JP3859211B2 - 捕集装置、捕集方法及び減圧処理装置 - Google Patents

捕集装置、捕集方法及び減圧処理装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば半導体デバイスの製造工程における基板の減圧処理にて用いられる捕集装置及びその方法、並びに前記捕集装置を適用した減圧処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイスの製造工程には減圧雰囲気下で半導体ウエハ(以下ウエハという)の処理を行う場合がある。例えばウエハ表面に絶縁膜や層間絶縁膜を形成する手法の一つとして、シリコン酸化膜の前駆物質を含む塗布液をウエハ表面に塗布し、次いで塗布液から溶剤を揮発させるため、減圧雰囲気下で乾燥処理を行う手法がある。このような減圧乾燥処理を行う装置としては、従来より例えば図12に示す減圧乾燥装置11が知られており、以下簡単に説明する。
【0003】
図中12は蓋体13及び載置部14にて構成される密閉容器であり、蓋体13の天井部には開口部13aが形成されている。この開口部13aは排気管15を介して例えば塗布膜形成装置の外部に設けられる減圧ポンプ16と連通し、密閉容器12の内部を減圧することができるようになっている。このような装置では、先ず表面に塗布液が塗布されたウエハWを載置部14に載置し、図示しない温度調節手段にて該ウエハWを所定の温度に調整、例えば加熱すると共に減圧ポンプ16により密閉容器12内の減圧を行うことで、ウエハW表面に残る溶剤成分が揮発(乾燥)して減圧ポンプ16側に吸引され、ウエハW表面には塗布膜成分のみが残ることとなる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、減圧乾燥装置11にて用いられる減圧ポンプ16は、塗布膜形成装置外部のクリーンルーム側に設けられており、このため減圧乾燥時に揮発して減圧ポンプ16側に吸引される溶剤は、排気管15の途中で例えば23℃程度に維持されるクリーンルーム側の雰囲気の影響を受けてしまう場合がある。例えば絶縁膜の種類によっては例えば気圧が133Paの雰囲気下において沸点が30℃〜40℃程度である高沸点シンナーが用いられることがあり、このような場合にその溶剤蒸気は排気管15の途中で結露し易い。減圧ポンプ16における排気流量は一定に保たれているため、排気管15内で溶剤蒸気が結露すると、当該結露の量に応じて排気流量が変化してしまい、製品の品質にばらつきが生じる。また、徐々に結露の量が増えていくと、この増加量に応じて乾燥に要する時間も長くなってしまう。
【0005】
そこでこのような不具合を回避する対策の一つとして、排気管15の途中に溶剤蒸気を捕集するためのトラップ(捕集装置)を設けることが検討されている。この場合にはトラップから捕集した溶剤を除去するために、頻繁に排気管15からトラップを取り外し、新しいトラップと交換する、或いは取り外したトラップを洗浄して再度取り付けるといった作業が必要となり、メンテナンスに多大な労力を要し、装置の稼働が停止するトータルの時間が長くなることからスループットの低下の一因になる。またトラップを交換するタイミングを見誤ると、当該トラップにて捕集できなかった溶剤蒸気が排気管15におけるトラップの下流側に向かってしまい、上述のように結露してしまうおそれもある。
【0006】
本発明はこのような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、流路内を流れる気体中の被捕集成分を捕集するにあたり、メンテナンス作業の負担を減らすことができる捕集装置、捕集方法及び減圧処理装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る捕集装置は、流路内を流れる気体中の被捕集成分を捕集部にて捕集する捕集装置において、
流路を分断して形成された捕集部の設置空間と、
この設置空間を横切る移動路に沿って複数の捕集部を支持する支持部と、
この支持部に支持された複数の捕集部を順次設置空間に位置するように移動させるための移動手段と、
設置空間に位置する捕集部と流路とを気密に接続し、捕集部を移動するときにはその接続を解除する接続手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
このような構成によれば、捕集部にて流路内の被捕集成分を強制的に捕集しつつ、当該捕集部による捕集効率が低下したとき等に順次使用する捕集部を切り替えることができるため、捕集効率を長時間に亘って維持することができる。このため、被捕集成分を液化して捕集する場合には、被捕集材が結露しやすいように捕集を行う前の捕集部に対して冷却を行っておくことが好ましく、冷却部としては、例えば捕集部の入口側及び出口側を塞ぎ、その内部に気密空間を形成するための密閉部材と、この気密空間内に水分を供給するための水分供給手段と、この水分供給手段から供給された水分を凍らせるため、前記気密空間の雰囲気を減圧雰囲気とする減圧排気手段と、を備えるものを挙げることができる。また上述構成において、接続手段は、流路側に設けられたベローズ体及びベローズ体を伸縮させる駆動手段を含むものであることが好ましい。
【0009】
更にまた、被捕集成分を捕集した捕集部を加熱し、被捕集成分を除去するための加熱部を設ける構成とすることで、加熱後の捕集部を例えば捕集装置から取り外すことなくそのまま再利用することができる。加熱部としては、被捕集成分の捕集が終了した捕集部の入口側及び出口側を塞ぎ、その内部に気密空間を形成するための密閉部材と、この気密空間を形成した状態で前記捕集部の加熱を行う加熱手段と、前記気密空間の雰囲気を排気するための排気手段と、を備えたものが好ましい。
【0010】
このような構成によれば、例えば冷却部で被捕集成分の捕集を行う直前の捕集部を冷却し、被捕集成分の捕集を行い、加熱部にて被捕集成分の捕集を行った直後の捕集部から被捕集成分を除去する、といった流れで処理を行うことで捕集装置を停止することなくエンドレスに捕集装置を稼働させることができる。具体的には前記移動路を無端な移動路として形成し、予め定めたタイミングで各捕集部を移動させるように移動手段を制御部にて制御する構成とすることが好ましい。また移動路は直線状の移動路であってもよい。更に本発明に係る捕集装置は、例えば半導体デバイスの製造工程にて用いられる減圧処理装置に適用することも可能である。
【0011】
本発明に係る捕集方法は、前記流路を分断して形成された設置空間に捕集部を位置させて、流路内を流れる気体中の被捕集成分を捕集する捕集方法において、設置空間を横切る移動路に沿って配列された複数の捕集部を順次設置空間に位置するように移動させる工程と、
設置空間に位置する捕集部と流路とを気密に接続し、捕集部を移動するときにはその接続を解除する工程と、を含むことを特徴とする。この方法においては、捕集部が被捕集成分の捕集を行う前に、当該捕集部の冷却を行う工程と、被捕集成分の捕集を行った後に当該捕集部を加熱し、捕集した被捕集成分を除去する工程と、を含むことが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に本発明に係る捕集装置を適用した減圧処理装置について、半導体デバイスの製造工程にて用いられる減圧乾燥装置を例に取って説明する。先ず減圧乾燥装置の説明に先立ち、当該減圧乾燥装置を組み込んだ塗布膜形成装置の全体構成について図1及び図2を参照しながら簡単に説明すると、図中21はカセットステーションであり、例えば25枚の基板であるウエハWを収納したカセットCを複数個載置できるように形成されたカセット載置部22と、載置されたカセットCとの間でウエハWの受け渡しを行うための受け渡しアーム23とが設けられている。この受け渡しアーム23の奥側には筐体24にて周囲を囲まれる処理部S1が接続されている。処理部S1の中央には主搬送手段25が設けられており、これを取り囲むように例えば奥を見て右側には複数の塗布ユニット3が、左側、手前側、奥側には加熱・冷却系のユニット等を多段に積み重ねた棚ユニットU1,U2,U3が夫々配置されている。
【0013】
棚ユニットU1,U2,U3は、塗布ユニット3の前処理及び後処理を行うための各種ユニットを組み合わせて構成されるものであり、その組み合わせは例えば図2の棚ユニットU2に示すように塗布ユニット3にて表面に塗布液が塗られたウエハWを減圧雰囲気下で乾燥し、該塗布液中に含まれる溶剤を揮発させるための減圧乾燥ユニット4、ウエハWを加熱(ベーク)する加熱ユニット26、ウエハWを冷却する冷却ユニット27等が含まれる。なお棚ユニットU2については、ウエハWを受け渡すための受け渡し台を備えた受け渡しユニット28も組み込まれる。また、上述した主搬送手段25は例えば昇降及び前後に移動自在で且つ鉛直軸周りに回転自在に構成されており、塗布ユニット3及び棚ユニットU1,U2,U3を構成する各ユニット間でウエハWの受け渡しを行うことができる構成とされている。
【0014】
ここで塗布ユニット3の構成について簡単に説明すると、塗布ユニット3内にはウエハWを裏面側から吸着保持すると共に鉛直軸まわりに回転自在に構成される載置台31と、この載置台31に載置されたウエハWの上方を移動可能なノズル32とが設けられている。そして図示するようにウエハWを回転させておき、薬液を吐出させた状態でノズル32をウエハWの中心部上方から径方向に移動させることで、ウエハW表面に塗布液をいわば一筆書きの要領で螺旋状に塗布できる構成とされている。塗布液としては、絶縁膜成分であるポリイミドを例えばNMP(N−メチルピロリドン)等のいわゆる高沸点シンナーに溶解させた混合溶液が用いられる。
【0015】
次いで減圧乾燥ユニット4に組み込まれる減圧乾燥装置の構成について、図4を参照しながら説明する。図中41はウエハWを載置する載置部であり、その上部には蓋体42が設けられている。この蓋体42は昇降機構43の働きにより昇降自在とされており、下降時には載置部41の周縁部とシール材であるOリング44を介して気密に接合し、ウエハWの置かれる雰囲気を密閉雰囲気とする密閉容器40を構成する。載置部41の表面近傍には、減圧乾燥時にウエハWを所定温度に調整する温度調節手段例えば抵抗加熱体などにより構成されるヒータ45が埋設されている。一方、蓋体42の天井部42aには密閉容器40内の雰囲気を吸引排気できるように開口部46が形成されている。
【0016】
この開口部46には、例えばステンレスにより構成される流路をなす排気管5が接続されており、この排気管5の他端側は例えばクリーンルーム内に設けられる減圧排気手段をなす減圧ポンプ50へとバルブV1を介して接続している。なお排気管5における排気流量は、例えばバルブV1の上流側に設けられる図示しない流量調節手段により調節可能とされている。
【0017】
排気管5には、減圧乾燥処理を行う際に当該排気管5内を蒸気となって流れる溶剤成分(被捕集成分)を捕集するための捕集装置6が介設されている。この捕集装置6は複数例えば6個の捕集部60を有し、各捕集部60は、例えば排気管5と同じ管径の流路を有する筒状体61aと、この筒状体61aの内部に設けられ、溶剤成分の蒸気を捕捉する捕捉手段61bとで構成されている(図5右下参照)。捕捉手段61bとしては例えば金属メッシュを複数枚重ねたもの、多孔質セラミック、金属ウール、ステンレスウール、筒状体61aの空洞部に合致する大きさの袋体の中に小径の金属球及び/またはセラミック球を詰め込んだもの、或いはPTFE(ポリテトラフルオルエチレン)膜を何層かに積み重ねた円筒カートリッジ等を用いることが可能である。
【0018】
これら捕集部60は例えば図5に図示するように例えば円板状の支持部6Aにより周方向に沿って等間隔に支持されており、この支持部6Aにおける捕集部60の配置位置の中心には、例えば当該支持部6Aを水平な軸まわりに回転させられるように回転軸62が設けられている。また支持部6Aは、図6に示すケース体6Bの中に収納されており、上述の回転軸62のみが当該ケース体6Bの外部に突出するようになっている。従って、移動手段である回動部66(図4及び図5参照)の働きにより回転軸62を回転させると、ケース体6Bは動かず、支持部6Aのみが回転し、これに伴い各捕集部60の位置が変化する。
【0019】
更に図6に示されるように、ケース体6Bには三対の開口部63(63a,63b),64(64a,64b),65(65a,65b)が形成されている。これらの開口部は各々が例えば捕集部60における流路の管径と同じ大きさであり、捕集部60の配列間隔に対応して配列されている。
【0020】
ここで回動部66が回転軸62を回転させる方向を例えば下流側から見て反時計回りとすると、その理由等は後述するが開口部64(64a,64b)の位置にある捕集部60には排気管5が、開口部63(63a,63b)の位置にある捕集部60には冷却部7が、そして開口部65(65a,65b)の位置にある捕集部60には加熱部8が夫々気密に接続できるようになっている。以下、夫々の接続部位について図7〜9(一部については図4)を参照しながら詳述する。
【0021】
図7は、捕集部60を開口部64(64a,64b)と対応する位置に移動させたときの当該開口部64近傍を示す縦断面図である。ここで排気管5についてケース体6Bの上流側を排気管5a、下流側を排気管5bと呼ぶものとすると、排気管5a及び排気管5bの夫々の先端はベローズ体51により伸縮可能とされており、このベローズ体51の先端近傍に設けられる可動板67(67a,67b)が接続されている。可動板67(67a,67b)には図4に示す例えばエアシリンダよりなる駆動手段68(68a,68b)が接続されており、これら駆動手段68(68a,68b)により可動板67(67a,67b)の夫々をケース体6B側に移動させると、開口部64(64a,64b)を介して排気管5(5a,5b)と捕集部60(筒状体61aの端部61c)とが密着し、排気管5a、捕集部60及び排気管5bが夫々気密に連通する。図7中52は排気管5(5a,5b)とケース体6Bとの密着時における気密性を高めるためのリング状のシール部材である。
【0022】
ここで特許請求の範囲に記載の文言との整合を図っておくと、本実施の形態における可動板67(67a,67b)、駆動手段68(68a,68b)、シール部材52及びベローズ体51は、特許請求の範囲における「接続手段」に相当するものである。また回動部66及び駆動手段68の夫々は、制御部53から駆動制御されるようになっている。
【0023】
次いで上部側及び下部側の開口部63(63a,63b)、64(64a,64b)の夫々の近傍部位について図8及び図9を参照しながら説明を行う。詳細は後述するが、本発明は捕集部60の冷却、捕集部60による溶剤成分の捕集及び捕集部60にて捕集した捕集成分の揮発の各工程について、ここに記載した順序で行っていくことに特徴があり、このため捕集部60の位置を回転させる方向を下流側から見て反時計回りとした本実施の形態では、開口部64(63a,64b)の上部側(前工程)にて冷却を行い、同下部側(後工程)にて捕集した溶剤成分の揮発を行う必要がある。このため開口部63(63a,63b)の外方には当該位置にある捕集部60を冷却するための冷却部7が、開口部64の外方には捕集部60が捕集した捕集成分を揮発させるための加熱部8が夫々設けられており、以下これらの構成について詳述する。
【0024】
図8は冷却部7について示す縦断面図であり、71(71a,71b)は開口部63(63a,63b)を介して捕集部60の端部61cと密着することで、その内部に気密空間を形成する一対の密閉部材である。これら密閉部材71a、71bは、例えばいずれもがケース体6Bから見て外方に凹んだ形状とされており、気密空間の形成時には筒状体61aの両端開口部との間に一定の空間Sができるようになっている。密閉部材71(71a,71b)は、図示するように可動板67(67a,67b)と一体的に形成されており、駆動手段68(68a,68b)の働きにより排気管5(5a,5b)と同期して前後するようになっている。図中72はシール部材であり、既述のシール部材52と同様に役割を果たすものである。
【0025】
また例えば密閉部材71a,71bの夫々には、前記気密空間内に少量の水分を例えば霧状に供給するための水分供給手段である給水管73が接続されている。この給水管73はバルブV2を介して図示しない水分供給部と接続されており、図4に示すように制御部53からバルブV2の開閉制御を行うことにより水の給断及び流量の調節を行うようになっている。密閉部材71bには、排気管5bの途中から分岐する吸引管74がバルブV3を介して接続されており、この吸引管74の先端部は密閉部材71bが前後することを妨げないように、例えば蛇腹状(蛇腹部75)に形成されている。また吸引管74には、図4に示すように例えばバルブV3と蛇腹部75との間に分岐路76が接続されており、その途中にはバルブV4が設けられている。なおバルブV3,V4の開閉制御は制御部53より行われる。
【0026】
図9は加熱部8について示す縦断面図である。図中81(81a,81b)は密閉部材であり、冷却部におけるそれと同様に可動板67(67a,67b)と一体的に形成され、駆動手段68の働きによりシール部材82を介して、開口部65(65a,65b)の位置にある捕集部60の端部61cと密着し、捕集部60と共にその内部に気密空間を形成するものである。密閉部材81a及び81bの内部には、上述気密空間の加熱を行うための例えば抵抗発熱体よりなるヒータ83と、加熱温度を制御するときに用いる温度センサー例えば熱電対(図示せず)とが埋設されている。このヒータ83の温度制御は電力供給部54(図4参照)を介して制御部53から行う構成とされており、例えば溶剤の沸点に合わせてヒータ83を任意の温度に設定することができるようになっている。また例えば密閉部材81bには、図4に示すように排気管5から分岐した吸引管84がバルブV5を介して接続されている。吸引管84の先端は吸引管74と同様に蛇腹部85とされており、バルブV5の開閉制御は制御部53から行われる。
【0027】
次いで再び図4に戻り、本実施の形態の捕集装置6以外の部分について説明する。排気管5における捕集装置6の上流側には、温度調節手段をなすテープヒータ55が設けられている。これは例えば減圧乾燥時において排気管5内を流れる溶剤成分の蒸気が開口部46から捕集装置6に至るまでに結露することを防ぐためのものであり、例えばベローズ体51を除く排気管5aの全域に亘って設けられる。また、テープヒータ55による温度の調節は、制御部か53から電力供給部54における出力量を調節することで行われる。
【0028】
次に上述実施の形態の作用について説明する。先ずカセットCがカセットステーション21に搬入されると、受け渡しアーム23によりウエハWが取り出される。そしてウエハWは受け渡しアーム23から棚ユニットU2中の受け渡しユニット28を介して主搬送手段25へと受け渡され、塗布ユニット3内に搬入されて既述のようにして表面全体に溶剤に塗布膜形成成分を溶解させた塗布液が塗布される。
【0029】
しかる後ウエハWは、主搬送手段25にて減圧乾燥ユニット4へと搬送される。減圧乾燥ユニット4へのウエハWの搬入は、先ず蓋体42が上昇した状態で主搬送手段25のウエハ搬送アーム100が載置部41の上方まで進入し、図示しないリフトピンの働きによりウエハ搬送アーム100からウエハWが載置部41に受け渡される。その後、蓋体42を下降させて密閉容器40を構成し、ヒータ45にて例えば50℃程度にウエハWを加熱すると共にバルブV1を開いて減圧ポンプ50により密閉容器40内の吸引を開始し、ウエハWの置かれる雰囲気を溶剤が沸点に至るよりも少し高い圧力例えば350Paの減圧雰囲気とする。これによりウエハW表面上に塗布された塗布液中の溶剤が激しく揮発し、揮発した溶剤蒸気は排気流と共に開口部46を介して排気管5へと向かう。
【0030】
ここで便宜上ケース体6Bに収納されている6つの捕集部60について、下流側から見て時計回りに60a〜60fと呼ぶものとし、ケース体6Bを下流側から見たときの概略図である図10(a)〜(c)を参照しながら捕集装置6の作用について説明する。捕集装置6では、先ず上述したウエハWの減圧乾燥処理に先立ち、例えば一の捕集部60aに対する冷却が行われる。具体的には回動部66にて捕集部60aが開口部63(63a,63b)に対応する位置に来るように各捕集部60の位置決めを行い(図10(a)参照)、駆動手段68により可動板67(67a,67b)をケース体6Bを挟圧する方向に動かし、これにより密閉部材71(71a,71b)がシール部材72を介して捕集部60aの端部61cに密着し、当該捕集部60aの筒状体61aと共に気密空間を形成する。
【0031】
そしてバルブV3を閉じると共にバルブV4を開き、冷却部7における気密空間の圧力を例えば大気圧程度とした状態でバルブV2を開き、捕集部60a内の捕捉手段61bに向けて少量の水分を霧状に吹き付ける。その後、バルブV2及びV4を閉じると共にバルブV3を開いて吸引管74による減圧排気を開始し、断熱膨張によって気密空間内の水分が凍るまで排気を継続する。こうして捕集部60a(正確にはその内部の捕捉手段61b)に付着した水分が凍ると減圧排気を停止し、可動板67(67a,67b)を先程とは逆にケース体6B外方側へと離すと共に冷却済みの捕集部60aが開口部64(64a,64b)の位置に来るように各捕集部60(60a〜60f)の位置を反時計回りに回転させ、この結果各捕集部60の位置は図10(b)に示すようになる。これ以降行われる捕集部60(60a〜60f)の位置替えでも同様であるが、この位置替え時におけるケース体6Bと可動板67(67a,67b)との離間距離は例えば5mm程度である。
【0032】
しかる後、再び可動板67(67a,67b)がケース体6Bを狭圧して排気管5と捕集部60aとが連通すると、密閉容器40では上述のようにして一枚目のウエハWに対する減圧乾燥処理が開始され、揮発した溶剤の蒸気が排気管5へと向かう。排気管5aではテープヒータ55により溶剤蒸気が結露しない程度まで加熱されており、密閉容器40から流入してきた溶剤蒸気は管内に付着することなく捕集部60aへと向かい、捕集部60a内にて急激に冷却され、液化して捕捉される。こうして密閉容器40では、例えば捕集部60aの捕集能力があるレベルまで低下するまでウエハWの処理を連続して行い、所定枚数の処理が終わると、その後は他の捕集部60(後述する捕集部60b)へと使用する捕集部60の切り替えが行われる。
【0033】
一の捕集部60が他のものに交換されるまでのウエハ処理枚数は、例えば予め行っておいた試験結果に基づき、ウエハWの処理枚数と捕集部における捕集能力の低下割合との兼ね合いにより決定される。また、当然のことながら捕集部60aにおける溶剤成分の捕集能力があるレベルまで低下しなくとも、例えば溶剤成分が飽和したとき等には適宜交換が行われる。
【0034】
このとき冷却部7に対応する開口部63(63a,63b)の位置には、図示するように捕集部60bが位置決めされているが、既述のように密閉部材71(71a,71b)は、排気管5のベローズ体51と共に可動板67(67a,67b)に一体的に設けられているため、捕集部60aが排気管5と連通するときには捕集部60bも密閉部材71(71a,71b)と共に気密空間を形成することとなり、捕集部60bの冷却、上述した所定枚数分のウエハWへの処理が行われる間に行われる。
【0035】
そして所定枚数分のウエハWの処理が終了すると、捕集装置6では再び捕集部60a〜60fの位置替えが行われる。即ち、捕集部60a〜60fは夫々一段ずつ反時計回りに回転され、図10(c)に示すように捕集部60aは開口部65(65a,65b)と対応する位置に、捕集部60bは開口部64(64a,64b)と対応する位置に、捕集部60cは開口部63(63a,63b)と対応する位置に夫々移動することとなる。しかる後、再度ウエハWに対する減圧乾燥処理が開始すると、捕集部60aに対しては加熱部8によって溶剤成分よりなる被捕集物を揮発させるための加熱が行われ、既に冷却済みの捕集部60bは溶剤成分(蒸気)の捕集を行い、未だ冷却されていない捕集部60cに対しては冷却が行われる。
【0036】
捕集部60aに対する加熱は以下のように行う。先ず当該捕集部60aが密閉部材81(81a,81b)と共に気密空間を形成した後、バルブV5を開いて気密空間の減圧排気を行うと共にヒータ83による加熱を開始し、捕集された溶剤成分を揮発させて除去する。揮発した溶剤成分の蒸気は例えば吸引管84に介設される図示しない気液分離手段を経て回収され、溶剤の取り除かれた捕集部60aは所定枚数分のウエハWの処理が終わる毎に移動を繰り返し、一周した後に再度溶剤蒸気の捕集を行うこととなる。このように捕集部60a〜fに対する一連の工程、即ち冷却、溶剤成分(蒸気)の捕集、加熱の各工程が繰り返し行われる。
【0037】
このようにして捕集装置6をサイクリックに使用していれば、理論上は各捕集部60をケース体6Bから取り出すことなく、半永久的に使用することができるわけだが、実際には捕捉部材61bが劣化したり或いは加熱部8では除去できない物質が徐々に付着していく場合がある。このため予め定めた所定の時期がくると装置を停止し、例えばケース体6Bから捕集部60a〜60fを取り外して、洗浄或いは動作チェックといった捕集装置6全体のメンテナンス作業が行われる。捕集部60a〜60fの洗浄は、昇華物等の付着物を溶解させる溶解液例えばシンナー等を用いて行われ、各捕集部60a〜60fそのものが劣化している場合には交換される。
【0038】
これまで述べてきたように、本実施の形態によれば、捕集装置6により排気管5内を流れる気体中の溶剤成分を強制的に捕集できると共に、当該溶剤成分の捕集能力の低下を見込んだタイミングで、順次使用する捕集部60の切り替えを行うことができるため、捕集装置6の全体で見れば、高い捕集能力を長時間に亘って維持することができる。また、エンドレスな移動路に沿って捕集部60(60a〜60f)を設け、これらを順次排気管5内に位置させると共に使用済みの捕集部60については加熱により捕集能力を回復させて再利用するので、捕集装置6の交換作業の頻度を少なくすることができ、作業者の負担を軽減できると共に稼働停止のトータル時間の短縮化に寄与することができ、スループットの向上を図ることができる。
【0039】
なお、本実施の形態における捕集装置の構成は上述したものに限定されるものではなく、例えば加熱部8を設けない構成としてもよい。この場合、全ての捕集部60が溶剤蒸気の捕集を終えた時点(一巡した時点)で捕集装置6の使用を停止するようにしてもよいし、一枚のウエハWの処理が終わる毎に使用する捕集部60を切り替えていき、何回転かして全ての捕集部での捕集量が限度に達した時点で捕集装置6の使用を停止するようにしてもよい。このような実施の形態においては、予めウエハ一枚当たりの溶剤蒸気の発生量等を試験により把握しておき、ウエハの処理枚数に応じて捕集部60の切り替え或いは捕集装置6全体のメンテナンスのタイミングを決定するようにすることが好ましい。
【0040】
捕集装置の構成は上述したように捕集部を周方向に沿って配列したものに限定されるものではなく、例えば捕集部を直線方向に沿って配置し、これをケース体内で移動させるものであってもよい。図11は係る実施の形態における捕集装置9の構成を示す概略斜視図であり、ケース体90の内部には、縦一列に配置された捕集部91(上述実施の形態における捕集部60と同様のもの)が例えば5個収納されている。これら捕集部91は支持部91aにより各々の位置を固定されており、移動手段である駆動部92から支持部91aを上下させることで各捕集部91の位置を変えることができるようになっている。
【0041】
ケース体90には上下に3対の開口部93(93a,93b),94(94a,94b),95(95a,95b)が形成されており、これらは上述実施の形態における開口部63(63a,63b),64(64a,64b),65(65a,65b)に相当する。従って駆動部92の働きにより例えば固定体91aを上から下に順次スライドさせることで、各捕集部91が先ず冷却部7により冷却され、次いで排気管5(5a,5b)内の蒸気を捕集し、最後に加熱部8による加熱により捕集物(溶剤成分)の除去を行う。そして例えば最上段の捕集部91の加熱が終了すると、再度支持部91aを最高位置まで上昇させて予め定めたメンテナンス時間に至るまで処理を連続して行う。ここでいうメンテナンス時間は、予め取得しておいた実験結果に基づいて定められたものであってもよいし、上述実施の形態と同様にウエハWの処理枚数により決定されるものであってもよい。
【0042】
なお、以上においては減圧乾燥処理を例に説明を行ってきたが、減圧処理はこれに限定されるものではなく、例えば減圧下で反応ガスを用いて反応生成物を基板上に堆積するCVD処理やエッチング処理でもよい。また捕集装置の上流側排気管において、蒸気の結露を防ぐための温度調節手段はテープヒータに限定されず、例えば温度調節された不活性ガスを当該領域に流す手法を採ることでも同様の効果を得ることができる。
【0043】
更に、被捕集成分は排気管中を蒸気となって流れるものに限定されず、例えば昇華成分であってもよいし、パーティクルであってもよい。従って本実施の形態に係る捕集装置は、清浄気体を供給するための流路に設けられるパーティクルフィルタや水分除去用のフィルタに代えて用いることも可能である。また各捕集部を移動させるための移動手段とは、上述した回動部66や駆動部92のような自動化が可能な装置に限ったものではなく、手動も含む意味である。
【0044】
更にまた、本実施の形態は捕集装置6及び減圧ポンプ50が複数の密閉容器40によって共用される構成であっても構わない。この場合、捕集装置6の上流側に複数の密閉容器40を接続し、各密閉容器40を交互に使用できる構成とすることが好ましい。従って例えば2基の密閉容器40を使用する場合には、一方の密閉容器40にて減圧乾燥処理を行う間は他方の密閉容器40では例えば未処理ウエハの搬入が行われ、一方側における減圧乾燥処理が終了すると処理済みウエハの搬出が行われ、他方側にて未処理ウエハに対する減圧乾燥処理が開始される。
【0045】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、流路内を流れる気体中の被捕集成分を捕集するにあたり、メンテナンス作業の負担を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る減圧処理装置を組み込んだ塗布膜形成装置の全体構造を示す平面図である。
【図2】上記塗布膜形成装置の全体構造を示す斜視図である。
【図3】上記塗布膜形成装置に組み込まれる塗布ユニットについて示す概略説明図である。
【図4】本発明に係る減圧処理装置の実施の形態を示す縦断面図である。
【図5】上記の減圧処理装置に組み込まれる支持部を示す概略斜視図である。
【図6】上記の減圧処理装置に組み込まれるケース体を示す概略斜視図である。
【図7】捕集装置と排気管の接続部位を示す縦断面図である。
【図8】捕集装置の一部をなす冷却部を示す縦断面図である。
【図9】捕集装置の一部をなす加熱部を示す縦断面図である。
【図10】本実施の形態の作用を示す作用説明図である。
【図11】本発明に係る捕集装置の他の実施の形態について示す概略斜視図である。
【図12】従来発明における減圧処理装置を説明する概略断面図である。
【符号の説明】
W 半導体ウエハ
3 塗布ユニット
4 減圧乾燥ユニット
40 密閉容器
41 載置部
45 ヒータ
5(5a,5b) 排気管(流路)
50 減圧ポンプ
53 制御部
6 捕集装置
6A 支持部
6B ケース体
60(60a〜60f) 捕集部
63,64,65 開口部
66 回動部(移動手段)
68 駆動手段
7 冷却部
71(71a,71b) 密閉部材
73 給水管(水分供給手段)
74 吸引管
8 加熱部
81(81a,81b) 密閉部材
83 ヒータ
84 吸引管

Claims (15)

  1. 流路内を流れる気体中の被捕集成分を捕集部にて捕集する捕集装置において、
    流路を分断して形成された捕集部の設置空間と、
    この設置空間を横切る移動路に沿って複数の捕集部を支持する支持部と、
    この支持部に支持された複数の捕集部を順次設置空間に位置するように移動させるための移動手段と、
    設置空間に位置する捕集部と流路とを気密に接続し、捕集部を移動するときにはその接続を解除する接続手段と、を備えることを特徴とする捕集装置。
  2. 接続手段は、流路側に設けられたベローズ体及びベローズ体を伸縮させる駆動手段を含むものであることを特徴とする請求項1記載の捕集装置。
  3. 被捕集成分を捕集できるように、設置空間に移動される前の捕集部を予め冷却する冷却部を備えることを特徴とする請求項1または2記載の捕集装置。
  4. 冷却部は、捕集部の入口側及び出口側を塞ぎ、その内部に気密空間を形成するための密閉部材と、
    この気密空間内に水分を供給するための水分供給手段と、
    この水分供給手段から供給された水分を凍らせるため、前記気密空間の雰囲気を減圧雰囲気とする減圧排気手段と、を備えることを特徴とする請求項3記載の捕集装置。
  5. 被捕集成分の捕集を行った捕集部を加熱し、当該捕集部にて捕集された被捕集成分を除去する加熱部を備えることを特徴とする請求項1または4記載の記載の捕集装置。
  6. 加熱部は、被捕集成分の捕集が終了した捕集部の入口側及び出口側を塞ぎ、その内部に気密空間を形成するための密閉部材と、
    この気密空間を形成した状態で前記捕集部の加熱を行う加熱手段と、
    前記気密空間の雰囲気を排気するための排気手段と、を備えることを特徴とする請求項5記載の捕集装置。
  7. 前記移動路は、無端な移動路であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の捕集装置。
  8. 前記移動路は、直線状の移動路であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の捕集装置。
  9. 予め定めたタイミングで、各捕集部を設置空間に順次位置させるように移動手段を制御する制御部を備えたことを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の捕集装置。
  10. 塗布膜の成分と溶剤とを混ぜ合わせてなる塗布液を塗布された基板に対して減圧状態で処理を行い、前記塗布液中の溶剤を揮発させる減圧処理装置において、
    基板を載置する載置部を内部に備える密閉容器と、
    この密閉容器に流路を介して接続され、当該密閉容器内を減圧雰囲気とすることで基板上の塗布液から揮発した溶剤を流路側へと向かわせる減圧排気手段と、前記流路に組み合わせて設けられ、当該流路内を流れる前記溶剤を被捕集成分として捕集する請求項1ないし8のいずれかに記載の捕集装置と、を備えることを特徴とする減圧処理装置。
  11. 塗布膜の成分と溶剤とを混ぜ合わせてなる塗布液を塗布された基板に対して減圧状態で処理を行い、前記塗布液中の溶剤を揮発させる減圧処理装置において、
    基板を載置する載置部を内部に備える密閉容器と、
    この密閉容器に流路を介して接続され、当該密閉容器内を減圧雰囲気とすることで基板上の塗布液から揮発した溶剤を流路側へと向かわせる減圧排気手段と、前記流路に組み合わせて設けられ、当該流路内を流れる前記溶剤を被捕集成分として捕集する請求項9記載の捕集装置と、を備えることを特徴とする減圧処理装置。
  12. 各捕集部を設置空間に順次位置させるタイミングは、基板の処理枚数が予め定めた枚数に達したときであることを特徴とする請求項11記載の減圧処理装置。
  13. 前記流路を分断して形成された設置空間に捕集部を位置させて、流路内を流れる気体中の被捕集成分を捕集する捕集方法において、
    設置空間を横切る移動路に沿って配列された複数の捕集部を順次設置空間に位置するように移動させる工程と、
    設置空間に位置する捕集部と流路とを気密に接続し、捕集部を移動するときにはその接続を解除する工程と、を含むことを特徴とする捕集方法。
  14. 被捕集成分を捕集できるように、設置空間に移動される前の捕集部を予め冷却する工程を含むことを特徴とする請求項13記載の捕集方法。
  15. 被捕集成分の捕集を行った捕集部を加熱し、当該捕集部に捕集された被捕集成分を除去する工程を含むことを特徴とする請求項13または14記載の捕集方法。
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