JP3988614B2 - 含クロム溶鋼の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、含クロム溶鋼の製造方法に係わり、特に、含クロム溶鉄の脱燐処理時に不可避的に発生するクロム含有量の多い脱燐スラグ(例えば、クロム濃度10質量%)を、適切に処理できるばかりでなく、燐濃度の高低にかかわらず、含クロム溶鋼を効率良く製造する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ステンレス鋼に代表される含Cr鋼は、高炉から出銑した溶銑、フェロ・クロム、鋼スクラップ(以下、単にスクラップ)を溶解するか、あるいは溶銑、スクラップ、Cr鉱石等を炭材と共に直接溶融還元して、含クロム溶鉄を得る含クロム溶鉄溶製炉と、該含クロム溶鉄の脱炭精錬を行う脱炭精錬炉とを順次経て(これに引き続いて、必要に応じてさらに減圧下で仕上げ脱炭精錬を行う)、目標とする成分に調整した後、連続鋳造機等で鋳片に鋳造する工程を経て製造されている。このような含クロム鋼の製造は、コストがかかるので、できるだけ効率の良い操業が望まれる。また、高価なクロムや溶鋼の歩留りを高めることもコスト面で重要なので、少なくとも2ヒート以上の溶製で得た溶鋼(前記工程で、1ヒートの溶製で得た含クロム溶鋼は一つの取鍋へ出鋼する)を保持した取鍋を、連続鋳造機に順次送り、連続鋳造を停止することなく行うことが望ましい。このような連続鋳造機の操業を「連々鋳」と称するが、鋼鋳片の切捨て部分が低減し、前記歩留りが向上する。しかし、この「連々鋳」での取鍋交換のピッチに合わせるには、前工程である含クロム溶鋼の溶製時間の短縮が必要であるが、現在の技術では含Cr溶鋼の溶製時間を短縮するのは難しい。
【0003】
そこで、前記含クロム溶鉄の溶製炉(例えば、転炉型反応容器)と脱炭精錬炉との間に、加熱機能を有した溶湯保持炉を別途配置することで、予め含クロム溶鉄を多量に確保しておき、連続鋳造での取鍋交換のピッチに合わせて脱炭精錬炉へ確保してある含クロム溶鉄を供給するようにした技術が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
ところで、近年、シームレスパイプ用素材等の燐含有量が0.020質量%以下の所謂「低燐ステンレス鋼」の需要が高まっている。そのような低燐ステンレス鋼は、従来は小ロットで生産されていたため、含クロム溶鉄の溶製炉や電気炉等で燐含有量の低い原料を厳選して溶解し、製造可能であったが、需要の増大に伴い、このような溶製方法ではコストがかかり過ぎることと、工程を撹乱する恐れが増大してきた。そこで、特に低燐仕様ではない一般の原料を用いて溶製した通常の含クロム溶鉄を別途脱燐処理する必要が生じてきた。
【0005】
含クロム溶鉄の脱燐処理としては、各種の酸化脱燐処理が知られている(例えば、特許文献2及び特許文献3参照)。しかし、これら特許文献2及3に記載の技術は、いずれもクロムの酸化を防止するため含クロム溶鉄に、高炭素濃度及び1400℃以上の高温が要求される。前記した含クロム溶鉄の保持炉を有するプロセスでは、該保持炉において脱炭精錬前の高炭素濃度の溶鉄が保持でき、且つ溶鉄の温度調整ができることから、そのような保持炉で保持した後の含クロム溶鉄に対して脱燐処理を施すのが好都合である。
【0006】
そこで、前記工程の含クロム溶鉄溶製炉と脱炭精錬炉との間に、図3に示すように、脱燐炉を配置することが考えられる。
【0007】
そこでの脱燐処理は、脱燐炉(例えば、転炉型反応容器、取鍋等)に保持した前記含クロム溶鉄に、固体酸化剤を含む精錬用フラックス(脱燐剤)を添加し、酸化性雰囲気で行われる。しかしながら、前述したように、溶鉄中の炭素濃度を高くし、かつ温度を1400℃以上としてクロムの酸化をできるだけ抑制してはいるが、該溶鉄中のクロムがある程度は酸化し、スラグへ移行することは避けられない。
【0008】
この脱燐処理で生じた燐及びクロム酸化物を含有するスラグ(以下、脱燐スラグという)の処理については、このスラグを直接、又は焼結した後に高炉へ投入し、スラグ中の鉄分及びクロム分を溶銑へ還元、吸収させると共に、排出される高炉スラグを土木・建築材料として利用する技術が開示されている(例えば、特許文献4参照)。
【0009】
この技術によれば、脱燐スラグ中のクロムは大部分が溶銑へ移行し、有効利用され、また、燐も大部分は高炉スラグへ移行し、燐酸肥料等の原料として有効に利用されることが期待される。しかしながら、この技術は、高炉から出銑した溶銑を含クロム溶鋼の製造に利用するには好都合であるが、該溶銑のほとんどは普通鋼の製造に利用される。その場合、クロムの含有は、普通鋼の品質仕様(スペック)に外れを生じることになり、クロムの含有が必要ない溶鋼については、有効利用ではなく、むしろ資源の無駄になるので、実用化が難しい。また、含クロム溶鉄の溶製炉へ戻す(リサイクルする)ことも考えられるが、その場合には、クロムと共に燐も同時にリサイクルされるので、低燐含クロム溶鋼の溶製に与える影響が大きい。
【0010】
このように、含クロム溶鋼の製造については、連続鋳造時期とのマッチング及び含クロム溶鉄の脱燐処理で発生した脱燐スラグの処置をいかように行うかが問題となっている。
【0011】
【特許文献1】
特開昭57−161020号公報(2頁、右欄の9行〜20行)
【特許文献2】
特開平1−215920号(2頁、左下欄の16行〜右下欄の11行)
【特許文献3】
特公昭63−481号公報(2頁、左欄の7〜14行)
【特許文献4】
特開平10−265827号公報(3頁、左欄の15行〜23行)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる事情に鑑み、含クロム溶鉄の脱燐処理時に不可避的に発生する脱燐スラグを適切に処理できるばかりでなく、燐濃度の高低にかかわらず、含クロム溶鋼を効率良く製造可能な含クロム溶鋼の製造方法を提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
発明者は、上記目的を達成するため鋭意研究を重ね、その成果を本発明に具現化した。
【0014】
すなわち、本発明は、溶銑を、含クロム溶鉄の溶製炉、溶湯保持炉、脱燐炉及び脱炭精錬炉を順次経由させて、低燐の含クロム溶鋼とする含クロム溶鋼の製造工程に、別途、第2の溶湯保持炉を配設し、前記脱燐炉で発生した脱燐スラグを含クロム溶鉄の溶製炉へ戻し、そこで得た燐含有量の高い含クロム溶鉄を前記第2の溶湯保持炉に保持してから前記脱炭精錬炉へ送り、脱炭して燐含有量の高い含クロム溶鋼とすることを特徴とする含クロム溶鋼の製造方法である。
【0015】
この場合、前記溶銑が予じめ脱燐されたものであったり、あるいは前記含クロム溶鉄を、前記溶銑に、スクラップ、クロム鉱石、クロム含有スラグ、ダスト及びスラジのいずれか一種又は二種以上を投入して還元性雰囲気下で溶製するのが好ましい。また、前記第2の溶湯保持炉の上流側に第2の含クロム溶鉄の溶製炉及び/又は下流側に第2の脱炭精錬炉を設け、該第2の含クロム溶鉄の溶製炉へ前記脱燐炉で発生した脱燐スラグを戻して、燐含有量の高い含クロム溶鉄を溶製すると共に、第2の脱炭精錬炉で該燐含有量の高い含クロム溶鉄を脱炭精錬するのが良く、さらに前記燐含有量の高い含クロム溶鋼及び燐含有量の低い含クロム溶鋼の溶製は、少なくとも3ヒートを連続して行うのが良い。
【0016】
本発明によれば、含クロム溶鉄の脱燐処理時に不可避的に発生する脱燐スラグを、含クロム溶鋼の製造工程内でリサイクルするようにしたので、高価なクロム源が有効利用できるばかりでなく、燐濃度の高低にかかわらず、含クロム溶鋼を効率良く製造できるようになる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、発明をなすに至った経緯をまじえ、本発明の実施の形態を説明する。
【0018】
まず、本発明では、含クロム溶鉄の溶製炉、溶湯保持炉、脱燐炉及び脱炭精錬炉を順次配置した図3に示した工程の利用を基本とする。この工程で、従来より低燐の含クロム溶鋼が安定して溶製できる。
【0019】
この場合、含クロム溶鉄の溶製炉としては、転炉型反応容器を利用して、高炉から出銑した溶銑、フェロ・クロム、鋼スクラップ(以下、単にスクラップ)を溶解して含クロム溶鉄を得る方法の他、近年実用化されるようになった溶銑、スクラップ、Cr鉱石等を炭材と共に直接溶融還元して、含クロム溶鉄を得る方法も利用することができる。後者の方がクロムを含有するスラグ、ダスト、スラジ等も原料として利用でき、スクラップよりも安価なCr源が多量に使用できるから一層好ましい。また、該含クロム溶鉄の溶製炉としては、転炉型反応容器に代え、コークスを充填した縦型の還元精錬炉を用いることもできる。前記クロムを含有するスラグ、ダスト、スラジ等の処理に都合が良いからである。なお、得られる含クロム溶鉄のクロム濃度は、最終的に溶製する含クロム溶鋼の鋼種にも依存するが、10〜30質量%である。さらに、上記で得た含クロム溶鉄を貯留しておく溶湯保持炉としては、従来より公知の混銑炉が挙げらるが、熱効率や温度調整の容易さ、加熱の迅速性の観点から前記特許文献1に開示されている電気式加熱手段を備えたものが好ましい。加えて、脱燐炉には、転炉型反応容器、取鍋等が利用できる。脱燐は、含クロム溶鉄へ脱燐剤を添加し、撹拌することで行われるので、この脱燐方法が実施できるものであれば良い。その際、溶鉄の撹拌は、ガス・バブリングの他、インペラ翼等を溶鉄浴に浸漬し回転する機械式撹拌方法も好ましく使用できる。この脱燐によって、含クロム溶鉄の燐濃度は目標値である0.020質量%以下まで低下する。
【0020】
このようにして脱燐された低燐の含クロム溶鉄は、脱炭して溶鋼にするが、その脱炭は、通常の転炉を用いる酸素吹錬が利用される。そして、得られた含クロム溶鋼は、取鍋に出鋼して必要に応じ減圧下で仕上げ脱炭精錬を行った後、連続鋳造機へ搬送され、鋳造して鋼鋳片となる。
【0021】
発明者は、このような低燐の含クロム溶鋼の製造工程において発生する前記脱燐スラグを工程外に排出させずに操業ができれば、クロム源の損失や環境問題が同時に解消できると考えた。しかし、前記したように、単純に含クロム溶鉄の溶製炉へリサイクルすると、クロムと共に燐も同時にリサイクルされるので、低燐含クロム溶鋼の溶製に悪影響が生じる。そこで、低燐の含クロム溶鋼の溶製に問題が発生しない製造方法を開発すべく、鋭意研究を重ねた。その結果、前記溶湯保持炉を有効に活用し、高燐の含クロム溶鋼も製造できる工程にすれば良いことに気がつき、以下のような形態の本発明を完成させたのである。
【0022】
本発明では、図1に示すように、前記した従来の低燐含クロム溶鋼の製造工程に、別途、第2の溶湯保持炉を配設した。なお、図1では、低燐含クロム溶鋼の溶製時の物流を実線矢印で、高燐含クロム溶鋼の溶製時の物流を点線矢印で示した。このようにすれば、上流側の溶製炉で得た含クロム溶鉄を燐含有量の高低で区別し、2基の溶湯保持炉のいずれかに貯留し、溶製目標の燐含有量に応じて下流側の脱炭精錬炉、あるいは脱燐炉及び脱炭精錬炉に供給することで、燐濃度の高低にかかわらず含クロム溶鋼を連続的に溶製できるようになるからである。つまり、連続鋳造で必要な含クロム溶鉄を、燐含有量の高低にかかわらず安定して溶製でき、連続的に連続鋳造機へ供給できるようになる。この場合、溶銑には、所謂「溶銑予備処理」としての例えばトピード・カーを利用した脱燐処理(インジェクション法)が施されるのが好ましい。低燐の含クロム溶鋼を溶製する際の負荷が軽減できるからである。
【0023】
本発明の重要なポイントは、かかる工程で燐濃度の高い含クロム溶鋼を溶製する際に、低燐の含クロム溶鋼の溶製時に前記脱燐炉で発生した脱燐スラグを含クロム溶鉄の溶製炉へ戻して投入し、該溶製炉で脱燐スラグが含有するクロムを溶鉄に吸収させると共に、燐も溶鉄や発生するスラグへ移行させることである。そして、得られた燐含有量の高い含クロム溶鉄を新設した第2の溶湯保持炉に保持してから必要に応じて、脱燐炉を経由させずに前記脱炭精錬炉へ送り、脱炭して燐含有量の高い含クロム溶鋼とするのである。
【0024】
なお、含クロム溶鉄の溶製炉へ投入する脱燐スラグとしては、先に行った低燐の含クロム溶鋼の製造時に発生したものを、高温状態のままで利用しても、またヤードに放置して常温になったものを利用しても良い。いずれでも、該脱燐スラグが含有するクロムが有効に利用されるからである。
【0025】
また、本発明では、第2の溶湯保持炉以外にも、図2に示すように、該第2の溶湯保持炉の上流側に第2の含クロム溶鉄の溶製炉及び/又は下流側に第2の脱炭精錬炉を設け、該第2の含クロム溶鉄の溶製炉へ前記脱燐炉で発生した脱燐スラグを戻して、燐含有量の高い含クロム溶鉄を溶製すると共に、第2の脱炭精錬炉で該燐含有量の高い含クロム溶鉄を脱炭精錬しても良い。燐濃度の高低で使用する反応容器を分けた方が、溶鋼の品質上でのトラブルが回避し易いからである。その際、第2の溶製炉としては、転炉型反応容器でも良いが、前記コークスを充填した縦型の還元精錬炉を用いても良い。クロム含有スラグ、ダスト、スラジの処理に有効だからである。
【0026】
さらに、本発明では、含クロム溶鉄の溶製炉より得られた溶鉄を脱燐炉にて脱燐処理を行った後に、脱炭精錬炉へ送らずに溶湯保持炉(以下、第1の溶湯保持炉と称し、低燐の含クロム溶鉄を保持)に戻して貯留しても良い。さらに、第1及び第2の溶湯保持炉では、それぞれスクラップ溶解を行っても良い。これにより、フェロクロム合金よりも安価なクロム源であるステンレス・スクラップの使用量を増大さることができるからである。この場合、低燐の含クロム溶鉄を保持している第1の溶湯保持炉では、燐含有量の低いスクラップを溶解することが望ましい。さらに、本発明では、目標とする燐濃度、クロム濃度等に応じて第1の溶湯保持炉、第2の溶湯保持炉、前記溶製炉からの含クロム溶鉄及び脱燐銑から選ばれた2種以上を適宜混合して、脱炭精錬炉に装入しても良い。加えて、本発明により含クロム溶鋼を製造する際には、同一鋼種の低燐及び/又は高燐の含クロム溶鋼を連続して3ヒート以上溶製するのが好ましい。連続鋳造のピッチに合わせて、目的の溶鋼を迅速、且つ円滑に連続鋳造機へ供給するのに都合が良いからである。
【0027】
【実施例】
図1に示した各種の炉を配設したステンレス製鋼工場において、本発明に係る含クロム溶鋼の製造方法を適用して、燐濃度が高低2種類のステンレス鋼(クロム含有量16質量%)のスラブを連続鋳造した。使用した溶銑(1ヒート当たり120トン)は、高炉から出銑後に、鋳床で脱珪、トピード・カーでの所謂「インジェクション法」による脱燐を経由したものである。溶製の順序は、最初に燐が0.012質量%と低い鋼種を4ヒート、引き続き燐が0.037質量%と高い鋼種を4ヒート溶製した。燐の高い鋼種を溶製する際には、先の低燐鋼の溶製時に発生した表1に組成を示す脱燐スラグを、溶製炉にリサイクルした。そのリサイクル量は、溶製炉内の含クロム溶鉄1トン当たり30kgである。なお、各炉での処理終了時の溶湯中クロム及び燐の含有量(質量%)を、仕上げ脱炭を行ったVOD装置内での操業も含めて、それぞれ表2に一括して示す。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】
この操業時の溶銑予備脱燐から連続鋳造までのタイム・スケジュールを図4に示す。図4において、点線矢印は、先の低燐含クロム溶鋼の操業で得た脱燐スラグを、熱い状態で含クロム溶鉄の溶製炉へ戻すことを示している。また、○印は、先の低燐含クロム溶鋼の操業で得た脱燐スラグに、ヤードに放置され、常温になったものを投入したことを示している。図4より、連続鋳造に、その操業とマッチングして含クロム溶鋼が燐濃度の高低にかかわらず連続的に供給できることが明らかである。また、脱燐炉で生じた脱燐スラグは、何ら問題を生じることなく利用でき、溶製された含クロム溶鋼の組成及び品質にも、何ら問題がなかった。
【0031】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明により、含クロム溶鉄の脱燐処理時に不可避的に発生する脱燐スラグを、含クロム溶鋼の製造工程内でリサイクルできるようになる。その結果、高価なクロム源が有効利用できるばかりでなく、燐濃度の高低にかかわらず、含クロム溶鋼を効率良く製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る含クロム溶鋼の製造方法を説明するフロー図である。
【図2】含クロム溶鉄の溶製炉、溶湯保持炉及び脱炭精錬炉がいずれも2基備えた場合の本発明に係る含クロム溶鋼の製造方法を説明するフロー図である。
【図3】従来の含クロム溶鋼製造プロセスに含クロム溶鉄の脱燐炉を組み合わせた場合に想定される低燐含クロム溶鋼の製造工程を示す参考的なフロー図である。
【図4】本発明に係る含クロム溶鋼の製造方法を実施した際のタイム・スケジュールの模式図である。
Claims (5)
- 溶銑を、含クロム溶鉄の溶製炉、溶湯保持炉、脱燐炉及び脱炭精錬炉を順次経由させて、低燐の含クロム溶鋼とする含クロム溶鋼の製造工程に、別途、第2の溶湯保持炉を配設し、前記脱燐炉で発生した脱燐スラグを含クロム溶鉄の溶製炉へ戻し、そこで得た燐含有量の高い含クロム溶鉄を前記第2の溶湯保持炉に保持してから前記脱炭精錬炉へ送り、脱炭して燐含有量の高い含クロム溶鋼とすることを特徴とする含クロム溶鋼の製造方法。
- 前記溶銑が予じめ脱燐されたものであることを特徴とする請求項1記載の含クロム溶鋼の製造方法。
- 前記含クロム溶鉄を、前記溶銑に、スクラップ、クロム鉱石、クロム含有スラグ、ダスト及びスラジのいずれか1種又は2種以上を投入して還元性雰囲気下で溶製することを特徴とする請求項1又は2記載の含クロム溶鋼の製造方法。
- 前記第2の溶湯保持炉の上流側に第2の含クロム溶鉄の溶製炉及び/又は下流側に第2の脱炭精錬炉を設け、該第2の含クロム溶鉄の溶製炉へ前記脱燐炉で発生した脱燐スラグを戻して、燐含有量の高い含クロム溶鉄を溶製すると共に、第2の脱炭精錬炉で、該燐含有量の高い含クロム溶鉄を脱炭精錬することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の含クロム溶鋼の製造方法。
- 前記燐含有量の高い含クロム溶鋼及び燐含有量の低い含クロム溶鋼の溶製は、少なくとも3ヒートを連続して行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の含クロム溶鋼の製造方法。
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CN102367503A (zh) * | 2011-10-31 | 2012-03-07 | 首钢总公司 | 一种控制钢水中磷、硫和氢含量的方法 |
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