JP3983527B2 - 電磁駆動シャッタ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁力の作用を受けて回動するロータによりシャッタ羽根が開閉する電磁駆動シャッタに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、コイルへの通電により磁化されたヨークの作用を受けて、シャッタ羽根を開閉させるロータが回動する電磁駆動シャッタが知られている。このような電磁駆動シャッタには、シャッタ羽根により開閉される開口が設けられたシャッタプレートが備えられていて、そのシャッタ羽根を開閉するロータやそのロータを駆動するヨークなどからなる電磁駆動機構は、このシャッタプレートに取り付けられている(実開昭63−113127号公報、特開平9−80583号公報参照)。
【0003】
このような電磁駆動シャッタにおいて、シャッタプレート上のコイルとヨークとロータとの配置に関し、従来より様々な提案がなされ、あるいは実用化されている。
【0004】
図6は、従来のあるカメラに内蔵された電磁駆動シャッタの基本構造を示す図である。
【0005】
この図6には、中央に開口が設けられたシャッタプレート230上の一端部にロータ240が配置されるとともに、そのシャッタプレート230上の、そのロータ240に対しそのシャッタプレート230の開口を挟んだ反対側の位置にコイル250が配置され、ヨーク260が、そのコイル250を貫通しシャッタプレート230の中央の開口を取り巻いてロータ240の近傍にまで延びた構造の電磁駆動シャッタ200が示されている。
【0006】
また、特開平9−80583号公報には、シャッタプレート上にロータが配置されるとともに、そのシャッタプレート面内方向の形状がコの字になるように両側が折り曲げられ、さらにそのロータに近接する端部が折り曲げ形成されたヨークが、そのシャッタプレート上の、そのロータの回動軸の両側に延びるように配設され、2つのコイルが、そのヨークのコの字形状に折り曲げられた両側の部分それぞれに巻かれた構造の電磁駆動シャッタが開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、図6に示す構造の電磁駆動シャッタの場合、コイル250とロータ240が離れているため、コイル250への通電を受けて生ずる磁力は、ヨーク260を通る間に磁力損失を生ずる。そのため、ヨーク260の、ロータ240に作用を与える両端での磁力は、コイル250への通電を受けて生ずる磁力よりも弱まってしまい、ロータ240の動きが不安定になるおそれがある。さらにこの配置では、この磁力損失を最小限に抑えるためには、断面積の大きなヨークを採用する必要があり、このため、シャッタプレート230上のコイル250とロータ240を配置するスペース以外のスペースを、できうる限りヨーク260のスペースとする必要がある。ところが、シャッタプレート230上には、センサや開閉式レンズカバーの部品なども取り付けることが好ましく、このためのスペースは広いほうが好ましい。
【0008】
「写真工業」1996年7月号(Vol.54 No.7)71ページには、基本的に図6の構造の電磁駆動シャッタの紹介記事があり、そこには、従来シャッタプレート上に併設していたAF用アクチュエータを本体側に移動させることによりコンパクト化を達成した旨、記載されている。
【0009】
このように、この方式の電磁駆動シャッタの場合、ヨーク260が大きな面積を占めてしまい、シャッタプレート上に他の機構や部品を配備するのは不利な構造となっている。
【0010】
また、上述した特開平9−80583号公報の電磁駆動シャッタの場合、二つのコイルがロータを挟むように配置されている点については、開口を挟んでロータの反対側にコイルが配置された電磁駆動シャッタよりも、ヨークでの磁力損失は少なくて済む。しかし、ヨークがコの字に曲げられており、このため、コイルへの通電を受けて生ずる磁力の方向が曲げられた後にロータに磁力の作用を与える結果となっており、磁力の方向が曲げられたところで磁力損失が生ずる。さらに、ヨークとロータとの間での磁力損失を最小限に抑えるためにはヨークとロータとの間隔を狭めることが好ましいが、ヨークの、ロータに近接する端部が折り曲げ形成されているため、部品精度が低下し、あまり近づけることができないという問題がある。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑み、磁力損失が抑えられ、かつ、シャッタ羽根開閉用の電磁駆動機構の構成部品の配置スペースを抑えた電磁駆動シャッタを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の電磁駆動シャッタは、撮影光束が通過する開口が設けられたシャッタプレートと、
上記開口を開閉自在に塞ぐシャッタ羽根と、
上記シャッタプレートに取り付けられ、磁力の作用を受けて回動して上記シャッタ羽根を開閉させるロータと、
上記ロータを挟むように配置され、通電を受けてそのロータを回動させる一対のコイルと、
上記開口を取り巻いて延び前記一対のコイル双方を貫通して両端が上記ロ−タに近接するヨークとを備えたことを特徴とする。
【0013】
本発明の電磁駆動シャッタでは、二つのコイルがロータを挟むように配置され、これら二つのコイルを貫通したヨークの両端がロータに近接しているので、図6に示したような、開口を挟んでロータの反対側にコイルが配置された電磁駆動シャッタよりも、ヨークでの磁力損失は少ない。
【0014】
また、ヨークをコの字に曲げる必要がなく、この点からもヨークでの磁力損失は少なくて済む。
【0015】
さらに、本発明のヨークは、プレス加工により成型が可能であり、そのため、寸法精度を上げることができ、ヨークとロータとの間隔をより狭め、ロータに作用する磁力の損失が抑えられる。
【0016】
従って、コイルへの通電を受けて生ずる磁力を、磁力損失を低く抑えた上でロータに作用させることができる。
【0017】
ここで、上記本発明の電磁駆動シャッタにおいて、上記ヨークの、上記一対のコイルどうしを結ぶ部分が、上記シャッタプレート面内方向の厚さ寸法よりもそのシャッタプレートに垂直な方向の高さ寸法の方が大きな寸法を有するものであることが好ましい。
【0018】
図6に示す構造の電磁駆動シャッタの場合、コイル250はロータ240の反対側に配置されているため、コイル250で発生した磁力をロータ240に有効に伝達するためにヨーク260の断面積を大きくし、磁力損失を抑える必要がある。
【0019】
また、図6に示す構造の電磁駆動シャッタの場合、ヨーク260はシャッタプレート230と平行に広がり、ヨーク260の厚さHはそのヨーク260の幅Wよりも小さい寸法となっている。
【0020】
これに対し、本発明の電磁駆動シャッタでは、二つのコイルがロータを挟むように配置され、これら二つのコイルを貫通したヨークの両端部でロータに作用する磁力が決まっているので、このヨークの、二つのコイルどうしを結ぶ部分での磁力損失はある程度大きくても差し支えがない。そのため、ヨークの、この部分の断面積を小さくすることができ、シャッタプレート上の、この電磁駆動シャッタを構成する部品を配置するスペースが小さくて済み、他の部品、例えばセンサや開閉式レンズカバーの部品などを配置するスペースをより多く確保することができる。また、シャッタプレートに垂直な方向には寸法上の余裕があるので、シャッタプレート面内方向の厚さ寸法を垂直な方向よりも薄くすることにより、他の部品を配置するためのスペースをさらに広げることができる。
【0021】
また、上記本発明の電磁駆動シャッタにおいて、上記ヨークが、上記一対のコイルそれぞれを貫通する、少なくとも各1個の部材と、上記一対のコイルどうしを結ぶ1個の部材との、合計3個以上の部材からなるものであることが好ましい。
【0022】
ヨークがこのように複数個の部材に分かれていると、コイルに組み込まれる部分が折り曲げ等を要さないで、例えばプレス加工により製作でき、部品精度が高められる。また、ヨークが複数の部材に分かれていると組み立ても容易となる。
【0023】
また、本発明の電磁駆動シャッタにおいて、上記ヨークの、一対のコイルどうしを結ぶ部分が、シャッタプレートに設けられた開口を取り巻いて延びたものであることが好ましい。
【0024】
一対のコイルそれぞれをできるだけロータの近傍に配備し、さらにそれら一対のコイルどうしを結ぶ部分がシャッタプレートに設けられた開口を取り巻いて延びるように構成することで、磁力損失をほとんどなくしコイルの磁力をロータに直接に作用させることができる。
【0025】
また、本発明の電磁駆動シャッタにおいて、上記ヨークの、一対のコイルそれぞれを貫通する部分が、複数枚積層された板材からなることが好ましい。
【0026】
複数の板材を積層することで渦電流が抑えられ、その結果磁力損失がさらに抑えられる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0028】
図1は、本発明の電磁駆動シャッタの一実施形態を備えたカメラを前面斜め上から見た外観斜視図である。
【0029】
このカメラ10の前面中央部には、撮影レンズ11aを内部に備えた鏡胴11が備えられている。またこのカメラ10の前面上部には、オートフォーカス(AF)用の発光素子が内蔵されたAF投光窓12、およびAF投光窓12から投光され被写体で反射して戻ってきた光を受光する受光素子が内蔵されたAF受光窓13が備えられている。
【0030】
さらにこのカメラ10の前面には、ファインダ対物窓14、および内蔵された露出調整用のAEセンサに光を導くためのAE受光窓15も備えられている。
【0031】
また、このカメラ10の上面には、シャッタボタン16が備えられている。
【0032】
さらに、このカメラ10の上面には、ポップアップ式のフラッシュ発光部17が備えられている。このフラッシュ発光部17は、カメラ本体内に収容されている状態でその頭部を押し下げることにより、突出するとともに、図示しないフラッシュ用のメインコンデンサへの充電を開始する。また、突出した状態にあるときにその頭部を押し下げることにより、カメラ本体内に収容されるとともに図示しないフラッシュ制御回路の動作も停止する。
【0033】
図2は、図1のカメラを背面斜め上から見た外観斜視図である。
【0034】
このカメラ10の背面には、ファインダ接眼窓18が備えられている。
【0035】
図3は、図1に示すカメラの鏡胴に内蔵された電磁駆動シャッタを示す、分解斜視図であって、図中の、ビスとシャッタベースのボス穴とを結ぶ一点鎖線は、ビスと、そのビスによる固定のためにそのビスが挿入されるボス穴との関係を示している。また、ここでは、図3に示す座標軸の+X方向を前面方向、−X方向を背面方向、+Y方向を上方向、−Y方向を下方向と称する。
【0036】
この電磁駆動シャッタ100には、図3の右上に示す、シャッタプレート110が備えられている。このシャッタプレート110には、撮影光束が通過する開口110eが中央に設けられている。このシャッタプレート110は、開口110eの上部に位置する長孔110aと、この長孔110aを挟むようにシャッタプレート110の前面に位置する第1の凹部110bおよび第2の凹部110cとを有する。また、このシャッタプレート110は、開口110eの下部の、シャッタプレート110の前面に位置する反射板110dを有する。
【0037】
シャッタプレート110のすぐ前面には、シャッタ羽根120が備えられている。このシャッタ羽根120は、第1のシャッタ羽根部材121および第2のシャッタ羽根部材122により構成されている。この第1のシャッタ羽根部材121は、上部に位置する丸孔121aおよび長孔121bと、下部に位置する突起121cとを有する。また、第2のシャッタ羽根部材122は、上部に位置する丸孔122aおよび長孔122bを有する。
【0038】
シャッタ羽根120のすぐ前面には、シャッタベース130が備えられている。このシャッタベース130には、撮影光束が通過する開口130fが中央に設けられている。このシャッタベース130は、開口130fの上部の、シャッタベース130の前面に位置する凹部130aと、この凹部130aの横に位置する長孔130bとを有する。また、このシャッタベース130は、開口130fの下部に位置する角孔130cを有する。
【0039】
さらに、このシャッタベース130は、背面に図示しない2つの凸部を有し、一方の凸部が第1のシャッタ羽根部材121の丸孔121aを貫通してシャッタプレート110の第1の凹部110bに嵌入されることにより、第1のシャッタ羽根部材121が回動自在に保持されている。また、他方の凸部が第2のシャッタ羽根部材122の丸孔122aを貫通してシャッタプレート110の第2の凹部110cに嵌入されることにより、第2のシャッタ羽根部材122が回動自在に保持されている。
【0040】
シャッタベース130のすぐ前面には、ロータ140が備えられており、このロータ140は、全体として円柱状の形状をしている。このロータ140は、一部が永久磁石で形成され、周壁にN極140aとS極140bとを有する。また、このロータ140は、前面と背面の中心に回動軸140cを有する。この回動軸140cは、前述したシャッタベース130の凹部130aと、図3の左下に示す押え板170の丸孔170aとで回動自在に支持されている。また、このロータ140は、背面から突出したレバー140dと、レバー140dの先端より背面方向に延びるピン140eを有する。
【0041】
また、ロータ140のピン140eは、シャッタベース130の長孔130bと、第1のシャッタ羽根部材121の長孔121bと、第2のシャッタ羽根部材122の長孔122bと、シャッタプレート110の長孔110aとを貫通し、ロータ140の回動とともに、ピン140eが長孔130bの範囲内で上下運動する。ここで、前述したように、第1のシャッタ羽根部材121は丸孔121aを支点に回動自在に保持され、第2のシャッタ羽根部材122は丸孔122aを支点に回動自在に保持されているので、ピン140eの上下運動により、シャッタ羽根120が、開口110eおよび開口130fを開閉する。
【0042】
ロータ140のすぐ前面には、第1のコイル151および第2のコイル152が示されている。これら第1のコイル151および第2のコイル152は、ロータ140を挟むように配置され、図3の左下に示す押え板170によって押えられる。
【0043】
第1のコイル151および第2のコイル152のすぐ前面には、ヨーク160が示されている。このヨーク160は、シャッタベース130の開口130fを取り巻いて延びる部分である第1のヨーク部材161と、第1のコイル151を貫通してロ−タ140に近接する、プレス加工により成型された、積層された複数の板材からなる部分である第2のヨーク部材1621および第3のヨーク部材1631と、第2のコイル152を貫通してロ−タ140に近接する、プレス加工により成型された、積層された複数の板材からなる部分である第4のヨーク部材1622および第5のヨーク部材1632とにより構成されている。これらのヨーク部材は、例えば軟鉄などのように、外部から加えられた磁界によって容易に磁化され、その外部磁界の極性が反転すれば、この材料の磁化も速やかに反転する磁気的性質を示す軟質磁性材料で形成されている。
【0044】
ここで、第1のヨーク部材161は、光軸方向の高さHが、シャッタプレート110の面内方向の幅Wよりも大きな寸法を有する。
【0045】
また、第2のヨーク部材1621は、ロ−タ140に近接する部分に丸孔1621aを有し、第3のヨーク部材1631は、ロ−タ140に近接する部分に丸孔1631aを有する。また、第4のヨーク部材1622は、ロ−タ140に近接する部分に丸孔1622aを有する。さらに、第5のヨーク部材1622は、ロ−タ140に近接する部分に丸孔1632aを有する。
【0046】
そして、押え板170の凸部170bが、丸孔1621aおよび丸孔1631aを貫通してシャッタベース130の凸部130dに嵌入され、押え板170の凸部170cが、丸孔1622aおよび丸孔1632aを貫通してシャッタベース130の凸部130eに嵌入される。
【0047】
このようにして、ヨーク160および第1のコイル151および第2のコイル152は、押え板170で固定されている。
【0048】
第1のコイル151および第2のコイル152が通電を受けると磁力を生ずる。これら二つのコイルを貫通して両端がロータ140に近接したヨーク160によって、この磁力がロータ140の側近に導かれることによって、ロータ140が回動する。
【0049】
羽根センサ180は、第1のシャッタ羽根部材121の突起121cおよびシャッタプレート110の反射板110dにより、シャッタ羽根120がピンホールを形成する位置を検出すると同時に時間制御も行うセンサ(例えば反射型のPRセンサや透過型のPIセンサなど)であり、シャッタベース130の角孔130cに嵌入されている。
【0050】
図4は、図1に示すカメラの鏡胴に内蔵された電磁駆動シャッタを示す、前面斜め上から見た外観斜視図である。
【0051】
この電磁駆動シャッタ100は、図3に示す分解斜視図の各部品を組み立てて前面斜め上から見た図であり、シャッタプレート110と、シャッタ羽根120と、シャッタベース130と、ロータ140と、第1のコイル151と、第2のコイル152と、ヨーク160と、押え板170と、羽根センサ180とから構成されている。但し、シャッタ羽根120が開いた状態の図であるため、シャッタ羽根120は図示されていない。
【0052】
図5は、図1に示すカメラの鏡胴に内蔵された電磁駆動シャッタを示す、前面から見た平面図である。
【0053】
この電磁駆動シャッタ100は、図3に示す分解斜視図の各部品を組み立てて押え板170を取り外して正面から見た図であり、シャッタプレート110と、シャッタ羽根120と、シャッタベース130と、ロータ140と、第1のコイル151と、第2のコイル152と、ヨーク160と、羽根センサ180とから構成されている。但し、シャッタプレート110はシャッタベース130の後ろにあり、シャッタ羽根120が開いた状態の図であるため、シャッタプレート110とシャッタ羽根120は図示されていない。
【0054】
このように構成された電磁駆動シャッタでは、第1のコイル151および第2のコイル152がロータ140を挟むように配置され、これら二つのコイルを貫通したヨーク160の両端がロータ140に近接しているので、通電を受けて生ずる磁力が、ヨーク160の、ロータ140に近接する部分に導かれる過程での磁力損失が少ない。従って、その分ロータ140の駆動力が増している。
【0055】
また、第1のコイル151および第2のコイル152が、通電を受けて生ずる磁力が、ヨーク160の、ロータ140に近接する部分に導かれる過程で、ヨークが全体として板状になっているので、この磁力の方向が曲げられることがなく、磁力損失が少ない。従って、ロータ140の駆動力が大きくなっている。
【0056】
さらに、本実施形態では、ヨーク160の、ロータ140に磁力の作用を与える部分である、第2のヨーク部材1621、第3のヨーク部材1631、第4のヨーク部材1622、および第5のヨーク部材1632は、板材からなり、プレス加工により成型されている。そのため、寸法精度が非常に高く、ヨーク160の両端部とロータ140との間隔が極めて狭くなっている。従ってヨーク160の両端部とロータ140との間での磁力損失が少なく、ロータ140の駆動力が大きくなっている。
【0057】
また、この電磁駆動シャッタでは、二つのコイルを貫通したヨーク160の両端部で磁力が決まるので、シャッタベース130の開口130fを取り巻いて延びた部分である第1のヨーク部材161での磁力損失はある程度大きくても差し支えがない。そのため、第1のヨーク部材161の、断面積を小さくすることができる。従って、シャッタプレート面内方向の厚さ寸法Wを垂直な方向の高さ寸法Hよりも薄くすることにより、シャッタ羽根開閉用の電磁駆動機構の構成部品以外の部品をを配置するスペースをより広く確保することができる。本実施形態では、その部品の一例として、羽根センサ180が取り付けられている。
【0058】
さらに、本実施形態では、ヨーク160の、第1のコイル151を貫通している部分は、板材からなる第2のヨーク部材1621および第3のヨーク部材1631が積層されており、また、ヨーク160の、第2のコイル152を貫通している部分は、板材からなる第4のヨーク部材1622および第5のヨーク部材1632が積層されている。従って、ヨーク160の、これら2つのコイルを貫通している部分での渦電流が抑えられ、その結果、この部分での磁力損失が抑えられている。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、磁力損失が抑えられ、かつ、シャッタ羽根開閉用の電磁駆動機構の構成部品の配置スペースを抑えた電磁駆動シャッタが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電磁駆動シャッタの一実施形態を備えたカメラを前面斜め上から見た外観斜視図である。
【図2】図1のカメラを背面斜め上から見た外観斜視図である。
【図3】図1に示すカメラの鏡胴に内蔵された電磁駆動シャッタを示す、分解斜視図である。
【図4】図1に示すカメラの鏡胴に内蔵された電磁駆動シャッタを示す、前面斜め上から見た外観斜視図である。
【図5】図1に示すカメラの鏡胴に内蔵された電磁駆動シャッタを示す、前面から見た平面図である。
【図6】従来のあるカメラに内蔵された電磁駆動シャッタの基本構造を示す図である。
【符号の説明】
10 カメラ
11 鏡胴
11a 撮影レンズ
12 AF投光窓
13 AF受光窓
14 ファインダ対物窓
15 AE受光窓
16 シャッタボタン
17 フラッシュ発光部
18 ファインダ接眼窓
100 電磁駆動シャッタ
110 シャッタプレート
110a 長孔
110b 第1の凹部
110c 第2の凹部
110d 反射板
110e 開口
120 シャッタ羽根
121 第1のシャッタ羽根部材
121a 丸孔
121b 長孔
121c 突起
122 第2のシャッタ羽根部材
122a 丸孔
122b 長孔
130 シャッタベース
130a 凹部
130b 長孔
130c 角孔
130d 凸部
130e 凸部
130f 開口
140 ロータ
140a N極
140b S極
140c 回動軸
140d レバー
140e ピン
151 第1のコイル
152 第2のコイル
160 ヨーク
161 第1のヨーク部材
1621 第2のヨーク部材
1621a 丸孔
1631 第3のヨーク部材
1631a 丸孔
1622 第4のヨーク部材
1622a 丸孔
1632 第5のヨーク部材
1632a 丸孔
170 押え板
170a 丸孔
170b 凸部
170c 凸部
180 羽根センサ
200 電磁駆動シャッタ
230 シャッタプレート
240 ロータ
250 コイル
260 ヨーク

Claims (4)

  1. 光束が通過する開口が設けられたシャッタプレートと、
    前記開口を開閉自在に塞ぐシャッタ羽根と、
    前記シャッタプレートに取り付けられ、磁力の作用を受けて回動して前記シャッタ羽根を開閉させるロータと、
    前記ロータを挟むように配置され、通電を受けて前記ロータを回動させる一対のコイルと、
    前記一対のコイルそれぞれを貫通し前記ロータに近接して配置される、少なくとも各1個の端ヨーク部分と、前記開口を取り巻いて該端ヨーク部分とつながることにより該一対のコイルどうしを結んだ連結ヨーク部分とを有した、該端ヨーク部分が、前記シャッタプレートの面内方向の厚さ寸法よりも該シャッタプレートに垂直な方向の高さ寸法の方が小さな寸法を有し、該連結ヨーク部分が、該厚さ寸法よりも該高さ寸法の方が大きな寸法を有するヨークとを備えたことを特徴とする電磁駆動シャッタ。
  2. 前記ヨークは、前記連結ヨーク部分と前記端ヨーク部分の少なくとも一部とが1つの部材によって構成されたものであり、該部材のうち該端ヨーク部分に属する箇所は、該部材の先端の幅広な面が前記シャッタプレートと対向する側を向くように折り曲げられてなるものであることを特徴とする請求項1記載の電磁駆動シャッタ。
  3. 前記ヨークが、前記一対のコイルそれぞれを貫通する、前記端ヨーク部の少なくとも一部を構成する少なくとも各1個の端部材と、前記開口を取り囲んで該端部材と接触する、前記連結ヨーク部および前記端ヨーク部の高々一部を構成する1個の連結部材との、合計3個以上の部材からなるものであることを特徴とする請求項1記載の電磁駆動シャッタ。
  4. 前記ヨークは、前記端ヨーク部分の少なくとも前記ロータ側の一部が、複数枚積層された板材からなるものであることを特徴とする請求項1記載の電磁駆動シャッタ。
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