JP3985569B2 - ドリルのホーニング方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ドリル本体の先端部外周に形成された切屑排出溝の内周面先端側に形成されたすくい面とドリル本体の先端逃げ面との交差稜線部に切刃が形成されるとともにドリル本体の先端部外周には上記切屑排出溝に沿ってマージン部が形成されたドリルの上記切刃にホーニングを施す際のドリルのホーニング方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
このようなドリルとしては、軸線を中心として該軸線回りにドリル回転方向に回転される概略円柱状のドリル本体の先端側が切刃部とされ、この切刃部の外周に一対の切屑排出溝が、軸線に関して互いに対称となるように、該切刃部の先端面、すなわちドリル本体の先端逃げ面から後端側に向かうに従い軸線回りにドリル回転方向の後方側に捩れる螺旋状に形成され、これらの切屑排出溝の内周面のうちドリル回転方向を向く部分の先端側の上記先端逃げ面との交差稜線部に切刃が形成された、いわゆる2枚刃のソリッドドリルが知られている。従って、このようなソリッドドリルでは、上記切屑排出溝内周面のドリル回転方向を向く部分の先端側が、この切刃のすくい面となる。また、上記切刃部の外周には、上記軸線を中心として切刃の外径と略等しい直径の断面円弧状をなす幅の小さなマージン部が、切刃の外周端から切屑排出溝と切刃部外周面との交差稜線部に沿ってやはり螺旋状に捩れるように形成され、このマージン部が加工穴の内周に摺接して切刃部が案内されるようにされている。なお、このマージン部のドリル回転方向後方側の切刃部外周は、該マージン部に対して一段ドリル本体の内周側に後退した外周逃げ面とされ、切刃部と加工穴との摩擦が必要以上に大きくならないようにされている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このようなソリッドのドリルを初めとする各種ドリルや、またドリル以外の各種の切削工具においても、その切刃の刃先が鋭利すぎると切削時に作用する負荷によって切刃にチッピングや欠損が生じて切削性能を著しく損なうことになるため、予めこの切刃の刃先を小さな幅で落として耐チッピング性や耐欠損性を向上させる、いわゆるホーニングが行われる。ここで、このようなホーニングは、切刃が直線状である場合にはホーニング砥石を切刃に沿って摺動させて刃先を研ぎ落とすことにより比較的容易に形成可能であるが、切刃が複雑な曲線状であったり、また切刃の内周側にシンニングが施されたドリルのようにこのシンニングによるシンニング切刃にホーニングを施そうとすると周囲のシンニング面等がホーニング砥石に干渉したりする場合には、このようなホーニング砥石によってホーニングを施すことは容易ではない。このため、そのような場合には、例えばダイヤモンドペースト等の研磨剤を塗布したブラシや、あるいはブラシの毛自体にダイヤモンド砥粒等が含有されたブラシによって切刃をその全長に亙って研磨してホーニングを施すようにしている。
【0004】
しかしながら、このようなブラシによる研磨によってドリルの切刃にホーニングを施そうとした場合には、特にこの切刃の外周端周辺を研磨する際にブラシが切刃部外周の上記マージン部にまでかかってしまうことが避けられず、これによりこのマージン部とすくい面との交差稜線部分までもが研ぎ落とされることになる。しかるに、このようにマージン部とすくい面との交差稜線部が研ぎ落とされたドリルでは、この交差稜線部と先端逃げ面との交点となる切刃外周端の周辺が、すくい面から先端逃げ面にかけて切刃に施されたホーニング以外に、すくい面からマージン部にかけてもホーニングされた状態となって丸味を帯びてしまい、これにより切れ味が鈍化して切削抵抗が増大し、これに伴いドリルの回転駆動力の増大を招いたりしてドリル本体の折損等を生じるおそれがある。また、こうしてすくい面とマージン部との交差稜線が丸味を帯びることにより、すくい面からマージン部への切屑の噛み込みが生じ易くなって一層の駆動力の増大を招くとともに、加工穴の内周が噛み込まれた切屑によって傷つけられて加工穴の品位を損なうことにもなる。さらに、このように切刃の外周端がすくい面からマージン部にかけて丸味を帯びることから、加工穴が穿孔される際にはこの外周端が加工物を弾性的に押し広げるようにして穴明けが行われることになり、その反発により加工穴が収縮傾向となって加工精度の劣化を招く結果ともなる。
【0005】
本発明は、このような背景の下になされたもので、切刃の耐チッピング性や耐欠損性の向上を図りつつも、切削抵抗の増大やドリルの破損、加工精度の劣化等を招くことのないドリルのホーニング方法を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決してこのような目的を達成するために、本発明は、ドリル本体の先端部外周に切屑排出溝が形成され、この切屑排出溝の内周面の先端側に形成されたすくい面と上記ドリル本体の先端逃げ面との交差稜線部に切刃が形成されるとともに、上記ドリル本体の先端部外周には上記切屑排出溝との交差稜線部分に沿ってマージン部が形成されたドリルのホーニング方法であって、上記切刃を露出させた状態で上記マージン部を被覆材によって覆った上で、該切刃にブラシによりホーニングを施すことを特徴とする。従って、このようなホーニング方法においては、上述のように研磨剤を塗布したブラシやブラシの毛自体に砥粒が含有されたブラシによって切刃にホーニングを施す際に、切刃は露出された状態であるのに対し、マージン部は被覆材によって覆われているので、このマージン部とすくい面との交差稜線部までが研ぎ落とされてしまうことがなく、この交差稜線部の断面がそのままの形状で先端逃げ面に至って切刃の外周端が形成されることとなる。
【0007】
しかして、このようなホーニング方法によって得られるドリルにおいては、ドリル本体の先端部外周に切屑排出溝が形成され、この切屑排出溝の内周面の先端側に形成されたすくい面と上記ドリル本体の先端逃げ面との交差稜線部に切刃が形成されるとともに、上記ドリル本体の先端部外周には上記切屑排出溝との交差稜線部分に沿ってマージン部が形成され、上記切刃にはホーニングが施される一方、上記すくい面とマージン部とは角度をもって交差させられることとなる。このため、このようなドリルでは、切刃に施されたホーニングによって該切刃の耐チッピング性や耐欠損性の向上が図られる一方、すくい面とマージン部との交差稜線部が研ぎ落とされることなく角度をもって交差することにより、切刃の外周端もこのすくい面からマージン部にかけては丸味を帯びることなく鋭利なままとされるので、切削抵抗の増大や切屑の噛み込み、ドリル回転駆動力の増大等を防ぐことができるとともに、穿孔時に加工物が弾性的に押し広げられることもなくなって加工精度の向上を図ることが可能となる。
【0008】
なお、上記ホーニング方法においてマージン部を覆う被覆材としては、例えば粘着性の樹脂ペースト材をマージン部に盛り付けたり厚めの粘着テープなどをマージン部に張り付けたりするようにしてもよいが、マージン部は上述のようにドリル本体の軸線を中心として切刃の外径と略等しい直径の断面円弧状をなしているので、この被覆材として、断面円形の内周部を有する円筒状等の筒状をなし、この内周部に上記マージン部が密着した状態で上記ドリル本体の先端部が嵌挿可能とされた被覆治具を用いれば、この内周部の先端を切刃の外周端に合わせた状態で該被覆治具をドリル本体先端部に取り付けることにより、マージン部は被覆したまま切刃のみを簡単に露出させた状態とすることができ、ブラシでホーニングを行ってもすくい面とマージン部との上記交差稜線部が研ぎ落とされてしまうのを確実に防いで、切刃だけにホーニングを施すことが可能となる。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1ないし図4は、本発明に係わるドリルの一例を示すものである。この例のドリルは、そのドリル本体1が超硬合金等の硬質材料によって軸線Oを中心とした概略円柱状をなし、図1および図2に示すようにその先端側が切刃部2とされている。そして、この切刃部2の外周には、該ドリル本体1先端の先端逃げ面3から後端側に向けて、軸線O方向に後方に向かうに従いドリル回転方向Tの後方側に螺旋状に捩れる一対の切屑排出溝4,4が軸線Oに関して互いに回転対称となるように形成され、この切屑排出溝4の内周面5のうちドリル回転方向T側を向く部分がすくい面5Aとされて、その先端の上記先端逃げ面3との交差稜線部に切刃6が形成されている。
【0010】
ここで、この切刃6は、上記すくい面5Aに対向する側面視においては図1に示すように、内周側の軸線O近傍からその外周端6Aに向かうに従い軸線O方向後端側に延びるようにされて所定の先端角が与えられる一方、軸線O方向先端視においては図2に示すように、上記外周端6Aから内周側に向けてドリル回転方向T側に凸となる凸曲線を描いた後に変曲点を介して滑らかにドリル回転方向T後方側に凹む凹曲線をなすように形成されており、従って上記すくい面5Aの軸線Oに直交する断面もこの切刃6と略同様の形状をなすこととなる。また、この切屑排出溝4のドリル回転方向T後方側を向く部分の先端と上記先端逃げ面3との交差稜線部にはシンニング部7が形成されていて、このシンニング部7は先端逃げ面3におけるドリル本体1の中心側すなわち切刃6の内周側に延びてこの切刃6の内周にシンニング刃6Bを形成しており、先端視における内周側で上述のように凹曲線を描いた切刃6は、再びドリル回転方向Tに凸となる凸曲線部を介してこのシンニング刃6Bに滑らかに連なり、さらに内周側の上記軸線O近傍に至るようにされている。
【0011】
一方、このドリル本体1の周方向において切屑排出溝4,4の間に位置する切刃部2の外周面には、そのドリル回転方向T側において螺旋状に捩れた切屑排出溝4との交差稜線部に、マージン部8が形成されている。このマージン部8は、上記切刃6の外周端6Aが軸線O回りになす円の直径すなわち切刃の外径と等しい直径の該軸線Oを中心とした断面凸円弧状をなし、周方向に小さな一定幅で、切刃部2の最先端の上記先端逃げ面3から軸線O方向後端側に向けて該切刃部2の全長に渡って切屑排出溝4に沿うように延設されている。従って、このマージン部8と切屑排出溝4の内周面5との交差稜線部は、その先端側のすくい面5Aとの交差稜線部8Aが、該すくい面5Aと先端逃げ面3との交差稜線である上記切刃6の外周端6Aに達して該切刃6に交差することとなる。さらに、このマージン部8のドリル回転方向T後方側には、該マージン部8の外周面に対して一段ドリル本体1の内周側に後退するようにしてマージン部8よりも僅かに小さな直径の断面円弧状をなす外周逃げ面9が形成されている。なお、上記切刃6やマージン部8および外周逃げ面9も、切屑排出溝4,4と同様に軸線Oに関して回転対称に一対ずつ形成されている。また、これらマージン部8や外周逃げ面9にはバックテーパが与えられていてもよい。
【0012】
さらに上記切刃6には、その外周端6Aから上記シンニング刃6Bまでの全長に亙ってホーニングが施されて、その刃先に図3に示すようなホーニング面10が形成されている。ここで、この例のドリルにおけるホーニングは図示の通り丸ホーニングであって、すくい面5Aと先端逃げ面3とが鋭角に交差する切刃6先端の刃先を研ぎ落とすことにより、該切刃6に直交する断面において上記刃先に、これらすくい面5Aと先端逃げ面3とに滑らかに連なる、あるいは鈍角に交差する凸曲面状の上記ホーニング面10を形成したものとされている。なお、このような丸ホーニングに代えてチャンファーホーニングを施して、すくい面5Aと先端逃げ面3とに鈍角に交差する平面状のホーニング面を形成するようにしてもよく、またこれらの複合ホーニングを施すようにしてもよい。
【0013】
そして、その一方で、上記すくい面5Aと切刃部2の外周側の上記マージン部8との交差稜線部8Aは、かかるホーニング面10のように研ぎ落とされた面を有することなく、最先端の上記切刃6の外周端6Aから後端側に向けて、すくい面5Aとマージン部8とが直接に角度をもって交差するように形成されている。ただし、この例のドリルでは、上述のようにすくい面5Aの軸線Oに直交する断面形状が切刃6の先端視の形状と略同様にされているため、その外周側ではドリル回転方向T側に凸となる凸曲線を描くとともに、マージン部8も上述のように断面凸円弧状とされており、従って上記交差稜線部8Aは凸曲面同士が角度をもって交差させられることとなって、角張った稜線を画成するように形成されることとなる。
【0014】
しかるに、このようなドリルにホーニングを施す場合には、特に切刃6が上述のような複雑な凹凸曲線状をなし、しかもその内周側にはシンニング刃6Bが形成されているため、ホーニング砥石によって上記ホーニング面10を形成しようとすると、複雑な凹凸曲線をなす切刃6に沿ってホーニング砥石を摺接させなければならなかったり、上記シンニング部7にホーニング砥石が干渉してシンニング刃6Bの内周側にまで確実にホーニング面10を形成できなくなったりするおそれがあるので、上述の通り図7および図8に示すようにブラシ11によってホーニングを施すことになる。すなわち、このブラシ11は、回転軸C回りに回転可能とされたブラシ本体12の外周に、適当な柔軟性と硬さとを有する毛13が多数設けられた円板状のものであって、このブラシ11の毛13にダイヤモンドペーストのようなダイヤモンド砥粒等の硬質粒子を含んだ研磨剤を塗布したり、あるいは上記毛13自体にかかるダイヤモンド砥粒等の硬質粒子を直接含有させたりしておき、かかるブラシ11を回転させつつ、その外周にホーニングを施すべきドリル本体1の上記切刃6を押し当てることにより、この切刃6の刃先を上記砥粒で研ぎ落としてホーニング面10を形成する。
【0015】
そして、本実施形態のホーニング方法においては、こうして切刃6にブラシ11によってホーニングを施すのに際し、図7および図8に示すようにこの切刃6を露出させた状態で上記マージン部8を被覆材によって覆った上で、該切刃6にブラシ11によりホーニングを施すようにしている。さらに、本実施形態における上記被覆材としては、図5および図6に示すような筒状の被覆治具14が用いられており、この被覆治具14は、その内周部14Aにドリル本体11の上記マージン部8が密着した状態でこのドリル本体11先端の切刃部2が該内周部14に嵌挿可能とされている。
【0016】
すなわち、本実施形態におけるこの被覆治具14は、内径が上記切刃の外径より極僅かに大きくされた断面円形の内周部14Aを有する概略円筒状をなし、従ってこの内周部14Aに上記切刃部2が上述のように両マージン部8,8を密着させた状態で同軸に嵌挿可能とされている。また、上記被覆治具14の先端部には、この被覆治具14の先端に開口して該被覆治具14をその内外周に貫通しつつ後端側に凹む一対の切欠部15,15が、上述のように内周部14Aに切刃部2を同軸に嵌挿した状態で、ドリル本体1の軸線Oに互いに回転対称となるように形成されている。この切欠部15は側面視において図5に示すように「レ」字状をなして開口するように形成されて、これにより被覆部材14には、上述の嵌挿状態において上記軸線Oに平行とされて上記ドリル回転方向Tを向く平坦面15Aと、この平坦面15Aの後端から略1/4凹円弧を描きつつドリル回転方向T側に向かうに従い先端側に向かう凹曲面15Bとが画成されており、これらの平坦面15Aと凹曲面15Bとの先端における間隔、すなわち当該切欠部15の開口幅は、各切欠部15について円筒状の被覆治具14の周方向に1/4程度の大きさとされている。
【0017】
さらに、これらの切欠部15,15よりも後端側には、上記嵌挿状態において軸線Oを挟むように一対のネジ孔16,16が、該軸線Oに直交する方向に被覆治具14を貫通するように形成されて、それぞれクランプネジ17がねじ込まれている。これらのネジ孔16,16は、この被覆治具14の内周部14Aに嵌挿したドリル本体1の切刃6の外周端6Aを軸線O方向には図5に示すように当該被覆治具14の先端に一致させ、かつ周方向には図6に示すように切欠部15の上記平坦面15Aに一致させた状態で、これら図5や図6に示すように切刃部2外周の上記外周逃げ面9に対向して開口する位置に形成されており、この状態からクランプネジ17をねじ込むことによって被覆治具14はドリル本体1先端の切刃部2外周に位置決めされて固定され、上記マージン部8はこの被覆部材14の内周部14Aが密着して被覆されるとともに、切刃6を含めた上記すくい面5Aは上記切欠部15によって露出させられた状態となる。なお、図5と図6では、説明のためにネジ孔16,16やクランプネジ17,17の位置が90°ずらされて描かれている。
【0018】
従って、このように被覆治具14を被覆材として取り付けて図7および図8に示すように切刃6のホーニングを行うと、切刃6を含めたすくい面5Aは上記切欠部15によって露出させられているため、このすくい面5Aから先端逃げ面3にかけての切刃6の刃先はブラシ11の硬質粒子によって研ぎ落とされてホーニングされ、上述のようなホーニング面10が形成される。その一方で、マージン部8は被覆治具14の内周部14Aに密着して被覆されているため、ブラシ11の毛13がこのマージン部8とすくい面5Aとの交差稜線部8Aに当たって上記硬質粒子によりこの交差稜線部8Aが研ぎ落とされることがなく、該交差稜線部8Aを、ドリル本体1にすくい面5Aとマージン部8が形成されたときのままの、これらすくい面5Aとマージン部8とが交差稜線部8Aにおいて角度をもって交差した状態に保持しておくことができ、すなわち上記一例のドリルを得ることができる。
【0019】
なお、本実施形態のホーニング方法においては、図7に示すように上記ブラシ11は、その回転軸Cがドリル本体1の軸線Oと同一平面上に略位置するようにされ、かつこの平面に直交する方向視において図8に示すようにその外周面が切刃6,6の一方に対向するように位置させられて、これら切刃6,6に一方ずつにホーニングを施してゆく。ここで、さらにこのブラシ11は、この図8に示すように上記平面に直交する方向視において、上記回転軸Cに直交する直線Lがドリル本体1の軸線Oに対して例えば20°の角度θで傾けられ、かつその外周の毛13が図7に示すようにドリル本体1の先端から例えば2.5mm程度の切込みDを与えられて切刃6に当たるように配設される。
【0020】
しかして、このようにして得られた上記一例のドリルによれば、切刃6には上述のようなホーニング面10を、上記ブラシ11によってその外周端6Aからシンニング刃6Bの内周端に至るまで確実かつ一定の幅で容易に形成することができ、これにより切刃8の耐チッピング性および耐欠損性の向上を図って、効率的かつ安定した穴明け加工を行うことができる。そして、その一方で、すくい面5Aとマージン部8との交差稜線部8Aはこれらすくい面5Aとマージン部8Aとが角度をもって交差させられているため、この交差稜線部8Aと先端逃げ面3との交点となる切刃6の外周端6Aが、すくい面5Aからマージン部8にかけても丸味を帯びるようなことがなく、これにより切刃6の切れ味の鈍化を防いで切削抵抗の低減を図ることができ、従って穴明け加工時のドリルの回転駆動力も低減することができるとともに、過大な駆動力が作用してドリル本体1に折損が生じたりするような事態も防止することができる。
【0021】
また、こうして切刃6の外周端6Aが丸味を帯びることがないために、穿孔時に加工物が弾性的に押し広げられることもなく、従ってその反発によって加工穴が縮径することも少なく、加工精度の向上を図ることができる。さらに、交差稜線部8A自体も丸味を帯びることがないので、すくい面5Aの外周縁部が加工穴内周に対して角度をもって交差した状態でマージン部8が加工穴内周に摺接しながらドリル本体1が回転することとなり、これにより切屑のマージン部8と加工穴内周との間への噛み込みも確実に防がれて、かかる切屑の噛み込みにより切削抵抗や駆動力が増大したり、加工穴の内周面が傷つけられて加工穴の品位が損なわれたりするような事態も避けることができる。
【0022】
一方、上記実施形態のホーニング方法においては、被覆材としての上記被覆治具14をドリル本体1先端の切刃部2に上述のように位置決めして装着するだけで、後は従来と同様にブラシ11の毛13を切刃6に押し付けてホーニングを施すだけでよく、ホーニング作業が徒に煩雑となったり高い熟練を要したりすることなく、簡単に上記交差稜線部8Aを除いて切刃6にホーニング面10を形成することができる。しかも、このように被覆材として、断面円形の内周部14Aを有して、この内周部14Aにマージン部8が密着した状態でドリル本体1の先端部が嵌挿可能な筒状の被覆治具14を用いれば、マージン部8はドリル本体1の軸線Oを中心とした断面円弧状とされているために、こうしてドリル本体1先端の切刃部2をこの被覆治具14の内周部14Aに嵌挿するだけで、マージン部8を確実に被覆することができ、ホーニング作業を一層簡単にすることができるとともに、その交差稜線部8Aがブラシ11によって研ぎ落とされるのをより確実に防止することが可能となる。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のドリルのホーニング方法によれば、ブラシによるホーニングによって、切刃の形状が複雑であったりシンニング刃が形成されていたりしても、すくい面とマージン部との交差稜線部は研ぎ落とすことなく、切刃のみを確実に研ぎ落としてホーニングを施すことができる。従って、このようにホーニングすることによって得られるドリルによれば、切削抵抗およびドリル回転駆動力の増大やこれに伴うドリル本体の破損、あるいは加工穴の収縮や切屑の噛み込みなどを招くことなく、切刃の耐チッピング性、耐欠損性を確実に向上させることができ、これにより長期に亙って効率的かつ安定した穴明け加工を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係わるドリルの一例を示すドリル本体1先端の切刃部2の側面図である。
【図2】 図1に示すドリルを先端側からみた正面図である。
【図3】 図1に示すドリルの切刃6の断面図である。
【図4】 図1におけるZZ断面図である。
【図5】 図1に示すドリルに被覆治具14を取り付けた状態を示す側面図である。
【図6】 図5に示す状態を先端側から見た正面図である。
【図7】 被覆治具14を取り付けたドリルにホーニングを施す状態を示す、ブラシ11の回転軸C方向視に見た図である。
【図8】 図7に示す状態をドリル本体1の軸線Oとブラシ11の回転軸Cとを含む平面に直交する方向視に見た図である。
【符号の説明】
1 ドリル本体
2 切刃部
3 先端逃げ面
4 切屑排出溝
5 切屑排出溝4の内周面
5A すくい面
6 切刃
6A 切刃6の外周端
6B シンニング刃
8 マージン部
10 ホーニング面
11 ブラシ
14 被覆治具
14A 被覆治具14の内周部
O ドリル本体1の軸線
T ドリル回転方向
Claims (2)
- ドリル本体の先端部外周に切屑排出溝が形成され、この切屑排出溝の内周面の先端側に形成されたすくい面と上記ドリル本体の先端逃げ面との交差稜線部に切刃が形成されるとともに、上記ドリル本体の先端部外周には上記切屑排出溝との交差稜線部分に沿ってマージン部が形成されたドリルのホーニング方法であって、上記切刃を露出させた状態で上記マージン部を被覆材によって覆った上で、該切刃にブラシによりホーニングを施すことを特徴とするドリルのホーニング方法。
- 上記被覆材として、断面円形の内周部を有する筒状をなし、この内周部に上記マージン部が密着した状態で上記ドリル本体の先端部が嵌挿可能とされた被覆治具を用いることを特徴とする請求項1に記載のドリルのホーニング方法。
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