JP3984878B2 - 光量調節装置、該光量調節装置を有する撮像装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光量調節装置、該光量調節装置を有する撮像装置に関し、例えばカメラシステムおよびレンズ鏡筒等における光量調節装置に関するものであり、特に光路中に設けられた光透過特性を調節することが可能な物性素子を高精度に制御する光量調節装置、該光量調節装置を有する撮像装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば特開2000−227618号公報に記載されているように、光透過特性を調節することが可能な物性素子をデジタルカメラ等の絞り装置の代わりに、あるいは絞り装置と組み合わせて使用した例が提案されており、光透過特性を調節できる物性素子としては、エレクトロクロミック素子(以下EC素子)がよく知られている。EC素子は、絶縁被膜層を介して透明被膜電極間に挟まれた酸化発色被膜層と還元発色被膜層とから成っており、透明被膜電極間に印加する駆動電圧に応じて各発色被膜層が着色(駆動電圧が高いほど着色が強い)されて光透過特性が変化する構成となっているが、駆動電圧に対するEC素子の着色強度や応答速度は周辺の温度や経時等によって変化してしまう。そのため、例えば特許第2891361号公報に記載されているように、検温センサでの周辺温度の検出結果に応じて駆動電圧を制御したEC素子を用いた表示素子等が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来例では、検温センサと一般的にガラス基板に挟まれた位置に形成されている各発色被膜層との間の温度差(特に温度変化の過渡期における熱伝達率の差による)に起因する制御誤差が発生してしまうとともに、経時による各発色被膜層の特性の変化については、補正することができないという問題点があった。
【0004】
そこで、本発明は、光透過特性の制御を高精度に行なうことが可能な光量調節装置、該光量調節装置を有する撮像装置を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、つぎの(1)〜(4)のように構成した光量調節装置、該光量調節装置を有する撮像装置を提供するものである。
(1)撮像素子を有するカメラ本体に装着されたレンズ本体に設けられ、光透過状態を調節することが可能な物性素子を用いた光量調節装置であって、
前記物性素子は、有効光束内に設けられた第1の物性素子領域と、有効光束外に設けられ、周辺の温度や経時に対する特性変化の割合が該第1の物性素子領域とほぼ同等である第2の物性素子領域とを有し、
前記第1の物性素子領域および前記第2の物性素子領域に電圧を印加して該第1の物性素子領域および該第2の物性素子領域の光透過率を変化させる駆動手段と、
前記第2の物性素子領域の光透過状態を検出する検出手段と、
前記第1の物性素子領域における駆動電圧に対する領域内平均光透過率特性および駆動電圧印加時間に対する領域内平均光透過率特性と、前記第2の物性素子領域における駆動電圧に対する領域内平均光透過率特性および駆動電圧印加時間に対する領域内平均光透過率特性とを記憶した記憶手段と、
前記第1の物性素子領域および前記第2の物性素子領域に対する前記駆動手段の電圧印加を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、つぎの(a)から(e)の制御内容に基づいて前記制御をすることを特徴とする光量調節装置。
(a)前記撮像素子から現在の撮影光束の輝度情報を読み出し、現在の前記第1の物性素子領域の光透過率と前記撮影光束の輝度情報とから適正露出となる前記第1の物性素子領域の光透過率の目標値τ1を求め、前記記憶手段に記憶されている前記第1の物性素子領域における駆動電圧に対する領域内平均光透過率特性から、領域内平均光透過率が目標光透過率τ1となる駆動電圧V1を決定する。
(b)前記目標光透過率τ1に基づいて、前記第2の物性素子領域の制御目標透過率τ2を設定し、前記記憶手段に記憶されている前記第2の物性素子領域における駆動電圧に対する光透過率特性から制御目標光透過率τ2となる前記第2の物性素子領域の駆動電圧に基づいて、駆動電圧V2を決定する。
(c)前記第2の物性素子領域に駆動電圧V2を印加し、光透過状態を検出する前記検出手段の出力から前記第2の物性素子領域の現在の光透過率τを計算し、光透過率τが制御目標光透過率τ2に到達したとき、電圧の印加を停止すると共に、前記駆動電圧V2印加の経過時間T1を計測し記憶する。
(d)前記記憶手段に記憶されている前記第2の物性素子領域における駆動電圧印加時間に対する領域内平均光透過率特性において、前記第2の物性素子領域の光透過率が駆動電圧V2において制御目標光透過率τ2に到達までの到達時間T4を求め、さらに、前記記憶手段に記憶されている前記第1の物性素子領域における駆動電圧印加時間に対する領域内平均光透過率特性において、駆動電圧V1で前記第1の物性素子領域の領域内平均光透過率が目標光透過率τ1に到達する時間T3を求め、光透過率τ2に達した前記第2の物性素子領域の応答時間に対する光透過率τ1に達する前記第1の物性素子領域の応答遅延時間として、T2=T3(T1/T4)−T1を決定する。
(e)その上で、前記第1の物性素子領域に駆動電圧V1を印加し、経過時間がT1+T2に達したら、電圧の印加を停止し、前記第1の物性素子領域の光透過率の設定を終了する。
(2)撮像素子を有するカメラ本体に装着されたレンズ本体に設けられ、光透過状態を調節することが可能な物性素子を用いた光量調節装置であって、
前記物性素子は、有効光束内に設けられた第1の物性素子領域と、有効光束外に設けられ、周辺の温度や経時に対する特性変化の割合が該第1の物性素子領域とほぼ同等である第2の物性素子領域とを有し、
前記第1の物性素子領域および前記第2の物性素子領域に電圧を印加して該第1の物性素子領域および該第2の物性素子領域の光透過率を変化させる駆動手段と、
前記第2の物性素子領域の光透過状態を検出する検出手段と、
前記第1の物性素子領域における駆動電圧に対する領域内平均光透過率特性および駆動電圧印加時間に対する領域内平均光透過率特性と、前記第2の物性素子領域における駆動電圧に対する領域内平均光透過率特性および駆動電圧印加時間に対する領域内平均光透過率特性とを記憶した記憶手段と、
前記第1の物性素子領域および前記第2の物性素子領域に対する前記駆動手段の電圧印加を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、つぎの(a)から(d)の制御内容に基づいて前記制御をすることを特徴とする光量調節装置。
(a)前記撮像素子から現在の撮影光束の輝度情報を読み出し、現在の前記第1の物性素子領域の光透過率と前記撮影光束の輝度情報とから適正露出となる前記第1の物性素子領域の光透過率の目標値τ1を求め、目標値τ1に基づいて前記第2の物性素子領域の制御目標透過率τ2を決定する。
(b)前記第2の物性素子領域の駆動動作を開始し、前記第2の物性素子領域に前記記憶手段に記憶されている前記第2の物性素子領域における駆動電圧に対する光透過率特性から制御目標光透過率τ2となる前記第2の物性素子領域の駆動電圧よりも低い駆動電圧V2を印加し、光透過状態を検出する前記検出手段の出力から前記第2の物性素子領域の現在の光透過率τを計算し、光透過率τが制御目標光透過率τ2に到達したとき、電圧の印加を停止すると共に、駆動電圧V2の値を記憶する。
(c)前記記憶手段に記憶されている前記第2の物性素子領域における駆動電圧に対する領域内平均光透過率特性において、前記第2の物性素子領域の光透過率が制御目標光透過率τ2となる駆動電圧V4を求め、さらに、前記記憶手段に記憶されている前記第1の物性素子領域における駆動電圧に対する領域内平均光透過率特性において、前記第1の物性素子領域の領域内平均光透過率が目標光透過率τ1となる駆動電圧V5を求め、これらの値と前記記憶された駆動電圧V2とから、目標光透過率τ1となる前記第1の物性素子領域の駆動電圧として、V1=V5(V2/V4)を決定する。
(d)その上で、前記第1の物性素子領域に駆動電圧V1を、前記第1の物性素子領域の領域内平均光透過率が目標光透過率τ1に到達する時間以上の時間、印加した後、電圧の印加を停止し、前記第1の物性素子領域の光透過率の設定を終了する。
(3)撮像素子を有するカメラ本体に装着されたレンズ本体に設けられ、光透過状態を調節することが可能な物性素子を用いた光量調節装置であって、
前記物性素子は、有効光束内に設けられた第1の物性素子領域と、有効光束外に設けられ、周辺の温度や経時に対する特性変化の割合が該第1の物性素子領域とほぼ同等である第2の物性素子領域とを有し、
前記第1の物性素子領域および前記第2の物性素子領域に電圧を印加して該第1の物性素子領域および該第2の物性素子領域の光透過率を変化させる駆動手段と、
前記第2の物性素子領域の光透過状態を検出する検出手段と、
前記第1の物性素子領域における駆動電圧に対する領域内平均光透過率特性および駆動電圧印加時間に対する領域内平均光透過率特性と、前記第2の物性素子領域における駆動電圧に対する領域内平均光透過率特性および駆動電圧印加時間に対する領域内平均光透過率特性とを記憶した記憶手段と、
前記第1の物性素子領域および前記第2の物性素子領域に対する前記駆動手段の電圧印加を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、つぎの(a)から(e)の制御内容に基づいて前記制御をすることを特徴とする光量調節装置。
(a)前記撮像素子から現在の撮影光束の輝度情報を読み出し、現在の前記第1の物性素子領域の光透過率と前記撮影光束の輝度情報とから適正露出となる前記第1の物性素子領域の光透過率の目標値τ1を求め、目標値τ1に基づいて前記第2の物性素子領域の制御目標透過率τ2を決定する。
(b)前記第2の物性素子領域の駆動動作を開始し、前記第2の物性素子領域に前記記憶手段に記憶されている前記第2の物性素子領域における駆動電圧に対する光透過率特性から制御目標光透過率τ2となる該第2の物性素子領域の駆動電圧よりも高い駆動電圧V2を所定時間T3だけ印加して前記第2の物性素子領域の駆動動作を終了し、光透過状態を検出する前記検出手段の出力から前記第2の物性素子領域の現在の光透過率τを計算し、τ3として記憶する。
(c)前記所定時間T3の駆動電圧V2印加で到達した前記第2の物性素子領域の光透過率τ3の値と、前記記憶手段に記憶されている前記第2の物性素子領域における駆動電圧印加時間に対する領域内平均光透過率特性における前記第2の物性素子領域の光透過率が駆動電圧V2で制御目標光透過率τ2に到達までの時間T4および光透過率τ3に到達までの時間T5とから、光透過率τ2に達する前記第2の物性素子領域の応答時間の予測値として、T1=T3(T4/T5)を求め、前記記憶手段に記憶されている前記第1の物性素子領域における駆動電圧に対する領域内平均光透過率特性において、領域内平均光透過率と目標光透過率τ1とが一致する前記第1の物性素子領域の駆動電圧に基づいて、駆動電圧V1を決定する。
(d)前記記憶手段に記憶されている前記第1の物性素子領域における駆動電圧印加時間に対する領域内平均光透過率特性において、駆動電圧V1で前記第1の物性素子領域の領域内平均光透過率が目標光透過率τ1に到達する時間T6を求め、光透過率τ2に達した前記第2の物性素子領域の応答時間に対する光透過率τ1に達する前記第1の物性素子領域の応答遅延時間として、T2=T6(T1/T4)−T1=T6(T3/T5)を決定する。
(e)その上で、前記第1の物性素子領域に駆動電圧V1を印加し、経過時間がT1+T2に達したら、電圧の印加を停止し、前記第1の物性素子領域の光透過率の設定を終了する。
(4)前記(1)乃至(3)のいずれかに記載の光量調節装置を有するレンズ本体と、
前記光量調節装置からの光束を撮像する撮像素子を有するカメラ本体とを有することを特徴とする撮像装置。
【0006】
【発明の実施の形態】
上記構成を適用することにより、有効光束内の第1物性領域の光透過特性を調節する際に、所定動作で駆動して実際に検出した第2物性領域の光透過特性の駆動結果に基づいて、第1物性領域の駆動を制御することができ、撮影光束領域の光透過特性の制御を高精度に行なうことが可能な光量調節装置を有する撮像装置を実現することができる。
【0007】
つぎに、本発明の実施形態を説明する前に、それらに用いられるカメラシステムの概略を、図1に示すブロック図を用いて説明する。
図1において、1はカメラ本体、2はレンズ本体をそれぞれ表わす。
まず、レンズ本体2の構成を説明する。3は撮影光学系としての撮影レンズ、4は光透過特性を調節することが可能な物性素子としてのEC素子であって、EC素子4には、撮影光束領域の第1EC領域5としての発色被膜層と、撮影光束外領域の第2EC領域6としての発色被膜層とが、例えば同一組成で同一の2枚のガラス基板間で密閉された位置に形成されることで、周辺の温度や経時等に対する特性変化の割合がほぼ同等となるように設けられている。ここでは、各発色被膜層をそれぞれ独立して設けることが望ましく、その場合には、第2EC領域6を第1EC領域5よりも小さい面積の発色被膜層で形成することが望ましい。
【0008】
7はレンズ本体2に関する全ての制御を司るレンズマイコン、8はレンズマイコン7との通信によってレンズに関する各種履歴及びデータ、特に製造時に測定した第1EC領域5における駆動電圧−領域内平均光透過率特性と駆動電圧印加時間−領域内平均光透過率特性、および後述の第2EC領域6の光透過率検出位置(以下、第2EC領域6)における駆動電圧−光透過率特性と駆動電圧印加時間−光透過率特性を記憶させるための電気的消去可能記憶素子EEPROM、である。また、9はレンズマイコン7から第1EC領域5に(第1EC領域5と第2EC領域6とを独立して設けない場合には第2EC領域6にも)駆動電力を与えるための第1ドライバ回路、10は第1EC領域5と第2EC領域6とを独立して設けた場合にのみ設けられるレンズマイコン7から第2のEC領域6に駆動電力を与えるための第2ドライバ回路で、11は第1ドライバ回路9(あるいは第2ドライバ回路10)からの電力供給によって駆動された第2EC領域6の光透過率を検出するためのフォトインタラプタ、12はレンズマイコン7がカメラ本体1との通信を行なうための接点を有するレンズ接点ユニットである。
【0009】
次にカメラ本体1の構成を説明する。13はカメラ本体1に関する全ての制御を司るカメラマイコン、14はカメラマイコン13からの命令によって撮影記録用、合焦状態検出用、被写体輝度検出用に撮影レンズ3および第1のEC領域5を通過した撮影光束の状態を検出するための撮像素子、15はカメラマイコン13がレンズ本体2と通信を行なうための接点を有するカメラ接点ユニットであり、カメラ本体1にレンズ本体2を装着した場合、レンズ接点ユニット12とカメラ接点ユニット15とが電気的に接触する構成となっている。
【0010】
[第1実施形態]
図2は本発明の第1実施形態のフローチャートであり、同図を用いて第1実施形態の制御の説明を行なう。ステップ101において、カメラ本体1は外部より被写体の輝度に対応した適正な撮影露出となる第1EC領域5の光透過率の設定を命令されると、ステップ102において、カメラマイコン13は撮像素子14から現在の撮影光束の輝度情報を読み出し、現在の第1EC領域の光透過率と撮影光束の輝度情報とから適正露出となる第1EC領域5の光透過率の目標値τ1を計算する。ステップ103において、カメラマイコン13は算出した目標光透過率τ1をレンズマイコン7に送信し、ステップ104において、レンズマイコン7はEEPROM8に記憶されている第1EC領域5における駆動電圧−領域内平均光透過率特性から、領域内平均光透過率と送信されてきた目標光透過率τ1とが一致する第1EC領域の駆動電圧よりも高い値を、駆動電圧V1として決定する。
【0011】
ステップ105において、レンズマイコン7はあらかじめ定めておいた係数に従って、目標光透過率τ1よりも高い値を第2EC領域6の制御目標透過率τ2として決定する。ステップ106において、レンズマイコン7はEEPROM8に記憶されている第2EC領域6の駆動電圧−光透過率特性から制御目標光透過率τ2となる第2EC領域6の駆動電圧よりも高い値を、駆動電圧V2として決定する。ステップ107において、レンズマイコン7は第2EC領域6の駆動動作を開始し、ドライバ回路10(第1EC領域5と第2EC領域6とを独立して設けていない場合にはドライバ回路9)を介して第2EC領域6に(第1EC領域5と第2EC領域6とを独立して設けていない場合には第1EC領域5にも)駆動電圧V2を印加する。
【0012】
ステップ108において、レンズマイコン7は内部タイマをスタートさせ、ステップ109において、レンズマイコン7はフォトインタラプタ11の出力Eを受信し、ステップ110において、レンズマイコン7は受信した出力Eから第2EC領域6の現在の光透過率τを計算する。ステップ111において、レンズマイコン7は現在の光透過率τを制御目標光透過率τ2と比較し、大きい場合はステップ109へ進み、小さい場合はステップ112へ進む。ステップ112において、レンズマイコン7は第2EC領域6の駆動動作を終了し、第2EC領域6(第1EC領域5と第2EC領域6とを独立して設けていない場合には第1EC領域5も)への電圧の印加を停止してステップ113へ進む。
【0013】
ステップ113において、レンズマイコン7はステップ108でスタートさせた内部タイマの経過時間T1を確認して記憶し、ステップ114において、レンズマイコン7は内部タイマをリセットする。ステップ115において、レンズマイコン7はEEPROM8に記憶されている第2EC領域6における駆動電圧印加時間−領域内平均光透過率特性において、第2EC領域6の光透過率が駆動電圧V2において制御目標光透過率τ2に到達までの到達時間T4を求める。さらに、EEPROM8に記憶されている第1EC領域5における駆動電圧印加時間−領域内平均光透過率特性において、駆動電圧V1で第1EC領域5の領域内平均光透過率が目標光透過率τ1に到達する時間T3を求め、今回の光透過率τ2に達した第2EC領域6の応答時間に対する光透過率τ1に達する第1EC領域5の応答遅延時間として、T2=T3(T1/T4)−T1を決定する。
【0014】
ステップ116において、レンズマイコン7は第1EC領域5の駆動動作を開始し、ドライバ回路9を介して第1EC領域5に(第1EC領域5と第2EC領域6とを独立して設けていない場合には第2EC領域6にも)駆動電圧V1を印加する。ステップ117において、レンズマイコン7は再び内部タイマをスタートさせ、ステップ118において、レンズマイコン7は内部タイマの経過時間がT1+T2(第1EC領域5と第2EC領域6とを独立して設けていない場合にはT2)に達したかどうかを常に監視し、達した時点でステップ119へ進み、ステップ119において、レンズマイコン7は第1EC領域5の駆動動作を終了し、第1EC領域5(第1EC領域5と第2EC領域6とを独立して設けていない場合には第2EC領域6も)への電圧の印加を停止してステップ120へ進む。ステップ120において、レンズマイコン7は第1EC領域5の光透過率の設定終了をカメラマイコン13に送信して動作を終了させる。
【0015】
上記本発明の第1実施形態のカメラシステムによれば、撮影光束領域の第1EC領域5の光透過率を調節するに際して、実際の光透過率を検出することが可能であって、第1EC領域5と周辺の温度や経時等に対する特性変化の割合がほぼ同等な撮影光束外領域の第2EC領域6を所定電圧印加で駆動した際の所定光透過率への到達時間から、第1EC領域を所定電圧印加で駆動した際の目標光透過率への到達時間を推定して制御することで、検温センサ使用時と比較して制御誤差を小さくできるとともに、経時等による特性変化も補正することが可能となり、第1EC領域5の光透過率を高精度に調節することができる。
【0016】
[第2実施形態]
図3は本発明の第2実施形態のフローチャートであり、同図を用いて第2実施形態の制御の説明を行なう。ステップ201において、カメラ本体1は外部より被写体の輝度に対応した適正な撮影露出となる第1EC領域5の光透過率の設定を命令されると、ステップ202において、カメラマイコン13は撮像素子14から現在の撮影光束の輝度情報を読み出し、現在の第1EC領域の光透過率と撮影光束の輝度情報とから適正露出となる第1EC領域5の光透過率の目標値τ1を計算する。ステップ203において、カメラマイコン13は算出した目標光透過率τ1をレンズマイコン7に送信し、ステップ204において、レンズマイコン7はあらかじめ定めておいた係数に従って、目標光透過率τ1よりも高い値を第2EC領域6の制御目標透過率τ2として決定する。ステップ205において、レンズマイコン7は第2EC領域6の駆動動作を開始し、ドライバ回路10(第1EC領域5と第2EC領域6とを独立して設けていない場合にはドライバ回路9)を介して第2EC領域6に(第1EC領域5と第2EC領域6とを独立して設けていない場合には第1EC領域5にも)、EEPROM8に記憶されている第2EC領域6の駆動電圧−光透過率特性から制御目標光透過率τ2となる第2EC領域6の駆動電圧よりも低い駆動電圧V2を印加する。ステップ206において、レンズマイコン7はフォトインタラプタ11の出力Eを受信し、ステップ207において、レンズマイコン7は受信した出力Eから第2EC領域6の現在の光透過率τを計算する。
【0017】
ステップ208において、レンズマイコン7は現在の光透過率τを制御目標光透過率τ2と比較し、大きい場合はステップ209へ進み、小さい場合はステップ210へ進む。ステップ209において、レンズマイコン7は第2EC領域6への印加電圧V2を、現在の電圧V2に電圧V3を加算した値へと変更する。ステップ210において、レンズマイコン7は現在の印加電圧V2の値を記憶するとともに第2EC領域6の駆動動作を終了し、第2EC領域6(第1EC領域5と第2EC領域6とを独立して設けていない場合には第1EC領域5も)への電圧の印加を停止してステップ211へ進む。
【0018】
ステップ211において、レンズマイコン7はEEPROM8に記憶されている第2EC領域6における駆動電圧−領域内平均光透過率特性において、第2EC領域6の光透過率が制御目標光透過率τ2となる駆動電圧V4を求める。さらに、EEPROM8に記憶されている第1EC領域5における駆動電圧−領域内平均光透過率特性において、第1EC領域5の領域内平均光透過率が目標光透過率τ1となる駆動電圧V5を求め、これらの値とステップ210で記憶した印加電圧V2とから、今回の目標光透過率τ1となる第1EC領域5の駆動電圧として、V1=V5(V2/V4)を決定する。ステップ212において、レンズマイコン7は第1EC領域5の駆動動作を開始し、ドライバ回路9を介して第1EC領域5に(第1EC領域5と第2EC領域6とを独立して設けていない場合には第2EC領域6にも)駆動電圧V1を、EEPROM8に記憶されている第1EC領域5における駆動電圧印加時間−領域内平均光透過率特性において、駆動電圧V1で第1EC領域5の領域内平均光透過率が目標光透過率τ1に到達する時間よりも長い所定時間印加する。
【0019】
ステップ213において、レンズマイコン7は第1EC領域5の駆動動作を終了し、第1EC領域5(第1EC領域5と第2EC領域6とを独立して設けていない場合には第2EC領域6も)への電圧の印加を停止してステップ214へ進む。ステップ214において、レンズマイコン7は第1EC領域5の光透過率の設定終了をカメラマイコン13に送信して動作を終了させる。
【0020】
上記本発明の第2実施形態のカメラシステムによれば、撮影光束領域の第1EC領域5の光透過率を調節するに際して、実際の光透過率を検出することが可能であって、第1EC領域5と周辺の温度や経時に対する特性変化の割合がほぼ同等な撮影光束外領域の第2EC領域6を所定光透過率まで駆動した際に必要とした印加電圧から、目標光透過率に駆動する際の第1EC領域への印加電圧を決定して制御することで、検温センサ使用時と比較して制御誤差を小さくできるとともに、経時等による特性変化も補正することが可能となり、第1EC領域5の光透過率を高精度に調節することができる。
【0021】
[第3実施形態]
図4は本発明の第3実施形態のフローチャートであり、同図を用いて第3実施形態の制御の説明を行なう。ステップ301において、カメラ本体1は外部より被写体の輝度に対応した適正な撮影露出となる第1EC領域5の光透過率の設定を命令されると、ステップ302において、カメラマイコン13は撮像素子14から現在の撮影光束の輝度情報を読み出し、現在の第1EC領域の光透過率と撮影光束の輝度情報とから適正露出となる第1EC領域5の光透過率の目標値τ1を計算する。ステップ303において、カメラマイコン13は算出した目標光透過率τ1をレンズマイコン7に送信し、ステップ304において、レンズマイコン7はあらかじめ定めておいた係数に従って、目標光透過率τ1よりも高い値を第2EC領域6の制御目標透過率τ2として決定する。
【0022】
ステップ305において、レンズマイコン7は第2EC領域6の駆動動作を開始し、ドライバ回路10(第1EC領域5と第2EC領域6とを独立して設けていない場合にはドライバ回路9)を介して第2EC領域6に(第1EC領域5と第2EC領域6とを独立して設けていない場合には第1EC領域5にも)、EEPROM8に記憶されている第2EC領域6の駆動電圧−光透過率特性から制御目標光透過率τ2となる第2EC領域6の駆動電圧よりも高い駆動電圧V2を所定時間T3だけ印加する。ステップ306において、レンズマイコン7は第2EC領域6の駆動動作を終了し、第2EC領域6(第1EC領域5と第2EC領域6とを独立して設けていない場合には第1EC領域5も)への電圧の印加を停止してステップ307へ進む。ステップ307において、レンズマイコン7はフォトインタラプタ11の出力Eを受信し、ステップ308において、レンズマイコン7は受信した出力Eから第2EC領域6の現在の光透過率τを計算し、τ3として記憶する。
【0023】
ステップ309において、レンズマイコン7は所定時間T3の駆動電圧V2印加で到達した第2EC領域6の光透過率τ3の値と、EEPROM8に記憶されている第2EC領域6における駆動電圧印加時間−領域内平均光透過率特性における第2EC領域6の光透過率が駆動電圧V2で制御目標光透過率τ2に到達までの時間T4および光透過率τ3に到達までの時間T5とから、今回の光透過率τ2に達する第2EC領域6の応答時間の予測値として、T1=T3(T4/T5)を求める。ステップ310において、レンズマイコン7はEEPROM8に記憶されている第1EC領域5における駆動電圧−領域内平均光透過率特性において、領域内平均光透過率とステップ303で送信されてきた目標光透過率τ1とが一致する第1EC領域の駆動電圧よりも高い値を、駆動電圧V1として決定する。
【0024】
ステップ311において、レンズマイコン7はEEPROM8に記憶されている第1EC領域5における駆動電圧印加時間−領域内平均光透過率特性において、駆動電圧V1で第1EC領域5の領域内平均光透過率が目標光透過率τ1に到達する時間T6を求め、今回の光透過率τ2に達した第2EC領域6の応答時間に対する光透過率τ1に達する第1EC領域5の応答遅延時間として、T2=T6(T1/T4)−T1=T6(T3/T5)を決定する。ステップ312において、レンズマイコン7は第1EC領域5の駆動動作を開始し、ドライバ回路9を介して第1EC領域5に(第1EC領域5と第2EC領域6とを独立して設けていない場合には第2EC領域6にも)駆動電圧V1を印加する。
【0025】
ステップ313において、レンズマイコン7は内部タイマをスタートさせ、ステップ314において、レンズマイコン7は内部タイマの経過時間がT1+T2(第1EC領域5と第2EC領域6とを独立して設けていない場合にはT2)に達したかどうかを常に監視し、達した時点でステップ315へ進み、ステップ315において、レンズマイコン7は第1EC領域5の駆動動作を終了し、第1EC領域5(第1EC領域5と第2EC領域6とを独立して設けていない場合には第2EC領域6も)への電圧の印加を停止してステップ316へ進む。ステップ316において、レンズマイコン7は第1EC領域5の光透過率の設定終了をカメラマイコン13に送信して動作を終了させる。
【0026】
上記本発明の第3実施形態のカメラシステムによれば、撮影光束領域の第1EC領域5の光透過率を調節するに際して、実際の光透過率を検出することが可能であって、第1EC領域5と周辺の温度や経時に対する特性変化の割合がほぼ同等な撮影光束外領域の第2EC領域6を所定時間の所定電圧印加で駆動した際に到達した光透過率から、第1EC領域を所定電圧印加で駆動した際の目標光透過率への到達時間を決定して制御することで、検温センサ使用時と比較して制御誤差を小さくできるとともに、経時等による特性変化も補正することが可能となり、第1EC領域5の光透過率を高精度に調節することができる。
【0027】
また、上記本発明の第1乃至第3の各実施形態において、撮影光束領域の第1EC領域5と実際に光透過率を検出する撮影光束外領域の第2EC領域6とをそれぞれ独立して設けることで、独立して設けない場合に必要とされる領域全体の面積と比較して、それぞれの領域の面積を小さくして電圧を印加する電極からの距離を短くすることができ、それぞれの領域の応答速度を上げることができる。この場合、第2EC領域6の面積を第1EC領域の面積よりも小さくすることで、同一面積で設けた場合と比較して装置を小型化することができる。さらに、第1EC領域5と第2EC領域6の駆動手段として、第1ドライバ回路9と第2ドライバ回路10とをそれぞれ独立して設けることで、第1EC領域5の光透過率の調節に必要とされる印加電圧あるいは電圧印加時間と比較して、第2EC領域に印加する電圧を低く、あるいは電圧の印加時間を短くすることができ、第2EC領域6での消費電力を小さくすることができる。
【0028】
なお、上記各実施形態では、単一のEC素子内に撮影光束領域の第1EC領域5と撮影光束外領域の第2EC領域6とを設けた例を説明しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、周辺温度や環境に対する条件がほぼ同等となる複数のEC素子にまたがってそれぞれの領域を必要に応じて複数設けることも可能である。また、第2EC領域6の駆動のタイミングを、カメラ本体1からの光透過率目標値の送信時とした例を説明しているが、システムの主電源投入時や所定間隔での繰り返し動作等であっても実用上問題はない。さらに、EC素子をカメラシステムの絞り装置の代わりに用いた例を説明しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、絞り装置と組み合わせて使用したカメラシステムや、光透過特性を調節することが可能な他の物性素子を用いた他の機器にも適用することが可能である。
【0029】
【発明の効果】
本発明によれば、光透過特性の制御を高精度に行なうことが可能な光量調節装置、該光量調節装置を有する撮像装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に用いられるカメラシステムの概略を説明するためのブロック図。
【図2】本実施の第1実施形態のカメラシステムのフローチャートを示す図。
【図3】本実施の第2実施形態のカメラシステムのフローチャートを示す図。
【図4】本実施の第3実施形態のカメラシステムのフローチャートを示す図。
【符号の説明】
1:カメラ本体
2:レンズ本体
3:撮影レンズ
4:EC素子
5:第1のEC領域
6:第2のEC領域
7:レンズマイコン
8:EEPROM
9:第1ドライバ回路
10:第2ドライバ回路
11:フォトインタラプタ
12:レンズ接点ユニット
13:カメラマイコン
14:撮像素子
15:カメラ接点ユニット
Claims (4)
- 撮像素子を有するカメラ本体に装着されたレンズ本体に設けられ、光透過状態を調節することが可能な物性素子を用いた光量調節装置であって、
前記物性素子は、有効光束内に設けられた第1の物性素子領域と、有効光束外に設けられ、周辺の温度や経時に対する特性変化の割合が該第1の物性素子領域とほぼ同等である第2の物性素子領域とを有し、
前記第1の物性素子領域および前記第2の物性素子領域に電圧を印加して該第1の物性素子領域および該第2の物性素子領域の光透過率を変化させる駆動手段と、
前記第2の物性素子領域の光透過状態を検出する検出手段と、
前記第1の物性素子領域における駆動電圧に対する領域内平均光透過率特性および駆動電圧印加時間に対する領域内平均光透過率特性と、前記第2の物性素子領域における駆動電圧に対する領域内平均光透過率特性および駆動電圧印加時間に対する領域内平均光透過率特性とを記憶した記憶手段と、
前記第1の物性素子領域および前記第2の物性素子領域に対する前記駆動手段の電圧印加を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、つぎの(a)から(e)の制御内容に基づいて前記制御をすることを特徴とする光量調節装置。
(a)前記撮像素子から現在の撮影光束の輝度情報を読み出し、現在の前記第1の物性素子領域の光透過率と前記撮影光束の輝度情報とから適正露出となる前記第1の物性素子領域の光透過率の目標値τ1を求め、前記記憶手段に記憶されている前記第1の物性素子領域における駆動電圧に対する領域内平均光透過率特性から、領域内平均光透過率が目標光透過率τ1となる駆動電圧V1を決定する。
(b)前記目標光透過率τ1に基づいて、前記第2の物性素子領域の制御目標透過率τ2を設定し、前記記憶手段に記憶されている前記第2の物性素子領域における駆動電圧に対する光透過率特性から制御目標光透過率τ2となる前記第2の物性素子領域の駆動電圧に基づいて、駆動電圧V2を決定する。
(c)前記第2の物性素子領域に駆動電圧V2を印加し、光透過状態を検出する前記検出手段の出力から前記第2の物性素子領域の現在の光透過率τを計算し、光透過率τが制御目標光透過率τ2に到達したとき、電圧の印加を停止すると共に、前記駆動電圧V2印加の経過時間T1を計測し記憶する。
(d)前記記憶手段に記憶されている前記第2の物性素子領域における駆動電圧印加時間に対する領域内平均光透過率特性において、前記第2の物性素子領域の光透過率が駆動電圧V2において制御目標光透過率τ2に到達までの到達時間T4を求め、さらに、前記記憶手段に記憶されている前記第1の物性素子領域における駆動電圧印加時間に対する領域内平均光透過率特性において、駆動電圧V1で前記第1の物性素子領域の領域内平均光透過率が目標光透過率τ1に到達する時間T3を求め、光透過率τ2に達した前記第2の物性素子領域の応答時間に対する光透過率τ1に達する前記第1の物性素子領域の応答遅延時間として、T2=T3(T1/T4)−T1を決定する。
(e)その上で、前記第1の物性素子領域に駆動電圧V1を印加し、経過時間がT1+T2に達したら、電圧の印加を停止し、前記第1の物性素子領域の光透過率の設定を終了する。 - 撮像素子を有するカメラ本体に装着されたレンズ本体に設けられ、光透過状態を調節することが可能な物性素子を用いた光量調節装置であって、
前記物性素子は、有効光束内に設けられた第1の物性素子領域と、有効光束外に設けられ、周辺の温度や経時に対する特性変化の割合が該第1の物性素子領域とほぼ同等である第2の物性素子領域とを有し、
前記第1の物性素子領域および前記第2の物性素子領域に電圧を印加して該第1の物性素子領域および該第2の物性素子領域の光透過率を変化させる駆動手段と、
前記第2の物性素子領域の光透過状態を検出する検出手段と、
前記第1の物性素子領域における駆動電圧に対する領域内平均光透過率特性および駆動電圧印加時間に対する領域内平均光透過率特性と、前記第2の物性素子領域における駆動電圧に対する領域内平均光透過率特性および駆動電圧印加時間に対する領域内平均光透過率特性とを記憶した記憶手段と、
前記第1の物性素子領域および前記第2の物性素子領域に対する前記駆動手段の電圧印加を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、つぎの(a)から(d)の制御内容に基づいて前記制御をすることを特徴とする光量調節装置。
(a)前記撮像素子から現在の撮影光束の輝度情報を読み出し、現在の前記第1の物性素子領域の光透過率と前記撮影光束の輝度情報とから適正露出となる前記第1の物性素子領域の光透過率の目標値τ1を求め、目標値τ1に基づいて前記第2の物性素子領域の制御目標透過率τ2を決定する。
(b)前記第2の物性素子領域の駆動動作を開始し、前記第2の物性素子領域に前記記憶手段に記憶されている前記第2の物性素子領域における駆動電圧に対する光透過率特性から制御目標光透過率τ2となる前記第2の物性素子領域の駆動電圧よりも低い駆動電圧V2を印加し、光透過状態を検出する前記検出手段の出力から前記第2の物性素子領域の現在の光透過率τを計算し、光透過率τが制御目標光透過率τ2に到達したとき、電圧の印加を停止すると共に、駆動電圧V2の値を記憶する。
(c)前記記憶手段に記憶されている前記第2の物性素子領域における駆動電圧に対する領域内平均光透過率特性において、前記第2の物性素子領域の光透過率が制御目標光透過率τ2となる駆動電圧V4を求め、さらに、前記記憶手段に記憶されている前記第1の物性素子領域における駆動電圧に対する領域内平均光透過率特性において、前記第1の物性素子領域の領域内平均光透過率が目標光透過率τ1となる駆動電圧V5を求め、これらの値と前記記憶された駆動電圧V2とから、目標光透過率τ1となる前記第1の物性素子領域の駆動電圧として、V1=V5(V2/V4)を決定する。
(d)その上で、前記第1の物性素子領域に駆動電圧V1を、前記第1の物性素子領域の領域内平均光透過率が目標光透過率τ1に到達する時間以上の時間、印加した後、電圧の印加を停止し、前記第1の物性素子領域の光透過率の設定を終了する。 - 撮像素子を有するカメラ本体に装着されたレンズ本体に設けられ、光透過状態を調節することが可能な物性素子を用いた光量調節装置であって、
前記物性素子は、有効光束内に設けられた第1の物性素子領域と、有効光束外に設けられ、周辺の温度や経時に対する特性変化の割合が該第1の物性素子領域とほぼ同等である第2の物性素子領域とを有し、
前記第1の物性素子領域および前記第2の物性素子領域に電圧を印加して該第1の物性素子領域および該第2の物性素子領域の光透過率を変化させる駆動手段と、
前記第2の物性素子領域の光透過状態を検出する検出手段と、
前記第1の物性素子領域における駆動電圧に対する領域内平均光透過率特性および駆動電圧印加時間に対する領域内平均光透過率特性と、前記第2の物性素子領域における駆動電圧に対する領域内平均光透過率特性および駆動電圧印加時間に対する領域内平均光透過率特性とを記憶した記憶手段と、
前記第1の物性素子領域および前記第2の物性素子領域に対する前記駆動手段の電圧印加を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、つぎの(a)から(e)の制御内容に基づいて前記制御をすることを特徴とする光量調節装置。
(a)前記撮像素子から現在の撮影光束の輝度情報を読み出し、現在の前記第1の物性素子領域の光透過率と前記撮影光束の輝度情報とから適正露出となる前記第1の物性素子領域の光透過率の目標値τ1を求め、目標値τ1に基づいて前記第2の物性素子領域の制御目標透過率τ2を決定する。
(b)前記第2の物性素子領域の駆動動作を開始し、前記第2の物性素子領域に前記記憶手段に記憶されている前記第2の物性素子領域における駆動電圧に対する光透過率特性から制御目標光透過率τ2となる該第2の物性素子領域の駆動電圧よりも高い駆動電圧V2を所定時間T3だけ印加して前記第2の物性素子領域の駆動動作を終了し、光透過状態を検出する前記検出手段の出力から前記第2の物性素子領域の現在の光透過率τを計算し、τ3として記憶する。
(c)前記所定時間T3の駆動電圧V2印加で到達した前記第2の物性素子領域の光透過率τ3の値と、前記記憶手段に記憶されている前記第2の物性素子領域における駆動電圧印加時間に対する領域内平均光透過率特性における前記第2の物性素子領域の光透過率が駆動電圧V2で制御目標光透過率τ2に到達までの時間T4および光透過率τ3に到達までの時間T5とから、光透過率τ2に達する前記第2の物性素子領域の応答時間の予測値として、T1=T3(T4/T5)を求め、前記記憶手段に記憶されている前記第1の物性素子領域における駆動電圧に対する領域内平均光透過率特性において、領域内平均光透過率と目標光透過率τ1とが一致する前記第1の物性素子領域の駆動電圧に基づいて、駆動電圧V1を決定する。
(d)前記記憶手段に記憶されている前記第1の物性素子領域における駆動電圧印加時間に対する領域内平均光透過率特性において、駆動電圧V1で前記第1の物性素子領域の領域内平均光透過率が目標光透過率τ1に到達する時間T6を求め、光透過率τ2に達した前記第2の物性素子領域の応答時間に対する光透過率τ1に達する前記第1の物性素子領域の応答遅延時間として、T2=T6(T1/T4)−T1=T6(T3/T5)を決定する。
(e)その上で、前記第1の物性素子領域に駆動電圧V1を印加し、経過時間がT1+T2に達したら、電圧の印加を停止し、前記第1の物性素子領域の光透過率の設定を終了する。 - 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光量調節装置を有するレンズ本体と、
前記光量調節装置からの光束を撮像する撮像素子を有するカメラ本体とを有することを特徴とする撮像装置。
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