JP3987918B2 - 地下駐輪場 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の自転車を収納する地下収納空間を含む地下駐輪場に関し、該地下駐輪場は収納空間として地上に突出した地上空間を含んでも良い。
【0002】
【従来の技術】
駅前等で一時的に自転車を格納するための機械式自転車駐輪場は、従来、敷地の有効利用を図るため、自転車格納部が地上に設けられ、この自転車格納部と地上入出庫口との間に自転車搬送装置が設けられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の駐輪場は駅前等の比較的地価が高価な場所に建設されるため、その敷地面積は狭くなる傾向があり、かような場所で所定台数以上の自転車格納能力を得ようとすると、駐輪場は少なくとも地上7〜8階建て以上の規模が必要になる。このような高層の駐輪場は、街の景観にとって好ましいものでは無く、また入出庫のために自転車を搬送すると騒音が発生するため、周囲の住民からは建設のための同意が得にくいという問題があった。
【0004】
このような問題点を解決するために地下式の駐輪場が建設されているが、いずれの地下式駐輪場も、利用者自身が自転車を駐輪スペースや駐輪棚まで運ぶよう形成されているので、入出庫のために緩勾配の長いスロープが必要とされ、このスロープが収納台数増加のための阻害要因となっている。また地下式駐輪場では、駐輪スペースや駐輪棚が外部の人通りから隔絶された密室空間になるため、防犯上の問題も指摘されている。したがって、入出庫を機械で自動化した機械式地下駐輪場の実現が望まれている。
【0005】
本発明は上記従来技術の問題点に着目し、これを解決せんとしたものであり、その課題は、地上の入出庫口から地下の収納空間に、自転車を迅速に入出庫することができる地下駐輪場を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明では、複数の自転車を収納する地下収納空間を含む地下駐輪場であって、複数の自転車を収納する収納空間を地下に備える地下駐輪場であって、自転車の前輪と後輪を搭載し、前輪を着脱自在に把持する把持部を備えるL字形の自転車ケースと、該自転車ケースを介して自転車を縦置き状態で吊り下げるため対向配置の壁面に多段状に設けられた自転車懸架用梁と、地上の入出庫口から地下の所定深さまでの区間で自転車ケースを介して自転車を垂直方向に昇降させる昇降装置と、該昇降装置と前記自転車懸架用梁との間で自転車ケースを介して自転車を搬送するために前記対向配置の壁面間を水平方向に走行する塔状のクレーンとを備え、前記昇降装置は、自転車ケースを介して支持した自転車を、横置き状態と縦置き状態とに反転させる反転手段を備え、且つ、自転車ケースの水平方向の向きを旋回させる旋回手段を備え、前記塔状のクレーンは、塔状部に沿って上下方向に昇降可能で、水平方向に旋回可能で、且つ水平方向に伸縮可能なアームを備えることを特徴とする地下駐輪場を提供する。
【0007】
本発明の地下駐輪場において、地下収納空間に連続するように地上に突出した地上空間を設け、これを収納空間としても良い。地上の収納空間には、例えば、前記対向配置の壁面上に複数の支柱を所定高さまで突設し、この複数の支柱に自転車懸架用梁を架設し、前記塔状のクレーンはアームが最上段の自転車懸架用梁に達する高さに形成し、地上の収納空間を囲む壁体を設ける。なお、地上の収納空間は、街の景観を損なわない程度の高さ、例えば4〜12m程度の高さに設けることが好ましい。
【0008】
【実施例】
以下、添付図面に基づいて実施例を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。図1は本発明の地下駐輪場を一点鎖線により部分的に破断して示した斜視図であり、図2は複数の並列配置で構築した地下駐輪場をそれぞれ異なる平面位置で切断して示した断面図であり、図3は本発明の地下駐輪場の入出庫口付近を、図2の断面に直行する方向から見た断面図であり、図4は図2の断面図を部分的に拡大して示した断面図であり、さらに、図5は図2の断面図を部分的に拡大して示した断面図である。
【0009】
ここで例示する地下駐輪場では、地上に自転車12の入出庫口30を設け、この入出庫口30には、IDカードを読み込むためのカードリーダー31を配置すると共に、カードリーダー31からの信号を受けて自転車12の引込みや押出しをする引込装置32が設けられ、さらに、入出庫口30に連続する地下空間が設けられている。この地下空間には、垂直壁10に多段状に取り付けた自転車懸架用梁13と、塔状のクレーンとしてのスタッカークレーン15と、反転移載装置20と、自転車12を搭載するための空の自転車ケース11を複数収納することができるケースストッカー35とが配置されており、入出庫口30で出し入れされる自転車12は、自転車ケース11に搭載されて地下空間内を移動するように構成されている。
【0010】
前記地下空間は、複数の垂直壁10と上下のスラブ版によって水平方向に長い長方体形状に構築し、図2で示したように、複数の地下空間と入出庫口30を並列配置で構築しても良い。地下空間の垂直壁10のうち、長手方向に対向配置で設けられた垂直壁10には、前記自転車懸架用梁13を多段状かつ水平に取り付ける。この自転車懸架用梁13は、図4及び図5示したように、突出部分の断面形状がL字形になるような長尺部材を用いて形成する。
【0011】
また前記自転車ケース11は、図4及び図5に示したように、長短の部材11a,11dによってL字形に形成し、長尺部材11dには自転車の前輪と後輪とが嵌まる溝(図示せず)を設け、短尺部材11aには前輪を着脱自在に把持する把持部11bを設けると共に、後述するスタッカークレーン15のアーム先端15eを係止させる係止部(図示せず)も設ける。さらに、異なる係止部11cを、長短の部材11a,11dの交差する部分に設けて、この係止部11cを自転車懸架用梁13に係止させて、自転車ケース11を地下空間に縦置き状態で吊り下げる際に用いる。
【0012】
前記反転移載装置20は、上下端において垂直軸24,24を介して回動可能に固定された垂直軌道26と、垂直軸24,24を中心にして垂直軌道26を回動させる旋回モーター23と、垂直軌道26に沿って上下方向に昇降可能に形成された反転昇降部材25と、この反転昇降部材25に水平軸22を介して回動可能に接続されたケース把持部材27とを備え、前記反転昇降部材25には水平軸22を介してケース把持部材27を回動するためのモーターを内蔵する。なお、垂直軌道26は入出庫口から地下の所定深さまでの区間に延設する。
【0013】
この反転移載装置20では、例えば、地下駐輪場に自転車12を入庫する場合、図1に示したように、自転車12を収納した自転車ケース11を、A,B,C,Dのような順序で、昇降し、反転し、旋回させる。すなわち、図3及び図5をも参照すれば、Aにおいて、入出庫口30から引き込まれた自転車12は横置き状態で自転車ケース11に固定され、この自転車ケース11はケース把持部材27に把持される。またBでは、ケース把持部材27を反転昇降部材25により水平軸22を中心にして約90°回動し、自転車ケース11を介して自転車12を横置き状態から縦置き状態に反転している。さらに、Cでは、反転昇降部材25を垂直軌道26に沿って下降させながら、垂直軸24を中心に旋回モーター23で垂直軌道26を回動させて、自転車ケース11の水平方向の向きを、入出庫口30の方向からスタッカークレーン15の方向に約360°旋回させている。Dではスタッカークレーン15方向に向いた旋回後の自転車ケース11が示されている。なお、地下駐輪場から自転車12を出庫する場合、反転移載装置20は、D,C,B,Aのような順序で作動する。
【0014】
また地下駐輪場に自転車12を入庫する場合、反転移載装置20はケースストッカー35から空の自転車ケース11を受け取り、D,C,B,Aのような順序で作動して、自転車ケース11を入出庫口30まで搬送する。逆に、自転車12を入出庫口30から出庫した後、反転移載装置20はA,B,C,Dのような順序で作動して、空の自転車ケース11を入出庫口30から搬送し、縦置き状態でケースストッカー35に受け渡す。
【0015】
前記スタッカークレーン15は、地下空間内で垂直方向に延びる塔状部材15aと、この塔状部材15aに沿って昇降可能に設けられた昇降部材15bと、この昇降部材15bから水平方向に突出した突出部15cと、この突出部15cに垂直軸(図示せず)を介して回動可能に枢着されたアーム15dとを備える。そして、アーム15dは伸縮可能に形成されており、その先端部分15eには、自転車ケース11に係止させるための係止具(図示せず)を設ける。また地下空間のスラブ上にはレール16,16が並設されており、塔状部材15aの下端部には、レール16,16上を走行可能なように、複数のキャスターが設けられている。
【0016】
なお、前記塔状部材15aは、図1のような鋼管状部材により形成するか、あるいは、図2〜4のようにトラス状部材により形成することができる。また図1においては、地下空間内に二台のスタッカークレーン15が配置されているものの、同一の地下空間内には一台のスタッカークレーン15のみを配置することが好ましい。
【0017】
前記スタッカークレーン15の作用について以下に説明する。自転車12を入庫する際には、自転車12を搭載した自転車ケース11を反転移載装置20によりDの位置まで下降し、スタッカークレーン15からアーム15dを伸長して、その先端15eを自転車ケース11の短尺部材11aに係止させた後、アーム15dを収縮して、塔状部材15aをレール16に沿って走行させて所定位置に停止する。そして、自転車ケース11を係止させる自転車懸架用梁13の高さに合わせて、昇降部材15bを塔状部材15aに沿って昇降し、次に、アーム先端15e、すなわち自転車ケース11を自転車懸架用梁13の方向に向けるべく、アーム15dを突出部15cの垂直軸のまわりにほぼ90°回動させる。次いで、アーム15dを伸長し、自転車ケース11の係止部11bを自転車懸架用梁13に係止させた後、アーム15dを収縮すれば、スタッカークレーン15による自転車入庫時の動作は終了する。
【0018】
次に、地下駐輪場におけるシステム全体の動作の流れを説明する。自転車12を地下駐輪場に入庫する際、利用者は予め登録されたIDカードをカードリーダー31に差し込む。これにより、反転移載装置20は作動して、ケースストッカー35から空の自転車ケース11を受け取り入出庫口30まで搬送し、空の自転車ケース11を引き込み装置32に受け渡す。次に、入出庫口30の扉が自動的に開き、引き込み装置32により自転車ケース11が外側に押し出される。利用者が、自転車12を自転車ケース11に載せると、以後の動作は地下駐輪場の自動化システムにより行われる。
【0019】
すなわち、自転車12の前後輪を自転車ケース11の長尺部材11dの溝に入れると、前輪は把持部材11bにより仮固定され、入出庫口30付近に設けられたセンサ(図示せず)により利用者の安全が確認されると、引き込み装置32が稼動して、反転移載装置20の待機する位置の上方まで、自転車12を自転車ケース11ごと引き込み、入出庫口30の扉は自動的に閉鎖される。そして、把持部材11bにより前輪が本固定され、反転移載装置20のケース把持部材27が自転車ケース11を把持し、反転昇降部25が自転車ケース11を垂直方向に約90°反転させる。この反転した状態で、さらに、自転車ケース11を水平方向に360°回転させるべく、垂直軌道26を旋回モータ23によって回転し、同時に、反転昇降部25を垂直軌道26に沿って、その下端まで下降させる。垂直軌道26の下端まで反転昇降部25が達したら、ここで、自転車ケース11を反転移載装置20からスタッカークレーン15に引き渡す。その後、スタッカークレーン15は、他の自転車が収納されていない自転車懸架用梁13の箇所までレール16上を走行すると共に、他の自転車が収納されていない高さまで、自転車ケース11ごと自転車12を昇降する。次に、スタッカークレーン15のアーム15dを該自転車懸架用梁13の位置まで伸ばして、自転車ケース11を自転車懸架用梁13に落とし込む。
【0020】
自転車12を自転車懸架用梁13に入庫した後、スタッカークレーン15と反転移載装置20とは、相互間の自転車受け渡し位置に移動し、この位置で次の動作まで待機する。
【0021】
次に、自転車12を地下駐輪場から出庫する際のシステムの流れを説明する。自転車出庫時、システムは概ね入庫時の逆に作動する。すなわち、利用者がIDカードをカードリーダー31に差し込むと、反転移載装置20が待機位置から始動する。この時、反転昇降部25はスタッカークレーン15方向に向いており、垂直軌道26の最下端に位置し、一方、スタッカークレーン15も待機位置から始動し、指定の自転車12の位置まで水平走行する。そして、スタッカークレーン15は、アーム15dを伸ばして自転車ケース11ごと指定自転車12を取り出し、反転移載装置20の位置まで搬送する。スタッカークレーン15から反転移載装置20に、自転車ケース11ごと自転車12を引き渡したら、自転車12を上昇し、360°旋回し、90°反転させる。次に、反転移載装置20のケース把持部材27による自転車ケース11の把持が解除され、自転車ケース11が引き込み装置32に渡されると、入出庫口30の扉は自動的に開き、引き込み装置32は自転車ケース11ごと自転車12を外側に押し出す。そして、自転車ケース11の把持部材11bによる前輪の固定が解除されて、利用者は自転車12を自転車ケース11から取り出し、空になった自転車ケース11は引き込み装置32により引き込まれて、入出庫口30の扉は自動的に閉鎖される。空になった自転車ケース11は、引き込み装置32から反転移載装置20を介してケースストッカー35まで搬送され、ケースストッカー35に収納される。最後に、スタッカークレーン15と反転移載装置20とは、それぞれの待機位置に移動する。
【0022】
【発明の効果】
本発明では、地上の入出庫口から地下の所定深さまでの区間に、自転車ケースの反転手段と旋回手段とを備える昇降装置が設けられたので、自転車の搭載された自転車ケースは、昇降装置と塔状クレーンとの間で、最適な角度・姿勢で授受することができて、これにより、地下空間に塔状クレーンを備える地下駐輪場の構築が可能になった。また上記地下駐輪場では、地上の入出庫口から地下の収納空間に、自転車を迅速に入出庫することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の地下駐輪場を部分的に示した斜視図である。
【図2】複数の並列配置で構築した地下駐輪場を異なる平面位置で切断して示した断面図である。
【図3】本発明の地下駐輪場の入出庫口付近を、図2の断面に直行する方向から見た断面図である。
【図4】図2の断面図を部分的に拡大して示した断面図である
【図5】図2の断面図を部分的に拡大して示した断面図である。
【図6】本発明の地下駐輪場において、主に自転車の流れを示したフローチャートである。
【符号の説明】
10 垂直壁(対向配置の壁面)
11 自転車ケース
11a 前輪把持部(把持部)
12 自転車
13 自転車懸架用梁
15 スタッカークレーン(塔状のクレーン)
15a 塔状部
15d アーム
20 反転移載装置(昇降装置)
23 旋回モーター(旋回手段)
25 反転昇降部(反転手段)
30 入出庫口
Claims (1)
- 複数の自転車を収納する地下収納空間を含む地下駐輪場であって、自転車の前輪と後輪を搭載し、前輪を着脱自在に把持する把持部を備えるL字形の自転車ケースと、該自転車ケースを介して自転車を縦置き状態で吊り下げるため対向配置の壁面に多段状に設けられた自転車懸架用梁と、地上の入出庫口から地下の所定深さまでの区間で自転車ケースを介して自転車を垂直方向に昇降させる昇降装置と、該昇降装置と前記自転車懸架用梁との間で自転車ケースを介して自転車を搬送するために前記対向配置の壁面間を水平方向に走行する塔状のクレーンとを備え、
前記昇降装置は、自転車ケースを介して支持した自転車を、横置き状態と縦置き状態とに反転させる反転手段を備え、且つ、自転車ケースの水平方向の向きを旋回させる旋回手段を備え、
前記塔状のクレーンは、塔状部に沿って上下方向に昇降可能で、水平方向に旋回可能で、且つ水平方向に伸縮可能なアームを備えることを特徴とする地下駐輪場。
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