JP3982231B2 - カラーフィルタの製造方法とカラーフィルタ及び液晶装置並びに電子機器 - Google Patents

カラーフィルタの製造方法とカラーフィルタ及び液晶装置並びに電子機器 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カラーフィルタの製造方法とカラーフィルタ及び液晶装置並びに電子機器に関するものであり、特に、インクジェット法で有色のアライメントマークを作製することで、アライメントマークを作製する際のパターン形成精度を向上させることが可能な技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ノートパソコン、携帯電話機、電子手帳等の電子機器においては、情報を表示する手段として、小型化、薄厚化、省エネルギー等に優れている液晶表示装置が広く使用されている。最近では、これらの電子機器の表示部のカラー化に伴い、一方の基板にカラーフィルタを配置してフルカラー表示を可能とした液晶装置が主流になっている。
カラーフィルタは、ガラス、プラスチック等により構成された透明基板の表面に、例えば、R(赤)、G(緑)、B(青)の着色層をストライプ配列、デルタ配列もしくはモザイク配列等の各種配列方式を用いて配列したもので、このカラーフィルタの製造方法としては、着色層の材料や製造プロセスによりいくつかの方法に分類されるが、最近ではインクジェット法により着色層用のインクをノズルから吐出させることにより、基板上に多数の着色層を形成するインクジェット方式が提案されている。
【0003】
ここで、従来のインクジェット方式によるカラーフィルタの製造方法を図12〜図16に基づき説明する。
まず、図12に示すように、基板1000上に、Al系合金またはAg系合金等の金属からなる反射層1001及びアライメントマーク1002を形成し、これら基板1000、反射層1001及びアライメントマーク1002全体を覆うレジスト層1003を形成する。なお、反射層1001及びアライメントマーク1002は、Al系合金またはAg系合金等の金属薄膜を同時にパターニングすることで得られ、より具体的には、例えば、スパッタ法、真空蒸着法等によるAl系合金またはAg系合金等の金属薄膜の形成、レジスト層塗布、露光処理、エッチング処理、レジスト層剥離の各工程を経て作製される。
【0004】
次に図13に示すように、レジスト層1003に対して露光処理及びエッチング処理を施すことにより、このレジスト層1003の一部を除去して凹部1004…を形成する。この凹部1004…は、反射層1001と、レジスト層1003の残存部であるバンク部1005とにより区画されている。
次に、図14に示すように、アライメントマーク1002を基準として、インクを吐出させるための基板1000の位置決めを行い、その後、インクジェットヘッド(図示せず)から所定の位置の凹部1004…に着色層を形成するための材料であるインクを吐出させるとともにこのインクを乾燥させて、所定の位置の凹部1004…内に、例えば、R(赤)の着色層1006…を形成する。
【0005】
次に図15に示すように、R(赤)の着色層1006…と同様にして、G(緑)の着色層1007…及びB(青)の着色層1008…を他の凹部1004…に順次形成する。なお、これら各着色層1006…、1007…、1008…は、バンク部1005により隣接する他の着色層と区分されているので、着色層同士が混じり合って混色することはない。
最後に図16に示すように、これら各着色層1006…、1007…、1008…、及びアライメントマーク1002を含む基板1000上に、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等からなるオーバーコート層1009を形成することにより、所定の特性を有するカラーフィルタが得られる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来のカラーフィルタの製造方法では、アライメントマーク1002及びバンク部1005を形成するために、露光処理並びにエッチング処理を少なくとも2回ずつ行う必要があり、製造工程が煩雑になりやすいという問題があった。
このカラーフィルタにおいては、アライメントマークは隔壁層がパターニングされる前に別途形成する必要がある。
このアライメントマークを形成するためには、アライメントマークのみを、Al系合金またはAg系合金等の金属にて形成された金属薄膜をパターニングする必要があり、そのためには、レジスト層塗布、露光処理、エッチング処理、レジスト層剥離等の工程が必要であるから、アライメントマークを形成するためだけの工程が増加し、製造コストを高める要因になっている。
また、このアライメントマークは、障壁層のパターニングと別に形成されるものであるから、その位置の精度は、障壁層に対してある程度の誤差が生じるのは避けられず、したがって、インクを吐出する際のアライメントマークパターン形成精度をこれ以上高めることは困難であった。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、簡単な工程で作製することができ、しかもアライメントマークの基板に対する位置精度が高く、その結果、インクを吐出する際のアライメントマークパターン形成精度を高めることが可能なカラーフィルタの製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、着色層の位置精度が高く、その結果、高輝度で視認性が高いカラーフィルタを比較的簡単な工程にて、しかも安価にて提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
すなわち、本発明のカラーフィルタの製造方法は、基板上に複数の着色層を備えてなるカラーフィルタの製造方法であって、基板の一主面に前記着色層を区画する隔壁層を形成する隔壁層形成工程と、アライメントパターンを有するマスクを用いて前記隔壁層を露光処理し、親インク性のアライメント領域と撥インク性領域とに区分する露光処理工程と、前記アライメント領域に吐出ノズルから所定量のインク滴を吐出し有色のアライメントマークを形成するアライメントマーク形成工程と、前記アライメントマークを用いて前記基板の位置決めを行い、前記吐出ノズルからインクを吐出して前記基板上に前記複数の着色層を形成するカラーフィルタ形成工程と、を備えてなることを特徴とする。
【0009】
このカラーフィルタの製造方法によれば、隔壁層を形成した後に、アライメントパターンを有するマスクを用いて前記隔壁層を露光処理し、前記アライメントパターンに対応する部分を親インク性のアライメント領域としかつその周囲を撥インク性領域とし、次いで、吐出ノズルからインクを吐出して前記アライメント領域上にインク滴を形成し有色のアライメントマークとするので、前記アライメント領域上のみにインク滴を形成することでインク滴の広がりを抑制することができ、隔壁層に有色のアライメントパターンを精度良く形成することができる。
【0010】
また、基板の位置決めを行う際に、有色のアライメントマークを位置決めの際の基準とし、その後、複数の着色層を形成するので、吐出ノズルの位置精度が高まり、得られる着色層の位置精度が高まる。
【0011】
本発明のカラーフィルタの製造方法は、前記隔壁層と前記インク滴との間の付着張力により前記アライメント領域外部への前記インク滴の広がりを抑制することを特徴とする。
前記隔壁層において、前記複数の着色層各々に対応する領域を親インク性領域、当該領域を除く領域を撥インク性領域としたことを特徴とする。
【0012】
この撥インク性領域の表面は撥インク性に優れるため、この撥インク性領域に付着したインク滴は、親インク性領域である画素形成領域に吸引される。したがって、インク滴が撥インク性領域を濡らして隣の画素形成領域に混入するおそれがない。これにより、インク滴の位置精度よりも高い精度を要するアライメントマークを形成することが可能である。
【0013】
また、前記吐出ノズルから所定の色のインクを吐出して前記アライメントマークを形成した後に、該アライメントマークを用いて前記基板の位置決めを行い、次いで、複数種のインクより選択した少なくとも1種のインクを前記吐出ノズルから吐出して当該色の着色層を形成する操作を繰り返し行うことを特徴とする。
【0014】
また、前記基板の一主面に、反射層を形成することを特徴とする。
このカラーフィルタの製造方法によれば、前記基板の一主面に反射層を形成することで、インク滴の形状及びインク滴同士の間隔が均一になり、着色層のコントラスト比及び視認性が向上する。その結果、高精度のカラーフィルタの製造が可能になる。
【0015】
次に、本発明のカラーフィルタは、基板の一主面に、インクからなるアライメントマークを備えた隔壁層が形成され、この隔壁層により区画された画素形成領域に着色層が形成されていることを特徴とする。
このカラーフィルタによれば、基板の一主面に形成された有色のアライメントマークを基準として、前記隔壁層により区画された画素形成領域に着色層が形成されているので、着色層の位置精度が向上する。
【0016】
前記アライメントマークは、吐出ノズルからインクを吐出して、前記隔壁層により区画された親インク性のアライメント領域上にインク滴を形成してなることを特徴とする。
前記アライメントマークは、前記隔壁層とインク滴との間の付着張力により前記インク滴の広がりを抑制するとともに、該インク滴を前記アライメント領域のみに広げたことを特徴とする。
前記基板の一主面に、反射層が形成されていることを特徴とする。
【0017】
このカラーフィルタによれば、透明かつ撥インク性の隔壁層により、前記インク滴がアライメントマークの周辺部へ広がるのを抑制するので、アライメントマークのパターン形成の精度を向上させることが可能になる。
【0018】
すなわち、上述したように、撥インク性の隔壁層の表面は撥インク性に優れるため、この撥インク性領域に付着したインク滴は、親インク性領域である画素形成領域に吸引される。したがって、インク滴が撥インク性領域を濡らして隣の画素形成領域に混入するおそれがなくなり、インク滴の位置精度よりも高い精度を要するアライメントマークを形成することが可能になる。
【0019】
本発明の液晶装置は、対向する一対の基板間に液晶が挟持され、これらの基板のいずれか一方に本発明のカラーフィルタが形成されていることを特徴とする。
この液晶装置によれば、着色層の位置精度が向上したカラーフィルタを用いたので、液晶装置のコントラスト比及び視認性を高めることが可能になる。
【0020】
また、本発明の電子機器は、本発明の液晶装置を備えていることを特徴とする。
この電子機器によれば、コントラスト比及び視認性に優れた液晶装置を表示部として備えているので、表示部の視認性を向上させることが可能になる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。なお、図1〜図11において、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材の縮尺は実際のものとは異なるように表している。
【0022】
本発明の一実施形態であるカラーフィルタ及びその製造方法について、図面を参照して説明する。
図1は本発明の一実施形態のカラーフィルタを示す平面図、図2は図1のA−A線に沿う断面図である。
図1及び図2に示すように、本発明に係るカラーフィルタ1は、基板2と、この基板2の表面(一主面)2a全面に形成される反射層3と、この反射層3上に形成され親インク性のアライメント領域4a、親インク性領域4b及び撥インク性領域4cに区分される隔壁層4と、アライメント領域4aに形成される有色のアライメントマーク5と、親インク性領域4bに形成される複数の着色層6…と、隔壁層4、有色のアライメントマーク5及び複数の着色層6…全体を覆うオーバーコート層7とを備えている。
【0023】
基板2は、光透過性材料、例えば、ガラス、透明なプラスチックフィルム等からなるもので、この基板2の表面2a上には反射層3が形成されている。
この反射層3は、Al系合金またはAg系合金等の金属膜で、その厚さは任意であるが、好ましくは0.1〜0.5μmの範囲のものである。
隔壁層4は、紫外線(UV)感光型樹脂等からなるもので、インクジェットヘッドから吐出されるインクに対して30°以上の接触角度を有するものであることが好ましい。
【0024】
アライメントマーク5は、インクジェット法により着色層6…を形成する際に、基板2の位置決めを行う際の基準となるもので、例えば、基板2の表面2aの四隅及び両側のそれぞれの中央部に形成された有色の十字形のものである。
このアライメントマーク5は、例えば、顔料により着色されたアクリル系樹脂等からなるインク滴を、平面視十字形状の親インク性のアライメント領域4a上に滴下し乾燥させることにより形成されるもので、例えば、赤色の着色層6R…を形成する際に用いるインク滴を滴下・乾燥させることにより得られる。なお、緑色の着色層6G…、あるいは青色の着色層6B…形成用のインク滴を用いて形成してもよく、これ以外の色調のインク、例えば、マゼンタ等のインク滴を用いてもよい。
【0025】
着色層6…は、例えば、顔料により着色されたアクリル系樹脂等からなるインク滴を、平面視矩形状の親インク性領域4b上に滴下し乾燥させたもので、R(赤)、G(緑)、B(青)の3原色にそれぞれ対応した赤色の着色層6R…、緑色の着色層6G…、青色の着色層6B…を備えている。ここでは、各着色層6R、6G、6Bが縦横に配置されている。
オーバーコート層7は、着色層6…を保護するとともにカラーフィルタ1の表面を平坦化するもので、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等の透明樹脂により構成されている。
【0026】
次に本実施形態のカラーフィルタの製造方法について、図3〜図9に基づき説明する。
まず、図3に示すように、基板2上に、例えば、スパッタ法、真空蒸着法等により反射層3を形成し、この反射層3上に、フッ素樹脂重合膜等からなる撥インク性の隔壁層11を形成する。
この撥インク性の隔壁層11は、表面粗さが好ましくは0.3μm以下となるように形成される。この平坦性を確保するために、場合によっては研磨等の平坦化処理を別途行っても良い。
【0027】
さらに、必要に応じて撥インク性を向上させる処理を行うことがある。例えば、以下の様なプラズマ重合による手法が好適に用いられる。
まず、このプラズマ重合による撥インク処理について説明する。この処理では、撥インク処理のための原料液を用意する。原料液としては、C410、C816等の直鎖状ポリフルオロカーボン(PFC)からなる液状の有機化合物が好適に用いられる。
【0028】
このような原料液、例えば直鎖状PFCを用意したら、この直鎖状PFCの蒸気をプラズマ処理装置内に導入し、この蒸気をプラズマ化する。すると、この直鎖状PFCの蒸気はプラズマ化されたことにより、直鎖状PFCの結合が一部切断されて活性化する。このようにして、結合の一部が切断されて活性化したPFCが反射膜3の表面に到達すると、このPFCは反射膜3の表面上で互いに重合し、撥インク性を有するフッ素樹脂重合膜となる。
【0029】
なお、撥インク処理の原料液としては、例えばデカトリエンを用いることもできる。この場合、プラズマ処理により活性化されたCF4または酸素を添加することにより、得られる重合膜に撥インク性を付与することができ、これによって、撥インク性の重合膜を形成することができる。
【0030】
また、撥インク処理の原料液としては、フルオロカーボンを用いることもできる。この場合、プラズマ処理により活性化されたCF4を添加することにより、プラズマ化により原料液であるフルオロカーボン中のフッ素の一部が離脱したとしても、上述した活性化されたフッ素が得られる重合膜中に取り込まれるため、形成するフッ素樹脂重合膜の撥インク性を高めることができる。
【0031】
次いで、図4に示すように、この撥インク性の隔壁層11の上に、予め所望のパターニングがなされたマスク12、すなわち、形成すべき親インク性のアライメント領域4a及び親インク性領域4bに対応する位置に開口12aが設けられたマスク12を用いて、紫外線(UV)照射13を行い、撥インク性の隔壁層11の所望の位置に、親インク性のアライメント領域4a及び親インク性領域4bを形成する。
【0032】
この撥インク性の隔壁層11は、紫外線(UV)照射13によりフッ素樹脂重合膜が分解されて反射膜3の表面から除去されることにより、照射部分を親インク性とすることができる。したがって、このような紫外線処理により、図5に示すように、紫外線を照射することにより感光した部分が除去されて親インク性のアライメント領域4a及び親インク性領域4bとなり、紫外線に感光しない部分が残存する撥インク性領域4cとなる。
【0033】
以上により、このような紫外線照射13を、予め所望のパターニングがなされたマスク12を用いて行うことにより、撥インク性を有する隔壁層11の所望の位置に、所望の親インク性のパターンを容易に形成することができる。したがって、親インク性のアライメント領域4a、親インク性領域4b及び撥インク性領域4cに区分された隔壁層4を形成することができる。
【0034】
次いで、図6に示すように、インクジェットヘッド15に、例えば、赤色の顔料をアクリル樹脂と共に有機溶剤に溶解して調製した赤色のインクを充填し、インクジェットヘッド15の吐出ノズル16を親インク性のアライメント領域4aに対向させ、吐出ノズル16から赤色のインクを、1滴当たりの液量が制御されたインク滴15Rとして吐出し、このインク滴15Rを親インク性のアライメント領域4aの所定の位置に付着させる。
【0035】
なお、上記のインクジェットヘッド15としては、ピエゾ素子方式、熱エネルギーを利用したサーマル方式等のものを用いることができる。また、これら以外の任意の方式のものを用いることもできる。この任意の方式は、50pl以下の容量の液体を±30μm以内の着弾位置制度で吐出することができるという条件を満たすものであればよい。
【0036】
次いで、この基板2を乾燥炉に搬入し、例えば、60℃で3分間乾燥させて有機溶剤を揮発させる。乾燥温度は有機溶剤を揮発させるのに十分な温度であればよく、例えば40〜200℃の範囲が好ましい。また、乾燥時間は1分程度、あるいはそれ以上行えばよい。このようにして、所定の形状の赤色のアライメントマークが形成される。
以上により、表面に赤色のアライメントマーク5が形成された隔壁層4付基板2を作製することができる。
【0037】
次いで、この基板2上に着色層6を形成する。
まず、図7に示すように、基板2上のアライメントマーク5を用いて該基板2の位置決めを行い、その後、例えば、赤色のインクが充填されたインクジェットヘッド15を基板2に対して相対移動させながら、吐出ノズル16から赤色のインクを、1滴当たりの液量が制御されたインク滴15Rとして吐出し、このインク滴15Rを所望の位置の親インク性領域4bに付着させる。
【0038】
次いで、この基板2を乾燥炉に搬入し、例えば、60℃で3分間乾燥させて有機溶剤を揮発させる。乾燥温度及び時間は、用いられるインクに含まれる有機溶剤を揮発させるのに十分な温度であればよく、例えば、赤色のインクの場合は、上述した赤色のアライメントマーク5と同様の乾燥温度及び時間が適用される。このようにして、所定の形状の赤色の着色層5Rが形成される。
【0039】
次いで、図8に示すように、別のインクジェットヘッドに緑色の顔料をアクリル樹脂と共に有機溶剤に溶解して調製した緑色のインクを充填し、赤色のインクの場合と同様にして、この別のインクジェットヘッドの吐出ノズルを着色層5Rが形成されていない親インク性領域4bのうち所望の親インク性領域4bに対向させ、インクジェットヘッドを基板2に対して相対移動させながら、吐出ノズルから緑色のインクを、1滴当たりの液量が制御されたインク滴として吐出し、このインク滴を親インク性領域4bの所定の位置に付着させる。
【0040】
次いで、この基板2を乾燥炉に搬入し、例えば、60℃で3分間乾燥させて有機溶剤を揮発させる。乾燥温度及び時間は、上述した赤色のインクと同様、用いられる緑色のインクに含まれる有機溶剤を揮発させるのに十分な温度であればよい。このようにして、所定の形状の赤色の着色層5Rが形成される。
青色の着色層5Bも同様の方法により形成することができる。
最後に、図9に示すように、アクリル樹脂等からなるオーバーコート層7を、着色層6、隔壁層4及びアライメントマーク5の全体を覆うように形成し、図1及び図2に示すカラーフィルタ1を得る。
【0041】
撥インク性の隔壁層11を構成する具体的な材料としては、上述した撥インク性を有するフッ素樹脂の他、例えば、(i)有機化合物からなるバインダー、多官能性単量体、光重合開始剤等を含有する、放射線の照射により硬化する感放射線性樹脂組成物、あるいは(ii) 有機化合物からなるバインダー、放射線の照射により酸を発生する化合物、放射線の照射により発生した酸の作用により架橋しうる架橋性化合物等を含有する、放射線の照射により硬化する感放射線性樹脂組成物等を例示することができる。
【0042】
具体的には、(a)ヘキサフルオロプロピレンと不飽和カルボン酸(無水物)と他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体との共重合体、(b)放射線の照射により酸を発生する化合物、(c)放射線の照射により発生した酸の作用により架橋しうる架橋性化合物、(d)前記(a)成分以外の含ふっ素有機化合物を含有するものが好ましい。
【0043】
また、インクとしては、顔料、バインダー樹脂及び高沸点溶媒(有機溶剤)を必須成分とし、場合により多官能性単量体、光重合開始剤あるいは他の添加剤をさらに含有するものが好ましい。
顔料としては、色調が特に限定されるものではなく、得られるカラーフィルタの用途に応じて適宜選定され、顔料、染料あるいは天然色素の何れでもよいが、特に有機顔料または無機顔料が用いられる。
【0044】
有機顔料としては、例えば、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists社発行)においてピグメント(Pigment)に分類されている化合物が好適に用いられる。具体的には、C.I.ピグメントイエロー1、3、12等、C.I.ピグメントオレンジ1、5、13等、C.I.ピグメントレッド1、2、3等、C.I.ピグメントブルー15、15:3、15:4等が好適である。これらの有機顔料は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0045】
また、無機顔料としては、例えば、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑、アンバー、チタンブラック、合成鉄黒、カーボンブラック等を挙げることができる。
【0046】
また、バインダーとしては、カルボキシル基を含有するポリマーであって、特に、1個以上のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(以下、単に「カルボキシル基含有不飽和単量体」という。)と他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体(以下、「他の不飽和単量体(b1)」という。)との共重合体(以下、「カルボキシル基含有共重合体(B1)」という。)が好ましい。
【0047】
前記カルボキシル基含有不飽和単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等を挙げることができる。
さらに、他の不飽和単量体(b1)としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、メトキシスチレン、ビニルベンジルメチルエーテル等の芳香族ビニル化合物、あるいはメチルアクリレート、メチルメタクリレート等の不飽和カルボン酸エステル類等を挙げることができる。
【0048】
また、カルボキシル基含有共重合体(B1)としては、アクリル酸および/またはメタクリル酸とスチレン、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、ポリスチレンマクロモノマーおよびポリメチルメタクリレートマクロモノマーの群から選ばれる少なくとも1種との共重合体が好ましい。
【0049】
またインクの有機溶剤としては、1気圧における沸点が250℃以上の溶媒(以下、高沸点溶媒という)が好適である。
高沸点溶媒としては、例えば、R1−O(CH2CH2O)2−R2(但し、R1およびR2は相互に独立に炭素数4〜10のアルキル基を示す。)で表されるジエチレングリコールジアルキルエーテル系溶媒、またはR3−O(CH2CH2O)3−R4(但し、R3およびR4は相互に独立に炭素数1〜10のアルキル基を示す。)で表されるトリエチレングリコールジアルキルエーテル系溶媒を挙げることができる。
【0050】
また、R5−O(CH2CH2O)i−R6(但し、R5およびR6は相互に独立に炭素数1〜10のアルキル基を示し、iは4〜30の整数である。)で表されるポリエチレングリコールジアルキルエーテル系溶媒、またはR7−OCH(CH3)CH2O)−R8(但し、R7およびR8は相互に独立に炭素数4〜10のアル
キル基を示す。)で表されるプロピレングリコールジアルキルエーテル系溶媒、あるいは、グリセリントリアセテート、マレイン酸ジ−n−ブチル、フマル酸ジ−n−ブチル、安息香酸n−ブチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジ−n−プロピル、フタル酸ジ−i−プロピル、フタル酸ジ−n−ブチル、サリチル酸i−アミル等のエステル系溶媒等を挙げることができる。
【0051】
また本発明においては、沸点が250℃未満の有機溶剤(以下、低沸点溶媒という)を高沸点溶媒と併用することもできる。低沸点溶媒としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のエチレングリコールモノアルキルエーテル類、またはエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類を挙げることができる。
【0052】
また、ジエチレングリコールモノメチルエーテル等のジエチレングリコールモノアルキルエーテル類、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のジエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、ジエチレングリコールジメチルエーテル等の他のエーテル類、1−オクタノール等のアルコール類を挙げることができる。
【0053】
また、メチルエチルケトン等のケトン類、カプロン酸等のカルボン酸類、2−ヒドロキシプロピオン酸メチルの乳酸アルキルエステル類;2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル等の他のエステル類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類等を挙げることができる。
低沸点溶媒の使用割合は、高沸点溶媒と低沸点溶媒との合計に対して、通常、20重量%以下、好ましくは5重量%以下である。
【0054】
以上説明したように、本実施形態のカラーフィルタ1によれば、隔壁層4の表面4aの四隅各々及び両側の中心部に、基板2の位置決め用の有色のアライメントマーク5を形成したので、着色層6を形成する際に、このアライメントマーク5を基準として基板2の位置決めを容易に行うことができ、しかも高精度である。したがって、着色層6の位置精度を向上させることができる。
【0055】
また、本実施形態のカラーフィルタの製造方法によれば、隔壁層4を露光処理し、マスク12のアライメントパターンに対応する部分を新インク性のアライメント領域4aとし、吐出ノズル16からインクを吐出してアライメント領域4a上に有色のアライメントマーク5を形成するので、アライメント領域4a上のみにインク滴15Rを形成することで,インク滴15Rのアライメント領域4aの周辺部への広がりを抑制することができ、隔壁層4に有色のアライメントマーク5を精度良く形成することができる。
【0056】
なお、本発明に係るカラーフィルタは、本実施形態に示したものに限らず、本発明の要旨を変更しない範囲であればどのような形態のものでも良い。
例えば、本実施形態のカラーフィルタ1は、着色層6…がいわゆる格子状に配置されたものであるが、この配置に限定されず、例えば、モザイク配置のものや、デルタ配置のものであってもよい。
また、本実施形態のカラーフィルタ1では、1個取りを例に採り説明したが、多数個取りであっても同様に適用可能である。また、1個取りの場合、アライメントマーク5をそのまま残して最終製品としてもよく、また、アライメントマーク5の部分を切り落とす等してアライメントマーク5のないものを最終製品としてもよい。
【0057】
図10は、本実施形態で説明したカラーフィルタ1を備えた反射型液晶装置の概略構成を示す断面図であり、この液晶装置100に、液晶駆動用IC、支持体などの付帯要素を装着することによって、最終製品としての反射型液晶表示装置が構成される。
【0058】
この液晶装置100は、カラーフィルタ1を下側(反射面側)に配置したもので、このカラーフィルタ1と、ガラス基板や透明プラスチック基板等の透明な基板101との間にSTN(Super Twisted Nematic)液晶等からなる液晶層103が挟持されて概略構成されている。またカラーフィルタ1と基板101との間にはシール材110が配置されており、カラーフィルタ1と基板101とシール材110とに区画された部分に液晶層103が封入されている。
カラーフィルタ1のオーバーコート層7の下には、複数の電極106がストライプ状に形成され、さらにその下に配向膜109が形成されている。
【0059】
同様に、基板101のカラーフィルタ1との対向面にはカラーフィルタ側の電極106と直交する方向に延在する複数の電極105がストライプ状に形成され、その上に配向膜107が形成されている。そして、電極105と電極106との交差位置に対応する位置に、カラーフィルタ1の着色層6…が配置されている。また、基板101とカラーフィルタ1の外面側には図示略の偏光板がそれぞれ設置されている。また、符号104は基板間の間隔(セルギャップという)を基板面内で一定に保持するためのスペーサである。
なお、電極105、106はインジウム−スズ酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)等の透明導電材料を平面視ストライプ状に形成したものである。
【0060】
この液晶装置100によれば、基板2上に本実施形態のカラーフィルタ1を備えたので、着色層の周囲にバンク部を形成した従来のものと比べてカラーフィルタ1の光透過率が高く、コントラスト比も高い液晶装置100とすることができる。
なお、ここでは、本実施形態で説明したカラーフィルタ1を反射型液晶装置に適用した一例について説明したが、このカラーフィルタ1は、反射型液晶装置に限らず、透過型液晶装置または半透過型液晶装置にも適用することができる。
この透過型液晶装置または半透過型液晶装置の場合、基板に光透過部を設けることと、光源としてバックライト等の付帯的な構成要素を加える必要がある。
【0061】
図11は本実施形態の液晶装置100を用いた電子機器の様々な例を示す斜視図である。
図11(a)は、携帯電話の一例を示した斜視図である。図11(a)において、符号600は携帯電話であり、符号601は携帯電話600の液晶表示部を示している。この液晶表示部601は前記の液晶装置100を用いている。
図11(b)は、ワープロ、パソコンなどの携帯型情報処理装置の一例を示す斜視図である。図11(b)において、符号700は情報処理装置であり、符号701は情報処理装置本体、符号702は情報処理装置本体701の上面に設けられたキーボードなどの入力部、符号703は前記の液晶装置100を用いた液晶表示部を示している。
【0062】
図11(c)は、腕時計型電子機器の一例を示す斜視図である。図11(c)において、符号800は時計本体であり、符号801は時計本体800の上面に設けられ前記の液晶装置100を用いた液晶表示部を示している。
図11(a)〜(c)に示すそれぞれの電子機器は、前記の液晶装置100を用いた液晶表示部を備えたものであるから、薄型化、小型化、軽量化され、高輝度であって表示品質に優れた効果を有する電子機器となる。
【0063】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明のカラーフィルタの製造方法によれば、基板の一主面に着色層を区画する隔壁層を形成する隔壁層形成工程と、アライメントパターンを有するマスクを用いて前記隔壁層を露光処理し、前記アライメントパターンに対応する部分を親インク性のアライメント領域としかつその周囲を前記隔壁層により撥インク性領域とするように区分する露光処理工程と、吐出ノズルからインクを吐出して前記アライメント領域上にインク滴を形成し有色のアライメントマークとするアライメントマーク形成工程と、前記アライメントマークを用いて前記基板の位置決めを行い、前記吐出ノズルからインクを吐出して前記基板上に前記複数の着色層を形成するカラーフィルタ形成工程とを備えたので、前記アライメント領域上のみにインク滴を形成することでインク滴の広がりを抑制することができる。したがって、隔壁層に有色のアライメントパターンを精度良く形成することができる。
【0064】
また、基板の位置決めを行う際に、有色のアライメントマークを位置決めの際の基準とし、その後、複数の着色層を形成するので、吐出ノズルの位置精度を高めることができ、得られる着色層の位置精度を高めることができる
【0065】
本発明のカラーフィルタによれば、基板の一主面に、インクからなるアライメントマークを備えた隔壁層が形成され、この隔壁層により区画された画素形成領域に着色層が形成されているので、前記アライメントマークを基準として基板の位置決めを行うことにより、前記隔壁層により区画された画素形成領域に形成される着色層の位置精度を向上させることができる。
【0066】
本発明の液晶装置によれば、対向する一対の基板間に液晶が挟持され、これらの基板のいずれか一方に本発明のカラーフィルタが形成されているので、着色層の位置精度が向上したカラーフィルタを用いることにより、液晶装置のコントラスト比及び視認性を高めることができる。
【0067】
本発明の電子機器によれば、本発明の液晶装置を備えているので、コントラスト比及び視認性に優れた液晶装置を表示部として備えたことにより、表示部の視認性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態のカラーフィルタを示す平面図である。
【図2】 図1のA-A線に沿う断面図である。
【図3】 本発明の一実施形態のカラーフィルタの製造方法を示す過程図である。
【図4】 本発明の一実施形態のカラーフィルタの製造方法を示す過程図である。
【図5】 本発明の一実施形態のカラーフィルタの製造方法を示す過程図である。
【図6】 本発明の一実施形態のカラーフィルタの製造方法を示す過程図である。
【図7】 本発明の一実施形態のカラーフィルタの製造方法を示す過程図である。
【図8】 本発明の一実施形態のカラーフィルタの製造方法を示す過程図である。
【図9】 本発明の一実施形態のカラーフィルタの製造方法を示す過程図である。
【図10】 本発明の一実施形態のカラーフィルタを備えた反射型液晶装置を示す断面図である。
【図11】 本発明の一実施形態のカラーフィルタを備えた液晶装置を表示部に適用した電子機器を示す斜視図である。
【図12】 従来のカラーフィルタの製造方法を示す過程図である。
【図13】 従来のカラーフィルタの製造方法を示す過程図である。
【図14】 従来のカラーフィルタの製造方法を示す過程図である。
【図15】 従来のカラーフィルタの製造方法を示す過程図である。
【図16】 従来のカラーフィルタの製造方法を示す過程図である。
【符号の説明】
1 カラーフィルタ
2 基板
3 反射層
4 隔壁層
5 アライメントマーク
6 着色層
7 オーバーコート層
15 インクジェットヘッド
15R インク滴
16 吐出ノズル
15R インク滴
20 インクジェットヘッド
21 吐出ノズル
100 液晶装置
600、700、800 電子機器

Claims (6)

  1. 基板の一主面に、インクからなるアライメントマークを備えた隔壁層が形成され、
    この隔壁層により区画された画素形成領域に着色層が形成されていることを特徴とするカラーフィルタ。
  2. 前記アライメントマークは、吐出ノズルからインクを吐出して、前記隔壁層により区画された親インク性のアライメント領域上にインク滴を形成してなることを特徴とする請求項1記載のカラーフィルタ。
  3. 前記アライメントマークは、前記隔壁層とインク滴との間の付着張力により前記インク滴の広がりを抑制するとともに、該インク滴を前記アライメント領域のみに広げたことを特徴とする請求項2記載のカラーフィルタ。
  4. 前記基板の一主面に、反射層が形成されていることを特徴とする請求項1ないし3記載のカラーフィルタ。
  5. 対向する一対の基板間に液晶が挟持され、これらの基板のいずれか一方に請求項1ないし4のいずれか1項記載のカラーフィルタが形成されていることを特徴とする液晶装置。
  6. 請求項5記載の液晶装置を備えてなることを特徴とする電子機器。
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