JP3576378B2 - スローアウェイチップ及び穴明け工具 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば鋼板、銅板、アルミ板等の金属板に対する穴明けの際に、その表裏に発生するバリを除去できるバリ取り用のスローアウェイチップ(バリ取りチップという)、そして穴明けと同時にバリを除去することのできるバリ取り機能を備えた穴明け工具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
鋼板等の金属板をドリル等の穴明け工具で穴明けした場合、この金属板の表裏にバリが発生することがあり、このバリは、ボルトやリベット等で金属板を締め付ける際に、適正な締め付け力が得られない等の不具合の原因となるため、従来はグラインダ等の研削工具を用いたりして、バリ除去のための後加工を行っていたが、このようなバリ取り作業には多くの労力と時間を要することになる。そこで、このような問題を解決するために、金属板等の被加工物に穴明けを行うと同時にその表裏面のバリを取り除くバリ取り機能を備えた穴明け工具が、例えば特許第2641694号公報あるいは特開平8−155716号公報に提案されている。
【0003】
これらの公報に記載された穴明け工具は、先端部に切削刃を有する工具本体と、工具本体の先端部の周面に軸方向に沿って設けられた凹溝と、この凹溝内に収容されて該凹溝内にて工具本体の径方向に弾性変形可能とされたカートリッジと、カートリッジに取り付けられカートリッジの弾性変形により工具本体の周面から出没自在とされた三角形平板状のバリ取りチップとを備えたものである。
従ってこのような穴明け工具で穴明け加工をすると、穿孔開始から若干遅れて被加工物の表面のバリをバリ取りチップが除去し、次いで穿孔の進行に従ってバリ取りチップが穴の内周壁に倣いながら凹溝の中に後退する。そして穴の貫通後に、戻り切削の際にバリ取りチップが被加工物の裏面のバリを除去するので、穴明けと共に金属板等の被加工物の表裏のバリを取ることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このようなバリ取り機能を備えた穴明け工具では、バリ取りチップが出没自在とされているため、バリ取り加工時の切刃の当たりが不安定となり、これによって切れ味の微妙な劣化が生じてバリ取り機能の低下を招くことから、バリ取りチップは頻繁に交換されることが多い。
ところが、上記穴明け工具のうち、前者の特許第2641694号公報に記載された穴明け工具のバリ取り用スローアウェイチップでは、三角形平板状をなすために、チップのバリ取り刃の横すくい角が0°と小さいために、面取り幅が小さい上に、面取り加工の食い付き時の衝撃が大きくチップ寿命が短いという欠点がある。
また、後者の特開平8−155716号公報の穴明け工具では、バリ取りチップの横すくい角は正角に設定されているものの、その大きさが小さいために十分な面取り幅を確保できない上に、面取り加工の食い付き時の衝撃が大きくチップ寿命が短いという上述の欠点は改善できていなかった。
【0005】
本発明は、このような事情を鑑みてなされたもので、適切な面取り幅を確保できる上にバリ取りチップの寿命が長く、しかも加工穴の内壁のバニシ仕上げを行うことのできるスローアウェイチップ及び穴明け工具を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るスローアウェイチップは、多角形板状を呈していて、着座面に対向する上面のノーズ部の2辺をなす稜辺部がバリ取り刃とされていると共に、上面のノーズ部がバリ取り刃のすくい面とされ、該すくい面とバリ取り刃で交差する第一の側面が逃げ面とされ、ノーズ部の先端が上下面方向に面取りされて第二の側面が形成されてなるスローアウェイチップにおいて、すくい面の横すくい角が10°〜20°の範囲の正角に設定されていると共に、第二の側面と下面との交差稜線が琢磨刃とされていることを特徴とするものである。
このような構成によれば、穴明け工具に装着された状態で、スローアウェイチップのバリ取り刃の横すくい角によってラジアルレーキ角が十分大きな正角に設定されることになるから、食い付き時の衝撃が比較的小さい上に加工穴の入り口側と出口側の開口部のバリ取り加工が容易且つ確実となる。しかも加工穴の各開口部についてバリ取り刃による面取り幅が安定し、加工穴数を多数加工できるためにバリ取り用のスローアウェイチップの寿命が向上する。
また、第二の側面と下面の交差稜線が琢磨刃とされているため、琢磨刃によって加工穴の内壁のバニシ仕上げ加工を確実に行える。
また、本発明に係る穴明け工具は、先端部に切削刃を有する工具本体と、この工具本体の先端部の外周面に設けられた凹溝と、この凹溝に収容されて上記工具本体の径方向に弾性変位可能とされたカートリッジと、このカートリッジに設けられてカートリッジの弾性変位により工具本体の外周面から出没可能とされたバリ取り用のスローアウェイチップとを備えた穴明け工具において、スローアウェイチップは、請求項4記載のスローアウェイチップであって、ノーズ部の琢磨刃が工具本体の外周側に位置して前記カートリッジに装着されていることを特徴とする。
【0008】
また本発明に係るスローアウェイチップは、多角形板状を呈していて、着座面に対向する上面のノーズ部の2辺をなす稜辺部がバリ取り刃とされていると共に、上面のノーズ部がバリ取り刃のすくい面とされ、該すくい面とバリ取り刃で交差する第一の側面が逃げ面とされ、ノーズ部の先端が上下面方向に面取りされて第二の側面が形成され、該第二の側面とすくい面との境界をなす稜線部が面取りされて面取り面とされてなるスローアウェイチップにおいて、すくい面の横すくい角が10°〜20°の範囲の正角に設定され、逃げ面の逃げ角が正角に設定されていると共に、面取り面と第二の側面との交差稜線が琢磨刃とされて、面取り面が琢磨刃のすくい面とされ、該琢磨刃のすくい面はすくい角が30°〜60°の範囲の負角に設定されていることを特徴とする。
このような構成によれば、穴明け工具に装着された状態で、バリ取り刃の横すくい角によってラジアルレーキ角が正角に設定されることになるから、食い付き時の衝撃が比較的小さい上に加工穴の入り口側と出口側の開口部のバリ取り加工が容易且つ確実となる。しかも加工穴の各開口部についてバリ取り刃による面取り幅が安定し、琢磨刃で加工穴の内壁をバニシ仕上げ加工でき、バリ取り加工作業を通して加工穴の内壁を傷つけるおそれがない上に、加工穴を多数加工できるためにバリ取り用のスローアウェイチップの寿命が向上する。
尚、第二の側面が凸曲面状に形成されて琢磨面とされていてもよい。
加工穴の内壁が凸曲面の琢磨面で研磨され、チップのノーズ部を欠損することなく確実にバニシ仕上げできる。
【0009】
また本発明に係る穴明け工具は、先端部に切削刃を有する工具本体と、この工具本体の先端部の外周面に設けられた凹溝と、この凹溝に収容されて上記工具本体の径方向に弾性変位可能とされたカートリッジと、このカートリッジに設けられてカートリッジの弾性変位により工具本体の外周面から出没可能とされたバリ取り用のスローアウェイチップとを備えた穴明け工具において、スローアウェイチップは、請求項1または2記載のスローアウェイチップであって、ノーズ部の琢磨刃が工具本体の外周側に位置してカートリッジに装着されていることを特徴とするものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図1ないし図7により説明する。図1は本発明の実施の形態によるスローアウェイチップの平面図、図2は図1に示すスローアウェイチップのB方向矢視図、図3は図1のチップのA−A線拡大断面図、図4はドリルの先端部の側面図、図5は図4に示すドリルの先端面図、図6は図4に示すドリルの側面図でカートリッジと凹溝だけを示す図、図7はカートリッジの側面図である。
図1乃至図3に示す実施の形態によるバリ取り用のスローアウェイチップ(以下、バリ取りチップという)1において、バリ取りチップ1は略多角形板状、例えば略三角形板状(図では略正三角形板状)とされ、着座面をなす下面2に対向して上面3が設けられ、上下面2,3間の各稜辺に沿う側面4(第一の側面)は下面2から上面3に向けて外側に傾斜するポジチップとされている。上面3の中央部には下面2まで貫通するねじ挿通用のボルト穴7が穿孔されている。
上面3において、ボルト穴7の周囲は下面2と平行な頂面3aをなしており、頂面3aから各先端側の各頂部5に向けて、ノーズ部6がそれぞれ形成されており、各頂部5ではノーズ部6の先端が上下面2,3方向に平面状に面取りされて第二の側面14が形成されている。各ノーズ部6において、両側面4、4と上面3とでなす稜線がバリ取り刃8,8とされている。
【0011】
各ノーズ部6において、頂面3aとの境界が下面2側に急傾斜で落ち込んで例えば平面状の段差9が形成され、さらに段差9から頂部5に向けて漸次上方に向けて傾斜する、バリ取り刃8,8のすくい面10が例えば平面状に形成されている。このすくい面10のバリ取り刃8の延在方向に沿うすくい角である横すくい角をαとする(図2参照)。またすくい面10とバリ取り刃8で交差する両側面4、4が逃げ面とされ、その逃げ角はいずれもβとする(図3参照)。
ここで、横すくい角αは10°〜20°の範囲内の正角とする。横すくい角αが10°未満であると被削材の加工穴の入り口側と出口側の開口部の面取り幅が小さすぎ、チップ寿命が短いという欠点があり、横すくい角αが20°を越えると逆に面取り幅が大きくなりすぎるという欠点がある。
尚、逃げ角βは5°〜20°に設定されている。5°より小さいと面取りされた加工面を擦過し、20°より大きいとバリ取り刃8の刃物角が小さくなって欠損しやすいという欠点がある。
【0012】
また、各側面4に挟まれた頂部5の第二側面14とすくい面10との境界をなす稜線部が例えば平面状に面取りされて面取り面11とされ、面取り面11と第二側面14とでなす稜線が、被削材の加工穴の内壁をバニシング加工する琢磨刃12とされている。
そのため、面取り面11は琢磨刃12のすくい面とされ、頂部5の第二側面14は琢磨刃12の逃げ面とされている。琢磨刃12のすくい面(面取り面11)のすくい角をγとし、琢磨刃12の逃げ面(第二側面14)の逃げ角をδとする。
ここで、琢磨刃12のすくい角γは30°〜60°の範囲内に設定するものとする。すくい角γが30°より小さいと琢磨刃12の加工穴内壁への食い付きが強すぎて内壁に傷をつけ易く、またすくい角γが60°を越えるとすくい面10と面取り面11とでなす稜線14の刃先角が小さくなり、加工穴の内壁を傷つけるおそれがある。
また、琢磨刃12の逃げ角δは1°より大きいことが好ましい。1°より小さいと逃げ面である第二側面14で加工穴の内壁を擦過するおそれがある。逃げ角δは好ましくは1°〜3°の範囲とし、3°を越えると琢磨刃12の刃物角が小さくなってバニシング加工の際に欠損しやすくなる。
【0013】
本実施の形態によるバリ取りチップ1は上述のような構成を備えており、次にこのバリ取りチップ1を装着したドリルについて、図4乃至図7により説明する。図4は実施の形態によるドリルの先端側部分の側面図、図5は図4に示すドリルの先端面図、図6は図4に示す刃部に装着されたカートリッジの部分の図、図7はカートリッジの平面図である。
図4及び図5において、ドリル16の工具本体17は、その先端部が略円柱状をなし、この先端部の外周面17Aには、工具本体17の先端面17Bから後端側に向けて工具回転方向Tの後方側に捩れる一対の切屑排出溝18,18が形成されるとともに、これらの切屑排出溝18,18の工具回転方向T側を向く壁面の先端部には、それぞれ切刃チップが接合されて切削刃21,21が設けられている。
【0014】
そして、工具本体17の周方向において、切屑排出溝18,18の間に画成される一対のランドのうちの一方の外周面17Aには、図4乃至図6に示すように、工具本体17の先端面17Bに開口して(開口していなくてもよい)工具本体17の軸線O方向に沿って延びる凹溝19が形成されている。この凹溝19内にはカートリッジ20が収容されて、このカートリッジ20の先端部に上述した実施の形態によるバリ取りチップ1が着脱可能に装着されている。
ここで、カートリッジ20は、図7に示すように凹溝19の底部に固定される例えばL字型のベース22と、凹溝19の外周側に収容される略々U字型の可動アーム23とが備えられている。この可動アーム23の後端部はベース22の後端部にピン24を介して回動可能に連結されるとともに、可動アーム23とベース22との間には弾性部材としてバネ(コイルスプリング)25が介装されており、これにより可動アーム23はベース22から離れる方向即ち工具本体17の径方向外周側に向けて突出するよう付勢されている。
従って、カートリッジ20の全体を凹溝19に収容した状態で、この可動アーム23の先端部は、その後端部のピン24を中心として、凹溝19内にて工具本体17の径方向に弾性変位可能とされている。
【0015】
そして、この可動アーム23の先端部にはバリ取りチップ1を固定保持するチップ保持部27が形成されている。このチップ保持部27は、先端側に向けて60°の挟角でV字状に開口する一対の保持壁27A,27Bと、これらの保持壁27A,27Bに対して直交し、カートリッジ20を工具本体17に装着した状態で工具回転方向T側を向くチップ取付面27Cとから成っている。
なお、チップ保持部27の一方の保持壁27Aは、カートリッジ20を凹溝19に取り付けた状態で工具本体17の略外周側を向くように、また他方の保持壁27Bは先端側に向かうに従い外周側に向かうように配置される。また、上記チップ取付面27Cには、図示されないネジ穴が形成されている。
【0016】
このように構成されたカートリッジ20のチップ保持部27に、バリ取りチップ1が、上面3を工具回転方向T側に向けて下面2をチップ取付面27Cに着座させ、また工具本体1の内周側を向く側面4を保持壁27Aに、工具本体17の後端側を向く他の側面4を保持壁27Bにそれぞれ面接触させることで、カートリッジ20のチップ保持部27に着座させられる。この状態で、クランプネジ28を、ボルト穴7を通してチップ取付面27Cのネジ穴にねじ込むことにより、バリ取りチップ1がカートリッジ20に固定される。
この状態で、バリ取りチップ1は、切削刃21,21よりも工具本体1の軸線O方向後端側に位置して、図4乃至図6に示すように、その三つの頂部5,5,5のうちの一つが工具本体17の外周面17Aから外側に突出させられるとともに、この頂部5につながるノーズ部6を挟むバリ取り刃8,8(ここで便宜上、先端側のバリ取り刃8を符号8aで示し、後端側のバリ取り刃8を符号8bで示す)が軸線Oに対して互いに反対側に傾斜して配置されている。さらにカートリッジ20の可動アーム23が工具本体17の径方向に弾性変位可能とされるのに伴い、頂部5が工具本体17の外周面17Aから出没自在とされている。
【0017】
なお、工具本体17の外周面17Aには、頂部5がこの外周面17Aから突出した状態において、クランプネジ28の頭部に臨む位置から、軸線Oに直交する断面における外周面17Aの接線方向に延びるように、上記凹溝19に連通する断面円弧形のスリット30が形成されている(図4参照)。このスリット30を通してレンチやドライバー等の作業用工具を挿入することにより、クランプネジ28の締め・緩めによるバリ取りチップ1の着脱が容易に行えるようになされている。
また、工具本体17の内部には、上記軸線Oに沿って切削油剤の供給孔31が形成されており、この供給孔31は工具本体17の先端部において二つに分岐されて、一方の開口31Aは真っ直ぐ工具本体17の先端面17Bに開口させられるとともに、他方の開口31Bは凹溝19の底面に開口した後(開口31Bと凹溝19は別個でもよい)、この底面に沿って工具本体17の先端面17Bに半円状に開口するように曲折されている。
【0018】
本実施の形態によるドリル16は上述のように構成されており、次にその作用を説明する。
このドリル16を用いて被削材の穴明け加工を行うと、切削刃21,21により被削材に加工穴が形成され、その開口部にバリが生じることになる。
この穴加工に連続して、工具本体17の送りに伴い切削刃21,21に続いてバリ取りチップ1が加工穴の入り口側の開口部周縁に接することにより、このバリ取りチップ1の先端側に位置するバリ取り刃8aによって入り口側開口部のバリが削り取られる。
この時、バリ取り刃8aの横すくい角αが10°〜20°の範囲の正角に設定されているから、入り口側開口部のバリがスムーズに切除できる。しかもバリ取りチップ1を工具本体17の径方向に沿って取り付けたとしても、角度αのラジアルレーキ角が設定されているから面取り加工切削の切れ味が良く、面取り幅が大きすぎず小さすぎず、幅0.5〜1mm程度の好適な面取り加工がなされる。そのため、上述の従来技術で説明したバリ取りチップよりも切れ味が良好で、食い付き時の衝撃が少なくチップ寿命が長い。
【0019】
そして、工具本体17が軸線O方向先端側にさらに送り出されて、バリ取りチップ1が加工穴内に挿入されると、カートリッジ20の可動アーム23の弾性変位によって、バリ取りチップ1は工具本体17内に没入する。この時、バリ取りチップ1の外周側の頂部5は加工穴の内壁に沿って摺動回転され、琢磨刃12が加工穴の内壁を擦ってバニシ仕上げ加工する。
この場合、琢磨刃12について、逃げ角δが1〜3°の範囲で設定されているから、第二側面14で加工穴の内壁を擦過することはなく、しかもすくい角γが30°〜60°の正角に設定されているから、琢磨刃12や、面取り面11及びすくい面10の交差稜線14の刃先角が比較的大きく設定され、加工穴の内壁を傷つけることもバリ取りチップ1の頂部5が欠損することもない。
さらに切削刃21,21が加工穴の内壁を貫通して、バリ取りチップ1が加工穴から抜け出ると弾性変位によってバリ取りチップ1は再び工具本体17の外周面17Aから径方向外側に突出する。
次にドリル16で戻り切削が行われ、工具本体17後端側(戻り切削方向先端側)を向くバリ取り刃8bによって加工穴の出口側開口部に生じたバリが削り取られ、合わせて面取り加工される。この場合の作用は、上述した入り口側開口部のバリ取り切削加工と同一の作用が生じることになる。そしてバリ取りチップ1は加工穴で弾性変形して工具本体17内に没入して抜き取られる。
この面取り加工によって面取り幅を0.5〜1mm程度に安定させることができる。
【0020】
このように本実施の形態によるドリル16によれば、加工穴の入り口側と出口側の開口部のバリ取り加工が容易且つ確実で、しかも加工穴の入り口側と出口側の開口部に適切な面取り幅の面取り加工ができる。またバリ取り加工作業を通して加工穴の内壁を傷つけるおそれがなく、しかもこの内壁について琢磨刃12でバニシ仕上げ加工でき、琢磨刃12等バリ取りチップ1の頂部5の角部等を欠損することもない。また、1つのノーズ部6で300穴以上の加工穴を加工できるためにバリ取りチップ1の寿命が向上する。
【0021】
次に上述の実施の形態の変形例を図8乃至図10により説明するが、上述の実施の形態と同一の部分については同一の符号を用いてその説明を省略する。
図8及び図9に示す実施の形態のバリ取りチップの第一の変形例であるバリ取りチップ44において、各頂部5に設けられた琢磨刃12の逃げ面をなす平面状の第二側面14に代えて、図8に示す側面視で円弧状の凸曲面を逃げ面として形成してもよく、この逃げ面は琢磨面45とされる。
この場合、琢磨面45は、好ましくはバリ取りチップ44がドリル16の工具本体17に装着された状態での最外周部の回転軌跡に沿う円弧面形状をなしているが、最外周部の回転軌跡に沿う円弧より曲率の大きい即ち半径の小さい凸曲面形状としてもよい。
このような構成とすれば、ドリル16にバリ取りチップ44を装着して加工穴のバリ取り加工を行えば、バリ取りチップ44が加工穴内に進入した際にカートリッジ20の可動アーム23が弾性変位して琢磨刃12が内壁をバニシング加工する際、琢磨刃12に続いて琢磨面45が内壁をバニシ仕上げ加工することになり、更に一層良好なバニシ仕上げ加工が行われる。
【0022】
図10は本発明のバリ取りチップの第二変形例を示すものであり、このバリ取りチップ48において、各頂部5に設けられた琢磨刃12の逃げ面をなす平面状の第二側面14に代えて、図10に示す側面視で下面2と直交する側面49が形成され、ネガとされている。この場合には、側面49と下面2との交差稜線が琢磨刃50とされている。
そのため、ドリル16の工具本体17にバリ取りチップ48が装着された状態で、この琢磨面50によって加工穴の内壁をバニシ仕上げすることができる。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るスローアウェイチップは、すくい面の横すくい角が10°〜20°の範囲の正角に設定されているから、穴明け工具に装着された状態で、スローアウェイチップのバリ取り刃の横すくい角によって、食い付き時の衝撃が比較的小さい上に加工穴の入り口側と出口側の開口部のバリ取り加工が容易且つ確実となる。しかも加工穴の各開口部についてバリ取り刃による面取り幅が適正な大きさで安定し、バリ取り刃が欠損しにくいために加工穴数が増大する等バリ取り用のスローアウェイチップの寿命が向上する。
【0025】
また本発明に係るスローアウェイチップは、すくい面の横すくい角が10°〜20°の範囲の正角に設定されていると共に、面取り面と第二の側面との交差稜線が琢磨刃とされて、面取り面が琢磨刃のすくい面とされ、該琢磨刃のすくい面はすくい角が30°〜60°の範囲の負角に設定されているから、穴明け工具に装着された状態で、バリ取り刃の横すくい角によって、加工穴の入り口側と出口側の開口部のバリ取り加工が容易且つ確実で、しかも加工穴の入り口側と出口側の開口部に適切な面取り幅の面取り加工ができる。またバリ取り加工作業を通して加工穴の内壁を傷つけるおそれがなく、しかもこの内壁について琢磨刃でバニシ仕上げ加工でき、琢磨刃等、チップのノーズ部の角部等を欠損することもなく、バリ取り用のスローアウェイチップの寿命が向上する。
また第二の側面が凸曲面状に形成されて琢磨面とされているから、加工穴の壁面を確実にバニシ仕上げできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態によるバリ取り用のスローアウェイチップの平面図である。
【図2】図1に示すスローアウェイチップのB方向矢視図である。
【図3】図1に示すチップのA−A線拡大断面図である。
【図4】ドリルの先端部の側面図である。
【図5】図4に示すドリルの先端面図である。
【図6】図4に示すドリルの側面図でカートリッジと凹溝だけを示す図である。
【図7】図4乃至図6に示すドリルに装着されているカートリッジの平面図である。
【図8】実施の形態によるスローアウェイチップの第一変形例を示す図2と同様な側面図である。
【図9】図8に示すスローアウェイチップの平面図である。
【図10】実施の形態によるスローアウェイチップの第二変形例を示す図8と同様な側面図である。
【符号の説明】
1 スローアウェイチップ
2 下面
3 上面
6 ノーズ部
8、8a、8b バリ取り刃
10 すくい面
11 面取り面
12 琢磨刃
14 第二側面
16 ドリル
17 工具本体
19 凹溝
20 カートリッジ
21 切削刃

Claims (5)

  1. 多角形板状を呈していて、着座面に対向する上面のノーズ部の2辺をなす稜辺部がバリ取り刃とされていると共に、前記上面のノーズ部が前記バリ取り刃のすくい面とされ、該すくい面とバリ取り刃で交差する第一の側面が逃げ面とされ、前記ノーズ部の先端が上下面方向に面取りされて第二の側面が形成され、該第二の側面と前記すくい面との境界をなす稜線部が面取りされて面取り面とされてなるスローアウェイチップにおいて、
    前記すくい面の横すくい角が10°〜20°の範囲の正角に設定されていると共に、
    前記面取り面と第二の側面との交差稜線が琢磨刃とされて、前記面取り面が琢磨刃のすくい面とされ、該琢磨刃のすくい面はすくい角が30°〜60°の範囲の負角に設定されていることを特徴とするスローアウェイチップ。
  2. 前記第二の側面が凸曲面状に形成されて琢磨面とされていることを特徴とする請求項1記載のスローアウェイチップ。
  3. 先端部に切削刃を有する工具本体と、この工具本体の先端部の外周面に設けられた凹溝と、この凹溝に収容されて上記工具本体の径方向に弾性変位可能とされたカートリッジと、このカートリッジに設けられて上記カートリッジの弾性変位により上記工具本体の外周面から出没可能とされたバリ取り用のスローアウェイチップとを備えた穴明け工具において、
    上記スローアウェイチップは、請求項1または2記載のスローアウェイチップであって、前記ノーズ部の琢磨刃が工具本体の外周側に位置して前記カートリッジに装着されていることを特徴とする穴明け工具。
  4. 多角形板状を呈していて、着座面に対向する上面のノーズ部の2辺をなす稜辺部がバリ取り刃とされていると共に、前記上面のノーズ部が前記バリ取り刃のすくい面とされ、該すくい面とバリ取り刃で交差する第一の側面が逃げ面とされ、前記ノーズ部の先端が上下面方向に面取りされて第二の側面が形成されてなるスローアウェイチップにおいて、
    前記すくい面の横すくい角が10°〜20°の範囲の正角に設定されていると共に、
    前記第二の側面と下面との交差稜線が琢磨刃とされていることを特徴とするスローアウェイチップ。
  5. 先端部に切削刃を有する工具本体と、この工具本体の先端部の外周面に設けられた凹溝と、この凹溝に収容されて上記工具本体の径方向に弾性変位可能とされたカートリッジと、このカートリッジに設けられて上記カートリッジの弾性変位により上記工具本体の外周面から出没可能とされたバリ取り用のスローアウェイチップとを備えた穴明け工具において、
    上記スローアウェイチップは、請求項4記載のスローアウェイチップであって、前記ノーズ部の琢磨刃が工具本体の外周側に位置して前記カートリッジに装着されていることを特徴とする穴明け工具。
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