JP3987226B2 - 磁気抵抗効果型デバイス - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気抵抗効果素子(MR素子)を有するのデバイスに関し、より詳しくはMR素子の面に対して垂直に電流を流す所謂CPP(カレント・パーペンディキュラ)タイプの薄膜型デバイスに関する。
【0002】
【従来の技術】
MR素子を利用した薄膜型デバイスとしての従来の磁気再生ヘッドが図1に示されている。同図では係る薄膜ヘッドにより読取り、或いは検出がなされる磁気記録媒体側から該薄膜型ヘッドの概要構成を示しており、図の左右方向が読取り再生を行う磁気記録媒体のトラックの幅方向である。
同図において101 は上部シールド部を、102 は下部シールド部を示している。これら2つのシールド部はNiFe等の軟磁性体で形成されている。これらシールド部101 、102 の間に形成されるギャップ内にMR素子100 が、上部ギャップ部材103 及び下部ギャップ部材104 それぞれを介して、上部シールド部101 と下部シールド部102 に接合されている。この上部ギャップ部材103 及び下部ギャップ部材104 は絶縁性のアルミナ等の膜として形成されている。
【0003】
また,MR素子100 の左右両端部には、該MR素子100 の磁気抵抗変化を電気的に検出するためのリード線105A、105Bが接合されている。そしてさらに、各リード線105A、105Bの下部と上記下部シールド部102 との間には、バルクハウゼン雑音対策用のCoPt等からなるハード膜106A,106B が設けられている。
この種のヘッドでは、MR素子100 に付されているリード線105A、105B間に電流を流しながら、その電圧を監視すれば電圧変化としてMR素子の磁気抵抗変化を検知できるものである。したがって、このヘッドとしてのデバイスをハードディスク等の磁気記録媒体に接近させれば,この媒体からの磁界変化によりデバイス内のMR素子の磁気抵抗に変化が生じ、これを電圧変化として読取、検出することができる。
【0004】
なお、図1に示されるヘッドは上述したように、電流がリード線105AからMR素子の面内、そしてリード線105Bへと流れるのでCIP(カレント・イン・プレイン)タイプの薄膜ヘッドと称されものである。
次に、特開平9-288807号には他の従来技術による薄膜ヘッドが開示されている。図2に示された、このタイプの薄膜ヘッドはCPP(カレント・パーペンディキュラ)タイプと称されるもので,上述した図1のタイプとは異なり、MR素子の面に対して電流が垂直方向(図2の紙面で上下方向)に流れるタイプである。
【0005】
同図に基づいて説明すると、111 は上部シールド部、112 は下部シールド部で、導電性を有する金属磁性材料で形成されている。この両シールド部111 、112 の間に形成されるギャップ内に、上部ギャップ部材113 及び下部ギャップ部材114 のそれぞれを介して上記上部シールド部111 と下部シールド部112 に電気的に接続されるMR素子110 が配設されている。ここで、上記上部ギャップ部材113 及び下部ギャップ部材114 はCu等の導電性部材である。
【0006】
図2に示されるヘッドでの電流の流れは、上部シールド部111 から上部ギャップ部材113 へ、そしてMR素子110 を垂直方向に横切って、下部ギャップ部材114 に入り、最後に下部シールド部112 へと至るものである。なお、同図でMR素子110 の左右両端部に接し,上部シールド部111 と下部シールド部112 のギャップを埋めるように設けられているのはアルミナ等からなる絶縁部材117A、117Bである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
記録媒体上に記録されるデータは、近年特に高密度化してきており、線記記録密度(BIP )の向上に対しデバイスのギャップを狭める必要がある。そこで上記図1に示される従来技術にあっては、絶縁性の上部ギャップ部材103 及び下部ギャップ部材104 を薄くして対応してきた。しかしながら、絶縁性確保の点からは1μm程度の膜厚が必要であり、これ以上の薄膜化は困難となっていた。
【0008】
さらに、このタイプのデバイスは、上述したようにMR素子の面に対してその面内方向に電流を流すCIPタイプである。近年、従来型のMR素子よりも再生感度の高い巨大磁気抵抗効果(GMR)素子が提案されてきているが、このGMR素子で汎用性の高いスピンバルブタイプのものはその面に対して、垂直に電流を流すと感度が向上するとの知見がある。しかし、図1 のタイプのデバイスはCIPタイプであり、この効果を獲得できない。また、トンネルタイプのGMR素子にあってはその素子面に対して垂直に電流を流すことが必須であり、図1のデバイスのMR素子としては採用することができない。
【0009】
ここで、上述のCIPタイプのデバイスで問題とされていた、シールド部材間のギャップをより狭めること、及びMR素子面に対して電流が垂直に流れるようすることを可能にしたのが、図2に示された従来のCPPタイプの薄膜ヘッドであると言える。
しかし、係るヘッドにおいても、電流を効率よくに垂直方向に流してMR素子を効果的に使用したいとする点からは未だ満足できるものではなく。さらに、バルクハウゼン雑音の対策もなされていないといった問題を有している。また、図2のデバイスではMR素子のフリー層の軟磁気特性が下地の材質によっては劣化するという問題をも有している。
【0010】
なお、ここで図2のヘッドに図1で開示されたハード膜を単に適用すれば、バルクハウゼン雑音の対策が容易になされるように思われる。しかし、図1に示されたハード膜には、MR素子と上部ギャップ部材との電気的なショートが原因で歩留が低下するとい問題を有しており、単に図2のヘッドに従来のハード膜を適用しても好ましい効果を得ることができなった。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するために、本発明の磁気抵抗効果素子を利用する薄膜デバイスにあっては、上部シールド部と下部シールド部との間のギャップに磁気抵抗効果素子を配設すると共に、該磁気抵抗効果素子を導電性の上部ギャップ部材及び下部ギャップ部材のそれぞれを介して上記上部シールド部と下部シールド部に電気的に接続して、電流が上記磁気抵抗効果素子の面に対して実質的に垂直に流れるように構成した磁気抵抗効果型デバイスであって、前記下部シールド部上に、膜部材と、下部ギャップ部材と、磁気抵抗効果素子とが順に設けられ、前記下部ギャップ部材がタンタルからなり、前記膜部材が下部シールド部と下部ギャップ部材とを接合し、体心立方構造を有する材料からなる磁気抵抗効果型デバイスとして構成される。
【0012】
本件発明者等は鋭意研究をなした結果、下部ギャップ部材タンタル(Ta)の下地として体心立方構造有する膜部材を設け、更にこのTa上にMR素子を配すると、電流がMR素子の面に対して垂直に効率よく流れ、MR素子自体の感度も向上することを見出し本発明に至ったものである。ここで体心立方構造の膜部材上のTaは比抵抗を低くする機能を果たし、Ta上のMR素子はそのフリー層の軟磁気特性向上が図られることで、係る本発明の著しい効果が得られると考えられる。
【0013】
上記体心立方構造の膜部材は、該結晶構造を有するタングステン、チタン、クロム、鉄、リチウム、バナジウム及びモリブデンの群から選択されるいずれか1つの金属、又はこれらから合成される体心立方の結晶構造を有する合金を使用することができる。ここで、好ましい膜部材はタングステンである。
そして、上記上部ギャップ部材は銅、金、タングステン、ルテニウム、白金、パラジウム及びタンタルの群から選択されるいずれか1つ金属、又はこれらから合成される合金を使用することができる。ここで、かかる上部ギャップ部材としては比抵抗が低い材料が好ましい。好適な上部ギャップ部材としては銅である。
【0014】
さらに、上記の磁気抵抗効果型デバイスについて、前記磁気抵抗効果素子が読取りをするトラック幅に対応した所望のコア幅を有し、該幅方向において磁気抵抗効果素子の両端部に前記上部シールド部から下部シールド部まで続く絶縁部材が配設され、前記体心立方構造の膜部材は上記絶縁部材の下部まで延在し、上記膜部材と上記絶縁部材は、該絶縁部材の下部に設けられるコバルト系合金から成るハード膜を介して接合されている磁気抵抗効果型デバイスとして構成されるならば、Co系合金の良好な硬磁気特性が得られるためバルクハウゼン雑音への対策を兼ね備えた磁気抵抗効果型デバイスとすることができる。
【0015】
上記のように、体心立方構造の膜部材を幅方向に延在させ、その上にコバルト系合金から成るハード膜を設けることで、上述の効果と合わせて、薄膜デバイスについて雑音の発生を抑制しつつリーク電流を有効に防止するという効果をも合わせて享受できる。
ここで、上記体心立方構造の膜部材は、該結晶構造を有するタングステン、チタン、クロム、鉄、リチウム、バナジウム及びモリブデンの群から選択されるいずれか1つ金属、又はこれらから合成される体心立方の結晶構造を有する合金を使用することができる。ここで、好ましい膜部材はタングステンである。
【0016】
またここで、上記ハード膜としては、非導電性で保磁力500Hc 以上の高磁性のCoFe2O4 又はCoPt-SiO2 が好ましい。これによりバルクハウゼン雑音を防止すると共に、電流のリークも確実に抑制できる。このようにハード膜を絶縁体とすることで安定化バイアスとして使用でき、MR素子端部からの電気的なショートを抑制でき、歩留まりを向上させることができる。
【0017】
さらに、本発明にはCPPタイプの薄膜デバイスでバルクハウゼン雑音対策を主に考えた、上部シールド部と下部シールド部との間のギャップに所望のコア幅を有する磁気抵抗効果素子を配設すると共に、該磁気抵抗効果素子を導電性の上部ギャップ部材及び下部ギャップ部材のそれぞれを介して上記上部シールド部と下部シールド部に電気的に接続し、さらに上記磁気抵抗効果素子の幅方向において該磁気抵抗効果素子の両端部に上記上部シールド部から下部シールド部まで続く絶縁部材を配設して、電流が上記磁気抵抗効果素子の面に対して実質的に垂直に流れるように構成した磁気抵抗効果型デバイスであって、上記絶縁部材はコバルト系合金から成るハード膜を下部に有し、該ハード膜は体心立方構造の膜部材を介して上記下部シールド部に接合されている磁気抵抗効果型デバイス、のように構成した薄膜デバイスも含まれる。
【0018】
またここで、上記ハード膜としては、非導電性で磁気保磁力500Hc 以上の硬磁性のCoFe2O4 又はCoPt-SiO2 が特に好ましい。
上述した本発明に係る薄膜デバイスには特に、磁気抵抗効果素子はスピンバルブ型又はトンネル型の巨大磁気抵抗(GMR)素子を使用することが好ましい。これらのMR素子はその素子面に対して電流を垂直に流すことで、高感度なMR素子となりより一層の小型化、薄膜化が可能となる。
【0019】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について説明する。
図3に本発明のデバイスを薄膜ヘッドとして採用した一実施形態に係るCPPタイプのヘッドの概要構成が示されている。同図では係る薄膜ヘッドにより読取りがなされる磁気記録媒体側から該薄膜型ヘッドの概要構成を示しており、図の左右方向が読取り再生を行う磁気記録媒体のトラックの幅方向である。
【0020】
同図において11は上部シールド部を、12は下部シールド部を示している。これら2つのシールド部はFeZrN 等の軟磁性体で形成されている。これらシールド部11、12の間に形成されるギャップ内にGMR素子10が、上部ギャップ部材13及び下部ギャップ部材14それぞれを介して、上部シールド部11と下部シールド部12に接合されている。
【0021】
ここでGMR素子10としては、種々のタイプのものが使用可能であるが、トンネルタイプのGMR素子として例えばNiFe(2 )/Co(1 )/Al2O3 (5 )/Co(2 )/PdPtMn(20)又は、スピンバルブタイプのGMR素子として例えば中間層がCuであるNiFe(2 )/CoFeB (4 )/Cu(3 )/CoFeB (2.2 )/PdPtMn(25)/Ta(6 )を好適なものとして使用できる。なおカッコ内の数字は各層の厚さを示し、単位はnmである。
【0022】
上記上部ギャップ部材13は導電性の銅、金、タングステン、ルテニウム、白金、パラジウム及びタンタルの群から選択されるいずれか1つ又はこれらから合成される合金を使用できるが、銅が好ましく例えば約3nm 程度の膜厚で形成される。また、上記下部ギャップ部材14は、特に導電性のタンタルが膜として形成され、例えば約20nm程度の膜厚で形成される。
さらに、本発明ではこの下部ギャップ部材であるタンタルの下に、さらにギャップ下地18として特に、体心立方構造を有するの膜部材が設けられている。使用可能なものとしてはタングステン、チタン、クロム、鉄、リチウム、バナジウム及びモリブデンの群から選択されるいずれか1つ金属、又はこれらから合成される体心立方の結晶構造を有する合金である。ここで、好ましい膜部材はタングステンであり、例えば約10nm程度の膜厚で形成される。
【0023】
なおここで、下記表1に示されるように、タングステン(W)上のタンタル(Ta)が好ましい比抵抗となることが明らかである。
【0024】
【表1】
Figure 0003987226
【0025】
Ta の下地依存性、(DCスパッタ成膜)
次に、同図3でGMR素子10の左右両端部に接し,上部シールド部11と下部シールド部12のギャップを埋めるように設けられているのはアルミナ等で構成される絶縁部材17A 、17B である。そしてさらに、各絶縁部材17A 、17B の下部と上記ギャップ下地18との間には、バルクハウゼン雑音対策用のハード膜16A,16B が設けられている。
【0026】
上記本発明のデバイスでは、上部シールド部11、下部シールド部12が導電性を有する金属磁性材料で形成されている。この両シールド部11、12の間に形成されるギャップ内に、上部ギャップ部材13及び下部ギャップ部材14のそれぞれを介して上記上部シールド部11と下部シールド部12に電気的に接続されるGMR素子10が配設されている。このGMR素子10の面に垂直に電流を流しながら、その電圧を監視すれば電圧変化として磁気抵抗変化を高感度で検知できる。 したがって、このデバイスをヘッドとしてハードディスク等の磁気記録媒体に接近させれば,この媒体からの磁界変化によりデバイス内のGMR素子の磁気抵抗に変化が生じ、これを電圧変化として読取ることができる。
【0027】
次に、上記デバイスの製造法の一例について、図4(その1 )及び図5(その2 )に基づいて説明をする。
アルチック基板上にスパッタ法により、下部シールド部材12としてFeZrN が約2 μmで形成される。この上に下部ギャップ下地18としてタングステンが10nm、さらに更にその上に下部ギャップ部材14としてタンタルが約20nmの厚さで成膜する。
【0028】
上記タンタル上に使用するGMR素子に対応した、素材を順次成膜して積層する。例えばトンネルタイプのGMR素子採用するのであればNiFe(2 nm)/Co(1 nm)/Al2O3 (5 nm)/Co(2 nm)/PdPtMn(20 nm )のように順次スパッタ法で積層を行う。スピンバルブタイプを採用する場合も同様である。
このGMR素子上に上部ギャップ部材13としてCuを約3 nm形成する。上記成膜の工程は連続或いは不連続によっても実施できる(図4(A))。
【0029】
ここで、上部ギャップ部材13のCu上に、幅約1 μm、高さ約3 μmのレジストをパターニングする(図4(B))。
次に、Arによるドライエッチング法にて上記下部ギャップ下地18としてのタングステンが検出されるまでエッチングを行う。ここで、GMR素子10及びタンタル14は読取り、検出を行うべき記録媒体のトラック幅等が考慮され、コア幅として例えば約1 μm程度にパターニングされる(図4(C))。
【0030】
上記ドライエッチングに続いて、CoPtから成るハード膜又は絶縁性の高いCoFe2O4 からなるハード膜をスパッタ法で成膜し、更にこの上にアルミナ(Al2O3 )を成膜する(図4(D))。なお、絶縁部材17はCo系のハード膜が存在しても効果的に電流のリークを防止できるものであるが、 CoFe24 によるハード膜は比抵抗が高く良好な絶縁特性を示す。このように絶縁性が高いハード膜の場合は、更に絶縁性が高く、歩留まりが高くなり生産性が向上する。
【0031】
この後、レジストをリフトオフすることで、GMR素子10の両端にハード膜16A 、16B 及び絶縁層17A 、17B が形成され(図4(E))、その上に上部シールド部11となるFeZrN 膜を成膜すれば本発明のデバイスとなる(図4(F))。
次に、図6に基づき、本発明に係る他のデバイスの例を説明する。ここでは重複した説明を避けるため、同一の部材には前述の図3と同一の符号を付して説明を省略する。
【0032】
前述の例と比較して、本例の特徴はハード膜26として、CoPt−SiO2を採用している。本発明で採用するハード膜はバルクハウゼン雑音の対策としてGMR素子の軟磁性膜を単磁区化させる共に、絶縁性を有しリーク電流を非常に少なく抑制できるものである。係るハード膜としては磁気異方性が大きく、磁気保持性Hcが大きく、残留磁化Brが大きいものが好ましい。上述した CoFe 2O4 によるハード膜は残留磁化Brが約2000G であり、好ましい部材にひとつであるが、本例のCoPt−Si2 は残留磁化Brが約4000G と更に大きく軟磁性膜をより強固に単磁区化させることが可能となる。なお、係るハード膜の素材として、絶縁性の高いMFe2 4 (ここでM は2価の金属)で表されるフェライト系のものや、γ−Fe2O3 (ガンマ鉄)を採用することができる。
【0033】
なお、図7は本例でハード膜として採用した、 CoPt −SiO2の磁気特性を表したグラフである。ここで横軸は磁界で、縦軸は膜の持つ磁化量である。Bsは6300Gであり、Brは4000Gである。
なお、上述した本発明の一実施形態としての図3及び図6に示されたデバイスでは、タングステン等の体心立方構造の膜部材上にタンタルの膜を形成し、その上にMR素子を配置し、MR素子の感度向上を図りつつ、これと併せてハード膜を設ける例を示している。しかしこの実施形態は必須のものではなく、バルクハウゼン雑音対策のみを主に意図して、タングステン等の体心立方構造の膜部材上にCo系のハード膜を形成するといった形態で実施できる事は言うまでもない。
【0034】
また、上述の例は磁気記録媒体の再生専用のヘッドに適用したものとなっているが、本デバイスに従来のインダクティブ型の薄膜ヘッドを併設すれば記録・再生ヘッドとすることができるのは、明らかである。
以上、本発明の好ましい例について説明をしたが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、様々な変形・変更が可能である。
【0035】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の磁気抵抗効果型デバイスによれば、電流がMR素子の面に対して垂直に効率よく流れ、MR素子自体の感度も向上する。ここで体心立方構造の膜部材上のTaは比抵抗を低くする機能を果たし、Ta上のMR素子はそのフリー層の軟磁気特性向上が図られる。
【0036】
更に、上記体心立方構造の膜部材を幅方向に延在させ、その上にコバルト系合金から成るハード膜を設けることで、上述の効果と合わせて、薄膜デバイスについて雑音の発生を抑制しつつリーク電流を有効に防止するという効果をも合わせて享受できる。
なお、、本発明の薄膜デバイスのハード膜だけを上記体心立方構造の膜部材に設けて、バルクハウゼン雑音対策と合わせてリーク電流を有効に防止するという構成にしても、充分な効果を享受できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の磁気再生ヘッドについて説明する図である。
【図2】他の従来技術によるヘッドについて説明する図である。
【図3】本発明のデバイスを薄膜ヘッドとして採用した一実施形態を説明する図である。
【図4】本発明のデバイスの製造する方法について説明する図(その1)である。
【図5】本発明のデバイスの製造する方法について説明する図(その2)である。
【図6】本発明のデバイスを薄膜ヘッドとして採用した他の実施形態を説明する図である。
【図7】 CoPt−SiO2 の磁気特性を示す図である。
【符号の説明】
10 MR素子
11 上部シールド部
12 下部シールド部
13 上部ギャップ部材
14 下部ギャップ部材
16A、16B ハード膜
17A、17B 絶縁部材
18 体心立方構造の膜部材

Claims (7)

  1. 上部シールド部と下部シールド部との間のギャップに磁気抵抗効果素子を配設すると共に、該磁気抵抗効果素子を導電性の上部ギャップ部材及び下部ギャップ部材のそれぞれを介して上記上部シールド部と下部シールド部に電気的に接続して、電流が上記磁気抵抗効果素子の面に対して実質的に垂直に流れるように構成した磁気抵抗効果型デバイスであって、
    前記下部シールド部上に、膜部材と、下部ギャップ部材と、磁気抵抗効果素子とが順に設けられ、
    前記下部ギャップ部材がタンタルからなり、前記膜部材が下部シールド部と下部ギャップ部材とを接合し、体心立方構造を有する材料からなることを特徴とする磁気抵抗効果型デバイス。
  2. 前記体心立方構造の膜部材は、該結晶構造を有するタングステン、チタン、クロム、鉄、リチウム、バナジウム及びモリブデンの群から選択されるいずれか1つ又はこれらから合成される該結晶構造を有する合金であることを特徴とする請求項1に記載の磁気抵抗効果型デバイス。
  3. 前記上部ギャップ部材は銅、金、タングステン、ルテニウム、白金、パラジウム及びタンタルの群から選択されるいずれか1つ又はこれらから合成される合金であることを特徴とする請求項1又は2項に記載の磁気抵抗効果型デバイス。
  4. 前記磁気抵抗効果素子は所望のコア幅を有し、該幅方向において磁気抵抗効果素子の両端部に前記上部シールド部から下部シールド部まで続く絶縁部材が配設され、前記体心立方構造の膜部材は上記絶縁部材の下部まで延在し、上記膜部材と上記絶縁部材は、該絶縁部材の下部に設けられるコバルト系合金から成るハード膜を介して接合されていることを特徴とする請求項1に記載の磁気抵抗効果型デバイス。
  5. 前記体心立方構造の膜部材は、該結晶構造を有するタングステン、チタン、クロム、鉄、リチウム、バナジウム及びモリブデンの群から選択されるいずれか1つ又はこれらから合成される該結晶構造を有する合金であることを特徴とする請求項4に記載の磁気抵抗効果型デバイス。
  6. 前記ハード膜は、非導電性のCoFe24又はCoPt−SiO2であることを特徴とする請求項4又は5に記載の磁気抵抗効果型デバイス。
  7. 前記磁気抵抗効果素子はスピンバルブ型又はトンネル型の巨大磁気抵抗素子であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の磁気抵抗効果型デバイス。
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