JP3982610B2 - 電子部品における合成樹脂製パッケージ体からロス合成樹脂を切り離す方法及びその装置 - Google Patents

電子部品における合成樹脂製パッケージ体からロス合成樹脂を切り離す方法及びその装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,半導体チップ等の電子部品を密封する合成樹脂製のパッケージ体を成形するに際して,その溶融合成樹脂の注入口に発生するロス合成樹脂を前記パッケージ体から切断によって切り離す方法と,その装置とに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
最近,絶縁基板に搭載した半導体チップ,チップ抵抗器又はチップコンデンサ等の電子部品は,これをポリアミド樹脂等のように比較的柔らかな材質の熱可塑性合成樹脂によるパッケージ体で密封することが行われている。
【0003】
すなわち,図1に示すように,半導体チップ等の電子部品2の複数個を搭載した絶縁基板2の表面に,図2に示すように,前記各電子部品2ごとの成形用キャビティー4を設けた成形用金型3を押し当て,この状態で,前記各成形用キャビティー4に,その各々に対する注入口5からポリアミド樹脂等の合成樹脂を溶融状態で注入することにより,図3及び図4に示すように,前記各電子部品2を密封するパッケージ体6を成形し,そして,前記注入口5内で固まったロス合成樹脂7を,前記パッケージ体6から切り離すようにしている。
【0004】
ところで,前記した各パッケージ体6が,エポシキ樹脂等の熱硬化性合成樹脂製である場合には,前記注入口5内で固まったロス合成樹脂7は,パッケージ体6に対する付け根部において折ることによって,パッケージ体6から容易に切り離すことができる。
【0005】
これに対して,ポリアミド樹脂等のように比較的柔らかな材質の熱可塑性合成樹脂である場合には,ロス合成樹脂7を,パッケージ体6に対する付け根部において折ることができない。
【0006】
そこで,従来は,前記ロス合成樹脂7を,パッケージ体6の付け根部において刃物にて切断することによって切り離すようにしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし,前記ロス合成樹脂7の付け根部を刃物にて切断することは,刃物がパッケージ体6に触れて,これに傷を付けることが多発するばかりか,前記ロス合成樹脂7の切り高さ,つまり,パッケージ体6の表面からの切断部までの切り高さが可成り高くなるのであり,しかも,その切り高さが,複数個の各パッケージ体について不揃いになるという問題があった。
【0008】
本発明は,この問題を解消した方法と,装置とを提供することを技術的課題とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この技術的課題を達成するため本発明の方法は,第1に,請求項1に記載したように,
電子部品を密封する合成樹脂製パッケージ体の表面のうち当該パッケージ体の成形の際に溶融合成樹脂注入口内で固まるロス合成樹脂が突出する部分に,薄金属板製の刃物板を,前記ロス合成樹脂が当該刃物板を貫通してその表面側に突出するように重ね合わせ,更に,この刃物板の表面側に,支持板を,前記ロス合成樹脂が当該支持板を貫通してその表面側に突出するように重ね合わせ,次いで,前記パッケージ体及び支持板と前記刃物板とを,前記パッケージ体の表面に沿った方向に相対的に移動する。」
ことを特徴としている。
【0010】
本発明の装置は,請求項2に記載したように,
電子部品を密封する合成樹脂製パッケージ体の表面のうち当該パッケージ体の成形の際に溶融合成樹脂注入口内で固まるロス合成樹脂が突出する部分に前記ロス合成樹脂が貫通するように重ね合わせた薄金属板製の刃物板と,この刃物板の表面に前記ロス合成樹脂が貫通するように重ね合わせた支持板とから成り,更に,前記パッケージ体及び支持板と前記刃物板を前記パッケージ体の表面に沿った方向に相対的に移動する手段を備えている。」
ことを特徴としている。
【0011】
【0012】
【0013】
【発明の作用・効果】
請求項1及び3に記載したように構成することにより,パッケージ体から突出するロス合成樹脂の付け根部を,パッケージ体及び支持板とで間に挟まれている刃物板との相対的な移動にてギロチン式に確実に切断することができるのであり,この切断は,前記パッケージ体及び支持体と刃物板との相対的な移動によるから,パッケージ体の表面に傷を付けるおそれが全くないばかりか,前記ロス合成樹脂におけるパッケージ体の表面からの切り高さを殆ど零にすることができる。しかも,前記刃物板が金属板製であることにより,その耐久性が高いとともに,刃物板を相対的に移動することに要する抵抗を大幅に低減できる。
【0014】
【0015】
【0016】
特に,請求項2の記載によると,前記したロス合成樹脂の切断を,複数個のパッケージ体について同時に行うことができるから,作業能率を大幅に向上でき,切断に要するコストを低減できる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下,本発明の実施の形態を図面について説明する。
【0018】
図5及び図6は,本発明に対する参考例を示す。
【0019】
この図において,符号1は,前記図1〜4に示すように,上面に複数個のパッケージ体6をポリアミド樹脂等の熱可塑性合成樹脂にて成形して成る絶縁基板を示し,その各パッケージ体6の上面には,当該パッケージ体6を成形するときにおいて溶融合成樹脂の注入口5内に発生するロス合成樹脂7が上向きに突出している。
【0020】
また,符号11は,厚さ0.05〜0.1mmにしたステンレス鋼又はばね鋼等による金属板製の薄板を示す。
【0021】
この薄板11を,前記絶縁基板1の上面に同じ平面に並べて成形したおける各パッケージ体6の上面に対して重ね合わせる。
【0022】
このとき,この薄板11のうち前記各パッケージ体6におけるロス合成樹脂7に該当する箇所には,ロス合成樹脂7が通る抜き孔11aを穿設して,前記ロス合成樹脂7が薄板11を貫通してその上面側に突出するように構成する。
【0023】
そして,前記薄板11の上面側に,ホルダー12に装着した薄金属製の刃物13を,当該刃物13が薄板11の上面に接触するように配設して,この刃物13を,図示しない横移動機構により,前記絶縁基板1及び薄板11を動くことがないように固定した状態で,図6に矢印Aで示すように,前記各パッケージ体6の上面に沿った方向に移動する。
【0024】
この刃物13における薄板11の上面に接触した状態での移動により,各パッケージ体6から突出するロス合成樹脂7の付け根部を,当該刃物13が各パッケージ体6に接触することを前記薄板11にて阻止した状態のもとで順次確実に切断することができ,しかも,前記各ロス合成樹脂7におけるパッケージ体6の表面からの切り高さを,前記薄板11の厚さに略等しく低くすることができるとともに,複数個の各パッケージ体6について略一定に揃えることができる。
【0025】
なお,前記した切断に際しては,前記したように,絶縁基板1及び薄板11を動くことがないように固定した状態で刃物13のみを移動することに代えて,刃物13を動くことがないように固定した状態で絶縁基板1及び薄板11を移動するように構成するか,或いは,絶縁基板1及び薄板11と刃物13とを互いに逆方向に移動するように構成しても良いのである。
【0026】
次に,図7及び図8は,本発明における実施の形態を示す。
【0027】
この図において,符号1は,前記図1〜4に示すように,上面に複数個のパッケージ体6をポリアミド樹脂等の熱可塑性合成樹脂にて成形して成る絶縁基板を示し,その各パッケージ体6の上面には,当該パッケージ体6を成形するときに発生するロス合成樹脂7が上向きに突出している。
【0028】
また,符号14は,厚さ0.05〜0.1mmにしたステンレス鋼又はばね鋼等による金属板製の刃物板を,符号15は,金属板製の支持板を各々示す。
【0029】
そして,前記刃物板14を,前記絶縁基板1の上面に同じ平面に並べて成形したおける各パッケージ体6の上面に対して重ね合わせ,更に,この刃物板14の上面に,前記支持板15を重ね合わせる。
【0030】
このとき,前記刃物板14及び支持板15のうち前記各パッケージ体6におけるロス合成樹脂7に該当する箇所には,ロス合成樹脂7が通る抜き孔14a,15aを穿設して,前記ロス合成樹脂7が刃物板14及び支持板15を貫通して支持板15の上面側に突出するように構成する。
【0031】
そして,前記絶縁基板1及び支持板15を,動くことがないように固定した状態で,刃物板14のみを,図示しない横移動機構により,図8に矢印Bで示すように,前記各パッケージ体6の上面に沿った方向に移動する。
【0032】
このように刃物板14が,各パッケージ体及び支持板との間に挟まれた状態で移動することにより,各パッケージ体6から突出するロス合成樹脂7の付け根部をギロチン式に一斉(同時)に確実に切断することができるのであり,この切断は,前記刃物板14における各パッケージ体6の上面に沿った移動によるから,各パッケージ体6の表面に傷を付けるおそれが全くないばかりか,前記ロス合成樹脂7におけるパッケージ体6の表面からの切り高さを殆ど零にすることができる。
【0033】
なお,この切断に際しても,前記したように,絶縁基板1及び支持板15を動くことがないように固定した状態で刃物板14のみを移動することに代えて,刃物板14を動くことがないように固定した状態で絶縁基板1及び支持板15を移動するように構成するか,或いは,絶縁基板1及び支持板15と刃物板14とを互いに逆方向に移動するように構成しても良いことは勿論である。
【0034】
また,前記した実施の形態は,パッケージ6の複数個を,絶縁基板1に対して同じ平面に並べて設けた場合であったが,本発明は,これに限らず,パッケージ体の複数個を,リードフレームに対して同じ平面に並べて設けた場合にも適用することができるばかりか,別々に成形した複数個のパッケージ体であっても,この複数個のパッケージ体を,同じ平面に並べることによって同様に適用できるのである。
【0035】
更にまた,前記した実施の形態は,絶縁基板1の各パッケージ体6におけるロス合成樹脂7を上向きにした状態でこれを切断する場合であったが,本発明は,これに限らず,絶縁基板1の各パッケージ体6におけるロス合成樹脂7を,図とは逆に下向きにした状態でこれを切断するようにしても良いことはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 複数個の電子部品を搭載した絶縁基板を示す斜視図である。
【図2】 前記絶縁基板に電子部品を密封するパッケージ体を成形している状態を示す縦断正面図である。
【図3】 パッケージ体を成形した絶縁基板を示す斜視図である。
【図4】 図3のIV−IV視拡大断面図である。
【図5】 本発明に対する参考例を示す斜視図である。
【図6】 図5のVI−VI視拡大断面図である。
【図7】 本発明における実施の形態を示す斜視図である。
【図8】 図7のVIII−VIII視拡大断面図である。
【符号の説明】
1 絶縁基板
2 電子部品
3 成形用金型
4 キャビティー
5 溶融合成樹脂の注入口
6 パッケージ体
14 刃物板
14a 抜き孔
15 支持板
15a 抜き孔

Claims (3)

  1. 電子部品を密封する合成樹脂製パッケージ体の表面のうち当該パッケージ体の成形の際に溶融合成樹脂注入口内で固まるロス合成樹脂が突出する部分に,薄金属板製の刃物板を,前記ロス合成樹脂が当該刃物板を貫通してその表面側に突出するように重ね合わせ,更に,この刃物板の表面側に,支持板を,前記ロス合成樹脂が当該支持板を貫通してその表面側に突出するように重ね合わせ,次いで,前記パッケージ体及び支持板と前記刃物板とを,前記パッケージ体の表面に沿った方向に相対的に移動することを特徴とする電子部品における合成樹脂製パッケージ体からロス合成樹脂を切り離す方法。
  2. 前記請求項1の記載において,一枚の刃物板及び支持板を,同じ平面に並べた複数個のパッケージ体にわたって重ね合わせることを特徴とする電子部品における合成樹脂製パッケージ体からロス合成樹脂を切り離す方法。
  3. 電子部品を密封する合成樹脂製パッケージ体の表面のうち当該パッケージ体の成形の際に溶融合成樹脂注入口内で固まるロス合成樹脂が突出する部分に前記ロス合成樹脂が貫通するように重ね合わせた薄金属板製の刃物板と,この刃物板の表面に前記ロス合成樹脂が貫通するように重ね合わせた支持板とから成り,更に,前記パッケージ体及び支持板と前記刃物板を前記パッケージ体の表面に沿った方向に相対的に移動する手段を備えていることを特徴とする電子部品における合成樹脂製パッケージ体からロス合成樹脂を切り離す装置。
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