JP4844654B2 - 溝付き工具 - Google Patents

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Description

本発明は、工具本体に切屑排出溝を有して、その内面にコーティング膜が被覆されるとともに、この内面と交差する工具本体表面との交差稜線部に切刃が形成された穴加工工具や各種エンドミルのような溝付き工具に関するものである。
このような、工具本体表面との交差稜線部に切刃が形成される切屑排出溝の内面にコーティング膜が被覆された溝付き工具としては、例えば特許文献1に、加工穴深さがドリル直径の3倍を越えるような深穴の加工用ドリルとして、ドリルの切刃および切屑排出溝にTiC,TiN,TiCN,TiAlN等の高融点硬質物質を物理蒸着(PVD)によってコーティングした後、溝部表面の微細突起を、研磨布またはバフによる研磨もしくは細かいWA砥粒をショット粒子として加圧気体で吹きつけることにより除去したものが提案されている。また、特許文献2には、同様に深穴加工が可能な切刃部の長いドリルにおいて、切屑排出溝の内周面に硬質皮膜を被覆した後にポリッシュ加工を施すことが記載されている。
ここで、これら特許文献1、2においてコーティング膜を被覆した後に研磨布やバフ、ポリッシュ加工による研磨あるいはショット粒子を吹きつけて切屑排出溝内面の微細突起を除去しているのは、上記物理蒸着の際にコーティング膜に成長、付着したこれら微細突起や微細粒子が切屑排出溝内での切屑の円滑な流れを妨げ、切屑排出抵抗の増大や切屑詰まりを生じてしまうからである。
特開2000−52119号公報 特開2003−275910号公報
しかしながら、このように切屑排出溝の内面を研磨やショット粒子の吹きつけによって滑らかにしたドリルでは、切刃によって生成された切屑が何等抵抗を受けずにそのまま流れ出てしまうために著しく伸び気味となり、ドリルや工作機械に絡みついたりして穴明け加工作業に支障を来したり加工穴の内周を傷つけてその精度を損なったりするおそれがあった。また、このような研磨や特にショット粒子の吹きつけを切屑排出溝内面に施すと、その影響がこの内面と工具表面との交差稜線部に形成された切刃や切刃近傍に及んでしまうことは避けられず、切刃が丸められてしまってその切れ味が損なわれたり、場合によっては切刃近傍のコーティング膜が剥離して切刃の摩耗が促進され、コーティング膜を被覆したにも拘わらず工具寿命が短縮されてしまうおそれもあった。
本発明は、このような背景の下になされたもので、切屑排出溝内面がコーティング膜で被覆された上記ドリルのような穴加工工具やエンドミル等の溝付き工具において、切屑の形状を制御することにより伸び気味の切屑がそのまま排出されたりするのを防いで円滑かつ安定した切屑処理を可能とするとともに、切刃が丸められたり切刃近傍のコーティング膜が剥離したりするのも防いで、該切刃に鋭い切れ味と十分な耐摩耗性とを確保することが可能な溝付き工具を提供することを目的としている。
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明は、概略軸状の工具本体に切屑排出溝が形成され、この切屑排出溝の内面と上記工具本体の表面との交差稜線部に切刃が形成されるとともに、上記切屑排出溝の内面にはコーティング膜が被覆された溝付き工具であって、上記工具本体は切削時にその中心軸線回りに回転されるとともに、上記切刃は、この工具本体の先端面と上記切屑排出溝の内面との交差稜線部と、上記工具本体の外周面と上記切屑排出溝の内面との交差稜線部とに形成され、上記コーティング膜には、上記切刃側の所定の範囲内において0.1μm〜5.0μmの微細粒子または微細突起が突出している一方、この範囲よりも上記切刃から離れた範囲では上記微細粒子または微細突起が突出していないとともに、上記微細粒子または微細突起が突出した範囲は、上記工具本体の外周面と上記切屑排出溝の内面との交差稜線部に形成された切刃との間隔が、上記工具本体の先端面と上記切屑排出溝の内面との交差稜線部に形成された切刃との間隔よりも小さくされていることを特徴とするものである。
このように構成された溝付き工具においては、コーティング膜が被覆された切屑排出溝内面と工具本体表面との交差稜線部に形成された切刃から所定の範囲内では、このコーティング膜に0.1μm〜5.0μmの微細粒子または微細突起が突出したままであるため、切刃によって生成された切屑は、まずこの範囲でこれら微細粒子または微細突起によって抵抗を受け、これにより伸び気味のままとなることなく細かく分断されて切屑処理に適当な形状、長さに制御される。また、切刃側の上記所定の範囲では微細粒子または微細突起が残されたままで除去されることがなく、すなわち研磨やショット粒子の吹きつけを受けることがないので、切刃が丸められたり切刃近傍のコーティング膜が剥離したりすることもない。
その一方で、この所定範囲よりも切刃から離れた範囲では、これら微細粒子や微細突起が除去されたりすることによってコーティング膜に突出していない状態とされていて、切屑排出溝内面が滑らかとされているので、切屑排出抵抗の増大や切屑詰まりを招いたりすることもなく、安定的かつ速やかな切屑排出を促すことができる。従って、上記構成の溝付き工具によれば、切刃に鋭い切れ味とコーティング膜による十分な耐摩耗性とを確保しつつも良好な切屑処理性を得ることができ、工具寿命の確実な延長と加工精度の向上とを図るとともに円滑な切削作業を促すことが可能となる。
さらに、上記工具本体は切削時にその中心軸線回りに回転されるとともに、上記切刃は、この工具本体の先端面と上記切屑排出溝の内面との交差稜線部と、上記工具本体の外周面と上記切屑排出溝の内面との交差稜線部とに形成され、上記微細粒子または微細突起が突出した範囲は、上記工具本体の外周面と上記切屑排出溝の内面との交差稜線部に形成された切刃との間隔が、上記工具本体の先端面と上記切屑排出溝の内面との交差稜線部に形成された切刃との間隔よりも小さくされている。これは、エンドミルの外周刃のように工具本体の外周面と切屑排出溝の内面との交差稜線部に形成された切刃との上記間隔が、エンドミルの底刃のように工具本体の先端面と上記切屑排出溝の内面との交差稜線部に形成された切刃との間隔以上であると、切込み深さ等にもよるが一般に外周刃による切屑は底刃の切屑よりも幅広となるために、切削時に切屑から工具本体が受ける抵抗も底刃側の場合に比べて大きくなり、工具本体にびびり振動が生じたりして円滑な切削や加工精度を損なったりするおそれがあるからである。
なお、工具本体の先端面と上記切屑排出溝の内面との交差稜線部に形成された上記エンドミルの底刃などの切刃については、上記微細粒子または微細突起は、この切刃との間隔が該切刃の上記中心軸線回りの回転直径Dすなわち切刃外径に対して0.01×D〜3.0×Dの位置よりも上記切刃側の範囲内に突出させられているのが望ましい。これは、微細粒子または微細突起が突出する範囲が切刃から0.01×Dよりも切刃側の範囲までであると、切屑に上述のような抵抗を十分に与えることができずにその形状等を制御することができなくなったり、切刃が丸められるのを防止したり切刃近傍でのコーティング膜の剥離を確実に防ぐことができなくなったりするおそれがあるからであり、逆に3.0×Dよりも切刃から離れた範囲まで微細粒子または微細突起が突出する範囲が残されていると、切屑から受ける抵抗が大きくなったり切屑詰まりを生じたりするおそれがあるからである。
本発明の参考例を示すドリルの側面図である。 図1に示す参考例の先端部の拡大側面図である。 本発明の実施形態を示すエンドミルの側面図である。 図3に示す実施形態の先端部の拡大側面図である。 図3に示す実施形態の切刃部13中程の拡大側面図である。
図1および図2は、本発明の実施形態を説明する上での参考例を示すものであって、ドリルを示している。すなわち、本参考例において工具本体1は、超硬合金等の硬質材料により形成されて軸線Oを中心とした概略円柱軸状をなし、その後端部(図1において右側部分)は円柱状のままのシャンク部2とされて、切削時にはこのシャンク部2が工作機械の主軸等に把持され、中心軸線O回りに図中に符号Tで示す回転方向に回転させられてワークの穴明け加工に供される。また、工具本体1の先端部(図1において左側)は切刃部3とされ、この切刃部3の外周には、当該工具本体1の先端面に開口して後端側に向かうに従い上記軸線O回りに上記回転方向Tの後方側に一定の捩れ角で捩れる一対の切屑排出溝4が軸線Oに関して対称に形成され、これらの切屑排出溝4の内面のうち回転方向Tを向く部分の先端側辺稜部、すなわちこの切屑排出溝4の回転方向T側を向く内面部分と工具本体1の表面であるその先端面(先端逃げ面)との交差稜線部には、それぞれ切刃5が形成されている。
さらに、この切屑排出溝4の内面には、その全面に渡ってコーティング膜6が被覆されている。このコーティング膜6は、例えばTi,Al,V,Cr,Zr,Hfの1種または2種以上を含む金属の炭化物、窒化物、または炭窒化物よりなるものであって、代表的にはTiC,TiN,TiCN,TiAlN,TiAlC,TiAlCNなどの高融点硬質皮膜であり、イオンプレーティング法やスパッタリング法等の物理蒸着(PVD)法によって所定の膜厚でコーティングされる。ただし、こうしてコーティングされたままのコーティング膜6の表面には、上記金属の炭化物、窒化物、または炭窒化物による微細粒子または微細突起が0.1μm〜5.0μm程度の大きさで疎らに突出した状態とされている。
そして、このように突出した微細粒子または微細突起を、例えば研磨砥粒を含有したブラシで切屑排出溝4内面を研磨したり、研磨布やバフ、ポリッシュ加工による研磨あるいはショット粒子の吹きつけ等によって除去するのであるが、このとき本参考例では、切屑排出溝4内面の上記切刃5から所定の範囲7内においてはこの突出した微細粒子または微細突起を残したままとして、それ以外の範囲(図2において打点をつけた部分)8の微細粒子または微細突起を研磨等により除去する。なお、このように切刃5から所定の範囲7に微細粒子または微細突起が残るように切屑排出溝4内面に研磨等を施すには、例えばこの微細粒子または微細突起を突出させる上記範囲7にマスキングを施したりした上で研磨を行えばよい。
従って、上記範囲7においては、0.1μm〜5.0μmの微細粒子または微細突起が突出したままの状態とされ、その表面粗さがこれ以外の微細粒子または微細突起が除去された上記範囲8よりも粗くされている。なお、本参考例では切刃5の工具本体1後端側に連なる上記範囲7以外の切屑排出溝4内面は、回転方向T側(ヒール側)から回転方向T後方側(マージン側)の全面に渡ってコーティング膜6の微細粒子または微細突起が除去されている。また、この範囲8におけるコーティング膜6は、その表面から微細粒子または微細突起が除去されるだけであるので、その膜厚に大きな変化はない。さらに、工具本体1の上記先端面やマージンやヒールを含んだ工具本体1の外周面にもコーティング膜18を被覆してもよい。
ここで、本参考例のドリルのように、切削時にその中心軸線O回りに回転される工具本体1の上記先端面(先端逃げ面)と切屑排出溝4の内面との交差稜線部に切刃5が形成されている場合には、上記微細粒子または微細突起が突出させられる範囲7は、この切刃5との間隔Lが該切刃5の上記中心軸線O回りの回転直径D、すなわち当該ドリルの外径に対して軸線O方向に0.01×D〜3.0×Dの位置よりも切刃5側とされるのが望ましい。なお、この範囲7は、図2においては切刃5からの上記間隔Lが、該切刃5に沿って略一定の幅をなすようにされているが、0.01×D〜3.0×Dの範囲内であれば間隔Lが一定でなくても構わない。また、本参考例のドリルは、この切刃5の回転直径(ドリル外径)Dに対して、切屑排出溝4が形成された上記切刃部3の軸線O方向の長さが8×D以上とされた深穴加工用のドリルとされている。
このように構成された本参考例の溝付き工具(ドリル)においては、切刃5に連なる切屑排出溝4の内面のうち回転方向Tを向いて該切刃5のすくい面となる部分の切刃5側の所定の範囲7に、コーティング膜6の微細粒子または微細突起が突出したままの状態とされているため、この範囲7では切刃5によって生成された切屑に大きな抵抗を与えることができ、これによって切屑を短く分断してその形状や長さを制御し、切屑排出溝4の後端側に送り出すことができる。また、こうして切刃5側の範囲7でコーティング膜6が研磨されたりすることなく微細粒子や微細突起が突出したままとされていることにより、この研磨の際に切刃5が丸められたり範囲7内でコーティング膜6が剥離したりすることもないので、この切刃5に鋭い切れ味とコーティング膜6による高い切刃強度や優れた耐摩耗性とを確実に確保することができる。
その一方で、この範囲7以外の切屑排出溝4内面の後端側の範囲8ではコーティング膜6の研磨等により微細粒子や微細突起が除去されて平滑な状態とされているので、こうして分断された切屑を抵抗の増大や切屑詰まりを生じされることなく速やかに排出することが可能となる。従って、上記構成の溝付き工具によれば、たとえ上述のような深穴加工用のドリルであっても良好な切屑処理を図ることができて、伸び気味の切屑がそのまま排出されたりすることで作業に支障を来したりすることなく円滑な穴明け加工を行うことができ、また切屑詰まりや抵抗の増大によるドリルの折損や加工穴内周面の傷付きなどを防いで、加工精度の向上を図るとともに、コーティング膜6の被覆による効果とも相俟って工具寿命を確実に延長させることが可能となる。
ところで、本参考例のように、切刃5が、切削時に軸線O回りに回転される工具本体1の先端面とこの回転方向Tを向く切屑排出溝4内面との交差稜線部に形成されたドリルなど場合、切刃5によって生成された切屑は、コーティング膜6のうち上記微細粒子や微細突起が突出した範囲7を擦過して切屑排出溝4内を工具本体1の後端側に押し出されるように排出されることとなるため、切刃5からのこの範囲7の間隔Lが大きすぎると切屑に与えられる抵抗が大きくなりすぎ、工具本体1の回転駆動力の増加や、場合によっては却って切屑詰まりを生じてしまうおそれがある。これは、特に本参考例のような深穴加工用のドリルにおいて顕著である。
ところが、これとは逆にこの範囲7の間隔が小さすぎても、切屑に十分な抵抗を与えて分断することができなくなったり、また研磨等によって上記範囲8の微細粒子や微細突起を除去する場合には、範囲7まで研磨が及んでコーティング膜6が剥離したり切刃5が丸められたりするおそれもあるので、この範囲7は、本参考例のように切刃5の軸線O回りの回転直径Dに対して0.01×D〜3.0×Dとされるのが望ましい。特に、ドリルのような溝付き工具に本発明を適用する場合には、こうして切刃5の回転直径(ドリル外径)Dに対して微細粒子または微細突起が突出する範囲7を比較的大きく設定することにより、工具本体1の先端面(先端逃げ面)を再研磨して当該ドリルを使用する場合にも効果的である。
次に、図3ないし図5は、本発明をエンドミルに適用した場合の実施形態を示すものである。本実施形態においても、工具本体11は、やはり超硬合金等の硬質材料により形成されて軸線Oを中心とした概略円柱軸状をなし、その後端部(図3において右側部分)がシャンク部12とされるとともに先端部(図3において左側部分)は切刃部13とされていて、この切刃部13の外周には、その先端から後端側に向けて軸線O回りに切削時の工具本体11の回転方向Tの後方側に捩れる複数条(本実施形態では2条)の切屑排出溝14が軸線Oに関して対称に形成されている。
ここで、本実施形態では、この切屑排出溝14の先端側にはギャッシュ15が形成されていて、このギャッシュ15の回転方向Tを向く内面と工具本体11の表面である先端面(先端逃げ面)との交差稜線部には底刃16が切刃として形成されるとともに、切屑排出溝14の内面のうち回転方向Tを向く部分とやはり工具本体11の表面である切刃部13の外周面(外周逃げ面)との交差稜線部には、切屑排出溝4と同様に後端側に向かうに従い切削時の工具本体11の回転方向Tの後方側に捩れる外周刃17が切刃として形成されている。なお、本実施形態のエンドミルは、これら底刃16と外周刃17とが略直角に交差するようにされたスクエアエンドミルの刃型構成とされ、従ってその切刃外径は、底刃16が軸線O回りになす回転直径Dと外周刃17が軸線O回りになす回転直径Dとで等しくされる。
そして、本実施形態でも、上記ギャッシュ15を含めた切屑排出溝14の内面にはその全体に、参考例と同様のコーティング膜18が被覆されており、このうち底刃16から工具本体11後端側の所定の範囲19と外周刃17から工具本体11内周側の所定の範囲20では、コーティング膜18の表面に0.1μm〜5.0μmの微細粒子または微細突起が突出したままの状態とされる一方、これらの範囲19,20以外の範囲21の切屑排出溝14内面では、研磨等が施されることによって該コーティング膜18に突出する微細粒子または微細突起が除去されている。ただし、本実施形態では、コーティング膜18の表面に0.1μm〜5.0μmの微細粒子または微細突起が突出した上記範囲19,20は、底刃16から後端側の範囲19においては該底刃16との間隔Lが参考例と同様にその回転直径(切刃外径)Dに対して軸線O方向に0.01×D〜3.0×Dとされる一方、外周刃17から内周側の範囲20においてはこの外周刃17との間隔M底刃16側の範囲19の間隔Lよりも小さくされている。
このように構成された実施形態の溝付き工具(エンドミル)においても、その切削時に底刃16および外周刃17によって生成された切屑は、これら底刃16および外周刃17側の微細粒子または微細突起が突出させられた範囲19,20のコーティング膜18上を擦過して抵抗を受けることにより分断させられてその形状や長さが制御され、次いでこの範囲19,20の工具本体11後端側または内周側の微細粒子または微細突起が除去された範囲21に送り込まれて速やかに排出されるので、切屑詰まりや切削抵抗の増大を招くことなく円滑な切屑処理を図ることが可能となる。また、底刃16や外周刃17側の上記範囲19,20には研磨等による微細粒子や微細突起の除去が及ばないため、これら底刃16や外周刃17が丸められたりその近傍のコーティング膜18が剥離したりすることもなく、鋭い切れ味と高い切刃強度や耐摩耗性を維持することができる。
なお、本実施形態のようなエンドミルにおいて、工具本体11の表面のうち先端面(先端逃げ面)と切屑排出溝14の内面との交差稜線部である底刃16からのコーティング膜18表面に微細粒子または微細突起が突出したままの範囲19が、底刃16の回転直径(切刃外径)Dに対して0.01×D〜3.0×Dの間隔Lとされているのは、参考例と同様の理由である。特に、この底刃16によってワークに掘り込み加工を行うような場合には、参考例の切刃5と同様に底刃16によって生成された切屑が上記範囲19を擦過して切屑排出溝14内を工具本体11後端側へと送り出されることとなるため、間隔Lを比較的大きめにとって切屑を確実に処理するのが望ましい。
ところが、これに対して外周刃17側に連なる切屑排出溝14内面のコーティング膜18にあっては、その微細粒子または微細突起が突出した範囲20の外周刃17との間隔Mが小さすぎると十分な切屑処理が図られず、また外周刃17が丸められたり外周刃17近傍のコーティング膜18が剥離したりするおそれがあるのは同様であるものの、この間隔Mが底刃16の後端側に連なる範囲19の間隔Lのように大きすぎると、切込み深さ等にもよるが一般に外周刃17による切屑は底刃16の切屑よりも幅広となるために、切削時に切屑から工具本体11が受ける抵抗も底刃16側の場合に比べて大きくなり、工具本体11にびびり振動が生じたりして円滑な切削や加工精度を損なったりするおそれがある。このため、切刃が工具本体11の外周面(外周逃げ面)と切屑排出溝14内面との交差稜線部に形成された外周刃17である場合には、コーティング膜18の微細粒子または微細突起が突出した範囲20の外周刃17との間隔Mは切屑排出溝14内面と工具本体11の先端面(先端逃げ面)との交差稜線部に形成された切刃(底刃16)に対して、この底刃16側の微細粒子または微細突起が突出した範囲19の該底刃16との間隔Lよりも小さくされるただし、この範囲20についても、図4および図5においては切刃(外周刃17)からの上記間隔Mが該外周刃17に沿って略一定の幅をなすようにされているが間隔Mが一定でなくても構わない。
なお、上記参考例ではドリルについて説明したが、例えばリーマ等の他の穴加工工具に本発明を適用することも可能である。また、上記実施形態では、本発明をスクエアエンドミルに適用した場合について説明したが、底刃16と外周刃17とが交差するコーナ部が1/4円弧等の凸曲線状とされたラジアスエンドミルや、底刃16自体が1/4円弧状とされて軸線O回りの回転軌跡において半球状をなすボールエンドミルなどに本発明を適用することも可能である。
1,11 工具本体
2,12 シャンク部
3,13 切刃部
4,14 切屑排出溝
5 切刃(工具本体1の先端面と切屑排出溝4の内面との交差稜線部に形成された切刃)
6,18 コーティング膜
7,19,20 コーティング膜18表面に微細粒子または微細突起が突出させられた範囲
8,21 コーティング膜18表面に微細粒子または微細突起が突出していない範囲
15 ギャッシュ
16 底刃(工具本体11の先端面と切屑排出溝14の内面との交差稜線部に形成された切刃)
17 外周刃(工具本体11の外周面と切屑排出溝14の内面との交差稜線部に形成された切刃)
O 工具本体1,11の中心軸線
T 切削時の工具本体1,11の回転方向
L 微細粒子または微細突起が突出させられた範囲7,19の切刃5、底刃16からの間隔
M 微細粒子または微細突起が突出させられた範囲20の外周刃17からの間隔

Claims (2)

  1. 概略軸状の工具本体に切屑排出溝が形成され、この切屑排出溝の内面と上記工具本体の表面との交差稜線部に切刃が形成されるとともに、上記切屑排出溝の内面にはコーティング膜が被覆された溝付き工具であって、上記工具本体は切削時にその中心軸線回りに回転されるとともに、上記切刃は、この工具本体の先端面と上記切屑排出溝の内面との交差稜線部と、上記工具本体の外周面と上記切屑排出溝の内面との交差稜線部とに形成され、上記コーティング膜には、上記切刃側の所定の範囲内において0.1μm〜5.0μmの微細粒子または微細突起が突出している一方、この範囲よりも上記切刃から離れた範囲では上記微細粒子または微細突起が突出していないとともに、上記微細粒子または微細突起が突出した範囲は、上記工具本体の外周面と上記切屑排出溝の内面との交差稜線部に形成された切刃との間隔が、上記工具本体の先端面と上記切屑排出溝の内面との交差稜線部に形成された切刃との間隔よりも小さくされていることを特徴とする溝付き工具。
  2. 上記微細粒子または微細突起は、上記工具本体の先端面と上記切屑排出溝の内面との交差稜線部に形成された切刃との間隔が該切刃の上記中心軸線回りの回転直径Dに対して0.01×D〜3.0×Dの位置よりも上記切刃側の範囲内に突出させられていることを特徴とする請求項1に記載の溝付き工具。
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