JP3985203B2 - 自走型探査及び作業ロボット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、木造建築物の床下等に棲息するシロアリ等の害虫を防除するに当たり、従来と全く異なり、殺虫剤等環境上有害な薬剤の散布を一切行わずに、新規な電気的機械的手段による障害物乗り越え機能を有する自走型探査ロボットに搭載した探査機能、即ち、CCDカメラ等により撮影し、画像をホスト側制御モニタ装置に送信し、画像を処理認識させ、建築材料の区別、害虫道(シロアリ道)を確認させ、更には餌の減量の認識により害虫の生存の有無を確認させ、害虫駆除用の毒餌器部を設置させ、害虫を死滅に至らしめ、完了する等、完全環境保全性能を有する自走型探査及び作業ロボットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、木造家屋の床下に棲息するシロアリ等の害虫の防除には、次の方法が行われていた。
1)第一の従来技術は、手作業であって、作業員が殺虫剤入りのタンクにつながったホースを持って床下にもぐり、シロアリ等の棲息するおそれのある木材全般にその薬剤を散布していた。
【0003】
2)第二の従来技術としては、薬剤散布のために、床下に入れられる程度に小型の装置が文献上で発表されている。しかしこれは、ON−OFFスイッチを用いる電気回路を部分的に使用したもので、旋回が困難であり、自動制御機能が少なく実用化されていない。
【0004】
3)第三の従来技術としては、特許第2594880(平成05年特許願第355006号)がある。これは、自律走行型知能作業ロボットであって、電気式自動制御方式により、床下の平面的形状を記憶した上、シロアリ等の棲息場所をセンサ等により確認し、その部分にのみ最小限量の防除薬剤を自動的に散布し、床下の入口に戻ってくる小型のロボット装置である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前記第一の従来技術である手作業の方法は、作業員が高さの低い床下に腹ばいになって入り、薬剤を散布しなければならないので、苦しい上に汚く、かつ有毒な薬剤を吸い込む危険もあり、所謂3K現場の1つとなっていた。そのため、最近では要員の確保も非常に困難となり、シロアリ等害虫防護の業務が成り立たなくなったという大きな問題点がある。その上に、この有毒な薬剤散布は、危険作業の1種でもあるから、作業員は、1度に2名は必要となり、従って、費用も高額となるので、1回の処理で5年間という長期間の持続保障が必要となる。そうすると、散布薬剤の量も多量とならざるを得ないから、その結果、その建物の居住者にも衛生上有害となり、かつ近隣に対しては環境公害をもたらすというこれまた大きな欠点があったので、これらの問題点を解決する必要がある。
【0006】
第二の従来技術は、文献(特開昭63−317034号)上でのみ公知となっている装置であるが、次の問題点があるので、現在までのところ、実際には実施されていない。
1)単純なON−OFFスイッチ型方式なので、操作者が建物の外部から床下の状況を正確に把握することができず、床下全般に薬剤をまき散らすだけであるから、薬剤を多く余分に使い、家人に不衛生ばかりでなく、近隣にも公害を及ぼす等の大きな欠点がある。
2)この装置には、有効な検出機構及び記憶機構がないので、操作前、中、後における建物毎の床下状況の把握が全くできず、薬剤散布の必要部の区別認識が不能である。
3)故障の受信は可能であるけれども、その装置の作業状況のモニタもできないし、遠隔操縦もできない。
4)シロアリの通路である床下の地面とコンクリート壁部分へ薬剤を散布するがシロアリの加害場所である土台、床束や大引き等の木材部への選択吹き付けはできず、極めて不経済である。
5)シロアリが最も侵入しやすい床下のコーナー部への薬剤散布が行えないので、本来のシロアリの防除はできない。
6)この文献上の従来技術は平型キャタピラを使用しているので、旋回が困難な方式であるため、薬剤散布必要箇所を正確に選ぶことができない。
【0007】
第三の従来技術は、精密な電子制御によるロボットによる薬剤散布であり、薬剤の散布も最小限にすることができるので、その以前の従来技術に比べれば、有毒薬剤による公害も比較的少ないから、実際には無人自動制御式シロアリ防除装置として相当に使用され始めている。ところが、最近の環境保護情勢としては、なるべく有害薬剤の使用を皆無にしたいとの社会的要望が急速に高まりつつある。従って、有毒薬剤を一切散布せずに、シロアリ等の害虫から建物と人間を防護しなければならないという課題が最近この技術分野において課せられるに至っている。即ち、最近の社会的必要性からすると、前記第三の従来技術でも、環境保護上は不充分であり、更に進歩した技術の開発が要求されているものである。
【0008】
本発明は、前記諸従来技術の諸欠点を除去し、作業者を3Kの苦しみから開放すると共に、更に最近の環境保護の観点から人体にも有害な薬剤を一切散布せず、公害を完全に近く防止した上で、シロアリ等床下の害虫に対する防除を行うため、すべての従来技術より格段に進歩した、より精密、画期的な自走型探査及び作業ロボットの小型装置を提供することをその目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の床下の害虫防除用の自走型探査及び作業ロボットの第一の特徴は、左右のクローラをDCギヤードモータで駆動する水平旋回式無限軌道機構と、屋外のホスト側制御モニタ装置と通信する送受信無線回路と、自走段とを有する建築物の床下用害虫防除用自走型ロボットであって、該ホストモニタ装置はコンピュータとデイスプレイとジョイステイックと送受信無線回路とを装備し、前記ロボットは走行駆動用モータを有し、障害物乗り越えのためのリフトアップ機構と、照明装置と、搭載コンピュータと、現状の情景を撮影して動的な画像をモニタに送信し、画像を処理し認識して、ディスプレイに表示するCCDカメラ一個と、形、色により、位置、方向を指示する指示板、餌器を画像認識するCCDカメラ一個とこの二つのカメラと組んで、対象物、壁、柱などとの距離を適宜認識できるレーザポインター、餌器上の粉塵を除去するための小型ファンを搭載すると共に、極座標型アームと、そのロボットハンドとを有し、ロボットハンドには餌器検査用の小型CCDカメラと餌器を持ち上げ、搬送のための電磁石とを有し、シロアリの在否を探査し、かつ餌器部を設置、回収し、所定の期間内において、前記餌の状態を前記ホスト側制御モニタ装置に送信し、ホスト側は減量を自動計測し、前記餌の影像減量の割合をデイスプレイに表示すると共に、必要に応じ、ホストコンピュータを通じ、音声により操作者に報告する機能を具備することである。
【0010】
かつ第二の特徴は、前記走行駆動用モータは、光エンコーダを具備し、そのデータはカウンタに積算され、前記搭載コンピュータは、走行速度、走行距離、極地回転の管理をデジタルコントロールにより行うことである。
【0011】
また、第三の特徴は、前記ホスト側制御モニタ装置およびロボットの送受信無線回路が、PHS端末機によることである。
【0012】
次に、第四の特徴は、前記ホスト側制御モニタ装置のジョイステイックが、前記自走型ロボットとの送受信により、該自走型ロボットの操縦を自動から手動に切り換えて、餌器部を検査して、交換の指示、餌の減量の検出シロアリの在否の確認、餌器の交換の類の作業機能を有することである。
【0013】
更に、第五の特徴は、前記リフト機構は、該自走型探査及び作業ロボットの前部並びに後部の上下のほぼ中位部の水平軸を回転の中心として進行方向面内に回転する前部並びに後部のアームから成り、該アームの先端に車輪を有し、通常走行中は、該車輪を上方に保持し、該自走型探査及び作業ロボットの前部が障害物、特に、コンクリートの切り欠き孔に当ったときは、自立的に該アームは前記回転の中心を中心として前方又は後方より回動し、該障害物又は地面を上方より圧し、その反力によって該自走型ロボットの前部該障害物の上に押し上げ、該ロボットの車体をして該障害物の上面を連通せしめ、通過時には前部アームは前方に保持し、同時に該ロボットの後部のアームが上方より下方に回動して該ロボットの後部をリフトして該ロボット車体をほぼ水平となし、前部アームと適宜回動して、衝撃なく該障害物を乗り越えた後、前部後部のアームを再び上方に回動せしめる機能を有することである。
【0014】
前記、課題解決の手段について、更に詳細な説明を加える。即ち、左右のクローラをDCギヤードモータで駆動する水平旋回式無限軌道機構は、ほぼ通常のものを使用するが、旋回機能を高能率とするため、旋回の場合には、左右のクローラのモータを逆転させて急速旋回させる機能を持たせるものとする。このクローラのDCギヤードモータには、フルブリッジドライバ、即ち、モータの正転、逆転、ストップ、ブレーキの4モードがコンピュータからの信号によりコントロールできるものを使用する。次に、本発明の作業ロボットは、当該建築物の床下の外部に設置したホストコンピュータと通信する送受信無線回路の機能を設ける。特記すべき構成として、本発明の自走型探査及び作業ロボットは、殺虫剤液のタンクは積載していないということである。回転円盤に、ロボットハンド、CCDカメラ、レーザポインター蛍光灯を搭載し、水平面内に回転して、常に作業をし易くする。クローラは、ゴムローラで緊張され、後部駆動輪により前後に駆動される。障害物乗り越え又は砂地などの走行も容易にしている。左右同方向に駆動することにより前進後退し、左右逆方向に駆動することにより極地的に回転もできる。
【0015】
前記のような自走型探査及び作業ロボットは、更に障害物乗越のためのリフト機構を設ける。該リフト機構は、該ロボットに内蔵する電子回路への衝撃を消すため、また、障害物によって該ロボットの走行が妨げられないようにするものである。
即ち、このリフト機構は、前方に障害物があらわれると、前部の中心部に回転軸を有するア−ムを進行方向面内で上から下に回転させ、その先端に車輪によって該ロボットの前部をリフトさせ、前記先端の車輪によって障害物の頂部を乗り越える機能を有している。更に、これらリフト機構のモ−タについても、正転(リフト)、逆転(格納)停止させる駆動回路を使用し、ポテンショメ−タを有してア−ムの回転角度を検出し、プログラム的に角度の位置制御を行なう。前記ロボットア−ムは全方向回転型ア−ムで、CCDカメラと除塵用ファンは車体に直接取り付けられる。該ロボットア−ムはロボットハンドを有し、該ロボットハンドは水平方向、鉛直方向に向けることができる。特に最近の家の土台は、コンクリ−トの壁で仕切られることが多い。そこには、切欠き部があってその底部の高さは、50[mm]程度である。ここを乗り越えることを主目的としたものがリフト機構である。これにより、衝撃を防ぎ、餌器の脱落、ハ−ドデイスクの損傷を防御する。ロボットハンドは、回転円盤上に設置されていて、左右に回転できる。ハンド自体は、縦平面内で上下する。ハンドの先端には、把握部分で把握する。この部分には、超小型の赤外線センサ−および電磁コイルが組み込まれている。餌器を着脱する。把握部の次の腕部分は、軸内で回転し、餌器を把握し、持ち上げ収納するのに便利な機能となつている。
【0016】
前記ロボットアームは極座標型多軸アームで、そのロボットハンドには左右上下対になった爪部、そのロボットハンドは小型の透過型光センサとソレノイドを有しており、それによって、餌器の把握を確実にして、その設置、回収、立て掛けなどを行って、CCDカメラによるシロアリの在否、食い跡の検査を可能にする。該CCDカメラは、アンテナで常時カラー影像をホストコンピュータに送信し、ディスプレイに表示することにより、走行中の環境の観察、シロアリ道などの害虫移動の跡をインスペクト可能とする。また、このCCDカメラはホスト側コンピュータの指令で、害虫移動の跡、ないしは害虫そのものの静止影像を記録することができる。また、シロアリの近似類のゴキブリ等についても小児まひ等伝染病予防の必要性から、ゴキブリの好む餌を餌器部内の一部に置くことにより、本発明の手段によって防護することも可能となる。CCDカメラを用いて、前方の状況をビデオ画像としてホスト側に送信すると共に、リアルタイムで方向板のあるいは障害物などの画像処理を行って、自立走行のためのデータとする。また、餌器の検査、収納、設置あるいは切欠け孔の通過の際にその状況をホスト側に送信し、また、ホスト側の指示により静止画像を記録する。
【0017】
前記ロボットの照明装置はバッテリ−からの直流をインバ−タにより交流に変えて数本の蛍光灯を点灯している。これにより照明消費電力を白色光電灯の1/10近くにすることができる。蛍光灯はパンタグラフ機構により、上下に移動することができる。白熱灯に比べて電力が非常に小さい。
【0018】
前記アーム、CCDカメラ、照明装置、レーザポインターは、すべて一個の回転できる円板上に装置されていて、適宜必要な方向に向けることができる。レーザポインターは、小型で強力なレーザ光を発射する。このレーザ光を2つのCCDカメラで捕らえて三角測量により対象物の正確な位置測定する。各装置は、上下に回転できる。左右は、円盤で回転する。
【0019】
赤外線反射距離計を用いて、赤外線により、150[mm]程度までの距離の測定ができる。壁に沿って走行するときは、常に壁との距離を測定し、適切な姿勢制御(方向制御)を可能にする。
【0020】
ロボットの後部は、空間を有していて、ここに新しい餌器、古い餌器を格納する。餌器収容台は、新しい餌器を収納して持参し、古い餌器を回収して収納して新しい餌器と交換するために利用する。
【0021】
餌器の餌材となるダンボールには特徴ある色がつけられていて、シロアリ及びシロアリにより食された部分との区別は明確で、検査では明確な影像が送信され、ただちに画像処理されて、被食部分の全体に対する割合が算出される。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を次の実施例により図面を参照して説明する。
[実施例1]
図1は、本発明の探査及び作業ロボット1(以下自走型を省略した略称を使用)の正面図であり、車体本体2は、駆動モ−タ3(図3,図4)により駆動されるクロ−ラ4のシャ−シによって支持され、走行の際の障害物を乗り越えるためのリフト機構5を搭載している。また、該リフト機構5のレバ−は、リフト機構ギヤ−ドモ−タ6およびリフト機構の平歯車7及びリフト機構のシャフト8によって駆動される。更に、内蔵電池によって点灯される蛍光灯9と目的物の方向を照射するレ−ザポインタ10を載置している。かつまた、害虫用餌器を設置収納するロボットハンド11を載設し、害虫の存否、移動の跡等を撮影するためのCCDカメラ12を搭載しているものである。尚、該撮影を鮮明にするための除塵用のファン13を設けてある。
【0023】
図2は、本発明の探査及び作業ロボット1の上面図であり、車体本体2の左右に1対のクローラ4があり、リフト機構5は、前、後部に設けられていることが示されている。また、図2には、直接示されていないが、夫々のリフト機構5には、リフトレバー15が付設される。該リフトレバー15は、車体本体2の外上方から下方に回動することにより、障害物乗り越え機能を有するものである。更にリフト機構ギヤードモータ6は、前後別々に設けられる。車体本体2の上面の前約半分に、回転円盤14が設けられ、その上面にロボットハンド11並びに左右のCCDカメラ12,12′が付設され、目的物が撮影される。図2では、複雑化を避けるため、蛍光灯9の図示は省略している。
【0024】
図3は、本発明の探査及び作業ロボット1の左側面図であり、車体本体2と平行にクローラ4がある。リフト機構5にリフトレバー15が設けられ、前方の障害物に当たったときは、前部のリフトレバー15が車体の外方に回動して、該前部をリフトし、障害物の上に車体を円滑に乗せるように作動する。障害物の上部に車体がさしかかったときは、後部のリフトレバー15′が後上方から後下方に回動し、地面を圧し、その反力により、車体の後部をリフトし、車体に衝撃を与えずに障害物をスムーズに乗り越えさせる作動をするものである。更に目的物と該ロボットとの距離を常に測定するため赤外線距離計16を左右2ヶずつ設けてある。なお、点線で表示してある部分は電磁餌器収納部17である。
【0025】
図4は、本発明の探査及び作業ロボット1の右側面図であるが、表示されている部分は、図3とほぼ対称関係にある。図3で省略してある説明を補足すると、該探査及び作業ロボット1の後上部に、電磁餌器収納部17を設けてあり、前記ロボットハンド11により、餌を入れた餌器を搭載し、磁力により保持して床下の所定の位置に運搬し、設置し、一定期間後持ち帰るという作業を行う。
【0026】
図5は、本発明の探査及び作業ロボット1の後面図であり、各部分は、前記正面図とほぼ対照的であるが、リフト機構5及びギヤードモータ6並に平歯車7は、後部のリフト機構に関するものである。
【0027】
図6は、本発明の自走型探査及び作業ロボットのロボットハンド11の手先部18の詳細斜視図である。該手先部18は、ギヤードモータ20で、鉛直上方、鉛直下方に動かすことができる。その水平運動は回転円盤14により可能である。CCDカメラ12″は、コード19で、ロボットのコンピュータに更に、カラー影像をホスト側モニタに、アンテナ(図示省略)を経由して送信し、作業時の監視が行われる。手先部18のギヤードモータ20に設けられているポテンショメータ21は、ジョイスティックによるコンピュータを経て、その指示目標値に対応して、自身アナログコントロールによる手先部18の鉛直回転とその停止などの角度制御を行う。水平回転は回転円盤14による。電磁石の爪22は、コード23により通電される電磁石24による力を強くし、餌器25(図7(a)、図(b)に表示)の磁着、保持を確実にし、移動させることができる。
【0028】
図7の(a)は、餌器25の上面26の斜視説明図であり、図7の(b)は、該餌器25の下面27の斜視説明図である。該上面は、黄色のプラスチック台28により構成され、茶色の鋼板29が複数枚貼着されている。複数枚の鋼板29のほぼ中央部に緑色のマーク30が設けてある。これらの着色は、ホストコンピュータのカラーディスプレイによって鮮やかに識別し得るためのものである。該餌器25の一辺の端部には、L字型又はコの字型の銅又はステンレスの無磁性金属の棒31を固設してある。前記図6の電磁石24により作動する電磁石の爪22によって鋼板29を磁着し、餌器25の作業ロボット上への搭載、運搬、設置、持ち帰りを可能とするものである。而して、L字型又はコの字型の銅又は真鍮、ステンレス棒は、餌器25を地面にほぼ垂直にするものである。この状態によってシロアリの棲息の有無を調べる。
【0029】
図7の(b)に示す餌器25の下面27は、表面が赤色のダンボール板32により構成される。該ダンボール板32は、シロアリが非常に好んで食するものであり、シロアリが食した部分は、ダンボールのもとの色が出てくるので、シロアリの棲息が明らかに認識され得る。また、1〜2週間、該餌器を床下に設置しておいても、変化のないときは、これをCCDカメラ12により認識し、それを音声信号などに変えてシロアリが不在である旨、音声によりアナウンスさせることができる。
【0030】
図8の(a)は、前記餌器25を該ロボットの上後部に搭載するための餌器支持具33の平面説明図であり、図8の(b)は、該餌器支持具33の側面説明図である。餌器25は、餌器支持片34に挟まれるようにロボットの手先部によって搭載され、さらに、外側に傾斜する前部餌器支持壁35と後部餌器支持壁35′によって安定して保持される。なお、該餌器支持具33の底部は、磁気吸着盤36により電磁気のON,OFFにより、着脱自在に該ロボット上後部に保持運搬されるものである。
【0031】
[実施例2]
図9、図10、図11、図12、図13は、本発明の自走型探査及び作業ロボットの運動のフローチャートを示す図であり、作動上は連続している。
図9において、
(1)Step1では、準備段階として、まず、ロボットを点検し、ロボットへ餌器を搭載し、ホストコンピュータより、作業計画のソフトプログラムファイルをロボットのコンピュータに転送するか、又は作業計画のソフトプログラムファイルの入ったフロッピーディスクをロボットコンピュータにセットする。なお、作業計画のファイルには、走行コース、餌器の位置、作業順序、切欠き位置のデータが記録する。
(2)Step2では、ホスト側で、ロボットの電源スイッチを投入し、換気孔より、ロボットを挿入する。
(3)Step3では、ホスト側で、ロボットの姿勢を修正し、前方に第1の目標マークを確認する。
(4)Step4では、ホスト側で、スタート指令を出し、ロボットが運動を開始する。
【0032】
図10において、
(5)Step5では、ロボットが自立走行し、照明装置による照射で、走行位置を明確にし、CCDカメラを通しての画像処理映像又は、超音波レーダによって障害物の有無を確認する。
(6)Step6では、第1の目標マークへ接近し、超音波又はレーザによって走行距離を測定しながら、位置を調整して停止する。
(7)Step7では、必要に応じて極地旋回を実施する。(主に90[°])
(8)Step8では、餌器が近くにあるかどうか確認する。もしあれば、Step9において、餌器に接近して、停止し、ホスト側に送信する。もしなければ、Step12において、次のコースへ自立走行する。
(9)Step9では、餌器に接近して、停止し、ホスト側に送信する。
【0033】
図11において、
(10)Step10においては、ホスト側でジョイスティック等を操作して餌器の検査、撮影、回収、設置を行う。
(11)Step11においては、ホスト側でロボットの姿勢を修正する。
(12)Step12では、次のコースへ自立走行する。
(13)Step13では、仕切壁に切欠きはあるか否かを確認する。切欠きのあるときは、Step14の方向に動作し、ないときは、Step18の方向に動作する。
(14)Step14では、仕切壁の切欠きの位置を確認してホスト送信する。
【0034】
図12において、
(15)Step15では、ロボットは、切り欠き孔へ向かって、自立制御により、姿勢、位置を修正する。この操作をホスト側で監視する。
(16)Step16では、ロボットは、リフト機構を使って自立制御により、切り欠き孔を乗り越える。この操作をホスト側で監視する。
(17)Step17では、ロボットの姿勢、位置を修正する。
(18)Step18では、次の未調査コースへ自立走行する。
(19)Step19では、全コース終了かどうか判断し、終了であれば、Step20において、ホスト側に送信し、その内容を確認し、終了でなければ、Step18に戻る。
【0035】
図13において、
(20)Step20では、ホスト側に送信し、その内容を確認する。
(21)Step21では、帰還コースをホスト側に確認して必要に応じてコースを修正する。
(22)Step22では、自立走行によって帰還をスタートさせる。
(23)Step23において、帰還する。
(24)Step24では、デジタルカメラよりホスト側メモリにデータを取り込み、そのデータを再検討する。
(25)Step25において、ロボットの運動が終了する。
【0036】
【発明の効果】
1)本発明の自走型探査及び作業ロボットは、従来よりも精密な電子機能と床下の情況を正確に認識し画像処理するCCDカメラと、作業用ハンドを有するアームを有して、害虫用餌器を設置し、シロアリ等害虫の存否を認識し、害虫の存在を確認した場合は殺虫用の餌器に交換し、定期検査をする。これによって、従来よりも充分にシロアリ等害虫を防除することができる。
2)本発明の自走型探査及び作業ロボットは、従来技術の最大の欠点である有毒殺虫剤液の散布をする方法に対応するもので、最近の最重要課題である環境公害の防止に大きく貢献し得る。
3)本発明の自走型探査及び作業ロボットは、障害物乗り越えのためのリフト機構を備えているので、高さ10[cm]程度の障害物でも容易に乗り越えることができる。また、車体の走行距離と回転角を常時検出し、適宜ホストコンピュータによる操縦に切り換えることができるので、平面的には様々な地形への対応が十分可能である。
4)本発明の自走型探査及び作業ロボットは、ホストモニタ装置のジョイスティックと自走型ロボットとの無線による送受信とにより、自走型ロボットの操縦を自動から手動への切換え、餌器の設置、検査、交換の実施、餌の残量の検査によるシロアリ等害虫の存否、餌の残存の量の状況をCCDカメラを用いることによって確認できるので、害虫等の駆除作業を確実に行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】自走型探査及び作業ロボットの実施例を示す正面図。
【図2】自走型探査及び作業ロボットの実施例を示す平面図。
【図3】自走型探査及び作業ロボットの実施例を示す左側面図。
【図4】自走型探査及び作業ロボットの実施例を示す右側面図。
【図5】自走型探査及び作業ロボットの実施例を示す後面図。
【図6】自走型探査及び作業ロボットのロボットハンドの手先部の詳細斜視図。
【図7】自走型探査及び作業ロボットに搭載する餌器の上面の斜視説明図(a)、及び自走型探査及び作業ロボットに搭載する餌器の下面の斜視説明図(b)。
【図8】自走型探査及び作業ロボットに搭載する餌器支持具の平面説明図(a)、及び自走型探査及び作業ロボットに搭載する餌器支持具の側面説明図(b)。
【図9】自走型探査及び作業ロボットの運動のフローチャートを示す図である。
【図10】自走型探査及び作業ロボットの運動のフローチャートを示す図である。
【図11】自走型探査及び作業ロボットの運動のフローチャートを示す図である。
【図12】自走型探査及び作業ロボットの運動のフローチャートを示す図である。
【図13】自走型探査及び作業ロボットの運動のフローチャートを示す図である。
【符号の説明】
1 探査及び作業ロボット
2 車体本体
3 駆動モ−タ
4 クロ−ラ
5 リフト機構
6 リフト機構ギヤ−ドモ−タ
7 リフト機構の平歯車
8 リフト機構のシャフト
9 蛍光灯
10 レ−ザポインタ
11 ロボットハンド
12 CCDカメラ
12’CCDカメラ
12”CCDカメラ
13 ファン
14 回転円盤
15 リフトレバ−
15’リフトレバ−
16 赤外線距離計
17 電磁餌器収納部
18 手先部
19 コ−ド
20 手先部のギヤ−ドモ−タ
21 ポテンショメ−タ
22 電磁石の爪
23 コ−ド
24 電磁石
25 餌器
26 餌器の上面
27 餌器の下面
28 プラスチック台
29 鋼板
30 マ−ク
31 銅又は無磁性金属の棒
32 ダンボ−ル板
33 餌器支持具
34 餌器支持片
35 前部餌器支持壁
35’後部餌器支持壁
36 磁気吸着盤
Claims (5)
- 左右のクローラをDCギヤードモータで駆動する水平旋回式無限軌道機構と、屋外のホスト側制御モニタ装置と通信する送受信無線回路と、自走手段とを有する建築物の床下用害虫防除用自走型ロボットであって、前記自走手段は、走行駆動用モータを有し、前記ホスト側制御モニタ装置は、モニタテレビとコンピュータとデイスプレイとジョイステイックと送受信無線回路とを装備し、前記ロボットは、障害物乗り越えのためのリフト機構と、照明装置と、搭載コンピュータと、現状の情景を撮影して動的な画像をモニタに送信すると共に画像を処理し認識し、それをディスプレイにも表示するCCDカメラと、極座標型アームと、そのロボットハンドとを有し、シロアリの在否を探査し、その際に餌器上の粉塵を除去するためのフアンを搭載し、餌器を設置、検査又は回収し、前記ホスト側制御モニタ装置に送信し、前記餌の状態をホスト側は、餌の減量を自動計測し、餌の影像と減量の割合をデイスプレイに表示すると共に、必要に応じて、ホスト側コンピュータを通し音声により操作者に報告する機能を具備することを特徴とする自走型探査及び作業ロボット。
- 前記走行駆動用モータは、光エンコーダを具備し、そのデータはカウンタに積算され、前記搭載コンピュータは、走行速度、走行距離、極地回転の管理をデジタルコントロールにより行うものである請求項1に記載の自走型探査及び作業ロボット。
- 前記ホスト側制御モニタ装置及びロボットの送受信無線回路は、PHS端末機によるものである請求項1又は2に記載の自走型探査及び作業ロボット。
- 前記ホスト側制御モニタ装置のジョイステイックは、前記自走型ロボットとの送受信により、該自走型ロボットの操縦を自動から手動に切り換えて、餌器部を検査して、シロアリの在否の確認、餌の減量の検出、交換の指示、餌器の交換の類の作業機能を有するものである請求項1ないし3のいずれかに記載の自走型探査及び作業ロボット。
- 前記リフト機構は、該自走型ロボットの前部並びに後部の上下のほぼ中位部の水平軸を回転の中心として進行方向面内に回転する前部並びに後部のアームから成り、該アームの先端に車輪を有し、通常走行中は、該車輪を上方に保持し、該自走型ロボットの前部が障害物、特に、コンクリートの切り欠き孔に当ったときは、自立的に該アームは前記回転の中心を中心として前方又は後方より回動し、該障害物又は地面を上方より圧し、その反力によって該自走型ロボットの前部該障害物の上に押し上げ、該ロボットの車体をして該障害物の上面を連通せしめる通過時には前部アームは前方に保持し、同時に該ロボットの後部のアームが上方より下方に回動して該ロボットの後部をリフトして該ロボット車体をほぼ水平となし前部アームと適宜回動して、衝撃なく該障害物を乗り越えた後、前部後部のアームを再び上方に回動せしめる機能を有するものである請求項1に記載の自走型探査及び作業ロボット。
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