JP3990927B2 - 減圧乾燥装置及びその方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体ウエハやLCD基板(液晶ディスプレイ用ガラス基板)などの基板表面に例えば絶縁膜形成用の塗布液を供給し、この塗布液中に含まれる溶剤を除去して塗布膜(絶縁膜)を形成する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイスの製造工程の一つに、半導体デバイスの保護膜や層間絶縁膜等を形成するために、基板に対して所定の薬液を供給して当該基板の表面に塗布膜を形成し、次いで塗布液中の溶剤を乾燥させる処理がある。この種の膜の塗布液については、溶剤に揮発性の低いものが用いられることや、速やかに溶剤をウエハ表面から除去して塗布膜の膜厚均一性を確保するなどの理由から、ウエハ上に塗布液を塗布した後、直ぐに減圧乾燥ユニットに搬入して減圧乾燥を行うことが得策である。図7は従来の減圧乾燥装置11を示す概略図である。図中12は蓋体13及び載置部14にて構成される密閉容器であり、蓋体13の天井部には開口部13aが形成されている。この開口部13aは排気管15を介して例えば塗布膜形成装置の外部に設けられる減圧ポンプ16と連通し、密閉容器12の内部を減圧することができるようになっている。このような装置では、載置部14にウエハWを載置し、図示しない温度調節手段にて該ウエハWを所定の温度に調整、例えば加熱すると共に減圧ポンプ16により密閉容器12内の減圧を行うことで、ウエハW表面に残る溶剤成分が揮発(乾燥)して減圧ポンプ16側に吸引され、ウエハW表面には塗布膜成分のみが残ることとなる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、減圧乾燥装置11にて用いられる減圧ポンプ16は、塗布膜形成装置外部のクリーンルーム側に設けられており、このため減圧乾燥時に揮発して減圧ポンプ16側に吸引される溶剤は、排気管15の途中で例えば23℃程度に維持されるクリーンルーム側の雰囲気の影響を受けてしまう場合がある。絶縁膜の種類によっては例えば気圧が133Paの雰囲気下において沸点が30℃〜40℃程度である高沸点シンナーが用いられるので、これらの溶剤蒸気は排気管15の途中で結露し易い。減圧ポンプ16における排気流量は一定に保たれているため、排気管15内で溶剤蒸気が結露すると、当該結露の量に応じて排気流量が変化してしまい、製品の品質にばらつきが生じるという問題がある。また、徐々に結露の量が増えていくと、この増加量に応じて乾燥に要する時間も長くなってしまう。
【0004】
そこで結露防止策として排気管15の全区間に例えばテープヒータ等からなる真空配管ヒータに温度調節手段を設け、減圧乾燥時において当該排気管15内の温度を溶剤が結露しない例えば40℃程度の温度に維持する手法も考えられるが、密閉容器12から減圧ポンプ16へと至る排気管15の長さは例えば5m以上と長く、全区間に亘って温度調節を行うことは設備的な問題もさることながら、膨大な運転費用が必要となるというコスト面の問題が大きい。
【0005】
本発明はこのような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、減圧乾燥装置において迅速且つ安定したペースで乾燥処理を行うことができる技術を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る減圧乾燥装置は、塗布膜の成分と、溶剤分子が極性を有する溶剤と、を混ぜ合わせてなる塗布液を塗布された基板を減圧状態で乾燥し、前記塗布液から溶剤の除去を行う減圧乾燥装置において、
基板を載置する載置部を内部に備える密閉容器と、
この密閉容器に排気路を介して接続され、当該密閉容器内を減圧雰囲気とすることで基板上の塗布液から溶剤を揮発させる減圧排気手段と、
この減圧排気手段によって基板上の溶剤を揮発させるとき、塗布液から揮発した溶剤蒸気が前記排気路内で結露することを抑えるために、温度調節した不活性ガスを前記排気路に供給する不活性ガス供給手段と、
前記排気路における前記不活性ガスの供給位置よりも下流側に設けられ、電力供給部から交流電圧が供給される電極と、を備え、
前記排気路内に交流電圧を印加し、この排気路内の溶剤蒸気を振動させることにより、前記溶剤蒸気と不活性ガスとの各々の分子同士の衝突頻度を増加させることを特徴とする。
【0008】
このような構成によれば、減圧乾燥時における排気路内の温度コントロールに温度調節した不活性ガスを用いるため、従来用いていたテープヒータ等のように高いコストを要せず、且つ迅速に減圧乾燥処理を行うことができる。また排気路内における溶剤の結露を確実に防ぐことができるので、排気流量が安定し、ロット間の製品の均一性が向上するというと利点もある。
【0009】
なお不活性ガスを供給する際には、排気路内における不活性ガスの供給分だけ排気流量を増加させて排気流量を常に一定に保つことが好ましい。具体的には上述構成に加え、排気路内におけるガス流量を検出するためのガス流量検出部と、前記排気路における排気流量を調節する流量調節部と、前記排気路における排気流量が一定値に維持されるように、前記ガス流量検出部にて検出されるガス流量検出値に基づいて前記流量調節部の制御を行う制御部と、を備えた構成を挙げることができる。
【0010】
また本発明に係る塗布膜形成方法は、塗布膜の成分と、溶剤分子が極性を有する溶剤と、を混ぜ合わせてなる塗布液を塗布された基板を減圧状態で乾燥し、前記塗布液から溶剤の除去を行う減圧乾燥方法において、
前記塗布液が塗布された基板を、減圧乾燥装置に設けられる密閉容器内に載置する工程と、
減圧排気手段から排気路を介して排気を行うことで前記密閉容器内を減圧雰囲気とし、基板に塗布された塗布液中の溶剤を揮発させる工程と、
揮発した溶剤蒸気が前記排気路内で結露しないように、温度調節された不活性ガスを、前記排気路に供給することにより前記溶剤蒸気に混合すると共に、前記排気路における前記不活性ガスの供給位置よりも下流側にて、溶剤蒸気と不活性ガスとの混合気体に対して交流電圧を印加することで、各々の分子同士の衝突頻度を増加させる工程と、を含むことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に本発明に係る減圧乾燥装置を塗布膜形成装置に適用した場合を例に取り、説明を行う。先ずこの装置の全体構成について図1及び図2を参照しながら簡単に説明すると、図中21はカセットステーションであり、例えば25枚のウエハWを収納したカセットCを複数個載置できるように形成されたカセット載置部22と、載置されたカセットCとの間でウエハWの受け渡しを行うための受け渡しアーム23とが設けられている。この受け渡しアーム23の奥側には筐体24にて周囲を囲まれる処理部S1が接続されている。処理部S1の中央には主搬送手段25が設けられており、これを取り囲むように例えば奥を見て右側には複数の塗布ユニット3が、左側、手前側、奥側には加熱・冷却系のユニット等を多段に積み重ねた棚ユニットU1,U2,U3が夫々配置されている。
【0012】
棚ユニットU1,U2,U3は、塗布ユニット3の前処理及び後処理を行うためのユニットなどを各種組み合わせて構成されるものであり、その組み合わせは例えば図2の棚ユニットU2に示すように塗布ユニット3にて表面に塗布液が塗られたウエハWを減圧雰囲気下で乾燥し、該塗布液中に含まれる溶剤を揮発する減圧乾燥ユニット4、ウエハWを加熱(ベーク)する加熱ユニット26、ウエハWを冷却する冷却ユニット27等が含まれる。なお棚ユニットU2については、ウエハWを受け渡すための受け渡し台を備えた受け渡しユニット28も組み込まれる。また、上述した主搬送手段25は例えば昇降及び前後に移動自在で且つ鉛直軸周りに回転自在に構成されており、塗布ユニット3及び棚ユニットU1,U2,U3を構成する各ユニット間でウエハWの受け渡しを行うことができる構成とされている。
【0013】
ここで塗布ユニット3の構成について簡単に説明すると、塗布ユニット3内にはウエハWを裏面側から吸着保持すると共に鉛直軸まわりに回転自在に構成される載置台31と、この載置台31に載置されたウエハWの上方を移動可能なノズル32とが設けられている。そして図示するようにウエハWを回転させておき、薬液を吐出させた状態でノズル32をウエハWの中心部上方から径方向に移動させることで、ウエハW表面に塗布液をいわば一筆書きの要領で螺旋状に塗布できる構成とされている。塗布液としては、絶縁膜成分であるポリイミドを例えばNMP(N−メチルピロリドン)等のいわゆる高沸点シンナーに溶解させた混合溶液が用いられる。
【0014】
次いで減圧乾燥ユニット4に組み込まれる減圧乾燥装置の構成について、図5を参照しながら説明する。図中41はウエハWを載置する載置部であり、その上部には蓋体42が設けられている。この蓋体42は保持アーム43aや駆動部43b等からなる昇降機構43の働きにより昇降自在とされており、下降時には載置部41の周縁部とシール材であるOリングR1を介して気密に接合し、ウエハWの置かれる雰囲気を密閉雰囲気とする密閉容器40を構成する。
【0015】
載置部41の内部には、既述の主搬送手段25に設けられるウエハ搬送アーム100(図1参照)との間でウエハWの受け渡しができるように、3本のリフトピン44が貫通して設けられ、このリフトピン44は昇降板45を介して例えばエアシリンダなどの昇降部46により昇降できるようになっている。またウエハWの置かれる雰囲気がリフトピン44の貫通孔44aを介して大気側と連通するのを防ぐため、昇降板45の周縁部と載置部41との間にはベローズ45aが設けられている。
【0016】
載置部41の表面近傍には、減圧乾燥時にウエハWを所定温度に調整する温度調節手段例えば抵抗加熱体などにより構成されるヒータ47が埋設されている。一方、蓋体42の天井部42aには密閉容器40内の雰囲気を吸引排気できるように開口部48が形成され、また蓋体42内のウエハWと対向する空間には、載置部41に載置されるウエハWと対向すると共に蓋体42の天井部42a及び側壁42bのいずれとも隙間を有するように板状の整流部材49が設けられている。この整流部材49は図示しない昇降機構の働きにより昇降時材とされており、乾燥処理時に例えばウエハW表面の上方2mm程度の高さとなるように接近させることで、蓋体42の内壁面に沿って均一な排気流が形成されるようになっている。
【0017】
前記開口部48には、例えばステンレスにより構成される排気路をなす排気管5が接続されており、この排気管5の他端側は例えばクリーンルーム内に設けられる減圧排気手段をなす減圧ポンプ51へとバルブV1を介して接続している。また排気管5におけるバルブV1の上流側には、ガス流量検出部である流量計52及びバタフライバルブ等を備えてなる流量調節部52aが介設されており、排気管5における排気流量の調節は、制御部6が流量計52から得た流量検出値に基づき流量調節部52aを介して行うように構成されている。
【0018】
排気管5の途中にはガス配管53が接続されており、このガス配管53の他端側はガス温調部54を介して不活性ガス供給部55へと接続している。これらガス配管53、ガス温調部54及び不活性ガス供給部55は、特許請求の範囲に記載の不活性ガス供給手段に相当するものである。また、排気管5とガス配管53との接続部位P1よりも下流側(減圧ポンプ51側)には当該部位の管内温度を検出するための第1の温度検出部56が設けられており、制御部6ではこの第1の温度検出部56から得られる温度検出値に基づき、例えば不活性ガス供給部55から供給される不活性ガス例えばN2(窒素)ガスの流量調節や、ガス温調部54における温度調節等の各制御を行うように構成されている。
【0019】
接続部位P1の下流側、例えば接続部位P1近傍位置には、不活性ガスと溶剤蒸気との混合気体に対して交流電圧を印加するための一対の電極57(57a,57b)が設けられている。他方、接続部位P1の上流側(密閉容器40側)には、当該部位の管内温度を検出するための第2の温度検出部58が設けられており、取得した温度検出値を制御部6に送信する構成とされている。また接続部位P1の上流側には、例えば減圧乾燥時において排気管5内を流れる溶剤蒸気が開口部48から接続部位P1に至るまでの間に結露することを防ぐため、温度調節手段をなすテープヒータ59が設けられている。そして電極57(57a,57b)は交流発振部からなる第1の電力供給部61と、テープヒータ59は第2の電力供給部62と夫々接続されており、詳細は後述するが、制御部6から夫々の出力調整を行うように構成されている。
【0020】
次に上述実施の形態の作用について説明する。先ずカセットCがカセットステーション21に搬入されると、受け渡しアーム23によりウエハWが取り出される。そしてウエハWは受け渡しアーム23から棚ユニットU2中の受け渡しユニット28を介して主搬送手段25へと受け渡され、塗布ユニット3内に搬入されて既述のようにして表面全体に塗布液が塗布される。
【0021】
しかる後ウエハWは、主搬送手段25にて減圧乾燥ユニット4へと搬送される。減圧乾燥ユニット4へのウエハWの搬入は、先ず蓋体42が上昇した状態で主搬送手段25のウエハ搬送アーム100が載置部41の上方まで進入し、リフトピン44を上昇させて該アームからウエハWを受け取った後、このリフトピン44を下降させて行う。その後、蓋体42を下降させて密閉容器40を構成し、ヒータ47にて例えば50℃程度にウエハWを加熱すると共にバルブV1を開いて減圧ポンプ51により密閉容器40内の吸引を開始し、ウエハWの置かれる雰囲気を溶剤が沸点に至るよりも少し高い圧力例えば350Paの減圧雰囲気とする。これによりウエハW表面上に塗布された塗布液中の溶剤が激しく揮発し、揮発した溶剤蒸気は整流部材49に当たって径方向に均等に広がり、排気流と共に開口部48を介して排気管5へと向かう。
【0022】
ここで便宜上、排気管5を三区分に分け、図6に示するように接続部位P1よりも上流側を区間A、接続部位P1から電極57設置個所までの間を区間B、電極57から下流側を区間Cと呼ぶものとすると、区間Aではテープヒータ59によって排気管5内において溶剤蒸気が結露しない程度まで加熱されており、密閉容器から流入してきた溶剤蒸気は管内に付着することなく区間Bへと向かう。このとき制御部6は、第2の温度検出部58を介して温度検出値の監視を行っており、例えば溶剤蒸気が一定温度に保たれるように第2の電力供給部62を介してテープヒータ59の温度調整を行う。
【0023】
その一方で、制御部6では第1の温度検出部56から得られる区間Bにおける管内温度、及び流量計52から得られる排気流量の検出値に基づいて不活性ガス供給部55、ガス温調部54及び流量調節部52aの制御が行われ、その結果ガス配管53から例えば溶剤蒸気が区間Bにおいても結露しないように温度調節されたN2ガスが適当な流量で供給される。これに伴い流量調節部52aではオフセット分即ちN2ガスの供給分だけ排気流量が増加するように開度の調節(開く)が行われ、結果として排気流量は一定に保たれる。
【0024】
こうしてN2ガスと溶剤蒸気とは区間Bにて混じり合うこととなるが、その混合度合いが十分でないこともあることから、これら混合気体に対して第1の電力供給部61及び電極57(57a,57b)による交流電圧の印加が行われる。これは、本実施の形態にて用いる高沸点シンナーが極性を有することから当該シンナー分子に交流電圧を印加して振動させ、この振動により両者の気体同士を十分に混合させようというものである。即ち電極57(57a,57b)間に電圧を印加すると、例えば図7に示すようにシンナー分子σ+が電極57a,57b間を振動し、これによりシンナー分子σ+とN2分子との衝突頻度が高まり、結果として混合気体が全体的に均一化すると共に当該部位における管内温度も上昇する。制御部6では混合気体が十分に混じり合い、且つ区間Cにおいて溶剤成分が結露することがないように第1の電力供給部61の制御を行う。具体的には例えば区間Bに設けた第1の温度検出部56に加えて、電極57(57a,57b)を挟むように区間Cに図示しない温度検出部を設けておき、各温度検出手段にて得る温度検出値に基づいて区間Bにおける混合気体の温度(管内温度)よりも区間Cにおける混合気体の温度の方が高くなるように制御を行うことが好ましい。
【0025】
こうして、溶剤蒸気は排気管5の下流側に設けられる図示しない捕集手段に回収され、密閉容器40内ではウエハW表面が短時間で乾燥される。乾燥処理終了後には図示しないガス供給源を介して例えば乾燥した空気や窒素ガスなどで密閉容器40内をパージし、密閉容器40内を大気圧に戻す。そして蓋体42を上昇させ、減圧乾燥ユニット4への搬入時と逆順の工程を経てウエハWは主搬送手段25により搬出される。
【0026】
これまで述べてきたように本実施の形態によれば、減圧乾燥時に排気管5内へ温度調節したN2ガスを供給することで、塗布液から揮発する溶剤蒸気の温度コントロールをしているため、従来よりも少ないコストで排気管5内における溶剤蒸気の結露を抑え、且つ乾燥処理を迅速に行うことができる。加えて、排気管5内における溶剤の結露を防ぐことで排気流量のばらつきを抑えられるため、処理を繰り返して行っても毎回処理の開始から終了に至るまで安定した排気流量を維持することができ、結果としてウエハWのロット間の品質が均一化する。
【0027】
また本実施の形態では、不活性ガスを排気管5の途中から供給しているため、排気管5とガス配管53との接続部位P1よりも上流側で溶剤蒸気が結露するおそれが生じるが、当該部位はテープヒータ59にて温度調節可能とされているため、溶剤蒸気は排気管5のいずれの部位でも結露しにくい。「発明が解決しようとする課題」でも述べたように、このテープヒータ59はコスト的な問題があるものの、本実施の形態では密閉容器40からガス配管53の接続部位P1までの一定区間でのみ使用しているため、全体的にみればコストは低く済む。
【0028】
更に排気管5の接続部位P1より下流側に電極57(57a,57b)を設け、溶剤蒸気とN2ガスとの混合気体に交流電界を印加しているため、溶剤分子とN2分子との衝突を促進させ、当該混合気体の均一性を高めることができ、その上両分子同士の衝突頻度をコントロールすることで混合気体の温度調節も可能であるため、より確実に溶剤蒸気の結露を防止することができる。
【0029】
なお、溶剤蒸気と不活性ガスとの混合気体に電界を印加する手法は、溶剤分子が極性を有するものであることに着目したものであるため、同様に極性を有するものであれば高沸点シンナーを用いた場合のみならず、他の極性を有する溶剤を用いた塗布液を塗布した基板を乾燥する装置においても有効である。また第1の電力供給部61に接続する電極57の設置形態は、上述実施の形態に示した如く(図4〜図6参照)いわば排気管5を挟むようなものに限られず、例えば一対の電極を排気方向に並べて設けても構わない。具体的には、例えば一対のメッシュ状の電極を用意し、これを排気方向に対向させるようにして排気管5内に設けたものを挙げることができる。更にまた、第1の電力供給部61に接続する電極57を一つとし、他方をアースに接続する構成としてもよい。
【0030】
また、排気管5に不活性ガスを供給する場所(例えばP1)は、溶剤蒸気が排気管5の外部雰囲気からの影響を受けやすい箇所よりも上流側であれば、いずれの部位であってもよく、例えばガス配管53を密閉容器40に接続して密閉容器40の内部から排気管5側へ温度調節した不活性ガスを送り込むようにしてもよい。
【0031】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、減圧乾燥装置において迅速且つ安定したペースで乾燥処理を行うことができる。更にはロット間における製品の均一性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る減圧乾燥装置を組み込んだ塗布膜形成装置の全体構造を示す平面図である。
【図2】上記塗布膜形成装置の全体構造を示す斜視図である。
【図3】上記塗布膜形成装置に組み込まれる塗布ユニットについて示す概略説明図である。
【図4】本発明に係る減圧乾燥装置の実施の形態を示す縦断面図である。
【図5】本実施の形態の作用を示す作用説明図である。
【図6】本実施の形態の作用を示す作用説明図である。
【図7】従来発明における減圧乾燥装置を説明する概略断面図である。
【符号の説明】
W 半導体ウエハ
3 塗布ユニット
4 減圧乾燥ユニット
40 密閉容器
41 載置部
47 ヒータ
5 排気管(排気路)
51 減圧ポンプ
52 流量計
52a 流量調節部
53 ガス配管
54 ガス温調部
55 不活性ガス供給部
56 第1の温度検出部
57(57a,57b) 電極
6 制御部
61 第1の電力供給部
62 第2の電力供給部

Claims (7)

  1. 塗布膜の成分と、溶剤分子が極性を有する溶剤と、を混ぜ合わせてなる塗布液を塗布された基板を減圧状態で乾燥し、前記塗布液から溶剤の除去を行う減圧乾燥装置において、
    基板を載置する載置部を内部に備える密閉容器と、
    この密閉容器に排気路を介して接続され、当該密閉容器内を減圧雰囲気とすることで基板上の塗布液から溶剤を揮発させる減圧排気手段と、
    この減圧排気手段によって基板上の溶剤を揮発させるとき、塗布液から揮発した溶剤蒸気が前記排気路内で結露することを抑えるために、温度調節した不活性ガスを前記排気路に供給する不活性ガス供給手段と、
    前記排気路における前記不活性ガスの供給位置よりも下流側に設けられ、電力供給部から交流電圧が供給される電極と、を備え、
    前記排気路内に交流電圧を印加し、この排気路内の溶剤蒸気を振動させることにより、前記溶剤蒸気と不活性ガスとの各々の分子同士の衝突頻度を増加させることを特徴とする減圧乾燥装置。
  2. 前記不活性ガス供給手段は、不活性ガス供給部と、この不活性ガス供給部からの不活性ガスの温度を調整するためのガス温調部と、前記不活性ガス供給部からの不活性ガスを前記排気路に供給するために、前記排気路の途中に接続されるガス配管と、を備えることを特徴とする請求項1記載の減圧乾燥装置。
  3. 排気路における、当該排気路と前記ガス配管との接続部位よりも上流側の区間Aの周囲には、当該部位を流れる溶剤蒸気が結露することを防ぐための温度調節手段が設けられることを特徴とする請求項2記載の減圧乾燥装置。
  4. 不活性ガスは、密閉容器を介して排気路内に供給されることを特徴とする請求項1記載の減圧乾燥装置。
  5. 排気路内におけるガス流量を検出するためのガス流量検出部と、
    前記排気路における排気流量を調節する流量調節部と、
    前記排気路における排気流量が一定値に維持されるように、前記ガス流量検出部にて検出されるガス流量検出値に基づいて前記流量調節部の制御を行う制御部と、を備えることを特徴とする請求項2または3に記載の減圧乾燥装置。
  6. 前記制御部は、前記排気路における、当該排気路と前記ガス配管との接続部位と、電極が設けられた個所との間を区間Bとし、電極が設けられた個所から下流側の領域を区間Cとしたときに、区間Cにおける溶剤蒸気と不活性ガスとの混合気体の温度が、区間Bにおける溶剤蒸気と不活性ガスとの混合気体の温度よりも高くなるように、前記電力供給部の制御を行なうことを特徴とする請求項5に記載の減圧乾燥装置。
  7. 塗布膜の成分と、溶剤分子が極性を有する溶剤と、を混ぜ合わせてなる塗布液を塗布された基板を減圧状態で乾燥し、前記塗布液から溶剤の除去を行う減圧乾燥方法において、
    前記塗布液が塗布された基板を、減圧乾燥装置に設けられる密閉容器内に載置する工程と、
    減圧排気手段から排気路を介して排気を行うことで前記密閉容器内を減圧雰囲気とし、基板に塗布された塗布液中の溶剤を揮発させる工程と、
    揮発した溶剤蒸気が前記排気路内で結露しないように、温度調節された不活性ガスを、前記排気路に供給することにより前記溶剤蒸気に混合すると共に、前記排気路における前記不活性ガスの供給位置よりも下流側にて、溶剤蒸気と不活性ガスとの混合気体に対して交流電圧を印加することで、各々の分子同士の衝突頻度を増加させる工程と、を含むことを特徴とする減圧乾燥方法。
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