JP3991374B2 - カラーフィルターの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、STN、MIM、TFT等の液晶表示素子等のカラー表示のために好適に用いることができるカラーフィルターおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
カラーフィルターは印刷法、電着法、染色法、顔料分散法等の方法により、ガラスやプラスチック等の透明基板上に3原色の赤色、緑色、青色およびブラックマトリックスと呼ばれる遮光性画素を規則的に形成したものである。製造方法に関しては耐熱性、耐光性、平坦性、パターン精度、生産性、生産コスト、表示コントラスト等により一長一短あり用途により製造法が使い分けられているのが現状であるが、総合的には顔料分散法が優れている。
【0003】
カラーフィルターの代表的製造法である顔料分散法を例にとると、通常ブラックマトリックスと呼ばれる遮光性画素が形成された透明基板上に着色顔料が配合された通常カラーレジストと呼ばれる感光性樹脂組成物を基板全体に塗布し、露光、現像することにより着色画像を形成する。3原色の赤色、緑色、青色を形成するためには塗布から現像の工程を色の回数分繰り返す。
【0004】
ブラックマトリックスを形成するためには、まず、透明基板上にクロム等の金属薄膜を基板全面に真空蒸着等の方法により形成する。次に、フォトレジストをこの上に塗布し、フォトレジストをマスクを通して紫外光で露光、現像することによりマスクと同じレジストパターンを形成する。レジストパターンを保護膜としてクロムエッチングすることにより、レジストに被われていないクロム部分をエッチングできる。その後、フォトレジストをプラズマ処理あるいはレジスト剥離液等で除去することによりクロムのブラックマトリックスが形成される。
【0005】
このように従来のカラーフィルター製造法は工程が長いために高コストであった。特に、ブラックマトリックス形成の工程が長く、且つ、生産性も悪いためコストアップの主因であった。また、ブラックマトリックスにクロムを用いているために、廃液処理等の環境安全面にも問題があった。さらに、金属クロムは反射率が高いため液晶の色表示品質にも悪影響を与えていた。
【0006】
以上のように、カラーフィルターの品質、生産性等の問題点がブラックマトリックス形成工程にあるためクロムブラックマトリックスに変わる手法が強く求められている状況にあり、樹脂ブラックマトリックスはその可能性を秘めているため精力的に検討がなされている。
樹脂ブラックマトリックスは感光性樹脂に遮光性顔料を混ぜたレジストによりパターニングするもので塗布およびパターニングがクロムブラックマトリックスより著しく簡便におこなえること、有害性が無いこと、低反射率であることからクロムブラックマトリックスの弱点を補うものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のカラーフィルターは、液晶の配向不良やTFTの動作不良、電圧制御不足による表示品質低下が起こる場合があり、特に樹脂ブラックマトリックスを用いたカラーフィルターはその様な問題が顕著であり、実用化に至っていない。
【0008】
即ち、本発明の目的は、液晶の配向不良やTFTの動作不良、電圧制御不足による表示品質の低下を起こさない、信頼性の高い高品質のカラーフィルターを提供することに存する。
本発明の他の目的は、かかる高品質のカラーフィルターを、ブラックマトリックスを顔料分散法で形成する方法により、従来のクロムブラックマトリックスに比較し十分高い生産性および低コストで工業的有利に製造することに存する。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、かかる従来のカラーフィルターの有する課題を解決すべく鋭意検討した結果、透明基板上に形成する3原色画素内に膜厚差が存することに着目し、この膜厚差を0.6μm以下とすることにより、上記の問題が解消された高品質のカラーフィルターとし得ることを見出し、本発明カラーフィルターに到達した。また、顔料分散法でブラックマトリックスを形成する際、該ブラックマトリックス形成用の顔料含有樹脂膜の乾燥後の膜厚が1.5μm以下となる様に透明基板上に感光性樹脂組成物を塗布し、該3原色画素を、画素内の膜厚差が0.6μm以下となる様に形成することにより、かかる高品質のカラーフィルターを工業的有利に製造可能であることを見出し、本発明に到達した。
【0010】
即ち、本発明の要旨は、透明基板上に、直接、遮光性画素および3原色画素が形成され、且つ、該3原色画素が該遮光性画素上に一部重なって形成されるカラーフィルターの製造方法において、該遮光性画素を1)顔料を含有し、固形成分中、顔料の割合が40〜70wt%である感光性樹脂組成物を該透明基板上に塗布し、乾燥して顔料含有樹脂膜を形成する工程、2)該顔料含有樹脂膜をマスクを通して露光する工程および3)アニオンまたはノニオン型界面活性剤を含有するアルカリ水溶液であって、且つ、該顔料含有樹脂膜の未露光部分を溶解させる現像液により現像する工程により形成した後、3原色画素を形成する方法であって、該顔料含有樹脂膜の乾燥後の膜厚が1.5μm以下となる様に感光性樹脂組成物を塗布し、該3原色画素を、各3原色画素における、透明基板を基準とする最大膜厚と最小膜厚の差がいずれも0.6μm以下となる様に形成することを特徴とするカラーフィルターの製造方法に存する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のカラーフィルターに使用する透明基板としてはポリカーボネート、PMMA等のプラスチックやガラス等が使用可能であるが、熱膨張率、耐薬品性等の観点からガラスを用いた方が好ましい。ガラスはTFT、MIM、STN等の液晶表示素子種類に応じてアルカリガラス、無アルカリガラス等を選択するのが好ましい。
【0012】
この透明基板上に樹脂ブラックマトリックスを形成するためには、黒色顔料と樹脂を含む組成物を塗布すれば良く、その組成は特に限定されないが、黒色顔料を配合した感光性樹脂組成物であるブラックレジストを塗布するのが有利である。ブラックレジストは重合型、光2量化型、化学増幅型、光溶解型等種々のタイプのものが使用可能であるが、感度、顔料分散性、耐熱性、耐薬品性等の観点から光重合型のブラックレジストを用いるのが好ましい。
【0013】
重合型のブラックレジストは、少なくとも重合開始剤、該重合開始剤の作用により硬化するモノマーおよび黒色顔料を含有し、そのほかにバインダー樹脂および溶剤等を必要に応じて含んでいてもよい重合性組成物からなるものであり、それぞれの成分について好ましい選択手法について以下に説明する。
バインダー樹脂は塗膜形成機能を有するものであれば使用可能であり、例えば、
1)ポリオレフィン系ポリマー
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン等
2)ジエン系ポリマー
ポリブタジエン、ポリイソプレン等
3)共役ポリエン構造を有するポリマー
ポリアセチレン系ポリマー、ポリフェニレン系ポリマー等
4)ビニルポリマー
ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポリビニルフェノール等
5)ポリエーテル
ポリフェニレンエーテル、ポリオキシラン、ポリオキセタン、ポリテトラヒドロフラン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアセタール等
6)フェノール樹脂
ノボラック樹脂、レゾール樹脂等
7)ポリエステル
ポリエチレンテレフタレート、ポリフェノールフタレインテレフタレート、ポリカーボネート、アルキッド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等
8)ポリアミド
ナイロン−6、ナイロン66、水溶性ナイロン、ポリフェニレンアミド等
9)ポリペプチド
ゼラチン、カゼイン等
10)エポキシ樹脂およびその変性物
ノボラックエポキシ樹脂、ビスフェノールエポキシ樹脂、ノボラックエポキシアクリレートおよび酸無水物による変性樹脂等
11)その他
ポリウレタン、ポリイミド、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリイミダゾール、ポリオキサゾール、ポリピロール、ポリアニリン、ポリスルフィド、ポリスルホン、セルロース類等
が挙げられる。
【0014】
これらの樹脂の中では公害防止の観点から、アルカリ可溶性の樹脂が好ましく、その様な樹脂としては、樹脂側鎖または主鎖にカルボキシル基あるいはフェノール性水酸基等を有するものが挙げられる。特にカルボキシル基を有する樹脂、例えば、アクリル酸(共)重合体、スチレン/無水マレイン酸樹脂、ノボラックエポキシアクリレートの酸無水物変性樹脂等は高アルカリ現像性なので好ましい。
【0015】
さらに、アクリル樹脂は現像性に優れているので好ましく、その共重合体は様々なモノマーを選択して重合が可能なため、性能および製造制御の観点からより好ましい。
より具体的にはカルボキシル基を含有するアクリル樹脂は、例えば、(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、などのカルボキシル基を有するモノマーとスチレン、α−メチルスチレン、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、酢酸ビニル、アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、エチルアクリル酸グリシジル、クロトン酸グリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸クロライド、ベンジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N−メチロールアクリルアミド、N,Nジメチルアクリルアミド、N−メタクリロイルモルホリン、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミド、などのコモノマーを共重合させたポリマーが挙げられる。中でも好ましいのは、構成モノマーとして少なくとも(メタ)アクリル酸あるいは(メタ)アクリル酸アルキルエーテルを含有するアクリル樹脂であり、さらに好ましくは(メタ)アクリル酸およびスチレンを含有するアクリル樹脂である。
【0016】
また、これらの樹脂は樹脂側鎖にエチレン性二重結合を付加させることもできる。樹脂側鎖に二重結合を付与することにより光硬化性が高まるため、解像性、密着性をさらに向上させることができ好ましい。エチレン性二重結合を導入する合成手段として、例えば、特公昭50−34443、特公昭50−34444などに記載の方法等が挙げられる。具体的には、カルボキシル基や水酸基にグリシジル基、エポキシシクロヘキシル基および(メタ)アクリロイル基を併せ持つ化合物やアクリル酸クロライドなどを反応させる方法が挙げられる。例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、α−エチルアクリル酸グリシジル、クロトニルグリシジルエーテル、(イソ)クロトン酸グリシジルエーテル、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸クロライド、(メタ)アリルクロライドなどの化合物を使用し、カルボキシル基や水酸基を有する樹脂に反応させることにより側鎖に重合基を有する樹脂を得ることができる。特に、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレートを反応させた樹脂が好ましい。
【0017】
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル〜」、「(メタ)アクリレート」等は、「アクリル〜またはメタクリル〜」、「アクリレートまたはメタクリレート」等を意味するものとし、例えば「(メタ)アクリル酸」は「アクリル酸またはメタクリル酸」を意味するものとする。
これらのアクリル樹脂のGPCで測定した重量平均分子量の好ましい範囲は1000〜100,000を超えると現像性が低下する傾向がある。また、カルボキシル基の好ましい含有量の範囲は酸価で5〜200である。酸価が5以下であるとアルカリ現像液に不溶となり、また、200を超えると感度が低下することがある。
【0018】
重合開始剤の作用により硬化するモノマーとしては、公知のものがいずれも用い得るが、光重合開始剤の発生するラジカルの作用によりラジカル重合するモノマーが好ましい。
代表的例としては、エチレン性二重結合を有するモノマーが挙げられ、より具体的には、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、ラウリルアクリレート、セチルアクリレート、ステアリルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソボニルアクリレート、ベンジルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、テトラヒドロフリルアクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、メトキシプロピレングリコールアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、2−アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンフタレート、2−アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンフタレート、2−アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロハイドロゲンフタレート、モルホリノエチルメタクリレート、トリフルオロエチルアクリレート、トリフルオロエチルメタクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ヘキサフロオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロドデシルアクリレート、トリメチルシロキシエチルメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、グリセリンメタクリレートアクリレート、ビスフェノールA、エチレンオキサイド付加物ジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド付加トリアクリレート、グリセリンプロピレンオキサイド付加トリアクリレート、トリスアクリロイルオキシエチルフォスフェート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ノボラックエポキシのアクリル酸変性物、ノボラックエポキシのアクリル酸および酸無水物の変性物、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、アクリル化イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ウレタンアクリレート、不飽和ポリエステルアクリレートなどが挙げられる。
【0019】
これらのモノマーのなかではアクリルモノマー、特に3個以上の二重結合を有するアクリルモノマーが感度、皮膜強度、耐薬品性等の観点から好ましい。これらのモノマーは単独または複数組み合わせて使用される。
重合開始剤としては光照射により不飽和化合物を重合させる活性化合物を生じさせるものが挙げられ、具体的には2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(p−カルボエトキシ)フェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(p−ブロモフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(o,p−ジクロロフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(m−メトキシジフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−メチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、などのビイミダゾール誘導体、(4−メトキシフェニル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−((4−エトキシナフチル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−エトキシカルボニル−4−(4ーエトキシナフチル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、などのハロメチル化トリアジン誘導体、ハロメチル化オキサジアゾール誘導体、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾイン、ベンゾインアルキルエーテル類、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1ークロロアントラキノンなどのアントラキノン誘導体、ベンズアンスロン誘導体、ベンゾフェノン、4,4′−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(「ミヒラーズケトン」)、4,4′−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2ーメチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4−ブロモベンゾフェノン、2ーカルボキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン誘導体、2,2,−ジメトキシー2ーフェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、α−ヒドロキシ−2−メチルフェニルプロパノン、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル−(p−イソプロピルフェニル)ケトン、1−ヒドロキシ−1−(p−ドデシルフェニル)ケトン、2−メチル−(4’−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノ−1−プロパノン、1,1,1,−トリクロロメチル−(p−ブチルフェニル)ケトンなどのアセトフェノン誘導体、チオキサントン、2ーエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン2,4−ジイソプロピルオキサントンなどのチオキサントン誘導体、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジエチルアミノ安息香酸エチルなどの安息香酸エステル誘導体、9−フェニルアクリジン、9−(p−メトキシフェニル)アクリジンなどのアクリジン誘導体、9,10−ジメチルベンズフェナジンなどのフェナジン誘導体、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ジ−クロライド、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−フェニル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−2,6−ジ−フルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−2,4−ジ−フルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジ−フルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−2,6−ジ−フルオロ−3−(ピル−1−イル)−フェニ−1−イルなどのチタノセン誘導体等が挙げられる。
【0020】
これらの重合開始剤のなかではビイミダゾール誘導体、トリアジン誘導体、オキサジアゾール誘導体、チタノセン誘導体が高感度、高解像力であり好ましい。また、これらの重合開始剤は単独もしくは複数併用することも可能である。特に、ビイミダゾール誘導体、チタノセン誘導体の場合は複数の重合開始剤を併用するのが好ましく、好ましい併用例としては例えば、特公昭53−12802、特開平1−279903、特開平2−48664、特開平4−164902、特開平6−75373などが挙げられる。
【0021】
黒色顔料としては複数の有機顔料、例えば、赤色、緑色、青色等を混色して黒色とする手法があるが、高遮光性とするには多量の顔料を配合する必要がある。これに対してカーボンブラックは単独使用で十分な遮光性を有するため有機顔料の混色よりも好ましい。カーボンブラックとしては、例えば、三菱化学(株)製のカーボンブラック#2400、#2350、#2300、#2200、#1000、#980、#970、#960、#950、#900、#850、MCF88、#650、MA600、MA7、MA8、MA11、MA100、MA220、IL30B、IL31B、IL7B、IL11B、IL52B、#4000、#4010、#55、#52、#50、#47、#45、#44、#40、#33、#32、#30、#20、#10、#5、CF9、#3050、#3150、#3250、#3750、#3950、ダイヤブラックA、ダイヤブラックN220M、ダイヤブラックN234、ダイヤブラックI、ダイヤブラックLI、ダイヤブラックII、ダイヤブラックN339、ダイヤブラックSH、ダイヤブラックSHA、ダイヤブラックLH、ダイヤブラックH、ダイヤブラックHA、ダイヤブラックSF、ダイヤブラックN550M、ダイヤブラックE、ダイヤブラックG、ダイヤブラックR、ダイヤブラックN760M、ダイヤブラックLR。キャンカーブ社製のカーボンブラックサーマックスN990、N991、N907、N908、N990、N991、N908。旭カーボン社製のカーボンブラック旭#80、旭#70、旭#70L、旭F−200、旭#66、旭#66HN、旭#60H、旭#60U、旭#60、旭#55、旭#50H、旭#51、旭#50U、旭#50、旭#35、旭#15、アサヒサーマル、デグサ社製のカーボンブラックColorBlack Fw200、ColorBlack Fw2、ColorBlack Fw2V、ColorBlack Fw1、ColorBlack Fw18、ColorBlack S170、ColorBlack S160、SpecialBlack6、SpecialBlack5、SpecialBlack4、SpecialBlack4A、PrintexU、PrintexV、Printex140U、Printex140V等が挙げられる。これらのカーボンブラックのなかで比表面積が100m2/g以下でかつPHが2〜9の物性値を有するものが分散安定性が良好で且つ高遮光性であり特に好ましい。
【0022】
尚、分散性の観点から、組成物中に分散剤を含有するのも有利である。分散剤としては、高分子分散剤が挙げられ、より具体的には、塩基性官能基を有するポリエステルまたはポリエーテルである。塩基性官能基はアミンで1〜100mgKOH/gの範囲のものが、分散安定性、現像性および解像性の点から好ましい。また、官能基は樹脂末端に存在するものが好ましい。分子量はポリスチレン換算の重量平均で1000〜100,000の範囲が、やはり分散安定性、現像性および解像性の点で好ましい。このような条件を満たす高分子分散剤として具体的にビックケミー社製のDisperbyk160、Disperbyk161、Disperbyk162、Disperbyk163、Disperbyk164、Disperbyk166; ゼネカ社製のSOLSPERSE20000、SOLSPERSE24000、SOLSPERSE27000、SOLSPERSE28000等(いずれも商品名)の市販品が挙げられる。分散剤は顔料に対して、2〜50重量%程度である。分散剤の使用に際しては、これで顔料を予め分散処理し、組成物に配合する方法等があげられる。又、組成物中には塗布性改良の目的で、界面活性剤等の添加剤を含有していても良い。
【0023】
本発明方法に、分散性、塗布性向上のため用いる溶剤としてはジイソプロピルエーテル、ミネラルスピリット、n−ペンタン、アミルエーテル、エチルカプリレート、n−ヘキサン、ジエチルエーテル、イソプレン、エチルイソブチルエーテル、ブチルステアレート、n−オクタン、バルソル#2、アプコ#18ソルベント、ジイソブチレン、アミルアセテート、ブチルブチレート、アプコシンナー、ブチルエーテル、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキセン、メチルノニルケトン、プロピルエーテル、ドデカン、Socal solvent NO1およびNo2、アミルホルメート、ジヘキシルエーテル、ジイソプロピルケトン、ソルベッソ#150、(n,sec,t)−酢酸ブチル、ヘキセン、シェル TS28 ソルベント、ブチルクロライド、エチルアミルケトン、エチルベンゾネート、アミルクロライド、エチレングリコーリジエチルエーテル、エチルオルソホルメート、メトキシメチルペンタノン、メチルブチルケトン、メチルヘキシルケトン、メチルイソブチレート、ベンゾニトリル、エチルプロピオネート、メチルセロソルブアセテート、メチルイソアミルケトン、メチルイソブチルケトン、プロピルアセテート、アミルアセテート、アミルホルメート、ビシクロヘキシル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジペンテン、メトキシメチルペンタノール、メチルアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、プロピルプロピオネート、プロピレングリコール−t−ブチルエーテル、メチルエチルケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、カルビトール、シクロヘキサノン、酢酸エチル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、、3−メトキシプロピオン酸、3−エトキシプロピオン酸、3−エトキシプロピオン酸メチルエチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、ジグライム、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールアセテート、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール−t−ブチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、トリプロピレングリコールメチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテートなどの有機溶剤が挙げられる。以上のの溶剤のなかからそれぞれ2種以上混合使用することも可能である。また、溶剤は沸点が100℃から200℃の範囲のものを選択するのが好ましい。より好ましくは120℃〜170℃の沸点をもつものである。
【0024】
以上のバインダー樹脂、不飽和化合物、重合開始剤、黒色顔料の好ましい配合比率はバインダー樹脂が10から50wt%、不飽和化合物が5から35wt%、重合開始剤が0.1〜10wt%、黒色顔料が40から70wt%の範囲である。これら固形成分中、遮光性画素の光学濃度の点から黒色顔料含有量が40〜70wt%であり、好ましくは45〜65wt%である。そしてこれらの固形分成分が10〜35wt%の範囲にはいるように溶剤を配合するのが好ましい。
【0025】
以上に説明したブラックレジストの塗布方法としてはロールコーター、カーテンコーター、スプレー塗布、ディップ、スピンコーター等公知の手段が好適に使用できるが、スピンコーターが塗膜の均一性が高いので好ましい。なかでもカップ回転式と呼ばれるスピンコーターは気流の影響を受けずに塗布でき、膜厚の均一性が高くより好ましい。
【0026】
カップ回転式スピンコーターで塗布するときの好ましい条件は、回転数が200から3000rpm、回転時間が5秒から120秒の範囲である。
こうしてブラックレジストを透明基板に塗布した後、レジスト膜中の残存有機溶媒を除去、乾燥するためプリベーク処理を行う。プリベークにはコンベクションオーブンやホットプレート等が好適に使用できる。ホットプレートの方がコンベクションオーブンよりも短時間でプリベーク処理ができるためより好ましい。ホットプレートで処理した場合の好ましい条件はプリベーク温度が50℃から150℃、プリベーク時間は15秒から3分の範囲である。ホットプレートでプリベークする場合にはガラス基板とホットプレートが直に接触させた場合には低めのプリベーク温度、プリベーク時間に設定することが可能であるが、基板からはみでたレジストがホットプレートを汚す恐れがあるため、若干の隙間をもってプリベークする処理方法であるプロキシベークがより好ましい。
【0027】
ブラックマトリックスは、3原色画素間からのバックライトの漏れを防ぐという目的のためには十分な厚さが必要だが、本発明方法においては、かかる目的を達成する範囲内でブラックマトリックスは薄い方が好ましく、プリベーク後のブラックレジストの膜厚は1.5μm以下、より好ましくは1.2μm以下、さらに好ましくは1.0μm以下となる様にレジストを塗布することを特徴とする。また、ガラス基板全体でのブラックレジストの膜厚ばらつきは膜厚平均値の±0.3μm以下、より好ましくは±0.2μm以下、さらに好ましくは±0.1μm以下に抑える。
【0028】
次に露光であるが、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ、カーボンアーク燈等の紫外線を発する光源が使用できマスクを通してレジストは露光される。マスクに描かれた樹脂ブラックマトリックスパターンは通常、最小線幅が10から70μmの範囲、長手方向のピッチが100から700μm、短手方向のピッチが50から300μmのものである。
【0029】
露光方法には、マスクとレジスト膜を接触させるコンタクト露光とマスクとレジスト膜に僅かなギャップを設けて露光するプロキシ露光の2種の方法がある。コンタクト露光の方が高解像力となるがマスクにレジストが接触するときにダメージがでやすく、欠陥やゴミ等の問題がでやすいためプロキシ露光の方が好ましい。プロキシ露光では解像力の低下がなるべくで起こらないようレジスト膜とマスクのギャップ幅は500μm以下に設定するのが好ましい。また、レジスト膜の厚さは1.5μm以下に抑えると高解像力が得られる。
【0030】
現像は未露光部を溶解させる現像液をディップ、スプレー、パドルなどの方法で処理することにより行われる。現像液としてはメチルエチルケトン、アセトン、シクロヘキサノン等の有機溶剤も使用可能であるが、環境安全面、人体に対する毒性、火災の危険性などの面から好ましくなく、アルカリ水溶液を現像液に用いるのが好ましい。一例をあげるならば水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液、炭酸カリウム、アンモニア水等の無機アルカリ水溶液、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液、ジエタノールアミン水溶液、トリエタノールアミン水溶液、コリン水溶液等の有機アルカリ水溶液等が挙げられる。
【0031】
アルカリの濃度は0.0001wt%から1wt%の範囲が好ましく、この範囲からはずれると、解像性の低下、フリンジの発生、地汚れ、レジストダメージ等が発生しやすくなる。
また、アルカリ現像液にアニオン、カチオン、ノニオン、両性の界面活性剤を添加すると、地汚れや解像性等を向上させる効果があるため添加して使用するのが好ましい。特に、アニオン型およびノニオン型界面活性剤は効果が高いためより好ましい。界面活性剤の添加の好ましい範囲は0.0001wt%〜2wt%である。添加量が少ないと効果がでなくなり、また、多すぎても廃液処理等が困難となるため好ましくない。
【0032】
現像温度は15℃から30℃の範囲が解像性、地汚れ、レジストダメージ、レジスト密着性の観点から好適である。
現像後は直ぐに水等によりリンスするのが好ましい。現像液がレジスト膜に残存したまま乾燥すると、色むら、ピンホール、欠陥などがでやすくなる。乾燥はエアーナイフやIRオーブン等によりおこなえる。
【0033】
現像後の樹脂ブラックマトリックスは十分な硬化がまだ進んでいないので機械的強度、耐薬品性、密着性が不足した状態であり、さらに、熱硬化あるいは光硬化を行うことが好ましい。ブラックマトリックスは光透過性に乏しいため、光硬化でレジスト膜全体を均一に硬化させるのはかなり困難である。光硬化は熱硬化よりも迅速な処理が可能となるが、均一硬化の観点から熱硬化を用いた方が好ましい。また、熱硬化ではプリベークと同じコンベクションオーブンあるいはホットプレートが使用でき製造設備面でのメリットもある。
【0034】
熱硬化に必要な温度は150℃以上であり、特に好ましくは170℃から300℃の範囲である。150℃以上ないとレジスト膜の十分な硬化が期待できず、また、300℃以上の温度処理をおこなってもさらなる硬化は進まないため、生産性を考慮すると300℃以下の方が好ましい。
熱硬化終了後の樹脂ブラックマトリックスの膜厚は1.2μm以下、光学濃度は2.8以上が必要である。より好ましくは膜厚が1.1μm以下、光学濃度は3.0以上である。なお、光学濃度はマクベス濃度計により測定できる。
【0035】
また、樹脂ブラックマトリックスのパターン断面形状は垂直もしくは順テーパーの形状のものが好ましい。パターン形状が逆テーパーになると3原色のカラーレジストを塗布したとき膜厚が不均一になり、3原色画素内の膜厚差が大きくなりやすい。パターン形状の制御はレジストの組成、プリベーク温度、露光条件、現像条件、熱硬化条件を適正化することにより達成することができる。
【0036】
次に、赤色、緑色、青色の3原色パターンを同様な手法に基づき形成する。
3原色パターンを形成するためのカラーレジストにはブラックレジストと同じ重合性組成物が好適に使用できる。すなわち、バインダー樹脂、不飽和化合物、重合開始剤、顔料、溶剤からなる組成物において顔料の部分をアントラキノン顔料、フタロシアニン顔料、アゾ顔料、イソインドリノン顔料等に変更したカラーレジストが使用できる。
【0037】
好適な配合比率はバインダー樹脂が15から60wt%、不飽和化合物が5から35wt%、重合開始剤が0.1から10wt%、顔料が15から50wt%である。カラーレジストは樹脂ブラックマトリックスの凹凸上に塗布されるため、ブラックレジスト以上のレベリング性が必要である。そのため、配合比率ではバインダー樹脂の比率をブラックレジストの組成比率より上げ、顔料の比率をさげたものが好ましい。さらに、0.001〜500ppm程度のフッ素系あるいはシリコン系レベリング剤を添加するとよりレベリング性が向上するため好ましい。
【0038】
塗布方法はカップ回転式スピンコーターが使用でき、ホットプレート等でカラーレジスト膜を乾燥させる。カラーレジスト膜の透明基板を基準とする乾燥膜厚(3原色画素の膜厚)は0.5から2.5μmの範囲にするのが好ましい。より好ましくは0.6から2.4μmの範囲である。厚さがこの範囲からずれると樹脂ブラックマトリックスの凹凸の影響を受け画素内膜厚ばらつきが大きくなる。特にブラックマトリックスの段差部ではカラーレジストの膜厚が周囲に比べ厚くなりやすかったり、一部カラーレジストが塗布されない部分がでやすくなる。
【0039】
露光および現像に関しては樹脂ブラックマトリックスと全く同一の条件が使用できる。現像終了後に得られたカラーパターンは樹脂ブラックマトリックスに重なって形成されているのが好ましく、その重なり幅は2μm以上、より好ましくは3μm以上である。カラーパターンが樹脂ブラックマトリックスに重ならずに形成された場合には、樹脂ブラックマトリックスおよびカラーパターンの密着性、耐薬品性等が十分に確保されないため信頼性が低下する傾向がある。
また、カラーパターンの断面形状は順テーパーになっているのが好ましい。断面形状が垂直もしくは逆テーパーであるとITO等の配線をカラーフィルター上に施したとき、段差部分で断線が起こりやすくなる。特に、逆テーパーの断面形状では顕著に断線が起こる。パターン形状の制御についても樹脂ブラックマトリックスと同様の手法を用いることができる。カラーパターンについても現像後、光硬化あるいは熱硬化等の処理をするのが好ましい。カラーレジストの場合には光透過性が樹脂ブラックマトリックスに比べ高いため光硬化も好適に使用することができる。
【0040】
以上の方法により形成された3原色の画素内の最大膜厚と最小膜厚の膜厚差は0.6μm以下、好ましくは0.5μm以下、さらに好ましくは0.4μm以下である。なお、画素内の膜厚差とは、3原色のいずれの色においても一画素内の膜厚の最大値と最小値の差のことであって、本発明においては、かかる一画素内の膜厚差が、実質的に各色全ての画素について0.6μm以下であることを特徴とする。該膜厚差は触針型膜厚計や光干渉型膜厚計により測定が可能である。顔料分散法により形成される画素は、形状が非常によく揃っているので、これらの測定装置を用いて数個の画素について膜厚差が0.6μm以下であることを確認すれば、実質的に全画素の膜厚差が0.6μm以下であることを確認できたことになる。
【0041】
上述した様に、3原色画素はブラックマトリックスに重ねて形成され、多くの場合、重なり部分が膜厚最大で、中央部の膜厚が最小となる。樹脂ブラックマトリックスが形成されたカラーフィルターの場合、ブラックマトリックスが厚いために3原色画素の最大膜厚が大きくなりがちだが、上述した本発明方法によりブラックマトリックスの厚さを抑えることにより、3原色画素内の膜厚差を0.6以下とすることができる。
【0042】
本カラーフィルターでは樹脂ブラックマトリックス、3原色パターンを保護するため、さらに保護膜を形成しても良い。保護膜にはエポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂等の樹脂等の公知の樹脂が使用可能である。
以下、本発明を実施例を用いてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0043】
【実施例】
バインダー樹脂の合成
酸価200、分子量5000のスチレン・アクリル酸樹脂20g、p−メトキシフェノール0.2g、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド0.2g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート40gをフラスコに仕込み(3、4エポキシシクロヘキシル)メチルアクリレート7.6gを滴下し100℃の温度で30時間反応させた。反応液を水に再沈殿、乾燥させて樹脂を得た。KOHによる中和滴定をおこなったところ樹脂の酸価は80であった。
顔料インキの分散
1.黒色インキ
三菱化学(株)製のカーボンブラックMA−220、50gとビックケミー社製高分子分散剤BYK−161、10gに溶剤プロピレングリコールモノメチルエータルアセテート(PGMEA)、60gを混合、攪拌しミルベースを作った。このミルベースをペイントシェーカーで分散処理した。ビーズは粒径0.5mm、材質ジルコニアを用い、室温で4時間分散処理して黒色インキを得た。
2.カラーインキ
【0044】
【表1】
【0045】
表−1の割合でミルベースを作り、1と同様の方法で分散しカラーインキを得た。
ブラックレジストおよびカラーレジストの調合
合成したバインダー樹脂および分散したブラックおよびカラーインキを用いて表−2の割合で調合してブラックレジストおよび赤、緑、青のカラーレジストを調合した。
(実施例1)
360mm×460mm角、板厚1.1mmのガラス基板(コーニング社製 7059)に表−2のブラックレジスト1をカップ回転式スピンコーターで塗布回転数は600rpm、塗布時間は30秒の条件で塗布した。
【0046】
この塗布基板を2mmのギャップをあけてホットプレートで80℃、60秒間プリベークを行った。乾燥後のレジスト膜厚をα−ステップ(テンコール社製)で測定したところ1.0μmであった。
次に、マスクを通して高圧水銀灯を有する露光装置で2000mj/cm2露光した。マスクはブラックマトリックスの線幅が30μm、長手方向のピッチが350μm、短手方向のピッチが120μmの格子状のパターンで、カラーフィルターのサイズ10.4インチが4面形成されたものを使用した。
【0047】
現像は水酸化カリウム0.01wt%、エマルゲンA−60、0.01wt%(花王社製ノニオン型界面活性剤)を含有するアルカリ現像水溶液で現像した。現像液温度23℃でスプレーで30秒間現像を行った。現像を行った後直ぐに純水でリンスし、エアーナイフにより乾燥を行った。
熱硬化はコンベクションオーブンで250℃、30分間行った。熱硬化後のレジスト膜厚は0.97μmであった。また、マクベス濃度計により光学濃度を測定したところODは3.5であった。また、SEMにてレジストの断面形状を測定したところほぼ垂直であった。
【0048】
次に赤レジストを樹脂ブラックマトリックスが形成されたガラス基板上にカップ回転式スピンコーターで塗布回転数は400rpm、塗布時間は30秒の条件で塗布した。この塗布基板を2mmのギャップをあけてホットプレートで80℃、60秒間プリベークを行った。乾燥後のレジスト膜厚をα−ステップ(テンコール社製)で測定したところ1.5μmであった。その後、マスクを通して高圧水銀灯を有する露光装置で200mj/cm2露光した。マスクはストライプ状のもので赤レジストパターン端部が10μmづつブラックマトリックスにかかるものを用いた。
【0049】
現像は水酸化カリウム0.05wt%、エマルゲンA−60、0.01wt%(花王社製ノニオン型界面活性剤)を含有するアルカリ現像水溶液で現像した。現像液温度23℃でスプレーで30秒間現像を行った。現像を行った後直ぐに純水でリンスし、エアーナイフにより乾燥を行った。
熱硬化はコンベクションオーブンで250℃、30分間行った。熱硬化後の赤画素内のレジスト最大膜厚は樹脂ブラックマトリックスにかかった部分で1.8μm、また、最小膜厚は1.40μmで膜厚差は0.4μmであった。また、SEMで赤レジストパターンの断面形状を測定したところ順テーパーであった。
【0050】
同じ条件で緑レジストパターン、青レジストパターンを順次形成した。熱硬化後の緑および青画素内のレジスト最大膜厚はともに樹脂ブラックマトリックスにかかった部分で1.8μm、また、最小膜厚は1.40μmで膜厚差は0.4μmであった。また、SEMでレジストパターンの断面形状を測定したところ緑および青パターンとも順テーパーであった。
【0051】
このカラーフィルターを用いてTFTの液晶表示素子を作成した場合、電圧制御が容易であり表示品質も良好であった。
(実施例2)
ブラックレジストの塗布膜厚(乾燥後)を0.8μmとなるようにした以外は実施例1と同様にして樹脂ブラックマトリックスを形成した。熱硬化後の膜厚は0.78μmであり、光学濃度はODで2.8であった。
【0052】
3原色パターンについても実施例1と同様にして形成したところ、レジスト最大膜厚はともに樹脂ブラックマトリックスにかかった部分で1.75μm、また、最小膜厚は1.40μmで膜厚差は0.35μmであった。また、SEMでレジストパターンの断面形状を測定した。
(比較例1)
表−2のブラックレジスト2を使用し、レジスト膜厚を1.7μmとなるように塗布した以外は実施例1と同様に樹脂ブラックマトリックスを形成した。
【0053】
熱硬化後のレジスト膜厚は1.65μmで、光学濃度はODで3.5であった。また、レジストパターンの断面形状は垂直であった。
次に、3原色パターンを実施例1と同様に形成した。赤、緑、青のレジスト最大膜厚はともに樹脂ブラックマトリックスにかかった部分で2.2μm、また、最小膜厚は1.40μmで膜厚差は0.8μmであった。樹脂ブラックマトリックス近傍の3原色パターンの一部に白抜けが発生した。このカラーフィルターを用いて液晶表示素子を作成した場合、電圧制御が困難であり、また、一部に光漏れが生じていることから、表示品質は不良であった。
【0054】
【表2】
【0055】
【発明の効果】
本発明カラーフィルターは、液晶の配向不良やTFTの動作不良、電圧制御不足による表示品質低下がない等信頼性が高く、高品質である。本発明方法によれば、かかる高品質、高信頼性のカラーフィルターを、工業的有利に提供することができる。
Claims (7)
- 透明基板上に、直接、遮光性画素および3原色画素が形成され、且つ、該3原色画素が該遮光性画素上に一部重なって形成されてなるカラーフィルターの製造方法において、該遮光性画素を1)顔料を含有し、固形成分中、顔料の割合が40〜70wt%である感光性樹脂組成物を該透明基板上に塗布し、乾燥して顔料含有樹脂膜を形成する工程、2)該顔料含有樹脂膜をマスクを通して露光する工程および3)アニオンまたはノニオン型界面活性剤を含有するアルカリ水溶液であって、且つ、該顔料含有樹脂膜の未露光部分を溶解させる現像液により現像する工程により形成した後、3原色画素を形成する方法であって、該顔料含有樹脂膜の乾燥後の膜厚が1.5μm以下となる様に感光性樹脂組成物を塗布し、該3原色画素を、各3原色画素における、透明基板を基準とする最大膜厚と最小膜厚の差がいずれも0.6μm以下となる様に形成することを特徴とするカラーフィルターの製造方法。
- 該感光性樹脂組成物が分散剤を含有する請求項1のカラーフィルターの製造方法。
- カーボンブラックを含有する感光性樹脂組成物を透明基板上に塗布し、乾燥して遮光性画素を形成する請求項1または2のカラーフィルターの製造方法。
- 3原色画素を、遮光性画素上に、重なり幅が2μm以上となる様に形成する請求項1〜3のいずれかのカラーフィルターの製造方法。
- 現像液のアルカリ濃度が0.0001wt%から1wt%、界面活性剤濃度が0.0001wt%から2wt%の範囲にある請求項1〜4のいずれかのカラーフィルターの製造方法。
- 現像後に紫外光または熱により顔料含有樹脂膜を硬化させる処理を施す請求項1〜5のカラーフィルターの製造方法。
- 該顔料含有樹脂膜の硬化処理が熱処理により行われ、その硬化温度が150から300℃の範囲である請求項6のカラーフィルター。
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