JP3989084B2 - 光カールケーブル - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバケーブルをカール状に加工して大きな伸縮性を持たせた、光カールケーブルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
最近の光技術の発展に伴い、様々な分野で光ファイバケーブルが導入されつつある。伸縮機能を具えたカールケーブルにおいても例外ではない。従来の光カールケーブルは、光ファイバにテンションメンバとしてアラミド繊維等の高張力繊維を縦添し、その外周にウレタン樹脂やポリ塩化ビニル樹脂(PVC)等を被覆したものをカール状に巻き付けた後、熱処理して成形している。そのような従来の光カールケーブルでは、製造時に光ファイバにかかる歪みを小さくするため、光ファイバの外周全体を高張力繊維で覆っていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来の光カールケーブルは、電話線やコンピュータ等の室内で使用される分野においてはあまり問題はないが、屋外で使用される分野、例えばロボットやクレーン等に用いると問題が生じる。すなわち、屋外で使用される場合には、屋内よりも動きが大きくなって、光カールケーブルは頻繁に伸縮が繰り返されることになり、動歪を受ける。また、屋外よりも、物に当たる等して大きな側圧や衝撃等を受ける可能性もあり、さらに、水中で使用する場合には、浸水や水圧による影響等を受ける可能性もある。そのような厳しい条件下において、前記した従来の光カールケーブルでは信頼性が不十分であり、使用することができないという問題点があった。
【0004】
本発明は、そのような問題点を解決し、屋外の厳しい条件下で使用しても十分信頼性が得られる光カールケーブルを提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、請求項1記載の光カールケーブルは、内部に光ファイバを挿通し、ジェリーを充填したプラスチックパイプと、前記プラスチックパイプより剛性の小さい金属撚線を平行に配置し、それらの全体を樹脂で覆ってカール状に成形したことを特徴とする。このようにすると、曲げや伸縮等のケーブルの動きに対して、光ファイバがプラスチックパイプの中でそれらの歪みを緩和する方向に動くことが可能になる。また、プラスチックパイプの中にはジェリーが充填されているので、浸水のおそれもなくなる。その結果、屋外で使用しても十分信頼性が得られるようになる。さらに、プラスチックパイプの両側を挟み込むように金属撚線を配置すると、樹脂の被覆後の収縮の影響がプラスチックパイプおよびその中の光ファイバに及ぶのを防止することができる。
【0006】
また、請求項2記載の光カールケーブルは、内部に光ファイバを挿通し、ジェリーを充填したプラスチックパイプの外周全体を、前記プラスチックパイプより剛性の小さい金属編組で覆い、それらの全体を樹脂で覆ってカール状に成形したことを特徴とする。このようにすると、請求項1のものと同様に、屋外で使用しても十分信頼性が得られるようになると共に、プラスチックパイプの外周全体を覆った金属編組により、樹脂の被覆後の収縮の影響がプラスチックパイプおよびその中の光ファイバに及ぶのを、より一層確実に防止することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、第1実施形態の光カールケーブルの断面図である。図1において、1は光ファイバ、2はプラスチックパイプ、3はジェリー、4は軟銅撚線、5はウレタン樹脂層である。
【0008】
プラスチックパイプ2の中に、熱可塑性エラストマーなどの被覆を施された光ファイバ1を挿入すると共にジェリー3を充填してパイプ心線を形成している。プラスチックパイプ2は、汎用エンジニアリングプラスチックの一種であるポリブチレンテレフタレートで成形し、また、ジェリー3としては、パラフィン系オイルにシリカ等を混ぜて生成したシンコフォックス(商品名)を用いている。そのように、プラスチックパイプ2にポリブチレンテレフタレートを用い、その中に充填するジェリー3にシンコフォックス(商品名)を用いれば、光ファイバ1の伝送特性に悪影響を与える水素の発生を抑制することができる。そしてまた、光ファイバ1として、カーボンコートファイバを用いることで、ガラス表面のクラックの進展によるファイバの破断確率を飛躍的に小さくし、破断寿命を大きく延ばすようにしている。
【0009】
そのように形成したパイプ心線2本の両側を挟み込むように、プラスチックパイプ2より剛性が小さい錫メッキ軟銅撚線4の2本を平行に配置し、それらを一括してウレタン樹脂層5で被覆している。その際、ウレタン樹脂層5の被覆は、通常、押出被覆により行われるが、押出被覆された樹脂が冷えて固まるとき樹脂が収縮する。そのような樹脂の収縮に対して、軟銅撚線4がパイプ心線の両側に配置されているため、樹脂の収縮がプラスチックパイプ2、さらには光ファイバ1に及ぶのが防止される。
【0010】
そのようにしてウレタン樹脂層5で一括被覆された光ケーブルを、図4に示すように、両端に直線部を持たせるようにし、残りの中間部分をカール状に加工して、光カールケーブルとしている。この光カールケーブルでは、軟銅撚線4の剛性を、プラスチックパイプ2の剛性より小さくなるようにしているので、カール形状は、プラスチックパイプ2およびウレタン樹脂層5の弾性により保持され、軟銅撚線4の塑性変形により乱されることはなくなる。
【0011】
一方、カール部分から直線部分に移り変わる部分では、ケーブルの断面が向く方向が急激に変わるのではなく、緩やかに、自然に変わるようにして、ケーブルが折れ曲がるような変化をする箇所が存在しないようにしている。すなわち、図5に示すように、カール部分を構成する円筒の側面を展開したときに、ケーブルの軌跡が、1/4円弧から直線に移るようにしている。その結果、ケーブルが伸縮しても急激な曲げや捻れが生じて、伝送損失が大きくなる箇所がなくなる。
【0012】
図2は、第2実施形態の光カールケーブルの断面図である。図2において、符号1〜3および5は、図1のものに対応しており、6は軟銅編組、7は押え巻である。
【0013】
この実施形態では、2本の光ファイバ1,1を、ジェリー3と共に1本のプラスチックパイプ2に挿入し、その外周に錫メッキ銅線を編み込んだ軟銅編組6を施し、その上に押え巻7を施し、さらにその上をウレタン樹脂層5で被覆している。このように、プラスチックパイプ2の外周全体を金属編組により覆うことで、ウレタン樹脂層5の被覆後の収縮の影響がプラスチックパイプ2および光ファイバ1に及ぶのを確実に抑えることができるようになる。
【0014】
図3は、第3実施形態の光カールケーブルの断面図である。図3において、符号1〜7は、図2のものに対応しており、8はPVC樹脂層である。この実施形態では、2本のパイプ心線を平行に配置し、それらの周りを軟らかいPVC樹脂層8で隙間なく被覆している。そしてその上に、軟銅編組6と押え巻7とを施し、それらの上にウレタン樹脂層5を設けている。このように、プラスチックパイプ2と軟銅編組6との間に軟らかいPVC樹脂層8を介在させることにより、耐側圧特性、耐水圧特性を向上させる効果がより一層向上する。
【0015】
なお、上記実施形態では、プラスチックパイプ2をポリブチレンテレフタレートで形成するものとして説明したが、必ずしもそれに限定されず、プラスチックパイプ2を他の汎用エンジニアリングプラスチック、あるいはそれ以外のプラスチックで形成してもよい。また、上記実施形態では、外部被覆にウレタン樹脂を用いたが、PVC樹脂を用いてもよい。そしてまた、上記実施形態では、1本の光カールケーブルに光ファイバ1を2本設ける場合で説明したが、光ファイバ1の本数は、上記実施形態に限定されるものではなく、1本あるいは3本以上でもよい。
【0016】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したように構成されているので、次に記載するような効果を奏する。
請求項1記載の光カールケーブルは、光ファイバをプラスチックパイプの中に挿通し、その中にジェリーを充填したので、曲げや伸縮等のケーブルの動きに対して、光ファイバがプラスチックパイプの中でそれらの歪みを緩和する方向に動くことが可能になる。また、プラスチックパイプの中にはジェリーが充填されているので、浸水や水圧による影響等のおそれもなくなるのに加え、光カールケーブルが伸縮された時や光カールケーブルに曲げが加わった時に、ジェリーが潤滑材となってプラスチックパイプ内で光ファイバが自由に動くことができるので、屋外で使用しても十分信頼性が得られるようになる。さらに、プラスチックパイプの両側を挟み込むように、そのプラスチックパイプより剛性の小さい金属撚線を平行に配置し、それらの全体を樹脂で覆うようにすると、金属撚線により樹脂の被覆後の収縮の影響がプラスチックパイプおよびその中の光ファイバに及ぶのを防止することができ、樹脂の収縮によるマイクロベンドの発生を抑えることができる。しかも、金属撚線は、単にプラスチックパイプと平行に配置するだけでよいので、構成が簡単で、製造が容易になる。また、金属撚線を2本以上配置した場合には、この金属撚線を用いて、電気信号や電力の伝送も行うことができる。
【0017】
また、請求項2記載の光カールケーブルは、上記のものと同様なプラスチックパイプの外周全体を金属編組で覆い、それらの全体を樹脂で覆うようにしたので、金属編組により樹脂の被覆後の収縮の影響がプラスチックパイプおよびその中の光ファイバに及ぶのをより一層確実に防止することができ、樹脂の収縮によるマイクロベンドの発生をより確実に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の光カールケーブルの断面図である。
【図2】第2実施形態の光カールケーブルの断面図である。
【図3】第3実施形態の光カールケーブルの断面図である。
【図4】光カールケーブルの全体図である。
【図5】光カールケーブルの端末部分の形状を説明するための図である。
【符号の説明】
1…光ファイバ
2…プラスチックパイプ
3…ジェリー
4…軟銅撚線
5…ウレタン樹脂層
6…軟銅編組
7…押え巻
8…PVC樹脂層

Claims (2)

  1. 内部に光ファイバを挿通し、ジェリーを充填したプラスチックパイプと、前記プラスチックパイプより剛性の小さい金属撚線を平行に配置し、それらの全体を樹脂で覆ってカール状に成形したことを特徴とする光カールケーブル。
  2. 内部に光ファイバを挿通し、ジェリーを充填したプラスチックパイプの外周全体を、前記プラスチックパイプより剛性の小さい金属編組で覆い、それらの全体を樹脂で覆ってカール状に成形したことを特徴とする光カールケーブル。
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