JP4140418B2 - 光ディスク装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ディスク装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
CD−RW、DVD−RAM等の上書き(書き換え)が可能な光ディスクに対し記録・再生(上書き及び再生)する光ディスク装置が知られている。このデータあるいはオーディオデータの光ディスクへの上書きのことをダイレクトオーバーライト(DOW:Direct Over Write)という。
【0003】
CD−RWなどの規格では、1000回まで繰り返して上書き(書き換え)可能でなければならないと規定されている。記録時のレーザパワーを高めに設定すると、繰り返し上書きをした際の特性(繰り返し特性)が悪くなるが、特に2回目の書き込み特性(ジッタやビットエラーレートなど)が良くなる。逆に、記録時のレーザパワーを低めに設定すると、繰り返し特性が良くなるが、特に2回目の書き込み特性が悪化する。
【0004】
そのため、通常、上記どちらの条件も満足できるように、記録可能な光ディスクに記録するときのレーザ光の書き込み出力(レーザパワー)をOPC(Optimum Power Control )により決定している(OPCについては、例えば、特許文献1など)。そして、光ディスクへの上書きの際にもそのレーザパワーで記録している。
【0005】
しかしながら、OPCで決められた最適なレーザパワーで光ディスクにデータなどを上書きする場合でも、ブランクディスク(ブランクメディア)に記録したときと同じレーザパワーで上書きをしてしまうので、上述のように、2回目の書き込み特性が特に悪化してしまうという問題があった。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−150558号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上書き可能な光ディスクに初めて上書きをする際の上書き特性を向上させることができる光ディスク装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)〜()の本発明により達成される。
【0009】
(1) 光ディスクを装着して回転させる回転駆動機構と、光ディスクにレーザ光を照射して情報を上書きし得る光学ヘッドとを有し、前記光学ヘッドを介して前記光ディスクに対し記録又は記録・再生する光ディスク装置であって、
前記光ディスク装置は、記録可能な光ディスクに記録するときの前記光学ヘッドからのレーザ光の書き込み用レーザパワーを当該光ディスクの所定のエリアにおける試し書きを通じて複数段階のレベルの中から最適の書き込み用レーザパワーに決定するOPCを実行するレーザ出力調整手段と、装填された上書き可能な光ディスクが記録履歴のないブランクディスクであるか否かを識別するブランクディスク識別手段とを有しており、
前記ブランクディスク識別手段により装填された光ディスクが記録履歴のある光ディスクと識別された場合は、前記光学ヘッドは、最初の上書きの際は、前記レーザ出力調整手段によるOPCで決定されたレーザパワーで当該光ディスクに対し記録を行い、
前記ブランクディスク識別手段により装填された光ディスクが記録履歴のないブランクディスクであると識別された場合は、前記レーザ出力調整手段は、該レーザ出力調整手段によるOPCで決定されたレーザパワーよりも5%〜30%低いレーザパワーに設定し、前記光学ヘッドはその低く設定されたレーザパワーで当該光ディスクに対し記録することを特徴とする光ディスク装置。
【0011】
(2) 前記ブランクディスク識別手段により装填された光ディスクが記録履歴のないブランクディスクであると識別された場合は、前記レーザ出力調整手段は、該レーザ出力調整手段によるOPCで決定されたレーザパワーよりも10%〜20%低いレーザパワーに設定することを特徴とする上記(1)に記載の光ディスク装置。
【0012】
(3) 前記ブランクディスク識別手段は、前記光学ヘッドを介して前記光ディスクから所定の信号の検出を試み、該所定の信号が検出されない場合、前記光ディスクを前記ブランクディスクと識別するよう構成されている上記(1)に記載の光ディスク装置。
【0013】
(4) 前記光学ヘッドが前記光ディスクのトラックを横切るように該光学ヘッドを移動させつつ、前記所定の信号の検出を行うよう構成されている上記(3)に記載の光ディスク装置。
【0014】
(5) 前記光学ヘッドを、少なくとも前記光ディスクの記録が可能な領域の一端から他端まで移動させつつ、前記所定の信号の検出を行うよう構成されている上記(3)又は(4)に記載の光ディスク装置。
【0015】
(6) 前記所定の信号は、HF信号である上記(3)乃至(5)のいずれかに記載の光ディスク装置。
【0016】
(7) 前記光ディスクは、CD−RWである上記(1)乃至(6)のいずれかに記載の光ディスク装置。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の光ディスク装置を添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態は例示として挙げるものであり、これにより本発明の内容を限定的に解釈すべきではない。
【0018】
図1は、本発明の光ディスク装置の実施形態を示すブロック図である。
同図に示す光ディスク装置1は、上書き(書き換え)が可能な光ディスク(CD−RW等)2に対し記録・再生(記録及び再生)するドライブ装置、すなわち、光ディスク2に対し書き込み、上書き(書き換え)及び再生することができるドライブ装置である。
【0019】
光ディスク2には、図示しない螺旋状のプリグルーブ(WOBBLE:ウォブル)が形成されている。
【0020】
このプリグルーブは、所定の周期(1倍速で22.05kHz )で蛇行しているとともに、該プリグルーブには、ATIP(Absolute Time In Pre-Groove )情報(時間情報)が記録されている。この場合、ATIP情報は、バイフェーズ変調され、さらに、22.05kHz のキャリア周波数でFM変調されて記録されている。
【0021】
このプリグルーブは、光ディスク2へのピット/ランド形成(ピット/ランド記録)時の案内溝として機能する。また、このプリグルーブは、再生され、光ディスク2の回転速度制御や、光ディスク2上の記録位置(絶対時間)の特定等に利用される。
【0022】
光ディスク装置1は、光ディスク2を装着して複数段階の回転速度(回転数)で回転させる回転駆動機構を有している。この回転駆動機構は、主に、ターンテーブル回転用のスピンドルモータ11と、スピンドルモータ11を駆動するドライバ23と、スピンドルモータ11の回転軸に固定され、光ディスク2が装着される図示しないターンテーブルとで構成されている。
【0023】
また、光ディスク装置1は、装着された光ディスク2(ターンテーブル)に対し、光ディスク2の径方向(ターンテーブルの径方向)に移動し得る光学ヘッド(光ピックアップ)3と、この光学ヘッド3を径方向に移動させる光学ヘッド移動機構と、制御手段9と、RFアンプIC40と、サーボプロセッサ(DSP)51と、デコーダ52と、メモリー(例えば、RAM等)53と、レーザ制御部54と、エンコーダ55とを有している。以下、光ディスク2の径方向を単に「径方向」と言う。
【0024】
光学ヘッド移動機構は、主に、スレッドモータ7と、スレッドモータ7を駆動するドライバ22と、スレッドモータ7の回転を減速して伝達し、その回転運動を光学ヘッド3の直線運動に変換する図示しない動力伝達機構とで構成されている。
【0025】
光学ヘッド3は、レーザ光を発するレーザダイオード(光源)5及び分割フォトダイオード(受光部)6を備えた図示しない光学ヘッド本体(光ピックアップベース)と、図示しない対物レンズ(集光レンズ)とを有している。このレーザダイオード5の駆動は、レーザ制御部54により制御される。
【0026】
対物レンズは、光学ヘッド本体に設けられた図示しないサスペンションバネ(付勢手段)で支持され、光学ヘッド本体に対し、径方向及び対物レンズの光軸方向(光ディスク2(ターンテーブル)の回転軸方向)のそれぞれに変位(移動)し得るようになっている。以下、対物レンズの光軸方向を単に「光軸方向」といい、光ディスク2の回転軸方向を単に「回転軸方向」という。
【0027】
この対物レンズは、光学ヘッド本体に予め設定されている対物レンズの基準位置(中点)、すなわち中立位置に配置されている。以下、対物レンズの基準位置を単に「基準位置」という。対物レンズが基準位置からずれると、その対物レンズは、サスペンションバネの復元力により基準位置に向かって付勢される。
【0028】
また、光学ヘッド3は、光学ヘッド本体に対し、対物レンズを変位(移動)させるアクチュエータ4を有している。このアクチュエータ4は、光学ヘッド本体に対し、対物レンズを径方向に変位させるトラッキングアクチュエータ41と、対物レンズを光軸方向(回転軸方向)に変位させるフォーカスアクチュエータ42とで構成されている。
【0029】
このアクチュエータ4、すなわち、トラッキングアクチュエータ41及びフォーカスアクチュエータ42は、それぞれ、ドライバ21により駆動される。
【0030】
制御手段9は、通常、マイクロコンピュータ(CPU)で構成され、光学ヘッド3(アクチュエータ4、レーザダイオード5等)、スレッドモータ7、スピンドルモータ11、RFアンプIC40、サーボプロセッサ51、デコーダ52、メモリー53、レーザ制御部54、エンコーダ55等、光ディスク装置1全体の制御を行う。なお、制御手段9は、メモリー(ROM、RAM等)91を内蔵している。
【0031】
この制御手段9により、光ディスク2が記録履歴のないブランクディスクであるか否かを識別(判別)するブランクディスク識別手段の主機能が達成される。なお、ブランクディスク識別手段については、後に詳述する。
【0032】
また、本発明では、制御手段9は、ブランクディスク識別手段により装着された光ディスクがブランクディスクであると識別された場合には、その光ディスクに記録する際に通常照射するレーザパワーよりも所定のレベルだけ低いレーザパワーで記録するように、レーザ制御部54を制御する。
【0033】
この光ディスク装置1には、図示しないインターフェース制御部を介して外部装置(例えば、パーソナルコンピュータ(PC:Personal Computer))が着脱自在に接続され、光ディスク装置1と外部装置との間でデータの通信を行うことができる。
【0034】
次に、本発明の光ディスク装置1の作用(動作)について説明する。
光ディスク装置1は、スレッドモータ7及びスピンドルモータ11により光学ヘッド3を目的トラック(目的アドレス)に移動し、この目的トラックにおいて、フォーカスアクチュエータ42によるフォーカス制御、トラッキングアクチュエータ41によるトラッキング制御、スレッドモータ7によるスレッド制御及びスピンドルモータ11による回転数制御(回転速度制御)等を行いつつ、光ディスク2への情報(データ)の書き込み(記録)と、光ディスク2からの情報(データ)の読み出し(再生)等を行う。
【0035】
光ディスク2にデータ(信号)を記録する際は、光ディスク2に形成されているプリグルーブが再生され(読み出され)、この後、このプリグルーブに沿って、データが記録される。
【0036】
図示しないインターフェース制御部を介して、光ディスク2に記録するデータ(信号)が光ディスク装置1に入力されると、そのデータ(信号)は、エンコーダ55に入力される。
【0037】
このエンコーダ55では、そのデータがエンコードされ、EFM(Eight to Fourteen Modulation)と呼ばれる変調方式で変調(EFM変調)されて、ENCODE EFM信号とされる。
【0038】
このENCODE EFM信号は、3T〜11Tの長さ(周期)のパルスで構成される信号であり、エンコーダ55からレーザ制御部54に入力される。
【0039】
また、アナログ信号であるWRITEパルス信号(電圧)が、制御手段9に内蔵される図示しないD/A変換器から出力され、レーザ制御部54に入力される。
【0040】
レーザ制御部54は、ENCODE EFM信号に基づいて、制御手段9からのWRITEパルス信号のレベルをハイレベル(H)と、イレーズレベルと、ローレベル(L)とに切り換えて出力し、これにより光学ヘッド3のレーザダイオード5の駆動を制御する。
【0041】
図2は、エンコーダ55からのENCODE EFM信号と、レーザ制御部54からのWRITEパルス信号とを示すタイミングチャートである。
【0042】
図2に示すように、レーザ制御部54は、ENCODE EFM信号のレベルがハイレベル(H)の期間、WRITEパルス信号のレベルをハイレベル(H)とローレベル(L)とに交互に切り換えて出力し、レーザ光の出力を上げる(書き込み出力にする)。そして、ENCODE EFM信号のレベルがローレベル(L)の期間、WRITEパルス信号のレベルをイレーズレベル(DCレベル)にして出力し、レーザ光の出力を下げる。
【0043】
これにより、光ディスク2には、ENCODE EFM信号のレベルがハイレベル(H)のとき、所定長のピットが書き込まれ、ENCODE EFM信号のレベルがローレベル(L)のとき、所定長のランドが書き込まれる。
【0044】
このようにして、光ディスク2の所定のトラックに、データが書き込まれる(記録される)。
【0045】
この光ディスク2へのデータの記録は、プリグルーブに沿って、内周側から外周側に向かって順次なされる。
【0046】
エンコーダ55では、前述したENCODE EFM信号の他に、所定のENCODE EFM信号(ランダムEFM信号)が生成される。このランダムEFM信号は、レーザ光の書き込み出力を決定するOPC(Optimum Power Control )において、テストエリアへの試し書きの際におけるレーザの出力調整(パワーコントロール)に用いられる。
【0047】
光ディスク2からデータ(信号)を再生する(読み出す)際は、レーザ制御部54からのWRITEパルス信号のレベルは、読み出し出力に対応する一定のレベル(DCレベル)に保持され、これにより、レーザ光の出力が、読み出し出力に保持される。
【0048】
再生の際は、レーザ光が、光学ヘッド3のレーザダイオード5から光ディスク2の所定のトラックに照射される。このレーザ光は、光ディスク2で反射し、その反射光は、光学ヘッド3の分割フォトダイオード6で受光される。
【0049】
この受光量に応じた電流が分割フォトダイオード6から出力され、この電流は、図示しないI−Vアンプ(電流−電圧変換部)で、電圧に変換され、光学ヘッド3から出力される。
【0050】
光学ヘッド3から出力された電圧(検出信号)は、RFアンプIC40に入力され、このRFアンプIC40で、加算や増幅等を行うことにより、HF(RF)信号が生成される。このHF信号は、光ディスク2に書き込まれているピットとランドに対応するアナログ信号である。
【0051】
HF信号は、サーボプロセッサ51に入力され、このサーボプロセッサ51で、2値化され、EFM(Eight to Fourteen Modulation)復調される。これにより、EFM信号が得られる。このEFM信号は、3T〜11Tの長さ(周期)のパルスで構成される信号である。
【0052】
EFM信号は、サーボプロセッサ51で、所定形式のデータ(DATA信号)にデコード(変換)されて、デコーダ52に入力される。
【0053】
そして、このデータは、デコーダ52で、通信(送信)用の所定形式のデータにデコードされ、図示しないインターフェース制御部を介して、外部装置(例えば、パーソナルコンピュータなど)に送信される。
【0054】
以上のような記録、再生動作におけるトラッキング制御、スレッド制御、フォーカス制御及び回転数制御は、次のようにして行われる。
【0055】
前述したように、光学ヘッド3の分割フォトダイオード6からの電流−電圧変換後の信号(電圧)は、RFアンプIC40に入力される。
【0056】
RFアンプIC40は、この分割フォトダイオード6からの電流−電圧変換後の信号に基づいて、トラッキングエラー信号(TE)(電圧)を生成する。
【0057】
トラッキングエラー信号は、トラックの中心からの径方向における対物レンズのずれの大きさ及びその方向(トラックの中心からの対物レンズの径方向のずれ量)を示す信号である。
【0058】
トラッキングエラー信号は、サーボプロセッサ51に入力される。サーボプロセッサ51では、このトラッキングエラー信号に対し、位相の反転や増幅等の所定の信号処理が行われ、これによりトラッキングサーボ信号(電圧)が生成される。このトラッキングサーボ信号に基づいて、ドライバ21を介し、トラッキングアクチュエータ41に所定の駆動電圧が印加され、このトラッキングアクチュエータ41の駆動により、対物レンズは、トラックの中心に向かって移動する。すなわち、トラッキングサーボがかかる。
【0059】
このトラッキングアクチュエータ41の駆動のみでは、対物レンズをトラックに追従させることに限界があり、これをカバーすべく、ドライバ22を介し、スレッドモータ7を駆動して光学ヘッド本体を対物レンズが移動した方向と同方向に移動し、対物レンズを基準位置に戻すように制御する(スレッド制御を行う)。
【0060】
また、RFアンプIC40は、分割フォトダイオード6からの電流−電圧変換後の信号に基づいて、フォーカスエラー信号(FE)(電圧信号)を生成する。
【0061】
フォーカスエラー信号は、合焦位置からの光軸方向(回転軸方向)における対物レンズのずれの大きさ及びその方向(合焦位置からの対物レンズの光軸方向(回転軸方向)のずれ量)を示す信号である。
【0062】
フォーカスエラー信号は、サーボプロセッサ51に入力される。サーボプロセッサ51では、このフォーカスエラー信号に対し、位相の反転や増幅等の所定の信号処理が行われ、これによりフォーカスサーボ信号(電圧)が生成される。このフォーカスサーボ信号に基づいて、ドライバ21を介し、フォーカスアクチュエータ42に所定の駆動電圧が印加され、このフォーカスアクチュエータ42の駆動により、対物レンズは、合焦位置に向かって移動する。すなわち、フォーカスサーボがかかる。
【0063】
また、サーボプロセッサ51では、スピンドルモータ11の回転数(回転速度)を制御するための制御信号(電圧)、すなわち、スピンドルモータ11の回転数を目標値にするための制御信号が生成され、ドライバ23に入力される。
【0064】
ドライバ23では、制御信号に基づいてスピンドルモータ11を駆動する駆動信号(電圧)が生成される。
【0065】
ドライバ23から出力された駆動信号は、スピンドルモータ11に入力され、その駆動信号に基づいてスピンドルモータ11が駆動し、スピンドルモータ11の回転数が目標値となるようにスピンドルサーボがかかる。
【0066】
また、光学ヘッド3(対物レンズ)を光ディスク2上の目的位置、すなわち、目的トラック(目的アドレス)へ移動させる際、トラックジャンプ制御が行われる。このトラックジャンプ制御では、スレッドモータ7の駆動と、アクチュエータ4の駆動とをそれぞれ制御し、粗シーク(ラフサーチ)、精密シーク(ファインサーチ)、又はこれらの組み合わせにより、光学ヘッド3(対物レンズ)を目的トラック(目的アドレス)へ移動させる。
【0067】
この光ディスク装置1は、記録速度(書き込み速度)、すなわち、記録の際の光ディスク2の回転速度(回転数)をm段階(mは、2以上の整数)の回転速度に設定し得るように構成されている。
【0068】
例えば、記録速度、すなわち、記録の際の光ディスク2の回転速度を、1倍速(最小速度)、2倍速、4倍速、6倍速、8倍速、10倍速、12倍速、16倍速、24倍速、32倍速等のいずれかに設定し得るようになっている。
【0069】
N倍速(Nは、上述のように2以上の整数)とは、1倍速(最小速度)を基準回転速度(基準回転数)とし、この基準回転速度のN倍の回転速度をいう。したがって、記録速度がN倍速に設定されると、光ディスク2の回転速度を基準回転速度のN倍の回転速度にして記録を行う。
【0070】
また、光ディスク装置1では、光ディスク2に対し上書きを行う場合の最高記録速度(以下、単に「上書きの最高記録速度」という)が設定されている。
【0071】
次に、本発明の光ディスク装置1の上書き(ダイレクトオーバーライト:DOW)動作を説明する。なお、ここでは、ブランクディスクに記録することをDOW0といい、初めて上書きするときをDOW1という。以降、上書きの回数がXの場合、DOWXという。
【0072】
本発明の光ディスク装置1は、このDOW1における書き込み特性(特に、ピットジッタ、ランドジッタ、ブロックエラーレート(BLER)など)を向上させるものである。以下、光ディスク2に上書きする際の動作を説明する。なお、ブロックエラーレートとは、すべての記録処理ブロック数に対する少なくとも1つのエラーを含むブロック数である。
【0073】
まず、OPCについて説明する。CD−RやCD−RWなどの書き込み可能な光ディスク2には、プログラムエリアの内周側に、ATIP特殊情報を有するリードインエリア、PMA(Program Memory Area)、PCA(Power Calibration Area)が、外周側から内周側に向かって、この順序で順次設定されている。PMAは、トラックの開始、終了時間等が書き込まれるエリアである。
【0074】
また、PCAは、さらに試し書きを行うテストエリア(Test Area)と、そのカウント数を記録するカウントエリア(Count Area)とに別れている。
【0075】
OPCでは、テストエリアへ試し書きが行われる。テストエリアへの試し書きの際には、前記ランダムEFM信号が、エンコーダ55からレーザ制御部54に入力される。また、制御手段9では、15段階のレベルのWRITE POWER信号が生成され、そのWRITE POWER信号が、制御手段9に内蔵される図示しないD/A変換器から出力され、レーザ制御部54に入力される。
【0076】
そして、レーザ制御部54は、前記ランダムEFM信号に基づいて、制御手段9からのWRITE POWER信号のレベルをハイレベル(H)と、ローレベル(L)とに切り換えて出力し、これにより光学ヘッド3のレーザダイオード5の駆動を制御する。これを15段階のレベルのWRITE POWER信号のそれぞれで行う。
【0077】
このようにして、15段階の出力のレーザ光でテストエリアへの試し書きが行われる。この試し書きは、複数回(例えば、100回)行うことができる。試し書きを1回行う毎に、カウントエリアにそのことを示すフラグを立てる。
【0078】
ここで、光ディスクから読み出されたHF(RF)信号のピーク値であって、HF信号の基準レベルからのその大きさと、ボトム値であって、前記基準レベルからのその大きさとの差に対応した値をβ(β値)とする。
【0079】
光ディスク2から読み出されたHF信号の基準レベルを0V(この場合、HF信号は、0Vを中心に上下に振れる)、ピーク値(波形の山部における電圧レベル)をA1、ボトム値(波形の谷部における電圧レベル)をA2としたとき、β(β値)は下記の式(1)で表わされる。
β=(A1+A2)/(A1−A2)・・・(1)
【0080】
OPCでは、前記試し書きされたデータがテストエリアから読み出され、そのHF信号から15段階のWRITE POWER信号に対応した15種のβ(β値)を求め、その15種のβ値のうち、予め設定された所定値に最も近いもののレーザ出力を適正なレーザ出力として定める(決定する)。
【0081】
通常、光ディスク装置1に光ディスク2を挿入(装着)すると、OPCが実行され、このように決定されたレーザ出力(レーザパワー)で書き込み(記録)が行われる。
【0082】
本発明の光ディスク装置1は、光ディスク2が記録履歴のないブランクディスク(以下、単に「ブランクディスク」という)である場合、すなわち、光ディスク2に対する1回目の記録においては、このOPCで決定されたレーザパワーよりも所定のレベルだけ低いレーザパワーで記録を行うよう構成されている。
【0083】
ここで、「所定のレベル」とは、OPCによって決定されたレーザパワーの5%〜30%のレベルをいい、好ましくは、10%〜20%のレベルをいう。
【0084】
なお、記録履歴の「記録」には、通常のデータの記録のみならず、例えば、光ディスク2をフォーマットした場合等も含まれる。
【0085】
上述のように、光ディスク2がブランクディスクであるか否かの識別(判別)は、ブランクディスク識別手段(制御手段9)によりなされる。
【0086】
光ディスク2がブランクディスクであるか否かを識別する際は、フォーカス制御、トラッキング制御及び回転数制御をそれぞれ行い、光学ヘッド3が光ディスク2のトラックやプリグルーブを横切るように、光学ヘッド3を径方向へ移動させつつ、光学ヘッド3を介して所定の信号(本実施形態では、HF信号)の検出を試みる。
【0087】
このHF信号の検出においては、光学ヘッド3を、少なくとも光ディスク2の記録が可能な領域の一端から他端まで移動させる。
【0088】
この場合、光学ヘッド3を光ディスク2の内周側から外周側へ移動させてもよく、逆に、外周側から内周側へ移動させてもよいが、内周側から外周側へ移動させるのが好ましい。
【0089】
そして、ブランクディスク識別手段(制御手段9)は、HF信号の検出において、HF信号が検出されない場合には、この光ディスク2をブランクディスクと識別し、HF信号が検出された場合には、この光ディスク2を記録履歴のあるディスク(ブランクディスクではない)と識別する。
【0090】
光ディスク2がブランクディスクと識別されると、上述のように、記録時におけるレーザパワーがOPCで決定されたレーザパワーよりも所定のレベルだけ低い値に設定され、光ディスク装置1は、そのレーザパワーで、光ディスク2に対し所定のデータを記録する。
【0091】
一方、光ディスク2が記録履歴のある光ディスクと識別されると、光ディスク装置1は、OPCで決定されたレーザパワーで、光ディスク2に対し所定のデータを記録する。
【0092】
この記録には、例えば、パケットライト等の各種フォーマットで光ディスク2をフォーマットする場合や、通常のデータを記録する場合等が含まれる。
【0093】
次に、本発明の光ディスク装置1により光ディスク2にデータを上書きした際の書き込み特性について説明する。ここでは、ピットジッタ、ランドジッタ及びブロックエラーレートについて示す。
【0094】
図3は、光ディスクに上書きをした際の上書きサイクルとピットジッタとの関係を示すグラフであり、図4は、光ディスクに上書きをした際の上書きサイクルとランドジッタとの関係を示すグラフであり、図5は、光ディスクに上書きをした際の上書きサイクルとブロックエラーレートとの関係を示すグラフである。
【0095】
なお、ジッタ特性は、ジッタの値が小さいほど良い特性であることを示し、ブロックエラーレート(BLER)特性は、その値が小さいほど良い特性であることを示す。
【0096】
図3〜図5から分かるように、いずれの特性も2回目の書き込み、すなわち、初めての上書き(DOW1)では、本発明の光ディスク装置1による書き込み特性は、すべての書き込みにおいてOPCによって決定されたレーザパワーを用いている従来の光ディスク装置1の場合よりも良い値を示している。このように、ブランクディスクに書き込む(記録する)ときに、OPCによって決定されたレーザパワーよりも所定のレベルだけ小さいレーザパワーで記録することにより、特に、初めての上書き(DOW1)のときの書き込み特性を向上(改善)することができる。
【0097】
なお、本実施形態における実験データは、書き込みを16倍速で行い、読み込みを2倍速で行ったときのものである。また、書き込み時のレーザパワーは、DOW0のとき20mWであり、DOW1以降では22mWである(従来の場合、DOW0のときも22mW)。
【0098】
以上説明したように、本発明の光ディスク装置1によれば、記録履歴のない光ディスク(ブランクディスク)2にデータを記録する際(DOW0のとき)にOPCによって決定されたレーザパワーよりも所定のレベルだけ小さい(低い)レーザパワーで記録するので、光ディスク2に初めて上書きをする際(DOW1のとき)の上書き特性(例えば、ジッタ、ブロックエラーレートなど)を向上させることができる。
【0099】
また、本発明の光ディスク装置1はブランクディスク識別手段を有しているので、使用者(ユーザ)は、光ディスク2がブランクディスクであることを入力する必要がなく、操作が容易になる。
【0100】
ここで、上述の実施形態では、ブランクディスク識別手段が光ディスク装置1に設けられているが、本発明では、光ディスク装置1からブランクディスク識別手段を省略してもよい。
【0101】
ブランクディスク識別手段を設けない場合には、例えば、光ディスク2がブランクディスクであることを、使用者が外部装置(例えば、コンピュータ)から入力するような構成にすればよい。
【0102】
以上、本発明の光ディスク装置を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明の光ディスク装置に任意の構成物が付加されていてもよい。
【0103】
本発明の光ディスク装置は、例えば、CD−RW、DVD−RW、DVD+RW、DVD−RAM等の上書き(書き換え)が可能な光ディスクに対し記録・再生(上書き及び再生)する各種光ディスク装置や、記録専用の各種光ディスク装置に適用することができる。
【0104】
また、本発明の光ディスク装置は、複数種の光ディスクに対し記録・再生又は記録する各種光ディスク装置に適用することもできる。
【0105】
【発明の効果】
以上説明したように、上記構成を有する本願発明の光ディスク装置によれば、ブランクディスク識別手段により装填された光ディスクが記録履歴のないブランクディスクであると識別された場合には、レーザ出力調整手段によるOPCで決定された最適レーザパワーよりも敢えて5%〜30%低いレーザパワーに設定して記録する一方、最初の上書きの際は、前記レーザ出力調整手段によるOPCで決定された最適なレーザパワーで当該光ディスクに対し記録を行うことで、最初の(初めての)上書き(2回目の書き込み)を行った場合の記録特性(例えば、ジッタ、ブロックエラーレートなど)を向上させられることができる。特に、ブランクディスクに対してOPCで決定された最適レーザパワーよりも5%〜30%低いレーザパワーに設定して最初の記録を行うことは、記録特性の向上に特に有効である。
【0106】
また、ブランクディスク識別手段を有しているので、使用者(ユーザ)は、光ディスクが記録履歴のないブランクディスクであることを入力する必要がなく、操作が容易である
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の光ディスク装置の実施形態を示すブロック図である。
【図2】 本発明におけるエンコーダからのENCODE EFM信号と、レーザ制御部からのWRITEパルス信号とを示すタイミングチャートである。
【図3】 光ディスクに上書きをした際の上書きサイクルとピットジッタとの関係を示すグラフである。
【図4】 光ディスクに上書きをした際の上書きサイクルとランドジッタとの関係を示すグラフである。
【図5】 光ディスクに上書きをした際の上書きサイクルとブロックエラーレートとの関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 光ディスク装置
2 光ディスク
3 光学ヘッド
4 アクチュエータ
41 トラッキングアクチュエータ
42 フォーカスアクチュエータ
5 レーザダイオード
6 分割フォトダイオード
7 スレッドモータ
9 制御手段
91 メモリー
11 スピンドルモータ
21〜23 ドライバ
40 RFアンプIC
51 サーボプロセッサ
52 デコーダ
53 メモリー
54 レーザ制御部
55 エンコーダ

Claims (7)

  1. 光ディスクを装着して回転させる回転駆動機構と、光ディスクにレーザ光を照射して情報を上書きし得る光学ヘッドとを有し、前記光学ヘッドを介して前記光ディスクに対し記録又は記録・再生する光ディスク装置であって、
    前記光ディスク装置は、記録可能な光ディスクに記録するときの前記光学ヘッドからのレーザ光の書き込み用レーザパワーを当該光ディスクの所定のエリアにおける試し書きを通じて複数段階のレベルの中から最適の書き込み用レーザパワーに決定するOPCを実行するレーザ出力調整手段と、装填された上書き可能な光ディスクが記録履歴のないブランクディスクであるか否かを識別するブランクディスク識別手段とを有しており、
    前記ブランクディスク識別手段により装填された光ディスクが記録履歴のある光ディスクと識別された場合は、前記光学ヘッドは、最初の上書きの際は、前記レーザ出力調整手段によるOPCで決定されたレーザパワーで当該光ディスクに対し記録を行い、
    前記ブランクディスク識別手段により装填された光ディスクが記録履歴のないブランクディスクであると識別された場合は、前記レーザ出力調整手段は、該レーザ出力調整手段によるOPCで決定されたレーザパワーよりも5%〜30%低いレーザパワーに設定し、前記光学ヘッドはその低く設定されたレーザパワーで当該光ディスクに対し記録することを特徴とする光ディスク装置。
  2. 前記ブランクディスク識別手段により装填された光ディスクが記録履歴のないブランクディスクであると識別された場合は、前記レーザ出力調整手段は、該レーザ出力調整手段によるOPCで決定されたレーザパワーよりも10%〜20%低いレーザパワーに設定することを特徴とする請求項1に記載の光ディスク装置。
  3. 前記ブランクディスク識別手段は、前記光学ヘッドを介して前記光ディスクから所定の信号の検出を試み、該所定の信号が検出されない場合、前記光ディスクを前記ブランクディスクと識別するよう構成されている請求項に記載の光ディスク装置。
  4. 前記光学ヘッドが前記光ディスクのトラックを横切るように該光学ヘッドを移動させつつ、前記所定の信号の検出を行うよう構成されている請求項に記載の光ディスク装置。
  5. 前記光学ヘッドを、少なくとも前記光ディスクの記録が可能な領域の一端から他端まで移動させつつ、前記所定の信号の検出を行うよう構成されている請求項3又は4に記載の光ディスク装置。
  6. 前記所定の信号は、HF信号である請求項3乃至5のいずれかに記載の光ディスク装置。
  7. 前記光ディスクは、CD−RWである請求項1乃至のいずれかに記載の光ディスク装置。
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