層で2つの機能を共有化させることができるため、感光性層上には非感光性層を一層設けることによりこれらの目的は達成される。従って、支持体上には感光性層と保護層の2層の機能層を設けることが一般的である。
【0003】
熱現像感光材料の感光性層には、ハロゲン化銀、有機銀、還元剤、高分子ポリマーからなるバインダーが含まれている。露光によりハロゲン化銀は潜像を形成し、熱現像により高分子ポリマーが半溶融状態となった中で有機銀より銀が放出されると同時に還元剤により潜像を核として物理現像が起こり像が形成される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
溶液状の塗布液を乾燥させる過程では溶媒蒸気が膜表面から持ち去られる速度が乾燥速度となる恒率乾燥期間と、固定された固形分中に取り残された溶媒が層内を拡散して行く速度が律速となる減率乾燥期間に分離される。恒率乾燥期間の乾燥速度は乾燥ゾーンの温度、風速、蒸気の置換率などによって制御できるが、減率乾燥期間の乾燥速度は内部拡散に影響する乾燥温度、乾燥膜厚のみによって支配される。
【0005】
熱現像感光材料において感光層中の残留溶媒量が多いと熱現像において感光性層が溶融状態となった時、流動性が高くなりすぎ像がぼける。また、残留溶媒量が少なすぎると露光時の感度が低下してしまう。
【0006】
熱現像感光材料の感光性層は乾燥膜厚が一般の銀塩乳剤に比べて厚いため恒率乾燥終了時に感光性層中に残留する溶媒の量が多く、さらに厚い塗膜中を溶媒が拡散して行くことが必要となるため減率乾燥時間も長くなり、塗膜中に多くの残留溶媒が残るという問題が生じやすい。
【0007】
残留溶媒量を目標値まで減少させるために必要とされる乾燥ゾーンは非常に長大となり、長尺状の支持体の搬送に要するエネルギーが大きくなるばかりでなく、長い搬送経路での擦り傷、異物の付着などの故障が生じやすい。減率乾燥時の乾燥温度を高くすると層内の溶媒の拡散速度が速くなり、乾燥は早くなるが、熱現像感光材料は熱現像方式であるために高温とすることが出来ない。また搬送速度を遅くして乾燥ゾーン長を短くすることは出来るが、生産性が悪化することは言うまでもない。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この目的は次の技術手段(1)〜()の何れか1項によって達成される。
【0009】
(1) 長尺状のウェブ表面に塗布液をウエット膜厚が50〜200μmで塗布し、乾燥後に10〜30μmの塗膜を得る写真感光材料の製造方法において、塗布液中に含まれる溶媒の内、最も高い重量割合で含まれる溶媒の沸点が120℃以下であり、塗布直後に40〜90℃で0.5〜5分間乾燥した後巻き取り、巻きの状態のまま20〜80℃で1〜48時間の加熱処理を行うことを特徴とする写真感光材料の製造方法。
【0010】
(2) 長尺状のウェブ表面に塗布液をウエット膜厚が50〜200μmで塗布し、乾燥後に10〜30μmの塗膜を得る写真感光材料の製造方法において、塗布液中に含まれる溶媒の内、最も高い重量割合で含まれる溶媒の沸点が120℃以下であり、塗布直後に40〜90℃で0.5〜5分間乾燥した後シート状に断裁、堆積し、堆積した状態で20〜80℃で1〜48時間の加熱処理を行うことを特徴とする写真感光材料の製造方法。
【0011】
(3) 長尺状のウェブ表面に塗布液をウエット膜厚が50〜200μmで塗布し、乾燥後に10〜30μmの塗膜を得る写真感光材料の製造方法において、塗布液中に含まれる溶媒の内、最も高い重量割合で含まれる溶媒の沸点が120℃以下であり、塗布直後に40〜90℃で0.5〜5分間乾燥した後巻き取り、オフラインで再度巻き出し20〜80℃で2〜60分間の加熱処理を行うことを特徴とする写真感光材料の製造方法。
【0012】
(4) 長尺状のウェブ表面に塗布液をウエット膜厚が50〜200μmで塗布し、乾燥後に10〜30μmの塗膜を得る写真感光材料の製造方法において、塗布液中に含まれる溶媒の内、最も高い重量割合で含まれる溶媒の沸点が120℃以下であり、塗布直後に40〜90℃で0.5〜5分間乾燥した後巻き取った複数の巻きを、一つの加熱ゾーンで同時にオフラインで再度巻き出し20〜80℃で2〜60分間の加熱処理を行うことを特徴とする写真感光材料の製造方法。
【0013】
(5) 前記溶媒は有機溶剤であることを特徴とする(1)〜(4)項の何れか1項に記載の写真感光材料の製造方法。
【0014】
(6) 写真感光材料が支持体表面に感光性層と保護層を有する熱現像感光材料であることを特徴とする(1)〜(5)項の何れか1項に記載の写真感光材料の製造方法。
【0015】
本発明において、溶媒とは水でも有機溶剤でも良く、溶媒の状態は溶液の溶媒の状態であっても良く、分散液の分散媒の状態であっても良い。
【0016】
長尺状のウェブ表面に塗布液を50〜200μmのウエット膜厚で塗布し、乾燥後に10〜30μmの塗膜を得る写真感光材料の製造方法において、塗布液中に含まれる溶媒の内、最も高い重量割合で含まれる溶媒の沸点を120℃以下とする。これにより残留溶媒の減率乾燥を促進することができる。また恒率乾燥時は熱現像感光材料が熱により現像が進行しない40〜90℃で0.5〜5分間乾燥する。
【0017】
第1の発明では恒率乾燥の終わった製品を巻き取り、巻きの状態のまま加熱処理を行い目標の残留溶媒量とする。加熱処理では熱による現像が進行しないように20〜80℃で処理され処理条件は初期の溶媒量により異なるが1〜48時間行う。本発明では減率乾燥時に支持体を搬送する必要がないため複数の巻きを目標温度に管理された熱処理室に保管することにより目的を達することができる。
【0018】
第2の発明では製品を最終形態であるシート状に断裁し、出荷形態に堆積した後第1の発明同様20〜80℃で1〜48時間熱処理を行う。本発明でも減率乾燥時に支持体を搬送する必要がないため堆積状態の製品を設定温度に管理された熱処理室に保管することにより目的を達することができる。
【0019】
第3の発明では塗布、恒率乾燥とは別に設けられた熱処理ゾーンにおいて一度巻き取られた製品を巻き出し、20〜80℃で2〜60分間の加熱処理を行う。この方式では支持体の搬送設備が必要となるが、第1、第2の発明に比べて塗布面表面からの残留溶媒の蒸発が容易であるため減率乾燥時間は短くて済む。また加熱ゾーンは恒率乾燥時にはまだ流動性のある膜面を乱さないために必要であった風速の制御などを行う必要がないため比較的単純な構造で済む。
【0020】
第4の発明では複数の巻きを1つの加熱ゾーンにより同時に処理することで生産性を上げることができる。
【0021】
ここで本発明が取り上げる感光材料のうち、特に有効な挙動を示す熱現像感光材料は、次の一般記載の項に掲げるようなものである。
【0022】
〈一般記載〉
熱現像感光材料の詳細は例えば米国特許第3,152,904号、同第3,457,075号、及びD.モーガン(Morgan)による「ドライシルバー写真材料(Dry Silver Photographic Material)」(HandBook of Imaging materials,Marcel Dekker,Inc.第48頁,1991)やD.モーガンとB.シェリー(Shely)による「熱によって処理される銀システム(Thermally Processed SilverSystems)」(Imaging Processes and materials,Neblette 第8版、Sturge、V.Waleorth、A.Shepp編集、第2頁、1969年)等に開示されている。本発明で得られる、感光材料は80〜140℃で熱現像することで画像を形成させ、定着を行わないことが好ましい。そのため、未露光部に残ったハロゲン化銀や有機銀塩は除去されずに感光材料中に残ることになる。
【0023】
熱現像処理した後の、400nmにおける支持体を含んだ感光材料の光学透過濃度が0.2以下であることが好ましく、更には0.02〜0.2である。0.02未満では感度が低く使用ができないことがある。
【0024】
ハロゲン化銀粒子は光センサーとして機能する。画像形成後の白濁を低く抑え、良好な画質を得るために平均粒子サイズが小さい方が好ましく0.1μm以下、より好ましくは0.01〜0.1μm、特に0.02〜0.08μmが好ましい。ここでいう粒子サイズとは、ハロゲン化銀粒子が立方体或いは八面体のいわゆる正常晶である場合には、ハロゲン化銀粒子の稜の長さをいう。又、正常晶でない場合、例えば球状、棒状、或いは平板状の粒子の場合には、ハロゲン化銀粒子の体積と同体積の球に換算したときの直径をいう。又、ハロゲン化銀は単分散であることが好ましい。ここでいう単分散とは、下記式で求められる単分散度が40%以下をいう。更に好ましくは30%以下であり、特に好ましくは0.1〜20%以下となる粒子である。
【0025】
単分散度=(粒径の標準偏差)/(粒径の平均値)×100
ハロゲン化銀粒子の形状については特に制限はないが、ミラー指数(100)面の占める割合が高いことが好ましく、この割合が50%以上、更には70%以上、特に80%以上であることが好ましい。ミラー指数(100)面の比率は増感色素の吸着における(111)面と(100)面との吸着依存性を利用したT.Tani,J.Imaging Sci.,29,165(1985年)に記載の方法により求めることができる。
【0026】
また平板粒子も好ましい。平板状ハロゲン化銀粒子を用いる場合の平均アスペクト比は好ましくは2〜100、より好ましくは3〜50で、粒径は0.1μm以下が好ましく、更には0.01〜0.08μmである。これらは米国特許第5,264,337号、同第5,314,798号、同第5,320,958号等に記載されており、容易に目的の平板状粒子を得ることができる。
【0027】
ハロゲン組成としては特に制限はなく、塩化銀、塩臭化銀、塩沃臭化銀、臭化銀、沃臭化銀、沃化銀のいずれであってもよい。
【0028】
本発明に用いられる写真乳剤は、P.Glafkides著Chimie et Physique Photographique(Paul Montel社刊、1967年)、G.F.Duffin著 Photographic Emulsion Chemistry(The Focal Press刊、1966年)、V.L.Zelikman et al著Making andCoating Photographic Emulsion(The Focal Press刊、1964年)等に記載された方法を用いて調製することができる。
【0029】
即ち、酸性法、中性法、アンモニア法等のいずれでもよく、又可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩を反応させる形成としては、片側混合法、同時混合法、それらの組合せ等の何れを用いてもよい。このハロゲン化銀はいかなる方法で画像形成層に添加されてもよく、このときハロゲン化銀は還元可能な銀源に近接するように配置する。又、ハロゲン化銀は有機酸銀とハロゲンイオンとの反応による有機酸銀中の銀の一部又は全部をハロゲン化銀に変換することによって調製してもよいし、ハロゲン化銀を予め調製しておき、これを有機銀塩を調製するための溶液に添加してもよく、又はこれらの方法の組み合わせも可能であるが後者が好ましい。一般にハロゲン化銀は有機銀塩に対して0.75〜30重量%の量で含有することが好ましい。
【0030】
ハロゲン化銀粒子には、元素周期律表の6族から10族に属する金属のイオン又は錯体イオンを含有することが好ましい。上記の金属としては、W,Fe、Co、Ni、Cu、Ru、Rh、Pd、Re、Os、Ir、Pt、Auが好ましい。
【0031】
これらの金属は錯体の形でハロゲン化銀に導入でき、該遷移金属錯体としては、下記一般式で表される6配位錯体が好ましい。
【0032】
〔ML
式中、Mは元素周期表の6〜10族の元素から選ばれる遷移金属、Lは架橋配位子、mは0、−1、−2又は−3を表す。Lで表される配位子の具体例としては、ハロゲン化物(弗化物、塩化物、臭化物及び沃化物)、シアン化物、シアナート、チオシアナート、セレノシアナート、テルロシアナート、アジド又はアコの各配位子、ニトロシル、チオニトロシル等が挙げられ、好ましくはアコ、ニトロシル又はチオニトロシル等である。アコ配位子が存在する場合には、配位子の一つ又は二つを占めることが好ましい。Lは同一でもよく、また異なっていてもよい。
【0033】
Mとして特に好ましくは、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、レニウム(Re),イリジウム(Ir)及びオスミウム(Os)であり、それらの具体例を示す。
【0034】
1:〔RhCl3−
2:〔RuCl3−
3:〔ReCl3−
4:〔RuBr3−
5:〔OsCl3−
6:〔IrCl4−
7:〔Ru(NO)Cl2−
8:〔RuBr(HO)〕2−
9:〔Ru(NO)(HO)Cl
10:〔RhCl(HO)〕2−
11:〔Re(NO)Cl2−
12:〔Re(NO)CN2−
13:〔Re(NO)ClCN2−
14:〔Rh(NO)Cl
15:〔Rh(NO)(HO)Cl
16:〔Ru(NO)CN2−
17:〔Fe(CN)3−
18:〔Rh(NS)Cl2−
19:〔Os(NO)Cl2−
20:〔Cr(NO)Cl2−
21:〔Re(NO)Cl
22:〔Os(NS)Cl(TeCN)〕2−
23:〔Ru(NS)Cl2−
24:〔Re(NS)Cl(SeCN)〕2−
25:〔Os(NS)Cl(SCN)2−
26:〔Ir(NO)Cl2−
27:〔Ir(NS)Cl2−
これらは一種類でも、同種或いは異種の金属を2種以上併用しても良い。含有量は銀1モルに対し1×10−9〜1×10−2モルの範囲が好ましく、1×10−8〜1×10−4の範囲がより好ましい。
【0035】
これらの金属のイオン又は錯体イオンを提供する化合物は、ハロゲン化銀粒子形成時に添加し、ハロゲン化銀粒子中に組み込まれることが好ましく、ハロゲン化銀粒子の調製、つまり核形成、成長、物理熟成、化学増感の前後のどの段階で添加してもよいが、特に核形成、成長、物理熟成の段階で添加するのが好ましく、更には核形成、成長の段階で添加するのが好ましく、最も好ましくは核形成の段階で添加する。添加に際しては、数回に渡って分割して添加してもよく、ハロゲン化銀粒子中に均一に含有させることもできるし、特開昭63−29603号、特開平2−306236号、同3−167545号、同4−76534号、同6−110146号、同5−273683号等に記載されている様に粒子内に分布を持たせて含有させることもできる。好ましくは粒子内部に分布をもたせることである。これらの金属化合物は、水或いは適当な有機溶媒(例えば、アルコール類、エーテル類、グリコール類、ケトン類、エステル類、アミド類)に溶解して添加することができるが、例えば金属化合物の粉末の水溶液もしくは金属化合物とNaCl、KClとを一緒に溶解した水溶液を、粒子形成中の水溶性銀塩溶液又は水溶性ハライド溶液中に添加しておく方法、或いは銀塩溶液とハライド溶液が同時に混合されるとき第3の水溶液として添加し、3液同時混合の方法でハロゲン化銀粒子を調製する方法、粒子形成中に必要量の金属化合物の水溶液を反応容器に投入する方法、或いはハロゲン化銀調製時に予め金属のイオン又は錯体イオンをドープしてある別のハロゲン化銀粒子を添加して溶解させる方法等がある。特に、金属化合物の粉末の水溶液もしくは金属化合物とNaCl、KClとを一緒に溶解した水溶液を水溶性ハライド溶液に添加する方法が好ましい。
【0036】
粒子表面に添加する時には、粒子形成直後又は物理熟成時途中もしくは終了時又は化学熟成時に必要量の金属化合物の水溶液を反応容器に投入することもできる。
【0037】
感光性ハロゲン化銀粒子はヌードル法、フロキュレーション法、限外濾過法、電気透析法等の公知の脱塩法により脱塩することができる。
【0038】
感光性ハロゲン化銀粒子は化学増感されていることが好ましく、増感方法としてはイオウ増感、セレン増感、テルル増感、貴金属増感、還元増感等公知の増感法を用いることができる。また、これら増感法は2種以上組み合わせて用いることもできる。イオウ増感法にはチオ硫酸塩、チオ尿素化合物、無機イオウ等を用いることができる。セレン増感法、テルル増感法に好ましく用いられる化合物としては、特開平9−230527号記載の化合物を挙げることができる。貴金属増感法に好ましく用いられる化合物としては、例えば塩化金酸、カリウムクロロオーレート、硫化金、金セレナイド、あるいは米国特許2,448,060号、英国特許618,061号などに記載されている化合物を挙げることができる。還元増感法の具体的な化合物としてはアスコルビン酸、2酸化チオ尿素、塩化第1スズ、ヒドラジン誘導体、ボラン化合物、シラン化合物、ポリアミン化合物等を用いることができる。また、乳剤のpHを7以上又はpAgを8.3以下に保持して熟成することにより還元増感することができる。又、粒子形成中に銀イオンのシングルアディション部分を導入することにより還元増感することができる。
【0039】
有機銀塩は還元可能な銀源であり、還元可能な銀イオン源を含有する有機酸及びヘテロ有機酸の銀塩、特に長鎖(10〜30、好ましくは15〜25の炭素原子数)の脂肪族カルボン酸及び含窒素複素環の銀塩が好ましい。
【0040】
配位子が、4.0〜10.0の銀イオンに対する錯安定度定数を有する有機又は無機の銀塩錯体も有用である。例えば、有機酸(例えば、没食子酸、シュウ酸、ベヘン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、マレイン酸、リノール酸等)の銀塩、カルボキシアルキルチオ尿素例えば、1−(3−カルボキシプロピル)チオ尿素、1−(3−カルボキシプロピル)−3,3−ジメチルチオ尿素等)の銀塩、アルデヒドとヒドロキシ置換芳香族カルボン酸とのポリマー反応生成物(例えば、アルデヒド類(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ブチルアルデヒド等)の銀錯体)、ヒドロキシ置換酸類(例えば、サリチル酸、安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、5,5−チオジサリチル酸等)の銀塩又は銀錯体、チオエン類(例えば、3−(2−カルボキシエチル)−4−ヒドロキシメチル−4−チアゾリン−2−チオエン、及び3−カルボキシメチル−4−チアゾリン−2−チオエン等)の銀塩又は錯体、イミダゾール、ピラゾール、ウラゾール、1,2,4−チアゾール及び1H−テトラゾール、3−アミノ−5−ベンジルチオ−1,2,4−トリアゾール及びベンゾトリアゾールから選択される窒素酸と銀との錯体又は塩;サッカリン、5−クロロサリチルアルドキシム等の銀塩、又はメルカプチド類の銀塩。好適な銀塩の例は、RD第17029及び29963に記載されており、特に好ましい銀塩はベヘン酸銀,アラキジン酸銀、テアリン酸銀である。
【0041】
有機銀塩化合物は、水溶性銀化合物と銀と錯形成する化合物を混合することにより得られるが、正混合法、逆混合法、同時混合法、特開平9−127643号に記載されている様なコントロールドダブルジェット法等が好ましく用いられる。例えば,有機酸にアルカリ金属塩(例えば,水酸化ナトリウム,水酸化カリウム)を加えて有機酸アルカリ金属塩ソープ(例えば,ベヘン酸ナトリウム,アラキジン酸ナトリウム)を作成した後に,コントロールダブルジェット法により,前記ソープと硝酸銀などを添加して有機銀塩の結晶を作製する。その際にハロゲン化銀粒子を混在させてもよい。
【0042】
有機銀塩は平均粒径が1μm以下で単分散であることが好ましい。有機銀塩の平均粒径は、粒子が球状、棒状或いは平板状の粒子の場合には、有機銀塩粒子の体積と同等な球を考えたときの直径を言う。平均粒径は好ましくは0.01〜0.8μm、特に好ましくは0.05〜0.5μmである。また単分散度については前述と同義であり、好ましくは1〜30である。更にアスペクト比が3以上の平板状粒子が全有機銀の60%以上を占めることが好ましい。有機銀塩の形状を整えるには、有機銀塩結晶をバインダーや界面活性剤などとボールミルなどで分散粉砕すればよい。
【0043】
感光材料の失透を防ぐためには、ハロゲン化銀及び有機銀塩の総量は,銀量に換算して1m当たり0.5〜2.2gであることが好ましい。この範囲にすることで硬調な画像が得られる。また銀総量に対するハロゲン化銀の量は、重量比で50%以下、好ましくは25%以下、更には0.1〜15%である。
【0044】
熱現像感光材料には還元剤を内蔵させることが好ましい。還元剤としては、米国特許第3,770,448号、同第3,773,512号、同第3,593,863号、及びRD第17029及び29963に記載されており、次のものがある。アミノヒドロキシシクロアルケノン化合物(例えば、2−ヒドロキシピペリジノ−2−シクロヘキセノン);還元剤の前駆体としてアミノリダクトン類エステル(例えば、ピペリジノヘキソースリダクトンモノアセテート);N−ヒドロキシ尿素誘導体(例えば、N−p−メチルフェニル−N−ヒドロキシ尿素);アルデヒド又はケトンのヒドラゾン類(例えば、アントラセンアルデヒドフェニルヒドラゾン);ホスファーアミドフェノール類;ホスファーアミドアニリン類;ポリヒドロキシベンゼン類(例えば、ヒドロキノン、t−ブチル−ヒドロキノン、イソプロピルヒドロキノン及び(2,5−ジヒドロキシ−フェニル)メチルスルホン);スルフヒドロキサム酸類(例えば、ベンゼンスルフヒドロキサム酸);スルホンアミドアニリン類(例えば、4−(N−メタンスルホンアミド)アニリン);2−テトラゾリルチオヒドロキノン類(例えば、2−メチル−5−(1−フェニル−5−テトラゾリルチオ)ヒドロキノン);テトラヒドロキノキサリン類(例えば、1,2,3,4−テトラヒドロキノキサリン);アミドオキシン類;アジン類(例えば、脂肪族カルボン酸アリールヒドラザイド類とアスコルビン酸の組み合わせ);ポリヒドロキシベンゼンとヒドロキシルアミンの組み合わせ、リダクトン及び/又はヒドラジン;ヒドロキサン酸類;アジン類とスルホンアミドフェノール類の組み合わせ;α−シアノフェニル酢酸誘導体;ビス−β−ナフトールと1,3−ジヒドロキシベンゼン誘導体の組み合わせ;5−ピラゾロン類;スルホンアミドフェノール還元剤;2−フェニルインダン−1,3−ジオン等;クロマン;1,4−ジヒドロピリジン類(例えば、2,6−ジメトキシ−3,5−ジカルボエトキシ−1,4−ジヒドロピリジン);ビスフェノール類(例えば、ビス(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)メタン、ビス(6−ヒドロキシ−m−トリ)メシトール(mesitol)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、4,5−エチリデン−ビス(2−t−ブチル−6−メチル)フェノール)、紫外線感応性アスコルビン酸誘導体及び3−ピラゾリドン類。中でも特に好ましい還元剤はヒンダードフェノール類である。ヒンダードフェノール類としては下記一般式(A)で表される化合物が挙げられる。
【0045】
【化1】
Figure 0003584433
【0046】
式中、Rは水素原子、又は炭素原子数1〜10のアルキル基(例えば、−C、2,4,4−トリメチルペンチル)を表し、R′及びR″は各々炭素原子数1〜5のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基等)を表す。
【0047】
一般式(A)で表される化合物の具体例をA−1〜A−7として以下に示す。
【0048】
【化2】
Figure 0003584433
【0049】
【化3】
Figure 0003584433
【0050】
前記一般式(A)で表される化合物を始めとする還元剤の使用量は好ましくは銀1モル当り1×10−2〜10モル、特に1×10−2〜1.5モルである。
【0051】
熱現像感光材料に好ましく用いられるバインダーは透明又は半透明で、一般に無色であり、天然ポリマー合成樹脂やポリマー及びコポリマー、その他フィルムを形成する媒体、例えば、ゼラチン、アラビアゴム、ポリ(ビニルアルコール)、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリ(ビニルピロリドン)、カゼイン、デンプン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メチルメタクリル酸)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(メタクリル酸)、コポリ(スチレン−無水マレイン酸)、コポリ(スチレン−アクリロニトリル)、コポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)及びポリ(ビニルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(ビニルアセテート)、セルロースエステル類、ポリ(アミド)類がある。親水性でも非親水性でもよい。
【0052】
熱現像速度の観点から感光性層のバインダー量は1.5〜10g/mであることが好ましい。さらに好ましくは1.7〜8g/mである。1.5g/m未満では未露光部の濃度が大幅に上昇し、使用に耐えない場合がある。
【0053】
熱現像後の画像の傷つき防止のために、感光性層側にマット剤を含有することが好ましく、感光層側の全バインダーに対し、重量比で0.5〜30%含有することが好ましい。
【0054】
マット剤は有機物及び無機物のいずれでもよい。例えば、無機物としては、スイス特許第330,158号等に記載のシリカ、仏国特許第1,296,995号等に記載のガラス粉、英国特許第1,173,181号等に記載のアルカリ土類金属又はカドミウム、亜鉛等の炭酸塩、等をマット剤として用いることができる。有機物としては、米国特許第2,322,037号等に記載の澱粉、ベルギー特許第625,451号や英国特許第981,198号等に記載された澱粉誘導体、特公昭44−3643号等に記載のポリビニルアルコール、スイス特許第330,158号等に記載のポリスチレン或いはポリメタアクリレート、米国特許第3,079,257号等に記載のポリアクリロニトリル、米国特許第3,022,169号等に記載されたポリカーボネートの様な有機マット剤を用いることができる。
【0055】
マット剤の形状は、定形、不定形どちらでも良いが、好ましくは定形で、球形が好ましく用いられる。また平均粒径が0.5〜10μmであることが好ましく、更に好ましくは1.0〜8.0μmである。ここに、マット剤の粒径とはその体積を球形に換算したときの直径のことを示すものとする。又、粒子サイズ分布の変動係数としては、50%以下であることが好ましく、更に好ましくは40%以下であり、特に好ましくは30%以下となるポリマーラテックスである。
【0056】
ここで、粒子サイズ分布の変動係数は、下記の式で表される値である。
【0057】
(粒径の標準偏差)/(粒径の平均値)×100
マット剤は任意の構成層中に含むことができるが、好ましくは感光性層以外の構成層であり、更に好ましくは支持体から見て最も外側の層である。
【0058】
マット剤の添加は、予め塗布液中に分散させて塗布してもよいし、塗布液を塗布した後、乾燥が終了する以前にマット剤を噴霧してもよい。また複数の種類のマット剤を添加する場合は、両方の方法を併用してもよい。
【0059】
熱現像感光材料は、熱現像処理にて写真画像を形成するもので、還元可能な銀源(有機銀塩)、感光性ハロゲン化銀、還元剤及び必要に応じて銀の色調を抑制する色調剤を通常(有機)バインダーマトリックス中に分散した状態で含有していることが好ましい。熱現像感光材料は常温で安定であるが、露光後高温(例えば、80℃〜140℃)に加熱することで現像される。即ち、加熱することで有機銀塩(酸化剤として機能する)と還元剤との間の酸化還元反応を通じて銀を生成する。この酸化還元反応は露光でハロゲン化銀に発生した潜像の触媒作用によって促進される。露光領域中の有機銀塩の反応によって生成した銀は黒色画像を形成し、これは非露光領域と対照をなし、画像の形成がなされる。この反応過程は、外部から水等の処理液を供給することなしで進行する。
【0060】
熱現像感光材料の感光層を通過する光の量又は波長分布を制御するために保護層に染料又は顔料を添加するか、感光層と反対側にフィルター層を形成するか、感光層に染料又は顔料を含ませても良い。用いられる染料又は顔料としては特開昭59−6481号、特開昭59−182436号、米国特許4271263号、米国特許4594312号、欧州特許公開533008号、欧州特許公開652473号、特開平2−216140号、特開平4−348339号、特開平7−191432号、特開平7−301890号等に記載の化合物が好ましい。感光層は複数層にしても良く、また階調の調節のため感度を高感度層/低感度層又は低感度層/高感度層にしても良い。
【0061】
熱現像感光材料には、現像後の銀色調を改良する目的で色調剤を添加することが好ましい。好適な色調剤の例はRD第17029号に開示されており、次のものがある。
【0062】
イミド類(例えば、フタルイミド);環状イミド類、ピラゾリン−5−オン類、及びキナゾリノン(例えば、スクシンイミド、3−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、1−フェニルウラゾール、キナゾリン及び2,4−チアゾリジンジオン);ナフタールイミド類(例えば、N−ヒドロキシ−1,8−ナフタールイミド);コバルト錯体(例えば、コバルトのヘキサミントリフルオロアセテート)、メルカプタン類(例えば、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール);N−(アミノメチル)アリールジカルボキシイミド類(例えば、N−(ジメチルアミノメチル)フタルイミド);ブロックされたピラゾール類、イソチウロニウム(isothiuronium)誘導体及びある種の光漂白剤の組み合わせ(例えば、N,N′−ヘキサメチレン(1−カルバモイル−3,5−ジメチルピラゾール)、1,8−(3,6−ジオキサオクタン)ビス(イソチウロニウムトリフルオロアセテート)、及び2−(トリブロモメチルスルホニル)ベンゾチアゾールの組み合わせ);メロシアニン染料(例えば、3−エチル−5−((3−エチル−2−ベンゾチアゾリニリデン(ベンゾチアゾリニリデン))−1−メチルエチリデン)−2−チオ−2,4−オキサゾリジンジオン);フタラジノン、フタラジノン誘導体又はこれらの誘導体の金属塩(例えば、4−(1−ナフチル)フタラジノン、6−クロロフタラジノン、5,7−ジメチルオキシフタラジノン、及び2,3−ジヒドロ−1,4−フタラジンジオン);フタラジノンとスルフィン酸誘導体の組み合わせ(例えば、6−クロロフタラジノン+ベンゼンスルフィン酸ナトリウム又は8−メチルフタラジノン+p−トリスルホン酸ナトリウム);フタラジン+フタル酸の組み合わせ;フタラジン(フタラジンの付加物を含む)とマレイン酸無水物、及びフタル酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸又はo−フェニレン酸誘導体及びその無水物(例えば、フタル酸、4−メチルフタル酸、4−ニトロフタル酸及びテトラクロロフタル酸無水物)から選択される少なくとも1つの化合物との組み合わせ;キナゾリンジオン類、ベンズオキサジン、ナルトキサジン誘導体;ベンズオキサジン−2,4−ジオン類(例えば、1,3−ベンズオキサジン−2,4−ジオン);ピリミジン類及び不斉−トリアジン類(例えば、2,4−ジヒドロキシピリミジン)、及びテトラアザペンタレン誘導体(例えば、3,6−ジメルカプト−1,4−ジフェニル−1H,4H−2,3a,5,6a−テトラアザペンタレン)。好ましい色調剤としてはフタラゾン又はフタラジンである。
【0063】
熱現像感光材料には、現像を制御或いは促進させるなどの現象の制御、分光増感効率の向上又は現像前後の保存性を向上させるためなどにメルカプト化合物、ジスルフィド化合物、チオン化合物を含有させることができる。メルカプト化合物を使用する場合、いかなる構造のものでも良いが、Ar−SM,Ar−S−Arで表されるものが好ましい。式中、Mは水素原子またはアルカリ金属原子であり、Arは1個以上の窒素、イオウ、酸素、セレニウム又はテルリウム原子を有する複素芳香環又は縮合芳香環である。
【0064】
好ましくは、複素芳香環としてはベンズイミダゾール、ナフスイミダゾール、ベンゾアゾール、ナフトチアゾール、ベンズオキサゾール、ナフスオキサゾール、ベンゾセレナゾール、ベンゾテルラゾール、イミダゾール、オキサゾール、ピラゾール、トリアゾール、チアジアゾール、テトラゾール、トリアジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、ピリジン、プリン、キノリン又はキナゾリノンである。この複素芳香環は、例えば、ハロゲン(例えば、BrおよびCl)、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、アルキル(例えば、1個以上の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子を有するもの)およびアルコキシ(例えば、1個以上の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子を有するもの)からなる置換基群から選択されるものを有してもよい。
【0065】
メルカプト置換複素芳香族化合物としては、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトベンズオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール,2−メルカプト−5−メチルベンゾチアゾール,3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール,2−メルカプトキノリン,8−メルカプトプリン,2,3,5,6−テトラクロロ−4−ピリジンチオール,4−ヒドロキシ−2−メルカプトピリミジン,2−メルカプト−4−フェニルオキサゾールなどが挙げられる。
【0066】
熱現像感光材料にはカブリ防止剤を含有させることができる。最も有効なカブリ防止剤として知られているものは水銀イオンである。感光材料中にカブリ防止剤として水銀化合物を使用することについては、例えば米国特許第3,589,903号に開示されている。しかし、水銀化合物は環境的に好ましくない。非水銀カブリ防止剤としては例えば米国特許第4,546,075号及び同第4,452,885号及び特開昭59−57234号に開示されている様なカブリ防止剤が好ましい。
【0067】
特に好ましい非水銀カブリ防止剤は、米国特許第3,874,946号及び同第4,756,999号に開示されているような化合物、−C(X1)(X2)(X3)(ここでX1及びX2はハロゲンでX3は水素又はハロゲン)で表される1以上の置換基を備えたヘテロ環状化合物である。好適なカブリ防止剤の例としては、特開平9−288328号段落番号〔0030〕〜〔0036〕に記載の化合物、同9−90550号段落番号〔0062〕〜〔0063〕に記載されている化合物である。更にその他好適なカブリ防止剤として米国特許第5,028,523号、英国特許出願第92221383.4号、同第9300147.7号、同第9311790.1号等に記載の化合物が挙げられる。
【0068】
熱現像感光材料には、例えば特開昭63−159841号、同60−140335号、同63−231437号、同63−259651号、同63−304242号、同63−15245号、米国特許第4,639,414号、同第4,740,455号、同第4,741,966号、同第4,751,175号、同第4,835,096号、RD17643IV−A項(1978年12月p.23)、同1831X項(1978年8月p.437)に記載もしくは引用された文献に記載された増感色素が使用できる。特に各種スキャナー光源の分光特性に適した分光感度を有する増感色素を有利に選択することができる。例えば特開平9−34078号、同9−54409号、同9−80679号記載の化合物が好ましく用いられる。
【0069】
熱現像感光材料には例えば、界面活性剤、酸化防止剤、安定化剤、可塑剤、紫外線吸収剤、被覆助剤等を用いても良い。
【0070】
熱現像感光材料に用いられる支持体は、現像処理後の画像の変形を防ぐためにプラスチックフイルム(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、ナイロン、セルローストリアセテート、ポリエチレンナフタレート)であることが好ましい。
【0071】
その中でも好ましい支持体としては、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略す)及びシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体を含むプラスチック(以下、SPSと略す)の支持体が挙げられる。支持体の厚みとしては50〜300μm程度、好ましくは70〜180μmである。
【0072】
また熱処理したプラスチック支持体を用いることもできる。採用するプラスチックとしては、前記のプラスチックが挙げられる。支持体の熱処理とはこれらの支持体を製膜後、感光層が塗布されるまでの間に、支持体のガラス転移点より30℃以上高い温度で、好ましくは35℃以上高い温度で、更に好ましくは40℃以上高い温度で加熱することである。
【0073】
また熱現像感光材料には帯電性を調整するために例えば米国特許5,244,773号等に記載の導電性化合物を用いることができる。
【0074】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の態様はこれに限定されない。
【0075】
〈感光層塗布液の調液〉
(ハロゲン化銀乳剤Aの調製)
水40l中にイナートゼラチン1.3kg及び0.1M臭化カリウム160ccを溶解して温度35℃、pHを3.0に合わせた後、硝酸銀4.5kgを含む水溶液39lと(98/2)のモル比の臭化カリウムと沃化カリウムを含む水溶液及び〔Ir(NO)Cl〕塩を銀1モル当たり1×10−6モル及び塩化ロジウム塩を銀1モル当たり1×10−4モルを、pAg7.7に保ちながらコントロールドダブルジェット法で添加した。その後4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデンを添加しNaOHでpHを5に調整して平均粒子サイズ0.06μm、単分散度10%の投影直径面積の変動係数8%、〔100〕面比率87%の立方体沃臭化銀粒子を得た。この乳剤にゼラチン凝集剤を用いて凝集沈降させ脱塩処理後フェノキシエタノール4.2gを加え、pH5.9、pAg7.5に調整して、ハロゲン化銀乳剤を得た。さらに塩化金酸及び無機硫黄で化学増感を行った。
【0076】
(ベヘン酸Na溶液の調製)
40lの純水にベヘン酸1.4kg、アラキジン酸0.42kg、ステアリン酸0.25kgを90℃で溶解した。次に高速で撹拌しながら1.5Mの水酸化ナトリウム水溶液4.1lを添加した。次に濃硝酸39lを加えた後、55℃に冷却して30分撹拌させてベヘン酸Na溶液を得た。
【0077】
(ベヘン酸銀とハロゲン化銀Aのプレフォーム乳剤の調製)
上記のベヘン酸Na溶液に前記ハロゲン化銀乳剤Aを640g添加し水酸化ナトリウム溶液でpH8.1に調整した後に1Mの硝酸銀溶液6.2lを加え、20分撹拌し限外濾過により水溶性塩類を除去した。できたベヘン酸銀は平均粒子サイズ0.8μm、単分散度8%の粒子であった。分散物のフロックを形成後、水を取り除き、更に6回の水洗と水の除去を行った後乾燥させた。
【0078】
(感光性乳剤の調製)
できあがったプレフォーム乳剤にポリビニルブチラール(平均分子量3000)のメチルエチルケトン溶液(17wt%)23kgとトルエン4.5kgを徐々に添加して混合した後に、4000psiで分散させた。
【0079】
この分散物を用いて以下の組成とし、感光層塗布液とした。
【0080】
メチルエチルケトン 70重量%
感光性乳剤分散液 22.8重量%
増感色素−1(次の化4に示す) 0.16重量%
ピリジニウムプロミドペルブロミド 0.29重量%
臭化カルシウム 0.16重量%
カブリ防止剤−(次の化4に示す) 0.11重量%
2−(4−クロロベンゾイル)安息香酸 0.87重量%
2−メルカプトベンズイミダゾール 1.05重量%
トリブロモメチルスルホキノリン 1.62重量%
A−4(前記化2のA−4に当たる) 2.82重量%
【0081】
【化4】
Figure 0003584433
【0082】
〈保護層塗布液の調整〉
以下の組成の液を保護層塗布液1とした。
【0083】
Figure 0003584433
感光層塗布液を目標ウェット膜厚100μmで、保護層塗布液を目標ウェット膜厚40μmで市販の2軸延伸熱固定済みの厚さ100μm,幅110cmのPETフィルム上に塗布幅100cmで塗布した後、80度で2分間乾燥し乾燥膜厚25μmの塗膜を得た。この時点の写真感光材料を「写真感光材料1」とする。この時点の膜内の主溶媒であるメチルエチルケトンの残留溶媒量をガスクロマトグラフィーで測定したところ520mg/mであった。
【0084】
〈乾燥テスト1〉
写真感光材料1を1000m巻き状とし、以下の加熱処理を行った。一方写真感光材料1をA3サイズに断裁し、100枚の堆積状態とした。この堆積物の上下に同じくA3サイズの100μm厚みPETを重ね、以下の加熱処理を行った。その結果を表1に示す。
【0085】
【表1】
Figure 0003584433
【0086】
実施例1はカブリ、感度の低下、画像のぼけもなく良好。比較例1は加熱処理を行わなかったもので、残留溶媒量が多く熱現像において感光層が溶融状態となった時、流動性が高くなりすぎたため画像がぼけている。比較例2は短時間で残留溶媒量が低減しているが、加熱温度が高すぎるためカブリを生じてしまった。比較例3では加熱温度が低すぎるために、比較例4では加熱時間不足により残留溶媒を十分に除去することができず、比較例1と同様に画像がぼけている。比較例5では加熱時間が長すぎ、必要以上に残留溶媒量が低減しており、露光時の感度が低下してしまった。
【0087】
〈乾燥テスト2〉
写真感光材料1をオフラインの乾燥ゾーンを以下の条件で通過させることにより加熱処理を行った。その結果を表2に示す。
【0088】
【表2】
Figure 0003584433
【0089】
実施例2はカブリ、感度の低下、画像のぼけもなく良好。比較例6は十分残留溶媒量が低減しているが、加熱温度が高すぎるためカブリを生じてしまった。比較例7では加熱温度が低すぎるために、比較例8では加熱時間不足により残留溶媒を十分に除去することができず、熱現像において感光層が溶融状態となった時、流動性が高くなりすぎたため画像がぼけている。比較例9では加熱時間が長すぎ、必要以上に残留溶媒量が低減しており、露光時の感度が低下してしまった。
【0090】
【発明の効果】
本発明により、写真感光材料の内特に熱現像感光材料の乾燥を行うに当たって、乾燥ラインを長くし時間をかけることなく、また、感光材料本来の品質を損なうことなく、効率よく生産性の高い乾燥を達成することが可能になった。

Claims (6)

  1. 長尺状のウェブ表面に塗布液をウエット膜厚が50〜200μmで塗布し、乾燥後に10〜30μmの塗膜を得る写真感光材料の製造方法において、塗布液中に含まれる溶媒の内、最も高い重量割合で含まれる溶媒の沸点が120℃以下であり、塗布直後に40〜90℃で0.5〜5分間乾燥した後巻き取り、巻きの状態のまま20〜80℃で1〜48時間の加熱処理を行うことを特徴とする写真感光材料の製造方法。
  2. 長尺状のウェブ表面に塗布液をウエット膜厚が50〜200μmで塗布し、乾燥後に10〜30μmの塗膜を得る写真感光材料の製造方法において、塗布液中に含まれる溶媒の内、最も高い重量割合で含まれる溶媒の沸点が120℃以下であり、塗布直後に40〜90℃で0.5〜5分間乾燥した後シート状に断裁、堆積し、堆積した状態で20〜80℃で1〜48時間の加熱処理を行うことを特徴とする写真感光材料の製造方法。
  3. 長尺状のウェブ表面に塗布液をウエット膜厚が50〜200μmで塗布し、乾燥後に10〜30μmの塗膜を得る写真感光材料の製造方法において、塗布液中に含まれる溶媒の内、最も高い重量割合で含まれる溶媒の沸点が120℃以下であり、塗布直後に40〜90℃で0.5〜5分間乾燥した後巻き取り、オフラインで再度巻き出し20〜80℃で2〜60分間の加熱処理を行うことを特徴とする写真感光材料の製造方法。
  4. 長尺状のウェブ表面に塗布液をウエット膜厚が50〜200μmで塗布し、乾燥後に10〜30μmの塗膜を得る写真感光材料の製造方法において、塗布液中に含まれる溶媒の内、最も高い重量割合で含まれる溶媒の沸点が120℃以下であり、塗布直後に40〜90℃で0.5〜5分間乾燥した後巻き取った複数の巻きを、一つの加熱ゾーンで同時にオフラインで再度巻き出し20〜80℃で2〜60分間の加熱処理を行うことを特徴とする写真感光材料の製造方法。
  5. 前記溶媒は有機溶剤であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の写真感光材料の製造方法。
  6. 写真感光材料が支持体表面に感光性層と保護層を有する熱現像感光材料であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の写真感光材料の製造方法。
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