JP3991456B2 - 光ディスク装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ディスク装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
CD、CD−ROM等の再生専用の光ディスクや、CD−R、CD−RW等の記録・再生が可能な光ディスクを再生、または記録・再生する光ディスク装置が知られている。
【0003】
図5は、従来の光ディスク装置を示すブロック図、図6は、従来の光ディスク装置のスレッドサーボ信号(電圧)のタイミングチャートである。
【0004】
図5に示すように、従来の光ディスク装置210は、光ディスクを装着して回転させる図示しない回転駆動機構と、前記装着された光ディスクに対し、その径方向に移動し得る光学ヘッド(光ピックアップ)230と、この光学ヘッド230を径方向に移動させるスレッドモータ270およびドライバ271を備えた光学ヘッド移動機構と、スレッドサーボ回路260と、後述するトラッキングアクチュエータ241を駆動するドライバ242と、トラッキングエラー信号生成回路220と、トラッキングサーボ回路250とを有している。
【0005】
光学ヘッド230は、図示しないレーザダイオードおよび分割フォトダイオードを備えた光学ヘッド本体(光ピックアップベース)と、この光学ヘッド本体に光ディスクの径方向および回転軸方向のそれぞれに移動し得るようにサスペンジョンバネで支持されている図示しない対物レンズと、この対物レンズを回転軸方向(レンズの光軸方向)に移動させるトラッキングアクチュエータ241と、前記対物レンズを径方向に移動させる図示しないフォーカスアクチュエータとで構成されている。
【0006】
このような光ディスク装置210では、光学ヘッド230を光ディスクの所定のトラック(目的アドレス)上に移動し、このトラックにおいて、フォーカス制御やトラッキング制御等を行いつつ、情報(データ)の記録または再生(読み出し)を行う。
【0007】
例えば、再生時には、トラッキング制御によりトラッキングアクチュエータ241を駆動して対物レンズを目的とするトラックに追従させるが、トラッキングアクチュエータ241の駆動によるオントラックの限界をカバーすべく、スレッドモータ270を駆動して光学ヘッド本体を移動し、対物レンズが中立位置(中央)に戻るように制御している。
【0008】
すなわち、再生時には、トラッキングエラー信号生成回路220では、光学ヘッド230からの信号に基づいて、トラックの中心からの径方向における対物レンズのずれの大きさおよびその方向(トラックの中心からのずれ量)を示すトラッキングエラー信号(電圧)が生成される。このトラッキングエラー信号は、トラッキングサーボ回路250に入力される。
【0009】
トラッキングサーボ回路250では、トラッキングエラー信号に基づいて、対物レンズをトラックの中心に戻すためのトラッキングサーボ信号(電圧)が生成される。このトラッキングサーボ信号は、ドライバ242を介してトラッキングアクチュエータ241に入力されるとともに、スレッドサーボ回路260にも入力される。
【0010】
前記トラッキングサーボ信号により、ドライバ242を介してトラッキングアクチュエータ241が駆動され、対物レンズが目的とするトラックに追従する。
【0011】
また、スレッドサーボ回路260では、トラッキングサーボ信号に基づいて、スレッドサーボ信号(電圧)が生成される。このスレッドサーボ電圧は、対物レンズの中立位置からのずれ量に対応した電圧(トラッキングアクチュエータ241へ印加する駆動電圧に相当する電圧)であり、ドライバ271を介してスレッドモータ270に入力される。
【0012】
前記スレッドサーボ信号により、ドライバ271を介してスレッドモータ270が駆動され、これにより、光学ヘッド本体が移動し、対物レンズが中立位置に戻る。
【0013】
この場合、図6に示すように、スレッドサーボ信号(電圧)は、ドライバ271を介してスレッドモータ270に連続的に入力(印加)される。そして、前記スレッドサーボ電圧が、スレッドモータ270が作動する電圧(起動電圧)に達するまでは、スレッドモータ270は停止しており、起動電圧に達すると、スレッドモータ270が作動し、光学ヘッド本体が移動する。これにより、対物レンズが中立位置に接近し、スレッドサーボ電圧が減少していく。
【0014】
しかしながら、前記従来の光ディスク装置210では、機構の負荷の変動等により、スレッドモータ270の駆動量、すなわち、光学ヘッド本体の移動量にバラツキが生じ、対物レンズが中立位置に戻らない場合がある(光学ヘッド本体の追従性が悪い)。
【0015】
例えば、図6に示すように、機構の負荷が変動すると、スレッドモータ270の起動電圧が、V1 からV2 、V2 からV3 へと変動し、この起動電圧の変動や前記機構の負荷の変動により、対物レンズが中立位置から遠く離れた位置に位置してしまう(スレッドサーボ電圧が0に収束しない)。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、対物レンズの移動に対する光学ヘッド本体の追従性を向上することができる光ディスク装置を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)〜(4)の本発明により達成される。
【0018】
(1) 光ディスクを装着して回転させる回転駆動機構と、
対物レンズと、光学ヘッド本体と、前記対物レンズを前記光学ヘッド本体に対し前記光ディスクの径方向に移動させるアクチュエータとを備え、前記光ディスクの径方向に移動可能に設置された光学ヘッドと、
スレッドモータを備え、該スレッドモータの駆動により前記光学ヘッドを前記光ディスクの径方向に移動させる光学ヘッド移動機構とを有し、
前記光ディスクに対し記録および/または再生を行う光ディスク装置であって、
前記対物レンズの前記光学ヘッド本体上に設定された基準位置に対するずれ量を検出するずれ量検出手段を有し、
前記アクチュエータの前記基準位置からの移動限界値の60〜70%の値の正および負のしきい値がそれぞれ設定されており、
前記ずれ量検出手段により検出された前記ずれ量が、前記しきい値に達したとき、前記スレッドモータに対し、所定パターンのパルス電圧を印加して、前記スレッドモータを駆動し、
前記アクチュエータを駆動して前記対物レンズを前記光ディスクの所定のトラックに追従させる際、前記スレッドモータの駆動により、前記光学ヘッド本体を移動し、これにより前記対物レンズが前記基準位置に戻り、かつ、前記対物レンズを前記光ディスクの目的トラックへ移動させる際、前記スレッドモータの駆動により、前記光学ヘッド本体を移動し、これにより前記対物レンズが前記基準位置に戻るよう構成されており、
前記ずれ量検出手段は、前記アクチュエータの駆動電圧に対応する電圧を2値化する比較器を有し、この比較器のスレショルドレベルは、前記ずれ量が前記しきい値に達したとき、前記アクチュエータの駆動電圧に対応する電圧と該スレショルドレベルとが一致するように設定されており、
前記所定パターンのパルス電圧は、極性の異なる第1のパルス電圧と第2のパルス電圧とで構成され、前記第1のパルス電圧の絶対値は、前記スレッドモータが作動する電圧の絶対値の150〜170%であり、前記第2のパルス電圧の絶対値は、前記第1のパルス電圧の絶対値の50〜70%であり、前記パルス電圧が前記スレッドモータに印加されると、前記第1のパルス電圧により前記スレッドモータが作動し、前記第2のパルス電圧により前記スレッドモータが制動され、前記対物レンズが前記基準位置に位置するように前記スレッドモータが停止するよう構成されていることを特徴とする光ディスク装置。
【0019】
(2) 前記第1のパルス電圧の印加と、前記第2のパルス電圧の印加とが、連続的になされるよう構成されている上記(1)に記載の光ディスク装置。
【0020】
(3) 前記アクチュエータの駆動電圧に対応する電圧が前記スレショルドレベルに達したとき、前記ずれ量が前記しきい値に達したとするよう構成されている上記(1)または(2)に記載の光ディスク装置。
【0021】
(4) 前記スレッドモータは、直流モータである上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の光ディスク装置。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の光ディスク装置を添付図面に示す好適実施例に基づいて詳細に説明する。
【0029】
図1は、本発明の光ディスク装置の実施例(主要部)を示すブロック図、図2は、本発明の光ディスク装置の実施例(ケーシングを取り除いた状態)を示す平面図である。
【0030】
これらの図に示す光ディスク装置1は、光ディスク(CD−ROM)2を再生するCD−ROMドライブ装置である。
【0031】
光ディスク2には、螺旋状のトラックが形成されている。
光ディスク装置1は、光ディスク2を装着して回転させる回転駆動機構を有している。この回転駆動機構は、主に、ターンテーブル回転用のスピンドルモータ11と、スピンドルモータ11の回転軸12に固定され、光ディスク2が装着されるターンテーブル13と、スピンドルモータ11を駆動する図示しないドライバとで構成されている。
【0032】
また、光ディスク装置1は、前記装着された光ディスク2(ターンテーブル13)に対し、光ディスク2の径方向(ターンテーブル13の径方向)、すなわち、図2中の矢印A方向に移動し得る光学ヘッド(光ピックアップ)3と、この光学ヘッド3を前記径方向に移動させる光学ヘッド移動機構と、制御手段9と、トラッキングエラー信号生成回路21と、トラッキングサーボ回路22と、スレッドサーボ回路23と、比較器24と、これらを収納する図示しないケーシングとを有している。以下、前記光ディスク2の径方向を単に「径方向」と言う。
【0033】
光学ヘッド3は、レーザダイオード(光源)5および分割フォトダイオード(受光部)6を備えた光学ヘッド本体(光ピックアップベース)31と、対物レンズ(集光レンズ)32と、アクチュエータ4とを備えている。
【0034】
対物レンズ32は、光学ヘッド本体31に設けられた図示しないサスペンジョンバネ(付勢手段)で支持され、光学ヘッド本体31に対し、径方向および光ディスク2(ターンテーブル13)の回転軸方向(対物レンズ32の光軸方向)のそれぞれに移動し得るようになっている。対物レンズ32がその中立位置(中点)からずれると、その対物レンズ32は、前記サスペンジョンバネの弾性力(復元力)によって中立位置に向って付勢される。以下、前記光ディスク2の回転軸方向を単に「回転軸方向」と言う。
【0035】
アクチュエータ4は、光学ヘッド本体31に対し、対物レンズ32をその光軸方向(回転軸方向)に移動させる図示しないフォーカスアクチュエータと、対物レンズ32を光学ヘッド本体31上に設定された基準位置を中心に径方向(光ディスク2の内周側と外周側)に移動させるトラッキングアクチュエータ41とで構成されている。
【0036】
この光ディスク装置1では、前記基準位置と前記中立位置とが一致するように、トラッキングアクチュエータ41、サスペンジョンバネの位置等の諸条件が設定されている。
【0037】
対物レンズ32の径方向の移動を例にとると、トラッキングアクチュエータ41に電圧が印加されていないときには、対物レンズ32は、前記サスペンジョンバネの弾性力によって基準位置に位置している。
【0038】
そして、トラッキングアクチュエータ41にドライバ42を介して所定の電圧が印加されると、その電圧値(正/負および大きさ)に応じ、トラッキングアクチュエータ41が駆動して対物レンズ32が径方向に移動する。すなわち、前記電圧値(正/負および大きさ)に応じて、対物レンズ32が、基準位置から径方向(光ディスク2の内周側または外周側)に所定量ずれる。
【0039】
また、光学ヘッド本体31には、後述するガイドシャフト16に沿って摺動する3つの支持部(スライダ)311が形成されている。
【0040】
光学ヘッド移動機構は、主に、スレッドモータ(フィードモータ)7と、スレッドモータ7を駆動するドライバ71と、スレッドモータ7の回転軸8に固定されたリードスクリュー(ウォームギヤ)81と、減速ギヤ14と、ラックギヤ15と、光学ヘッド3を案内する一対のガイドシャフト16、16と、前述した3つの支持部(スライダ)311とで構成されている。
【0041】
前記減速ギヤ14は、前記リードスクリュー81と噛合するウォームホイール141と、このウォームホイール141に同心的に固定され、ウォームホイール141より小径のピニオンギヤ142とで構成されている。
【0042】
また、前記ラックギヤ15は、前記ピニオンギヤ142に噛合し、光学ヘッド本体31に固定されている。
【0043】
前述したように、前記光学ヘッド3は、前記一対のガイドシャフト16、16に対し、支持部311により移動可能に支持されている。
【0044】
後述する駆動制御によりスレッドモータ7が駆動し、その回転軸8およびリードスクリュー81が所定方向に回転すると、ウォームホイール141およびピニオンギヤ142が所定方向に回転し、ラックギヤ15とピニオンギヤ142とにより、前記ピニオンギヤ142の回転運動が光学ヘッド3の直線運動に変換され、光学ヘッド3は、ガイドシャフト16に沿って所定方向に移動する。
【0045】
また、スレッドモータ7の回転軸8およびリードスクリュー81が前記と逆方向に回転すると、光学ヘッド3は、ガイドシャフト16に沿って前記と逆方向に移動する。
前記スレッドモータ7としては、直流モータを用いるのが好ましい。
【0046】
制御手段9は、通常、マイクロコンピュータ(CPU)で構成され、光学ヘッド3(アクチュエータ4、レーザダイオード5等)、スレッドモータ7、スピンドルモータ11、トラッキングサーボ回路22、スレッドサーボ回路23等、光ディスク装置1全体の制御を行う。
【0047】
この制御手段9は、パルス発生回路(パルス電圧生成手段)91を内蔵している。
【0048】
この制御手段9と、前記比較器24とで、対物レンズ32の光学ヘッド本体31上に設定された基準位置に対するずれ量を検出するずれ量検出手段が構成される。
【0049】
なお、光ディスク装置1には、図示しないインターフェース制御部を介して外部装置(例えば、コンピュータ)が着脱自在に接続され、光ディスク装置1と外部装置との間で通信を行うことができる。
【0050】
次に、光ディスク装置1の作用について説明する。
光ディスク装置1は、光学ヘッド3を目的トラック(目的アドレス)に移動し、この目的トラックにおいて、フォーカス制御、トラッキング制御、スレッド制御および回転数制御(回転速度制御)等を行いつつ、光ディスク2からの情報(データ)の読み出し(再生)等を行う。
【0051】
再生の際は、レーザ光51が、光学ヘッド3のレーザダイオード5から光ディスク2の所定のトラックに照射される。このレーザ光は、光ディスク2の記録面で反射し、その反射光は、光学ヘッド3の分割フォトダイオード6で受光される。
【0052】
この分割フォトダイオード6からは、受光量に応じた電流が出力され、この電流は、図示しないI−Vアンプ(電流−電圧変換部)で、電圧に変換され、光学ヘッド3から出力される。
【0053】
そして、この光学ヘッド3から出力された電圧(検出信号)の加算や増幅等を行うことにより、HF(RF)信号が生成される。このHF信号は、光ディスク2に書き込まれているピットとランドに対応するアナログ信号である。
【0054】
このHF信号は、2値化され、EFM(Eight to Fourteen Modulation)復調され、所定形式のデータ(DATA信号)にデコード(変換)される。
【0055】
そして、このデータは、通信(送信)用の所定形式のデータにデコードされ、図示しないインターフェース制御部を介して、外部装置(例えば、コンピュータ)に送信される。
【0056】
以上のような再生動作におけるトラッキング制御およびスレッド制御は、次のようにして行われる。
【0057】
光学ヘッド3の分割フォトダイオード6からの電流−電圧変換後の信号(電圧)は、トラッキングエラー信号生成回路21に入力される。このトラッキングエラー信号生成回路21は、この分割フォトダイオード6からの電流−電圧変換後の信号に基づいて、トラッキングエラー信号(TE)(電圧)を生成する。
【0058】
トラッキングエラー信号は、トラックの中心からの光ディスク2の径方向における対物レンズ32のずれの大きさおよびその方向(トラックの中心からのずれ量)を示す信号である。
【0059】
トラッキングエラー信号(TE)は、トラッキングサーボ回路22に入力される。
【0060】
トラッキングサーボ回路22では、トラッキングエラー信号に対し、位相の反転や増幅等の所定の信号処理が行われ、これによりトラッキングサーボ信号(TS)(電圧)が生成される。
【0061】
このトラッキングサーボ信号は、対物レンズ32がトラックの中心に移動するように(トラッキングエラー信号のレベルが0レベルとなるように)トラッキングアクチュエータ41を駆動させるための信号(トラッキングアクチュエータの駆動電圧)である。
【0062】
また、このトラッキングサーボ信号のレベル、すなわち、電圧値は、基準位置からの径方向における対物レンズ32のずれの大きさおよびその方向(対物レンズ32の基準位置に対するずれ量)に対応している。
【0063】
トラッキングサーボ信号(TS)は、ドライバ42を介してトラッキングアクチュエータ41に入力されるとともに、スレッドサーボ回路23にも入力される。
【0064】
トラッキングアクチュエータ41は、トラッキングサーボ信号に基づいて駆動し、このトラッキングアクチュエータ41の駆動により、対物レンズ32は、トラックの中心に向って移動する。すなわちトラッキングサーボがかかる。
【0065】
このトラッキングアクチュエータ41の駆動のみでは、対物レンズ32をトラックに追従させることに限界があり、これをカバーすべく、スレッドモータ7を駆動して光学ヘッド本体31を前記対物レンズ32が移動した方向と同方向に移動し、対物レンズ32を基準位置に戻すように制御する(スレッド制御を行う)。
【0066】
スレッドサーボ回路23では、トラッキングサーボ回路22から入力されたトラッキングサーボ信号に対し、高周波成分の除去や増幅等の所定の信号処理が行われ、これによりスレッドサーボ信号(SS)(トラッキングアクチュエータの駆動電圧に対応する電圧)が生成される。
【0067】
このスレッドサーボ信号のレベル、すなわち、電圧値は、基準位置からの径方向における対物レンズ32のずれの大きさおよびその方向(対物レンズ32の基準位置に対するずれ量)に対応している。
【0068】
スレッドサーボ信号(SS)は、比較器(コンパレータ)24に入力され、比較器24で2値化される。この2値化信号(電圧)は、比較器24から出力され、制御手段9に入力される。
【0069】
図3は、スレッドサーボ信号(電圧)、比較器24からの信号(電圧)およびパルス発生回路91からの信号(電圧)のタイミングチャートである。
【0070】
図3(a)および(b)に示すように、比較器24からの信号のレベルは、スレッドサーボ信号のレベル(電圧値)がスレショルドレベル(基準電圧値)以上の場合には、ハイレベル(H)になり、スレッドサーボ信号のレベル(電圧値)がスレショルドレベル(基準電圧値)未満の場合には、ローレベル(L)になる。
【0071】
この比較器24のスレショルドレベル(基準電圧値)は、対物レンズ32の基準位置に対するずれ量がしきい値に達したとき、スレッドサーボ信号のレベル(電圧値)とスレショルドレベル(基準電圧値)とが一致するように、予め設定されている。
【0072】
また、前記しきい値は、前記トラッキングアクチュエータ41の基準位置からの移動限界値より小さい。
【0073】
この場合、比較器24のスレショルドレベル(基準電圧値)は、対物レンズ32の基準位置に対するずれ量が前記移動限界値のときのスレッドサーボ信号のレベル(電圧値)の90%以下が好ましく、60〜70%程度がより好ましい。
【0074】
スレショルドレベルが前記上限以下の場合には、スレッド制御をより確実に行うことができる。
【0075】
この光ディスク装置1では、比較器24からの信号のレベルがローレベル(L)からハイレベル(H)になったとき、対物レンズ32の基準位置に対するずれ量がしきい値に達したものとされる。
【0076】
すなわち、図3(c)に示すように、制御手段9は、比較器24からの信号のレベルがローレベル(L)からハイレベル(H)になったとき、パルス発生回路91により所定パターンのパルス信号(パルス電圧)を生成し、出力する。
【0077】
このパルス発生回路91で生成されるパルス電圧のパターンは、そのパルス電圧に基づいてスレッドモータ7が駆動された際、対物レンズ32が基準位置に戻るように、予め設定されている。
【0078】
パルス発生回路91からのパルス電圧は、ドライバ71を介してスレッドモータ7に印加される。
【0079】
スレッドモータ7は、パルス電圧に基づいて駆動し、このスレッドモータ7の駆動により、光学ヘッド本体31が対物レンズ32の移動方向と同方向に移動して、対物レンズ32が基準位置に戻る。すなわち、光学ヘッド本体31が対物レンズ4に追従する。
【0080】
図3(c)に示すように、前記パルス電圧は、極性の異なる第1のパルス電圧(正のパルス電圧)51と第2のパルス電圧(負のパルス電圧)52とで構成されている。
【0081】
第1のパルス電圧51の絶対値は、スレッドモータ7が光ディスク装置2に組み込まれた状態において、そのスレッドモータ7が作動する電圧(起動電圧)の絶対値より十分に大きい。
【0082】
この場合、第1のパルス電圧51の絶対値は、前記スレッドモータ7が作動する電圧の絶対値の120%以上が好ましく、150〜170%程度がより好ましい。
【0083】
また、第2のパルス電圧52の絶対値は、第1のパルス電圧51の絶対値未満である。
【0084】
この場合、第2のパルス電圧52の絶対値は、第1のパルス電圧51の絶対値の90%以下が好ましく、50〜70%程度がより好ましい。
【0085】
なお、本実施例では、第1のパルス電圧51のパルス幅(印加時間)と、第2のパルス電圧52のパルス幅(印加時間)とが同じであるが、本発明では、これらが異なっていてもよい。
【0086】
また、パルス電圧の第1のパルス電圧51と第2のパルス電圧52とは連続している。これにより、スレッドモータ7への第1のパルス電圧51の印加と、第2のパルス電圧52の印加とが、この順序で連続的になされる。
【0087】
前述したパルス電圧がドライバ71を介してスレッドモータ7に印加されると、第1のパルス電圧51によりスレッドモータ7が作動し、その回転が加速され、第2のパルス電圧52によりスレッドモータ7が制動され(ブレーキがかかり)、対物レンズ32が基準位置に位置するようにスレッドモータ7が停止する。
【0088】
この場合、第1のパルス電圧51の絶対値を前記スレッドモータ7が作動する電圧の絶対値より十分に大きくし、かつ、第2のパルス電圧52によりスレッドモータ7を強制的に停止させるので、機構の負荷の変動等が生じても、その影響を軽減または防止することができ、また、スレッドモータ7のハンチングやコギングの影響を有効に防止することができる。
【0089】
これにより、安定して、かつ確実にスレッド制御を行うことができ、これにより確実に再生を行うことができる。
【0090】
次に、スレッド制御の際の制御手段9の制御動作を説明する。
図4は、スレッド制御の際の制御手段9の制御動作を示すフローチャートである。以下、このフローチャートに基づいて説明する。
【0091】
同図に示すように、比較器24からの信号(電圧)のレベルがローレベル(L)からハイレベル(H)に変化したか否かを判断する(ステップ101)。
【0092】
ステップ101における判断が「NO」の場合、すなわち、比較器24からの信号のレベルがローレベル(L)を保持している場合と、比較器24からの信号のレベルがハイレベル(H)を保持している場合と、比較器24からの信号のレベルがハイレベル(H)からローレベル(L)に変化した場合は、それぞれ、パルス信号(パルス電圧)を出力せず(ステップ102)、ステップ101に戻り、再度、ステップ101以降を実行する。
【0093】
また、ステップ101における判断が「YES」の場合、すなわち、比較器24からの信号のレベルがローレベル(L)からハイレベル(H)に変化した場合には、前述したように、パルス発生回路91によりパルス信号(パルス電圧)を生成し、そのパルス信号を図示しないマイコンDA端子から出力する(ステップ103)。
【0094】
前記ステップ103の後、ステップ101に戻り、再度、ステップ101以降を実行する。
【0095】
以上説明したように、この光ディスク装置1によれば、機構の負荷の変動等が生じても、スレッドモータ7を安定して、かつ正確に回転駆動させることができ、スレッド制御において精度良く光学ヘッド本体31を移動させることができる。
【0096】
これにより、確実にトラッキング制御を行うことができ、よって、確実に再生を行うことができる。
【0097】
なお、光学ヘッド3(対物レンズ32)を光ディスク2上の目的位置、すなわち、目的トラック(目的アドレス)へ移動させたときは、スレッドサーボ信号のレベル(電圧値)が負の値になっている場合がある。
【0098】
このようなときでも対物レンズ32が基準位置に戻るように光学ヘッド本体31を移動させることができるようにするには、例えば、前述したスレショルドレベル(基準電圧値)を負側にも設け、前述した所定のタイミングで、光学ヘッド本体31の移動方向に応じたパターンのパルス信号(パルス電圧)を生成し、そのパルス電圧がスレッドモータ7に印加されるように構成する。
【0099】
本発明の光ディスク装置は、前述したCD−ROMドライブ装置に限らず、この他、例えば、CD−R、CD−RW、DVD−R、DVD−RAM等の記録・再生が可能な光ディスク(プリグルーブを有する光ディスク)を記録・再生する各種光ディスク装置、CD(コンパクトディスク)等の再生専用の光ディスクや、記録・再生が可能な光ディスクを再生する各種光ディスク装置に適用することができる。
【0100】
また、本発明の光ディスク装置は、複数種の光ディスクを記録および/または再生する各種光ディスク装置に適用することもできる。
【0101】
本発明では、光ディスクへの情報の記録に際しても、前記実施例と同様にして、スレッドモータの駆動を行うことができる。
【0102】
以上、本発明の光ディスク装置を、図示の実施例に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。
【0103】
例えば、本発明では、スレッドモータへのパルス電圧の印加をロジック回路で行うように構成してもよい。
【0104】
また、本発明では、パルス電圧のパターンは、前記実施例には限定されず、例えば、パルス電圧の第1のパルス電圧51と第2のパルス電圧52とが不連続であってもよい。
【0105】
また、本発明では、第1のパルス電圧51の絶対値と、第2のパルス電圧52の絶対値とが等しく、第1のパルス電圧51のパルス幅(印加時間)が、第2のパルス電圧52のパルス幅(印加時間)より大きくてもよい(長くてもよい)。
【0106】
また、本発明では、第1のパルス電圧51の絶対値が、第2のパルス電圧52の絶対値より大きく、第1のパルス電圧51のパルス幅(印加時間)が、第2のパルス電圧52のパルス幅(印加時間)より大きくてもよい(長くてもよい)。
【0107】
また、本発明では、第1のパルス電圧51のパルス数が複数、第2のパルス電圧52のパルス数が1つでもよく、また、第1のパルス電圧51のパルス数が1つ、第2のパルス電圧52のパルス数が複数でもよく、また、第1のパルス電圧51および第2のパルス電圧52のパルス数がそれぞれ複数でもよい。
【0108】
また、前記実施例では、スレッドサーボ信号(電圧)、すなわち、トラッキングアクチュエータ41の駆動電圧に対応する信号に基づいて対物レンズ32の基準位置に対するずれ量を検出するように構成されているが、本発明では、例えば、トラッキングサーボ信号(電圧)、すなわち、トラッキングアクチュエータ41の駆動電圧に基づいて対物レンズ32の基準位置に対するずれ量を検出するように構成してもよい。
【0109】
また、本発明では、前記トラッキングサーボ信号(電圧)、すなわち、トラッキングアクチュエータ41の駆動電圧が基準電圧値に達したとき、対物レンズ32の基準位置に対するずれ量がしきい値に達したとするように構成してもよい。
【0110】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の光ディスク装置によれば、スレッドモータの挙動(駆動)が安定し、特に、スレッドモータのハンチングやコギングの影響を有効に防止することができる。
【0111】
これにより、トラッキングの精度が大幅に向上し、記録や再生を確実に行うこことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光ディスク装置の実施例(主要部)を示すブロック図である。
【図2】本発明の光ディスク装置の実施例(ケーシングを取り除いた状態)を示す平面図である。
【図3】本発明におけるスレッドサーボ信号(電圧)、比較器からの信号(電圧)およびパルス発生回路からの信号(電圧)のタイミングチャートである。
【図4】本発明におけるスレッド制御の際の制御手段の制御動作を示すフローチャートである。
【図5】従来の光ディスク装置を示すブロック図である。
【図6】従来の光ディスク装置のスレッドサーボ信号(電圧)のタイミングチャートである。
【符号の説明】
1 光ディスク装置
2 光ディスク
3 光学ヘッド
31 光学ヘッド本体
32 対物レンズ
311 支持部
4 アクチュエータ
41 トラッキングアクチュエータ
42 ドライバ
5 レーザダイオード
51 レーザ光
6 分割フォトダイオード
7 スレッドモータ
71 ドライバ
8 回転軸
81 リードスクリュー
9 制御手段
91 パルス発生回路
11 スピンドルモータ
12 回転軸
13 ターンテーブル
14 減速ギヤ
141 ウォームホイール
142 ピニオンギヤ
15 ラックギヤ
16 ガイドシャフト
21 トラッキングエラー信号生成回路
22 トラッキングサーボ回路
23 スレッドサーボ回路
24 比較器24
51 第1のパルス電圧
52 第2のパルス電圧
101〜103 ステップ
210 光ディスク装置
220 トラッキングエラー信号生成回路
230 光学ヘッド
241 トラッキングアクチュエータ
242 ドライバ
250 トラッキングサーボ回路
260 スレッドサーボ回路
270 スレッドモータ
271 ドライバ

Claims (4)

  1. 光ディスクを装着して回転させる回転駆動機構と、
    対物レンズと、光学ヘッド本体と、前記対物レンズを前記光学ヘッド本体に対し前記光ディスクの径方向に移動させるアクチュエータとを備え、前記光ディスクの径方向に移動可能に設置された光学ヘッドと、
    スレッドモータを備え、該スレッドモータの駆動により前記光学ヘッドを前記光ディスクの径方向に移動させる光学ヘッド移動機構とを有し、
    前記光ディスクに対し記録および/または再生を行う光ディスク装置であって、
    前記対物レンズの前記光学ヘッド本体上に設定された基準位置に対するずれ量を検出するずれ量検出手段を有し、
    前記アクチュエータの前記基準位置からの移動限界値の60〜70%の値の正および負のしきい値がそれぞれ設定されており、
    前記ずれ量検出手段により検出された前記ずれ量が、前記しきい値に達したとき、前記スレッドモータに対し、所定パターンのパルス電圧を印加して、前記スレッドモータを駆動し、
    前記アクチュエータを駆動して前記対物レンズを前記光ディスクの所定のトラックに追従させる際、前記スレッドモータの駆動により、前記光学ヘッド本体を移動し、これにより前記対物レンズが前記基準位置に戻り、かつ、前記対物レンズを前記光ディスクの目的トラックへ移動させる際、前記スレッドモータの駆動により、前記光学ヘッド本体を移動し、これにより前記対物レンズが前記基準位置に戻るよう構成されており、
    前記ずれ量検出手段は、前記アクチュエータの駆動電圧に対応する電圧を2値化する比較器を有し、この比較器のスレショルドレベルは、前記ずれ量が前記しきい値に達したとき、前記アクチュエータの駆動電圧に対応する電圧と該スレショルドレベルとが一致するように設定されており、
    前記所定パターンのパルス電圧は、極性の異なる第1のパルス電圧と第2のパルス電圧とで構成され、前記第1のパルス電圧の絶対値は、前記スレッドモータが作動する電圧の絶対値の150〜170%であり、前記第2のパルス電圧の絶対値は、前記第1のパルス電圧の絶対値の50〜70%であり、前記パルス電圧が前記スレッドモータに印加されると、前記第1のパルス電圧により前記スレッドモータが作動し、前記第2のパルス電圧により前記スレッドモータが制動され、前記対物レンズが前記基準位置に位置するように前記スレッドモータが停止するよう構成されていることを特徴とする光ディスク装置。
  2. 前記第1のパルス電圧の印加と、前記第2のパルス電圧の印加とが、連続的になされるよう構成されている請求項1に記載の光ディスク装置。
  3. 前記アクチュエータの駆動電圧に対応する電圧が前記スレショルドレベルに達したとき、前記ずれ量が前記しきい値に達したとするよう構成されている請求項1または2に記載の光ディスク装置。
  4. 前記スレッドモータは、直流モータである請求項1ないし3のいずれかに記載の光ディスク装置。
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