JP3983601B2 - 非水系二次電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、リチウム含有遷移金属酸化物からなる非水系二次電池用正極に関する。本発明は、また、前記正極および炭素材料からなる負極を有する非水系二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、民生用電子機器のポータブル化、コードレス化が急激に進んでおり、これら電子機器の駆動用電源を担う小型、軽量で高エネルギー密度を有する電池への要望が高まっている。非水系二次電池、とりわけリチウムイオン二次電池は、高電圧、高エネルギー密度を有する電池であることから、ノートパソコン、携帯電話、AV機器などを中心に使用されている。
【0003】
非水系二次電池は、高容量を維持しつつ、サイクル寿命が長く、かつ、良好な放電特性を示すことが求められる。そこで、電池性能のバランスを保ちながら電池を高容量化するために、特開平5−74494号公報では、電極合剤層の見かけ密度、ならびに前記合剤層を支持する集電体と前記合剤層に含まれる電極活物質との重量比を最適化することが提案されている。また、特開平9−22689号公報では、電池内に電解液を適切に分布させることにより充放電の繰り返しによる容量劣化を防止するために、放電状態の電池における正極合剤層の電解液保持能力(a)と負極合剤層の電解液保持能力(b)との間に0.9≦a/b≦1.3の関係を満足させることが提案されている。
【0004】
しかし、従来の非水系二次電池では、正極合剤層の空隙率が適正範囲に設定されていないことから、充放電サイクル全般を通して適切な電解液の分布を確保することができず、サイクル寿命が不充分になったり、放電特性が劣化したりする。例えば、特開平5−74494号公報や特開平9−22689号公報で採用されている正極合剤層の空隙率は、34〜41%と大きすぎるため、負極との間で電解液の分布バランスが崩れやすい。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような問題を解決するものであり、正極合剤層の空隙率を適正範囲に設定することにより、非水系二次電池のサイクル寿命特性および放電特性の改善を図ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、正極、負極および非水電解液からなり、前記正極が、リチウム含有遷移金属酸化物を含む正極合剤層からなり、前記負極が、炭素材料を含む負極合剤層からなり、前記非水電解液が、リチウム塩および前記リチウム塩を溶解した非水溶媒からなり、前記正極合剤層の空隙率Rpが、17.5体積%以上20.5体積%以下である非水系二次電池に関する。
前記負極合剤層の空隙率R n に対する前記正極合剤層の空隙率R p の割合:(R p /R n )×100(%)は、45.7%以上53.6%以下である。
前記正極合剤層は、ポリフッ化ビニリデン誘導体およびポリテトラフルオロエチレン誘導体よりなる群から選ばれた少なくとも1種のバインダーAを含む。
また、前記正極合剤層は、さらに、架橋ゴム粒子からなるバインダーBを含む。
【0007】
前記負極合剤層の空隙率Rnは、33体積%以上41体積%以下であることが好ましい。
【0008】
前記負極合剤層の空隙体積Vnに対する前記正極合剤層の空隙体積Vpの割合:(Vp/Vn)×100(%)は、33%以上42%以下、さらには33.5%以上41.6%以下であることが好ましい。
【0009】
前記非水電解液は、さらに、耐過充電添加剤を含むことが好ましい。
前記耐過充電添加剤は、フェニル基および前記フェニル基に隣接する環状化合物基からなるベンゼン誘導体であることが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の非水系二次電池用正極は、リチウム含有遷移金属酸化物を活物質として含む正極合剤層からなる。リチウム含有遷移金属酸化物には、一般式LiMO2(MはCo、NiおよびMnよりなる群から選ばれる少なくとも1種)またはLi〔LixMn2-x 〕O4(ただし、0≦x≦0.18)で示される酸化物を用いることが好ましい。
【0011】
前記正極合剤層は、さらに、ポリフッ化ビニリデン誘導体およびポリテトラフルオロエチレン誘導体よりなる群から選ばれた少なくとも1種のバインダーAを含む。
前記ポリフッ化ビニリデン誘導体には、フッ化ビニリデン単位を含むフッ素樹脂が全て含まれる。具体的には、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、PVDFの変性体などを用いることができる。前記PVDFの変性体としては、モノクロロトリフルオロエチレン単位、ヘキサフルオロプロピレン単位、マレイン酸単位などを導入したPVDFの変性体を挙げることができる。
【0012】
前記ポリテトラフルオロエチレン誘導体には、テトラフルオロエチレン単位を含むフッ素樹脂が全て含まれるが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を用いることが好ましい。
【0013】
また、バインダーAとして、水素化ニトリルゴム、極性の余り高くない基を側鎖に有するポリオレフィン、ポリアクリロニトリルなどを用いることもできる。バインダーAには、いずれかを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0014】
前記正極合剤層は、また、架橋ゴム粒子からなるバインダーBを含む。バインダーBは、粒子状であるため、極少量で結着性を発現することが可能であり、これを用いることでバインダーAの必要量を大幅に低減でき、電池の高容量化に大きく貢献する。
【0015】
バインダーBの具体例としては、アクリロニトリル単位を含有した変性アクリルゴム微粒子などが挙げられる。また、前記変性アクリルゴム微粒子の好ましい具体例として、日本ゼオン(株)製のBM−500B(商品名)を挙げることができる。
【0016】
バインダーBの平均粒径は、特に限定されるものではないが、0.05〜0.5μmの範囲であることが好ましい。平均粒径が0.05μm未満では、活物質表面の多くが粒子状バインダーで被覆されてしまうため、電池反応が阻害され易くなり、0.5μmをこえると、活物質粒子間の距離を広げてしまうため、正極の電子伝導性が低下する。
【0017】
前記正極合剤層には、さらに、導電材を含ませることができる。導電材には、カーボンブラックを用いることが好ましい。カーボンブラックとしては、例えばアセチレンブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラックなどが挙げられる。これらのうちでは、アセチレンブラックとファーネスブラックが好ましい。導電材の平均粒径は、特に限定されるものではないが、1次粒子の平均粒径が0.01〜0.1μmであることが好ましい。
【0018】
正極の芯材には、アルミニウムなどからなる金属箔、穿孔板(ラスメタル)などを用いることができる。電池の小型軽量化の観点から、芯材の厚さは、金属箔であれば10〜25μm、穿孔板であれば見かけ厚さで10〜50μmとするのが一般的である。
【0019】
本発明にかかる正極合剤層の空隙率Rpは、17.5体積%以上20.5体積%以下と、従来に比べて小さく設定されている。従来は、正極合剤層の空隙率が小さくなると、電解液の正極内への移動が妨げられ、放電特性が低下するものと考えられていたが、正極の空隙率が20.5体積%より大きくなると、負極での液枯れが起こりやすくなるため、却って放電特性が低下したり、充放電サイクル特性が劣化したりする。ただし、正極の空隙率Rpが17.5体積%未満では、正極内への電解液の移動が妨げられてしまう。従って、電池性能のバランスを改善するためには、正極合剤層の空隙率Rpを17.5体積%以上20.5体積%以下に設定することが有効である。
【0020】
次に、本発明の正極およびそれを用いた非水系二次電池の製造法の一例について説明する。
(i)第1工程
第1工程では、リチウム含有遷移金属酸化物からなる活物質と、バインダーAおよびバインダーBから選ばれる少なくとも1種と、導電材と、分散媒とを含むペーストを調製する。前記分散媒には、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を用いることが好ましいが、アセトンなどのケトン類を用いることもできる。ケトン類はNMPと混合して用いることが好ましい。
【0021】
ペーストに含ませるバインダーの量は、リチウム含有遷移金属酸化物100重量部あたり、0.5重量部以上3.5重量部以下、さらには0.5重量部以上2重量部以下であることが好ましい。バインダーの量が0.5重量部未満では少なすぎるため、ペーストから得られる正極合剤層が芯材から剥がれやすくなり、正極の生産が困難になる。また、バインダーの量が3.5重量部をこえる場合、正極の電子伝導性が低下し、電池のサイクル寿命が短くなる上、正極容量が小さくなる。電池のサイクル寿命特性および正極容量を向上させるためには、バインダーの量が2重量部以下であることが、さらに好ましい。
【0022】
バインダーの量をリチウム含有遷移金属酸化物100重量部あたり、2重量部以下にするには、ペーストにバインダーAとバインダーBの両方を含ませることが有効である。この場合、バインダーAとバインダーBとの割合は、重量比で3:1〜1:3であることが好ましい。
【0023】
ペーストに含まれる導電材の量は、リチウム含有遷移金属酸化物100重量部あたり、1重量部以上3重量部以下であることが好ましい。導電材の量が1重量部未満では、正極の電子伝導性が低下し、電池のサイクル寿命が短くなる。また、導電材の量が3重量部をこえると、正極容量が小さくなる。
【0024】
(ii)第2工程
第2工程では、ペーストを正極の芯材に、塗布し、乾燥し、圧延して、正極合剤層を形成することにより、正極を作製する。ペーストは芯材の両面に塗布することが好ましい。芯材と両面の正極合剤層とを合わせた正極の厚さは、一般に80〜200μmである。
【0025】
(iii)第3工程
第3工程では、前記正極、負極、および非水電解液を用いて、電池を組み立てる。この工程は、従来通りに行えばよい。
負極は、例えばリチウムイオンを吸蔵・放出できる炭素材料とバインダーとを含むペーストを調製し、これを用いて負極合剤層を芯材の両面に形成することにより、作製することができる。負極用のペーストに含ませるバインダーの量は、炭素材料100重量部あたり、1.5重量部以上4重量部以下であることが好ましい。
負極の芯材には、銅箔などからなる金属箔、穿孔板(ラスメタル)などを用いることができる。電池の小型軽量化の観点から、負極の芯材の厚さは、金属箔であれば8〜20μm、穿孔板であれば見かけ厚さで10〜50μmとするのが一般的である。また、芯材と両面の負極合剤層とを合わせた負極の厚さは、一般に80〜200μmである。
【0026】
前記負極合剤層の空隙率Rnは、33体積%以上41体積%以下であることが好ましい。負極合剤層の空隙率Rnが33体積%未満になると、負極での液枯れが起こりやすくなり、良好な放電特性を得にくくなり、サイクル寿命特性も短くなる傾向がある。一方、空隙率Rnが41体積%をこえると、正極合剤層の空隙率とのバランスが崩れたり、放電特性が低下したりすることがある。
【0027】
負極合剤層の空隙率Rnに対する正極合剤層の空隙率Rpの割合:(Rp/Rn)×100(%)は、45.7%以上53.6%以下であることが好ましい。この割合が45.7%未満では、正極合剤層と負極合剤層との間で空隙率のバランスが崩れたり、放電特性が低下したりする傾向がある。一方、この割合が53.6%をこえると、正極の電解液に対する親和性が過剰となって負極の液枯れを促進する傾向がある。
【0028】
上記と同様の観点から、負極合剤層の空隙体積Vnに対する正極合剤層の空隙体積Vpの割合:(Vp/Vn)×100(%)は、33%以上42%以下であることが好ましい。この割合が33%未満では、正極と負極の間で空隙率のバランスが崩れたり、放電特性が低下したりすることがある。一方、この割合が42%をこえると、上記同様に負極の液枯れを促進する傾向がある。電池性能のバランスを、さらに改善するためには、負極合剤層の空隙体積Vnに対する正極合剤層の空隙体積Vpの割合が、33.5%以上41.6%以下であることが好ましい。
【0029】
電池の組立は、以下の要領で行う。まず、正極および負極の間にセパレータを介在させ、必要に応じて捲回すれば、極板群が得られる。この際、極板とセパレータを円筒状に捲回すれば、円筒形電池用の極板群が得られ、断面が略楕円形になるように扁平に捲回すれば、角形電池用の極板群が得られる。得られた極板群は、所定形状の電池ケースに収容される。
【0030】
セパレータとしては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン製微多孔膜などが好ましく用いられる。セパレータの厚さは、一般的に10〜40μmである。
【0031】
非水電解液には、従来から非水系二次電池に用いられているものを特に制限なく用いることができるが、リチウム塩を溶解した非水溶媒が好ましく用いられる。
リチウム塩としては、例えばLiPF6、LiBF4などが用いられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組合せて用いてもよい。
非水溶媒としては、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、プロピレンカーボネートなどが用いられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組合せて用いてもよい。
非水電解液を極板群が挿入された電池ケースに注液し、電池ケースを封口することにより、本発明の非水系二次電池が完成する。
【0032】
非水電解液には、さらに、耐過充電添加剤を含ませることが好ましい。
前記耐過充電添加剤には、フェニル基および前記フェニル基に隣接する環状化合物基からなるベンゼン誘導体を用いることが好ましい。
前記ベンゼン誘導体としては、ビフェニル、シクロヘキシルベンゼン、ジフェニルエーテル、フェニルラクトンなどを用いることができる。
【0033】
本発明の非水系二次電池の一例である扁平角形電池の横断図面を図1に示す。図1中、角形の電池ケース1の内部には、捲回された極板群が挿入されている。極板群は、正極2と負極3とを、セパレータ4を介在させて断面が略楕円形になるように捲回したものである。
【0034】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。尚、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0035】
《参考例1》
(i)正極の作製
活物質としてメディアン径6.5μmのLiCoO2を用いた。
バインダーAには、PVDF(商品名:呉羽化学(株)製、KFポリマー、L#1320)および水素化ニトリルゴム(商品名:日本ゼオン(株)製、BM720H)を併用した。
バインダーBには、変性アクリルゴム微粒子(商品名:日本ゼオン(株)製、BM500B、平均粒径0.2μm)を用いた。
導電材には、1次粒子の平均粒径0.03μmのアセチレンブラック(AB)を用いた。
【0036】
まず、適量のNMPに、LiCoO2を100重量部、PVDFを0.5重量部、水素化ニトリルゴムを0.5重量部、変性アクリルゴム微粒子を0.5重量部、アセチレンブラックを2.2重量部混合し、正極用のペーストを調製した。なお、分散媒や溶剤を含むバインダー製品については、上記重量を固形分(樹脂分)重量で計算した。
【0037】
正極用のペーストを、厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に塗布し、乾燥し、正極合剤層中の空隙体積Vpが0.293ml、空隙率Rpが17.7体積%となるように圧延し、幅43mm×長さ400mmに切断して、正極を得た。
【0038】
(ii)負極の作製
適量のNMPに、球状天然黒鉛粉末を100重量部、バインダーとしてスチレンとブタジエンとメタクリル酸との共重合体(商品名:日本ゼオン(株)製、BM400B)を1.2重量部、カルボキシメチルセルロース(CMC)を1.2重量部混合し、負極用のペーストを調製した。
負極用のペーストを、厚さ10μmの銅箔の両面に塗布し、乾燥し、負極合剤層中の空隙体積Vnが0.953ml、空隙率Rnが40.7体積%となるように圧延し、幅45mm×長さ380mmに切断して、負極を得た。
【0039】
(iii)電池の組み立て
得られた正極と負極とを、厚さ20μmのポリプロピレン製セパレータを介在させて、断面が略楕円形になるように捲回し、極板群を得た。
一方、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とジエチルカーボネート(DEC)との体積比1:2:1の混合溶媒に、0.95mol/Lの濃度でLiPF6を溶解して、非水電解液を調製した。非水電解液には、混合溶媒100重量部あたり、1.4重量部のビニレンカーボネート(VC)と、耐過充電添加剤として1.4重量部のシクロヘキシルベンゼン(CHB)とを添加した。
【0040】
前記極板群は、絶縁リングをその上部および底部に配して、所定のアルミニウム製ケース内に2.6gの非水電解液とともに収容した。そして、負極リードと正極リードを、それぞれ所定の箇所に接続した後、ケースの開口部を封口板で封口し、本発明の非水系二次電池を完成した。
この電池は、幅34mm、高さ50mm、厚さ5.4mmの角形であり、公称容量は850mAhである。
【0041】
《実施例1〜2および参考例2》
正極合剤層中の空隙体積Vpと空隙率Rpならびに負極合剤層中の空隙体積Vnと空隙率Rnを、表1に示すように変化させたこと以外、参考例1と同様の正極および非水系二次電池を作製した。
【0042】
《参考例3〜6》
正極用のペーストに含ませるバインダーおよびアセチレンブラック(AB)の量を、表1に示すように変化させ、正極合剤層中の空隙体積Vpと空隙率Rpならびに負極合剤層中の空隙体積Vnと空隙率Rnを、表1に示すように変化させたこと以外、参考例1と同様の正極および非水系二次電池を作製した。
【0043】
《比較例1〜2》
正極合剤層中の空隙体積Vpと空隙率Rpならびに負極合剤層中の空隙体積Vnと空隙率Rnを、表1に示すように変化させたこと以外、参考例1と同様の正極および非水系二次電池を作製した。
【0044】
《比較例3〜4》
正極用のペーストに含ませるバインダーおよびアセチレンブラック(AB)の量を、表1に示すように変化させ、正極合剤層中の空隙体積Vpと空隙率Rpならびに負極合剤層中の空隙体積Vnと空隙率Rnを、表1に示すように変化させたこと以外、参考例1と同様の正極および非水系二次電池を作製した。
【0045】
【表1】
【0046】
上記実施例、参考例および比較例で得られた負極の空隙率Rnに対する正極の空隙率Rpの割合:(Rp/Rn)×100(%)、ならびに負極の空隙体積Vnに対する正極の空隙体積Vpの割合:(Vp/Vn)×100(%)を、電池の理論容量とともに表2に示す。
【0047】
【表2】
【0048】
次に、上記実施例、参考例および比較例で得られた電池を評価した。
(i)寿命特性
20℃雰囲気中で、電池を850mAで電池電圧が4.2Vになるまで充電し、次いで、定電圧で電流値が42mAになるまで充電を続け、次いで、850mAで電池電圧が3Vになるまで放電する操作を200回繰り返した。そして、1回目の放電容量に対する200回目の放電容量の割合(MR)を百分率で求めた。結果を表3に示す。
【0049】
(ii)放電特性
20℃雰囲気中で、電池を850mAで電池電圧が4.2Vになるまで充電し、次いで、定電圧で電流値が42mAになるまで充電を続け、次いで、170mAまたは1700mAで電池電圧が3Vになるまで放電した。そして、170mA放電時の容量に対する1700mA放電時の容量の割合(CR)を百分率で求めた。結果を表3に示す。
【0050】
(iii)過充電安定性
20℃雰囲気中で、電池を850mAで充電し続け、電池の温度が100℃に到達したときに、充電を停止し、その後、電池の温度が自然に到達した最高温度を求めた。結果を表3に示す。
【0051】
【表3】
【0052】
次に、評価結果について考察する。
(i)実施例1〜2と参考例1〜6との対比から、正極合剤層に含まれる導電材とバインダーの組成が異なる場合であっても、正極合剤層の空隙率を適正範囲(17.7〜20.4体積%)に設定することにより、サイクル寿命特性および放電特性のバランスのよい非水系二次電池が得られることが分かる。
【0053】
(ii)実施例1〜2と参考例1〜2と比較例1〜2との対比から、正極合剤層の空隙率を適正範囲外(17.0体積%または21.1体積%)に設定すると、正極の空隙率を適正範囲内(17.7〜20.4体積%)に設定する場合に比べて、サイクル寿命特性、放電特性および過充電安定性のバランスのよい非水系二次電池を得ることが困難となることが分かる。
【0054】
(iii)参考例3〜6と比較例3〜4との対比から、正極合剤層に含まれる導電材とバインダーの組成が異なる場合であっても、正極合剤層の空隙率を適正範囲外(17.2体積%または20.6体積%)に設定すると、正極合剤層の空隙率を適正範囲内(17.5〜19.9体積%)に設定する場合に比べて、サイクル寿命特性、放電特性および過充電安定性のバランスのよい非水系二次電池を得ることが困難となることが分かる。
【0055】
(iv)実施例1、2と参考例1、2との対比から、正極合剤層の空隙率が18.1〜19.5体積%であり、負極合剤層の空隙率Rnに対する正極合剤層の空隙率Rpの割合が45.7〜53.6%(負極合剤層の空隙体積Vnに対する正極合剤層の空隙体積Vpの割合が33.5〜41.6%)の場合には、さらにサイクル寿命特性および放電特性のバランスのよい非水系二次電池が得られることが分かる。
【0056】
(v)参考例4、5と参考例3、6との対比から、正極合剤層の空隙率が18.0〜19.3体積%であり、負極合剤層の空隙率Rnに対する正極合剤層の空隙率Rpの割合が44.3〜51.9%(負極合剤層の空隙体積Vnに対する正極合剤層の空隙体積Vpの割合が33.4〜41.7%)の場合には、さらにサイクル寿命特性および放電特性のバランスのよい非水系二次電池が得られることが分かる。
【0057】
【発明の効果】
以上より、本発明によれば、正極合剤層の空隙率を適正範囲に設定することにより、非水系二次電池のサイクル寿命特性および放電特性の改善を図ることができる。また、負極合剤層の空隙率Rnに対する正極合剤層の空隙率Rpの割合または負極合剤層の空隙体積Vnに対する正極合剤層の空隙体積Vpの割合を適正範囲に設定することにより、非水系二次電池のサイクル寿命特性および放電特性の改善を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる非水系二次電池の一例の横断面図である。
【符号の説明】
1 電池ケース
2 正極
3 負極
4 セパレータ
Claims (6)
- 正極、負極および非水電解液からなり、
前記正極が、リチウム含有遷移金属酸化物を含む正極合剤層からなり、前記正極合剤層は、ポリフッ化ビニリデン誘導体およびポリテトラフルオロエチレン誘導体よりなる群から選ばれた少なくとも1種のバインダーAと、架橋ゴム粒子からなるバインダーBとを含み、
前記負極が、炭素材料を含む負極合剤層からなり、
前記非水電解液が、リチウム塩および前記リチウム塩を溶解した非水溶媒からなり、
前記正極合剤層の空隙率Rpが、17.5体積%以上20.5体積%以下であり、
前記負極合剤層の空隙率R n に対する前記正極合剤層の空隙率R p の割合:(R p /R n )×100(%)が、45.7%以上53.6%以下である非水系二次電池。 - 前記負極合剤層の空隙率Rnが、33体積%以上41体積%以下である請求項1記載の非水系二次電池。
- 前記負極合剤層の空隙体積Vnに対する前記正極合剤層の空隙体積Vpの割合が、33%以上42%以下である請求項1記載の非水系二次電池。
- 前記負極合剤層の空隙体積Vnに対する前記正極合剤層の空隙体積Vpの割合:(Vp/Vn)×100(%)が、33.5%以上41.6%以下である請求項3記載の非水系二次電池。
- 前記非水電解液が、さらに、耐過充電添加剤を含む請求項1記載の非水系二次電池。
- 前記耐過充電添加剤が、フェニル基および前記フェニル基に隣接する環状化合物基からなるベンゼン誘導体である請求項5記載の非水系二次電池。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002142147A JP3983601B2 (ja) | 2002-05-16 | 2002-05-16 | 非水系二次電池 |
Applications Claiming Priority (1)
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