JP3991794B2 - マイナスイオン発生機を並設した温風暖房機 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は通年に渡りマイナスイオン発生機として使用できる温風暖房機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
マイナスイオン発生機は送風機の送風路の壁面をプラスに帯電させ、この送風路内に向けてマイナス出力に接続した電極を配置しており、送風路の壁面と電極との間に高電圧を印加するとコロナ放電によって電極付近の空気をマイナスイオン化し、送風機による空気流が電極付近を通過するときに、マイナスイオン化した空気を室内に吹き出すと共に、新しい空気が電極付近でマイナスイオン化することで連続してマイナスイオンを吹き出すようにしたものである。
【0003】
そして、発生したマイナスイオンは送風路内の空気中にあらかじめ存在していたプラスイオンに触れて消滅し、また、プラスに帯電した送風路の壁面などに触れて消滅し、更に、マイナスイオン発生機の吹出口から吹き出した後でも、空気中のプラスイオンに触れて消滅しており、一般的には自然の状態でレナード効果によって発生する滝の付近のマイナスイオン量を目安に、吹出口の前面1メートルで1〜2万個以上のマイナスイオンが得られるように設計されている。
【0004】
このように空気流のあるところに電極を備え付ければマイナスイオン発生機として機能するから、空気清浄機の送風路にマイナスイオン発生機を構成してマイナスイオン発生機付空気清浄機として既に実用化されている。このため、前記するように温風暖房機の枠体内には室内対流ファンが備え付けられて、この室内対流ファンによって空気が送られる送風路があるから、この送風路に電極を配置し、プラスに帯電させた送風路壁とマイナス出力に接続した電極との間に高電圧を印加することによって、マイナスイオン発生機が構成できる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、空気清浄機に代えてマイナスイオン発生機を温風暖房機の送風路に構成する時には、この送風路に突出させたマイナス出力に接続した電極に綿埃が付着することは避けられず、もし、大量の綿埃が電極に付着した状態で、この綿埃が暖房機の熱で着火するようなことがあると、暖房機から火災を発生させる恐れがある。この為、従来では温風暖房機の送風路を直接使ってマイナスイオン発生機を構成することは、アイデアとして存在していても実際には市販されていない。
【0006】
このように暖房機の枠体内で温風を作り出す送風路を使ってマイナスイオン発生機を構成することはかなり危険であるので、暖房機の枠体内の送風路とは別の第二の送風路を形成し、また、この送風路内に専用送風路を形成して、新たな送風路にマイナスイオン発生機の電極を取付ける構造が検討された。この構造であれば送風路とマイナスイオン流路が独立するので、暖房中でもマイナスイオン発生機が安全に運転でき、通年にわたってマイナスイオン発生機が利用できるから、夏季において邪魔物扱いされる暖房機の有効活用の道が開けた。
【0007】
しかし、この構造は暖房機に単独のマイナスイオン発生機を取付けただけであるから、製造コストの引き下げはほとんどできず、最近では多量生産されるマイナスイオン発生機の実売価格が低下しているから、暖房機とマイナスイオン発生機を別々に購入した方が安価になってしまう場合があり、同じ枠体に組み込んだメリットを生かすことができなくなる。
【0008】
一方、暖房機として燃料の燃焼を利用するものでは、プラズマ状態になっている燃焼炎の中には多量のプラスイオンとマイナスイオンがほぼ同数個混在していることが知られており、従来ではこの炎の性質をフレームロツドによる炎検出に利用している。この燃焼炎に含まれて多量のプラスイオンとマイナスイオンを燃焼ガスと一緒に送風路に送り出すファンヒータと呼ばれる暖房機の場合、もし、送風路にマイナス出力に接続した電極を取付けた構造が実現できれば、この電極付近で発生しているマイナスイオンは直ちに燃焼ガス中のプラスイオンと結び付いて効率よく消滅するから、温風吹出口から吹き出すプラスイオン数が減少してマイナスイオン数との差である有効マイナスイオン数が増えることになる。
【0009】
この発明は温風暖房機の送風路を利用してマイナスイオン発生器を構成するもので、枠体1内には枠体1の背部と枠体1の前部を連通する送風路2を設け、該送風路2の枠体1の背面側には室内対流ファン3を、また、送風路2の枠体1の前面側には温風吹出口4を取付け、該送風路2内にはバーナ5によって高温度に加熱される燃焼室6を配置し、前記対流ファン3によって送風路2に吹込まれた室内空気は高温となって温風吹出口4から室内に吹き出すと共に、前記送風路2内にのぞませて高圧電源装置7に接続した電極8を配置し、該電極8をマイナス高電圧に、また、送風路2壁をプラス高電圧に接続し、電極8から発生したマイナスイオンを温風吹出口4から吹き出す温風暖房機において、前記室内対流ファン3の吸込み側には金網などからなるフィルター14を取付け、該フィルター14を通過した空気を前記送風路2内に供給し、前記フィルター14と室内対流ファン3との間の側壁にはフィルター14の目詰まり時に送風路2内に空気を供給する空気流入口14aを設けると共に、前記電極8は高温となる燃焼室6壁にのぞむ送風路2内に配置し、バーナ5の燃焼熱で高温となる燃焼室6によって電極8を加熱して、当該電極8に付着した埃は炭化もしくは酸化して送風によって逸散することを特徴とする。
【0016】
【作用】
マイナスイオン発生機は強制的な送風空気流のある送風路2に電極8を配置し、送風路2側をプラス高電圧、電極8側をマイナス高電圧に印加すると、コロナ放電が起きて電極8の付近の空気をマイナスイオン化する。このマイナスイオン化した空気を室内対流ファン3の送風空気流によって室内に吹き出すことでマイナスイオン発生機が構成できるから、専用のマイナスイオン発生機だけではなく、温風暖房機の送風路2に電極8を配置してマイナスイオン発生機を兼用させることができる。
【0017】
マイナスイオン発生機に不可欠な送風路2には室内空気が流れているから、この送風路2に吹き込まれる空気と一緒に綿埃が流れて来るが、室内対流ファン3の吸込み側には金網などからなるフィルター14を取付け、このフィルター14を通過した空気を送風路2内に供給するから、送風路2内に流入する綿埃を抑制することができ、フィルター14の目詰まりが発生したときは空気流入口14aから送風路2内に空気を供給することができる。
また、この発明の電極8は常に熱源によって加熱されながら新しい空気が流通する位置に配置したから、電極8付近に綿埃が付着しても、電極8に付着した綿埃は多量に溜る前に熱によって炭化して空気流によって吹き飛ばされてしまい、火災の原因になるほど多量に綿埃が溜ることはない。
【0018】
【実施例】
図に示す石油燃料を用いる暖房機とマイナスイオン発生機を兼用させた実施例によってこの発明を説明すると、1は暖房機の枠体、5は枠体1内に配置して熱源を構成するバーナ、6はバーナ5の上部に配置して燃焼炎と燃焼ガスとが送られる燃焼室である。2は枠体1の背面から前面に向かって貫通して形成した送風路、3は枠体1の背面付近の送風路2の入口側に設けた室内対流ファン、4は送風路2の出口側に位置して枠体1の前面開口を形成する温風吹出口、15は温風吹出口4に取付けたルーバ、15aはガードであり、前記バーナ5の上部や燃焼室6は送風路2内に配置してある。
【0019】
16はバーナを燃焼可能温度に上昇させる点火兼用のヒータ、17はバーナ5に燃焼空気を供給する燃焼ファン、18はバーナ5に燃料を供給する燃料ポンプ、19は燃焼ファン17や燃料ポンプ18等の各種の電装部品を制御しているコントローラ、20は暖房機の操作部であり、操作部20の指示によって暖房機を起動すると、コントローラ19はヒータ16に通電してバーナ5を燃焼可能温度に上昇させ、次に燃焼ファン17や燃料ポンプ18等を駆動する。石油燃料はバーナ5内で着火して燃焼を開始し、燃焼室8内で完全燃焼するようになっている。
【0020】
図1に示す実施例の石油暖房機は吸排気タイプの暖房機であって、21は燃焼室6と共に送風路2内に配置した熱交換室、22は熱交換室21から燃焼ガスを室外に排出する排気パイプであり、燃焼室6を出た燃焼ガスは熱交換室21を通り、排気パイプ22によって室外に排気する。また、図2に示す実施例の石油暖房機はファンヒータと呼ばれる燃焼ガスを室内に放出するタイプであって、11は燃焼室6の壁面を構成する上壁に設けた排気開口であり、この排気開口11は送風路2内に開口しており、燃焼ガスは送風路2に送られる。
【0021】
上記の石油燃焼機において、前記室内対流ファン3を運転すると室内空気は送風路2内に吹き込まれ、室内空気は燃焼室6や熱交換室21によって熱交換して、更に図2の実施例では排気開口11から送られる高温の燃焼ガスと混合して、送風路2内の室内空気の温度が高められ、温風となって温風吹出口4から室内に吹き出している。
【0022】
図1に示す実施例の吸排気タイプの暖房機は枠体1の温風吹出口4を構成する前面開口を大きく形成した熱線放射形の暖房機であって、10は燃焼室6内に位置させた赤熱体、9は耐熱ガラス等で燃焼室6の側壁部を構成した熱線透過部、23は燃焼室6の側方と背方に位置して側端部を枠体1の前面開口付近に接続した反射板であり、バーナ5の燃焼炎と燃焼ガスは燃焼室6内で赤熱体10を加熱しており、この赤熱体10から放射される熱線は燃焼室6の側壁の熱線透過部9を透過して枠体1の前面開口から前方へ放射すると共に、側方や背方に向かう熱線は反射板23によって反射して枠体1の前面開口から前方へ放射して暖房している。
【0023】
8は送風路2内に先端を位置させた電極、7は枠体1に取付けてプラス側を枠体1にアースする高圧電源装置であり、高圧電源装置7のマイナス側の出力を電極8に接続している。高圧電源装置7に通電すると、枠体1にアースされて送風路2壁はプラスとなり、電極8がマイナスとなるからコロナ放電を開始して電極8付近の空気はマイナスイオン化する。前記室内対流ファン3を運転すると、室内空気が電極8付近のマイナスイオン化した空気を温風と一緒に温風吹出口4から室内に吹き出して、マイナスイオン発生機が構成できる。
【0024】
この発明はマイナスイオン発生機と暖房機との兼用を狙ったものであるが、エアコンや空気清浄器からなる空気調和機の送風路にマイナスイオン発生機を構成したものは既に実用化されている。しかしながら、この発明のように温風暖房機の送風路を使ってマイナスイオン発生機を構成したものは実用化されていない。この理由として電極は送風路に突出して取付けられるから、空気流に乗って送風路に吹き込まれた綿埃が電極に付着して堆積するものであり、常に電極を清掃する必要があるが、取扱者が定期的に清掃を実行するという保証はない。このため実用化されたマイナスイオン発生機を組み込んだ既存の機器では、強力なフィルターを設置することで電極のメンテナンスフリーを実施しているが、熱源を持った暖房機にこのような強力なフィルターを設置すれば、もしこのフィルターの目詰まりが発生すると枠体内の冷却空気流が確保できず、枠体の異常加熱による火災の発生の恐れがあるから、荒いフィルターを持ったものが使われている。このようなフィルターであるから実際の暖房機では綿埃が送風路に進入しやすく、電極への綿埃の付着は避けることができない。もし大量に綿埃が電極に付着した状態で、この綿埃がバーナの熱で引火するようなことがあると火災の発生という大事故になってしまう。
【0025】
この発明はマイナスイオン発生機と夏季において使用されることのない暖房機とを同じ枠体1内に組み込んで一体化するにあたり、送風路2内の電極8の取付け位置を限定して長期間にわたり使用続けてもトラブルの発生を防止できたものである。即ち、第1の実施例では前記燃焼室6壁に熱線透過部9を形成した暖房機において、赤熱体10はこの熱線透過部9にのぞむ燃焼室6内に配置し、送風路2壁に取付ける前記電極8は熱線透過部9を介して赤熱体10と対向した位置となるように、赤熱体10の位置及び電極8の位置を特定したものである。そして、マイナスイオンを温風吹出口4から吹き出すためには空気流が必要で、電極8を送風路2の下部に取付けた図1に示す実施例の暖房機において、23aは燃焼室6の背部にのぞむ反射板23の上部に設けた通風切欠であり、前記室内対流ファン3の風は通風切欠23aの部分から電極8に向かって吹き出すことができる。
【0026】
また、第2の実施例では前記燃焼室6壁に排気開口11を設けた暖房機において、送風路2壁に取付ける前記電極8はこの排気開口11と対向する位置となるように特定したものであり、一般的な燃焼室6に設ける排気開口11は燃焼室6の上部に形成されるから、電極8は送風路2の天板から下方に向けて取付けることになる。
【0027】
このように取付けられた電極8の位置では、この電極8がバーナ5の燃焼熱で強力に加熱される状態になることを意図しており、第1の実施例では赤熱する赤熱体10の放射熱を受けて、また、第2の実施例では排気開口11から放出される燃焼ガスの熱を受けて、綿埃が付着しても短時間で炭化もしくは酸化してしまう温度、好ましくは赤熱するほど電極8が加熱されるような位置に取付けられている。
【0028】
このため室内対流ファン3によって室内空気が送風路2に吹き込まれており、この空気流に乗って綿埃が侵入して電極8に付着しようとしても、綿埃はバーナ5の熱で直ちに炭化もしくは酸化して逸散するから、大量に綿埃が付着した状態で突然引火燃焼を開始するようなことはなくなった。また、夏季にマイナスイオン発生機の機能だけを使用すると、冬季に暖房機を使用開始する時に電極8に綿埃が付着しているが、この綿埃はバーナ5の熱で電極8の付近が高温になるにしたがって少しずつ炭化もしくは酸化して、やがて電極8が赤熱するまでにはこの綿埃は吹き飛ばされて消滅してしまっている。そして、この綿埃が吹き飛ばされる時には、まだ、暖房機の各部及び送風路2の空気は低温であるから、吹き飛ばされた綿埃が燃えて、焦げ臭い臭いがする時があっても、すぐに臭いは治まって通常の暖房機の使用が開始できるようになる。
【0037】
また、枠体1内にバーナ5を備えた暖房機は、前記したように送風路2内に空気流が必要で綿埃の侵入を防ぐことができない。しかし、マイナスイオン発生機のためには綿埃の侵入を最小限にすることは非常に有効であり、14は室内対流ファン3に向かう空気流を直接遮るように設けたフィルター、14aはこの室内対流ファン3に対向するフィルター14と室内対流ファン3との間の送風路2の側壁に開口した空気流入口である。
【0038】
このような構造にすると、室内対流ファン3は大部分の空気をフィルター14から吸い込んでおり、空気中の綿埃はフィルター14に捕集され、電極8に付着する綿埃を少なくすることができる。そして、フィルター14に多量の挨が付着して大きな流路抵抗になった時には、フィルター14に代わって側方の空気流入口14aから空気が流入するようになり、暖房機としての送風路2の空気流は確保できる。この空気流によって綿埃が侵入して電極8に付着しても綿埃の量はフィルター14のない時に比べて非常に少なくなる。
【0039】
【発明の効果】
上記のようにこの発明では暖房機の熱源に関係する燃焼室6にのぞむ送風路2内に電極8を配置したから、バーナ5の燃焼熱によって電極8は加熱されて高温になり、送風路2を綿埃が流れてきても電極8に付着することができず、はじめて温風暖房機の温風を作り出す送風路2に電極8を直接配置することができたものである。
【0045】
更に、室内対流ファン3の吸込み側には金網などからなるフィルター14を取付け、このフィルター14と室内対流ファン3との間の側壁に空気流入口14aを設けたから、送風路2に流入する空気に含まれる綿埃が捕集でき、マイナスイオン発生機の単独使用時でも電極8に綿埃が付着しにくくなり、また、フィルター14に多量の綿埃が付着したときには、空気流入口14aから空気が送風路2に送られるから、暖房機の枠体1の温度を上昇させないだけの空気流は確保できており、安心して暖房機との兼用機が使用できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例を示す暖房機の横断面図である。
【図2】この発明の他の実施例を示す暖房機の横断面図である。
【符号の説明】
1 枠体
2 送風路
3 室内対流ファン
4 温風吹出口
5 バーナ
6 燃焼室
7 高圧電源装置
8 電極
9 熱線透過部
10 赤熱体
11 排気開口
12 遮風体
13 通風口
14 フィルター
14a 空気流入口
Claims (1)
- 枠体1内には枠体1の背部と枠体1の前部を連通する送風路2を設け、該送風路2の枠体1の背面側には室内対流ファン3を、また、送風路2の枠体1の前面側には温風吹出口4を取付け、該送風路2内にはバーナ5によって高温度に加熱される燃焼室6を配置し、前記対流ファン3によって送風路2に吹込まれた室内空気は高温となって温風吹出口4から室内に吹き出すと共に、
前記送風路2内にのぞませて高圧電源装置7に接続した電極8を配置し、該電極8をマイナス高電圧に、また、送風路2壁をプラス高電圧に接続し、電極8から発生したマイナスイオンを温風吹出口4から吹き出す温風暖房機において、
前記室内対流ファン3の吸込み側には金網などからなるフィルター14を取付け、該フィルター14を通過した空気を前記送風路2内に供給し、前記フィルター14と室内対流ファン3との間の側壁にはフィルター14の目詰まり時に送風路2内に空気を供給する空気流入口14aを設けると共に、
前記電極8は高温となる燃焼室6壁にのぞむ送風路2内に配置し、バーナ5の燃焼熱で高温となる燃焼室6によって電極8を加熱して、当該電極8に付着した埃は炭化もしくは酸化して送風によって逸散することを特徴とするマイナスイオン発生機を並設した温風暖房機。
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