JP3957579B2 - 電子部品用パッケージ及びその形成方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属板に集積回路等の電子部品を収納するための凹部を形成したキャビティ型のパッケージの形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子部品の高密度化及び高速化に伴い、電子部品の発熱量も増加している。このため放熱効率が高い放熱手段が要求されている。しかし、電子部品を使用する機器は、小型化によって必要な放熱特性を得るためのスペースが確保できない問題が生ずる。
【0003】
これらを支える技術として、金属板からなるキャビティタイプのパッケージが実用に供されている。このパッケージは、上記半導体集積回路等の電子部品をキャビティ内に収納することにより、電子部品の発熱を金属製のパッケージに放熱させるため、放熱効率を一段と高められることから、従来一般に採用されているセラミック製パッケージ等に変わる技術として実用化されつつある。
【0004】
図6及び図7は、上述したパッケージの適用例として半導体集積回路用パッケージを示している。パッケージ100は塑性加工が可能であり、しかもヒートスプレッダとして必要な熱伝導率が良好な銅、或いはステンレス鋼、またはアルミニウム等からなる金属素材から選択される。
【0005】
パッケージ100の一方面100a側には、方形のキャビティ101を形成すると共に、キャビティ101の底面に所定の板厚を有する底板100cを形成し、全体としてキャビティ型に形成されている。また、パッケージ100の一方面100aには、TABやフレキシブルプリント基板、或いはハードなプリント基板等からなる配線基板PBを接着剤等により接着固定される。この配線基板PBには、キャビティ101とほぼ同じ大きさの窓孔PBaが形成され、さらに、線幅及びピッチが37nm程度の多数の端子部TMがプリント配線により形成されている。この端子部TMと配線基板PBの外縁に設けた外付け端子との間には、図示しないプリント配線が施されている。
【0006】
さらに、キャビティ101には、半導体集積回路ICのチップが収納される。半導体集積回路ICはキャビティ101の底板100cに面接合状態で接着剤により固定されている。このキャビティ101の底板100cは、半導体集積回路ICをほぼ密着状態で接合させ、気泡の発生を防止するために、30nm以下の反りと平面度に形成することが条件とされている。
【0007】
半導体集積回路ICの上面には、多数の端子TPが設けられている。そして、半導体集積回路ICと配線基板PBの端子部TMとは、図示しないボンディングワイヤによって電気的に接続される。一方、半導体集積回路ICが動作中に発熱した場合は、パッケージ100自体がヒートスプレッダとしての機能を有しているため、熱がパッケージ100に伝達すると共に放熱される。
【0008】
以上の構成からなるキャビティタイプのパッケージにおいて、パッケージ1にキャビティ101を形成する方法としては、金属板をプレスにより押圧パンチを用いてキャビティを押圧加工する方法、或いは化学的なエッチング加工法によって、底部に肉薄の板厚を残すようにして、金属板に所定形状のキャビティを形成する方法がある。また、パッケージ100の外形を形成する方法としては、周知のプレスのパンチとダイにより所定寸法に打ち抜き形成している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、パッケージ100がプレスにより外形抜き加工が施されることから、図8の円内に示すように、角部にバリ103が生じたり、ナイフエッジ状に形成される。このようなバリ103は、後に脱落してキャビティ101に収納した半導体集積回路ICのチップ等に付着することがある。これにより、誤作動の原因となり、最悪の場合は不良の原因となるため、通常は外形抜き加工の後にバリ103を除去する必要がある。
【0010】
バリ103を除去する方法としては、通常、バレルが用いられる。しかし、高精度の平面度が要求されるパッケージ100においては、バレル作動時の衝撃によって変形したり、バレルに用いる微小な石や研磨材が付着し、これらを洗浄しても残留するために、微細な精度を要求される電子部品用のパッケージとして使用することができない等、要求される品質が得られない問題がある。また、他の手段としては、バリ103を面取り加工によって除去する方法もあるが、工程が増える上に、加工のために長時間を必要とするため、必然的にコストアップになる問題がある。更には、面取り加工時にワークにストレスを与えるため、必要な平面度を阻害する問題もある。
【0011】
本発明は以上のような問題点を解決するためになされたもので、所望の平面度を得ることができ、しかも、打ち抜き加工時に外縁角部を略円弧状になまらせてバリ等の発生を抑制すると共に、寸法精度を高くすることができる電子部品用パッケージおよびその加工方法を提供することを目的とする。
【0012】
【問題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、半抜き孔を有するダイと、先端面と側面との交差線の形状を上記半抜き孔と同じまたはやや小さい相似形とし、基端側に至るに従って上記半抜き孔よりも大きい相似形として、上記半抜き孔の開口端角部に対向する斜面を形成した半抜きパンチとを用い、上記ダイに設置した金属板の一方面から上記半抜きパンチを押圧して半抜き加工を施して上記開口端角部と上記斜面との間に加工硬化部を形成すると共に、上記一方面に凹部を形成すると共に他方面に上記凹部と同じまたはやや小さい相似形の凸部を形成した後、所定形状に形成したサイジング孔を有する第2のダイに上記金属板の他方面を載置すると共に、上記凸部側から押圧パンチにより上記凸部を上記一方面側に押圧して上記加工硬化部を剪断すると共に外縁角部を略円弧状になまらせた上記パッケージを形成して上記パッケージを形成し、更に、上記パッケージを上記サイジング孔に圧入して剪断面を平坦に形成することを特徴としている。
【0013】
かかる請求項1記載の発明によれば、先端角部に半抜き孔の開口端角部に対向する斜面を形成した半抜きパンチを用いると、この間に圧潰された部分が加工硬化によって硬度が高くなると共に粘性が減少するので、剪断が容易になると共に粘性によるバリの発生を抑制することができる。また、半抜き加工するときに凸部の外縁角部にダレが生じることから、角部が略円弧状に形成することができ、しかも、凸部を押圧パンチによって打ち抜くときに反対面の外縁角部にダレが生じることから、角部を略円弧状に形成することができる。更に、凸部を押圧して打ち抜くときに、所定形状に形成した第2のダイのサイジング孔に圧入してパッケージを所定形状に形成するので、パッケージの寸法精度が高くなり、しかも、剪断面が平坦に形成されるので側面を美麗にすることができる。また、バリ取り工程及びエッジを除去するバフを施す工程が不要となるため、工程が短縮でき、コストの低減に加え、ストレスが大幅に減少するために、必要な平面度を確保することができる。
【0014】
また、請求項2に記載の発明は、金属板の他方面側に形成される凸部の外縁角部の略円弧状部は半抜き加工時に形成し、一方面側に形成される略円弧状部は押圧パンチにより上記凸部を一方面方向に押圧して打ち抜く際に形成することを特徴としている。
【0015】
かかる請求項2に記載の発明によれば、パンチの押圧と押圧パンチによる打ち抜きによりパッケージの両面の角部に略円弧状部を形成することができるので、バリやエッジの発生を抑制したパッケージを形成することができる。
【0018】
また、請求項に記載の発明は、電子部品を収納する収納部を形成した電子部品用パッケージであって、請求項1または請求項のいずれかに記載の形成方法によって形成されたこと特徴としている。
【0019】
かかる請求項に記載の電子部品用パッケージによれば、バリの発生を抑制した形成方法によってパッケージを形成するので、バリ取り工程及びエッジを除去するバフを施す工程による変形やストレスが大幅に減少するために、必要な平面度が確保され、しかも、所定形状に形成した第2のダイのサイジング孔に圧入されるので、剪断面が平坦に形成され側面が美麗に形成されると共に、パッケージとして必要な寸法精度が高い高精度なパッケージを提供することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による電子部品用パッケージの加工方法について、図面に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。
【0021】
図2は、本発明にかかるパッケージの適用例として半導体集積回路用パッケージを示している。パッケージ1は塑性加工が可能であり、しかもヒートスプレッダとして必要な熱伝導率が良好な銅、銅合金、或いはアルミニウム、またはステンレス鋼等からなる金属素材から選択される。
【0022】
パッケージ1の一方面1a側には、方形のキャビティ2を形成すると共に、キャビティ2の底面に所定の板厚を有する底板1cが形成されている。そして、パッケージ1の一方面1a側、および、他方面側1bの周縁角部3は、後述する形成方法によって略円弧状に形成されている。
【0023】
以上の構成からなるパッケージ1は、図5に示すように、一方面1aに形成したキャビティ2に半導体集積回路ICのチップが収納される。半導体集積回路ICはキャビティ2の底板1cに面接合状態で接着剤により固定されている。このキャビティ2の底板1cは、半導体集積回路ICをほぼ密着状態で接合させるために、30nm以下の反りと平面度に形成される。
【0024】
また、パッケージ1の一方面1aには、図6において説明したように、TABやフレキシブルプリント基板、或いは通常のプリント基板等からなる配線基板PBを接着剤等により接着固定される。半導体集積回路ICの上面には多数の端子TPが設けられ、配線基板PBの端子部とボンディングワイヤ7によって電気的に接続される。さらに、パッケージ1のキャビティ2に封止剤8を注入し、半導体集積回路ICと上記ボンディングワイヤ7を封止している。ここで、符号9はハンダボールを示し、図示しない電子装置の回路基板と配線基板PBとを電気的に接続するようにしている。また、キャビティ2に収納された半導体集積回路ICのチップが動作中に発熱した場合は、パッケージ1自体がヒートスプレッダとしての機能を有しているため、熱がパッケージ1に伝達すると共に外方に放熱される。以上説明したパッケージ1は、図1に示す加工方法によって金属板から形成される。
【0025】
図1(A)乃至(D)は、パッケージ1の加工工程を示している。図1(A)は、パッケージ1の素材となる金属板10であり、この金属板素材は、主として熱伝導率が良好な銅、銅合金、或いはアルミニウム、またはステンレス鋼等から選択され、所定の面積を有する単体の金属板、または、連続したフープ材が使用される。金属板10の一方面10aには、予めキャビティ2が適宜の手段によって形成されている。
【0026】
この金属板10は、図1(B)に示すように、プレス機の固定側に設置した、半抜き孔11を有する第1のダイ11に位置決めした状態で載置した後、一方面側10aから所定形状の半抜きパンチ12を下降する。半抜きパンチ12の押圧によってダイ11の半抜き孔11a内に金属板10が陥没するように半抜き加工され、金属板10の一方面側10aには凹部4が押圧形成されると共に他方面側10bには上記半抜き孔11a内に嵌合した凸部5が形成される。
【0027】
ここで使用される半抜きパンチ12は、少なくとも先端側の側面に斜面12aを形成している。即ち、半抜きパンチ12の平坦な先端面と側面の斜面12aとの交差線により形成される形状は、第1のダイ11の半抜き孔11aと同じ、または小さい相似形とし、基端側に至るに従って半抜き孔11aよりも大きい相似形としている。つまり、図1(B)に示すように、半抜きパンチ12の先端面の交差線による幅W1は、第1のダイ11の半抜き孔11aの幅W2と同じ、または小さく形成している。従って、半抜き孔11aの開口端角部には、斜面12aが対向するように形成されている。半抜きパンチ12と第1のダイ11の半抜き孔11aを以上のように構成した結果、凸部5は、凹部4と同じ、またはやや小さい相似形に突出形成される。そして、この半抜き加工するときに、図1(B)に示す円内の拡大図のように、凸部5の外縁の角部3にダレが生じることから、角部3が略円弧状に形成される。
【0028】
また、ダイ11の半抜き孔11aの開口端角部に半抜きパンチ12の斜面12aを対向させていることから、半抜きパンチ12を下降したとき、半抜き孔11aの開口端角部と、半抜きパンチ12の斜面12aとの間の金属板10が圧潰され、この部分に加工硬化が生じて加工硬化部6が形成される。この結果、加工硬化部6は硬度が高くなると共に粘性が減少するので剪断が容易になる。尚、上記半抜き加工時に、凹部4の平面度を確保するために、バネ13によって上方に付勢された押し板14を当接させることが望ましい。
【0029】
以上のように半抜き加工された金属板10は、次に、図1(C)乃至(D)に示す加工が施される。この加工に使用されるプレス金型は、半抜き加工された金属板10を位置決めした状態で載置するための位置決め手段(図示せず)及び、上記半抜き加工により形成された凸部5よりもやや小さい相似形であり、かつ、後述するパッケージ1として定められた寸法及び形状に設定されたサイジング孔15a有する第2のダイ15と、サイジング孔15aに嵌合する程度にやや小さい相似形とした押圧パンチ16を少なくとも備えている。尚、符号17は、上記凸部5の周囲を押圧付勢するためにバネによって押圧付勢した押圧板である。
【0030】
そして、半抜き加工された金属板10を、図1(C)に示すように、凹部4が上記半抜き孔11aよりも内側になるように第2のダイ15に位置決めした状態で載置する。その後、押圧パンチ16を下降して金属板10の凸部5を押圧し、図1(D)に示すように凸部5を陥没させると同時に打ち抜く。このとき、加工硬化によって硬度が高くなった加工硬化部6のうち、特に、図1(C)の円内の拡大図に示すように、半抜きパンチ12の先端面の交差線によって形成された内角線7から他方面10bの近接線8に向けて剪断される。この剪断面9は、凸部5が凹部4と同じ、またはやや小さい相似形に形成されているので、ストレート、或いはややテーパ状に形成される。また、加工硬化部6は粘性が減少していることから剪断が容易になると共に、粘性によるバリの発生が抑制されるので、剪断面も美麗に形成される。
【0031】
更に、剪断によって形成された中間品を押圧パンチ16によって押圧し、図1(E)に示すように、第2のダイ15のサイジング孔15aに圧入する。この結果、上記中間品の側面がサイジング孔15aによってサイジングされ、所定寸法のパッケージ1が形成される。また、パッケージ1をサイジング孔15aに圧入することにより、パッケージ1の剪断面が平坦面に形成される。以上のように、凸部5を押圧により剪断するとき、および、サイジング孔15aに圧入するときに外縁にダレが生じ、図2に示すように、パッケージ1の角部3が略円弧状に形成される。
【0032】
このようにパッケージ1を形成することにより、先端角部12aに半抜き孔11aの開口端角部に対向する斜面を形成した半抜きパンチ12を用い、この間に金属板10を圧潰して加工硬化させ、硬度を高くして粘性を減少させるので、剪断が容易になると共に粘性によるバリの発生を抑制することができる。また、半抜き加工するときに凸部5の外縁角部3にダレが生じることから、外縁角部3を略円弧状に形成することができ、しかも、凸部5を押圧パンチ16によって打ち抜くときに反対面の外縁角部3にダレが生じることから、角部を略円弧状に形成することができる。更に、バリ取り工程及びエッジを除去するバフを施す工程が不要となるため、工程が短縮でき、コストの低減に加え、ストレスが大幅に減少するので、必要な平面度を確保することができる。
【0033】
図3は、本発明におけるパッケージの他の形成方法を示している。図3(A)は、前述した図1(B)と基本的構成は同じであるが、相違する構成は、金属板10の他方面10bには弾性体からなるバネ20によって上方に弾圧付勢された押し板21を当接していることである。従って、図1(B)と同符号は同部品を示し、その説明を省略する。
【0034】
図3(A)に示すように、金属板10の一方面側10aには凹部4が押圧形成されると共に、他方面側10bに凸部5が形成される。ここで使用する半抜きパンチは、先端側の側面に斜面12aを形成している。即ち、半抜きパンチ12の平坦な先端面と側面の斜面12aとの交差線により形成される形状は、ダイ11の半抜き孔11aと同じ、または小さい相似形とし、基端側に至るに従って半抜き孔11aよりも大きい相似形としている。そして、半抜き孔11aの開口端角部には斜面12aを対向させている。この結果、凸部5は、凹部4と同じ、またはやや小さい相似形に突出形成される。このように形成した半抜きパンチ12を用いて半抜き加工すると、図3(B)に示す円内の拡大図のように、凸部5の外縁の角部3にダレが生じることから略円弧状に形成される。
【0035】
また、上述のように、ダイ11の半抜き孔11aの開口端角部に半抜きパンチ12の斜面12aを対向させているので、半抜きパンチ12を下降したとき、半抜き孔11aの開口端角部と、半抜きパンチ12の斜面12aとの間の金属板10が圧潰され、この部分に加工硬化が生じて加工硬化部6が形成される。この結果、加工硬化部6の硬度が高くなり粘性が減少するので剪断が容易になる。
【0036】
一方、金属板10の他方面10bには弾性体からなるバネ20によって上方に弾圧付勢された押し板21を当接している。そして、この押し板21は、上記半抜き加工時に半抜きパンチ12の押圧力により、バネ20の弾力に抗して他方面側10bに形成される凸部5と共に下降する。また、この押し板20は、上記半抜き加工時には、凹部4の平面度を確保する機能を有している。更に、半抜きパンチ12の周囲に位置する金属板10の一方面10aには、バネによって弾性付勢された押し板17を当接させて押圧している。
【0037】
以上のように金属板10を半抜き加工した後、半抜きパンチ12は金属板10から離間するように上方に後退する。この半抜きパンチ12の動作に従動して金属板10の他方面10bに当接していた押圧板21もバネ20の弾力によって上昇しようとする。このとき、押し板21を弾圧付勢するバネ20の弾力は、凸部5を押し戻すに十分な押圧力に設定されている。また、押し板17を押圧するバネの弾力は、バネ20の弾力よりも十分大きく設定している。
【0038】
この結果、図3(B)に示すように、金属板10の他方面10bに形成された凸部5が押し板14によって上方に押し戻され、凸部5を陥没させると共に打ち抜かれて金属板10から離脱し、パッケージ1が形成される。
【0039】
このように、押し板21の付勢力により打ち抜かれる個所は、加工硬化によって硬度が増した加工硬化部6であり、特に、図3(A)の円内の拡大図に示すように、半抜きパンチ12の先端面の交差線によって形成された内角線7から他方面10bの近接線8に向けて剪断される。この剪断面9は、凸部5が凹部4と同じ、またはやや小さい相似形に形成されているので、ストレート、或いはややテーパ状に形成される。この状態から、押し板21の付勢力により更に上昇すると、剪断面に対向する金属板10の内面との間が相対的に移動する。このため、外面の肉が下方に引かれて上記テーパ状に形成された部分に移動する。この結果、パッケージ1の外面はほぼ平坦に形成される。
【0040】
また、加工硬化部6は粘性が減少していることから容易に剪断されると共に、粘性によるバリの発生が抑制されるので、剪断面も美麗に形成される。また、パッケージ1の外縁は、凸部5の陥没から打ち抜き加工時にダレが生じ、図3(B)の円内に示した拡大図のように、角部3が略円弧状に形成される。
【0041】
このようにして形成されたパッケージ1は、素材となる金属板10に半抜き加工によって凸部5を形成する際に、凸部5の外縁角部を略円弧状に形成し、次の押し板21による押し戻し時に、上記外縁角部とは反対側の角部に対して故意にダレを生じさせ、外縁角部を略円弧状に形成することで、両面の外縁角部を略円弧状になまらせることができる。この結果、バレル等を用いたバリ取り工程が不要となり、工程の短縮が可能になると共に、コストの低減に加え、ワークにストレスが大幅に減少するために、必要な平面度が確保できる等、この種のパッケージ1として従来から求めていたニーズに応えることが可能となった。
【0042】
図4は、図1および図3に示した半抜きパンチの変形例を示している。図4の半抜きパンチ20は、先端面の外周角部を円弧状に形成した円弧部21を形成している。この半抜きパンチ20は、先端の平坦面をダイ11の半抜き孔11aと同じ、またはやや小さく形成しているので、ダイ11の半抜き孔11aの開口端角部と半抜きパンチ20の先端近傍との間で金属板10を圧潰し、硬度が高くなるように加工硬化を生じさせた加工硬化部が形成される。その後、図1(C)および図3(D)に示したように、金属板10の他方面10bに形成された凸部22を押し板14によって上方に押し戻すことにより、凸部22を陥没させると同時に打ち抜くことにより金属板10から離脱させ、パッケージ1を形成することは前述の例と同様である。
【0043】
以上説明した実施形態においては、両面の外縁角部をほぼ同じようになまらせているが、パッケージの種別によって、必要な面の外縁角部の円弧を大きくし、多方面を小さくする等、なまらせる大きさに差を設けても良い。また、パッケージの形状、および、キャビティの形状等については種々に異ならせても良く、本発明はこれら実施形態に限定されることなく、本発明を逸脱しない範囲において種々変更することは可能である。
【0044】
【発明の効果】
以上述べたように、請求項1記載の発明にかかる電子部品用パッケージの形成方法は、半抜き孔の開口端角部と半抜きパンチの斜面を対向させて圧潰することにより、加工硬化によって硬度を高くすると共に粘性を減少させるので、剪断が容易になると共に粘性によるバリの発生を抑制することができる。また、半抜き加工するときに凸部の外縁角部にダレが生じることから、角部が略円弧状に形成することができ、しかも、凸部を押圧パンチによって打ち抜くときに反対面の外縁角部にダレが生じることから、角部を略円弧状に形成することができる。更に、凸部を押圧して打ち抜くときに、所定形状に形成した第2のダイのサイジング孔に圧入してパッケージを所定形状に形成するので、パッケージの寸法精度が高くなり、しかも、側面を美麗にすることができる。また、バリ取り工程及びエッジを除去するバフを施す工程が不要となるため、工程が短縮でき、コストの低減に加え、ストレスが大幅に減少するために、必要な平面度を確保することができる。
【0045】
また、請求項2に記載の電子部品用パッケージの形成方法によれば、パンチの押圧と押圧パンチによる打ち抜きによりパッケージの両面の角部に略円弧状部を形成することができるので、バリやエッジの発生を抑制したパッケージを形成することができる。
【0047】
また、請求項に記載の電子部品用パッケージによれば、バリの発生を抑制した形成方法によってパッケージを形成するので、バリ取り工程及びエッジを除去するバフを施す工程による変形やストレスが大幅に減少するために、必要な平面度が確保される、しかも、所定形状に形成した第2のダイのサイジング孔に圧入されるので、側面が美麗に形成されると共に、パッケージとして必要な寸法精度が高い高精度なパッケージを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)乃至(D)は、本発明にかかる電子部品用パッケージの形成方法を示す工程説明図である。
【図2】本発明にかかるパッケージを示す断面図である。
【図3】(A)乃至(C)は、本発明にかかる電子部品用パッケージの形成方法の他の形成方法を示す工程説明図である。
【図4】本発明の形成方法における押圧パンチの変形例を示す断面図である。
【図5】本発明にかかる電子部品用パッケージの適用例を示す断面図である。
【図6】電子部品用パッケージの適用例を示す斜視図である。
【図7】従来のパッケージを示す断面図である。
【符号の説明】
1 パッケージ
1a 一方面
1b 他方面
2 キャビティ
3 角部
4 凹部
5 凸部
6 加工硬化部
7 内角線
8 近接線
9 剪断面
10 金属板
10a 一方面
10b 他方面
11 第1のダイ
11a 半抜き孔
12 半抜きパンチ
12a 斜面
15 第2のダイ
15a サイジング孔
16 押圧パンチ

Claims (3)

  1. 電子部品を収納する収納部を形成した電子部品用パッケージの形成方法であって、半抜き孔を有するダイと、先端面と側面との交差線の形状を上記半抜き孔と同じまたはやや小さい相似形とし、基端側に至るに従って上記半抜き孔よりも大きい相似形として、上記半抜き孔の開口端角部に対向する斜面を形成した半抜きパンチとを用い、上記ダイに設置した金属板の一方面から上記半抜きパンチを押圧して半抜き加工を施して上記開口端角部と上記斜面との間に加工硬化部を形成すると共に、上記一方面に凹部を形成すると共に他方面に上記凹部と同じまたはやや小さい相似形の凸部を形成した後、所定形状に形成したサイジング孔を有する第2のダイに上記金属板の他方面を載置すると共に、上記凸部側から押圧パンチにより上記凸部を上記一方面側に押圧して上記加工硬化部を剪断すると共に外縁角部を略円弧状になまらせた上記パッケージを形成し、更に、上記パッケージを上記サイジング孔に圧入して剪断面を平坦に形成することを特徴とする電子部品用パッケージの形成方法。
  2. 上記金属板の上記他方面側に形成される上記凸部の外縁角部の略円弧状部は上記半抜き加工時に形成し、上記一方面側に形成される略円弧状部は上記押圧パンチにより上記凸部を一方面方向に押圧して打ち抜くときに形成することを特徴とする請求項1に記載の電子部品用パッケージの形成方法。
  3. 電子部品を収納する収納部を形成した電子部品用パッケージであって、請求項1または請求項のいずれかに記載の形成方法によって形成されたこと特徴とする電子部品用パッケージ。
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