JP3982032B2 - 抗菌性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、抗菌性樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
プラスチックの加工には、可塑剤、酸化防止剤、充填剤、帯電防止剤等種々の添加剤が用いられており、抗菌剤も、プラスチック加工における重要な添加剤である。ところで、プラスチックの加工温度はほとんどが200℃以上であり、プラスチック用の抗菌剤はこの加工温度において安定でなければならず、単に抗菌活性を有するだけでは充分ではないとされている。
【0003】
また、プラスチックの使用場面によっては、湿潤・浸水等の条件下においても外観を損なうことなく安定した抗菌活性を保つことが望まれる。
本発明は、プラスチックの加工時の高温に耐え、プラスチックの基本性能を損なわず、高い抗菌活性を有し、また、湿潤・浸水等の条件下においても抗菌性能を持続し得る樹脂用の抗菌剤及び該抗菌剤の処理された抗菌性樹脂組成物を提供することを課題としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、置換されていてもよいN−フェニルベンゾイソチアゾロン化合物、例えば、一般式
【化2】
Figure 0003982032
〔式中、Xmは、同一又は相異なる4個以下の、ハロゲン原子、アルキル基又はアルコキシ基により置換されていてもよいことを表し、Ynは、同一又は相異なる5個以下の、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基又はハロアルコキシ基により置換されていてもよいことを表す。〕
で示されるN−フェニルベンゾイソチアゾロン化合物が、樹脂に添加されてなる抗菌性樹脂組成物、溶融されてなる樹脂中に該N−フェニルベンゾイソチアゾロン化合物を練り込む抗菌性樹脂組成物の製造方法、及び該N−フェニルベンゾイソチアゾロン化合物を有効成分として含有する樹脂用抗菌剤を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明において用いられる置換されていてもよいN−フェニルベンゾイソチアゾロン化合物とは、抗菌活性を有するN−フェニルベンゾイソチアゾロンの芳香環上の水素原子が、抗菌活性を失わせないような任意の置換基で置換されていてもよい化合物を意味し、その具体例としては上述の一般式化2で示されるN−フェニルベンゾイソチアゾロン化合物が示される。
【0006】
一般式化2で示されるN−フェニルベンゾイソチアゾロン化合物において、Xm及びYnにおけるアルキル基としては、通常、炭素数1〜10、好ましくは1〜4のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、 sec−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、デシル基等が挙げられ、アルコキシ基としては、通常、炭素数1〜10、好ましくは1〜4のアルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、 sec−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、デシルオキシ基等が挙げられる。また、Ynにおけるハロアルキル基としては、通常、炭素数1〜4のアルキル基、例えば、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタクロロエチル基、ペンタフルオロエチル基、テトラクロロエチル基、テトラフルオロエチル基等が挙げられ、ハロアルコキシ基としては、通常、炭素数1〜4のハロアルコキシ基、例えば、トリクロロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、ペンタクロロエトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、テトラクロロエトキシ基、テトラフルオロエトキシ基等が挙げられる。
N−フェニルベンゾイソチアゾロン化合物類の製造方法及び該化合物類が抗菌活性を有することは、Arzneimittel-Forsch.,14,1301(1964)に記載されており、該文献の記載にしたがって製造することができる。
【0007】
本発明において用いられる置換されていてもよいN−フェニルベンゾイソチアゾロン化合物のより具体的な例としては、無置換のN−フェニルベンゾイソチアゾロンの他に、例えば以下に示される化合物が挙げられる。
【化3】
Figure 0003982032
【0008】
【表1】
Figure 0003982032
【0009】
【表2】
Figure 0003982032
【0010】
【表3】
Figure 0003982032
【0011】
【表4】
Figure 0003982032
【0012】
本発明において用いられる「樹脂」とは、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体等のポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体等のエチレン性不飽和結合を有する有機カルボン酸誘導体とエチレンとの共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、アクリロニトリル−エチレンプロピレンゴム−スチレン共重合体(AES)等のスチレン系共重合体、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチルなどの熱可塑性樹脂、ポリウレタン、尿素樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂のみならず、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム、ニトリルゴム、シリコーンゴム等のゴムをも含むものであり、これらの樹脂に一般式化2で示される置換されていてもよいN−フェニルベンゾイソチアゾロン化合物が添加されてなる本発明の抗菌性樹脂組成物は、家庭用電化製品、OA機器、包装用フィルム、農業用フィルム、天幕、シート、ロープ、塩ビ管、被覆電線、建材、各種樹脂成形品等の黴等による汚染を防止するのに役立つものであり、また、本発明の抗菌性樹脂組成物を繊維状に加工したものは各種繊維製品の黴・菌等による汚染を防止するのに役立つものである。
【0013】
本発明の抗菌性樹脂組成物は、例えば、樹脂を150〜300℃で溶融し、これに置換されていてもよいN−フェニルベンゾイソチアゾロン化合物を添加して練り込むことにより製造される。該N−フェニルベンゾイソチアゾロン化合物は、添加する際、そのまま使用することもできるし、予め、樹脂と溶融、混合してマスターバッチとしておいたものを使用することもできる。
尚、このようにして本発明の抗菌性樹脂組成物を製造する際に、通常使用される添加剤、例えば、可塑剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線防止剤、滑剤、帯電防止剤、防汚剤、脱臭剤、充填剤、発泡剤、消泡剤、アンチブロッキング剤、着色剤、防虫剤、着香料、他の抗菌剤等を同時に添加してもよい。
【0014】
本発明の抗菌性樹脂組成物において、樹脂に添加される置換されていてもよいN−フェニルベンゾイソチアゾロン化合物の量は、通常、抗菌性樹脂組成物全体に対して 0.01 〜5.0 重量%、好ましくは、 0.05 〜2.0 重量%の割合である。本発明の抗菌性樹脂組成物においては、樹脂組成物とは、置換されていてもよいN−フェニルベンゾイソチアゾロン化合物が添加された樹脂そのもの、並びに通常使用される各種添加剤を含む成形材料及び成形体の全てを意味する。
即ち、本発明の抗菌性樹脂組成物としては、置換されていてもよいN−フェニルベンゾイソチアゾロン化合物が練込み等により添加された樹脂、樹脂に該N−フェニルベンゾイソチアゾロン化合物及び通常使用される各種添加剤の混合された成形材料、該成形材料を押出成形、射出成形、ブロー成形、圧縮成形、真空成形、ロール成形、カレンダー成形等により成形した成形体が挙げられる。
【0015】
本発明の抗菌性樹脂組成物は、例えばAspergillus niger 等のAspergillus 属、Chaetomium globosum 等のChaetomium属、Cladosporium cladosporioides等のCladosporium属、Aureobasidium pullulans 等のAureobasidium 属、Penicillium citrinum等のPenicillium 属、Rhizopus oryzae 等のRhizopus属、Fusarium属、Alternaria属、Tyromyces 属、Coriolus属、Myrothecium 属、Mucor 属、Epicoccum 属、Trichoderma 属、Phoma 属、Geotrichum属、Monilia 属などの糸状菌、Saccharomyce属、Candida 属などの酵母、MRSAを含むStaphylococcus属、Bacillus属、Clostridium 属、Enterococcus属、Flavobacterium属、Klebsiella属、Micrococcu属、Proteus 属、Pseudomonau 属、Escherichia 属、Desulphovibrio属、Enterobacter属、Achromobacter 属、Cellulomonas属、Paracolabactrum 属、Sphaerotilus属、Sporocytophaga属、Gallionella 属、Leptothrix属、Beggiatoa 属、Aerobacter属などの細菌などに対して抗菌効力を有している。
尚、本発明の抗菌性樹脂組成物はChlorella 属などの藻類の防除においても有効である。
【0016】
【実施例】
次に、実施例をあげて本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下の例のみに限定されるものではない。
まず、本発明の抗菌性樹脂組成物の製造例を示す。
製造例1
ペースト用ポリ塩化ビニル樹脂(住友化学工業製 PxQLT) 100重量部、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(三建化工株式会社製可塑剤)50重量部及び安定剤(協同薬品製KF65J2)3.5 重量部を混合し、これにN−フェニルベンゾイソチアゾロンを樹脂組成物全体に対して0.1 重量%添加し、石川式擂塊機で15分間かけてペースト化してゾル状物を得た。得られたゾル状物をロールコータで難燃紙上にコーティングし、 145℃で60秒間加熱した後、 225℃のトンネル炉中で60秒間加熱し、 150nm厚のポリ塩化ビニル樹脂シートを得た。
得られたポリ塩化ビニル樹脂シートには、N−フェニルベンゾイソチアゾロンの添加による着色、白濁といった影響は認められなかった。
【0017】
製造例2
製造例1において、N−フェニルベンゾイソチアゾロンの添加量を0.1 重量%にかえて 0.2重量%とした以外は、全て製造例1と同様にしてポリ塩化ビニル樹脂シートを得た。
得られたポリ塩化ビニル樹脂シートには、N−フェニルベンゾイソチアゾロンの添加による着色、白濁といった影響は認められなかった。
【0018】
製造例3
ペースト用ポリ塩化ビニル樹脂(住友化学工業製 PxQLT) 100重量部、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(三建化工株式会社製可塑剤)55重量部、炭酸カルシウム(充填剤) 100重量部、酸化チタン(体質顔料)17重量部、発泡剤(大塚化学製ADCA) 4.2重量部、発泡剤(ノーガタック製OBSH) 1.8重量部及び安定剤(協同薬品製KF65J2)3重量部を混合し、これにN−フェニルベンゾイソチアゾロンを樹脂組成物全体に対して0.2 重量%添加し、石川式擂塊機で15分間かけてペースト化してゾル状物を得た。得られたゾル状物をロールコータで難燃紙上に 0.2mm厚でコーティングし、 225℃のトンネル炉中で40秒間加熱発泡し、発泡ポリ塩化ビニル樹脂成形体を得た。
得られたポリ塩化ビニル樹脂成形体には、N−フェニルベンゾイソチアゾロンの添加による着色、白濁といった影響は認められなかった。
【0019】
製造例4
ポリオレフィン樹脂として、低密度ポリエチレン(住友化学工業株式会社製スミカセンF208−1)にN−フェニルベンゾイソチアゾロンを樹脂組成物全体に対して2重量%添加し、ブラベンダープラストグラフを用いて160℃で5分混練し、抗菌樹脂組成物を得た。得られた抗菌樹脂組成物を180℃で5分間プレスし、0.5mm厚の抗菌樹脂成形体を得た。
【0020】
製造例5
ポリオレフィン樹脂として、ポリプロピレン(住友化学工業株式会社製ノーブレンW101)にN−フェニルベンゾイソチアゾロンを樹脂組成物全体に対して2重量%添加し、ブラベンダープラストグラフを用いて180℃で5分間混練し、抗菌樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を210℃で5分間プレスし、0.5mm厚の抗菌樹脂成形体を得た。
【0021】
製造例6
ポリスチレン(住友化学工業株式会社製スミブライトM140)にN−フェニルベンゾイソチアゾロンを樹脂組成物全体に対して2重量%添加し、ブラベンダープラストグラフを用いて180℃で5分間混練し、抗菌樹脂組成物を得た。得られた抗菌樹脂組成物を210℃で5分間プレスし、0.5mm厚の抗菌樹脂成形体を得た。
【0022】
製造例7
スチレン系共重合体として、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂(住化エービーエスラテックス株式会社製クララスチックAP8A)にN−フェニルベンゾイソチアゾロンを樹脂組成物全体に対して2重量%添加し、ブラベンダープラストグラフを用いて180℃で5分間混練し、抗菌樹脂組成物を得た。得られた抗菌樹脂組成物を210℃で5分間プレスし、0.5mm厚の抗菌樹脂成形体を得た。
【0023】
次に、後述の試験例に比較用に用いる樹脂組成物の製造例を比較例として示す。
比較例1
製造例1において、N−フェニルベンゾイソチアゾロンを添加しない以外は、全て製造例1と同様にしてポリ塩化ビニル樹脂シートを得た。
比較例2
製造例3において、N−フェニルベンゾイソチアゾロンを添加しない以外は、全て製造例3と同様にしてポリ塩化ビニル樹脂成形体を得た。
比較例3
製造例4においてN−フェニルベンゾイソチアゾロンを添加しない以外は全て製造例4と同様にしてポリエチレン樹脂成形体を得た。
比較例4
製造例5においてN−フェニルベンゾイソチアゾロンを添加しない以外は全て製造例5と同様にしてポリプロピレン樹脂成形体を得た。
比較例5
製造例6においてた。N−フェニルベンゾイソチアゾロンを添加しない以外は全て製造例6と同様にしてポリスチレン樹脂成形体を得た。
比較例6
製造例7においてN−フェニルベンゾイソチアゾロンを添加しない以外は全て製造例7と同様にしてアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂成形体を得た。
【0024】
上記の製造例及び比較例で得た樹脂組成物の抗菌試験を以下に示す。
試験例1
Staphylococcus aureus の培養液を標準寒天培地上に塗布し、その上に製造例1、2及び比較例1で得たポリ塩化ビニル樹脂組成物の2cm×2cmに切り取った試料を平らに載置し、さらに該試料上にも培養液をふりかけた。33℃で24時間培養後、試料の周囲のハロー(抗菌性を表す微生物の増殖阻止円)形成を観察し、抗菌性を評価した。
その結果、製造例1の試料ではハロー幅2mm、製造例2の試料ではハロー幅4mmのハローが各々形成され、抗菌性を示したが、比較例1の試料ではハローが形成されず抗菌性が見られなかった。
また、各試料を24時間、流水(100ml/秒)中に浸漬処理した後、同様の試験を行ったが、製造例1の試料ではハロー幅2mm、製造例2の試料ではハロー幅4mmのハローが各々形成され、一方、比較例1の試料ではハローが形成されないという上記と同様の結果が得られた。
【0025】
試験例2
Saccharomyces cerevisiaeの培養液を標準寒天培地上に塗布し、その上に製造例1、2及び比較例1で得たポリ塩化ビニル樹脂組成物の2cm×2cmに切り取った試料を平らに載置し、さらに該試料上にも培養液をふりかけた。33℃で24時間培養後、試料の周囲のハロー(抗菌性を表す微生物の増殖阻止円)形成を観察し、抗菌性を評価した。
その結果、製造例1の試料ではハロー幅3mm、製造例2の試料ではハロー幅5mmのハローが各々形成され、抗菌性を示したが、比較例1の試料ではハローが形成されず抗菌性が見られなかった。
また、各試料を24時間、流水(100ml/秒)中に浸漬処理した後、同様の試験を行ったが、製造例1の試料ではハロー幅3mm、製造例2の試料ではハロー幅5mmのハローが各々形成され、一方、比較例1の試料ではハローが形成されないという上記と同様の結果が得られた。
【0026】
試験例3
Aureobasidium pullulans の培養液をポテトデキストロース寒天培地上に塗布し、その上に製造例2及び比較例1で得たポリ塩化ビニル樹脂組成物の2cm×2cmに切り取った試料を平らに載置し、さらに該試料上にも培養液をふりかけた。28℃で1週間培養後、試料上の菌の生育具合を観察し抗菌性を評価した。
結果を表5に示す。表中の評価基準は以下の指標に従って行った。
− : 試料上に菌の生育が認められない。
± : 試料上1/10以下の面積に菌の生育が認められる。
+ : 試料上1/10〜1/3 の面積に菌の生育が認められる。
++ : 試料上1/3 〜1/2 の面積に菌の生育が認められる。
+++ : 試料上1/2 以上の面積に菌の生育が認められる。
【表5】
Figure 0003982032
【0027】
試験例4
日本工業規格の抗黴試験(JISZ2911)記載の繊維製品試験(湿式法)に準じた培地組成の平板培地上に、製造例3及び比較例2で得たポリ塩化ビニル樹脂組成物を5cm平方に切り取った試料を載せ、後述の糸状菌混合胞子懸濁液1mlを均一にふりかけた後、28℃で6週間培養し、抗菌性の評価を行った。
用いた糸状菌は、Aspergillus niger 、Penicillium citrinum、Chaetomium globosum 、Cladosporium cladosporioides、Aureobasidium pullulans の6種であった。結果を表6に示す。尚、評価方法は試験例3と同様の基準に従ったものである。
【0028】
【表6】
Figure 0003982032
【0029】
試験例5
Staphylococcus aureus の培養液を標準寒天培地上に塗布し、その上に製造例4、製造例5、製造例6、製造例7、比較例3、比較例4、比較例5及び比較例6で得た樹脂組成物の2cm平方試料を平らに載置し、さらに試料上にも培養液をふりかけた。33℃で24時間培養後、試料の周囲のハロー(抗菌性を表す微生物の増殖阻止円)形成を観察し、抗菌性を評価した。その結果、製造例4の試料ではハロー幅8mm、製造例5の試料ではハロー幅9mm、製造例6の試料ではハロー幅3mm、製造例7の試料ではハロー幅2mmのハローが形成され抗菌性を示したが、比較例3、比較例4、比較例5及び比較例6の試料ではハローが形成されず抗菌性が見られなかった。
【0030】
試験例6
日本工業規格の抗黴試験(JIS 記載の繊維製品試験(湿式法)に準じた培地組成の平板培地上に、製造例4、製造例5、製造例6、比較例3、比較例4及び比較例5で得た樹脂組成物を5cm平方に切り取った試料を載せ、後述の糸状菌混合胞子懸濁液1mlを均一にふりかけた後、28℃で4週間培養し、抗菌性の評価を行った。用いた糸状菌は、Aspergillus niger 、Penicillium citrinum、Chaetomium globosum 、Cladosporium cladosporioides、Aureobasidium pullulans の5種であった。
結果を表7に示す。表中の評価基準は以下の指標に従って行った。
− : 試料上に糸状菌の生育が認められない。
+ : 試料上1/3以下の面積に糸状菌の生育が認められる。
++ : 試料上1/3以上の面積に糸状菌の生育が認められる。
【表7】
Figure 0003982032
表7において、比較例3、比較例4、比較例5上に糸状菌の生育が認められたのに対し、製造例4、製造例5、製造例6上では明らかに糸状菌の生育抑制が認められた。
試験例5、試験例6の結果より、本発明樹脂組成物が細菌及び糸状菌に対し優れた抗菌性を有する事がわかる。
【0031】
【発明の効果】
本発明の抗菌性樹脂組成物は抗菌性に優れ、また、耐水性にも優れた組成物である。

Claims (7)

  1. 置換されていてもよいN−フェニルベンゾイソチアゾロン化合物が樹脂に含有されてなることを特徴とする抗菌性樹脂成形体
  2. 一般式
    Figure 0003982032
    〔式中、Xmは、同一又は相異なる4個以下の、ハロゲン原子、アルキル基又はアルコキシ基により置換されていてもよいことを表し、Ynは、同一又は相異なる5個以下の、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基又はハロアルコキシ基により置換されていてもよいことを表す。〕で示されるN−フェニルベンゾイソチアゾロン化合物が、樹脂に含有されてなることを特徴とする抗菌性樹脂成形体
  3. N−フェニルベンゾイソチアゾロン化合物が、樹脂に含有されてなることを特徴とする抗菌性樹脂成形体
  4. 樹脂がポリ塩化ビニル系樹脂である請求項1、請求項2又は請求項3記載の抗菌性樹脂成形体
  5. 樹脂がポリオレフィン樹脂である請求項1、請求項2又は請求項3記載の抗菌性樹脂成形体
  6. 樹脂がポリスチレン樹脂である請求項1、請求項2又は請求項3記載の抗菌性樹脂成形体
  7. 樹脂がアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂である請求項1、請求項2又は請求項3記載の抗菌性樹脂成形体
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