JP3989642B2 - 連結装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、連結装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の連結装置としては、例えば「ガイア新型解説書」(トヨタ自動車株式会社サービス部1998年5月29日発行)の0−22頁に図2に示すようなものが記載されている。これは、4輪駆動車において、切り離し側に設定したリヤデフとエンジン(トランスファ)側との間に配置されている。
【0003】
この連結装置101は、車体側に固定されたケーシング103に回転自在に収容された駆動側のフロントハウジング105と被駆動側のハブ107とが同軸に配置されている。また、フロントハウジング105の右端部105aにはリヤハウジング109がねじ込みにより一体化されている。フロントハウジング105とハブ107との間にはメインクラッチ111が配置されている。
【0004】
エンジンからの駆動力はフランジ113を介してフロントハウジング105に入力され、メインクラッチ111が締結されると駆動力はハブ107を介してドライブピニオンギヤ115に伝達される。
【0005】
リヤハウジング109の凹部109aにはケーシング103に固定の電磁ソレノイド117が配置され、一方、リヤハウジング109の左方に隣接してコントロールクラッチ119が配置されている。そして、コントロールクラッチ119の左方にカム機構121を挟んで上述のメインクラッチ111が配置されている。
【0006】
このような構成により、電磁ソレノイド117に通電されると、アーマチャ123が吸引されてコントロールクラッチ119が締結される。この締結によるトルクがカム機構121によりスラスト力に増幅・変換されて、スラスト力が押圧部材125を介してメインクラッチ111を締結させる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、フロントハウジング105は薄肉の円筒部分が長く、またその右端部105aが軸心側のリヤハウジング109とねじ結合される構造であるので、回転に伴う遠心力により右端部105aが径方向外方に拡がってクラッチ機能が損なわれたり、あるいはフロントハウジング105の薄肉の弱い部分が破損するなどの恐れがある。
【0008】
そこで、本発明は、遠心力により変形を生じる恐れがなく、正常に作動可能な連結装置の提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、連結力調整用電磁クラッチと該クラッチの締結に伴い締結されるメインクラッチとを収容し該両クラッチに係合する一方の回転部材と、前記メインクラッチを介して前記一方の回転部材に連結される他方の回転部材と、前記電磁クラッチの締結トルクをスラスト力に変換し拡大するカム機構と、前記スラスト力を受けてメインクラッチを押圧する押圧部材とを備える連結装置において、前記一方の回転部材は、開口端部を有する中空円筒部と、前記電磁クラッチの締結力を調節する電磁石が収容される凹部と前記開口端部の外周を取り巻く円筒部を有する側壁部とを備え、前記開口端部の外周と前記円筒部の内周ねじ結合されてなることを特徴とする。
【0010】
したがって、例えば薄肉で長い中空円筒部で、開口端部が遠心力により拡がり易い構造の場合であっても、遠心力の影響をほとんど受けない側壁部の円筒部により該開口端部の拡がり変形を防止可能に構成できるので、連結作用が損なわれる恐れがなくなる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態を図1により説明する。図1は本実施形態の全体断面図である。この連結装置1は、前記従来例の連結装置(図2)と同様に、4輪駆動車において、切り離し側に設定したリヤデフとエンジン(トランスファ)側との間に配置されている。
【0016】
図1に示すように、この連結装置1の一方の回転部材としての外側のハウジング3は、側壁部としてのフロントハウジング7と中空円筒部としてのリヤハウジング5がねじ結合により着脱可能に一体化され、車体側に固定された図示しないケーシングに回転自在に収容されている。
【0017】
フロントハウジング7の外周部には短い円筒部7aが設けられ、円筒部7aの内周にはねじが形成されている。一方、リヤハウジング5は左方に開口する円筒部を有し、ほぼコの字状の断面に形成されている。そして、開口端部5aの外周にはねじが形成されている。リヤハウジング5の開口端部5aにフロントハウジング7がねじ込まれ、リングナット9によりロックされている。フロントハウジング7の軸心側内周には、図示しない駆動軸が連結され、エンジンからの駆動力はフロントハウジング7(ハウジング3)に入力される。
【0018】
また、ハウジング3の軸心側には他方の回転部材としての中空のハブ11がベアリング13,15を介して回転自在に支持されている。ハブ11の内周に図示しない駆動軸が連結され、駆動力はハブ11から後輪側へ伝達される。
【0019】
多板式メインクラッチ17がハウジング3とハブ11との間に配置されている。ハブ11の小径軸部11a上で、メインクラッチ17の左に隣接して押圧部材19が配置され、押圧部材19はハブ11と係合している。ハブ11と押圧部材19の間にばね21が設けられている。ばね21は押圧部材19を常時左方へ付勢している。ハブ11、押圧部材19とばね21は一体的に回転する。
【0020】
押圧部材19の左方にはボール23およびリング25を挟んでカム部材27が配置され、押圧部材19とカム部材27の対向面にはボール23に係合するカム溝が設けられ、これらの部材によりカム機構29が構成されている。
【0021】
一方、フロントハウジング7の凹部7bに固定側の電磁石31がベアリング33を介して支持されている。35は非磁性体である。そして、リヤハウジング5とカム部材27との間に電磁クラッチとしての多板式パイロットクラッチ37が配置され、その右方に隣接してアーマチャ39がリヤハウジング5に係合して配置されている。
【0022】
なお、ハブ11、押圧部材19、メインクラッチ17のインナディスク17aおよびリヤハウジング5にそれぞれ潤滑油の通路41が設けられている。
【0023】
つぎに、この連結装置1の作用を説明する。
【0024】
電磁石31に通電されるとアーマチャ39が吸引され、パイロットクラッチ37が締結される。この締結トルクはカム機構29によりスラスト力に変換拡大され、スラスト力を受けた押圧部材19がばね21の付勢力に抗してメインクラッチ17を押圧し、メインクラッチ17が締結される。こうして、ハブ11から大きなトルクが後輪側へ伝達される。
【0025】
パイロットクラッチ37の締結力(吸引力)を調節することにより、メインクラッチ17の締結力(連結装置1の連結力)を調節することができる。
【0026】
この連結装置1の作動時に、フロントハウジング7の円筒部7aとリヤハウジング5の開口端部5aとのねじ結合部は、前記従来例の連結装置101の構造と異なり、遠心力を受けてリヤハウジング5の開口端部5aが外方に拡がるような条件がたとえ生じても、遠心力によってはほとんど変形することのない、フロントハウジング7の円筒部7aが開口端部5aの外側にねじ込まれているので、変形が生じる恐れはない。
【0027】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、請求項1に記載の発明によれば、例えば薄肉で長い中空円筒部で、開口端部が遠心力により拡がり易い構造の場合であっても、遠心力の影響をほとんど受けない側壁部の円筒部により該開口端部の拡がり変形を防止可能に構成できるので、連結作用が損なわれる恐れがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の全体断面図である。
【図2】従来例の断面図である。
【符号の説明】
3 ハウジング(一方の回転部材)
5 リヤハウジング(中空円筒部)
5a リヤハウジングの開口端部
7 フロントハウジング(側壁部)
7a 円筒部
9 リングナット
11 ハブ(他方の回転部材)
17 メインクラッチ
19 押圧部材
21 ばね
27 カム部材
29 カム機構
31 電磁石
37 パイロットクラッチ(電磁クラッチ)
39 アーマチャ

Claims (1)

  1. 連結力調整用電磁クラッチと該クラッチの締結に伴い締結されるメインクラッチとを収容し該両クラッチに係合する一方の回転部材と、
    前記メインクラッチを介して前記一方の回転部材に連結される他方の回転部材と、
    前記電磁クラッチの締結トルクをスラスト力に変換し拡大するカム機構と、
    前記スラスト力を受けてメインクラッチを押圧する押圧部材とを備える連結装置において、
    前記一方の回転部材は、開口端部を有する中空円筒部と、前記電磁クラッチの締結力を調節する電磁石が収容される凹部と前記開口端部の外周を取り巻く円筒部を有する側壁部とを備え、前記開口端部の外周と前記円筒部の内周ねじ結合されてなることを特徴とする連結装置。
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