JP2003248290A - 熱現像装置 - Google Patents

熱現像装置

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JP2003248290A
JP2003248290A JP2002049807A JP2002049807A JP2003248290A JP 2003248290 A JP2003248290 A JP 2003248290A JP 2002049807 A JP2002049807 A JP 2002049807A JP 2002049807 A JP2002049807 A JP 2002049807A JP 2003248290 A JP2003248290 A JP 2003248290A
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heating
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roller
heat storage
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Hajime Ishimoto
一 石本
Kazuhiro Kido
一博 木戸
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Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 案内ローラの温度低下を抑制し、フィルムの
処理数に拘わらず常に濃度の安定した可視画像を得るこ
とができ、しかも装置の小型化、低コストの実現を可能
にする熱現像装置を提供する。 【解決手段】 この熱現像装置は、潜像を有するフィル
ムFを加熱する加熱部材14と、加熱部材に対向するよ
うに配置された複数の案内部材16とを備え、フィルム
を案内部材と加熱部材との間で押圧し搬送しながら熱現
像し可視画像を得る。案内部材の少なくとも一部に案内
部材の温度低下を抑制する蓄熱ローラ18を設けること
で、案内部材の温度低下を抑制できるので、フィルムの
熱現像処理数に拘わらずフィルムの濃度低下を防止でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、潜像を有する熱現
像材料を加熱部材に接触させ加熱することで熱現像し可
視画像を得るための熱現像装置に関し、特に医療用画像
出力装置に適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】レーザ光により露光され潜像が形成され
た熱現像材料を回転可能な回転ドラムに接触させ加熱す
ることにより熱現像し可視画像を得る熱現像装置が公知
である(例えば、特開2000−292900公報参
照)。このような熱現像装置には図13に示すように潜
像が形成された熱現像材料であるフィルムFを内部に加
熱手段を持つ加熱ドラム500の外周に沿わせて押し付
けながら搬送する複数の案内ローラ501が設けられて
いる。
【0003】これらの案内ローラ501は潜像を有する
フィルムFが供給される前の段階では、加熱ドラム50
0に対して直接接触した状態にあるから加熱ドラム50
0によって加熱され熱を蓄えることができる。そして、
潜像を有するフィルムFが供給され熱現像処理が開始さ
れた段階ではフィルムFは加熱ドラム500からの本来
の加熱に加え、前記熱が蓄えられた案内ローラ501か
らの補助的な加熱も受けることとなる。
【0004】しかし、連続的に熱現像処理を続けると案
内ローラ501に蓄えられた熱はフィルムFに奪われ、
案内ローラ501の温度は低下してしまう。従って、案
内ローラ501からはフィルムFに十分な熱が伝わらな
くなってしまい、熱現像によって得られた可視画像に濃
度の低下が見られるようになってしまう。これは一連の
熱現像処理の最初と最後でフィルムFに現れた可視画像
に濃度差が出てしまうことを意味し、好ましくない。
【0005】図14に案内ローラの温度低下と熱現像材
料の処理数の関係を示すが、図14から明らかなよう
に、熱現像材料の処理数が増加するにつれて案内ローラ
の温度は低下する。また、熱現像材料の搬送方向最上流
側に位置する1本目の案内ローラで最も低くなり、4本
目、6本目と徐々に高くなり、6本目以降では案内ロー
ラの温度低下はほぼ6本目と同様の軌跡をたどる。
【0006】従って、上記案内ローラの温度低下は熱現
像材料の搬送方向上流側において顕著であり、これを解
決するために本出願人は、上記公開公報に開示している
ように、案内ローラを直接加熱する加熱手段を設けるこ
とを提案している。これにより、案内ローラ自体の温度
低下を抑制して濃度低下を防止できる。
【0007】しかしながら、加熱手段を別途設けること
は、本来の熱現像を目的とする加熱ドラムの他に別のエ
ネルギー(熱源)が必要になり、装置の大型化、製造、
運搬、材料コストの増大を招来してしまう。特に、複数
の加熱手段を設けると、益々装置の大型化やコスト高に
なってしまう。また、装置機構が複雑化するので、装置
の製造時やメンテナンス時等において手間のかかるもの
となるので、この点において改良の余地が残されてい
た。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の問題に鑑み、連続した熱現像処理によって生ずる案
内ローラの温度低下を抑制し、熱現像材料の熱現像処理
数に拘わらず濃度の安定した可視画像を得ることがで
き、しかも装置の小型化、低コストの実現を可能にする
熱現像装置を提供することを目的とする。
【0009】また、連続した熱現像処理によって生ずる
案内ローラの温度低下を抑制し、熱現像材料の熱現像処
理数に拘わらず濃度の安定した可視画像を得ることがで
きるとともに装置の製造やメンテナンスが簡単になる構
造を有する熱現像装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明による熱現像装置は、潜像を有する熱現像材
料を加熱する加熱部材と、前記加熱部材に対向するよう
に配置された複数の案内部材と、を備え、前記熱現像材
料を前記案内部材と前記加熱部材との間で押圧し搬送し
ながら熱現像し可視画像を得る熱現像装置であって、前
記案内部材の少なくとも一部に前記案内部材の温度低下
を抑制する蓄熱手段を設けたことを特徴とする。
【0011】この熱現像装置によれば、蓄熱手段が案内
部材からの熱を蓄え、案内部材の温度低下を抑制できる
から、熱現像材料の熱現像処理数に拘わらず熱現像材料
における可視画像の濃度低下を防止でき、また案内部材
を加熱するための別途の加熱手段を特に設けなくともよ
いので、装置の小型化、低コスト化も達成できる。
【0012】上記熱現像装置において、前記蓄熱手段
は、熱容量の比較的大きい材料により形成される中実体
であることが好ましい。この熱容量の大きい材料として
は、鉄鋼やステンレス鋼等の金属材料であることが好ま
しい。また、前記蓄熱手段は金属材料または樹脂材料か
ら成る中空体の内部に熱容量の大きな物質を封入したも
のを使用することも可能である。この場合の熱容量の大
きな物質としては水または油系の流体が好ましい。これ
らの構成によれば、案内部材の温度低下を抑制するのに
十分な蓄熱作用が得られる。
【0013】また、前記蓄熱手段は前記熱現像材料の搬
送方向の上流側の案内部材に配置されるのが好ましく、
蓄熱手段を熱現像材料による温度低下の著しい上流側に
配置することで、案内部材の温度低下を効果的に抑制で
きる。
【0014】また、前記案内部材は前記加熱部材の表面
に対し押圧されながら回転する案内ローラであることが
好ましい。これにより、案内ローラが回転しながら熱現
像材料を安定かつ確実に搬送できる。
【0015】また、前記蓄熱手段が設けられた前記案内
ローラにおける前記加熱部材に対する押圧力は200g
f/cm以下であることが好ましい。これにより、蓄熱
手段を案内部材に設けても熱現像材料が適度に押圧さ
れ、熱現像材料の表面に案内部材等の圧痕が生じること
を防止できる。
【0016】また、前記蓄熱手段は、前記案内ローラの
少なくとも一つに接触し前記案内ローラとほぼ同じ周速
度で回転する蓄熱ローラを備えることが好ましい。これ
により、蓄熱手段が案内ローラの回転に支障を与えるこ
とはない。この場合、蓄熱ローラは2本の案内ローラに
対して1本の蓄熱ローラが同時に接触するように設ける
ことにより、蓄熱ローラの本数が少なくて済むから装置
の小型化、低コスト化に寄与できる。
【0017】また、前記熱現像材料の搬送方向の最上流
側の案内部材に加熱手段を配置するとともに、前記蓄熱
手段をその下流側の案内部材に配置するように構成する
ことで、温度低下の著しい最上流側の案内部材の温度低
下を一層確実に防止でき、また、下流側には蓄熱手段を
配置するので、小型化、低コストに寄与できる。
【0018】また、前記蓄熱手段が前記熱現像材料の搬
送方向の上流側の案内部材と置換して設けられ前記案内
部材の機能を兼ねるように構成してもよい。このような
構成とした場合には、蓄熱手段が案内ローラとしての役
割と、熱現像材料の温度低下を抑制する役割とを併せ持
つこととなり、更なる装置の小型化、低コスト化に寄与
できる。
【0019】なお、上述の蓄熱ローラの直径は上記案内
ローラの直径よりも大きくなるように設定されているこ
とが好ましく、蓄熱ローラの熱容量が大きくなり、案内
ローラの温度低下の抑制作用が効果的になる。
【0020】また、前記蓄熱手段を設けた前記案内部材
が前記蓄熱手段とともに、または前記案内部材と置換し
て設けた前記蓄熱手段が、一体のユニットとして前記加
熱部材に対し着脱自在に構成されていることが好まし
い。かかる着脱自在のユニットにより製造及びメンテナ
ンスの作業が容易となる。なお、この場合、案内部材を
積極的に加熱する加熱手段を設けることも可能である。
【0021】また、本発明による別の熱現像装置は、潜
像を有する熱現像材料を加熱する加熱部材と、前記加熱
部材に対向するように配置された複数の案内ローラと、
を備え、前記熱現像材料を前記案内ローラと前記加熱部
材との間で押圧し搬送しながら熱現像し可視画像を得る
熱現像装置であって、前記案内ローラの一部に前記案内
部材を加熱する加熱手段を設け、前記加熱手段と前記一
部の案内ローラとを一体のユニットとして前記加熱部材
に対して着脱自在に構成したことを特徴とする。
【0022】この熱現像装置によれば、加熱手段が案内
部材を加熱し、案内部材の温度低下を抑制できるから、
熱現像材料の熱現像処理数に拘わらず熱現像材料におけ
る可視画像の濃度低下を防止できるとともに、加熱手段
と案内ローラとを一体ユニットで着脱自在の構造とした
ので、装置の製造やメンテナンスが簡単になる。
【0023】この場合、前記案内ローラの少なくとも一
部に前記案内ローラの温度低下を抑制する蓄熱ローラを
設けることで、案内部材の温度低下を確実に抑制でき
る。
【0024】また、前記加熱手段が設けられた案内ロー
ラは前記熱現像材料の搬送方向の上流側に位置すること
で、温度低下の著しい案内部材の温度低下を防止でき
る。
【0025】また、前記加熱手段が設けられた案内ロー
ラまたは前記蓄熱手段が設けられた案内ローラにおける
前記加熱部材に対する押圧力は200gf/cm以下で
あることが好ましい。これにより、加熱手段を案内ロー
ラに設けても熱現像材料が適度に押圧され、熱現像材料
の表面に案内部材等の圧痕が生じることを防止できる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明による実施の形態に
ついて図面を用いて説明する。図1は本実施の形態によ
る熱現像装置を概略的に示す正面図であり、図2は図1
の熱現像装置の左側面図であり、図3は図1の熱現像装
置の加熱ドラム周辺を模式的に示す拡大斜視図であり、
図4(a)は図1の加熱ドラム周辺を模式的に示す拡大
背面図であり、図4(b)は図4(a)の構成の変形例
を示す拡大背面図である。
【0027】図1、図2に示すように、熱現像装置10
0は、シート状の熱現像材料であるフィルムFを1枚ず
つ給送する給送部110と、給送されたフィルムFを露
光する露光部120と、露光されたフィルムFを現像す
る熱現像部130とを有している。
【0028】図2において、給送部110は堆積された
複数枚のフィルムFを収容するトレイTが上下二段に設
けられている。各トレイTの前方端部側の上部には、フ
ィルムFの前端部を吸着して上下動する吸着ユニット1
11が設けられている。また、吸着ユニット111の近
傍には、吸着ユニット111により供給されたフィルム
Fを矢印(1)方向(水平方向)へ給送する給送ローラ
対112が設けられている。また、吸着ユニット111
は前後にも移動可能で吸着したフイルムFを給送ローラ
対112へ運ぶことができる。そして、給送ローラ対1
12により給送されたフイルムFを垂直方向に搬送する
複数の搬送ローラ対141が設けられている。これらの
搬送ローラ対141により、フィルムFを図2の矢印
(2)に示す方向(下方)に搬送する。
【0029】熱現像装置100の下部には、搬送方向変
換部145が設けられている。この搬送方向変換部14
5は、図1及び図2に示すように、搬送ローラ対141
により図2の矢印(2)に示す鉛直方向下方に搬送され
たフィルムFを矢印(3)で示すように水平方向に搬送
し、次いで、搬送方向を矢印(3)から矢印(4)へ直
角に変換して搬送し次いで、搬送方向を変換され搬送さ
れたフィルムFを図1の矢印(5)に示す鉛直方向上方
に搬送方向を変えて搬送する。
【0030】そして、図1に示すように、搬送方向変換
部145から搬送されたフイルムFを図1の矢印(6)
で示す鉛直方向上方に搬送する複数の搬送ローラ対14
2が設けられ、フィルムFを熱現像装置100の左側面
から図1の矢印(6)で示す鉛直方向上方に搬送する。
【0031】上述の鉛直方向上方への搬送途中で、露光
部120は、フィルムFの感光面を赤外域の波長780
〜860nmの範囲内のレーザ光Lで走査しながら露光
し、露光画像信号に応じた潜像を形成させる。
【0032】熱現像装置100の装置の上部には熱現像
部130が設けられ、熱現像部130の加熱ドラム14
の近傍には、搬送ローラ対142で図1の矢印(6)に
示す鉛直方向上方に搬送されたフィルムFを加熱ドラム
14へ供給する供給ローラ対143が設けられている。
加熱ドラム14へフィルムFを供給するタイミングは、
成り行きによるランダムなタイミングで供給する。
【0033】なお、ランダムなタイミングによる供給の
代わりに、タイミングを図って供給してもよい。タイミ
ングを図って供給する例としては、供給ローラ対143
が、加熱ドラム14の周上の次の被供給位置が所定回転
位置に到達するまで停止し、加熱ドラム14の周上の次
の被供給位置が所定回転位置に到達した時点で回転する
ようにしても良い。すなわち、供給ローラ対143の回
転を制御することにより、加熱ドラム14の所定の被供
給位置に、フィルムFを供給するようにしてもよい。
【0034】熱現像部130の加熱ドラム14は、加熱
ドラム14の外周面と複数の案内ローラ16との間でフ
ィルムFが加熱ドラム14の外周面に密着した状態で、
図1の矢印(7)に示す方向に共に回転しながら、加熱
ドラム14がフィルムFを加熱し熱現像することでフイ
ルムFの潜像を可視画像に形成する。その後、図1の加
熱ドラム14に対し右方まで回転したときに、加熱ドラ
ム14からフィルムFを離す。熱現像部130の右側方
には、複数の搬送ローラ対144が設けられており、加
熱ドラム14から離れたフィルムFを、図1の矢印
(8)に示すように右斜め下方に搬送しつつ、冷却す
る。そして、搬送ローラ対144が冷却されたフイルム
Fを搬送しつつ、濃度計118がフィルムFの濃度を測
定する。その後、複数の搬送ローラ対144は、加熱ド
ラム14から離れたフイルムFを図1の矢印(9)に示
すように水平方向に搬送し、熱現像装置100の上部か
ら取り出せるように、熱現像装置100の右上方部に設
けられた排出トレイ160に排出する。
【0035】次に、図3、図4により熱現像部130を
構成する各部材について更に詳しく説明する。図3、図
4(a)に示すように、熱現像部130は、回転軸17
a、17bを中心として回転し、フィルムFの熱現像に
供する加熱ドラム14と、加熱ドラム14の外周面に沿
うようにほぼ等間隔で配設され、所定の押圧力で加熱ド
ラム14の外周面にフィルムFを圧接させフィルムFの
搬送に供する複数の案内ローラ16と、フィルムFの搬
送方向の最上流側に位置する2本の案内ローラ16の外
方に各案内ローラ16に当接するようにして設けられた
蓄熱ローラ18と、を備えている。
【0036】加熱ドラム14は、中空円筒状のドラム本
体19の内部のほぼ中心に熱源となる棒状のヒータ20
を備え、ドラム本体19の外周面14aには一例として
0.1〜2mm程度の厚さの弾性層21が形成されてい
る。ヒータ20は、図4(a)に示すように、ドラム本
体19の長手方向に延びるように配置された棒状のハロ
ゲンヒータやセラミックヒータから構成できるが、図4
(b)に示すようにドラム本体19の内周面に沿わせて
円筒状に配置された面状ヒータ20aであってもよい。
【0037】複数の案内ローラ16は、アルミニウムか
らなる中空円筒状の部材で加熱ドラム14の長手方向に
延びており、また加熱ドラム14の外周面14aのほぼ
180°程度の範囲を覆うように設けられている。な
お、案内ローラ16はアルミニウム以外の例えば、真鍮
やステンレス鋼等の金属材料であってもよい。
【0038】また、案内ローラ16は、コイルばね等の
付勢手段(図示省略)によって加熱ドラム14の外周面
に沿って搬送されるフィルムFに対し、単位長さ当たり
の押圧力が3gf/cm以上(特に5gf/cm以上)
になるように設定されている。単位長さ当たりの押圧力
が3gf/cmに満たないと、フィルムFに対し、加熱
ドラム14からの熱が不均一に伝導するため、熱現像が
不完全になるおそれがある。また、案内ローラ16によ
る単位長さ当たりの押圧力は200gf/cm以下にな
るように設定されている。これは単位長さ当たりの押圧
力が200gf/cmを越えると、フィルムFに対して
圧痕を生じさせるおそれがあるからである。
【0039】潜像が形成されたフィルムFは、図3,図
4(a)の矢印方向から送り込まれ、加熱ドラム14と
案内ローラ16との間に挟まれ加熱ドラム14の弾性層
21に押圧された状態で加熱ドラム14と案内ローラ1
6との回転に伴い矢印方向に搬送され、この搬送の間に
加熱ドラム14の熱により熱現像されるようになってい
る。
【0040】蓄熱ローラ18は、鉄鋼またはステンレス
鋼等の金属材料等の熱容量の大きい材料によって形成さ
れる中実体から構成されている。また、蓄熱ローラ18
の直径は案内ローラ16の直径よりも大きくなるように
設定されている。このような構成により、小径の中空円
筒状の部材である案内ロール16に比べ格段に熱容量が
大きく、案内ローラ16の温度低下の抑制に効果的とな
る。なお、金属材料または樹脂材料から成る中空体の内
部に水または油系の流体によって構成される熱容量の大
きな熱媒を封入した蓄熱ローラ18であってもよい。
【0041】図4(a)に示すように、蓄熱ローラ18
は、フィルムFの搬送方向の最上流側に位置する2本の
案内ローラ16に対して同時に接触しており、案内ロー
ラ16と同様に回転自在に構成されており、案内ローラ
16に従動して回転する。この場合、案内ローラ16と
ほぼ同等の周速度で回転するように構成する。また、図
4(b)に示すようにフィルムFの搬送方向の最上流側
に位置する1本の案内ローラ16に対して蓄熱ローラ1
8が接触するように構成してもよい。なお、蓄熱ローラ
18を駆動して案内ローラ16と同速度で回転させるよ
うに構成してもよい。
【0042】図4(a)に示すように構成した場合には
1本の蓄熱ローラ18によって同時に2本の案内ローラ
16の温度低下が抑制されるから、蓄熱ローラ18の有
効利用を図ることができ、ひいては装置の小型化、低コ
スト化が実現される。また、フィルムFの搬送方向の最
上流側は特に案内ローラ16の温度低下が顕著に現れる
ところであるから、効率的かつ有効な蓄熱ローラ18の
配置位置である。なお、図4(a)、(b)において蓄
熱ローラ18を配置した案内ローラ16の下流側の案内
ローラ16にも同様の蓄熱ローラを配置してもよい。
【0043】上述のように、蓄熱ローラ18が当接する
ことで案内ローラ16が押圧力を受けている場合には、
上記案内ローラ16のフィルムFに対する押圧力を調整
する必要が生ずる。具体的には、案内ローラ16が直接
フィルムFに及ぼす押圧力に蓄熱ローラ18が案内ロー
ラ16を介して間接的にフィルムFに及ぼす押圧力を加
えて、総合的に判断し、これらの総和が200gf/c
m以下となるように蓄熱ローラ18及び案内ローラ16
の押圧力を調整する。
【0044】上述のフィルムFにおける露光部120に
よる潜像形成について図5により説明する。図5は、本
実施の形態におけるフィルムFの断面図であり、上述の
ような露光時におけるフィルムF内の化学的反応を模式
的に示した図である。
【0045】フィルムFは、PETからなる支持体(基
層)上に、ポリビニルブチラールを主材とする感光層が
形成され、更に、その上にセルロースブチレートからな
る保護層が形成されている。感光層には、感光性ハロゲ
ン粒子と、有機酸銀であるベヘン酸銀(Beh.Ag)
と、銀イオン還元剤とを含有し、現像性の向上と最大濃
度の向上と銀画像色調の向上のために、調色剤が配合さ
れている。露光部120からレーザビームLがフィルム
Fに対して照射されると、図5に示すように、レーザビ
ームLが照射された領域に、ハロゲン化銀粒子が感光
し、潜像が形成される。
【0046】潜像の形成されたフィルムFは、次に、図
1のように、矢印方向(6)へ複数の搬送ローラ対14
2,143により熱現像部130内へと搬送され、ヒー
タ20(図4)により加熱された加熱ドラム14と複数
の案内ローラ16との間に挟まれて加熱ドラム14の外
周面に密着しながら115℃以上135℃以下の所定温
度で加熱され熱現像され、次に、冷却部150Aを通っ
て排出トレイ160へ排出される。
【0047】図6は、上述のような加熱時におけるフィ
ルムF内の化学的反応を模式的に示した、図5と同様な
断面図である。フィルムFは、40℃以下の温度では実
質的に熱現像されないが、上述のようにフィルムFを最
低現像温度以上の現像温度に加熱すると、熱現像され
る。これは、図6に示すように、ベヘン酸銀から銀イオ
ン(Ag+)が放出され、銀イオンを放出したべヘン酸
は、調色剤と錯体を形成して、銀イオンの拡散能力が高
くなり、感光したハロゲン化銀粒子まで拡散し、感光し
たハロゲン化銀粒子を核として還元剤が作用し、化学的
反応により銀画像が形成されるからと思われる。
【0048】以上の図1〜図4の熱現像装置では、装置
の立ち上げ後から現像開始までの間に、各案内ローラ1
6は加熱ドラム14に接した状態で加熱ドラム14の熱
により加熱されるとともに、案内ローラ16からの熱伝
導により蓄熱ローラ18が蓄熱する。そして、フィルム
Fの熱現像の際に、フィルムFが熱現像部130に搬送
されて最上流の案内ローラ16に接することで、この案
内ローラ16は温度低下し、フィルムFの熱現像処理が
連続的に行われると、その低下の度合いは増すのである
が、かかる案内ローラ16には、案内部材16よりも大
きな熱容量のある蓄熱ローラ18が配置されているの
で、その温度低下が抑制される。この効果を図7により
説明する。
【0049】図7は、フィルムFの処理数による、蓄熱
ローラ18が配置された案内ローラ16の温度変化を測
定した図である。図7から明らかなようにフィルムFの
搬送方向の上流側に位置する案内ローラ16の温度低下
が図14に示す従来例に比べて大幅に改善され、特に搬
送方向の最上流側から数えて1本目〜5本目の案内ロー
ラ16の温度低下の抑制効果が著しく向上する。このた
め、連続的なフィルムFの熱現像処理に伴う案内ローラ
16の温度低下に起因する濃度低下のような濃度変動を
効果的の防止できる。これにより、フィルムFに現像さ
れる可視画像の濃度の安定化を達成できる。
【0050】次に、図8〜図12により上記実施の形態
の変形例について説明する。図8は、蓄熱手段としてフ
ィルムFの搬送方向の最上流側1本目及び2本目の案内
ローラ16と置換してフィルムFの搬送作用を併せ持つ
2本の蓄熱ローラ18を設けた変形例を示す図である。
各蓄熱ローラ18は加熱ドラム14に直接に接して効果
的に蓄熱し、前述の実施の形態と同様にフィルムFの温
度低下が抑制され、フィルムFにおける可視画像の濃度
の均一化が図れ、より一層の装置の小型化、低コスト化
が達成できる。なお、置換する案内ローラ16は2本に
限定されるものではなく、1本、3本以上であってもよ
いが、最上流側から蓄熱ローラ18に置換することが好
ましい。
【0051】図9は、温度低下が抑制される案内ローラ
16に加熱ローラ18aを配置し案内ローラ16と加熱
ローラ18aとを一体のユニット22として加熱ドラム
14に対して着脱自在に構成した変形例を示す図であ
る。加熱ローラ18aは、金属製の中空円筒体内にハロ
ゲンヒータまたはセラミックヒータからなる棒状のヒー
タ24を内部に備える。一体ユニット22は図9の紙面
垂直方向に移動可能に構成されている。図9の構造によ
れば、製造及びメンテナンス時に一体ユニット22を押
し込むようにしてセットできまた引き出すようにして取
り出すことができるので、各作業が容易となり、製造及
びメンテナンスの各コストの低減も期待できる。また、
案内ローラ16には加熱部材14からの熱に加え、加熱
ローラ18aからの熱が伝わるので、案内ローラ16の
温度低下を一層確実に防止できる。なお、一体ユニット
22を図9の紙面平行方向に移動可能に構成してもよ
い。
【0052】また、図9では、案内ローラ16と加熱ロ
ーラ18aとによるフィルムFに及ぼす押圧力は、20
0gf/cm以下となるように一体ユニット22内で調
整することが好ましい。
【0053】なお、図4(a)、(b)に示す案内ロー
ラ16と蓄熱ローラ18とを一体のユニットに着脱自在
に構成でき、また、図8に示す2本の蓄熱ローラ18を
一体のユニットに着脱自在に構成することも勿論可能で
ある。
【0054】図10は、フィルムFの搬送方向上流側1
本目と2本目の案内ローラ16に対して直接案内ローラ
16を加熱する図9と同様の加熱ローラ18aを接触さ
せ、2本目と3本目の案内ローラ16に対して図1〜図
4に示す実施の形態と同様の蓄熱ローラ18を接触させ
た変形例を示す図である。このような構成により、案内
ローラ16には加熱ドラム14からの熱と、ヒータ24
からの熱と、蓄熱ローラ18からの熱とが伝達され、案
内ローラ16の温度低下を一層確実に防止できる。
【0055】図11は、図9の例を更に改良した変形例
を示す図であり、一体ユニット22よりも搬送方向の下
流側に位置する3本目、4本目の案内部材16に接する
ように上述と同様の蓄熱ローラ18を配置したものであ
る。これにより、案内ローラ16の温度低下を一層確実
に防止できる。
【0056】図12は、蓄熱手段を全ての案内ローラ1
6に対して同時に接触するようにハーフリング状の蓄熱
リング28とした変形例を示す図である。このような構
成によれば、すべての案内ローラ16において温度低下
を抑制できるとともに、蓄熱リング28において比較的
温度低下の生じない搬送方向の下流側に位置する案内ロ
ーラ16からの熱が搬送方向の上流側に伝わり、温度低
下し難いから、上流側に位置する案内ローラ16の温度
低下を一層確実に抑制できる。なお、蓄熱リング28
は、金属材料等の忠実体から構成でき、また、中空体に
構成し内部の空洞に水や油等の熱容量の大きな物質を封
入してもよい。また、蓄熱リング28は必ずしもすべて
の案内ローラ16に接しなくてもよく、搬送方向の最上
流側から複数の案内部材16に接するように配置しても
よいことは勿論である。
【0057】次に、熱現像材料のフィルムFについて詳
述する。このフィルムFはハロゲン化銀微粒子と、有機
銀塩と、還元剤とを含有する熱現像感光材料からなる銀
塩ドライフィルムである。
【0058】熱現像感光材料の詳細は、例えば米国特許
第3,152,904号、同第3,457,075号、
及びD.モーガン(Morgan)による「ドライシル
バー写真材料(Dry Silver Photogr
aphic Material)」やD.モーガン(M
organ)とB.シェリー(Shely)による「熱
によって処理される銀システム(Thermally
ProcessedSilverSystems)」
(イメージング・プロセッシーズ・アンド・マテリアル
ズ(Imaging Processes and M
aterials)Neblette 第8版、スター
ジ(Sturge)、V、ウォールワース(Walwo
rth)、A.シェップ(Shepp)編集、第2頁、
1969年)等に開示されている。
【0059】その中でも、感光材料を115℃以上13
5℃以下で熱現像することで画像を形成させ、定着を行
わないものに有用である。この場合、通常、未露光部に
残ったハロゲン化銀や有機銀塩は除去されずにそのまま
感光材料中に残ることになる。
【0060】ハロゲン化銀粒子は、画像形成後の白濁を
低く抑えるため、及び良好な画質を得るために平均粒子
サイズが小さい方が好ましく、平均粒子サイズが0.1
μm以下、より好ましくは0.01μm〜0.1μm、
特に0.02μm〜0.08μmが好ましい。ここでい
う粒子サイズとは、ハロゲン化銀粒子が立方体或いは八
面体のいわゆる正常晶である場合には、ハロゲン化銀粒
子の稜の長さをいう。又、正常晶でない場合、例えば球
状、棒状、或いは平板状の粒子の場合には、ハロゲン化
銀粒子の体積と同等な球を考えたときの直径をいう。又
ハロゲン化銀は単分散であることが好ましい。ここでい
う単分散とは、下記式で求められる単分散度が40%以
下をいう。更に好ましくは30%以下であり、特に好ま
しくは0.1%以上20%以下となる粒子である。
【0061】単分散度(%)=(粒径の標準偏差)/
(粒径の平均値)×100
【0062】ハロゲン化銀粒子が平均粒径0.1μm以
下でかつ単分散粒子であることがより好ましく、この範
囲にすることで画像の粒状性も向上する。
【0063】ハロゲン化銀粒子の形状については、特に
制限はないが、ミラー指数{100}面の占める割合が
高いことが好ましく、この割合が50%以上、更には7
0%以上、特に80%以上であることが好ましい。ミラ
ー指数{100}面の比率は増感色素の吸着における
{111}面と{100}面との吸着依存性を利用した
T.Tani,J.Imaging Sci.,29,
165(1985)により求めることができる。
【0064】又もう一つの好ましいハロゲン化銀の形状
は、平板状粒子である。ここでいう平板状粒子とは、投
影面積の平方根を粒径rμmとし、垂直方向の厚みをh
μmとした場合のアスペクト比=r/hが3以上のもの
をいう。その中でも好ましくはアスペクト比が3以上5
0以下である。又粒径は0.1μm以下であることが好
ましく、更に0.01μm〜0.08μmが好ましい。
これらは米国特許第5,264,337号、第5,31
4,798号、第5,320,958号等に記載されて
おり、容易に目的の平板状粒子を得ることができる。こ
れらの平板状粒子を用いた場合、更に画像の鮮鋭性やか
ぶり濃度などの画質も向上する。
【0065】ハロゲン組成としては特に制限はなく、塩
化銀、塩臭化銀、塩沃臭化銀、具化銀、沃臭化銀、沃化
銀のいずれであってもよい。写真乳剤は、P.Glaf
kides著Chimie et Physique
Photographique(Paul Monte
l社刊、1967年)、G.F.Duffin著 Ph
otographic Emulsion Chemi
stry(The Focal Press刊、196
6年)、V.L.Zelikman et al著Ma
king and Coating Photogra
phic Emulsion(The Focal P
ress刊、1964年)等に記載された方法を用いて
調製することができる。即ち、酸性法、中性法、アンモ
ニア法等のいずれでもよく、又可溶性銀塩と可溶性ハロ
ゲン塩を反応させる形成としては、片側混合法、同時混
合法、それらの組合せ等のいずれを用いてもよい。この
ハロゲン化銀はいかなる方法で画像形成層に添加されて
もよく、このときハロゲン化銀は還元可能な銀源に近接
するように配置する。又、ハロゲン化銀は有機酸銀とハ
ロゲンイオンとの反応による有機酸銀中の銀の一部又は
全部をハロゲン化銀に変換することによって調製しても
よいし、ハロゲン化銀を予め調製しておき、これを有機
銀塩を調製するための溶液に添加してもよく、又はこれ
らの方法の組み合わせも可能であるが、後者が好まし
い。一般にハロゲン化銀は有機銀塩に対して0.75〜
30重量%の量で含有することが好ましい。
【0066】ハロゲン化銀には、照度不軌改良や改良調
整のために、元素周期律表の6族から10族に属する金
属のイオン又は錯体イオンを含有することが好ましい。
上記の金属としては、W、Fe、Co、Ni、Cu、R
u、Rh、Pd、Re、Os、Ir、Pt、Auが好ま
しい。
【0067】これらの金属は錯体の形でハロゲン化銀に
導入できる。還移金属錯体は、下記一般式で表される6
配位錯体が好ましい。
【0068】一般式〔ML6〕m
【0069】式中、Mは元素周期表の6〜10族の元素
から選ばれる遷移金属、Lは架橋配位子、mは0、−、
2−又は3−を表す。Lで表される配位子の具体例とし
ては、ハロゲン化物(弗化物、塩化物、臭化物及び沃化
物)、シアン化物、シアナート、チオシアナート、セレ
ノシアナート、テルロシアナート、アジド及びアコの各
配位子、ニトロシル、チオニトロシル等が挙げられ、好
ましくはアコ、ニトロシル及びチオニトロシル等であ
る。アコ配位子が存在する場合には、配位子の一つ又は
二つを占めることが好ましい。Lは同一でもよく、又異
なっていてもよい。
【0070】Mとして特に好ましい具体例は、ロジウム
(Rh)、ルテニウム(Ru)、レニウム(Re)、イ
リジウム(Ir)及びオスミウム(Os)である。
【0071】以下に遷移金属配位錯体の具体例を示す。 1:〔RhCl6〕3− 2:〔RuCl6〕3− 3:〔ReCl6〕3− 4:〔RuBr6〕3− 5:〔OsCl6〕3− 6;〔IrCl6〕2− 7;〔Ru(NO)Cl5〕2− 8:〔RuBr4(H2O)〕2− 9:〔Ru(NO)(H2O)Cl4〕− 10:〔RhCl5(H2O)〕2− 11:〔Re(NO)Cl5〕2− 12:〔Re(NO)CN5〕2− 13:〔Re(NO)ClCN4〕2− 14:〔Rh(NO)2Cl4〕− 15:〔Rh(NO)(H2O)Cl4〕− 16:〔Ru(NO)CN5〕2− 17:〔Fe(CN)6〕3− 18:〔Rh(NS)Cl5〕2− 19:〔Os(NO)Cl5〕2− 20:〔Cr(NO)Cl5〕2− 21:〔Re(NO)Cl5〕− 22:〔Os(NS)Cl4(TeCN)〕2− 23:〔Ru(NS)Cl5〕2− 24:〔Re(NS)Cl4(SeCN)〕2− 25:〔Os(NS)Cl(SCN)4〕2− 26:〔Ir(NO)Cl5〕2− 27:〔Ir(NS)Cl5〕2−
【0072】これらの金属のイオン又は錯体イオンは一
種類でもよいし、同種の金属及び異種の金属を二種以上
併用してもよい。これらの金属のイオン又は錯体イオン
の含有量としては、一般的にはハロゲン化銀1モル当た
り1×10−9〜1×10 モルが適当であり、好ま
しくは1×10−8〜1×10−4モルである。これら
の金属のイオン又は錯体イオンを提供する化合物は、ハ
ロゲン化銀粒子形成時に添加し、ハロゲン化銀粒子中に
組み込まれることが好ましく、ハロゲン化銀粒子の調
製、つまり核形成、成長、物理熟成、化学増感の前後の
どの段階で添加してもよいが、特に核形成、成長、物理
熟成の段階で添加するのが好ましく、更には核形成、成
長の段階で添加するのが好ましく、最も好ましくは核形
成の段階で添加する。添加に際しては、数回に渡って分
割して添加してもよく、ハロゲン化銀粒子中に均一に含
有させることもできるし、特開昭63−29603号、
特開平2−306236号、同3−167545号、同
4−76534号、同6−110146号、同5−27
3683号等に記載されている様に粒子内に分布を持た
せて含有させることもできる。好ましくは粒子内部に分
布をもたせることができる。これらの金属化合物は、水
或いは適当な有機溶媒(例えば、アルコール類、エーテ
ル類、グリコール類、ケトン類、エステル類、アミド
類)に溶解して添加することができるが、例えば金属化
合物の粉末の水溶液もしくは金属化合物とNaCl、K
Clとを一緒に溶解した水溶液を、粒子形成中の水溶性
銀塩溶液又は水溶性ハライド溶液中に添加しておく方
法、或いは銀塩溶液とハライド溶液が同時に混合される
とき第3の水溶液として添加し、3液同時混合の方法で
ハロゲン化銀粒子を調製する方法、粒子形成中に必要量
の金属化合物の水溶液を反応容器に投入する方法、或い
はハロゲン化銀調製時に予め金属のイオン又は錯体イオ
ンをドープしてある別のハロゲン化銀粒子を添加して溶
解させる方法等がある。特に、金属化合物の粉末の水溶
液もしくは金属化合物とNaCl、KClとを一緒に溶
解した水溶液を水溶性ハライド溶液に添加する方法が好
ましい。粒子表面に添加する時には、粒子形成直後又は
物理熟成時途中もしくは終了時又は化学熟成時に必要量
の金属化合物の水溶液を反応容器に投入することもでき
る。
【0073】感光性ハロゲン化銀粒子はヌードル法、フ
ロキュレーション法等、当業界で知られている方法の水
洗により脱塩することができるが脱塩してもしなくても
よい。
【0074】感光性ハロゲン化銀粒子は化学増感されて
いることが好ましい。好ましい化学増感法としては当業
界でよく知られているように硫黄増感法、セレン増感
法、テルル増感法、金化合物や白金、パラジウム、イリ
ジウム化合物等の貴金属増感法や還元増感法を用いるこ
とができる。硫黄増感法、セレン増感法、テルル増感法
に好ましく用いられる化合物としては公知の化合物を用
いることができるが、特開平7−128768号等に記
載の化合物を使用することができる。貴金属増感法に好
ましく用いられる化合物としては例えば塩化金酸、カリ
ウムクロロオーレート、カリウムオーリチオシアネー
ト、硫化金、金セレナイド、或いは米国特許2,44
8,060号、英国特許618,061号などに記載さ
れている化合物を好ましく用いることができる。還元増
感法の具体的な化合物としてはアスコルビン酸、二酸化
チオ尿素の他に例えば、塩化第一スズ、アミノイミノメ
夕ンスルフィン酸、ヒドラジン誘導体、ボラン化合物、
シラン化合物、ポリアミン化合物等を用いることができ
る。又、乳剤のpHを7以上又はpAgを8.3以下に
保持して熟成することにより還元増感することができ
る。又、粒子形成中に銀イオンのシングルアディション
部分を導入することにより還元増感することができる。
【0075】熱現像材料に用いられる感光性のハロゲン
化銀は、有機銀塩に対して、0.75〜25mol%の
範囲で用いられることができ、好ましくは、2〜20m
ol%の範囲で用いられることができる。
【0076】有機銀塩には、銀イオンの供給源である有
機材料を全て含む。有機酸(特に長鎖脂肪酸(10〜3
0の炭素原子:好ましくは15〜28の炭素原子))の
銀塩が好ましい。配位子が全体的に4.0〜10.0の
間で一定の安定性を有する有機又は無機の銀塩錯体であ
ることが好ましい。そして、画像形成層の重量の約5〜
30%であることが好ましい。
【0077】この有機銀塩は、露光された光触媒(たと
えば写真用ハロゲン化銀等)と還元剤の存在において、
80℃以上好ましくは115℃以上、特に120℃以上
の温度に加熱されたときに銀イオンを供給する銀塩であ
ることが望ましい。
【0078】好ましい有機銀塩には、カルボキシル基を
有する有機化合物の銀塩が含まれる。それらには、脂肪
族カルボン酸の銀塩及び芳香族カルボン酸の銀塩が含ま
れる。脂肪族カルボン酸の銀塩の好ましい例には、べヘ
ン酸銀、ステアリン酸銀等が含まれる。脂肪族カルボン
酸におけるハロゲン原子又はヒドロキシルとの銀塩も効
果的に用いうる。メルカプト又はチオン基を有する化合
物及びそれらの誘導体の銀塩も用いうる。更に、イミノ
基を有する化合物の銀塩を用いうる。
【0079】有機銀塩は、還元可能な銀源であり、還元
可能な銀イオン源を含有する有機酸及びへテロ有機酸の
銀塩、特に長鎖(10〜30、好ましくは15〜25の
炭素原子数)の脂肪族カルボン酸及び含窒素複素環を含
むことが好ましい。配位子が、4.0〜10.0の銀イ
オンに対する総安定定数を有する有機又は無機の銀塩錯
体も有用である。好適な銀塩の例は、Research
Disclosure(以下、RDとする)第170
29及び29963に記載されており、次のものがあ
る:有機酸の塩(例えば、没食子酸、シュウ酸、べへン
酸、アラキジン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウ
リン酸等の塩);銀のカルボキシアルキルチオ尿素塩
(例えば、1−(3−カルボキシプロピル)チオ尿素、
1−(3−カルボキシプロピル)−3,3−ジメチルチ
オ尿素等);アルデヒドとヒドロキシ置換芳香族カルボ
ン酸とのポリマー反応生成物の銀錯体(例えば、アルデ
ヒド類(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ブチル
アルデヒド等)、ヒドロキシ置換酸類(例えば、サリチ
ル酸、安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、5,
5−チオジサリチル酸)、チオエン類の銀塩又は錯体
(例えば、3−(2−カルボキシエチル)−4−ヒドロ
キシメチル−4−(チアゾリン−2−チオエン、及び3
−カルボキシメチル−4−チアゾリン−2−チオエ
ン)、イミダゾール、ピラゾール、ウラゾール、1,
2,4−チアゾール及び1H−テトラゾール、3−アミ
ノ−5−べンジルチオ−1,2,4−トリアゾール及び
べンゾトリアゾールから選択される窒素酸と銀との錯体
又塩;サッカリン、5−クロロサリチルアルドキシム等
の銀塩;及びメルカプチド類の銀塩。これらの内、好ま
しい銀源はベヘン酸銀、アラキジン酸及び/又はステア
リン酸である。
【0080】有機銀塩化合物は、水溶性銀化合物と銀と
錯形成する化合物を混合することにより得られるが、正
混合法、逆混合法、同時混合法、特開平9−12764
3号に記載されている様なコントロールドダブルジェッ
ト法等が好ましく用いられる。例えば、有機酸にアルカ
リ金属塩(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム
など)を加えて有機酸アルカリ金属塩ソープ(例えば、
べヘン酸ナトリウム、アラキジン酸ナトリウムなど)を
作製した後に、コントロールドダブルジェットにより、
前記ソープと硝酸銀などを添加して有機銀塩の結晶を作
製する。その際にハロゲン化銀粒子を混在させてもよ
い。
【0081】有機銀塩は平均粒径が2μm以下でありか
つ単分散であることが好ましい。有機銀塩の平均粒径と
は、有機銀塩の粒子が例えば球状、棒状、或いは平板状
の粒子の場合には、有機銀塩粒子の体積と同等な球を考
えたときの直径をいう。平均粒径は好ましくは0.05
μm〜1.5μm、特に0.05μm〜1.0μmが好
ましい。又単分散とは、ハロゲン化銀の場合と同義であ
り、好ましくは単分散度が1〜30である。又、全有機
銀塩の60%以上が平板状粒子であることが好ましい。
平板状粒子とは平均粒径と厚さの比、いわゆる下記式で
表されるアスペクト比(ARと略す)が3以上のものを
いう。
【0082】AR=平均粒径(μm)/厚さ(μm)
【0083】有機銀塩をこれらの形状にするためには、
前記有機銀結晶をバインダーや界面活性剤などをボール
ミルなどで分散粉砕することで得られる。この範囲にす
ることで濃度が高く、かつ画像保存性に優れた感光材料
が得られる。
【0084】感光材料の失透を防ぐためには、ハロゲン
化銀及び有機銀塩の総量が銀量に換算して1m当たり
0.5g以上2.2g以下であることが好ましい。この
範囲にすることで硬調な画像が得られる。又銀総量に対
するハロゲン化銀の量は、重量比で50%以下、好まし
くは25%以下、更に好ましくは0.1%〜15%の間
である。
【0085】還元剤は、銀イオンを金属銀に還元できる
いずれの材料でも良く、好ましくは有機材料である。フ
ェニドン、ヒドロキノン及びカテコールのような従来の
写真現像剤が有用である。しかし、フェノール還元剤が
好ましい。還元剤は画像形成層の1〜10重量%存在す
るべきである。多層構成においては、還元剤が乳剤層以
外の相に添加される場合は、わずかに高い割合である約
2〜15重量%がより望ましい。
【0086】好適な還元剤の例は、米国特許第3,77
0,448号、同第3,773,512号、同第3,5
93,863号、及びRD17029及び29963に
記載されており、次のものがある。
【0087】アミノヒドロキシシクロアルケノン化合物
(例えば、2−ヒドロキシピペリジノ−2−シクロヘキ
セノン);還元剤の前駆体としてアミノリダクトン類
(reductones)エステル(例えば、ピペリジ
ノへキソースリダクトンモノアセテート);N−ヒドロ
キシ尿素誘導体(例えば、N−p−メチルフェニル−N
−ヒドロキシ尿素);アルデヒド又はケトンのヒドラゾ
ン類(例えば、アントラセンアルデヒドフェニルヒドラ
ゾン);ホスファーアミドフェノール類;ホスファーア
ミドアニリン類;ポリヒドロキシベンゼン類(例えば、
ヒドロキノン、t−ブチル−ヒドロキノン、イソプロピ
ルヒドロキノン及び(2,5−ジヒドロキシ−フェニ
ル)メチルスルホン);スルフヒドロキサム酸類(例え
ば、ベンゼンスルフヒドロキサム酸);スルホンアミド
アニリン類(例えば、4−(N−メタンスルホンアミ
ド)アニリン);2−テトラゾリルチオヒドロキノン類
(例えば、2−メチル−5−(1−フェニル−5−テト
ラゾリルチオ)ヒドロキノン):テトラヒドロキノキサ
リン類(例えば、1,2,3,4−テトラヒドロキノキ
サリン);アミドオキシム類;アジン類(例えば、脂肪
族カルボン酸アリールヒドラザイド類とアスコルビン酸
の組み合わせ);ポリヒドロキシベンゼンとヒドロキシ
ルアミンの組み合わせ、リダクトン及び/又はヒドラジ
ン;ヒドロキサン酸類:アジン類とスルホンアミドフェ
ノール類の組み合わせ;α−シアノフェニル酢酸誘導
体;ビス−β−ナフトールと1,3−ジヒドロキシべン
ゼン誘導体の組み合わせ;5−ピラゾロン類;スルホン
アミドフェノール還元剤;2−フェニルインダン−1,
3−ジオン等;クロマン;1,4−ジヒドロピリジン類
(例えば、2,6ージメトキシ−3,5−ジカルボエト
キシ−1,4−ジヒドロピリジン);ビスフェノール類
(例えば、ビス(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5
−メチルフェニル)メタン、ビス(6−ヒドロキシ−m
−トリ)メシトール(mesitol)、2,2−ビス
(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、
4,5−エチリデン−ビス(2−t−ブチル−6−メチ
ル)フェノール)、紫外線感応性アスコルビン酸誘導体
及び3−ピラゾリドン類等。中でも特に好ましい。
【0088】還元剤はヒンダードフェノール類である。
ヒンダードフェノール類としては下記化1に示す一般式
(A)で表される化合物が挙げられる。
【0089】
【化1】
【0090】式中、Rは水素原子、又は炭素原子数1〜
10のアルキル基(例えば、−C4H9、2,4,4−
トリメチルペンチル)を表し、R′及びR″は炭素原子
数1〜5のアルキル基(例えば、メチル、エチル、t−
ブチル)を表す。
【0091】一般式(A)で表される化合物の具体例を
以下の化2、化3に示す。ただし、以下の化合物に限定
されるものではない。
【0092】
【化2】
【0093】
【化3】
【0094】前記一般式(A)で表される化合物を始め
とする還元剤の使用量は好ましくは銀1モル当り1×1
−2〜10モル、特に1×10−2〜1.5モルであ
る。
【0095】熱現像感光材料に好適なバインダは透明又
は半透明で、一般に無色であることが好ましく、天然ポ
リマーや合成樹脂ポリマー及びコポリマーなどが好まし
い。また、熱現像の速度を速めるために、感光層のバイ
ンダー量が10g/m以下(特に、8g/m以下)
であることが好ましい。また、未露光部の濃度が大幅に
上昇し、使用に耐えない場合が生じないように、即ち、
濃度が安定するように、1.5g/m以上(特に、
1.7g/m以上)であることが好ましい。
【0096】このようなバインダとしては、例えば:ゼ
ラチン、アラビアゴム、ポリ(ビニルアルコール)、ヒ
ドロキシエチルセルロース、セルロースアセテート、セ
ルロースアセテートブチレート、ポリ(ビニルピロリド
ン)、カゼイン、デンプン、ポリ(アクリル酸)、ポリ
(メチルメタクリル酸)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ
(メタクリル酸)、コポリ(スチレン−無水マレイン
酸)、コポリ(スチレン−アクリロニトリル)、コポリ
(スチレン−ブタジエン)、ポリ(ビニルアセタール)
類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)及びポリ(ビニ
ルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタ
ン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)、ポ
リ(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ
(ビニルアセテート)、セルロースエステル類、ポリ
(アミド)類がある。バインダは、親水性でも疎水性で
もよいが、熱現像後のカブリを低減させるために、疎水
性透明バインダーを使用することが好ましい。好ましい
バインダとしては、ポリ(ビニルブチラール)、セルロ
ースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポ
リエステル、ポリカーボネート、ポリアクリル酸、ポリ
ウレタンなどが挙げられる。その中でもポリビニルブチ
ラール、セルロースアセテート、セルロースアセテート
ブチレート、ポリエステルは特に好ましく用いられる。
【0097】また、疎水性バインダの場合、残留溶媒が
含有されていることが好ましい。残留溶媒としては、メ
チル−エチル−ケトンやアセトンなどが挙げられるが、
これらに限られない。また、残留溶媒量としては、20
mg/m以上(特に、25mg/m以上)であるこ
とが好ましく、また、500mg/m以下(特に、3
00mg/m以下)であることが好ましい。なお、残
留溶煤量の測定には、ガスクロマトグラフィーを用いる
と良い。
【0098】熱現像感光材料は、熱現像処理にて写真画
像を形成するもので、還元可能な銀源(有機銀塩)、感
光性ハロゲン化銀、還元剤及び必要に応じて銀の色調を
抑制する色調剤を通常(有機)バインダーマトリックス
中に分散した状態で含有している熱現像感光材料である
ことが好ましい。熱現像感光材料は常温で安定である
が、露光後高温(例えば、80℃〜140℃)に加熱す
ることで現像される。加熱することで有機銀塩(酸化剤
として機能する)と還元剤との間の酸化還元反応を通じ
て銀を生成する。この酸化還元反応は露光でハロゲン化
銀に発生した潜像の触媒作用によって促進される。露光
領域中の有機銀塩の反応によって生成した銀は黒色画像
を提供し、これは非露光領域と対照をなし、画像の形成
がなされる。この反応過程は、外部から水等の処理液を
供給することなしで進行する。
【0099】好適な色調剤の例はRD17029号に開
示されており、次のものがある。イミド類(例えば、フ
タルイミド);環状イミド類、ピラゾリン−5−オン
類、及びキナゾリノン(例えば、スクシンイミド、3−
フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、1−フェニルウ
ラゾール、キナゾリン及び2,4−チアゾリジンジオ
ン);ナフタールイミド類(例えば、N−ヒドロキシ−
1,8−ナフタールイミド);コバルト錯体(例えば、
コバルトのへキサミントリフルオロアセテート)、メル
カプタン類(例えば、3−メルカプト−1,2,4−ト
リアゾール);N−(アミノメチル)アリールジカルボ
キシイミド類(例えば、N−(ジメチルアミノメチル)
フタルイミド);ブロックされたピラゾール類、イソチ
ウロニウム(isothiuronium)誘導体及び
ある種の光漂白剤の組み合わせ(例えば、N,N′−ヘ
キサメチレン(1−カルバモイル−3,5−ジメチルピ
ラゾール)、1,8−(3,6−ジオキサオクタン)ビ
ス(イソチウロニウムトリフルオロアセテート)、及び
2−(トリブロモメチルスルホニル)べンゾチアゾール
の組み合わせ);メロシアニン染料(例えば、3−エチ
ル−5−((3−エチル−2−ベンゾチアゾリニリデン
(ベンゾチアゾリニリデン))−1−メチルエチリデ
ン)−2−チオ−2,4−オキサゾリジンジオン):フ
タラジノン、フタラジノン誘導体又はこれらの誘導体の
金属塩(例えば、4−(1−ナフチル)フタラジノン、
6−クロロフタラジノン、5,7−ジメチルオキシフタ
ラジノン、及び2,3−ジヒドロ−1,4−フタラジン
ジオン);フタラジノンとスルフィン酸誘導体の組み合
わせ(例えば、6−クロロフタラジノン+ベンゼンスル
フィン酸ナトリウム又は8−メチルフタラジノン+p−
トリスルホン酸ナトリウム);フタラジン+フタル酸の
組み合わせ;フタラジン(フタラジンの付加物を含む)
とマレイン酸無水物、及びフタル酸、2,3−ナフタレ
ンジカルボン酸又はo−フェニレン酸誘導体及びその無
水物(例えば、フタル酸、4−メチルフタル酸、4−ニ
トロフタル酸及びテトラクロロフタル酸無水物)から選
択される少なくとも1つの化合物との組み合わせ;キナ
ゾリンジオン類、ベンズオキサジン、ナルトキサジン誘
導体;ベンズオキサジン−2,4−ジオン類(例えば、
1,3−ベンズオキサジン−2,4−ジオン);ピリミ
ジン類及び不斉−トリアジン類(例えば、2,4−ジヒ
ドロキシピリミジン)、及びテトラアザペンタレン誘導
体(例えば、3,6−ジメルカプト−1,4−ジフェニ
ル−1H,4H−2,3a,5,6a−テトラアザペン
タレン)。これらの内、好ましい色調剤としてはフタラ
ゾン又はフタラジンである。
【0100】現像を抑制或いは促進させ現像を制御する
ため、分光増感効率を向上させるため、現像前後の保存
性を向上させるためなどにメルカプト化合物、ジスルフ
ィド化合物、チオン化合物を含有させることができる。
【0101】メルカプト化合物を使用する場合、いかな
る構造のものでも良いが、Ar−SM、Ar−S−S−
Arで表されるものが好ましい。
【0102】式中、Mは水素原子又はアルカリ金属原子
であり、Arは1個以上の窒素、イオウ、酸素、セレニ
ウム又はテルリウム原子を有する芳香環又は縮合芳香環
である。好ましくは、複素芳香環はベンズイミダゾー
ル、ナフトイミダゾール、ベンゾチアゾール、ナフトチ
アゾール、べンズオキサゾール、ナフトオキサゾール、
ベンゾセレナゾール、べンゾテルラゾール、イミダゾー
ル、オキサゾール、ピラゾール、トリアゾール、チアジ
アゾール、テトラゾール、トリアジン、ピリミジン、ピ
リダジン、ピラジン、ピリジン、プリン、キノリン又は
キナゾリノンである。この複素芳香環は、例えば、ハロ
ゲン(例えば、Br及びCl)、ヒドロキシ、アミノ、
カルボキシ、アルキル(例えば、1個以上の炭素原子、
好ましくは1〜4個の炭素原子を有するもの)及びアル
コキシ(例えば、1個以上の炭素原子、好ましくは1〜
4個の炭素原子を有するもの)からなる置換基群から選
択されるものを有してもよい。メルカプト置換複素芳香
族化合物としては、2−メルカプトベンズイミダゾー
ル、2−メルカプトべンズオキサゾール、2−メルカプ
トベンゾチアゾール、2−メルカプト−5−メチルべン
ゾチアゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾ
ール、2−メルカプトキノリン、8−メルカプトプリ
ン、2,3,5,6−テトラクロロ−4−ピリジンチオ
ール、4−ヒドロキシ−2−メルカプトピリミジン、2
−メルカプト−4−フェニルオキサゾールなどが挙げら
れるが、これらに限定されない。
【0103】熱現像感光材料中にはかぶり防止剤が含ま
れて良い。有効なかぶり防止剤として例えば米国特許第
3,589,903号などで知られている水銀化合物は
環境的に好ましくない。そのため非水銀かぶり防止剤の
検討が古くから行われてきた。非水銀かぶり防止剤とし
ては例えば米国特許第4,546,075号及び同第
4,452,885号及び特開昭59−57234号に
開示されている様なかぶり防止剤が好ましい。
【0104】特に好ましい非水銀かぶり防止剤は、米国
特許第3,874,946号及び同第4,756,99
9号に開示されているような化合物、−C(X1)(X
2)(X3)(ここでX1及びX2はハロゲンであり、
X3は水素又はハロゲン)で表される1以上の置換基を
備えたヘテロ環状化合物である。好適なかぶり防止剤の
例としては、特開平9−288328号段落番号〔00
30〕〜〔0036〕に記載されている化合物等が好ま
しく用いられる。又もう一つの好ましいかぶり防止剤の
例としては特開平9−90550号段落番号〔006
2〕〜〔0063〕に記載されている化合物である。更
にその他の好適なかぶり防止剤は米国特許第5,02
8,523号及び英国特許出願第92221383.4
号、同第9300147.7号、同第9311790.
1号に開示されている。
【0105】熱現像感光材料には、例えば特開昭63−
159841号、同60−140335号、同63−2
31437号、同63−259651号、同63−30
4242号、同63−15245号、米国特許第4,6
39,414号、同第4,740,455号、同第4,
741,966号、同第4,751,175号、同第
4,835,096号に記載された増感色素が使用でき
る。使用される有用な増感色素は例えばRD17643
IV−A項(1978年12月p.23)、同Item
1831X項(1978年8月p.437)に記載もし
くは引用された文献に記載されている。特に各種スキャ
ナー光源の分光特性に適した分光感度を有する増感色素
を有利に選択することができる。例えば特開平9−34
078号、同9−54409号、同9−80679号記
載の化合物が好ましく用いられる。
【0106】熱現像感光材料は支持体上に少なくとも一
層の感光層を有している。支持体上に感光層のみを形成
しても良いが、感光層の上に少なくとも1層の非感光層
を形成することが好ましい。この非感光層に用いられる
バインダーは感光層に用いられるバインダーと同じ種類
でも異なった種類でもよい。感光層に通過する光の量又
は波長分布を制御するために感光層と同じ側にフィルタ
染料層及び/又は反対側にアンチハレーション染料層、
いわゆるバッキング層を形成しても良いし、感光層に染
料又は顔料を含ませても良い。用いられる染料としては
所望の波長範囲で目的の吸収を有するものであればいか
なる化合物でも良いが、例えば特開昭59−6481
号、特開昭59−182436号、米国特許4,27
1,263号、米国特許4,594,312号、欧州特
許公開533008号、欧州特許公開652473号、
特開平2−216140号、特開平4−348339
号、特開平7−191432号、特開平7−30189
0号などの記載の化合物が好ましく用いられる。
【0107】また、これらの非感光層には前記のバイン
ダーやマット剤を含有することが好ましく、更にポリシ
ロキサン化合物やワックスや流動パラフィンのようなス
ベリ剤を含有してもよい。
【0108】感光層は複数層にしても良く、又階調の調
節のため感光層を高感度層/低感度層又は低感度層/高
感度層にしても良い。
【0109】また、感光材料の表面を保護したり擦り傷
を防止するために、感光層の外側に非感光層として保護
層を有することができる。
【0110】また、感光層側(特に保護層)にマット剤
を含有することが好ましく、熱現像後の画像の傷つき防
止のためには、感光材料の表面にマット剤を配すること
が好ましく、そのマット剤を感光層側の全バインダーに
対し、重量比で0.5〜30%含有することが好まし
い。又、支持体を挟み感光層とは反対側の面に非感光層
を設ける場合は、非感光層側の少なくとも1層中にマッ
ト剤を含有することが好ましく、感光材料の滑り性や指
紋付着防止のためにも感光材料の表面にマット剤を配す
ることが好ましく、そのマット剤を感光層側の反対側の
層の全バインダーに対し、重量比で0.5〜40%含有
することが好ましい。
【0111】マット剤の材質は、有機物及び無機物のい
ずれでもよい。例えば、無機物としては、スイス特許第
330,158号等に記載のシリカ、仏国特許第1,2
96,995号等に記載のガラス粉、英国特許第1,1
73,181号等に記載のアルカリ土類金属又はカドミ
ウム、亜鉛等の炭酸塩、等をマット剤として用いること
ができる。有機物としては、米国特許第2,322,0
37号等に記載の澱粉、ベルギー特許第625,451
号や英国特許第981,198号等に記載された澱粉誘
導体、特公昭44−3643号等に記載のポリビニルア
ルコール、スイス特許第330,158号等に記載のポ
リスチレン或いはポリメタアクリレート、米国特許第
3,079,257号等に記載のポリアクリロニトリ
ル、米国特許第3,022,169号等に記載されたポ
リカーボネートの様な有機マット剤を用いることができ
る。
【0112】マット剤の形状は、定形、不定形どちらで
も良いが、好ましくは定形で、球形が好ましく用いられ
る。マット剤の大きさはマット剤の体積を球形に換算し
たときの直径で表される。マット剤の粒径とはこの球形
換算した直径のことを示すものとする。
【0113】マット剤は、平均粒径が0.5μm〜10
μmであることが好ましく、更に好ましくは1.0μm
〜8.0μmである。また、粒子サイズ分布の変動係数
としては、50%以下であることが好ましく、更に好ま
しくは40%以下であり、特に好ましくは30%以下と
なるマット剤である。
【0114】ここで、粒子サイズ分布の変動係数は、下
記の式で表される値である。
【0115】 (粒径の標準偏差)/(粒径の平均値)×100
【0116】マット剤は任意の構成層中に含むことがで
きるが、好ましくは感光層以外の構成層であり、更に好
ましくは支持体から見て最も外側の層である。
【0117】マット剤の添加方法は、予め塗布液中に分
散させて塗布する方法であってもよいし、塗布液を塗布
した後、乾燥が終了する以前にマット剤を噴霧する方法
を用いてもよい。又複数の種類のマット剤を添加する場
合は、両方の方法を併用してもよい。
【0118】各種の添加剤は感光層、非感光層、又はそ
の他の形成層のいずれに添加しても良い。熱現像感光材
料には例えば、界面活性剤、酸化防止剤、安定化剤、可
塑剤、紫外線吸収剤、被覆助剤等を用いても良い。これ
らの添加剤及び上述したその他の添加剤はRD1702
9(1978年6月p.9〜15)に記載されている化
合物を好ましく用いることができる。
【0119】支持体は現像処理後の画像の変形を防ぐた
めにプラスチックフィルム(例えば、ポリエチレンテレ
フタレート(PET)、ポリカーボネート、ポリイミ
ド、ナイロン、セルローストリアセテート、ポリエチレ
ンナフタレート)であることが好ましい。支持体の厚み
としては50〜300μm程度、好ましくは70〜18
0μmである。又熱処理したプラスチック支持体を用い
ることもできる。採用するプラスチックとしては、前記
のプラスチックが挙げられる。支持体の熱処理とはこれ
らの支持体を製膜後、感光層が塗布されるまでの間に、
支持体のガラス転移点より30℃以上高い温度に、好ま
しくは35℃以上高い温度に、更に好ましくは40℃以
上高い温度に加熱することがよい。
【0120】支持体の製膜方法及び下引製造方法は公知
の方法を用いることができるが、好ましくは、特開平9
−50094号の段落〔0030〕〜〔0070〕に記
載された方法を用いることである。
【0121】帯電性を改良するために金属酸化物及び/
又は導電性ポリマーなどの導電性化合物を構成層中に含
ませることができる。これらはいずれの層に含有させて
もよいが、好ましくは下引層、バッキング層、感光層と
下引の間の層などに含まれる。米国特許5,244,7
73号カラム14〜20に記載された導電性化合物が好
ましく用いられる。
【0122】
【実施例】図1〜図4(a)に示す熱現像装置を作製
し、これにより、以下に示すフィルム1及びフィルム2
の各々毎に、外部から入力した画像情報によるX線写真
画像をそれぞれ100枚連続してプリントアウトした。
そして、得られたフィルム画像における濃度のばらつき
を目視検査した。その結果、実用上問題となるような濃
度低下によるばらつきが見られず、良好な結果が得られ
た。
【0123】<ハロゲン化銀写真感光性熱現像材料のフ
ィルム1>
【0124】[支持体の作製]濃度0.170(コニカ
(株)製デンシトメータPDA−65)に青色着色し
た、厚み175μmのPETフィルムの両面に8w/m
・分のコロナ放電処理を施した。
【0125】[感光性ハロゲン化銀乳剤Aの調製]水9
00ml中に平均分子量10万のオセインゼラチン7.
5g及び臭化カリウム10mgを溶解して温度35℃、
pHを3.0に合わせた後、硝酸銀74gを含む水溶液
370mlと(98/2)のモル比の臭化カリウムと沃
化カリウムを含む水溶液及び塩化イリジウムを銀1モル
当たり1×10−4モルを、pAg7.7に保ちながら
コントロールドダブルジェット法で10分間かけて添加
した。その後4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3
a,7−テトラザインデン0.3gを添加しNaOHで
pHを5に調整して平均粒子サイズ0.06μm、粒子
サイズの変動係数12%、〔100〕面比率87%の立
方体沃臭化銀粒子を得た。この乳剤にゼラチン凝集剤を
用いて凝集沈降させ脱塩処理後フェノキシエタノール
0.1gを加え、pH5.9、pAg7.5に調整し
て、感光性ハロゲン化銀乳剤Aを得た。
【0126】[ベへン酸Na溶液の調製]340mlの
イソプロパノールにベへン酸34gを65℃で溶解し
た。次に攪拌しながら0.25Nの水酸化ナトリウム水
溶液をpH8.7になる様に添加した。この際水酸化ナ
トリウム水溶液は約400ml必要とした。次にこのベ
ヘン酸ナトリウム水溶液を減圧濃縮を行いべヘン酸ナト
リウムの濃度が重量%で8.9%とした。
【0127】[ベへン酸銀の調製]750mlの蒸留水
中に30gのオセインゼラチンを溶解した溶液に2.9
4Mの硝酸銀溶液を加え銀電位を400mVとした。こ
の中にコントロールドダブルジェット法を用いて78℃
の温度下で前記ベヘン酸ナトリウム溶液374mlを4
4.6ml/分のスピードで添加し同時に2.94Mの
硝酸銀水溶液を銀電位が400mVになる様に添加し
た。添加時のベヘン酸ナトリウム及び硝酸銀の使用量は
それぞれ0.092モル、0.101モルであった。
【0128】添加終了後さらに30分攪拌し限外濾過に
より水溶性塩類を除去した。
【0129】[感光性乳剤Bの調製]このべへン酸銀分
散物に前記ハロゲン化銀乳剤Aをそれぞれ0.01モル
加え、更に攪拌しながらポリ酢酸ビニルの酢酸n−ブチ
ル溶液(1.2wt%)100gを徐々に添加して分散
物のフロックを形成後、水を取り除き、更に2回の水洗
と水の除去を行った後、残った分散物200gに対し、
バインダーとしてポリビニルブチラール(平均分子量3
000)の2.5wt%の酢酸ブチルとイソブロピルア
ルコールの1:2混合溶液60gを攪拌しながら加えた
後、こうして得られたゲル状のベへン酸及びハロゲン化
銀の混合物にバインダーとしてポリビニルブチラール
(平均分子量4000)1.5g及びイソプロピルアル
コール240mlを加え500gに仕上げて分散し、感
光性乳剤Bを調製した。
【0130】[感光層塗布液Bの調製]前記感光性乳剤
B(500g)およびMEK100gを攪拌しながら2
1℃に保温した。ピリニジウムヒドロブロミドパーブロ
ミド(PHP、0.45g)を加え、1時間攪拌した。
さらに臭化カルシウム(10%メタノール溶液3.25
ml)を添加して30分攪拌した。
【0131】次に増感色素−1、4−クロロ−2−べン
ゾイル安息香酸、および強色増感剤(5−メチル−2−
メルカプトべンズイミダゾール)の混合溶液(混合比率
1:250:20、増感色索で0.1%メタノール溶
液、7ml)を添加して1時間攪拌した後に温度を13
℃まで降温してさらに30分攪拌する。
【0132】13℃に保温したまま、ポリビニルブチラ
ール48gを添加して充分溶解してから、以下の添加物
を添加し、感光層塗布液Bを調製する。 還元剤−1:15g(0.0484mol) デスモデュN3300(モーベイ社、脂肪族イソシアネート) 1.10g フタラジン(色調剤) 1.5g テトラクロロフタル酸 0.5g 4−メチルフタル酸 0.5g IR染料:8mg
【0133】[感光層面側塗布]感光層塗布液Bを調製
した後、13℃に保温して所定時間、停滞保持してか
ら、支持体上に以下の各層を順次形成し、試料を作成し
た。尚、乾燥は各々75℃,5分間で行い、フィルム1
を得た。
【0134】感光層1:感光層塗布液Bを塗布銀量2g
/mになる様に塗布する。
【0135】<ハロゲン化銀写真感光性熱現像材料のフ
ィルム2>
【0136】[感光性乳剤Cの調製]ハロゲン化銀−ベ
ヘン酸銀ドライ乳剤を、米国特許第3,839,049
号に記載の方法によって調製した。上記ハロゲン化銀は
総銀量の9モル%を有し、一方べへン酸銀は総銀量の9
1モル%を有した。上記ハロゲン化銀は、ヨウ化物2%
を有する0.055μm臭化ヨウ化銀乳剤であった。
【0137】[感光層塗布液Cの調製]熱現像乳剤を、
上記ハロゲン化銀−ベヘン酸銀ドライ乳剤455g、ト
ルエン27g、2−ブタノン1918g、およびポリビ
ニルブチラール(モンサント製のB−79)と均質化し
た。上記均質化熱現像乳剤(698g)および2−ブタ
ノン60gを攪拌しながら12.8℃まで冷却した。ピ
リジニウムヒドロブロミドペルブロミド(0.92g)
を加えて、2時間攪拌した。
【0138】臭化カルシウム溶液(CaBr(1g)と
メタノール10ミリリットル)3.25ミリリットルを
加え、統いて30分間撹拌した。更にポリビニルブチラ
ール(158g;モンサント製B−79)を加え、20
分間攪拌した。温度を21.1℃まで上昇し、以下のも
のを攪拌しながら15分間かけて加え、感光層塗布液C
を調製した。 2−(トリブロモメチルスルホン)キノリン 3.42g、 1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,5,5−ト リメチルへキサン 28.1g、 5−メチルメルカプトべンズイミダゾール0.545gを含有する溶液 41.1g、 2−(4−クロロべンゾイル)安息香酸 6.12g S−1(増感染料) 0.104g メタノール 34.3g イソシアネート(デスモダーN3300、モべイ製) 2.14g テトラクロロフタル酸無水物 0.97g フタラジン 2.88g 尚、染料S−1は以下の構造を有する。
【0139】
【化4】
【0140】[保護層溶液Cの調整]保護層溶液Cを以
下の成分を用いて調製した。 2−ブタノン 80.0g メ夕ノール 10.7g 酢酪酸セルロース(CAB−171−155、イーストマン・ケミカルズ製) 8.0g 4−メチルフタル酸 0.52g MRA−1、モトル還元剤、N−エチルペルフルオロオクタンスルホニルアミド エチルメタクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸の重量比 70:20:10の3級ポリマー 0.80g
【0141】この感光層塗布液Cと保護層溶液Cとを、
ナイフ・コータにより、同時に、0.18mmの青色ポ
リエステル・フィルム・べースに塗布する。この際、感
光層塗布液Cの上に保護層溶夜Cを塗布する。また、感
光層塗布液は、1m当たりの乾燥被膜重量が23gと
なるように、そして、保護層溶液Cは、1m当たりの
乾燥被膜重量が2.4gとなるように塗布される。そし
て、塗布されたポリエステル・べースを、79.4℃で
4分間乾燥して、フィルム2を得る。
【0142】以上のように本発明を実施の形態及び実施
例により説明したが、本発明はこれらに限定されるもの
ではなく、本発明の技術的思想の範囲内で各種の変形が
可能である。例えば、加熱部材は、円筒状の加熱ドラム
に限定されず、平板状の固定式プレートヒータや内部に
固定式プレートヒータを含みその回りでエンドレスベル
トが移動するように構成したベルトコンベヤ式ヒータで
あってもよい。また、蓄熱手段としては、ローラ状やリ
ング状以外の形状であってもよく、例えば矩方体状等の
形状でもよい。
【0143】
【発明の効果】本発明によれば、連続した熱現像処理に
よって生ずる案内ローラの温度低下を抑制し、熱現像材
料の熱現像処理数に拘わらず濃度の安定した可視画像を
得ることができ、しかも装置の小型化、低コストの実現
を可能にする熱現像装置を提供できる。
【0144】また、連続した熱現像処理によって生ずる
案内ローラの温度低下を抑制し、熱現像材料の熱現像処
理数に拘わらず濃度の安定した可視画像を得ることがで
きるとともに装置の製造やメンテナンスが簡単になる構
造を有する熱現像装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態による熱現像装置を概略的に示す
正面図である。
【図2】図1の熱現像装置の左側面図である。
【図3】図1の熱現像装置の加熱ドラム周辺を模式的に
示す拡大斜視図である。
【図4】図4(a)は図1の加熱ドラム周辺を模式的に
示す拡大背面図であり、図4(b)は図4(a)の構成
の変形例を示す拡大背面図である。
【図5】本実施の形態におけるフィルムの断面図であ
り、露光部からのレーザビームによる露光時におけるフ
ィルム内の化学的反応を模式的に示した図である。
【図6】本実施の形態におけるフィルムの断面図であ
り、図5のような潜像の形成されたフィルムを加熱した
時におけるフィルム内の化学的反応を模式的に示した図
である。
【図7】図1〜図4(a)の熱現像装置を使用した場合
の案内ローラの温度低下とフィルムの処理数との関係を
示すグラフである。
【図8】本実施の形態の変形例を模式的に示す図4と同
様の拡大背面図である。
【図9】本実施の形態の他の変形例を模式的に示す図4
と同様の拡大背面図である。
【図10】本実施の形態の別の変形例を模式的に示す図
4と同様の拡大背面図である。
【図11】本実施の形態の更に別の変形例を模式的に示
す図4と同様の拡大背面図である。
【図12】本実施の形態の更に別の変形例を模式的に示
す図4と同様の拡大背面図である。
【図13】従来の熱現像装置の加熱ドラム周辺を模式的
に示す拡大背面図である。
【図14】従来の熱現像装置を使用した場合の案内ロー
ラの温度低下とフィルムの処理数との関係を示すグラフ
である。
【符号の説明】
100 熱現像装置 130 熱現像部 14 加熱ドラム(加熱部材) 14a 加熱ドラムの外周面 16 案内ローラ(案内部材) 18 蓄熱ローラ(蓄熱手段) 20,20a ヒータ 22 ユニット 18a 加熱ローラ(加熱手段) 24 加熱ローラ18aのヒータ 28 蓄熱リング(蓄熱手段) F フィルム(熱現像材料)

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 潜像を有する熱現像材料を加熱する加熱
    部材と、前記加熱部材に対向するように配置された複数
    の案内部材と、を備え、前記熱現像材料を前記案内部材
    と前記加熱部材との間で押圧し搬送しながら熱現像し可
    視画像を得る熱現像装置であって、 前記案内部材の少なくとも一部に前記案内部材の温度低
    下を抑制する蓄熱手段を設けたことを特徴とする熱現像
    装置。
  2. 【請求項2】 前記蓄熱手段は熱容量の比較的大きい材
    料により形成される中実体であることを特徴とする請求
    項1に記載の熱現像装置。
  3. 【請求項3】 前記蓄熱手段は金属材料または樹脂材料
    から成る中空体の内部に熱容量の大きな物質を封入した
    ものであることを特徴とする請求項1に記載の熱現像装
    置。
  4. 【請求項4】 前記蓄熱手段は前記熱現像材料の搬送方
    向の上流側の案内部材に配置されたことを特徴とする請
    求項1,2または3に記載の熱現像装置。
  5. 【請求項5】 前記案内部材は前記加熱部材の表面に対
    し押圧されながら回転する案内ローラであることを特徴
    とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の熱現像装
    置。
  6. 【請求項6】 前記蓄熱手段が設けられた前記案内ロー
    ラにおける前記加熱部材に対する押圧力は200gf/
    cm以下であることを特徴とする請求項5に記載の熱現
    像装置。
  7. 【請求項7】 前記蓄熱手段は、前記案内ローラの少な
    くとも一つに接触し前記案内ローラとほぼ同じ周速度で
    回転する蓄熱ローラを備えることを特徴とする請求項5
    または6に記載の熱現像装置。
  8. 【請求項8】 前記蓄熱ローラは、二本の前記案内ロー
    ラに対して一本の前記蓄熱ローラが同時に接触するよう
    に設けられていることを特徴とする請求項7に記載の熱
    現像装置。
  9. 【請求項9】 前記熱現像材料の搬送方向の最上流側の
    案内部材に加熱手段を配置するとともに、前記蓄熱手段
    をその下流側の案内部材に配置したことを特徴とする請
    求項1乃至8のいずれか1項に記載の熱現像装置。
  10. 【請求項10】 前記蓄熱手段が前記熱現像材料の搬送
    方向の上流側の案内部材と置換して設けられ前記案内部
    材の機能を兼ねることを特徴とする請求項1乃至9のい
    ずれか1項に記載の熱現像装置。
  11. 【請求項11】 前記蓄熱手段を設けた前記案内部材が
    前記蓄熱手段とともに、または前記案内部材と置換して
    設けた前記蓄熱手段が、一体のユニットとして前記加熱
    部材に対し着脱自在に構成されていることを特徴とする
    請求項1乃至10のいずれか1項に記載の熱現像装置。
  12. 【請求項12】 潜像を有する熱現像材料を加熱する加
    熱部材と、前記加熱部材に対向するように配置された複
    数の案内ローラと、を備え、前記熱現像材料を前記案内
    ローラと前記加熱部材との間で押圧し搬送しながら熱現
    像し可視画像を得る熱現像装置であって、 前記案内ローラの一部に前記案内部材を加熱する加熱手
    段を設け、前記加熱手段と前記一部の案内ローラとを一
    体のユニットとして前記加熱部材に対して着脱自在に構
    成したことを特徴とする熱現像装置。
  13. 【請求項13】 前記案内ローラの少なくとも一部に前
    記案内ローラの温度低下を抑制する蓄熱ローラを設けた
    ことを特徴とする請求項12に記載の熱現像装置。
  14. 【請求項14】 前記加熱手段が設けられた案内ローラ
    は前記熱現像材料の搬送方向の上流側に位置することを
    特徴とする請求項12または13に記載の熱現像装置。
  15. 【請求項15】 前記加熱手段が設けられた案内ローラ
    または前記蓄熱手段が設けられた案内ローラにおける前
    記加熱部材に対する押圧力は200gf/cm以下であ
    ることを特徴とする請求項12乃至14のいずれか1項
    に記載の熱現像装置。
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