JP3981582B2 - 舗装構造及び舗装体の形成方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、道路橋の桁間又は桁と橋台との間における橋面に、伸縮装置を用いることなく連続して形成される舗装構造及び桁遊間上等に好適に用いられる舗装体の形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
高速道路等の交通量が多い道路では車輌の走行にともなう騒音の発生が、近隣の居住環境を悪化させる要因となっている。特に、橋梁部分では橋桁と橋桁との間または橋桁と橋台との間に橋桁の伸縮を許容する遊間が設けられ、この部分で舗装を不連続とするとともに路面を伸縮可能に接合する伸縮装置が設けられており、騒音の発生源となっている。このため、市街地の橋梁例えば高架橋等では、桁と桁または桁と橋台との間に伸縮装置を用いず、連続した舗装を設ける構造が提案されている。このような構造を採用することによって桁と桁との間又は桁と橋台との間における騒音を著しく低減することができる。また、遊間上で伸縮装置を用いず連続した舗装を形成することにより、走行車輌に伝わる衝撃が著しく緩和され、乗り心地が大幅に改善される。
【0003】
一方、自動車が高速で走行すると、タイヤが路面に連続的にたたき付けられることになり、伸縮装置等がなくても相当の騒音が発生する。このような騒音は、舗装の表層を空隙率の大きい多孔質のアスファルト混合物層とすることにより、かなり低減されることが知られている。また、表層の空隙率が大きいと雨水等の浸透性が良好となり、ハイドロプレーニング現象やスモーキング現象の防止及び沿道への水跳ねを防止する効果が得られる。
このような多孔質の表層は、骨材の粒度分布及びアスファルト量を調整することによって形成することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来の技術には、次のような改良が望まれる課題がある。
桁間又は桁と橋台との上に連続して舗装が設けられていると、桁の伸縮により桁遊間が変動したときに、この桁の変位が舗装体に伝えられ、舗装体には繰り返し引張及び圧縮ひずみが発生することになる。このようなひずみを舗装体の広い範囲に分散させ、舗装体の弾性変形または粘弾性変形によって吸収し、ひびわれを防止する構造が知られているが、長大橋梁等で桁長が大きくなると、桁の伸縮長も大きくなり、分散させても表層に生じるひずみはかなり大きくなる。
【0005】
このとき表層が多孔質のアスファルト混合物で形成されていると、多孔質舗装は密実なアスファルト混合物に比べてやや強度及び耐久性が劣ることから、走行車輌の衝撃やタイヤの摩擦によって表面付近の骨材が剥がれ、小さな穴(ポットホール)が生じることがある。このような穴は、走行車輌の通過によって拡大され易く、この穴から舗装体の破壊がすすむことも生じ得る。
【0006】
本発明は上記のような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、車輌の走行による騒音を低減するとともに、桁の伸縮にともなう舗装体のひずみを分散する効果と耐久性に優れた舗装構造、又はびひずみを分散する効果と耐久性に優れた舗装体の形成方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、桁遊間上に舗装体を連続して敷設する舗装構造であって、 前記桁遊間の両側にあるコンクリート構造体上に、該コンクリート構造体とこの上に敷設される舗装体との間の水平方向の相対変位を許容するスライディングシートが敷設され、 該スライディングシート上にアスファルト混合物からなる基層及び表層が、前記桁遊間上の位置の両側にわたって連続するように積層して敷設され、 前記表層は、アスファルト量及び混合する骨材の粒度分布を調整することによって空隙率が10%〜50%となるように形成され、 該表層の上層部では、表層の上から散布され流下した合成樹脂が、アスファルトが付着した骨材の周面を包むように薄い層を形成して硬化しており、 該表層の下層部における空隙は、表層の上から散布され流下した合成樹脂が充填され、硬化して表層に作用する引張力に抵抗するものとなっていることを特徴とする舗装構造を提供する。
【0008】
上記構成において、桁遊間は、橋桁と橋桁との間又は橋桁と橋台との間に設けられる隙間であり、橋桁の温度変化等による伸縮を許容するものである。また、上記コンクリート構造体は、コンクリートからなる橋桁、鋼桁の上に形成されたコンクリート床版、コンクリートからなる橋台等を含むものである。
【0009】
この舗装構造では、桁遊間の両側にわたり連続して舗装体が形成され、スライディングシートが敷設された範囲で舗装体がコンクリート構造体上で滑動可能となっている。このため桁遊間が変動したときに、舗装体のひずみは桁遊間に集中することなく、スライディングシートの敷設範囲に分散される。そして、桁が収縮することによって桁遊間が拡大したときには、舗装体に引張応力が作用するが、表層の下層部は、アスファルト混合物の敷設時にはあった空隙が合成樹脂によって充填され、骨材及びアスファルトと一体となって大きな引張強度を有するものとなっている。また、合成樹脂は大きな変形量を許容するものであり、舗装体の表層は、ひび割れ等を生じることなくひずみを良好に分散する。
【0010】
また、表層の上層部では、散布され流下した合成樹脂が空隙内の周面、つまりアスファルトが付着した骨材の周面を包むように薄い層を形成し、硬化しているので骨材の粒子間の付着力が大きくなっており、骨材の粒子が剥離するのが防止される。
さらに、散布する合成樹脂の量を適切に設定することによって上層部には空隙を残すことができ、騒音の低減効果及び雨水の排水効果も維持することが可能となる。
【0011】
なお、上記空隙率は、約15%以下となると、騒音を低減する効果はほとんど期待できなくなり、約50%以上となると舗装材料として充分な強度を得ることはできなくなる。
【0012】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の舗装構造において、前記基層内には、水平方向の引張力に抵抗する補強部材が埋め込まれているものとする。
【0013】
桁遊間が拡大すると、舗装体はスライディングシート上で滑ってひずみを分散するが、スライディングシートに摩擦抵抗があるため、引張ひずみ及び引張応力度は桁遊間上で大きくなり易い。しかし、舗装体の基層内には、補強部材が埋め込まれており、これが引張力に抵抗し、ひずみを桁遊間の両側へ分散させる。これにより表層に伝達されるひずみ量の最大値を低減することができる。
【0014】
請求項3に係る発明は、請求項1に記載の舗装構造において、前記基層の上には、水平方向の引張力に抵抗する抗張力シートが敷設され、該抗張力シートの上面はその上に形成された表層と接着されているものとする。
【0015】
この舗装構造では、基層に生じたひずみ及び引張応力が表層に伝達するときに、表層の底面に接着された抗張力シートがひずみを拘束し、表層に生じるひずみ及び引張応力度を抑制する。これにより、表層のひび割れ及び骨材の剥離を有効に抑制することができる。
【0016】
請求項4に係る発明は、請求区1に記載の舗装構造において、前記合成樹脂は、常温硬化型変性ビニルエステル樹脂であるものとする。
【0017】
常温硬化型変形性ビニルエステル樹脂は、硬化前には高い流動性を有するとともに速硬化性を有している。したがって、施工性が良好であり、アスファルト混合物を敷き均し、転圧した表層上に散布するだけで、骨材を覆うように被覆層を形成するとともに表層の下層部では骨材及びアスファルトとともに空隙のない連続した層を形成する。また、この樹脂は、アスファルトに対して、密着性を有するとともに、硬化したときには充分な強度を有する。したがって、表層の上層部では、合成樹脂の被覆層が骨材をしっかりと保持し、剥離を防ぐとともに、下層部では強い連続層を形成する。また、硬化後も適切な柔軟性を維持しているのでアスファルトの変形挙動にも追従することができる。
【0018】
請求項5に係る発明は、路盤又はコンクリート構造体上に基層を敷設し、その上に、アルファルト量及び混合する骨材の粒度分布を調整することによって空隙率が10%から50% となった多孔質の表層を形成し、 該表層の上から、流動性が良好で後に硬化する合成樹脂を散布し、前記空隙内を流下させて、該表層の上層部のアスファルトが付着した骨材の周面を包むように薄い層を形成するとともに、該表層の下層部の空隙を充填することを特徴とする舗装体の形成方法を提供するものである。
【0019】
この方法では、未硬化の合成樹脂が、表層の空隙内を流下し、骨材を包み込むように合成樹脂の被覆層を形成する。この合成樹脂の被覆層が硬化することによって骨材間の接着力が向上し、骨材の剥離が防止される。また、合成樹脂は、表層の下層部まで流下し、空隙を充填して硬化することによって骨材及びアスファルトと一体となり、空隙のない連続した層が形成される。
これにより、引張力に対して強い層が形成され、基層から表層に伝達されるひずみを有効に分散するとともにひび割れの発生を防止することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本願に係る発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
図1は、本願発明の一実施形態である舗装構造を示す概略断面図である。
この舗装構造は、連続して架設された二つのコンクリート橋桁1,2の桁遊間3上に伸縮装置等を用いることなく、舗装体4を連続して敷設したものである。この桁遊間3は、温度の変化等によって変動するものであり、両側の橋桁1,2上の所定範囲にスライディングシートを敷設し、この上に舗装を形成して桁遊間の変動による舗装のひずみを上記スライディングシートの敷設範囲に分散させるものである。
【0021】
この舗装構造の詳細は次のとおりである。
桁遊間の両側にあるコンクリート橋桁1,2には、桁上面から所定の深さの切り欠きが設けられている。そして、この下側に桁遊間を塞ぐようにバックアップ材11が詰め込まれ、その上にシーリング材12が桁間を連結するように充填される。このシーリング材12はコンクリートに対して接着性を有するものであり、大きな弾性変形を生じ、桁遊間が変動した場合にも、桁間への漏水を防止することができるものである。
【0022】
上記切り欠きの底部は、樹脂コンクリートによる不陸調整層13が設けられ、この上にクッション材20を敷設し、その上に荷重支持部材5が配列されている。上記クッション材は、ポリエステル不織布にアスファルトを含浸させたものであり、この上に配列される荷重支持部材5と桁1,2との相対変位が大きな抵抗なく生じるように配設されるものである。
【0023】
また、荷重支持部材5は、図2に示すように、鋼板材を溝型に加工した部材を桁遊間に架け渡すようにほぼ平行に多数配列することによって形成されており、隣り合う部材間で軸方向の相対変位を許容するように係合されている。そして、これらの部材は一つおきに両側で棒鋼14に係止され、樹脂コンクリート15によって桁に固定されている。したがって、桁が伸縮したときに、平行に多数配列された部材は交互に両側の桁に固定されて一体に移動するが、隣り合う部材間で摺動し、桁遊間3の変動に対応するとともに、桁遊間3が変動したときにも舗装4及び橋面の荷重を支持できるようになっている。
【0024】
上記荷重支持部材5の上には、これを覆うように中埋層16が形成され、さらにその上に合成樹脂層17が形成されて、切り欠き部分の上面が桁1,2の上縁とほぼ同じ高さとなるように平坦に仕上げられている。
上記中埋層16は、図1に示すように、桁間の中央部で最も厚く、両側で徐々に薄くなるように形成されている。この中埋層16を構成する材料は、できるだけ弾性変形が生じ易く桁の伸縮に追従し得るものが望ましいが、橋面上の荷重等によって過度の変形が生じるものでは使用できず、ここでは高密度で、変形に対する追従性に優れたグースアスファルトが用いられている。
【0025】
上記合成樹脂層17は、上記中埋層16の上に充填されるので、桁間の中央部で薄く、両側で徐々に厚くなっており、両側で切り欠きの傾斜面に接着されている。この合成樹脂層17を構成する材料は、大きな弾性変形を生じるとともに、コンクリートに対する接着力が大きいものが望ましく、ここでは、ウレタン変性ビニルエステル樹脂が用いられている。また、中埋層16を形成するアスファルト混合物との接着力は小さいものが望ましいが、中埋層16の上面に接着力を低減する材料を塗布したり、シート状の材料を介挿することもできる。
【0026】
上記中埋層16及び合成樹脂層17は、桁遊間3が拡大したときに両層間で相対変位し、中埋層16が桁遊間3の拡大に追従できなくても、切り欠き部分の上面はほぼ平坦な状態に維持される。つまり、桁1,2と中埋層16との境界部に隙間や段差が発生するのが防止される。
【0027】
上記のように、切り欠き内に中埋層16、合成樹脂層17が形成され、上面が平坦になった上にスライディングシート18が敷設される。このスライディングシートは、この上に形成される舗装体4と桁1,2との水平方向の相対移動を許容するために用いられるものである。このスライディングシート18が敷設される範囲は、桁遊間の両側の所定範囲であり、桁遊間3の変動量に応じて決定される。
【0028】
上記スライディングシート18は、図3に示すように、ポリエステルフィルム18cをゴム化アスファルト18dの薄い層の上に積層した下側シート18aと、抗張力繊維のメッシュ18eを埋込んだゴム化アスファルト18fの薄い層の下面に、ポリエステルフィルムで補強されたアルミ箔18gを貼着した上側シート18bとを重ね合わせたものであり、下側シート18aの最上層のポリエステルフィルム18cと、上側シート18bの最下層のアルミ箔18gとの間で滑動するようになっている。そして、上記スライディングシート18が敷設された範囲の縁部には、止水シート19が上記スライディングシート18の縁を覆うように敷設され、滑り面に雨水等が流入するのを防止している。
【0029】
また、切り欠き部分の上には、図4に示すような、2枚の滑動用シート21a、21bを重ね合わせてゴム化アスファルト層21cに埋込んだ一層式のスライディングシート21が、上記2層式のスライディングシート18の下側に敷設され、この部分は2重に滑り層が形成されている。
【0030】
上記スライディングシート18の上には、鋼製の補強部材22が敷き並べられ、これを埋め込むように舗装4の基層4aを形成するアスファルト混合物が敷き均され、締め固められる。
上記補強部材22は、帯状の鋼板材を折り曲げるとともに多数を接合して、図5に示すように、ハニカム状のパネルにしたものである。ハニカム状となった六角柱状の空間は、骨材を含むアスファルト混合物が充填され、全体が舗装の基層底部に埋め込まれる。この補強部材22は、橋梁の軸線方向に連続しており、敷き並べられた範囲の両端部で、アンカー23により桁1,2に固定されている。これにより、桁が収縮して舗装体4に引張力が作用したときに、この引張力を負担して、舗装のアスファルト混合物に生じるひずみを分散させるものである。
【0031】
上記基層4aを形成するアスファルト混合物は大きな変形を許容するものが望ましく、ここではグースアスファルトを用いており、厚さが40mmに形成される。
上記基層4aの上面には、ひずみ抵抗性にすぐれた拡張力シート24を貼着し、その上に表層4bを形成するアスファルト混合物が敷き均され、締め固められる。
【0032】
上記抗張力シート24は、図6に示すように、抗張力繊維をメッシュ状に織ったもの24aをアスファルト系材料の薄い層24b内に埋め込んだものを用いている。上記抗張力繊維としては、炭素繊維、ガラス繊維、ビニロンやアラミド等の合成繊維等を用いることができる。また、アスファルト系材料はゴム化アスファルトを用いるのが望ましい。
【0033】
この抗張力シートの上面には珪砂24cがほぼ一様に付着されており、現場へ重ね合わせて又はロール状に巻いて搬入する時に、シートが互いに接着してしまうのを防止している。また、この抗張力シート24を敷設した後、表層のアスファルト混合物を敷き均すときに、加熱されたアスファルト混合物に上記珪砂が取り込まれ、確実に一体化される。
さらに、この抗張力シート24が現場に搬入される時には、下面側に剥離紙が接着されており、敷設時にはこれを剥して基層の上に敷き拡げることによって、基層の上面に容易に接着される。
【0034】
上記表層4bを形成するアスファルト混合物は、骨材の粒度分布とアスファルト量を調整することによって、空隙率が約20%となるようにしたものである。また、耐流動性と剥離抵抗性とに優れたものが望ましく、混合するアスファルトとして高粘度改質アスファルト等を用いることができる。
表1は、表層のアスファルト混合物に用いることができる骨材の例の特性を示すものであり、表2には、表1に示す骨材の配合率の例及び最適アスファルト量を示す。また、骨材の配合率を表2に示すとおりとしたときの合成粒度分布を表3に示す。
【0035】
【表1】
Figure 0003981582
【0036】
【表2】
Figure 0003981582
【0037】
【表3】
Figure 0003981582
【0038】
上記表層4bは、図7に示すようにアスファルト4cが骨材4dに付着し、骨材を包み込むように層を形成しており、このアスファルト4cによって骨材間を接合している。そして、表層4bを敷設した後に上方から散布された未硬化の合成樹脂が骨材間の空隙4fを流下することによって、アスファルト4cの層に重ねて合成樹脂の被覆層4eが形成されている。また、空隙4fを流下した未硬化の合成樹脂は、表層の下層部で骨材間の空隙に充填され、硬化している。したがって、表層の上層部では骨材間に空隙4fが残されているが、下層部では合成樹脂4gが骨材4d及びアスファルト4cと一体に付着し、ほとんど空隙のない連続した層を形成している。
【0039】
上記合成樹脂は、常温硬化型変性ビニルエステル樹脂であって、モノマーにメチルメタクリレート(MMA)を使用したものが望ましい。しかし、充分な強度と伸び率を有し、速硬化性、柔軟性、アスファルトとの密着性を有するものであれば、他の合成樹脂を用いることもできる。
【0040】
上記合成樹脂の散布は、敷設された表層4bの上にほぼ均等に散布できる方法であればよく、様々な方法を採用することができ、例えば未硬化の樹脂を収容する容器から図8に示すような放出口50を介して扁平な流れ51を形成し、表層上に散布することができる。
【0041】
以上に説明した構成の舗装構造において、桁遊間3が変動すると、舗装体の基層4a及び表層4bにひずみが生じる。しかし、スライディングシート18が敷設された範囲で舗装体4は桁上を滑動できるものとなっており、基層4a内に埋込まれた補強部材22が引張力を負担し、引張ひずみが分散されて大きなひびわれの発生が防止される。また、基層4aと表層4bとの間に抗張力シート24が介挿されており、この部分でもひずみは分散されるとともに、表層4bの下層部は骨材間に充填された合成樹脂4gよって大きな強度を有するものとなっており、局部的に大きなひずみが発生するのが防止される。
【0042】
また、表層の上層部では、アスファルト4cで接合された骨材4dを包み込むように合成樹脂の被覆層4eが形成され、骨材4dが剥離しにくくなっている。さらに、表層の上層部には空隙が残されており、雨水等は速やかに浸透して排出されるとともに車輌走行による騒音の低減効果も備えている。
【0043】
図9は、本願発明の他の実施形態である舗装構造を示す概略断面図である。
この舗装構造は、桁遊間の変動が小さい場合、又は桁の伸縮による桁遊間の変動はなく、活荷重の載荷にともなう桁のたわみによって桁遊間が変動する場合等に採用されるものである。
【0044】
この舗装構造では、桁遊間33の上部にバックアップ材36が詰め込まれ、その上にシーリング材37が二つの桁31,32間を連結するように充填されており、桁遊間33の両側の桁31,32上部に設けられた切り欠き内には樹脂モルタル35(又は樹脂コンクリート)が充填されている。この樹脂モルタル35は、桁31,32のコンクリートと一体とされるとともに、桁遊間上には目地材38が介挿され、両側の桁31,32の相対変位を許容するとともに桁遊間上の舗装体34を支持するようになっている。
【0045】
この樹脂コンクリート35の上には、図1に示す舗装構造と同様にスライディングシート39が敷設され、この上に補強部材41が埋込まれた基層34aが設けられ、さらに抗張力シート40を介して表層34bが積層されている。
この舗装体34及び抗張力シート40の構成は、図1に示す舗装構造と同じものが用いられており、敷設の方法等も同じである。
このような構成とすることでも、図1に示す舗装構造と同様に騒音が低減されるとともに、耐久性に優れた舗装構造とすることができる。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように、本願発明に係る舗装構造では、橋梁の桁遊間上でも舗装を連続して形成することができるとともに、表層に生じるひずみを良好に分散させ、骨材の剥離を防止して耐久性に優れた舗装とすることができる。また、表層の上層部は空隙率を高く維持することができ、騒音の低減効果、ハイドロプレーニング現象やスモーキング現象の防止効果が維持される。
また、本願発明の舗装体の形成方法では、空隙率の大きい表層の耐久性を向上させることができるとともに、表層の空隙率が大きくなっていることによる上記効果が維持される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の一実施形態である舗装構造を示す概略断面図である。
【図2】図1に示す舗装構造で用いられる荷重支持部材の概略斜視図である。
【図3】図1に示す舗装構造で用いられる二層式のスライディングシートの拡大断面図である。
【図4】図1に示す舗装構造で用いられる一層式のスライディングシートの拡大断面図である。
【図5】図1に示す舗装構造で舗装に埋設される補強部材の概略斜視図である。
【図6】図1に示す舗装構造で用いられる抗張力シートの拡大断面図である。
【図7】図1に示す舗装構造の表層の拡大断面図である。
【図8】表層の上から未硬化の合成樹脂を散布する方法を示す概略図である。
【図9】本願発明の他の実施形態である舗装構造を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 橋桁
2 橋桁
3 桁遊間
4 舗装体
4a 基層
4b 表層
4c アスファルト
4d 骨材
4e 合成樹脂の被覆層
4f 空隙
4g 空隙に充填された合成樹脂
5 荷重支持部材
11 バックアップ材
12 シーリング材
13 不陸調整層
14 棒鋼
15 樹脂コンクリート
16 中埋層
17 合成樹脂層
18 スライディングシート
19 止水シート
20 クッション材
21 一層式のスライディングシート
22 補強部材
23 アンカー
24 抗張力シート
31,32 桁
33 桁遊間
34 舗装体
35 樹脂モルタル
36 バックアップ材
37 シーリング材
38 目地材
39 スライディングシート
40 抗張力シート
41 補強部材

Claims (5)

  1. 桁遊間上に舗装体を連続して敷設する舗装構造であって、
    前記桁遊間の両側にあるコンクリート構造体上に、該コンクリート構造体とこの上に敷設される舗装体との間の水平方向の相対変位を許容するスライディングシートが敷設され、
    該スライディングシート上にアスファルト混合物からなる基層及び表層が、前記桁遊間上の位置の両側にわたって連続するように積層して敷設され、
    前記表層は、アスファルト量及び混合する骨材の粒度分布を調整することによって空隙率が10%〜50%となるように形成され、
    該表層の上層部では、表層の上から散布され流下した合成樹脂が、アスファルトが付着した骨材の周面を包むように薄い層を形成して硬化しており、
    該表層の下層部における空隙は、表層の上から散布され流下した合成樹脂が充填され、硬化して表層に作用する引張力に抵抗するものとなっていることを特徴とする舗装構造。
  2. 前記基層内には、水平方向の引張力に抵抗する補強部材が埋め込まれていることを特徴とする請求項1に記載の舗装構造。
  3. 前記基層の上には、水平方向の引張力に抵抗する抗張力シートが敷設され、該抗張力シートの上面はその上に形成された表層と接着されていることを特徴とする請求項1に記載の舗装構造。
  4. 前記合成樹脂は、常温硬化型変性ビニルエステル樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の舗装構造。
  5. 路盤又はコンクリート構造体上に基層を敷設し、その上に、アルファルト量及び混合する骨材の粒度分布を調整することによって空隙率が10%から50% となった多孔質の表層を形成し、
    該表層の上から、流動性が良好で後に硬化する合成樹脂を散布し、前記空隙内を流下させて、該表層の上層部のアスファルトが付着した骨材の周面を包むように薄い層を形成するとともに、該表層の下層部の空隙を充填することを特徴とする舗装体の形成方法。
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