JP3984758B2 - 画像形成方法及び画像形成装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像形成方法及びこれを用いる複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に係り、詳しくは、収容器内における画像形成物質の残量不足についてその報知時期を決定するための報知時期決定手段の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
磁性キャリアと画像形成物質としてのトナーとからなる二成分現像剤(以下、単に現像剤という)を用いる画像形成装置においては、該現像剤の画像形成物質濃度であるトナー濃度が現像装置の現像能力を左右する主要因の一つとなる。従って、安定した濃度の画像を形成するためには、現像装置内の二成分現像剤中のトナー濃度を一定に保つことが望ましい。
【0003】
しかしながら、現像装置の現像能力は、トナー濃度の他、湿度や温度等の環境の変化、経時における現像剤の特性変化(例えば劣化など)、現像条件の変化、出力画像数、などによっても大きく左右される。
【0004】
例えば、低温低湿の環境下では、トナーの流動性が高まることによりトナーの帯電量が増加する。このように帯電量が増加すると、トナーとキャリアとの静電的な付着力が高まって現像能力が低下する。反対に、高温高湿の環境下では、トナーの流動性が低下することに起因して現像能力が高まる。
【0005】
また例えば、出力画像頻度が高い場合には、画像形成動作に伴う攪拌によってトナーに多くのストレスが付与される。このように多くのストレスが付与されると、摩擦によりトナーの帯電量が増加して現像能力が低下する。反対に、出力画像頻度が低い場合には現像能力が高まる。
【0006】
以上のように、現像装置の現像能力は環境や出力画像頻度等によって大きく異なるので、単にトナー濃度を一定に維持するだけでは画像濃度の安定化は図れない。
【0007】
そこで、従来より、画像濃度の安定化を図るべく、所定信号出力手段である光学的センサ(以下、Pセンサという)からの出力値と、濃度信号出力手段である透磁率センサ(以下、Tセンサという)からの出力値に基づいて一定に維持すべきトナー濃度を変化させる画像形成装置が種々知られている(例えば、特開平5−134548号、特開平8−110700号、特開平8−202137号、特開平9−211911号等に記載のもの)。
【0008】
この種の画像形成装置では、例えば次のようにして一定に維持すべきトナー濃度(以下、基準濃度という)を変化させている。即ち、まず、潜像担持体としての感光体に基準画像を形成しながら現像装置内の現像剤をTセンサにより検知し、このときのTセンサからの出力VTの値を測定する。そして、基準画像をPセンサにより検知しながら、このPセンサからの出力Vspの値を測定する。次いで、これら出力VTの値とVspの値とに基づいて、画像形成物質付着量としてのトナー付着量を目標の付着量にし得るように基準値VTrefを補正する(以下、基準値補正という)。具体的には、出力VTの値とVspの値とに基づいて、前回までの基準値VTrefに対する補正量ΔVTrefを決定し、この補正量ΔVTrefの加算によって基準値補正を実施する。そして、Tセンサからの出力VTの値を補正済みの基準値VTrefに到達させるように現像装置へのトナー補給を制御する。このような一連の制御においては、トナー濃度の変化に応じて変化する出力VTの値と、トナー付着量の変化に応じて変化する出力Vpsの値とに基づいて決定した補正量ΔVTrefをVTrefに加算(又は減算)することで、現像装置内におけるトナーの基準濃度を変化させている。そして、このように基準濃度を変化させることで、現像能力を一定に維持して画像濃度を安定化させることができる。
【0009】
一方、基準値VTrefに所定の実数を加算するなどしてトナーニアエンドやトナーエンドの報知基準値を決定し、Tセンサからの出力VTがこの報知基準値に達したときに、これらをディスプレイ等に表示する画像形成装置がある。このトナーニアエンドやトナーエンドとは、補給用トナーを収容するトナー収容器内のトナーの残量不足を示すものであり、操作者はこれらが報知されることでトナー収容器の交換時期を認知することになる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このようにトナーニアエンドやトナーエンドを報知する画像形成装置においては、報知時期の遅れにより画像濃度を著しく低下させたり、感光体等の潜像担持体にキャリアを付着させるいわゆるキャリア付着を引き起こしたりという問題を生ずる場合があった。そこで、本発明者らはこの「報知時期の遅れ」について鋭意研究を行ったところ、基準濃度が低く維持されているときには、高く維持されているときよりも報知時期を早める必要があることを見出した。
【0011】
例えば、磁気センサなど、トナー濃度の低下に伴って出力VTの値を増加させるTセンサを用いる場合には、通常、実数としての所定の正数を基準値VTrefに加算して報知基準値を求めている。このような報知基準値を用いると、出力VTを基準値VTrefよりも所定の値だけ大きい報知基準値に到達させた時点、即ち、トナー濃度を基準濃度よりも所定の値だけ低い報知濃度に到達させた時点で、トナーニアエンドやトナーエンドを報知させることになる。しかし、高温高湿の環境下で画像出力頻度が高いときには、現像装置の現像能力が高まって基準濃度が著しく低く維持される。このように基準濃度が著しく低く維持されているときには、トナー濃度が基準濃度よりもわずかに下回っただけで、出力画像の濃度が著しく低下したり、キャリア付着が生じたりする。そして、このことにより、トナー濃度が報知濃度に到達する前に、出力画像の濃度が著しく低下したり、キャリア付着が生じたりするのである。
【0012】
基準濃度が著しく低く維持されるときに合わせて基準濃度と報知濃度との差を十分に小さく設定すれば、出力画像の著しい濃度低下やキャリア付着を生ずる前にトナーニアエンド等を報知させることが可能になる。しかし、このように設定すると、基準濃度が高く維持されるときには、まだ十分な画像濃度が得られるトナー濃度であるにもかかわらずトナーニアエンド等を報知させるばかりでなく、トナー収容器内に残留した多量のトナーが無駄になってしまうという新たな問題が生ずる。
【0013】
本発明は、以上の問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、画像形成物質の基準濃度にかかわらず、収容器内における画像形成物質の残量不足の適切な報知時期を決定することができる画像形成方法及び画像形成装置を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、トナー及びキャリアを含有する現像剤の現像装置内におけるトナー濃度に応じた値の濃度信号を濃度信号出力手段から出力する工程と、潜像担持体に担持された潜像を該現像装置によって現像して所定の基準画像を得る工程と、該基準画像における単位面積あたりのトナー付着量に応じた値の信号を付着量信号出力手段から出力する工程と、該付着量信号出力手段からの信号の出力値に基づいて、該濃度信号出力手段からの濃度信号の出力目標である基準値を補正する工程と、該濃度信号出力手段からの該濃度信号の出力値と、該基準値との比較結果に基づいて、収容器内に収容されているトナーを該現像装置に補給する工程と、該収容器内のトナーの残量不足を報知する工程と、該基準値を用いた演算結果に基づいて該残量不足の報知時期を決定する工程とを実施しながら、潜像担持体上に担持された潜像に該現像装置内のトナーを付着させて画像を形成する画像形成方法において、基準値を補正する工程を経た基準値と、データ記憶手段に記憶されているデータであり且つ該基準値に応じて値が変化するデータである変数とを用いた演算結果と、上記濃度信号出力手段から出力される濃度信号との比較に基づいて上記残量不足の報知時期を決定し、該変数として、該基準値がより低いトナー濃度に対応する値に変化するほど、自らの値が、該演算結果が該報知時期を早めるように変化するもの、をデータ記憶手段に記憶させたことを特徴とするものである。
【0015】
請求項2の発明は、潜像を担持する潜像担持体と、該潜像にトナーを付着させて該潜像を現像する現像装置と、トナー及びキャリアを含有する現像剤の該現像装置内におけるトナー濃度に応じた値の濃度信号を出力する濃度信号出力手段と、該現像装置にトナーを補給する補給手段と、該補給手段に用いられるトナーを収容する収容器と、該濃度信号出力手段からの濃度信号の出力値と、該濃度信号の出力目標である基準値との比較結果に基づいて該補給手段の動作を制御する補給制御手段と、該潜像担持体上に形成された所定の基準画像における単位面積あたりのトナー付着量に応じた値の信号を出力する付着量信号出力手段と、該付着量信号出力手段からの出力値に基づいて該基準値を補正する基準値補正手段と、該収容器内のトナーの残量不足を報知する報知手段と、該基準値を用いた演算結果に基づいて該残量不足の報知時期を決定する報知時期決定手段とを備える画像形成装置において、上記基準値補正手段によって補正された後の基準値と、データ記憶手段に記憶されているデータであり且つ該基準値に応じて値が変化するデータである変数とを用いた演算結果と、上記濃度信号出力手段から出力される濃度信号との比較に基づいて上記残量不足の報知時期を決定するように、上記報知時期決定手段を構成し、該変数として、該基準値がより低いトナー濃度に対応する値に変化するほど、自らの値が、該演算結果が該報知時期を早めるように変化するもの、をデータ記憶手段に記憶させたことを特徴とするものである。
【0016】
請求項3の発明は、請求項2の画像形成装置であって、上記濃度信号出力手段として、上記トナー濃度の増加に伴って上記濃度信号の出力値を低下させるものを用い、上記基準値として、自らの値が増加するほど上記トナー濃度を低く維持するトナー補給の制御を上記補給制御手段に行わせるものを用い、上記報知時期決定手段として、上記濃度信号出力手段から出力される濃度信号が上記基準値補正手段による補正後の基準値と上記変数との加算値以上になったことに基づいて上記残量不足の報知時期を決定するものを用い、且つ、上記変数として、該基準値が増加するほど自らの値が小さくなるものを用いることを特徴とするものである。
【0017】
請求項1、2又は3の発明においては、例えば基準値に所定の実数を加算するなどして報知時期を決定するのではなく、基準値に応じた値の変数を用いた演算結果に基づいて該報知時期を決定する。このように、基準に応じた値の変数に基づいて報知時期を決定すると、トナーの基準濃度に応じて報知時期を適切なタイミングになるように変化させることができる。例えば、請求項3の発明においては、基準濃度が低減されるほど、値の小さな変数を用いて演算された演算結果に基づいて報知時期を決定することで、該基準濃度と報知濃度との差を小さくして報知時期のタイミングを早めて行く。このように報知時期を早めて行くと、報知時期をトナーの基準濃度に応じた適切なタイミングにすることができる。
【0018】
請求項4の発明は、請求項2又は3の画像形成装置において、上記残量不足を報知した後に所定回数の画像形成動作を実施した後には、上記収容器が新たなものに交換されるまで画像形成動作を実施させないようにしたことを特徴とするものである。
【0019】
この発明においては、複数の画像を連続的に形成する連続画像形成動作を実施している最中に上記残量不足を検知した場合には、所定回数の画像形成動作を実施した後に、トナーを収容する収容器が新たなものに交換されるまで残り回数の画像形成動作を中断する。このような構成において、上記残留不足の検知後に形成画像の濃度を著しく低下させなで実施し得る画像形成動作回数をこの所定回数として設定すれば、該残量不足の検知時に収容器に残留している画像形成物質を画像濃度の著しい低下を生じない範囲内で消費することができる。
【0020】
請求項5の発明は、請求項2、3又は4の画像形成装置において、予め設定した上下限の範囲内で上記基準値を補正させるように上記基準値補正手段を構成したことを特徴とするものである。
【0021】
この発明においては、地汚れを生じさせない範囲で基準濃度を増加させ、且つ残量不足の誤報を生じない範囲で該基準濃度を低下させることができる。例えば、連続的な画像形成動作を実施したり、画像面積率の高い画像を形成したりすると、補給手段によるトナーの補給速度がトナー濃度の低下速度に追いつかない場合がある。このような場合には、収容器内に十分量のトナーが収容されているにもかかわらず、トナー濃度が一時的に低下することになる。そして、このとき、基準濃度が低く維持されていることに起因して該基準濃度と報知濃度との差が小さく設定されていると、トナー濃度が報知濃度に達して「残量不足」の誤報を引き起こすことになる。また例えば、現像剤の劣化等により現像装置の現像能力が大きく低下している場合には、基準濃度がかなり高く維持される。そして、このような場合には、目標の濃度が形成される代わりに、上記非画像部にもトナーが付着して地汚れを引き起こす場合がある。そこで、この発明においては、基準値を予め設定した上下限の範囲内で補正させている。このような構成において、地汚れを生じさせないトナー濃度の上限を基準値の上限に対応させ、残量不足の誤報を生じさせないトナーの下限を該基準値の下限に対応させれば、基準濃度を次のように制御することが可能になる。即ち、地汚れを生じさせない範囲で基準濃度を増加させ、且つ残量不足の誤報を生じない範囲で該基準濃度を低下させることが可能になる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を画像形成装置である電子写真プリンタ(以下、プリンタという)に適用した実施形態について説明する。
【0025】
まず、このプリンタの基本的な構成について説明する。
図1は本実施形態に係るプリンタの作像部分を示す概略構成図である。このプリンタには、静電潜像が形成される潜像担持体としての感光体ドラム1が回転可能に取り付けられており、図示しない駆動系により図中時計回りに駆動される。この感光体ドラム1の周囲には帯電ローラ2、現像装置3、転写ローラ4、クリーニング装置5、除電装置としての除電ランプ6、所定信号出力手段としての反射型フォトセンサ等で構成されるPセンサ8、図示しない光書き込みユニットなどが配設されている。また、現像装置3には、現像装置3に画像形成物質であるトナーを補給するための補給手段としてのトナー補給装置7が取付けられている。
【0026】
感光体ドラム1の表面は、図中時計回りの回転駆動に伴い、除電ランプ6との対向位置を通過して除電される。そして、帯電ローラ6と当接して一様帯電した後、上記光書き込みユニットから発せられる書き込み光Lの照射により一部が露光される。この露光により、感光体ドラム1の表面は静電潜像を担持する。そして、この静電潜像は、感光体ドラム1の回転に伴って現像装置3との対向位置(現像位置)を通過する際に、画像形成物質としてのトナーが付着されてトナー像に現像される。
【0027】
一方、図示しない給紙部からは、このトナー像が転写ローラ4との対向位置(転写位置)を通過するタイミングを見計らって、レジストローラ対9に向けて転写紙5が排出される。このようにして排出された転写紙5は、レジストローラ対9を経由した後に、上記転写位置に送られる。そして、この転写位置において、感光体ドラム1上のトナー像と重ね合わされるように感光体ドラム1と転写ローラ4との間に挟まれる。転写ローラ4には図示しないバイアス印加手段により転写用バイアスが印加されており、転写ローラ4と感光体ドラム1との電位差により生ずる転写電界が上記転写位置に形成されている。感光体ドラム1上のトナー像は、上記転写位置でこの転写電界や圧力などの相乗作用を受けて転写紙5上に転写される。
【0028】
トナー像が転写された転写紙5は、感光体ドラム1や図中反時計回りに回転する転写ローラ4の回転に伴って上記転写位置を通過した後、図示しない定着装置へ送られる。そして、この定着装置内で熱と圧力を付与され、これによりトナー像が定着される。更に、このようにしてトナー像が定着された転写紙5は、図示しない排出手段により装置外へと排出されて、プリントアウト紙となる。
【0029】
上記転写位置を通過した後の感光体ドラム1の表面に残留している残留トナーは、クリーニング装置5との対向位置まで搬送された際に、該表面から機械的に掻き落とされて除去される。そして、クリーニング装置5との対向位置を通過した感光体ドラム1の表面は、再び除電光ランプ6により除電されて次の作像に備えられる。
【0030】
トナー補給装置7は、収容器としてのトナーカートリッジ7a、モータ7cにより回転駆動されてトナーカートリッジ7a内のトナーを攪拌する攪拌部材7b、モータ7eにより回転駆動されてトナーカートリッジ7a内のトナーを現像装置3内に供給する供給ローラ7d等を備えている。
【0031】
現像装置3は例えばマイナス極性に帯電可能なトナーと磁性キャリアからなる二成分現像剤を用いる二成分現像装置であり、内部には現像スリーブ3a、トナー搬送スクリュー3b、3c、濃度信号出力手段としてのTセンサ3d、等が設けられている。
【0032】
Tセンサ3dは、トナー搬送スクリュー3cの下方の底壁部に設けられ、このトナー搬送スクリュー3cの周囲に存在する現像剤を検知する。
【0033】
トナー搬送スクリュー3b、3cは、それぞれ図示しない駆動系により回転駆動されるようになっている。これらトナー搬送スクリュー3bと3cとの間には図示しない仕切り壁が設けられ、この仕切り壁により、現像装置3内で現像剤を収容する収容スペースが両者の周りに個別に確保されている。但し、トナー搬送スクリュー3b、3cの両端近傍(図中手前端近傍、及び奥端近傍)に対応する領域には、上記仕切り壁が設けられておらず、2つの収容スペースは該両端近傍で連通するようになっている。
【0034】
上述のトナー補給装置7から現像装置3内に供給されたトナーは、トナー搬送スクリュー3c側の上記収容スペースに落下し、このトナー搬送スクリュー3cの周りにある二成分現像剤(以下、単に現像剤という)と接触する。そして、トナー搬送スクリュー3cの回転に伴い、現像剤と混合・攪拌されながら図中奥側へと搬送されて行く。この搬送の際、トナーは磁性キャリアやトナー搬送スクリュー3cなどと摩擦されて例えばマイナス極性に帯電する。
【0035】
トナー搬送スクリュー3cによって図中奥端まで搬送された現像剤は、トナー搬送スクリュー3bと3cとの間の連通空間を経由してトナー搬送スクリュー3b側の上記収容スペースに受け渡され、トナー搬送スクリュー3bの回転によって今度は図中手前側への搬送されてくる。この搬送により現像剤中のトナーは更に帯電が助長される。
【0036】
トナー搬送スクリュー3b側の収容スペースには、ローラ状の現像スリーブ3aがトナー搬送スクリュー3bと平行になるように配設されている。この現像スリーブ3aは、例えば5つの磁極を有する図示しないマグネットローラと、これを覆う筒状の非磁性パイプとで構成され、図示しない駆動系により該非磁性パイプのみが図中反時計回りに回転駆動されるようになっている。この非磁性パイプは、その回転に伴い、トナー搬送スクリュー3bにより図中手前側に搬送されてくる現像剤を上記マグネットローラの発する磁力によって汲み上げて担持する。このように担持された現像剤は、非磁性パイプの回転に伴って感光体ドラム1との対向位置である現像位置まで搬送される。
【0037】
現像スリーブ3aには図示しない電源により現像バイアスが印加されており、この印加により感光体ドラム1と現像スリーブ3aとの間に現像電界(現像ポテンシャル)が形成されている。現像スリーブ3aの回転に伴って上記現像位置まで搬送されてきた現像剤中のトナーは、この現像電界の作用により磁性キャリアから離脱して感光体ドラム1上の静電潜像に付着する。そして、この付着により静電潜像が現像されるのである。
【0038】
次に、本プリンタの制御手段について説明する。
制御部10は、補給制御手段、基準値補正手段及び報知時期決定手段としての機能を兼ね備え、モータ7c、7eを含む各駆動系、Tセンサ3dやPセンサ8を含む各種センサ、RAMやROMからなるデータ記憶部11、タッチパネル等から構成される操作表示部などが接続されている。この制御部10は、図示しないパーソナルコンピュータ等から送られてくる画像情報に基づいて、除電ランプ6、帯電ローラ2、上記光書き込みユニット、現像装置3、現像バイアス印加手段、上記給紙部、転写バイアス印加手段、転写ローラ等の駆動を制御してプリント動作を実施させる。また、データ記憶部11に格納しているPパターンデータに基づいて、所定のタイミングで感光体ドラム1の非画像領域に基準画像としてのPパターンを形成させる。
【0039】
データ記憶部11には、Tセンサ3dの出力目標である基準値VTrefなど、制御部10に用いられるデータが格納されている。
【0040】
制御部10は、プリント動作に伴って転写紙5が上記転写位置を通過した時点で、Tセンサ3dからの出力VTの値を測定する。そして、この出力VTの値と、データ記憶部11に格納されている基準値VTrefとに基づいて、両者の差であるΔVT(=VTref−VT)を演算する。
【0041】
図2はTセンサ3dの出力特性を示すグラフである。本プリンタにおけるTセンサ3dは、透磁率を検知する透磁率センサ等で構成され、図示のように現像剤のトナー濃度TCの増加に伴ってその出力VTの値を低下させる特性を有している。従って、「VTref−VT」の解であるΔVTの値がマイナス側に大きくなるほど、現像剤のトナー濃度は目標濃度よりも低くなっている状態にある。
【0042】
制御部10は、ΔVTの演算結果に基づいて、現像剤のトナー濃度について目標濃度よりも低いと判断した場合には、該演算結果に応じたトナー補給時間t(モータ7cの駆動時間)を決定する。そして、決定したトナー補給時間tに基づいてモータ7cを回転駆動させて、必要量のトナーを現像装置3内に補給させる。
【0043】
このようにして必要量のトナーが現像装置3内に適宜補給されることで、現像装置3内の現像剤のトナー濃度は一定に保たれる。しかし、トナーカートリッジ7a内のトナーが無くなった場合、即ち、トナーエンドになった場合には、現像装置3内にトナーが補給され難くなるので、トナー濃度が著しく低下することになる。このため、トナー濃度が基準濃度を大きく下回った場合、即ち、出力VTの値が基準値VTrefを大きく上回った場合には、トナーエンドである可能性が高い。そこで、制御部10は、基準値VTrefに後述の実数としての変数を加算して報知基準値を演算し、出力VTの値がこの報知基準値に達した時点でトナーエンド処理の制御を実行するように構成されている。
【0044】
次に、基準値VTrefを補正するための基準値補正制御について説明する。Pセンサ8は、発光ダイオード等からなる発光部と、フォトトランジスタなどのフォトセンサ等からなる受光部とで構成されている。この発光部からの照射光は、感光体ドラム1上に所定位置に照射され、その反射光量が受光部によって検出される。この検出結果は、Pセンサ8から直流電圧として出力され、図示しないA/Dコンバータを経由して制御部10に入力される。上記反射光量は感光体ドラム1上のPパターン形成領域における単位面積あたりのトナー付着量M/Aによって変化するので、Pセンサ8からの出力Vspの値も該トナー付着量M/Aによって変化する。なお、本プリンタにおいては、トナー付着量M/Aの増加に伴って出力値Vspを減少させるPセンサ8を用いている。
【0045】
データ記憶部11は、Pパターンを検知するPセンサ8からの出力目標値(以下、P目標値と称する)を格納している。制御部10は、このP目標値と感光体ドラム1上のPパターンについての出力Vspの値とに基づいて、Pパターンにおける画像濃度の濃淡を判定する。更に、この判定結果と、Tセンサ3dからの出力VTの値とに基づいて、前回まで使用していた基準値VTrefに対する補正量ΔVTrefを決定する。そして、この補正量ΔVTrefの加算により基準値VTrefを補正する。このような補正により、基準濃度を変化させて現像装置3の現像能力を安定化させている。
【0046】
次に示す表1は、補正量ΔVTrefを決定させるためにデータ記憶部11に格納しているデータベースの一例である。
【表1】
Figure 0003984758
【0047】
この表1に示した例では、出力値Vsp/Vsgと、これに対応するP目標値との比較に基づいて、Pパターンにおける画像濃度の濃淡を判定させている。この出力値Vsgとはトナー像を形成していない状態の感光ドラム1の地肌部を検知したときのPセンサ8からの出力値であり、この検知はPパターン検知に先立って行われる。なお、表1及び後述の表6におけるSは、トナー濃度TCが1[wt%]上昇するときの出力値VTの変化量であるTセンサ感度を示している。
【0048】
表1において、例えば、Vsp/VsgがP目標値より大きい、即ち、Pパターンの画像濃度が目標よりも薄いにもかかわらず、ΔVTが0よりも大きい、即ち、トナー濃度TCが高いと判断される場合には、制御部10に対してこのときのトナー濃度TCを、低いか又は通常であると判断させるように基準値VTrefを補正させる必要がある。そこで、このような場合には、補正後のVTref(=前回までの基準値VTref+補正量ΔVTref)を補正前よりも小くするように、表1に示したデータベースからマイナス極性のΔVTrefを選択して基準値VTrefを補正させるように制御部10を構成している。このようにVTrefを補正させると、トナー濃度TCをそれまでより高く維持するようにトナー補給を実行させ、画像濃度を高めることができる。
【0049】
また例えば、Vsp/VsgがP目標値より小さい、即ち、Pパターンの画像濃度が目標よりも濃いにもかかわらず、ΔVTが0よりも小さい、即ち、トナー濃度TCが低いと判断される場合には、制御部10に対してこのときのトナー濃度TCを高いか又は通常であると判断させるように基準値VTrefを補正させる必要がある。そこで、このような場合には、補正後の基準値VTrefを補正前よりも高くするように、表1に示したデータベースからプラス極性のΔVTrefを選択して基準値VTrefを補正させるように制御部10を構成している。
【0050】
更に、Pパターンの画像濃度が目標よりも濃いにもかかわらず、ΔVTが0よりも大幅に小さいと判断される場合には、装置が未使用状態で長期間放置された可能性が高い。長期間の放置により、トナー帯電量Q/Mが不足することに起因してPパターンの画像濃度が目標よりも濃くなる一方で、現像剤中におけるトナーの嵩密度が低下することに起因して出力VTの値が本来よりも低くなっている可能性が高いからである。このような場合(以下、攪拌要求ケースという)には、現像剤の攪拌に伴ってトナーの摩擦帯電と拡散とが進行するので、Pセンサ8からの出力Vsp、及びTセンサからの出力VTは、やがて正常な値に安定してくるとともに、現像装置3の現像能力も復帰してくる。従って、攪拌要求ケースのときには、トナー濃度をあまり変化させずに画像形成を実施させることが望ましい。しかし、攪拌要求ケースのときには、トナー濃度が一定であっても出力VTが現像剤の攪拌に伴って変化してしまう。具体的には、本プリンタの場合には、トナー濃度が一定であっても出力VTが現像剤の攪拌に伴って低下してくる。このような状況下で、画像形成に伴ってトナーが消費されてもトナー濃度を一定に維持させるようにするためには、基準値VTrefをプリント動作に伴って低下させて行く必要がある。そこで、制御部10は、攪拌要求ケースの場合には、一旦補正した基準値VTrefをプリント動作に伴って元の基準値VTrefまで徐々に低下させて行く一時的な基準値仮補正を実施する。
【0051】
次に示す表2及び表3は、攪拌要求ケース用の基準値仮補正で補正量ΔVTrefを決定させるべくデータ記憶部11に格納しているデータベースの一例である。
【表2】
Figure 0003984758
【表3】
Figure 0003984758
【0052】
この攪拌要求ケース用の基準値仮補正において、制御部10は、まず、表2に示したデータベースを用いて、ΔVTの値に応じた値の攪拌時間T[sec]と補正量ΔVTrefとを選択する。例えば、ΔVT=−0.4[V]である場合には、攪拌時間Tとして200[sec]を選択するとともに、補正量ΔVTrefとして0.2[V]を選択する。そして、元の基準値VTrefに補正量ΔVTrefを加算して基準値VTrefを仮補正する。次に、以降のプリント動作の実施時間が攪拌時間Tに到達するまでの間において、表3に示したデータベースを用いて、残り攪拌時間Trに応じた値の補正量ΔVTrefを選択しながら、元の基準値VTrefに補正量ΔVTrefを加算して基準値VTrefの仮補正を繰り返す。表3に示したように、残り攪拌時間Trが少なくなるほど、元の基準値VTrefに加算される補正量ΔVTrefは小さくる。このため、攪拌要求ケースにおいては、最初に補正された基準値VTrefがプリント動作に伴って元の基準値VTrefまで徐々に低下して行くことになる。
【0053】
ところで、従来、以上の構成のプリンタにおいては、基準値VTrefに所定の実数を加算して報知基準値を演算していた。このように報知基準値を演算すると、トナー濃度を基準濃度よりも所定値だけ低い報知濃度に到達させた時点でトナーエンドを報知することになる。しかしながら、本発明者らは鋭意研究により、
トナーの基準濃度が低く維持されているとき(基準値VTrefが高いとき)には、通常よりもトナーエンドの報知時期を早める必要があることを見出した。
【0054】
次に示す表4は、各環境及び画像出力頻度での条件下におけるトナーの性状を示すものである。
【表4】
Figure 0003984758
【0055】
表4に示すように、高温高湿の環境下で画像出力頻度が低いときには、低温低湿の環境下で画像出力頻度が高いときに比べて、トナー帯電量Q/Mが大きく低減する。このようにトナー帯電量Q/Mが大きく低減すると、現像装置3の現像能力が大きく高まるので、トナーの基準濃度は著しく低く維持されるようになる(基準値VTrefが著しく高くなる)。このように基準濃度が著しく低く維持されているときには、トナー濃度が基準濃度よりもわずかに下回っただけで、出力画像の濃度が著しく低下したり、キャリア付着が生じたりする。
【0056】
例えば、表4に示した例において、常温常湿の環境下で画像出力頻度が中程度のとき(二行目)には、基準値VTrefが2.3[V]に設定されていることにより、基準濃度は4.5[%]に維持されている。ここで、「報知基準値=基準値VTref+0.6[V]」という演算式により報知基準値が求められているとすると、出力VTの値が2.9(2.3+0.6)[V]の報知基準値に達した時点でトナーエンドが報知される。この時点におけるトナー濃度(報知濃度)は約3.2[wt%](図2参照)であり、まだ十分な濃度の画像を形成し得る値である。一方、高温高湿の環境下で画像出力頻度が高いとき(三行目)には、基準値VTrefが3.0[V]に設定されていることにより、基準濃度は3.3[%]に維持されている。そして、このときの報知基準値は2.9(3.0+0.6)[V]となるので、報知濃度は約2.4[%](図2参照)である。通常、トナー濃度がこのように2.5[%]を下回ると、出力画像の濃度が著しく低下したり、キャリア付着が生じたりする。そして、このことにより、トナー濃度が報知濃度に到達する前に、出力画像の濃度が著しく低下したり、キャリア付着が生じたりする。従って、トナーの基準濃度が低く維持されているときには、通常よりもトナーエンドの報知時期を早める必要がある。但し、トナーエンドを報知時期を早めるべくVTrefに加算する実数を小さく設定し過ぎると、まだ十分な画像濃度が得られるトナー濃度であるにもかかわらずトナーニアエンド等を報知させるばかりでなく、トナー収容器内に残留した多量のトナーが無駄になってしまう。
【0057】
そこで、本プリンタの制御部は、次のような特徴的な演算方法により報知基準値を求めることで、このような問題を解消している。
【0058】
以下、この特徴的な演算方法について説明する。
次に示す表5は、本プリンタにおける基準値VTrefと報知基準値との関係を示すものである。
【表5】
Figure 0003984758
【0059】
表5に示すように、制御部10は、単に基準値VTrefに所定の実数を加算して報知基準値を演算するのではなく、基準値VTrefに応じて加算すべき実数の値を変化させている。即ち、基準値VTrefに応じた値の変数を加算して報知基準値を演算している。具体的には、表5に示すように、基準値VTrefが増加して基準濃度が低減されるほど、この変数の値を小さくして報知時期のタイミングを早めて行く。このように報知時期のタイミングを早めて行くと、該報知時期を基準濃度に応じた適切なタイミングに設定することができる。例えば、表5において、基準値VTrefが3.0[V]に設定されている場合(高温高湿の環境下で画像出力頻度が高い場合)には、報知基準値=3.4(3.0+0.4)[V]になるので、報知濃度は約2.6[%]に設定される。この程度のトナー濃度であれば、画像濃度の著しい低下やキャリア付着等を生ずる可能性は低い。
【0060】
図3から図8までは、制御部10のプリント制御の要部を示すフローチャートである。以下、これらの図を参照しながら、このプリント制御について説明する。
図3において、制御部10は、メインスイッチをONされると(s1)、まず、トナー付着のない感光体ドラム1の非画像部を検知するPセンサ8の出力Vsgを所定の値に設定する(s2)。そして、感光体ドラム1にPパターンを形成させた後(s3)、今度は該Pパターンを検知するPセンサ8からの出力Vspの値を検出する(s4)。次いで、Vsp/Vsgを演算した後(s5)、現像装置3内の現像剤を検知するTセンサ3dからの出力VTの値を検出する(s6)。そして、ΔVT(VTref−VT)を演算した後(s7)、s8、s9の制御を実行する。
【0061】
これらs8、s9の制御においては、攪拌要求ケース用の制御の必要性が判断される。表1に示したように、この制御が実施される必要があるケースは、「ΔVT<−0.3」&「(Vsp/Vsg)<0.13」の条件を具備したときである。従って、制御部10は、これらs8、s9において、「ΔVT<−0.3」&「(Vsp/Vsg)<0.13」であるか否かを判定し、そうである場合には制御を攪拌モード処理に進める。また、そうでない場合には、制御を通常モード処理に進める。
【0062】
図4は、この攪拌モード処理の制御内容を示すフローチャートである。図示のように、制御部10は制御を攪拌モード処理に進めると、まず、基準値VTrefに基づいて、表2から攪拌時間T及び補正量ΔVTrefを決定する(Ks1)。そして、この補正量ΔVTrefの加算により元の基準値VTrefを仮補正した後(Ks2)、残り攪拌時間Trを攪拌時間Tと同等の値に設定する(Ks3)。次いで、先に仮補正した基準値VTrefと、表5とに基づいて報知基準値としてのトナーエンドレベルを演算した後(Ks4)、プリント命令の有無があるまで待機し(Ks5でN)、プリント命令がなされた時点(Ks5でY)で制御を攪拌モード用プリント処理に進める。
【0063】
図5は、この攪拌モード用プリント処理の制御内容を示すフローチャートである。図示のように、制御部10は制御を攪拌モード用プリント処理に進めると、まず、一回分のプリント動作を開始させてから(Ks6)、攪拌動作を開始させる(Ks7)。この攪拌動作とは、具体的には、トナー搬送スクリュー3b、3cを回転駆動させることである。次いで、制御部10は、残り攪拌時間Trのカウントダウンを開始した後に(Ks8)、出力VTの値を検出する(Ks9)。そして、「ΔVT=VTref−VT」の演算結果と、次に示す表6とに基づいてトナー供給時間tを決定した後(Ks10)、トナー補給を開始させる(Ks11)。なお、この表6もデータ記憶部11に格納されている。
【表6】
Figure 0003984758
【0064】
制御部10は、トナー補給を開始した後、一回分のプリント動作を終了すると(Ks12)、次に、累積プリント回数を示す変数であるPCに1を加算する(Ks13)。そして、攪拌動作を終了した後に(Ks14)、残り攪拌時間Trのカウントダウンを終了する(Ks15)。なお、この時点で残り攪拌時間Trが0までカウントダウンされていない場合には、以降のプリント動作において、攪拌モード用の制御が継続されることになる。
【0065】
次に制御部10は、予定数のプリント動作を行ったか否かについて判定し、連続プリント命令を受けたことによりまだ次のプリント動作が残っている場合(Ks16でN)には、制御をKs16aに進める。また、次のプリント動作が残っていない場合(Ks16でY)には、制御をKs17に進める。
【0066】
Ks16aに制御を進めた場合、制御部10は残り攪拌時間Trの値と表3とに基づいて、新たなΔVTrefを決定した後、メインスイッチがOFFされる前まで使用していた元の基準値VTrefにこのΔVTrefを加算して基準値VTrefを更新する(Ks16b)。このとき、残り攪拌時間Trの減少分に応じて、基準値VTrefは元の基準値に近づいて低下することになる。そして、制御部10は、トナーエンド判定処理を実施した後、制御を上述のKs6にループさせて次のプリント動作を開始する。なお、このトナーエンド判定処理については、後に詳述する。
【0067】
Ks17に制御を進めた場合、即ち、次のプリント命令を受けていない場合、制御部10はトナー補給を終了したか否かについて判定する(Ks17)。トナー補給時間tの長さによっては、プリント動作中にトナー補給が完了しない場合がある。そこで、制御部10は、このような判定を行い、「完了していない」と判定した場合には(Ks17でN)には、トナー補給を継続させるKs18に制御を進めた後、Ks17にループさせる。このようなループにより、トナー補給が完了していない場合には、トナー補給が完了するまで制御が先のステップに進まないようになっている。
【0068】
制御部10は、補給動作を完了させた場合、又は補給動作がプリント動作中で完了していた場合には(Ks17でY)、次に、残り攪拌時間をゼロまでカウントダウンしているか否かについて判定する(Ks19)。そして、ゼロまでカウントダウンしている場合には(Ks19でY)、トナーエンド判定処理を実施した後、制御をメインフローにリターンさせる。このリターンにより、攪拌モード処理が終了する。そして、通常は、以降の制御において、上記s8、s9で「ΔVT<−0.3」&「(Vsp/Vsg)<0.13」という条件が「否」と判定されて通常モード処理が実施される。
【0069】
また、制御部10は、上記Ks19において、ゼロまでカウントダウンしていないと判断した場合には(Ks19でN)、トナーエンド判定処理を実施した後、攪拌モード処理を継続すべく制御を上記Ks5(図4参照)にループさせる。このループにより、以降の制御において、プリント命令を受信すると、攪拌モード処理を継続して実施する。従って、攪拌モード処理は、残り攪拌時間Trがゼロまでカウントダウンされるまで継続される。
【0070】
上述のように、制御部10は、上記s8、s9において、「ΔVT<−0.3」&「(Vsp/Vsg)<0.13」でないと判定した場合、即ち、攪拌要求ケースではないと判定した場合には、制御を通常モード処理に進める。
図6は、この通常モード処理の制御内容を示すフローチャートである。この図6と、攪拌モード処理の制御内容を示した図4とを比較すると、攪拌モード処理では基準値VTrefに上下限を機能させていなかったのに対し、通常モードでは該上下限を機能させていることがわかる。具体的には、制御部10は、図6のOs7でトナーエンドレベル(報知基準値)を決定する前に、Os3からOs6までの制御において、先のOs2で補正した基準値VTrefに対して上限値1.1[V]と下限値2.8[V]とを機能させている。このため、基準値VTrefは1.1〜2.8[V]の範囲内で補正されることになる。このような補正により、本プリンタは地汚れを生じさせない範囲でトナーの基準濃度を増加させ、且つ残量不足の誤報を生じない範囲で該基準濃度を低下させることができる。
【0071】
例えば、連続プリント動作を実施したり、画像面積率の高い画像をプリントアウトしたりすると、トナー補給装置7によるトナー補給速度が現像装置3内のトナー濃度の低下速度に追いつかない場合がある。このような場合には、トナーカートリッジ7aに十分量のトナーが収容されているにもかかわらず、トナー濃度が一時的に低下することになる。そして、このとき、基準濃度が低く維持されていることに起因して該基準濃度と報知濃度との差が小さく設定されていると、現像装置3内のトナー濃度が報知濃度に達して「残量不足」の誤報を引き起こすことになる。
【0072】
また例えば、現像剤の劣化等により現像装置3の現像能力が大きく低下している場合には、基準濃度がかなり高く維持される。このような場合には、目標の濃度が形成される代わりに、地汚れを引き起こす場合がある。
【0073】
図7はPセンサ8の出力特性と、現像装置3の現像特性とを示すグラフであり、図中左側のグラフは前者の特性を示し、図中右側のグラフは後者の特性を示している。図示の例では、感光体ドラム1と現像スリーブ3aとの間に電位差400[V]の現像ポテンシャルが生ずることによりPパターンが形成される。また、Pパターンを検知するPセンサ8からの出力Vspの値と、出力Vsgの値との比率Vsp/Vsgが1/10になったときに、Pパターンの画像濃度(ID)が基準濃度になる。よって、Vsp/Vsgを1/10にするようなトナー濃度であれば、現像装置3の現像特性は曲線Aに示すような状態になり、600[V]の現像ポテンシャルで形成される出力画像のIDが目標IDになる。一方、環境変化等の原因により、現像装置3の現像特性が曲線Bに示すような状態に変化した場合には、トナー濃度を増加させて現像特性を曲線Aに示すような状態に復帰させれば目標IDの画像を得ることができる。しかし、曲線Bを曲線Aに示す状態にすべくトナー濃度を増加させ過ぎると、目標濃度の画像が形成される代わりに、地汚れを引き起こしてしまうのである。
【0074】
そこで、制御部10は、上述のように上下限値を機能させながら基準値VTrefを補正するのである。このように基準値VTrefを補正すると、地汚れを生じさせない範囲で基準濃度を増加させ、且つ残量不足の誤報を生じない範囲で該基準濃度を低下させることができるので、地汚れ、及び、残量不足の誤報、の発生を低減することができる。
【0075】
制御部10は、このようにして基準値VTrefを補正した後、補正したVTrefに基づいてトナーエンドレベルを決定すると(Os7)、次に、プリント命令の有無があるまで待機し(Os8でN)、プリント命令がなされた時点(Os8でY)で制御を通常モード用プリント処理に進める。
【0076】
図8は、この通常モード用プリント処理の制御内容を示すフローチャートである。この通常モード用プリント処理においては、残り攪拌時間Trを考慮しない制御が実施される以外は、図5に示した攪拌モード用プリント処理の制御とほぼ同様であるので説明を省略する。
【0077】
図9は、図5及び図8に示したトナーエンド判定処理の制御内容を示すフローチャートである。このトナーエンド判定処理において、制御部10は、まず、変数であるFLAGについて1であるか否かを判定する(Tes1)。このFLAGは、トナーエンド報知の履歴を判定するための変数であり、トナーエンド報知が一旦なされると、トナーカートリッジ7aが交換されるまで1となり、これ以外のときは0となる。従って、制御は、トナーエンド報知の履歴がない場合(Tes1でN)にはTes2に進み、履歴がある場合にはTes7に進むことになる。
【0078】
制御部10は、トナーエンド報知の履歴を「有り」と判定して制御をTes2に進めると、出力VTの値を検出する。そして、出力VTについてトナーエンドレベル(報知基準値)に達しているか否かを判定し、達していないと判定した場合(Tes3でN)にはトナーエンド判定処理を終了する。
【0079】
一方、達していると判定した場合(Tes3でY)には、トナーエンド用処理を実施する。このトナーエンド用処理において、制御部10は、まず、操作表示部12にトナーエンドである旨を表示させた後(Tes4)、中断用プリントカウント値PCaを演算する(Tes5)。この中断用プリントカウント値PCaとは、トナーエンドが表示された後、プリント動作が中断されるときの累積プリント回数を示すものであり、トナーエンドが表示された時点の累積プリント回数PCに所定回数αが加算されて求められる。この所定回数αは、予めの試験により求められたものであり、トナーエンドを報知してから、形成画像の濃度を著しく低下させない回数分のプリント動作を示すものである。
【0080】
制御部10は、このようにして中断用プリントカウント値PCaを演算すると、次に、トナーエンド報知の履歴を残すべくFLAGの値を1にセットした後(Tes6)、累積プリント回数PCについて累積プリントカウント値PCaに達したか否かを判定する(Tes7)。そして、「達していない」と判定した場合(Tes7でN)には、まだプリント動作を継続させてもかまわないと判断してトナーエンド判定処理を終了する。この終了により、最終的に制御がメインフローにリターンしてプリント用の制御が継続される。
【0081】
一方、「達した」と判定した場合、即ち、「PC=PCa」と判定した場合(Tes7でY)には、トナーカートリッジ7aが交換されるまで制御を中断する(Tes8)。そして、トナーカートリッジ7aが交換されると(Tes8でY)、FLAGをゼロにリセットしてトナーエンド報知の履歴を消去した後、トナーエンド判定処理を終了する。なお、本プリンタは図示しないトナーカートリッジセンサを備えており、制御部10はこのトナーカートリッジセンサからの出力信号に基づいてトナーカートリッジ7aの交換を検知する。
【0082】
このようなトナーエンド用処理においては、トナーエンドを報知させてから、形成画像の濃度を著しく低下させない回数分のプリント動作を実施させた後、プリント動作を中断させることになる。このようにプリント動作を中断させると、トナーエンドを報知させた時点でトナーカートリッジ7a内に残留しているトナーの一部又は全部を、形成画像の著しい低下を生じない範囲内で消費することができる。そして、このことにより、トナーカートリッジ7a内のトナーを効率よく消費することができる。
【0083】
以上、本実施形態のプリンタによれば、現像装置3内のおけるトナーの基準濃度に応じてトナーエンドレベル(報知基準値)を適切なタイミングになるように変化させることができるので、該基準濃度にかかわらず適切なトナーエンドレベルを決定することができる。そして、このことにより、プリント画像の生ずる著しい濃度低下やキャリア付着を低減することができる。
【0084】
なお、本実施形態において、基準値VTrefに変数を加算して報知基準値を演算するプリンタについて説明したが、基準値VTrefに変数を減算したり、乗算したり、除算したりして報知基準値を演算する画像形成装置についても本発明の適用が可能である。
【0085】
また、基準値VTrefに対する変数の加算、乗算又は除算の演算結果をデータベースとしてデータ記憶部に格納し、このデータベースと基準値VTrefとに基づいて報知基準値を決定する画像形成装置についても本発明の適用が可能である。
【0086】
また、所定信号出力手段としてPセンサを備えるプリンタについて説明したが、例えば湿度センサなど、他の所定信号出力手段を備える画像形成装置についても本発明の適用が可能である。
【0087】
また、感光体ドラム1から転写紙5にトナー像を直接転写する構成のプリンタについて説明したが、中間転写体を介して転写紙5に転写する構成の画像形成装置についても本発明の適用が可能である。
【0088】
また、現像装置を1つだけ備えるプリンタについて説明したが、リボルバ現像ユニットなど、複数の現像器を備える画像形成装置についても本発明の適用が可能である。
【0089】
【発明の効果】
請求項1、2又は3の発明によれば、トナーの基準濃度に応じて報知時期を適切なタイミングになるように変化させることができるので、該基準濃度にかかわらず適切な報知時期を決定することができるという優れた効果がある。
【0090】
請求項4の発明によれば、上記残量不足の検知時に収容器に残留しているトナーを、画像濃度の著しい低下を生じない範囲内で消費するので、トナーを効率よく消費することができるという優れた効果がある。
【0091】
請求項5の発明によれば、地汚れを生じさせない範囲で基準濃度を増加させ、且つ残量不足の誤報を生じない範囲で該基準濃度を低下させるので、地汚れ、及び、残量不足の誤報、の発生を低減することができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係るプリンタの作像部分を示す概略構成図。
【図2】同プリンタのTセンサの出力特性を示すグラフ。
【図3】同プリンタのプリント制御の要部を示すフローチャート。
【図4】同プリント制御における攪拌モード処理の制御内容を示すフローチャート。
【図5】同制御内容における攪拌モード用プリント処理の制御内容を示すフローチャート。
【図6】同プリント制御における通常モード処理の制御内容を示すフローチャート。
【図7】同プリンタにおけるPセンサの出力特性と、現像装置の現像特性とを示すグラフ。
【図8】同制御内容における通常モード用プリント処理の制御内容を示すフローチャート。
【図9】図5及び図8に示したトナーエンド判定処理の制御内容を示すフローチャート。
【符号の説明】
1 感光体ドラム
2 帯電ローラ
3 現像装置
4 転写ローラ
5 クリーニング装置
6 除電ランプ
7 トナー補給装置
8 Pセンサ
9 レジストローラ対
10 制御部
11 データ記憶部
12 操作表示部

Claims (5)

  1. トナー及びキャリアを含有する現像剤の現像装置内におけるトナー濃度に応じた値の濃度信号を濃度信号出力手段から出力する工程と、
    潜像担持体に担持された潜像を該現像装置によって現像して所定の基準画像を得る工程と、該基準画像における単位面積あたりのトナー付着量に応じた値の信号を付着量信号出力手段から出力する工程と、
    該付着量信号出力手段からの信号の出力値に基づいて、該濃度信号出力手段からの濃度信号の出力目標である基準値を補正する工程と、
    該濃度信号出力手段からの該濃度信号の出力値と、該基準値との比較結果に基づいて、収容器内に収容されているトナーを該現像装置に補給する工程と、
    該収容器内のトナーの残量不足を報知する工程と、
    該基準値を用いた演算結果に基づいて該残量不足の報知時期を決定する工程とを実施しながら、
    潜像担持体上に担持された潜像に該現像装置内のトナーを付着させて画像を形成する画像形成方法において、
    基準値を補正する工程を経た基準値と、データ記憶手段に記憶されているデータであり且つ該基準値に応じて値が変化するデータである変数とを用いた演算結果と、上記濃度信号出力手段から出力される濃度信号との比較に基づいて上記残量不足の報知時期を決定し、該変数として、該基準値がより低いトナー濃度に対応する値に変化するほど、自らの値が、該演算結果が該報知時期を早めるように変化するもの、をデータ記憶手段に記憶させたことを特徴とする画像形成方法。
  2. 潜像を担持する潜像担持体と、
    該潜像にトナーを付着させて該潜像を現像する現像装置と、
    トナー及びキャリアを含有する現像剤の該現像装置内におけるトナー濃度に応じた値の濃度信号を出力する濃度信号出力手段と、
    該現像装置にトナーを補給する補給手段と、
    該補給手段に用いられるトナーを収容する収容器と、
    該濃度信号出力手段からの濃度信号の出力値と、該濃度信号の出力目標である基準値との比較結果に基づいて該補給手段の動作を制御する補給制御手段と、
    該潜像担持体上に形成された所定の基準画像における単位面積あたりのトナー付着量に応じた値の信号を出力する付着量信号出力手段と、
    該付着量信号出力手段からの出力値に基づいて該基準値を補正する基準値補正手段と、
    該収容器内のトナーの残量不足を報知する報知手段と、
    該基準値を用いた演算結果に基づいて該残量不足の報知時期を決定する報知時期決定手段とを備える画像形成装置において、
    上記基準値補正手段によって補正された後の基準値と、データ記憶手段に記憶されているデータであり且つ該基準値に応じて値が変化するデータである変数とを用いた演算結果と、上記濃度信号出力手段から出力される濃度信号との比較に基づいて上記残量不足の報知時期を決定するように、上記報知時期決定手段を構成し、該変数として、該基準値がより低いトナー濃度に対応する値に変化するほど、自らの値が、該演算結果が該報知時期を早めるように変化するもの、をデータ記憶手段に記憶させたことを特徴とする画像形成装置。
  3. 請求項2の画像形成装置であって、
    上記濃度信号出力手段として、上記トナー濃度の増加に伴って上記濃度信号の出力値を低下させるものを用い、
    上記基準値として、自らの値が増加するほど上記トナー濃度を低く維持するトナー補給の制御を上記補給制御手段に行わせるものを用い、
    上記報知時期決定手段として、上記濃度信号出力手段から出力される濃度信号が上記基準値補正手段による補正後の基準値と上記変数との加算値以上になったことに基づいて上記残量不足の報知時期を決定するものを用い、
    且つ、上記変数として、該基準値が増加するほど自らの値が小さくなるものを用いることを特徴とする画像形成装置。
  4. 請求項2又は3の画像形成装置において、
    上記残量不足を報知した後に所定回数の画像形成動作を実施した後には、上記収容器が新たなものに交換されるまで画像形成動作を実施させないようにしたことを特徴とする画像形成装置。
  5. 請求項2、3又は4の画像形成装置において、
    予め設定した上下限の範囲内で上記基準値を補正させるように上記基準値補正手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。
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