JP3849846B2 - 回転式基板処理装置及び回転式基板処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、半導体ウエハ等の被処理基板に例えば薬液や純水等の液体を用いて処理を行う回転式基板処理装置及び回転式基板処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の回転式基板処理装置としては、例えば円盤状に形成された半導体ウエハの被処理基板を複数平行に配置した状態で保持するロータを備えたものが知られている。ロータは、被処理基板の周縁を保持する保持手段、例えば複数の保持棒を有しており、各保持棒を被処理基板の周縁部に当接させることにより、同被処理基板を保持するようになっている。また、保持棒は、被処理基板が当たる位置に一定の間隔をおいて複数の案内溝が形成されており、この案内溝によって、各被処理基板を安定的に保持するようになっている。
【0003】
上記のように構成された回転式基板処理装置においては、ロータを所定の回転数で回転させながら、薬液や純水等の液体を被処理基板に吹き付けることにより、パーティクル、有機汚染物等のコンタミネーションや除去が必要なレジスト膜,酸化膜等を被処理基板から満遍なく除去することができる。また、ロータの回転による遠心力を利用して、液体を外側に吹き飛ばすことにより、被処理基板を乾燥させることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記回転式基板処理装置においては、ロータが高速回転していても被処理基板の回転数が追従していないため、処理レシピに応じた期待される充分な効果が得られなかった。
【0005】
また、各被処理基板の寸法誤差に伴って各被処理基板と保持棒との保持状態が維持できるものと、できないものが発生して不均一となり、そのため、各被処理基板を均一に処理することができず、処理効率の低下を招くおそれもあった。
【0006】
更には、ロータの回転始動時や回転停止時に保持棒と被処理基板との間にスリップが生じ、このスリップによって保持棒の摩耗量が多くなるため、保持棒の交換時期を早めに行う必要があった。
【0007】
この発明は、上記事情に鑑みなされたもので、ロータの回転に被処理基板を確実に追従させることにより、被処理基板の処理効率の向上を図れるようにし、また、ロータの保持手段と被処理基板との間のスリップを可及的に少なくして、保持手段の摩耗量を少なくすると共に、保持手段の寿命の増大を図れるようにした回転式基板処理装置及び回転式基板処理方法を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、適宜間隔をおいて配列される複数の被処理基板を保持する保持手段を有するロータと、上記ロータを回動する回転制御可能な回転手段と、を具備し、上記保持手段は、側方からの上記被処理基板の挿入の際に開閉移動する開閉保持棒と、この開閉保持棒と共働して上記被処理基板を保持する複数の保持棒とを具備する回転式基板処理装置であって、 上記保持棒のうちの少なくとも1つの保持棒は、上記ロータの回転による遠心力によって上記複数の被処理基板の側縁部に向かって移動すべく支持軸に回転自在に嵌合され、かつ、被処理基板の枚数に対応した複数の押圧部材を具備することを特徴とする。
【0009】
請求項6記載の発明は、上記請求項1記載の発明と同様に、適宜間隔をおいて配列される複数の被処理基板を保持する保持手段を有するロータと、上記ロータを回動する回転制御可能な回転手段と、を具備し、上記保持手段は、側方からの上記被処理基板の挿入の際に開閉移動する開閉保持棒と、この開閉保持棒と共働して上記被処理基板を保持する複数の保持棒とを具備する回転式基板処理装置であって、 上記開閉保持棒は、上記ロータの回転による遠心力によって上記複数の被処理基板の側縁部に向かって移動すべく支持軸に回転自在に嵌合され、かつ、被処理基板の枚数に対応した複数の押圧部材を具備すること特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の回転式基板処理装置において、上記開閉保持棒は、ロータの回転による遠心力によって被処理基板の側縁部に向かって移動する弾性変形可能な押圧片を有する押圧体を具備することを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の回転式基板処理装置において、上記開閉保持棒は、供給される流体の圧力によって被処理基板の側縁部に向かって膨隆する弾性変形可能な保持溝を具備することを特徴とする。
【0012】
請求項4記載の発明は、上記請求項1記載の発明に加えて、上記押圧部材は、支持軸にスペーサを介在して回転自在に嵌合される板状本体の回転側面に押圧部を具備すると共に、偏心位置に重りを具備し、かつ、上記支持軸と平行に配設される回転規制軸を係合可能に遊嵌する案内溝を具備することを特徴とする。この場合、上記押圧部材におけるスペーサと接する面に、回転中心から外方に向かって開口する1又は複数の排出溝を形成する方が好ましい(請求項5)。
【0013】
また、請求項7記載の発明は、請求項1又は6記載の回転式基板処理装置を用いた回転式基板処理方法であって、 上記ロータの回転による遠心力によって上記複数の押圧部材がそれぞれ上記複数の被処理基板の側縁部に向かって移動して押圧する工程と、 回転中に、上記被処理基板に処理液を供給する工程と、を有することを特徴とする。
【0014】
請求項1,2,3記載の発明によれば、開閉保持棒と共働して被処理基板を保持する保持棒のうちの少なくとも1つの保持棒が、ロータの回転による遠心力によって複数の被処理基板の側縁部に向かって移動する複数の押圧部材、又は、上記複数の押圧部材とロータの回転による遠心力によって被処理基板の側縁部に向かって移動する弾性変形可能な押圧片を有する押圧体を具備することにより、ロータの回転に被処理基板を確実に追従させることができ、また、ロータの保持手段と被処理基板との間のスリップを少なくすることができる。
【0015】
請求項6記載の発明によれば、保持棒と共働して被処理基板を保持する開閉保持棒が、ロータの回転による遠心力によって複数の被処理基板の側縁部に向かって移動する複数の押圧部材を具備することにより、ロータの回転に被処理基板を確実に追従させることができ、また、ロータの保持手段と被処理基板との間のスリップを少なくすることができる。
【0016】
請求項4記載の発明によれば、請求項1記載の発明に加えて、押圧部材は、支持軸にスペーサを介在して回転自在に嵌合される板状本体の回転側面に押圧部を具備すると共に、偏心位置に重りを具備することにより、ロータの回転による遠心力によって押圧部材を確実に被処理基板の側縁部に押圧することができ、更にロータの回転に被処理基板を確実に追従させることができると共に、ロータの保持手段と被処理基板との間のスリップを可及的に少なくすることができる。また、押圧部材に、支持軸と平行に配設される回転規制軸を係合可能に遊嵌する案内溝を設けることにより、押圧部材の押圧位置と非押圧位置との回転範囲を規制することができるので、ロータの回転に追従して押圧部材が迅速に被処理基板の側縁部に押圧することができる。この場合、押圧部材におけるスペーサと接する面に、回転中心から外方に向かって開口する1又は複数の排出溝を形成することにより、押圧部材とスペーサとの間に付着する液体やパーティクル等を外部に排出することができる(請求項5)。
【0017】
請求項7記載の発明によれば、複数の保持手段のうちの少なくとも1つの保持手段により、ロータの回転による遠心力によって各被処理基板を押圧した状態で、回転中に、被処理基板に処理液を供給して、被処理基板を処理することができる。したがって、回転手段を高速回転することによって保持手段の保持力を強固にして、ロータの回転に各被処理基板を確実に追従させることができ、各被処理基板を処理レシピに応じて均一に処理することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に、この発明の実施形態について、添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0019】
◎第一実施形態
図1はこの発明に係る回転式基板処理装置の第一実施形態の側断面図、図2は図1のI−I線に沿う断面図である。
【0020】
この実施形態で示す回転式基板処理装置は、図1及び図2に示すように、適宜間隔をおいて配列される複数例えば26枚の被処理基板、例えば半導体ウエハW(以下にウエハWという)を保持する保持手段2を有するロータ1と、このロータ1を回動する回転手段である回転制御可能なモータ4と、モータ4の回転数を制御する制御手段である中央演算処理装置50(以下にCPU50という)とを具備している。
【0021】
上記保持手段2は、後述するウエハWの搬送手段であるウエハ移動機構77(図13参照)から保持空間80内に挿入される際に開閉移動する一対の開閉保持棒3と、この開閉保持棒3と共働してウエハWを保持する複数(4本)の保持棒2a〜2dとを具備し、保持棒2a〜2dのうちの少なくとも1つの保持棒、例えば図2における右上に位置する保持棒2aは、ロータ1の回転による遠心力によってウエハWの押圧力が可変可能な機能を具備している。つまり、保持棒2aは、ロータ1の回転による遠心力によって各ウエハWの側縁部に向かって移動する複数の押圧部材5を具備している(図2及び図3参照)。この場合、保持棒2a〜2dは、ウエハWの水平方向の中心線より上側に位置し、かつウエハWの垂直方向の中心線に対して左右対称になるように4つ設けられている。また、開閉保持棒3は、ウエハWを保持した状態において、ウエハWの水平方向の中心線より下側に位置し、かつウエハWの垂直方向の中心線に対して左右対称になるように2つ設けられている。
【0022】
上記保持棒2aは、図4及び図5に示すように、支持軸6にスペーサ7を介在して回転自在に嵌合されるウエハWの枚数(26枚)に対応した複数の押圧部材5を具備している。この押圧部材5は、例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)製の板状本体5aの回転側面に押圧部5bを具備すると共に、偏心位置に重り5cを具備し、かつ、支持軸6と平行に配設される回転規制軸8を係合可能に遊嵌する案内溝5dを具備している。この場合、板状本体5aの回転側面の一部に、円弧部5eと平坦部5fとが設けられ、この円弧部5eと平坦部5fとの交差部にて押圧部5bが形成されている。また、板状本体5aは、図5(b)に示すように、支持軸6の嵌合孔5gに関して対向する一端部に重り取付孔5hが穿設され、この重り取付孔5h内に例えばステンレス等の金属製重り5cが嵌挿されている。また、重り5cと対向する他端部には、嵌合孔5gに連なって略U字状の案内溝5dが設けられている。更に、板状本体5aの回転側面には、嵌合孔5gと連通する液抜き孔5iが設けられている。
【0023】
また、押圧部材5におけるスペーサ7と接する両側面に、回転中心から外方に向かって開口する複数の排出溝5jが形成されている(図6参照)。この排出溝5jは必ずしも複数である必要はなく、1つであってもよい。
【0024】
その他の保持棒2b〜2dは、その外周部にはウエハWの周縁部を案内すると共に、同周縁部に対し押し付け力を付与する案内溝10が形成され、かつ回転による遠心力により液体を外側に逃がす液抜き孔(図示せず)が案内溝10につながるように設けられている。
【0025】
上記開閉保持棒3も、保持棒2aと同様に、ロータ1の回転による遠心力によってウエハWの押圧力が可変可能な機能を具備している。つまり、開閉保持棒3は、図7に示すように、ウエハWの周縁部に直交する方向に延びる断面が矩形状の基部3aと、この基部3aの一端に切欠き3bを介して外周面が円弧をなす舌片状の弾性変形可能な押圧片3cを有する押圧体3dを具備している。この開閉保持棒3は、例えばPTFE等の弾性部材にて形成されている。なお、切欠き3b内には、開閉保持棒3の材質より硬質の弾性部材にて形成される補強部材3が嵌挿されている(図7(c)参照)。また、開閉保持棒3の外周部には、上記保持空間80を閉じて押圧体3dの押圧片3cでウエハWを保持した状態において、押圧体3d及び押圧片3cから外側に延びる液切り溝3eが形成されている。また、開閉保持棒3は、取付部材11に取付ボルト12で固定されたもので構成されている。また、取付部材11には、取付ボルト12の螺合するねじ孔11cが貫通するように設けられている。すなわち、取付部材11は、一対のリブ11aと、これらのリブ11aを連結するウエブ11bとによって断面コ字状に形成され、開閉保持棒3の押圧体3dの押圧片3cでウエハWの周縁部を保持した状態において、ウエブ11bがウエハWの周縁部にほぼ直交する方向を向くようになっており、上記ねじ孔11cはウエブ11bを貫通するように形成されている。
【0026】
取付部材11の各端部は、図2に示すように、アーム13を介して図示しない駆動シリンダの揺動軸に連結されており、駆動シリンダの駆動によって開閉保持棒3が開閉移動するように構成されている。
【0027】
また、開閉保持棒3は、上記アーム13と連結するバランスウエイト14がロータ1の回転による遠心力によって移動することによって、上記押圧片3cがウエハWの周縁部に向かって移動するように構成されている(図8参照)。なお、保持空間80内にウエハWを挿入可能であれば、開閉保持棒3を1つのもので構成してもよい。
【0028】
上記ロータ1は、保持棒2a〜2d及び開閉保持棒3の一方の端部側に配置された第1の円盤15aと、保持棒2a〜2d及び開閉保持棒3の他方の端部側に配置された第2の円盤15bとを備えている。この場合、保持棒2a〜2dは、第1及び第2の各円盤15a,15bから突出する一方及び他方の各端部に袋ナット16を螺合することにより、各円盤15a,15bに固定されるようになっている。
【0029】
なお、第1の円盤15aは、モータ4に連結する回転駆動軸20の端面に固定ボルト21で固定されるようになっている。このため、第1の円盤15aには、固定ボルト21の頭部が沈むように形成した拡開テーパ状の沈み穴ぐり22が形成されている。
【0030】
また、上記バランスウエイト14は、図1に示すように、円盤15a,15bを貫通する連結軸17を介してアーム13と連結されて、ロータ1の回転による遠心力によって連結軸17を中心として回動するように構成されている。このバランスウエイト14は、円盤15a,15bの外面側に突出されたロックピン18によって必要以上に外側へ開くのを防止している(図8参照)。なお、ロックピン18は、円盤15a,15bに設けられた透孔(図示せず)内を貫通して配設されており、円盤15a,15bの内側に突出する端部に連結される連結部材19を図示しない切換シリンダと、円盤15a,15bの外面に装着されるカバーケース23内に配設された引っ張りばね(図示せず)によって円盤15a,15bに対して接離移動することで、ロックピン18とバランスウエイト14とが係脱可能になっている。つまり、ロータ1の回転が停止された状態で、ウエハWの受け渡しを行う場合には、引っ張りばねの弾性力に抗して切換シリンダを伸長してロックピン18を円盤15a,15bの内面側に移動してバランスウエイト14と係合しない位置に移動した後、駆動シリンダを駆動して開閉保持棒3を開放側に移動する。開閉保持棒3が開放位置に移動された状態で、ウエハ移動機構77によって保持されたウエハWが保持空間80内に挿入された後、再び駆動シリンダが駆動して開閉保持棒3を閉鎖位置に移動して、開閉保持棒3と保持棒2a〜2dとが共働してウエハWを保持する。このようにしてウエハWが保持された後、切換シリンダが連結部材19から離脱されると、引っ張りばねの弾性力によってロックピン18が円盤15a,15bの外面側に突出してバランスウエイト14と係合可能となる。
【0031】
次に、上記回転式基板処理装置の作動態様について説明する。まず、図示しない駆動シリンダによって開閉保持棒3を開放位置に移動して保持空間80を開いた状態にし、ウエハ移動機構77によって搬送される複数のウエハWを保持空間80内に挿入する。そして、開閉保持棒3を閉鎖位置側に移動させることにより、保持空間80を閉じ、ロータ1でウエハWを保持した状態にし、ウエハ移動機構77を退避させる。各ウエハWは、保持棒2a〜2d及び開閉保持棒3によって平行に、かつ確実に保持された状態になる。そこで、回転駆動軸20を介してロータ1を所定の回転数例えば800rpmで回転させると、ロータ1の回転による遠心力によって保持棒2aの各押圧部材5が支持軸6を中心として回転し、押圧部5bが各ウエハWの周縁部を押圧する(図3(b)参照)。また、これと同時に、ロータ1の回転による遠心力によってバランスウエイト14が連結軸17を中心として回転することで、開閉保持棒3の押圧体3dがウエハWの周縁部に向かって移動して押圧体3dの押圧片3cが弾性変形してウエハWの周縁部に押圧される。これにより、各ウエハWは保持棒2a〜2dと開閉保持棒3によって確実(強固)に保持される。
【0032】
上記のようにしてウエハWを保持しながら、薬液や純水等の液体をウエハWに吹き付けて、同ウエハWを洗浄する。また、ウエハWに付着した液体を乾燥させる際には、ロータ1を洗浄のときより更に高速で回転、例えば800rpmで回転しながら、窒素ガス等の不活性ガスや、揮発性及び親水性の高いIPA蒸気等を吹き付けて乾燥処理を行う。
【0033】
また、ロータ1の回転を低速で回転させることにより、ロータ1の回転による遠心力を小さくして保持棒2a及び開閉保持棒3のウエハW保持力を弱めてウエハWをルーズな状態に保持することで、ウエハWと保持棒2a〜2d及び開閉保持棒3との保持部に僅かな隙間を形成して、ウエハWの周縁部に付着する液体やパーティクルを排除することができる。また、高速回転から低速回転に減速する際に、保持棒2a〜2d及び開閉棒3とウエハWとをスリップさせてウエハWの保持部を変えることにより、今まで保持されていた部分の洗浄を行うことができるので、洗浄の向上を図ることができる。
【0034】
なお、保持棒2aにおける押圧部材5とスペーサ7との隙間に付着する液体は、ロータ1の回転による遠心力によって排出溝5jから外方に排出される。また、押圧部材5の嵌合孔5g内に付着する液体は、ロータ1の回転による遠心力によって液抜き孔5iから外方に排出される。したがって、液体が保持棒2a〜2dに滞留し続けることがないので、ウエハW及びロータ1の乾燥時間を短縮することができる。また、薬液から純水への切換時により早く薬液を純水に置換することができる。
【0035】
更に、開閉保持棒3においても、液切り溝3eが開閉保持棒3の外周部に沿って、押圧体3dから外側(ウエハWから離れる方向)に延びるように形成されているので、押圧体3dに溜まった液体が毛細管現象により液切り溝3e側に自然ににじみ出るようになる。したがって、遠心力による液体の流出がよりスムーズになるので、ウエハW及びロータ1の乾燥時間を更に短縮することができる。これにおいても、薬液から純水への切換時により早く薬液を純水に置換することができる。
【0036】
このようにして洗浄及び乾燥されたウエハWは、再びウエハ移動機構77に受け渡されて搬送される。
【0037】
なお、上記実施形態においては、保持棒2a〜2dのうちの1つの保持棒2aが、複数の押圧部材5を具備する場合について説明したが、その他の保持棒2b〜2dも同様に複数の押圧部材5を具備する構造としてもよく、あるいは、開閉保持棒3も同様に複数の押圧部材5を具備する構造としてもよい。また、逆に保持棒2a〜2dのうちの少なくとも1つの保持棒を、開閉保持棒3と同様な押圧片3cを有する押圧体3dを具備する構造としてもよい。
【0038】
◎第二実施形態
図9はこの発明に係る回転式基板処理装置の第二実施形態を示す概略側断面図、図10は第二実施形態におけるウエハ保持手段の要部を示す拡大断面図で、(a)はウエハをルーズに保持する状態の拡大断面図、(b)はウエハを強固に保持する状態の拡大断面図である。
【0039】
第二実施形態の回転式基板処理装置は、保持手段に、流体圧力によってウエハの押圧力が可変可能な機能を具備させた場合で、流体例えば空気の圧力を利用してウエハWを保持するロータ1を具備するものである。すなわち、回転式基板処理装置は、上記第一実施形態と同様に、適宜間隔をおいて配列される複数例えば26枚のウエハWを保持する保持手段2を有するロータ1と、このロータ1を回動する回転手段である回転数が可変可能なモータ4Aと、モータ4Aの回転数を制御する制御手段であるCPU50とを具備している。
【0040】
また、上記保持手段2は、第一実施形態と同様に、ウエハ移動機構77(図13参照)から保持空間80内に挿入される際に開閉移動する一対の開閉保持棒3と、この開閉保持棒3と共働してウエハWを保持する複数(4本)の保持棒2b〜2eとを具備し、保持棒2b〜2eのうちの少なくとも1つの保持棒2eは、供給される流体例えば空気の圧力によってウエハWの側縁部に向かって膨隆する弾性変形可能な複数例えば26個の保持溝30を具備している。
【0041】
上記保持棒2eは、保持溝30を構成する側壁30aの裏面に連通するように、保持棒本体30Aとの間に軸方向に沿う流体導入路31を具備しており、この流体導入路31は、ロータ1の第1の円盤15aに設けられた第1の連通路32と回転駆動軸20に貫通された第2の連通路33及び流体供給管路34を介して流体供給源である空気供給源35に連通されている。この場合、流体供給管路34には、空気供給源35側から保持棒2e側に向かって順に、開閉弁36,蓄圧器37,逆止弁38と可変絞り39とで構成される流量調整弁40、圧力検出スイッチ41が介設されている。また、圧力検出スイッチ41は、上記CPU50に電気的に接続されており、この圧力検出スイッチ41にて検出された検出信号がCPU50に伝達され、CPU50からの制御信号が流量調整弁40に伝達されるように構成されている。また、CPU50からの制御信号は、開閉弁36とモータ4Aに伝達されるようになっている。
【0042】
上記回転駆動軸20は、カップリング44を介して回転手段であるモータ4Aの駆動軸4aに連結されている。また、回転駆動軸20に設けられた第2の連通路33と駆動軸4aに設けられた第3の連通路42とが連通されており、駆動軸4aの端部にロータリージョイント43を介して流体供給管路34が接続されている。
【0043】
上記説明では、流体供給管路34が回転駆動軸20及び駆動軸4aの端部側に接続される場合について説明したが、必ずしもこのような構造にする必要はなく、図9に二点鎖線で示すように、流体供給管路34を回転駆動軸20の途中に接続してもよい。
【0044】
なお、第二実施形態において、その他の部分は上記第一実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付して、説明は省略する。
【0045】
また、上記説明では、保持棒2b〜2eのうちの少なくとも1つの保持棒2eが、供給される流体例えば空気の圧力によってウエハWの側縁部に向かって膨隆する弾性変形可能な複数例えば26個の保持溝30を具備する場合について説明したが、開閉保持棒3においても、同様に、供給される流体例えば空気の圧力によってウエハWの側縁部に向かって膨隆する弾性変形可能な複数例えば26個の保持溝30を具備する構造としてもよい。
【0046】
次に、上記のように構成される第二実施形態の回転式基板処理装置の動作態様について説明する。まず、上記第一実施形態と同様に、図示しない駆動シリンダによって開閉保持棒3を開放位置に移動して保持空間80を開いた状態にし、ウエハ移動機構77によって搬送される複数のウエハWを保持空間80内に挿入する。そして、開閉保持棒3を閉鎖位置側に移動させることにより、保持空間80を閉じ、ロータ1でウエハWを保持した状態にし、ウエハ移動機構77を退避させる。各ウエハWは、保持棒2a〜2d及び開閉保持棒3によって平行に保持された状態になる。
【0047】
次に、モータ4Aの駆動によって回転駆動軸20を介してロータ1が所定の回転数例えば800rpmで回転されると、これと同時に、流体供給管路34の開閉弁36が開放されると共に、流量調整弁40が作動され所定の流量の空気が流体供給管路34及び流体導入路31を流れ、ロータ1の第1の円盤15aに設けられた第1の連通路32を介して保持棒2eの流体導入路31内に空気が流れる。すると、図10(a)の状態におかれた保持溝30の側壁30aが、図10(b)に示すように、ウエハWの側縁部に向かって膨隆してウエハWの側縁部を強固に保持する。
【0048】
したがって、ロータ1の回転に追従してウエハWを回転することができる。この状態で、所定の処理、例えばウエハWに薬液や純水を吹き付けて供給する洗浄処理、あるいは、薬液や純水の供給を停止した状態でロータ1を高速回転する乾燥処理を行う。また、この際、流量調整弁40を調整して空気供給量を少なくし、保持溝30の膨隆状態を小さく、すなわち保持状態をルーズにして保持溝30とウエハWの側縁部との間に隙間を形成することにより、ウエハWの側縁部に付着する液体やパーティクルを除去することができる。また、ルーズにした状態でウエハWを保持溝30に対して自動的にスリップさせることにより、今まで保持されていた部分を洗浄することができるので、洗浄の向上を図ることができる。
【0049】
上記実施形態では、この発明に係る回転式基板処理装置を単独の装置として説明したが、以下に説明する洗浄処理システムに回転式基板処理装置を組み込んで使用することができる。
【0050】
上記洗浄処理システムは、図11及び図12に示すように、ウエハWを収納可能な容器例えばキャリア90の搬入及び搬出が行われる容器搬入・搬出部60と、ウエハWに対して洗浄処理及び乾燥処理等を施す洗浄処理ユニット61と、容器搬入・搬出部60と洗浄処理ユニット61との間に配設され、洗浄処理ユニット61に対してキャリア90の搬入出を行うためのステージ部62と、キャリア90を洗浄するキャリア洗浄ユニット63と、複数のキャリア90をストックするキャリアストック64と、電源ユニット65及びケミカルタンクボックス66を具備している。
【0051】
容器搬入・搬出部60は、4個のキャリア90を載置可能な載置台67と、キャリア90の配列方向に沿って形成された搬送路68を移動可能に設けられるキャリア搬送機構69とを具備しており、キャリア搬送機構69によって載置台67のキャリア90をステージ部62に搬送すると共に、ステージ部62のキャリア90を載置台67を搬送し得るように構成されている。この場合、キャリア90内には例えば26枚のウエハWは収納可能となっており、キャリア90はウエハWの面が鉛直に配列されるように配置されている。
【0052】
ステージ部62は、キャリア90を載置するステージ70を具備しており、容器搬入・搬出部60からこのステージ70に載置されたキャリア90がシリンダを用いたキャリア搬送機構69により洗浄処理ユニット61内に搬入され、洗浄処理ユニット61内のキャリア90がこのキャリア搬送機構69によりステージ70に搬出されるように構成されている(図13参照)。
【0053】
なお、ステージ70には、載置台67からキャリア搬送機構69のアームを回転させてキャリア90が載置されるため、載置台67とは逆向きにキャリア90が載置される。このため、ステージ70には、キャリア90の向きを戻すための反転機構(図示せず)が設けられている。
【0054】
ステージ部62と洗浄処理ユニット61との間には、仕切壁71が設けられており、仕切壁71には、搬入出用の開口部72が形成されている。この開口部72はシャッタ73によって開閉可能になっており、処理中にはシャッタ73が閉じられ、キャリア90の搬入出時にはシャッタ73が開けられるようになっている。
【0055】
キャリア洗浄ユニット63は、キャリア洗浄槽74を有しており、後述するように、洗浄処理ユニット61においてウエハWが取り出されて空になったキャリア90が洗浄されるようになっている。
【0056】
キャリアストック64は、洗浄前のウエハWが取り出された空になったキャリア90を一時的に待機させるためや、洗浄後のウエハWを収納するための空のキャリア90を予め待機させるためのものであり、上下方向に複数のキャリア90がストック可能となっており、その中の所定のキャリア90を載置台67に載置したり、その中の所定の位置にキャリア90をストックしたりするためのキャリア移動機構を具備している。
【0057】
一方、上記洗浄処理ユニット61は、図13に示すように、洗浄処理部75と、洗浄処理部75の直下にキャリア90を待機させるためキャリア待機部76と、キャリア待機部76に待機されたキャリア90内の複数のウエハWを押し上げて洗浄処理部75に移動させると共に、洗浄処理部75の複数のウエハWを保持してキャリア待機部76のキャリア90に収納させるためのウエハ移動機構77とが設けられている。この場合、ウエハ移動機構77は、図13に示すように、ウエハWを保持するウエハ保持部材91と、鉛直に配置されたウエハ保持部材91を支持する支持部材92と、支持部材92を介してウエハ保持部材91を昇降する昇降駆動部93とで構成されている。
【0058】
洗浄処理部75は、ウエハWのエッチング処理後にレジストマスク、エッチング残渣であるポリマー層等を除去するものであり、この発明に係る回転式基板処理装置を適用した二重チャンバ式液処理装置にて構成されている。以下に、第一実施形態の回転式基板処理装置を適用した二重チャンバ式液処理装置について説明する。
【0059】
上記二重チャンバ式液処理装置100は、図13及び図14に示すように、ウエハWを保持する回転可能な保持手段である上記ロータ1と、このロータ1を水平軸を中心として回転駆動する駆動手段である上記モータ4と、ロータ1にて保持されたウエハWを包囲する複数例えば2つの処理室(第1の処理室,第2の処理室)を構成する内チャンバ121,外チャンバ122と、これら内チャンバ121又は外チャンバ122内に収容されたウエハWに対して処理流体例えばレジスト剥離液,ポリマ除去液等の薬液の供給手段130、この薬液の溶剤例えばイソプロピルアルコール(IPA)の供給手段140、リンス液例えば純水等の処理液の供給手段(リンス液供給手段)150又は例えば窒素(N2)等の不活性ガスや清浄空気等の乾燥気体(乾燥流体)の供給手段160と、内チャンバ121を構成する内筒体123と外チャンバ122を構成する外筒体124をそれぞれウエハWの包囲位置とウエハWの包囲位置から離れた待機位置に切り換え移動する移動手段例えば第1,第2のシリンダ125,126とで主要部が構成されている。
【0060】
上記のように構成される二重チャンバ式液処理装置100におけるモータ4、処理流体の各供給手段130,140,150,160の供給部、ウエハ移動機構77等は制御手段例えば中央演算処理装置200(以下にCPU200という)によって制御されている。
【0061】
また、ロータ1の回転駆動軸20は、ベアリング(図示せず)を介して第1の固定壁131に回転可能に支持されており、第1の固定壁側のベアリングに連接するラビリンスシール(図示せず)によってモータ4側に発生するパーティクル等が処理室内に侵入しないように構成されている。なお、モータ4は、第1の固定壁131に連設される固定筒体(図示せず)内に収納されている。また、モータ4は、予めCPU200に記憶されたプログラムに基づいて所定の高速回転例えば100〜3000rpmと低速回転例えば1〜500rpmを選択的に繰り返し行い得るように制御されている。なお、この場合、低速回転の回転数と高速回転の回転数の一部が重複しているが、薬液の粘性に対応して低速回転と高速回転が設定され、同一の薬液の場合には、低速回転と高速回転とは重複しない(以下の説明も同様である)。ここでいう低速回転とは、ウエハW上に接触した薬液を遠心力で振り切るときの回転数に比較して低速という意味で、逆に高速回転とは、供給された薬液がウエハW上で十分に反応できる程度に接触可能な回転数に比較して高速という意味である。
【0062】
したがって、モータ4は高速回転と低速回転との切り換えが何回も行われることによって過熱される虞があるので、モータ4には、過熱を抑制するための冷却手段133が設けられている。この冷却手段133は、図14に示すように、モータ4の周囲に配管される循環式冷却パイプ134と、この冷却パイプ134の一部と冷却水供給パイプ135の一部を配設して、冷却パイプ134内に封入される冷媒液を冷却する熱交換器136とで構成されている。この場合、冷媒液は、万一漏洩してもモータ4が漏電しないような電気絶縁性でかつ熱伝導性の良好な液、例えばエチレングリコールが使用されている。また、この冷却手段133は、図示しない温度センサによって検出された信号に基づいて作動し得るように上記CPU200によって制御されている。
【0063】
一方、処理室例えば内チャンバ121(第1の処理室)は、第1の固定壁131と、この第1の固定壁131と対峙する第2の固定壁132と、これら第1の固定壁131及び第2の固定壁132との間にそれぞれ第1及び第2のシール部材171,172を介して係合する内筒体123とで形成されている。すなわち、内筒体123は、移動手段である第1のシリンダ125の伸張動作によってロータ1とウエハWを包囲する位置まで移動されて、第1の固定壁131との間に第1のシール部材171を介してシールされると共に、第2の固定壁132との間に第2のシール部材172を介してシールされた状態で内チャンバ121(第1の処理室)を形成する。また、第1のシリンダ125の収縮動作によって固定筒体の外周側位置(待機位置)に移動されるように構成されている。この場合、内筒体123の先端開口部は第1の固定壁131との間に第1のシール部材171を介してシールされ、内筒体123の基端部は固定筒体の中間部に周設された第3のシール部材(図示せず)を介してシールされて、内チャンバ121内に残存する薬液の雰囲気が外部に漏洩するのを防止している。なお、内筒体123は、耐薬品性及び耐強度性に富むステンレス鋼製部材にて形成されている。なお、内筒体123は、ステンレス鋼の表面に例えばPTFEやPFA等のフッ素系合成樹脂をコーティングあるいは貼着したものや、内筒体123自体をPTFEやPFA等のフッ素系合成樹脂にて形成することにより、保温性の向上が図れるので好適である。
【0064】
また、外チャンバ122(第2の処理室)を構成する外筒体124は、移動手段である第2のシリンダ126の伸張動作によってロータ1とウエハWを包囲する位置まで移動されて、第2の固定壁132との間に第4のシール部材174を介してシールされると共に、内筒体123の先端部外方に位置する第5のシール部材175を介してシールされた状態で、外チャンバ122(第2の処理室)を形成する。また、第2のシリンダ126の収縮動作によって固定筒体の外周側位置(待機位置)に移動されるように構成されている。この場合、外筒体124と内筒体123の基端部間には第5のシール部材175が介在されて、シールされている。したがって、内チャンバ121の内側雰囲気と、外チャンバ122の内側雰囲気とは、互いに気水密な状態に離隔されるので、両チャンバ121,122内の雰囲気が混じることなく、異なる処理流体が反応して生じるクロスコンタミネーションを防止することができる。
【0065】
なお、外筒体124は、内筒体123と同様に、耐薬品性及び耐強度性に富むステンレス鋼製部材にて形成されている。なお、外筒体124は、内筒体123と同様に、ステンレス鋼の表面に例えばPTFEやPFA等のフッ素系合成樹脂をコーティングあるいは貼着したものや、内筒体123自体をPTFEやPFA等のフッ素系合成樹脂にて形成することにより、保温性の向上が図れるので好適である。
【0066】
上記のように構成される内筒体123と外筒体124は共に先端に向かって拡開するテーパ状に形成されており、上記第1及び第2のシリンダ125,126の伸縮動作によって同心上に互いに出没可能及び重合可能に形成されている。このように内筒体123及び外筒体124を、一端に向かって拡開するテーパ状に形成することにより、処理時に内筒体123又は外筒体124内でロータ1が回転されたときに発生する気流が拡開側へ渦巻き状に流れ、内部の薬液等が拡開側へ排出し易くすることができる。また、内筒体123と外筒体124とを同一軸線上に重合する構造とすることにより、内筒体123と外筒体124及び内チャンバ121及び外チャンバ122の設置スペースを少なくすることができると共に、装置の小型化が図れる。
【0067】
なお、上記薬液供給手段130は、図14に示すように、処理室すなわち内筒体123内に取り付けられる薬液供給ノズル181と、薬液供給部182と、この薬液供給ノズル181と薬液供給部182とを接続する薬液供給管路183に介設されるポンプ184、フィルタ185、温度調整器186、薬液供給弁187を具備してなる。
【0068】
また、薬液供給部182には、上記内チャンバ121の拡開側部位の下部に設けられた第1の排液ポート191に第1の排液管192を介して接続され、第1の排液管192には、図示しない切換弁(切換手段)を介して循環管路(図示せず)が接続されている。なお、内チャンバ121の拡開側部位の上部には、第1の排気ポート188が設けられており、この第1の排気ポート188には、図示しない開閉弁を介設した第1の排気管189が接続されている。
【0069】
また、外チャンバ122の拡開側部位の下部には、第2の排液ポート193が設けられており、この第2の排液ポート193には、図示しない開閉弁を介設した第2の排液管194が接続されている。なお、第2の排液管194には、純水の比抵抗値を検出する比抵抗計195が介設されており、この比抵抗計195によってリンス処理に供された純水の比抵抗値を検出し、その信号を上記CPU200に伝達するように構成されている。したがって、この比抵抗計195でリンス処理の状況を監視し、適正なリンス処理が行われた後、リンス処理を終了することができる。
【0070】
なお、上記外チャンバ122の拡開側部位の上部には、第2の排気ポート196が設けられており、この第2の排気ポート196には、図示しない開閉弁を介設した第2の排気管197が接続されている。
【0071】
また、乾燥流体供給手段160は、図14に示すように、第2の固定壁132に取り付けられる乾燥流体供給ノズル161と、乾燥流体例えば窒素(N2)供給源162と、乾燥流体供給ノズル161とN2供給源162とを接続する乾燥流体供給管路163に介設される開閉弁164、フィルタ165、N2温度調整器166とを具備してなり、かつ乾燥流体供給管路163におけるN2温度調整器166の二次側に切換弁167を介して上記IPA供給管路(図示せず)から分岐される分岐管路(図示せず)を接続してなる。この場合、乾燥流体供給ノズル161は、内チャンバ121の外側に位置すると共に、外チャンバ122の内側に位置し得るように配設されており、内筒体123が待機位置に後退し、外筒体124がロータ1とウエハWを包囲する位置に移動して外チャンバ122を形成した際に、外チャンバ122内に位置して、ウエハWに対してN2ガスとIPAの混合流体を霧状に供給し得るように構成されている。この場合、N2ガスとIPAの混合流体で乾燥した後に、更にN2ガスのみで乾燥する。なお、ここでは、乾燥流体がN2ガスとIPAの混合流体である場合について説明したが、この混合流体に代えてN2ガスのみを供給するようにしてもよい。
【0072】
なお、上記薬液供給手段130、IPA供給手段140、純水供給手段150及び乾燥流体供給手段160におけるポンプ184、温度調整器186,N2温度調整器166、薬液供給弁187、IPA供給弁(図示せず)及び切換弁167は、CPU200によって制御されている(図14参照)。
【0073】
上記のように構成される二重チャンバ式液処理装置において、容器搬入・搬出部60側からキャリア搬送機構69によってキャリア待機部76に搬送されるステージ70上に載置し、その後、ウエハ移動機構77が上昇して開閉保持棒3が外方に開いた状態のロータ1内にウエハWを挿入して保持棒2a〜2dと閉動作した開閉保持棒3に受け渡す。保持棒2a〜2dと開閉保持棒3内にウエハWを受け渡した後、図示しないロック手段が作動して開閉保持棒3がロックされる。その後、ウエハ移動機構77は元の位置に移動する。
【0074】
上記のようにしてロータ1にウエハWがセットされると、内筒体123及び外筒体124がロータ1及びウエハWを包囲(収容)する位置まで移動して、内チャンバ121内にウエハWを収容する。この状態において、まず、薬液供給ノズル181からウエハWに薬液を供給して薬液処理を行う。なお、この薬液処理は、ロータ1及びウエハWを低速回転例えば1〜500rpmで回転させた状態で所定時間例えば数十秒間薬液を供給した後、薬液の供給を停止し、その後、ロータ1及びウエハWを数秒間高速回転例えば100〜3000rpmで回転させてウエハW表面に付着する薬液を振り切って除去する。この薬液供給工程と薬液振り切り工程を数回から数千回繰り返して薬液処理を行う。この際、所定時間薬液を循環供給して処理を行った後、薬液供給部182内の新規薬液が処理室側に供給されて薬液処理が終了する。
【0075】
上記のようにして、薬液処理を行った後、内チャンバ121内に収容されたウエハWを低速回転例えば1〜500rpmで回転させた状態で、IPA供給手段140のIPAの供給ノズルを兼用する薬液供給ノズル181から所定時間例えば数十秒間IPAを供給した後、IPAの供給を停止し、その後、ロータ1及びウエハWを数秒間高速回転例えば100〜3000rpmで回転させてウエハW表面に付着するIPAを振り切って除去する。このIPA供給工程とIPA振り切り工程を数回から数千回繰り返して薬液除去処理を完了する。この薬液除去処理においても、上記薬液処理工程と同様に、最初に供給されるIPAは、循環供給タンク(図示せず)内に貯留されたIPAが使用され、この最初に使用されたIPAは廃棄され、以後の処理に供されるIPAは供給タンク(図示せず)内に貯留されたIPAを循環供給する。そして、薬液除去処理の最後に、IPA供給源から供給タンク内に供給された新規のIPAが使用されて、薬液除去処理が終了する。
【0076】
薬液処理及びリンス処理が終了した後、内筒体123が待機位置に後退して、ロータ1及びウエハWが外筒体124によって包囲、すなわち外チャンバ122内にウエハWが収容される。したがって、内チャンバ121内で処理されたウエハWから液がしたたり落ちても外チャンバ122で受け止めることができる。この状態において、まず、リンス液供給手段の純水供給ノズル(図示せず)から回転するウエハWに対してリンス液例えば純水が供給されてリンス処理される。このリンス処理に供された純水と除去されたIPAは第2の排液ポート193を介して第2の排液管194から排出される。また、外チャンバ122内に発生するガスは第2の排気ポート196を介して第2の排気管197から外部に排出される。
【0077】
このようにして、リンス処理を所定時間行った後、外チャンバ122内にウエハWを収容したままの状態で、乾燥流体供給手段160のN2ガス供給源162及びIPA供給源(図示せず)からN2ガスとIPAの混合流体を回転するウエハWに供給して、ウエハ表面に付着する純水を除去することで、ウエハWと外チャンバ122内の乾燥を行うことができる。また、N2ガスとIPAの混合流体によって乾燥処理した後、N2ガスのみをウエハWに供給することで、ウエハWの乾燥と外チャンバ122内の乾燥をより一層効率よく行うことができる。
【0078】
上記のようにして、ウエハWの薬液処理、薬液除去処理、リンス処理及び乾燥処理が終了した後、外筒体124が内筒体123の外周側の待機位置に後退する一方、ウエハ移動機構77が上昇してロータ1の下部に移動し、図示しないロック解除手段が動作して開閉保持棒3をウエハWの押え位置から後退する。すると、ウエハ移動機構77がロータ1の保持棒2a〜2dにて保持されたウエハWを受け取って処理装置100の下方へ移動する。処理装置100の下方へ移動されたウエハWはウエハ移動機構77に受け取られて搬入・搬出部に搬送又はウエハキャリアに直接収納された後、装置外部に搬送される。
【0079】
上記二重チャンバ式液処理装置においても、ロータ1の回転に伴う遠心力により、保持棒2aの複数の押圧部材5が各ウエハWの側縁部に向かって移動し、また、開閉保持棒3の押圧体3dの押圧片3cもウエハWの側縁部に向かって移動するので、ウエハWはロータ1の回転に追従して回転する。この回転中に、保持棒2a〜2d及び開閉保持棒3に溜まった液体は液抜き孔5iや液切り溝3eを通って外側に即座に流出する。また、ロータ1の回転数を下げてウエハWと保持棒2a〜2d、開閉保持棒3との間に隙間を形成してもよい。この場合、ウエハWの側縁部に付着する液体やパーティクル等を排除することができる。したがって、液体が案内溝板状本体に滞留し続けることがないので、ウエハW及びロータ1の乾燥時間を短縮することができる。また、薬液から純水への切換時により早く薬液を純水に置換することができる。特に、二重チャンバ式液処理装置のようにチャンバすなわち内筒体123、外筒体124が動く装置においては、保持棒2a〜2d、開閉保持棒3等の保持部の乾燥がより早く求められるので、好適である。
【0080】
上記説明では、第一実施形態の回転式基板処理装置を二重チャンバ式液処理装置に適用した場合について説明したが、第二実施形態の回転式基板処理装置を適用しても同様な効果が得られることは勿論である。
【0081】
なお、上記第一実施形態では、保持棒2a〜2dのうちの少なくとも1つの保持棒2a、あるいは、開閉保持棒3が、複数の押圧部材5を具備する構造の場合や、保持棒2a〜2dのうちの少なくとも1つの保持棒を、開閉保持棒3と同様な弾性変形可能な押圧片3cを有する押圧体3dを具備する構造としてもよい場合について説明した。また、上記第二実施形態では、保持棒2b〜2eのうちの少なくとも1つの保持棒2e、あるいは、開閉保持棒3が、供給される流体例えば空気の圧力によってウエハWの側縁部に向かって膨隆する弾性変形可能な複数例えば26個の保持溝30を具備する場合について説明したが、第一実施形態の構造と第二実施形態の構造とを組み合わせた構造としてもよい。例えば、保持棒2a〜2eの少なくとも1つを、複数の押圧部材5を具備する構造、弾性変形可能な押圧片3cを有する押圧体3dを具備する構造、あるいは、供給される流体例えば空気の圧力によってウエハWの側縁部に向かって膨隆する弾性変形可能な複数例えば26個の保持溝30を具備する構造とすると共に、開閉保持棒3を、複数の押圧部材5を具備する構造、弾性変形可能な押圧片3cを有する押圧体3dを具備する構造、あるいは、供給される流体例えば空気の圧力によってウエハWの側縁部に向かって膨隆する弾性変形可能な複数例えば26個の保持溝30を具備する構造とする任意の組み合わせ構造としてもよい。
【0082】
また、上記実施形態では、被処理基板が半導体ウエハWである場合について説明したが、ウエハW以外の例えばLCD基板やCD等の被処理基板についても適用できることは勿論である。
【0083】
【発明の効果】
以上に説明したように、この発明は、上記のように構成されているので、以下のような効果が得られる。
【0084】
(1)請求項1,2,3記載の発明によれば、開閉保持棒と共働して被処理基板を保持する保持棒のうちの少なくとも1つの保持棒が、ロータの回転による遠心力によって複数の被処理基板の側縁部に向かって移動する複数の押圧部材、又は、上記複数の押圧部材とロータの回転による遠心力によって被処理基板の側縁部に向かって移動する弾性変形可能な押圧片を有する押圧体を具備することにより、ロータの回転に被処理基板を確実に追従させることができるので、被処理基板の回転精度を高めることができ、処理効率の向上及び装置の信頼性の向上を図ることができる。また、ロータの保持手段と被処理基板との間のスリップを少なくすることができるので、保持手段の摩耗量を少なくすることができ、保持手段の交換周期を長くすると共に、装置の寿命の増大を図ることができる。
【0085】
(2)請求項6記載の発明によれば、保持棒と共働して被処理基板を保持する開閉保持棒が、ロータの回転による遠心力によって複数の被処理基板の側縁部に向かって移動する複数の押圧部材を具備することにより、ロータの回転に被処理基板を確実に追従させることができるので、被処理基板の回転精度を高めることができ、処理効率の向上及び装置の信頼性の向上を図ることができる。また、ロータの保持手段と被処理基板との間のスリップを少なくすることができるので、保持手段の摩耗量を少なくすることができ、保持手段の交換周期を長くすると共に、装置の寿命の増大を図ることができる。
【0086】
(3)請求項4記載の発明によれば、押圧部材は、支持軸にスペーサを介在して回転自在に嵌合される板状本体の回転側面に押圧部を具備すると共に、偏心位置に重りを具備することにより、上記(1)に加えて更にロータの回転による遠心力によって押圧部材を確実に被処理基板の側縁部に押圧することができ、更にロータの回転に被処理基板を確実に追従させることができると共に、ロータの保持手段と被処理基板との間のスリップを可及的に少なくすることができる。また、押圧部材に、支持軸と平行に配設される回転規制軸を係合可能に遊嵌する案内溝を設けることにより、押圧部材の押圧位置と非押圧位置との回転範囲を規制することができるので、ロータの回転に追従して押圧部材が迅速に被処理基板の側縁部に押圧することができる。この場合、押圧部材におけるスペーサと接する面に、回転中心から外方に向かって開口する1又は複数の流体排出溝を形成することにより、押圧部材とスペーサとの間に付着する液体やパーティクル等を外部に排出することができる(請求項5)。
【0087】
(4)請求項7記載の発明によれば、複数の保持手段のうちの少なくとも1つの保持手段により、ロータの回転による遠心力によって各被処理基板を押圧した状態で、回転中に、被処理基板に処理液を供給して、被処理基板を処理することができるので、回転手段を高速回転することによって保持手段の保持力を強固にして、ロータの回転に各被処理基板を確実に追従させることができ、各被処理基板を処理レシピに応じて均一に処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に係る回転式基板処理装置の第一実施形態を示す側断面図である。
【図2】 上記回転式基板処理装置を示す図であり、図1のI−I線に沿う断面図である。
【図3】 この発明における押圧部材のウエハを保持する前の状態を示す拡大図(a)及びウエハを保持した状態を示す拡大図(b)である。
【図4】 上記回転式基板処理装置における保持棒を示す側面図である。
【図5】 図5の一部を拡大して示す側面図(a)及び(a)のII−II線に沿う断面図(b)である。
【図6】 この発明における押圧部材を示す斜視図である。
【図7】 上記回転式基板処理装置における開閉保持棒を示す図であり、(a)は正面図、(b)は(a)の底面図、(c)は(a)の拡大側面図である。
【図8】 上記回転式基板処理装置におけるロータを示す斜視図である。
【図9】 回転式基板処理装置の第二実施形態を示す側断面図(a)及び(a)のIII部拡大断面図(b)である。
【図10】 上記回転式基板処理装置における保持棒の保持溝を示す図であり、(a)はウエハの保持前の状態を示す拡大断面図、(b)はウエハの保持状態を示す拡大断面図である。
【図11】 この発明の回転式基板処理装置を組み込んだ洗浄処理システムを示す斜視図である。
【図12】 上記洗浄処理システムの概略平面図である。
【図13】 この発明の回転式基板処理装置を適用した二重チャンバ式液処理装置を示す概略断面図である。
【図14】 上記二重チャンバ式液処理装置を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1 ロータ
2 保持手段
2a〜2e 保持棒
3 開閉保持棒
3c 押圧片
3d 押圧体
3e 液切り溝
4,4A モータ(回転手段)
5 押圧部材
5b 押圧部
5c 重り
5j 排出溝
6 支持軸
7 スペーサ
8 回転規制軸
10 案内溝
14 バランスウエイト
20 回転駆動軸
30 保持溝
35 空気供給源(流体供給源)
36 開閉弁
40 流量調整弁
41 圧力検出スイッチ
50,200 CPU(制御手段)
W 半導体ウエハ(被処理基板)
Claims (7)
- 適宜間隔をおいて配列される複数の被処理基板を保持する保持手段を有するロータと、
上記ロータを回動する回転制御可能な回転手段と、を具備し、
上記保持手段は、側方からの上記被処理基板の挿入の際に開閉移動する開閉保持棒と、この開閉保持棒と共働して上記被処理基板を保持する複数の保持棒とを具備し、
上記保持棒のうちの少なくとも1つの保持棒は、上記ロータの回転による遠心力によって上記複数の被処理基板の側縁部に向かって移動すべく支持軸に回転自在に嵌合され、かつ、被処理基板の枚数に対応した複数の押圧部材を具備することを特徴とする回転式基板処理装置。 - 請求項1記載の回転式基板処理装置において、
上記開閉保持棒は、ロータの回転による遠心力によって被処理基板の側縁部に向かって移動する弾性変形可能な押圧片を有する押圧体を具備することを特徴とする回転式基板処理装置。 - 請求項1記載の回転式基板処理装置において、
上記開閉保持棒は、供給される流体の圧力によって被処理基板の側縁部に向かって膨隆する弾性変形可能な保持溝を具備することを特徴とする回転式基板処理装置。 - 適宜間隔をおいて配列される複数の被処理基板を保持する保持手段を有するロータと、
上記ロータを回動する回転制御可能な回転手段と、を具備し、
上記保持手段は、側方からの上記被処理基板の挿入の際に開閉移動する開閉保持棒と、この開閉保持棒と共働して上記被処理基板を保持する複数の保持棒とを具備し、
上記保持棒のうちの少なくとも1つの保持棒は、上記ロータの回転による遠心力によって上記複数の被処理基板の側縁部に向かって移動すべく支持軸に回転自在に嵌合され、かつ、被処理基板の枚数に対応した複数の押圧部材を具備し、
上記押圧部材は、上記支持軸にスペーサを介在して回転自在に嵌合される板状本体の回転側面に押圧部を具備すると共に、偏心位置に重りを具備し、かつ、上記支持軸と平行に配設される回転規制軸を係合可能に遊嵌する案内溝を具備してなることを特徴とする回転式基板処理装置。 - 請求項4記載の回転式基板処理装置において、
上記押圧部材におけるスペーサと接する面に、回転中心から外方に向かって開口する1又は複数の排出溝を形成してなることを特徴とする回転式基板処理装置。 - 適宜間隔をおいて配列される複数の被処理基板を保持する保持手段を有するロータと、
上記ロータを回動する回転制御可能な回転手段と、を具備し、
上記保持手段は、側方からの上記被処理基板の挿入の際に開閉移動する開閉保持棒と、この開閉保持棒と共働して上記被処理基板を保持する複数の保持棒とを具備し、
上記開閉保持棒は、上記ロータの回転による遠心力によって上記複数の被処理基板の側縁部に向かって移動すべく支持軸に回転自在に嵌合され、かつ、被処理基板の枚数に対応した複数の押圧部材を具備することを特徴とする回転式基板処理装置。 - 請求項1又は6記載の回転式基板処理装置を用いた回転式基板処理方法であって、
上記ロータの回転による遠心力によって上記複数の押圧部材がそれぞれ上記複数の被処理基板の側縁部に向かって移動して押圧する工程と、
回転中に、上記被処理基板に処理液を供給する工程と、
を有することを特徴とする回転式基板処理方法。
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