JP4932406B2 - 撥インク性隔壁及びその製造方法、カラーフィルタ及びその製造方法、並びに表示装置 - Google Patents
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Description
従来、カラーフィルタの製造方法としては、染色法、顔料分散法、電着法、印刷法などが実施されている。
顔料分散法では、近年盛んに行われおり、透明基板上に顔料を分散した感光性樹脂層を形成し、これをパターニングすることにより、単色のパターンを得る。この工程を3回繰り返すことにより、R、G、Bの3色の着色部からなる着色層を形成することができる。
印刷法では、熱硬化型の樹脂に顔料を分散し、印刷を3回繰り返すことにより、R、G、Bを塗り分けた後、樹脂を熱硬化させることにより、着色層を形成する。
これらのいずれの製造方法を用いた場合でも、得られた着色層の上に保護層を形成するのが一般的である。
白抜けとは、隔壁の開口部のガラス面や隔壁側面とインクとの濡れ性が悪く、開口部に充分にインクが広がらなかったり、側壁と充填されたインクとの間に空隙が形成されたりする現象である。
これら白抜けや混色は、色ムラやコントラストの低下といった、カラーフィルタを表示装置に適用した際の表示不良の原因となる。
<1> 基板上に隔壁を形成する隔壁形成工程と、前記隔壁の上面に選択的に撥インク性化合物として、下記一般式(I)、(II)、(III)、(IV)及び(V)よりなる群から選ばれる少なくとも1種のフッ素含有モノマーを付与する付与工程を含むことを特徴とする撥インク性隔壁の製造方法である。
CH 2 =CR 1 COOR 2 R f (I)
(一般式(I)中、R 1 は水素原子又はメチル基を表し、R 2 は−C p H 2p −、−C p H 2p CH(OH)C n H 2n −、−C(C p H 2p+1 )H−、−CH 2 C(C p H 2p+1 )H−又は−CH 2 CH 2 O−を表し、R f は−C n F 2n+1 、−(CF 2 ) n H、−(CF 2 ) p OC n H 2n C i F 2i+1 、−(CF 2 ) p OC m H 2m C i F 2i H、−N(C p H 2p+1 )COC n F 2n+1 又は−N(C p H 2p+1 )SO 2 C n F 2n+1 表す。但し、pは1〜10、nは1〜16、mは0〜10、iは0〜16の整数である。)
CF 2 =CFOR g (II)
(一般式(II)中、R g は炭素数1〜20のパーフルオロアルキル基を表す。)
CH 2 =CHR g (III)
(一般式(III)中、R g は炭素数1〜20のパーフルオロアルキル基を表す。)
CH 2 =CR 3 COOR 5 R j R 6 OCOCR 4 =CH 2 (IV)
(一般式(IV)中、R 3 及びR 4 は各々独立に水素原子又はメチル基を表し、R 5 及びR 6 は各々独立に−C q H 2q −、−C(C q H 2q+1 )H−、−CH 2 C(C q H 2q+1 )H−又は−CH 2 CH 2 O−を表し、R j は−C t F 2t −を表す。但し、qは1〜10、tは1〜16の整数である。)
CH 2 =CR 7 COOCH 2 CH(CH 2 R k )OCOCR 8 =CH 2 (V)
(一般式(V)中、R 7 及びR 8 は各々独立に水素原子又はメチル基を表し、R k は−C y F 2y+1 を表す。但し、yは1〜16の整数である。)
本発明の撥インク性隔壁の製造方法は、基板上に隔壁を形成する隔壁形成工程と、前記隔壁の上面に選択的に撥インク性化合物を付与する付与工程を含むことを特徴とする。
また、本発明の撥インク性隔壁は、本発明の撥インク性隔壁の製造方法により製造される。
図3は、基板31上に設けられた隔壁32の断面斜視模式図である。隔壁32の断面において、隔壁32の断面と平行になるように基板面から隔壁32の左右の面に接する接線lを引いたときに、接線lと基板面の角度θが45°以下、あるいは接線lが基板面と平行となる範囲を、本発明における「隔壁の上面」と定義する。
所望の場所以外(隔壁の間隙部分など)が撥インク化されない限り、前述のインク接触角の上限は特に無い(接触角なので180°以下ではある)。
なお、前記接触角は隔壁に撥インク化処理をした後の隔壁のインク接触角である。
[隔壁形成工程]
本発明に係る隔壁形成工程は、基板上に隔壁を形成する工程である。隔壁は樹脂を用いて形成されたものであること以外に特に限定は無い。また、隔壁形成方法に特に限定は無く、公知の隔壁形成方法を用いることができる。
隔壁は、隔壁形成用組成物を用いて形成することができる。
ここで、隔壁形成用組成物とは、高い光学濃度を有する組成物であることが好ましく、その値は2.0〜10.0である。隔壁形成用組成物の光学濃度は好ましくは2.5〜6.0であり、特に好ましくは3.0〜5.0である。また、この隔壁形成用組成物は、後述するように好ましくは光開始系で硬化させる為、露光波長(一般には紫外域)に対する光学濃度も重要である。すなわち、その値は2.0〜10.0であり、好ましくは2.5〜6.0、最も好ましいのは3.0〜5.0である。2.0未満では隔壁形状が望みのものとならない恐れがあり、10.0を超えると、重合を開始することができず隔壁そのものを作ることが困難となる。かかる性質を有しさえすれば、組成物中の濃色体は有機物(染料、顔料などの各種色素)であっても、また各形態の炭素であっても、これらの組み合わせからなるものであってもよい。かかる濃色体は、特に限定されないが、黒色体がもっとも多く使用される。
本発明に用いられる隔壁形成用組成物は、金属粒子又は金属を有する粒子の少なくとも一種(以下、「本発明に係る金属系微粒子」ということがある。)を含有してもよい。
金属粒子又は金属を有する粒子における金属としては、特に限定されず、いかなるものを用いてもよい。金属粒子は、2種以上の金属を組み合わせて用いてもよく、合金として用いることも可能である。また、金属と金属化合物との複合金属粒子でもよい。
「金属化合物」とは、前記金属と金属以外の他の元素との化合物である。金属と他の元素との化合物としては、金属の酸化物、硫化物、硫酸塩、炭酸塩などが挙げられ、金属化合物粒子としてはこれらの粒子が好適である。中でも、色調や微粒子形成のしやすさから、硫化物の粒子が好ましい。
金属化合物の例としては、酸化銅(II)、硫化鉄、硫化銀、硫化銅(II)、チタンブラックなどがあるが、色調、微粒子形成のしやすさや安定性の観点から、硫化銀が特に好ましい。
複合金属粒子は、金属と金属化合物とが結合して1つの粒子になったものをいう。例えば、粒子の内部と表面で組成の異なるもの、2種の粒子が合一したもの等を挙げることができる。また、金属化合物と金属とはそれぞれ1種でも2種以上であってもよい。
金属化合物と金属との複合金属粒子の具体例としては、銀と硫化銀の複合微粒子、銀と酸化銅(II)の複合微粒子などが好適に挙げられる。
本発明における金属系微粒子は、コア・シェル型の複合粒子(コアシェル粒子)であってもよい。コア・シェル型の複合粒子(コアシェル粒子)とは、コア材料の表面をシェル材料でコートしたものであり、その具体例として、特開2006−18210号公報の段落番号[0024]〜[0027]に記載のコアシェル微粒子が挙げられる。
前記銀錫合金部を有する粒子としては、銀錫合金からなるもの、銀錫合金部分とその他の金属部分からなるもの、及び銀錫合金部分と他の合金部分からなるものを含む。
また、球形銀微粒子を種粒子としてその後、銀塩を更に添加し、CTAB(セチルトリメチルアンモニウムブロマイド)等の界面活性剤の存在下でアスコルビン酸など比較的還元力の弱い還元剤を用いることにより、銀棒やワイヤー等の棒状の銀微粒子が得られる。これは、Advanced Materials 2002,14,80−82に記載がある。また、同様の記載が、Materials Chemistry and Physics 2004,84,197−204、Advanced Functional Materials 2004,14,183−189になされている。
金に関しても同様に、Journal of Physical Chemistry B 1999,103、3073−3077及びLangmuir1999,15,701−709、Journal of American Chemical Society 2002,124,14316−14317に記載されている。
棒状の粒子の形成方法は、前記記載の方法を改良(添加量調整、pH制御)しても調製できる。
本発明における金属系微粒子は、下記の方法によって直方体として捉えられ、各寸法が測定される。すなわち、1個の金属系微粒子がちょうど(きっちりと)収まるような三軸径の直方体の箱を考え、この箱の長さの一番長いものを長軸長さLとし、厚みt、幅bをもってこの金属系微粒子の寸法と定義する。前記寸法には、L>b≧tの関係を持たせ、同一の場合以外はbとtの大きい方を幅bと定義する。具体的には、まず、平面上に金属微粒子を、最も重心が低くて安定に静止するように置く。次に、平面に対し直角に立てた2枚の平行な平板により金属微粒子を挟み、その平板間隔が最も短くなる位置の平板間隔を保つ。次に、前記平板間隔を決する2枚の平板に対し直角で前記平面に対しても直角の2枚の平行な平板により金属系微粒子を挟み、この2枚の平板間隔を保つ。最後に金属微粒子の最も高い位置に接触するように天板を前記平面に平行に載せる。この方法により平面、2対の平板及び天板によって画される直方体が形成される。
なお、コイル状やループ状のものはその形状を伸ばした状態で前記測定を行なった場合の値と定義する。
棒状金属系微粒子の場合など、前記長軸長さLは、10nmないし1000nmであることが好ましく、10nmないし800nmであることがより好ましく、20nmないし400nmである(可視光の波長より短い。)ことが最も好ましい。Lが10nm以上であることにより、製造上調製が簡便で、かつ耐熱性や色味も良好になる利点があり、1000nm以下であることにより、面状欠陥が少ないという利点がある。
棒状金属系微粒子の場合など、幅bと厚みtとの比は、100個の棒状金属微粒子について測定した値の平均値と定義する。棒状金属系微粒子の幅bと厚みtとの比(b/t)は2.0以下であることが好ましく、1.5以下であることがより好ましく、1.3以下であることが特に好ましい。b/t比が2.0を超えると平板状に近くなり、耐熱性が低下することがある。
長軸長さLは、幅bの1.2倍以上100倍以下であることが好ましく、1.3倍以上50倍以下であることがより好ましく、1.4倍以上20倍以下であることが特に好ましい。長軸長さLが幅bの1.2倍未満となると平板の特徴が現れて耐熱性が悪化することがある。また、長軸長さLが幅bの100倍を超えると黒色濃度が低くなって薄層高濃度化ができないことがある。
長さL、幅b及び厚みtの測定は、電子顕微鏡による表面観察図(×500000)と、原子間力顕微鏡(AFM)によってすることができ、100個の棒状金属微粒子について測定した値の平均値とする。原子間力顕微鏡(AFM)には、いくつかの動作モードがあり、用途によって使い分けている。
大別すると以下の3つになる。
(1)接触方式:プローブを試料表面に接触させ、カンチレバーの変位から表面形状を測定する方式
(2)タッピング方式:プローブを試料表面に周期的に接触させ、カンチレバーの振動振幅の変化から表面形状を測定する方式
(3)非接触方式:プローブを試料表面に接触させずに、カンチレバーの振動周波数の変化から表面形状を測定する方式
前記の3つの方法を挙げることができるが、試料に合わせいずれかの方法を選択することが可能である。
本発明では、前記金属系微粒子と共に、顔料等その他の微粒子を併用して用いることもできる。顔料を用いたときには、より黒色に近い色相に構成することができる。
前記顔料は上記で述べた顔料を好適に用いることができる。有機顔料の色相は、例えば、黄色、オレンジ、赤色、バイオレット、青色、緑色、ブラウン、黒色等が好ましい。
カーボンブラックの例としては、Pigment Black(ピグメント・ブラック)7(カーボンブラック C.I.No.77266)が好ましい。市販品として、三菱カーボンブラック MA100(三菱化学(株)製)、三菱カーボンブラック #5(三菱化学(株)製)が挙げられる。
チタンブラックの例としては、TiO2、TiO、TiNやこれらの混合物が好ましい。市販品として、三菱マテリアルズ(株)製の(商品名)12Sや13Mが挙げられる。チタンブラックの平均粒径は40〜100nmが好ましい。
チタンブラックの平均粒径が40nm未満であると、凝集などの問題が起こりやすく、100nmを超えると好ましい色味が出ないことがある。
黒鉛の例としては、粒子径がストークス径で3μm以下のものが好ましい。3μmを超える黒鉛を用いると、遮光パターンの輪郭形状が不均一になり、シャープネスが悪くなることがある。また、粒子径の大部分は0.1μ以下であることが望ましい。
隔壁は、上記隔壁形成用組成物から形成される。
隔壁は、2以上の画素群を離画するものであり、一般には黒であることが多いが、黒に限定されるものではない。濃色とする着色物は、有機物(染料、顔料などの各種色素)が好ましい。隔壁は、隔壁形成用組成物を露光し、その後現像することにより形成することが好ましい。
隔壁の光学濃度は例えば以下の方法で測定できる。
隔壁を実際に用いる厚みで、実際に用いる方法で、透明基板上に膜状に形成し、ついでこの隔壁が形成された基板の光学濃度を測定する(OD)。別途透明基板の光学濃度を測定する(OD0)。ODからOD0を差し引いた値が隔壁の光学濃度である。測定は例えばマクベス濃度計(商品名:TD−904、マクベス社製)を用いることができる。
尚、測定の精度を上げる為には、予めOD3以下になるような薄膜を作製し、該薄膜のODから測定サンプルの膜厚におけるODを算出することができる。
かかる隔壁を容易且つ低コストで実現するものとして、仮支持体上に少なくとも感光性の隔壁形成用組成物からなる層を、有してなる感光性転写材料を使用するという手法がある。
本発明に係る付与工程は、隔壁の上面に選択的に撥インク性化合物を付与する工程である。
本発明における撥インク性化合物としては、隔壁表面に存在させた場合に該隔壁表面がインクを弾く性質をもつようになる化合物のことであり、それ以外には特に制限は無い。
撥インク性化合物としては、隔壁上面における当該化合物の固定化の観点から、重合性基を有する撥インク性化合物であることが好ましい。該重合性基を有する撥インク性化合物とは、エチレン性重合性基を有していて、且つ、隔壁表面に存在させた場合に該隔壁表面がインクを弾く性質をもつようになる化合物を意味する。
撥インク性化合物として重合性基を有する撥インク性化合物を用いる場合には、後述する露光工程を行い、撥インク性化合物と隔壁上面とを反応させて隔壁上面に撥インク性化合物を強固に固定化することができる。
フッ素含有モノマーとしては、例えば、下記一般式(I)、(II)、(III)、(IV)及び(V)よりなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。これらの中でも一般式(I)で表されるフッ素含有モノマーが好ましい。
(一般式(I)中、R1は水素原子又はメチル基を、R2は−CpH2p−、−CpH2pCH(OH)CnH2n−、−C(CpH2p+1)H−、−CH2C(CpH2p+1)H−又は−CH2CH2O−を、Rfは−CnF2n+1、−(CF2)nH、−(CF2)pOCnH2nCiF2i+1、−(CF2)pOCmH2mCiF2iH、−N(CpH2p+1)COCnF2n+1又は−N(CpH2p+1)SO2CnF2n+1表わす。但し、pは1〜10、nは1〜16、mは0〜10、iは0〜16の整数である。)
CF2=CFORg (II)
(一般式(II)中、Rgは炭素数1〜20のパーフルオロアルキル基を表わす。)
CH2=CHRg (III)
(一般式(III)中、Rgは炭素数1〜20のパーフルオロアルキル基を表わす。)
CH2=CR3COOR5RjR6OCOCR4=CH2 (IV)
(一般式(IV)中、R3およびR4は水素原子又はメチル基を、R5およびR6は−CqH2q−、−C(CqH2q+1)H−、−CH2C(CqH2q+1)H−又は−CH2CH2O−を、Rjは−CtF2t−を表わす。但し、qは1〜10、tは1〜16の整数である。)
CH2=CR7COOCH2CH(CH2Rk)OCOCR8=CH2 (V)
(一般式(V)中、R7、R8は水素原子又はメチル基、Rkは−CyF2y+1を表わす。但し、yは1〜16の整数である。)
一般式(I)で示されるモノマーとしては、例えば、CF3(CF2)7CH2CH2OCOCH=CH2、CF3(CF2)7CH2CH2OCOC(CH3)=CH2、CF3(CF2)5CH2CH2OCOCH=CH2、CF3(CF2)3CH2CH2OCOCH=CH2、CF3(CF2)7CH2CH(OH)CH2OCOCH=CH2、CF3(CF2)5CH2CH(OH)CH2OCOCH=CH2、CF3(CF2)3CH2CH(OH)CH2OCOCH=CH2、
(CF3)2CF(CF2)6(CH2)2OCOCH=CH2、(CF3)2CF(CF2)4(CH2)2OCOCH=CH2、(CF3)2CF(CF2)2(CH2)2OCOCH=CH2、
以上のような観点から最も好ましいフッ素含有モノマーとして、
CF3(CF2)7CH2CH2OCOC(CH3)=CH2、CF3(CF2)5CH2CH2OCOCH=CH2、CF3(CF2)7CH2CH(OH)CH2OCOCH=CH2、CF3(CF2)5CH2CH(OH)CH2OCOCH=CH2、(CF3)2CF(CF2)6(CH2)2OCOCH=CH2、(CF3)2CF(CF2)4(CH2)2OCOCH=CH2、を挙げることができる。
含ケイ素化合物の具体例としては、シリコーンをあげることができる
この場合の溶液に用いられる溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテルなどのアルコール、エーテル類、MEK、MIBK、等のケトン類 プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類等が挙げられるが、これらの中でもプロピレングリコールモノメチルエーテルとプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが好ましい。
また、本実施例ではピエゾ駆動型ヘッドを用いているが、これに限定されるものではなく、他のインクジェットヘッド、例えば熱駆動型ヘッドであってもよい。
本発明における露光工程は、本発明における撥インク性化合物として、前記重合性基を有する撥インク性化合物を用い、撥インク性化合物上面に付与された隔壁を、該撥インク性化合物が感光する波長を含む光で露光する工程である。隔壁の上面に選択的に付与された重合性基を有する化合物を露光することにより、撥インク性化合物を隔壁の上面に強固に固定することができる。
露光の際、隔壁の側面を撥インク化しないという観点から、平行光線を露光面に垂直に照射することが好ましい。
本発明のカラーフィルタの製造方法は、本発明の撥インク性隔壁を有する基板における前記撥インク性隔壁の間隙に、着色液体組成物(以下「インク」と称することがある。)からなる液滴をインクジェット法で付与する工程を有することを特徴とする。また、本発明のカラーフィルタは、本発明のカラーフィルタの製造方法により製造される。
このカラーフィルタは、液晶表示素子、電気泳動表示素子、エレクトロクロミック表示素子、PLZT等と組合せて表示素子として用いられる。カラーカメラやその他のカラーフィルタを用いる用途にも使用できる。
本発明において画素形成に用いるインクジェット法としては、帯電したインクを連続的に噴射し電場によって制御する方法、圧電素子を用いて間欠的にインクを噴射する方法、インクを加熱しその発泡を利用して間欠的に噴射する方法等、各種の方法を採用できる。また、上記の撥インク性化合物又はそれを含む溶液を吐出するために用いるインクジェット装置でもよい。
用いるインクは油性、水性であっても使用できる。また、そのインクに含まれる着色材は染料、顔料ともに使用でき、耐久性の面からは顔料の使用がより好ましい。コントラスト向上の観点からは染料の使用が好ましい。また、公知のカラーフィルタ作製に用いる、塗布方式の着色インク(着色樹脂組成物、例えば、特開2005−3861号公報[0034]〜[0063]記載)や、特開平10−195358号公報[0009]〜[0026]に記載のインクジェット用組成物を使用することもできる。
この場合、上記(隔壁形成用組成物)の項で挙げた、顔料などの着色剤を含有させた感光性樹脂組成物を、好適なものとして用いることができる。
また、本発明において用いることができるインクとしては、少なくともバインダー、及び、2官能乃至3官能のエポキシ基含有モノマーを含有するカラーフィルタ用熱硬化性インクも好適なものとして用いることができる。
本発明に用いられるインクとしては、重合性インクが好ましく、該重合性インクは、着色剤、重合性化合物、及び重合開始剤を含有し、活性エネルギー線により重合反応が生起し硬化する着色樹脂組成物からなることが好ましい。
本発明においては、固形分量が50質量%以上のインクであることが好ましく、該固形分量は70質量%以上がより好ましく、85質量%以上がさらに好ましい。当該固形分とは、後述する溶剤以外の成分である。
着色樹脂組成物には、公知の着色剤(染料、顔料)を添加することができる。該公知の着色剤のうち顔料を用いる場合には、着色樹脂組成物中に均一に分散されていることが望ましく、かかる観点からは、顔料の粒径としては0.1μm以下、特には0.08μm以下であることが好ましい。
本発明に用いられるインクに含有しうる重合性化合物としては、ラジカル活性種による重合反応により硬化するラジカル重合性化合物およびカチオン活性種によるカチオン重合反応により硬化するカチオン重合性化合物を用いることができる。
上記ラジカル重合性化合物の具体的化合物には、以下に示す化合物があるが、これらに限定されることはない。
エチレン性不飽和二重結合を1個有する単官能モノマーとしては、ブタンジオールモノアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルピロリドン、アクリロイルモルフォリン、N−ビニルホルムアミド、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、グリシジルアクリレート、イソボニルアクリレート、イソデシルアクリレート、フェノキシメタクリレート、ステアリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、エトキシエトキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシジプロピレングリコールアクリレート、メチルフェノキシエチルアクリレート、ジプロピレングリコールアクリレート等が挙げられる。
これら化合物は、一種または必要に応じて二種以上用いてもよい。
前記カチオン重合性化合物は、光重合開始剤から発生されるカチオン活性種により重合反応を生起し、硬化する化合物として、カチオン重合性化合物である。該カチオン重合性化合物としては、光カチオン重合性モノマーとして知られる各種公知のカチオン重合性のモノマーを使用することができる。カチオン重合性モノマーとしては、例えば、特開平6−9714号公報、特開2001−31892、同2001−40068、同2001−55507、同2001−310938、同2001−310937、同2001−220526などの各公報に記載されているビニルエーテル化合物、オキセタン化合物、オキシラン化合物などが挙げられる。
これら活性エネルギー線の照射により硬化性を有する成分が、全インク量の50質量%以下になると、一般的な活性エネルギー線の強度では硬化性が不足してくる。そのため、照射時間を長くするなどの対応が必要となる。以上のことから、硬化性を有する成分量は全インクの50質量%以上、より好ましくは60質量%以上を有することが望ましい。
インクに含有しうる重合開始剤としては、活性エネルギー線の照射により、ラジカル活性種を発生し、ラジカル重合性化合物の重合を開始するラジカル重合開始剤、及び、カチオン活性種を発生し、カチオン重合性化合物の重合を開始するカチオン重合開始剤のいずれかを重合性化合物に合わせて、用いることができる。
本発明において、使用し得る光重合開始剤は以下のものが挙げられる。ベンゾフェノン系として、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、4−フェニルベンゾフェノン、4、4−ジエチルアミノベンゾフェノン、3、3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド等が、チオキサントン系として、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2、4−ジエチルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、イソプロピルキサントン等が、アセトフェノン系として、2−メチル−1−(4−メチルチオ)フェニル−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2、2−ジメチル−2−ヒドロキシアセトフェノン、2、2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等が、ベンゾイン系として、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルメチルケタール等が、アシルフォスフィンオキサイド系として、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)アシルフォスフィンオキサイド、等が挙げられる。
カチオン重合開始剤としては、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、鉄アレーン錯体及び有機ポリハロゲン化合物を好ましく使用することができる。ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩及びスルホニウム塩としては、特公昭54−14277号、特公昭54−14278号、特開昭51−56885号、米国特許第3,708,296号、同第3,853,002号等に記載された化合物が挙げられる。
本発明における溶剤とは、インクに含まれる着色剤、重合性モノマー、添加剤、ポリマーなどの機能性材料の溶解または分散を助けるもので、インクの流動性を高める働きをして打滴などを行いやすくすると共に、インクを打滴し、所定の乾燥または熱処理を行った後は、その大半(概ね9割以上)が、蒸発などにより、除かれる性質のものである。
通常、沸点が100℃以下の有機溶剤が用いられる。また、インクの乾燥を防ぎヘッドの目詰まりを防止する目的では沸点が200℃以下、場合によってはそれ以上の高沸点溶剤が用いられることもある。
カラーフィルタ作製後、全面に耐性向上のためにオーバーコート層を設けている場合がある。オーバーコート層は、インクR,G,Bの固化層を保護するとともに、表面を平坦にすることができるが、工程数が増えるという観点から、設けないことが好ましい。
本発明の表示装置は、本発明のカラーフィルタを有するものである。本発明の表示装置としては液晶表示装置、プラズマディスプレイ表示装置、EL表示装置、CRT表示装置などの表示装置などを言う。表示装置の定義や各表示装置の説明は例えば「電子ディスプレイデバイス(佐々木 昭夫著、(株)工業調査会 1990年発行)」、「ディスプレイデバイス(伊吹 順章著、産業図書(株)平成元年発行)」などに記載されている。
本発明の表示装置のうち、液晶表示装置は特に好ましい。
本発明のカラーフィルタはテレビ、パーソナルコンピューター、液晶プロジェクター、ゲーム機、携帯電話などの携帯端末、デジタルカメラ、カーナビなどの用途に特に制限なく適用できる。
[隔壁形成用組成物の製法]
隔壁形成用組成物K1は、まず表1に記載の量のK顔料分散物1、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートをはかり取り、温度24℃(±2℃)で混合して150RPM10分間攪拌し、次いで、表1に記載の量のメチルエチルケトン、シクロヘキサノン、バインダー1、フェノチアジン、DPHA液、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[4−(N,N−ジエトキシカルボニルメチル)アミノ−3−ブロモフェニル]−s−トリアジン、界面活性剤1をはかり取り、温度25℃(±2℃)でこの順に添加して、温度40℃(±2℃)で150RPM30分間攪拌することによって得られる。なお、表1に記載の量は質量部であり、詳しくは以下の組成となっている。
・カーボンブラック(デグッサ社製 Nipex35) ・・・ 13.1%
・分散剤(下記化合物1) ・・・ 0.65%
のランダム共重合物、分子量3.7万) ・・・ 6.72%
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート ・・・ 79.53%
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=78/22モル比
のランダム共重合物、分子量3.8万) 27%
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート ・・・ 73%
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(重合禁止剤MEHQ 500ppm含有、日本化薬(株)製、商品名:KAYARAD DPHA) 76%
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート ・・・ 24%
・C.I.P.R.177(商品名:Cromophtal Red A2B、
チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製) ・・・ 18部
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=72/28
モル比のランダム共重合物、重量平均分子量3.7万)・・・ 12部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート ・・・ 70部
・C.I.P.B15:6 ・・・ 18部
・ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体[共重合組成比(モル比)=72/28 重量平均分子量=30000の40%プロピレングリコールモノメチルアセテート溶液] ・・・ 15部
・シクロヘキサノン ・・・ 50部
・プロピレングリコールモノメチルアセテート ・・・ 17部
・C.I.P.Y139 ・・・ 18部
・ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体[共重合組成比(モル比)=72/28 重量平均分子量=30000の40%プロピレングリコールモノメチルアセテート溶液] ・・・ 15部
・シクロヘキサノン ・・・ 50部
・プロピレングリコールモノメチルアセテート ・・・ 17部
・C.I.P.V23 ・・・ 12部
・ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体[共重合組成比(モル比)=72/28 重量平均分子量=30000の40%プロピレングリコールモノメチルアセテート溶液] ・・・ 18部
・シクロヘキサノン ・・・ 60部
・プロピレングリコールモノメチルアセテート ・・・ 10部
・カーボンブラック(デグッサ社製、商品名Special Black 250)
・・・ 15部
・ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体[共重合組成比(モル比)=72/28 重量平均分子量=30000の40%プロピレングリコールモノメチルアセテート溶液] ・・・ 23部
・シクロヘキサノン ・・・ 60部
・プロピレングリコールモノメチルアセテート ・・・ 10部
棒状銀微粒子(長軸長さL:400nm、幅b:30nm、厚さt:25nm、b/t=1.2)73.5gと、分散剤(商品名:ソルスパース20000、アビシア(株)製)1.05gと、メチルエチルケトン16.4gと、を混合した。これを、超音波分散機(商品名:Ultrasonic generator model US−6000 ccvp、nissei社製)を用いて分散し、棒状銀微粒子分散液(K顔料分散物7)を得た。
純水1000mlに、酢酸銀(I)23.1g、酢酸スズ(II)65.1g、グルコン酸54g、ピロリン酸ナトリウム45g、ポリエチレングリコール(分子量3,000)2g、及びE735(アイエスピー・ジャパン(株)製;ビニルピロリドン/酢酸ビニルコ
ポリマー)5gを溶解し、溶液1を得た。別途、純水500mlにヒドロキシアセトン36.1gを溶解して、溶液2を得た。
前記金属粒子を含有する液を遠心分離して銀錫合金部含有粒子を沈殿させた。遠心分離は、150mlの液量に小分けして、卓上遠心分離機H−103n((株)コクサン製)により回転数2,000r.p.m.で30分間行なった。そして、上澄みを捨て全液量を150mlにし、これに純水1350mlを加え、15分間攪拌して銀錫合金部含有粒子を再び分散させた。この操作(A)を2回繰り返して水相の可溶性物質を除去した。
この銀錫合金部含有粒子は、AgSn合金(2θ=39.5°)とSn金属(2θ=30.5°)とからなる複合体であることがX線散乱により確認された。ここで、カッコ内の数字はそれぞれの(III)面の散乱角である。この微粒子分散液を透過型電子顕微鏡で観察した結果、分散平均粒径は数平均粒子サイズで約40nmであった。
粒子100個を選び、それぞれの粒子像と同じ面積の円の直径を粒子径とし、100個の粒子の粒子径の平均を数平均粒子サイズとした。このとき、写真は、倍率10万倍、加速電圧200kVで撮影したものを用いた。
(隔壁形成工程1)
−濃色感光性転写材料K1の調製−
厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム仮支持体の上に、スリット状ノズルを用いて、下記処方H1からなる熱可塑性樹脂層用塗布液を塗布、乾燥させた。次に、下記処方P1から成る中間層用塗布液を塗布、乾燥させた。更に、前記隔壁形成用組成物K1を塗布、乾燥させた。このようにして仮支持体の上に乾燥膜厚が14.6μmの熱可塑性樹脂層と、乾燥膜厚が1.6μmの中間層と、隔壁形成用組成物層を設け、最後に保護フイルム(厚さ12μmポリプロピレンフィルム)を圧着した。
こうして仮支持体と熱可塑性樹脂層と中間層とブラック(K)の隔壁形成用組成物層とが一体となった濃色感光性転写材料を作製し、サンプル名を濃色感光性転写材料K1とした。
・メタノール 11.1部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 6.36部
・メチルエチルケトン 52.4部
・メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート
/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(共重合組成比(モル比)
=55/11.7/4.5/28.8、分子量=10万、Tg≒70℃)
5.83部
・スチレン/アクリル酸共重合体(共重合組成比(モル比)
=63/37、平均分子量=1万、Tg≒100℃) 13.6部
・2,2−ビス[4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパン(新中村化学工業(株)製) 9.1部
・弗素系ポリマー(C6F13CH2CH2OCOCH=CH2 40部と H(OCH(CH3)CH2)7OCOCH=CH2 55部とH(OCH2CH2)7OCOCH=CH2 5部との共重合体、平均分子量3万、メチルエチルケトン30%溶液、大日本インキ化学工業製、商品名:メガファックF780F) 0.54部
・PVA205(ポリビニルアルコール、(株)クラレ製、鹸化度=88%、重合度550) 32.2部
・ポリビニルピロリドン(アイエスピー・ジャパン社製、K−30) 14.9部
・蒸留水 524部
・メタノール 429部
引き続き洗浄剤(燐酸塩・珪酸塩・ノニオン界面活性剤・消泡剤・安定剤含有、商品名:T−SD1 富士写真フイルム株式会社製)を純水で10倍に希釈して用い、33℃20秒、コーン型ノズル圧力0.02MPaでシャワーで吹きかけ、更にナイロン毛を有す回転ブラシにより形成された画像を擦って残渣除去を行い、ブラック(K)の画像を得た。
続いて、超高圧水銀灯にて基板の表裏から基板の全面をそれぞれ2000mJ/cm2でポスト露光した後、220℃10分間熱処理し、光学濃度4.0、膜厚1.7μm、100μm幅の開口部を有するストライプ状の隔壁を得た。
Kの画像を形成した基板に、25℃に調整したガラス洗浄剤液をシャワーにより20秒間吹き付けながらナイロン毛を有する回転ブラシで洗浄し、純水シャワー洗浄後エアーナイフにて液切りを行った。
インクジェット装置(DIMATIX社製、ヘッドSE−128、吐出制御装置はDimatix社製の「Apollo II」)を用いて、隔壁上面に1ドロップにつき1.5plの条件で打滴した。その状態のまま乾燥させずに窒素雰囲気下で高圧水銀灯(USHIO社製)で500mJ/cm2で全面露光した。
その後、IPA(イソプロピルアルコール)にて基板を洗浄し、さらに純水シャワー洗浄を行い、エアーナイフにて液切りを行った。
−着色液体組成物の調製−
下記の成分のうち、先ず、顔料、高分子分散剤及び溶剤を混合し、3本ロールとビーズミルを用いて顔料分散液を得た。その顔料分散液をディソルバー等で十分攪拌しながら、その他の材料を少量ずつ添加し、赤色(R)画素用の着色液体組成物を調製した。
〈赤色着色液体組成物の組成〉
・顔料(C.I.ピグメントレッド254) 5部
・高分子分散剤(AVECIA社製ソルスパース24000) 1部
・バインダー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=72/28
モル比のランダム共重合物、重量平均分子量3.7万) 3部
・第一エポキシ樹脂(ノボラック型エポキシ樹脂、
油化シェル社製エピコート154) 2部
・第二エポキシ樹脂(ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル) 5部
・硬化剤(トリメリット酸) 4部
・溶剤:3−エトキシプロピオン酸エチル 80部
さらに、上記組成中のC.I.ピグメントレッド254に代えてC.I.ピグメントブルー15:6を同量用いるほかは赤色画素用の着色液体組成物の場合と同様にして青色(B)画素用の着色液体組成物を調製した。
前記ITOの透明電極上の隔壁の上部に相当する部分にフォトスペーサを設け、その上に更にポリイミドよりなる配向膜を設けた。
その後、カラーフィルタの画素群を取り囲むように周囲に設けられた隔壁外枠に相当する位置にエポキシ樹脂のシール剤を印刷すると共に、PVAモード用液晶を滴下し、対向基板と貼り合わせた後、貼り合わされた基板を熱処理してシール剤を硬化させた。このようにして得た液晶セルの両面に、(株)サンリツ製の偏光板HLC2−2518を貼り付けた。次いで、冷陰極管のバックライトを構成し、前記偏光板が設けられた液晶セルの背面となる側に配置し、液晶表示装置とした。
実施例1において用いた隔壁形成用組成物K1を、隔壁形成用組成物K2に変更した以外は、実施例1と同様にしてカラーフィルタ及び液晶表示装置を得た。
実施例1において用いた隔壁形成用組成物K1を、隔壁形成用組成物K3に変更した以外は、実施例1と同様にしてカラーフィルタ及び液晶表示装置を得た。
実施例1において用いた隔壁形成用組成物K1を、隔壁形成用組成物K4に変更した以外は、実施例1と同様にしてカラーフィルタ及び液晶表示装置を得た。
実施例1において用いたフッ素含有モノマーを、MR−R3420(ダイキン工業株式会社製)に変更した以外は、実施例1と同様にしてカラーフィルタ及び液晶表示装置を得た。
実施例1において用いたフッ素含有モノマーを、MR−R1633(ダイキン工業株式会社社製)に変更した以外は、実施例1と同様にしてカラーフィルタ及び液晶表示装置を得た。
実施例1において用いたフッ素含有モノマーを、2−(パーフルオロオクチル)−エチルメタクリレート(『CHEMINOX FAMAC−8』、ユニマテック製)に変更した以外は、実施例1と同様にしてカラーフィルタ及び液晶表示装置を得た。
実施例1において用いたフッ素含有モノマーを、ケイ素含有モノマーFM0755(信越化学工業株式会社製)に変更した以外は実施例1と同様にしてカラーフィルタ及び液晶表示装置を得た。
実施例1における隔壁形成工程1を、以下の隔壁形成工程2に変更した以外は、実施例1と同様にしてカラーフィルタ及び液晶表示装置を得た。
無アルカリガラス基板を、UV洗浄装置で洗浄後、洗浄剤を用いてブラシ洗浄し、更に超純水で超音波洗浄した。該基板を120℃3分熱処理して表面状態を安定化させた。
該基板を冷却し23℃に温調後、スリット状ノズルを有すガラス基板用コーター(平田機工株式会社製)にて、上記表1に記載の組成よりなる隔壁形成用組成物K1を塗布した。引き続きVCD(真空乾燥装置;東京応化工業(株)製)で30秒間、溶媒の一部を乾燥して塗布層の流動性を無くした後、120℃3分間加熱して隔壁形成用組成物層K1を得た。
実施例9において用いたフッ素含有モノマーを、ケイ素含有モノマーFM0755(信越化学工業株式会社製)に変更した以外は、実施例9と同様にしてカラーフィルタ及び液晶表示装置を得た。
実施例1の付与工程における撥インク性化合物の付与を、インクジェット装置を用いた付与に代えて、グラビアコータ−(松尾産業株式会社製、イージープルーフ(ドット:850線/インチ、深さ:4μm))に変更した以外は、実施例1と同様にしてカラーフィルタ及び液晶表示装置を得た。
実施例1において用いた隔壁形成用組成物K1を、隔壁形成用組成物K5に変更した以外は、実施例1と同様にしてカラーフィルタ及び液晶表示装置を得た。
得られた隔壁は、光学濃度4.0、膜厚2.0μm、100μm幅の開口部を有するストライプ状であった。
実施例1において「付与工程及び露光工程」を省略した以外は、実施例1と同様にしてカラーフィルタ及び液晶表示装置を得た。
ガラス基板上に黒色レジスト(新日鉄化学(株)製のV−259BK)を、2.0μmになるようにスピンコーターで塗布し、80℃5分加熱処理した。
東芝シリコーン(株)製のTSL−8233(C8F17−C2H4−Si(OCH3)3)をメタノールで希釈し、若干量の水分を加え、一晩放置した後、パーフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)で有効成分を抽出し、0.25質量%に希釈し、レジスト膜上にスピンコーターで塗布し、100℃5分加熱処理した。
この基板を、超高圧水銀灯を有すプロキシミティー型露光機(日立ハイテク電子エンジニアリング(株)製)で、基板とマスク(画像パターンを有す石英露光マスク)を垂直に立てた状態で、露光マスク面と該隔壁形成用組成物層の間の距離を200μmに設定し、露光量150mJ/cm2でパターン露光した。
実施例1と同様の方法で形成された隔壁付基板上に、予めフッ素系界面活性剤(住友3M社製、フロラードFC−430)が0.5質量%(感光性樹脂の固形分に対して)内添してあるアルカリ可溶の感光性樹脂(ヘキストシャパン社製、ポジ型フォトレジストAZP4210)を膜厚2μmとなるようにスピンコートし、温風循環乾燥機中で90℃、30分間のプレベークを行った。
次いで、110mJ/cm2 (38mW/cm2 ×2.9秒)の露光量でガラス基板裏面から隔壁を介して露光し、無機アルカリ現像液(ヘキストジャパン社製、AZ400Kデベロッパー、1:4)中に80秒間浸漬揺動した後、純水中で30〜60秒間リンス処理を行い、隔壁上に撥水性樹脂層を形成することにより画素内外に表面エネルギー差を設けた。撥水性樹脂層形成後の画素内外の表面エネルギーは、画素外(樹脂層上)が10〜15mN/m、画素内(ガラス基板上)は55mN/m前後であった。
次いで、実施例1と同様の方法でインクジェット法によりRGBの画素を作製し、その後液晶表示装置を作製した。
上述のようにして得られたカラーフィルタ及び液晶表示装置について、下記評価を実施した。得られた結果を表2に示す。
得られたカラーフィルタを200倍の光学顕微鏡で1000画素について目視観察して画素間の混色の有無を調べた。
A : 混色無し
B : 混色1個〜2個
C : 混色3個〜4個
D : 混色4個以上
許容されるのはAとB
得られたカラーフィルタ基板の640画素×480画素をRGBの3色セットを 検査機(オプトワン株式会社製のLCF−3011XU)を用いて白抜けの有無を調べた。
A : 白抜け無し
B : 白抜け1個〜2個
C : 白抜け3個〜10個
D : 白抜け11個以上
許容されるのはAとB
液晶表示装置の各々について、グレイのテスト信号を入力させたときのグレイ表示を目視にて観察し、表示ムラの発生の有無を下記評価基準にしたがって評価した。
〈評価基準1〉
良 :表示ムラは全く認められなかった。
難あり:表示ムラが認められた。
本発明の製造方法により形成された隔壁を有する実施例のカラーフィルタは、混色や白抜けが無く、そのカラーフィルタを用いた表示装置は良好な表示が可能である。
一方、本発明に係る付与工程を行わずに得た比較例のカラーフィルタは、混色が発生し、そのカラーフィルタを用いた表示装置は非常に難のある表示しか得られない。
以上より、本発明の撥インク化方法は前記課題を達成する上で有効であることが分かった。
12 撥インク性隔壁
13 着色画素
14 オーバーコート層
17 共通電極(透明導電膜)
18、23 配向膜
19 液晶
21 対向基板
22 画素電極
31 基板
32 隔壁
Claims (8)
- 基板上に隔壁を形成する隔壁形成工程と、前記隔壁の上面に選択的に撥インク性化合物として、下記一般式(I)、(II)、(III)、(IV)及び(V)よりなる群から選ばれる少なくとも1種のフッ素含有モノマーを付与する付与工程を含むことを特徴とする撥インク性隔壁の製造方法。
CH 2 =CR 1 COOR 2 R f (I)
(一般式(I)中、R 1 は水素原子又はメチル基を表し、R 2 は−C p H 2p −、−C p H 2p CH(OH)C n H 2n −、−C(C p H 2p+1 )H−、−CH 2 C(C p H 2p+1 )H−又は−CH 2 CH 2 O−を表し、R f は−C n F 2n+1 、−(CF 2 ) n H、−(CF 2 ) p OC n H 2n C i F 2i+1 、−(CF 2 ) p OC m H 2m C i F 2i H、−N(C p H 2p+1 )COC n F 2n+1 又は−N(C p H 2p+1 )SO 2 C n F 2n+1 表す。但し、pは1〜10、nは1〜16、mは0〜10、iは0〜16の整数である。)
CF 2 =CFOR g (II)
(一般式(II)中、R g は炭素数1〜20のパーフルオロアルキル基を表す。)
CH 2 =CHR g (III)
(一般式(III)中、R g は炭素数1〜20のパーフルオロアルキル基を表す。)
CH 2 =CR 3 COOR 5 R j R 6 OCOCR 4 =CH 2 (IV)
(一般式(IV)中、R 3 及びR 4 は各々独立に水素原子又はメチル基を表し、R 5 及びR 6 は各々独立に−C q H 2q −、−C(C q H 2q+1 )H−、−CH 2 C(C q H 2q+1 )H−又は−CH 2 CH 2 O−を表し、R j は−C t F 2t −を表す。但し、qは1〜10、tは1〜16の整数である。)
CH 2 =CR 7 COOCH 2 CH(CH 2 R k )OCOCR 8 =CH 2 (V)
(一般式(V)中、R 7 及びR 8 は各々独立に水素原子又はメチル基を表し、R k は−C y F 2y+1 を表す。但し、yは1〜16の整数である。) - 前記撥インク性化合物が感光する波長を含む光で露光する露光工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の撥インク性隔壁の製造方法。
- 前記撥インク性化合物をインクジェット方式により、前記隔壁の上面に付与することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の撥インク性隔壁の製造方法。
- 前記撥インク性化合物をグラビアコーターにより、前記隔壁の上面に付与することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の撥インク性隔壁の製造方法。
- 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の撥インク性隔壁の製造方法により製造された撥インク性隔壁。
- 請求項5に記載の撥インク性隔壁を有する基板における前記撥インク性隔壁の間隙に、着色液体組成物からなる液滴をインクジェット方式で付与する工程を有することを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
- 請求項6に記載のカラーフィルタの製造方法により製造されたカラーフィルタ。
- 請求項7に記載のカラーフィルタを有する表示装置。
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