JP2006200021A - 製鋼設備の操業方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】脱りん炉に装入する適切な銑鉄スクラップの量を算出可能とする。
【解決手段】脱りん炉2と脱炭炉3とをそれぞれ備える製鋼設備1で、脱りん炉2内の溶銑4に銑鉄スクラップ5を装入した上で脱りん処理を行う製鋼設備の操業方法において、前記銑鉄スクラップ5の量を、脱りん処理前後での溶銑重量の変化量と、脱りん炉で発生し且つ脱りん処理に必要な熱量を上回る余裕熱量とを基に算出する。
【選択図】図1

Description

本発明は、溶銑に対して脱りん処理、脱炭処理を行う製鋼設備の操業方法に関するものである。
多くの場合、溶銑の精錬を行う製鋼設備は、溶銑の脱りんを行う脱りん炉と、脱りん処理が行われた後の溶銑から炭素を取り除く脱炭炉との2基の転炉を備えている。
前記脱りん炉は溶銑予備処理炉とも呼ばれ、装入された溶銑に酸素を吹き付けると共に副原料(脱りん材)投入し、溶銑内のりんPや珪素Siを酸化しスラグとして排出するようにしている。脱りん処理の終わった溶銑は脱炭炉に装入され、この炉においても副原料(脱炭材)を投入すると共に溶銑に酸素を吹き付け、溶銑内の炭素Cを酸化し一酸化炭素COガス等として排出するようにしている。
前述の脱りん炉、脱炭炉の両方においては、従来より、溶銑内に鉄くずや鋼スクラップなどの冷鉄源を装入し、鉄資源のリサイクルを図るようにしている。ところが、これら鋼スクラップなどの冷鉄源装入に関しては、以下に述べるような幾つかの問題点が存在していた。
脱りん炉において、溶銑の温度は1300℃〜1400℃程度の低温度域であり、装入された鋼スクラップを溶解するためには、鋼スクラップ中へ溶銑中のCが浸入する浸炭が起こり、鋼スクラップ自体の融点が低下することが不可欠である。かかる浸炭を効率よく行わせるために、装入される鋼スクラップの厚みに対する制約が生じ、厚みの薄い軽量屑しか使用できないものとなっていた。
このような軽量屑は、嵩比重が小さく、脱りん炉への鋼スクラップ装入回数が極端に増えるようになる。それに伴い、脱りん炉の生産性が著しく低下するようになる。
また、鋼スクラップの溶解熱量を確保するため、脱りん用の酸素源である酸化鉄(冷却材)の添加量を少なくすることが必要となる。しかしながら、酸化鉄の添加を少なくすることにより、焼石灰の滓化が進まなくなって脱りん機能が低下し、脱りん処理後の溶銑中のりん濃度[P]が高いものとなる。
さらに、鋼スクラップの溶解熱量を確保するため、脱りん炉での脱炭量を多くして熱を確保することも考えられる。しかしながら、脱りん炉における脱炭量を多くすると、使用する酸素ガスの量が増加するとともに、脱りん処理時間が長くなったりして、脱炭炉とのマッチング不良という問題も生じる。
以上述べた生産性を下げる問題を解決する技術として、従来から広く行われているものとしては、脱炭炉のみに鋼スクラップを装入するものがある。この技術によれば、脱りん炉での温度低下を防ぐことが可能となるものの、投入する鋼スクラップが多量であったり、炭素濃度が0.5%以上の高炭素領域で吹き止める高炭素鋼の精錬時には、燃焼可能な炭素量が少なくなり熱量不足となることが否めない。そのため、高価な昇熱材を使用せざるを得ずコストアップの原因となっていた。
そこで、特許文献1に開示されているように、2基の転炉を有する製鋼設備おいて、脱りん炉及び脱炭炉の両方に冷銑等の冷鉄源(例えば、銑鉄スクラップ)を装入する技術が開発されている。この技術によれば、浸炭が起こらなくても低温域で溶解可能な銑鉄スクラップを脱りん炉に装入するために、脱りん炉における熱量不足などの問題が発生することを防ぐことが可能となっていた。
特開平8−209228号公報(第2頁)
しかしながら、特許文献1に記載された技術を実際の製鋼設備に適用しようとした場合、どれくらいの量の冷鉄源、例えば銑鉄スクラップを脱りん炉に装入したらよいかが不明である。特許文献1には、その量を規定する技術の開示や技術的思想の記載は全くないものとなっている。それどころか、製鋼設備の脱りん炉、すなわち溶銑予備処理炉に装入する銑鉄スクラップの量を規定する技術は未だ開発されるには至っていない。
そこで、本発明は、上記問題を鑑み、脱りん炉に装入する銑鉄スクラップの量を算出可能とし、該算出された装入量の銑鉄スクラップを、脱りん炉内の溶銑に装入して脱りん処理を行うことで、溶銑の生産性を著しく向上できる製鋼設備の操業方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
すなわち、本発明における課題解決のための技術的手段は、脱りん炉と脱炭炉とをそれぞれ有する製鋼設備であって、この製鋼設備の脱りん炉内の溶銑に銑鉄スクラップを装入した上で脱りん処理を行う製鋼設備の操業方法において、前記銑鉄スクラップの量を、脱りん処理前後での溶銑重量の変化量と、脱りん炉で発生し且つ脱りん処理に必要な熱量を上回る余裕熱量とを基に算出することを特徴とする。
この技術的手段によれば、脱りん処理における溶銑重量の変化量と余裕熱量とを基に、脱りん炉に装入する銑鉄スクラップの量を確実に算出することができ、算出された量の銑鉄スクラップを脱りん炉に装入することで、生産性のよい製鋼設備の操業を行うことが可能となる。
なお詳しくは、前述した技術的手段は、前記余裕熱量を脱りん炉に対する熱の出入りを基に算出する熱収支計算工程と、前記溶銑重量の変化量を脱りん炉に対する物質の出入りを基に算出する鉄収支計算工程と、前記両工程が算出した余裕熱量と溶銑重量の変化量とを基に、脱りん炉に装入する銑鉄スクラップの量を算出するスクラップ配合計算工程と、を備えるものとなっている。
更に、前記脱りん処理に必要な副原料の量を算出する副原料計算工程と、脱りん処理後の炭素濃度を算出する脱りん炭素量計算工程と、脱りん処理後の溶銑温度を算出する溶銑温度計算工程との少なくとも1つを有し、これら工程の計算結果を用いて、前記熱収支計算工程と鉄収支計算工程とを行うものとなっている。
そのため、副原料計算工程と炭素量計算工程との結果を基に溶銑温度計算工程を行うようにすることで、脱りん処理後の溶銑温度を正確に算出することができるようになる。
その上で、算出された溶銑温度を入力とし、熱収支計算工程と鉄収支計算工程とを行うことで、余裕熱量と溶銑重量の変化量とを算出することができるようになる。
その後、算出された余裕熱量と溶銑重量の変化量とを基にスクラップ配合計算工程を行うことで、脱りん炉に装入する銑鉄スクラップの量を正確に算出することが可能となる。
なお、上記技術的手段を適用した際に、前記銑鉄スクラップの量が、脱りん炉及び脱炭炉で装入される総スクラップ(1チャージで装入される総スクラップ)の量より少ない場合には、該総スクラップと銑鉄スクラップとの差分量を補充すべく、脱炭炉へ鋼スクラップを装入するようにするとい。
こうすることで、製鋼工程で投入されるトータルのスクラップ量が一定に保たれ、当該製鋼設備から出鋼される溶鋼の量を常に所定のものとすることができるようになる。
本発明によれば、脱りん炉に装入する銑鉄スクラップの量を算出でき、該算出された装入量の銑鉄スクラップを脱りん炉内の溶銑に装入して脱りん処理を行うことで、生産性の高い製鋼設備の操業を行うことが可能となる。
以下、本発明にかかる製鋼設備の操業方法を、図を例示して説明する。
図1は、本操業方法を適用する製鋼設備1(転炉設備)の概略を示した図である。
本製鋼設備1は、1基の脱りん炉2(溶銑予備処理炉)を有すると共に1基の脱炭炉3を備えているものであって、この設備1での溶銑4の精錬方法は、以下の通りである。
まず、高炉から搬送されてきた溶銑4は、銑鉄スクラップ5が装入された脱りん炉2内に流し込まれる。その後、溶銑4中のりんを主に取り除く脱りん工程として、当該脱りん炉2の炉口6からランス7を挿入し、溶銑上面に近づけ、酸素ガスを吹き付けて脱りん精錬(吹錬)を開始する。更に、耐火物ランス8を上方から溶銑内に挿入し、かかる耐火物ランス8を通して副原料(脱りん材、脱硫材、焼石灰CaO等の造滓材、酸化鉄Fexy等の冷却材)を投入するようにしている。こうすることで、りんは投入された酸素や副原料と反応してスラグ相に移行し、溶銑4の上方に浮いた状態で積層するようになる。
脱りんが終わると、脱りん炉2を炉前側へ傾けることで、溶銑4を出銑口から外部に配置された取鍋に排出し、排出された溶銑4を今度は脱炭炉3に装入するようにする。
脱炭炉3には予め鋼スクラップが装入されていて、その上で溶銑4が流し入れられるようになる。該溶銑4に対して転炉の炉口6からランス7を挿入し、溶銑上面に近づけ、酸素ガスを吹き付ける。それと同時に、炉底から窒素やアルゴンなどの吹き込みガスで溶銑4を撹拌しつつ脱炭精錬(吹錬)を行う。すなわち、脱炭炉3は上下吹き込み炉である。
脱炭が終わった溶鋼は、脱炭炉3を傾けることで、脱炭炉3の出鋼口から出鋼される。以上述べた「脱りん炉2に溶銑4を装入→脱りん処理→脱炭炉3に脱りん炉2内の溶銑4を装入→脱炭処理→出鋼」の一連の処理をチャージという。
なお、上記した銑鉄スクラップ5とは、高炉から製鋼設備1(転炉設備)に溶銑4を搬送する工程において生じる製品となり得ない銑鉄のことであり、所定形状を有さずそのまま下工程に送ることのできない冷銑のことである。
前述した如く、製鋼設備1の操業にあたり、脱りん炉2に装入する銑鉄スクラップ5の量を算出する必要がある。本実施形態では、脱りん炉2と脱炭炉3とをそれぞれ有する製鋼設備1であって、この製鋼設備1の脱りん炉2内の溶銑4に銑鉄スクラップ5を装入した上で脱りん処理を行う製鋼設備1の操業方法において、前記銑鉄スクラップ5の量を、脱りん処理前後での溶銑重量の変化量と、脱りん炉2で発生し且つ脱りん処理に必要な熱量を上回る余裕熱量とを基に算出するようにしている。
図2には、脱りん炉2に装入する銑鉄スクラップ5の量の算出工程を、フローチャートの形で示している。
当該算出工程は、前記脱りん炉2に対する熱の出入りを基に余裕熱量を算出する熱収支計算工程S4と、前記脱りん炉2に対する物質の出入りを基に脱りん処理前後での溶銑重量の変化量を算出する鉄収支計算工程S5と、前記両工程が算出した余裕熱量と溶銑重量の変化量とを基に、脱りん炉2に装入する銑鉄スクラップ5の量を算出するスクラップ配合計算工程S6と、を備えている。
加えて、前記脱りん処理に必要な副原料の量を算出する副原料計算工程S1と、脱りん処理後の炭素濃度を算出する炭素量計算工程S2と、脱りん処理後の溶銑温度を算出する溶銑温度計算工程S3との少なくとも1つを有し、これら工程の計算結果を用いて、前記熱収支計算工程S4と鉄収支計算工程S5とを行うものとなっている。
以下、図2に基づいて、銑鉄スクラップ5の量を算出する各工程を詳しく説明する。なお、各工程とも脱りん炉2に関するものであって、脱炭炉3のことは考慮しなくてもよい。
副原料計算工程S1は、脱りん炉2において、処理前での溶銑重量,りん濃度[P],珪素濃度[Si]と、処理後での目標りん濃度[P],溶銑予測温度Tとを入力として、当該脱りん炉2に投入する必要のある副原料(焼石灰CaO、冷却材Fexy)の量を算出するものであり、式(1)を用いて算出される。
Figure 2006200021
なお、本明細書において、溶銑4中の成分Aの濃度を[A]と表記し、スラグ中の成分Aの濃度を(A)と表記する。
この副原料計算工程S1で得られた焼石灰CaOと冷却材Fexyとの量は、脱りん処理後の炭素量を予測する炭素量計算工程S2の入力として用いられる。
炭素量計算工程S2は、処理前の[C]や[Si],脱りん反応に必要な酸素量(気酸ならびに固酸)から、処理中の脱炭量を予測するものであり、式(2)で計算されるものである。
Figure 2006200021
次に、脱りん処理にて酸化される[C](脱炭量)を入力として、溶銑温度計算工程S3が行われる。
当該工程では、前記脱炭量[C]と、処理前での溶銑重量,[C],[Si],[Mn],[P],溶銑温度Tbと、処理後の[P],溶銑目標温度Taとから、脱りん処理後の溶銑温度Te(処理前空炉時間から処理後目標温度との偏差)を予想する。この計算には、脱りん反応に必要な酸素量,脱Si反応に必要な酸素量とが用いられ、式(3)で算出される。
Figure 2006200021
前記溶銑温度計算工程S3で得られた脱りん処理後の溶銑温度Teを基に、脱りん炉2における熱収支計算工程S4と鉄収支計算工程S5とを行うようにする。
前記熱収支計算工程S4で用いられる熱収支式や鉄収支計算工程S5で用いられる鉄収支式については、酸化鉄系冷却材量及び吹錬酸素量を決定する為のスタティック制御理論モデルとして確立されている。
熱収支式は、式(4)で示されるものである。
Figure 2006200021
ここで、QHM(Te):溶銑顕熱、Qc:C反応熱、QSi:Si反応熱、QMn:Mn反応熱、QP:P反応熱、Qplus:余裕熱量、Qsteel:溶鋼顕熱、Qslag:スラグ顕熱、Qgas:排ガス顕熱、Qore:酸化鉄系冷却材(鉄鉱石など)の溶融分解熱、Qscale:スケール溶融分解熱、
また、脱りん炉2における鉄収支(物質収支)を表す関係式は、式(5)で示されるものとなっている。
Figure 2006200021
ここで、
・α=[C]+[Mn]+[P]+[S]、各濃度は吹き止め時の%濃度である。
・β=1.29×[Mn]+2.29×[P]、各濃度は吹き止め時の%濃度である。
・γ=(Fe3+)/(Fe2++Fe3+)×1.43+(Fe2+)/(Fe2++Fe3+)×1.29、この式で、(Fe3+)は、吹止スラグ中のFe3+の濃度であり、(Fe2++Fe3+)は、吹止スラグ中のFe2++Fe3+の濃度である。
・(T.Fe):吹止スラグ中のトータルFe
・Wsteel : 出鋼量
・Wslag : スラグ量
・FeIN=[Fe]HM/100×溶銑量+[Fe]SC/100×スケール量+0.671 ×鉄鉱石量、ただし、[Fe]HM は溶銑4中のFeの%濃度、[Fe]SCはスケール中のFeの%濃度
・SlagIN=2.14×装入Si量+1.29×装入Mn量+2.29×装入P量+鉄酸化物を除く全副原料中の酸化物

以上述べた式(4)から脱りん炉2での余裕熱量Qplusを求めることができ、式(5)を計算することで、脱りん処理前後における溶銑量の増減を知ることができる。
脱りん処理の前後で溶銑量が減少することを防ぐために、銑鉄スクラップを装入することになるが、その量を求めるためには、
・FeIN=[Fe]HM/100×溶銑量+[Fe]SC/100×スケール量+0.671 ×鉄鉱石量+0.567×銑鉄スクラップ量M
、として、式(5)を計算するとよい。
しかしながら、式(5)で算出された銑鉄スクラップ量Mが、式(4)で算出された余裕熱量Qplusをもって溶解できるかどうか不明である。
そこで、スクラップ配合計算工程S6では、脱りん処理後の溶銑温度Teや溶銑量M等を入力値として与えることによって式(4)、式(5)からなる連立方程的式を収束計算を用いて解き、余裕熱量Qplusで溶かしうる銑鉄スクラップ量Mを得るものである。
詳しくは、鉄収支計算で算出された銑鉄スクラップ量Mが、余裕熱量Qplusでは溶けきらない場合、例えば、銑鉄スクラップ5量がM’(<M)となるように、S1〜S3,S5の工程を再計算しするようにするとよい。反対に、余裕熱量Qplus が増えるようにS1〜S4工程を行うようにするとよい。かかるS1〜S5の工程を複数回繰り返して計算することは非常に好ましい。
なお、各工程S1〜S6の順序は、対象となるチャージの状態により入れ替わることがあり、各計算を個別の独立した計算とする場合もある。
以上述べたように、本発明では、装入する銑鉄スクラップ5を、副原料計算工程S1、炭素量計算工程S2、溶銑温度計算工程S3、熱収支計算工程S4、鉄収支計算工程S5の各計算モデルを用いて算出しているため、脱りん炉へ装入する銑鉄スクラップ量を精度よく計算することができるものとなっている。
このようにして算出された銑鉄スクラップ5を脱りん炉2に入れることで、浸炭が行われなくとも溶銑4に容易に溶解し、生産性の高い脱りん処理を行うことができるようになる。
なお、上記方法で、算出された銑鉄スクラップ5の量が、溶銑精錬の1チャージで必要とする総スクラップの量より少ない場合には、「総スクラップ量−銑鉄スクラップ量」に対応する鋼スクラップを脱炭炉3へ装入するようにする。こうすることで、製鋼工程で必要とされる全スクラップ量を常に供給することができ、所定の溶鋼を常に確保することが可能となる。
以上述べた、製鋼設備1の操業方法を用いて、溶銑精錬を行った結果を図3(a)〜(c)に示す。図3(a)は装入スクラップの量を示したものであり、(b)は脱りん炉2と脱炭炉3とへ投入した副原料の量を示し、(c)には成分濃度、温度の推移が示されている。
本実施例において、脱りん炉2へ装入される溶銑4の温度は、1250℃から1450℃であって、溶銑4の[C]は4.0〜4.5%、[Si]は0.60%以下、[P]は0.050〜0.150%である。
前記溶銑量に対するトータルのスクラップ配合率は8%としており、脱りん炉2、脱炭炉3およびその両方にスクラップを装入した場合の操業状況を比較した。投入する製鋼スクラップの銘柄は、当該スクラップ中への溶銑カーボンの浸炭によるスクラップの融点低下が不要なものに限定しており、脱りん炉2に装入した銑鉄スクラップ5は、厚み100mm、幅100mm、長さ200mmであり、脱炭炉3に装入した鋼スクラップは、直径100mm、長さ500mmの円柱状の炭素鋼スクラップである。
なお、脱りん炉2と脱炭炉3とへのスクラップ装入は、異なるクレーン設備を用いたため、両炉におけるクレーンの差し合いは起こらず、それに伴うロスタイムは発生しない条件としている。具体的には、銑鉄スクラップ5は、脱りん炉2の炉床に設置した自走式バケット方式の投入装置9を用いて投入し、鋼スクラップの装入は、スクラップシュートバック10に払い出し、天井クレーン11にて脱炭炉3内へ装入した。
図3の比較例1は、脱炭炉3のみに鋼スクラップを8t装入した場合を示しており、比較例2は脱りん炉2のみに鋼スクラップを8t装入した場合、比較例3は脱りん炉2・脱炭炉3の両方に鋼スクラップをトータル8t装入した場合である。比較例3では、脱りん炉2での熱不足が可能な限り発生しないように、脱りん炉2への鋼スクラップの装入量を4tに制約し、不足分として鋼スクラップ4tを脱炭炉3へ追加している。
上記したように、比較例1は鋼スクラップを全量脱炭炉3に装入しているため、脱炭炉3が熱不足状態になり、結果として高価な黒鉛を昇熱材として使用する必要性が生じた。このため生産コストがアップすることが否めなかった。
比較例2は、鋼スクラップを全量脱りん炉2に装入しているため、脱りん炉2が熱不足状態となった。この結果、脱りん時の酸化材(スケール)の投入量が不足し、脱りんが不十分になった。すなわち、図3(c)から判るように、脱りん後の[P]が0.035%であって、他の比較例の0.01や0.012%より多いものとなっている。更に、10分間の脱りん時間では、鋼スクラップへの浸炭が不足し、溶け残りが4t生じる結果となった。なお、溶け残り量が4tであることは、図3(a)の「脱炭炉への追加スクラップ」を4tとしていることから自明ある。
比較倒3は、脱りん炉2が熱不足状態とならないように、鋼スクラップの装入量を4tとしているため、焼石灰(副原料)、脱りん時の酸化材としてスケールの投入量が適正量確保できて脱りんが十分に進行しているが、10分間の脱りん時間では、鋼スクラップへの浸炭が不足し、解け残りが2t生じた。そのため、鋼スクラップの追加装入を2t行った。このことにより、下工程である連続鋳造機への溶鋼供給が間に合わず、連続鋳造機の操業が中断する等の不都合が生じた。
これに対して、本実施例(本発明1)では、スクラップ配合計算工程S6により算出された銑鉄スクラップ5の装入量である4tを脱りん炉2に装入した。また、総スクラップ量を確保するために、脱炭炉3に鋼スクラップを4t装入した。この結果、脱りん炉2における熱不足は発生せず、10分間の脱りん時間でも、銑鉄スクラップ5は完全に溶解できた。加えて、熱不足の心配が排除されたため、焼石灰を17kg/t、スケールを30kg/t投入することができて適正量確保となり、脱りんが十分に進行した。
本発明2は、本発明1のデータを基に、銑鉄スクラップ5の装入量を4tから2tに減じた場合である。この場合、脱炭炉3での鋼スクラップ投入量は6tとなっている。本発明3は、本発明1のデータを基に、銑鉄スクラップ5の装入量を4tから6tに増じた場合である。この場合、脱炭炉3での鋼スクラップ投入量は2tとなっている。
いずれの場合であっても、脱りん炉2での熱不足は発生せず、10分間の脱りん時間で銑鉄スクラップ5は完全に溶解できた。加えて、熱不足の心配が排除されたため、焼石灰を17kg/t、スケールを40又は20kg/t投入することができて適正量確保となり、脱りんが十分に進行した。
すなわち、本発明にかかる「製鋼設備での操業方法」に基づいて算出された銑鉄スクラップ5を脱りん炉2に装入することで、生産性のよい製鋼設備1の操業を行うことが可能となる。また、計算量より多少異なる装入量の銑鉄スクラップ5を装入したとしても、その高い生産性は落ちることはない。
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
例えば、図2に示される各工程での計算式は、研究者によって色々異なったものが提案されており、どの様なモデル式を使用するかについては特別の制限を受けない。
本操業方法を適用する製鋼設備の概略図である。 本操業方法のフローチャートである。 本発明にかかる製鋼設備の操業方法を用いて精錬を行った結果である。
符号の説明
1 製鋼設備
2 脱りん炉
3 脱炭炉
4 溶銑
5 銑鉄スクラップ
6 炉口
7 ランス
8 耐火物ランス
9 投入装置
10 スクラップシュートバック
11 天井クレーン

Claims (4)

  1. 脱りん炉と脱炭炉とをそれぞれ有する製鋼設備であって、この製鋼設備の脱りん炉内の溶銑に銑鉄スクラップを装入した上で脱りん処理を行う製鋼設備の操業方法において、
    前記銑鉄スクラップの量を、脱りん処理前後での溶銑重量の変化量と、脱りん炉で発生し且つ脱りん処理に必要な熱量を上回る余裕熱量とを基に算出することを特徴とする製鋼設備の操業方法。
  2. 前記余裕熱量を脱りん炉に対する熱の出入りを基に算出する熱収支計算工程と、
    前記溶銑重量の変化量を脱りん炉に対する物質の出入りを基に算出する鉄収支計算工程と、
    前記両工程が算出した余裕熱量と溶銑重量の変化量とを基に、脱りん炉に装入する銑鉄スクラップの量を算出するスクラップ配合計算工程と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の製鋼設備の操業方法。
  3. 前記脱りん処理に必要な副原料の量を算出する副原料計算工程と、脱りん処理後の炭素濃度を算出する脱りん炭素量計算工程と、脱りん処理後の溶銑温度を算出する溶銑温度計算工程との少なくとも1つを有し、
    これら工程の計算結果を用いて、前記熱収支計算工程と鉄収支計算工程とを行うことを特徴とする請求項2に記載の製鋼設備の操業方法。
  4. 前記銑鉄スクラップの量が、脱りん炉及び脱炭炉で装入される総スクラップの量より少ない場合には、該総スクラップと銑鉄スクラップとの差分量を補充すべく、脱炭炉へ鋼スクラップを装入することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに製鋼設備の操業方法。
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