JP3980695B2 - 段ボール製緩衝体 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、収納体を梱包するときに用いられる緩衝体の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的に電気製品やガス器具などの各種機器を梱包する場合においては、機器が段ボール箱の内部で動かないように、且つ外部からの衝撃から保護することを目的として緩衝材と共に段ボール箱に収納され、輸送時や保管時等における機器の保護が図られている。
【0003】
従来の緩衝材としては、発泡スチロールなどの発泡プラスチックを成型したものが広く利用されている。発泡プラスチックは、機器を保護するための緩衝機能に優れた材質であり、しかも容易に各種機器の形状に合わせて成型することができ、梱包材への収納効率を高くできる利点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、発泡プラスチックはその材質自体極めて優れた特性を有するものの、近時緩衝材として使用した後の処理の点で種々の問題点を含んでいる。例えば、回収ルートが未整備のため、家庭ゴミとして廃棄され大きな社会問題となっている。これに伴い回収時に取り扱いに手間がかかり、回収費が高くなる。また、焼却廃棄する場合には高エネルギーであることから、焼却炉の整備が必要となる点である。この他、発泡プラスチック製の緩衝材自体、極めて嵩高いものであることから輸送効率が低く、輸送費が高くなると共に保管スペースに広い場所を必要とする欠点があった。このようなことから、本業界においては、発泡プラスチックに代替するものとして、緩衝機能に優れしかも構造簡単な緩衝材が広く要望されていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者は上記諸点に鑑み鋭意研究の結果、本発明を成し得たものであり、その特徴とするところは、梱包時に収納体の両側部に夫々嵌め込むことによって該収納体を保護する段ボール製の緩衝体において、一側に該収納体の上面部と底面部の一方に接当させる長尺角筒体、該長尺角筒体に対向する他側の両端部に該収納体の上面部と底面部の他方に接当させる短尺角筒体、及び該短尺角筒体の間からコの字状に折曲して該長尺角筒体の内側面に掛合支持させ該収納体の側面部に接当させる箱状体を夫々折曲によって形成したベース材の両端部分に、周面が該収納体の前面部と後面部に面する状態に筒状体を夫々配したこと。
【0006】
或いは、梱包時に収納体の両側部に夫々嵌め込むことによって該収納体を保護する段ボール製の緩衝体において、一側に該収納体の底面部に接当させる長尺角筒体、該長尺角筒体に対向する他側の両端部に短尺角筒体、及び該短尺角筒体の間からコの字状に折曲して該長尺角筒体の内側面に掛合支持させ該収納体の側面部に接当させる箱状体を夫々折曲によって形成したベース材の両端部分に、周面が該収納体の前面部と後面部に面する状態に筒状体を夫々配したものであって、該短尺角筒体の間に該収納体の上面部に載置させるもので該短尺角筒体の上面とほぼ同じ高さ以上の上端部を有する別体の段ボール製のトレー状容器を介在させたことにある。
【0007】
ここで本明細書中でいうベース材とは、収納体を梱包する場合において該収納体の両側に夫々嵌め込むことによって保護するための部材をいう。このベース材は、一側に該収納体の上面部と底面部の一方に接当させる長尺角筒体、該長尺角筒体に対向する他側の両端部に該収納体の上面部と底面部の他方に接当させる短尺角筒体、そして該短尺角筒体の間からコの字状に折曲し該収納体の側面部に接当させる箱状体を、夫々段ボール材を折曲させることによって形成したものである。また、ベース材にはその両端部分に周面が該収納体の前面部と後面部に面する状態に筒状体を設ける。つまり、長尺角筒体、短尺角筒体、箱状体、及び二つの筒状体とによって、収納体の5面を保持させるものである。尚、ここでいうところの収納体の上面部、底面部、両側面部、前面部、後面部は、該収納体の使用態様による各部位を指すものではなく、該収納体の梱包時における状態の各部位を指すものとする。
【0008】
二つの筒状体はベース材の一部を折曲して形成してもよく、或いは別体に形成したものをベース材の長尺角筒体と短尺角筒体に掛合させて取り付けてもよい。筒状体としては角筒状の他三角柱状としてもよい。三角柱状に形成する場合は、収納体に面する側の面を基部側が厚肉となるように傾斜させ、収納体の前面若しくは後面のコーナー部を支持させるようにする。三角柱状に形成することによって、収納体の前面部或いは後面部のみならず側面部も同時に保護できる利点があり、しかも収納体の前面や後面の側方部にスイッチ、電源コード、ガス管接続部などが設けられている場合でも、これらと筒状体が干渉しないようにすることが可能となる。
【0009】
「トレー状容器」とは、短尺角筒体の間で収納体の上面に載置させるための底の浅いトレー状のものをいう。トレー状容器は、梱包時の空間を塞ぐものとして設ける他、収納体の部品やコード、電池、取り扱い説明書などの付属品を収納させるようにしてもよい。トレー状容器を設けるためには、短尺角筒体の間に設けられている箱状体を該短尺角筒体より内方に位置させるようにする。トレー状容器としては、単に空間を塞いだり、収納体の部品等を収納させるものとして使用する他、該収納体の上面部の緩衝材として用いるようにしてもよい。つまり、トレー状容器の高さを短尺角筒体の上面(収納体に接当する面と対向する面の表面側)と揃うほぼ同じ高さに形成することによって、該トレー状容器を緩衝材として機能させる場合である。
【0010】
従って、この場合には収納体の上面に短尺角筒体の一部を接当させるだけでもよい。また、短尺角筒体が接当する部分が弱い材質や形状の場合には、筒状体に該短尺筒状体を接当させた部分を下方から支持する支持部を設けるようにしてもよい。支持部としては、筒状体の一部を切り欠いて形成したり、筒状体の一部から延設して形成したものなどである。この他、収納体の上面の緩衝機能を短尺角筒体に依らず、トレー状容器だけで行なう場合には該短尺角筒体の上面より突出する上端部を有するトレー状容器を用いればよい。この場合におけるトレー状容器の高さを高くするということは、例えば梱包時において実質的に段ボール箱等の蓋にトレー状容器の上端部の全部若しくは一部が接当して緩衝材となることである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明における1の発明に係る段ボール製緩衝体1の実施の形態の一例を示し、収納体を梱包する場合に、該収納体の両側部に嵌め込むことによって該収納体の保護を図ることを目的としたもので、ベース材2の両端部分に夫々収納体の前面部と後面部に接当させる筒状体3を配したものである。ベース材2は下部に収納体の底面部に接当させる長尺角筒体4、上部に収納体の上面部に接当させる2つの短尺角筒体5、そして該短尺角筒体5の間からコの字状に折曲し該長尺角筒体4の内側面に掛合支持させ収納体の側面部に接当させる箱状体6を、夫々一枚の段ボールシートから折曲して形成したものである。
【0013】
本例は、各筒状体3も一体的に形成したものであり、これのブランクシートを図2に示す。これは、ベース板21の一側に長尺角筒体形成片41、該長尺角筒体形成片41に対向する他側の両端部に短尺角筒体形成片51、該短尺角筒体形成片51の間に該ベース板21の内方部から箱状体形成片61、そして他の相対向する側部から夫々筒状体形成片31を延出させたものである。箱状体形成片61には、長尺角筒体形成片41に設けられた差込孔7に挿通させて掛合させる差込片8を設けている。また、長尺角筒体形成片41等もベース板21に設けた差込孔7に挿通させる差込片8を設け、筒体に折曲した状態に保持させるようにしている。
【0014】
図3(a)は緩衝体1の実施の形態の他の例を示すもので、筒状体3の一方を三角柱状に形成したものである。これは同図(b)の使用状態の平面図で示すように、収納体として例えばオーディオのアンプAのように前面部にコントロールスイッチが存在する場合、これらと筒状体3の干渉を防ぐ上で有効である。本発明に係る緩衝体1は、両側に配した短尺角筒体5の間から収納体の側面部に接当させる箱状体6を形成する構造であるため、箱状体6を該短尺角筒体5より内方に位置するように形成することにより、同図(c)のように該短尺角筒体5の間に別体に形成した段ボール製のトレー状容器10を介在させることができる。この場合、該トレー状容器10の高さを該短尺角筒体5とほぼ同じ高さに形成し、図のようにA型の段ボール箱11に収納させることにより、該トレー状容器10自体が該短尺角筒体5と共に収納体の上面を保護する緩衝材として機能することになる。
【0015】
図4(a)は緩衝体1の実施の形態のさらに他の例を示すもので、ベース材2の両端部分に別体に形成した筒状体3を取り付けるようにしたものである。本例に示す筒状体3は、一方を角筒状、他方を三角柱状に形成したもので、角筒状の方は短尺角筒体5と長尺角筒体4の端部開口部に嵌め込んで掛合させる。また、三角柱状の方は短尺角筒体5と長尺角筒体4の周面に夫々設けた切込9に嵌め込んで支持させるようにしている。同図(b)は角筒状、同図(c)は三角柱状の筒状体3のブランクシートである。
【0016】
収納体としては、例えば図5(a)(b)に示すようなシステムキッチンに組み込まれるガスコンロGのように、本体G1に対して天板G2がかなり偏倚した位置に配された構造のものがある。これは、埋設される本体G1の操作部G3のある前面部を突出させる必要があることと、埋設するための開口部を覆い隠すための天板G2が前面部以外の本体より幅広となるためである。従って、このような構造の収納体の場合には、従来の緩衝体のように収納体の周縁部に装着させるものでは、緩衝材として機能しなくなってしまう。このため、本発明における2の発明に係る段ボール製緩衝体1に依れば、短尺角筒体5の間に設けガスコンロGの上面に載置したトレー状容器10を実質的な緩衝材とすることができる。このトレー状容器10には、ガスコンロGの部品であるゴトク12や乾電池を収納させるようにしている。
【0017】
本例に示した緩衝体1のブランクシートを図6に示す。同図(b)はベース材2で、基本的には前述したものと同様であるが、長尺角筒体4の一方の端部側に高さの高い角筒状部を形成し、この部分にガスコンロGの後面部を接当させるようにしている。同図(a)はガスコンロGの後面部に接当させる角筒状の筒状体3である。本例では、筒状体3と短尺角筒体5との間に天板G2を介在させる構造としていることから、これらの間を離反させている[図5(a)]。この場合、筒状体3を図6(a)の鎖線(二点鎖線)で示すように高くすることにより、この部分を天板G2の下部に接当させる支持部として下方から支持させるようにしてもよい。同図(c)はガスコンロGの前面部のコーナー部を支持するために三角柱状に形成する筒状体3である。本例では、操作部G3に面する傾斜板からガスコンロGの側面部に接当させる接当板13を延出させることによって、三角柱状に形成した筒状体3を安定させるようにしている。つまり、傾斜板から延設した接当板13がガスコンロGの側面部に接当することで、長尺角筒体4及び短尺角筒体5との嵌込係合だけでなく、接当板13がガスコンロG本体と段ボール箱11との間に挟み込まれて支持され、筒状体3が三角柱状に保持できることとなる。この接当板13も高くすることによって天板G2の下部に接当させる支持部として機能させるようにしてもよい[図5(a)では天板G2と離反している]。通常、これらに示した各ブランクシートと左右対称に形成した一対の緩衝体1を収納体の両側に装着させる。ベース材2や筒状体3の他の実施の形態としては、図7(a)(b)(c)のようにベース板21に側板14を設けたり、長尺角筒体4に係合させた筒状体3を外れにくくするための抜止部15を設けるようにしたものでもよい。
【0018】
【発明の効果】
以上のように本発明における1の発明に係る段ボール製緩衝体は、梱包時に収納体の両側部に夫々嵌め込むことによって該収納体を保護する段ボール製の緩衝体において、一側に該収納体の上面部と底面部の一方に接当させる長尺角筒体、該長尺角筒体に対向する他側の両端部に該収納体の上面部と底面部の他方に接当させる短尺角筒体、及び該短尺角筒体の間からコの字状に折曲して該長尺角筒体の内側面に掛合支持させ該収納体の側面部に接当させる箱状体を夫々折曲によって形成したベース材の両端部分に、周面が該収納体の前面部と後面部に面する状態に筒状体を夫々配したことにより、収納体の側面部とその周囲の面に接当させる部分を極めて容易に厚肉状に形成することができ、しかも1枚のブランクシートからでも極めて容易に形成することが可能となる。
【0019】
また、本発明における2の発明に係る段ボール製緩衝体は、梱包時に収納体の両側部に夫々嵌め込むことによって該収納体を保護する段ボール製の緩衝体において、一側に該収納体の底面部に接当させる長尺角筒体、該長尺角筒体に対向する他側の両端部に短尺角筒体、及び該短尺角筒体の間からコの字状に折曲して該長尺角筒体の内側面に掛合支持させ該収納体の側面部に接当させる箱状体を夫々折曲によって形成したベース材の両端部分に、周面が該収納体の前面部と後面部に面する状態に筒状体を夫々配したものであって、該短尺角筒体の間に該収納体の上面部に載置させるもので該短尺角筒体の上面とほぼ同じ高さ以上の上端部を有する別体の段ボール製のトレー状容器を介在させることにより、該トレー状容器によって収納体の上面部分の保護をより確実に行なうことが可能となる。特に収納体の上面部分が鍔状に突出している場合など、その上面部分の周縁部に緩衝体を接当させれば事実上収納体本体の保護が図れない場合に極めて有益となる。また、これらの緩衝体に共通する効果としては、ブランクシートの状態で輸送、保管させることができ、輸送効率及び輸送コストに優れ、且つ保管スペースも少なくすることができ、在庫も容易となる。しかも、その全てを段ボールによって構成したものであることから、緩衝材としての使用後の処理について何等問題なく、しかも再利用することも可能となって、環境面においても極めて優れた効果を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における1の発明に係る段ボール製緩衝体の実施の形態の一例を示す斜視図である。
【図2】図1に示した緩衝体のブランクシートを示す平面図である。
【図3】(a)は本発明における1の発明に係る段ボール製緩衝体の実施の形態の他の例を示す斜視図、(b)は(a)の使用状態の一部を断面した平面図、(c)は梱包状態の一部を断面した正面図である。
【図4】(a)は本発明における1の発明に係る段ボール製緩衝体の実施の形態のさらに他の例を示す斜視図、(b)は角筒状の筒状体のブランクシートを示す平面図、(c)は三角柱状の筒状体のブランクシートを示す平面図である。
【図5】(a)は本発明における2の発明に係る段ボール製緩衝体の実施の形態の一例を示す側面図、(b)は(a)の平面図である。
【図6】本発明における2の発明に係る段ボール製緩衝体の実施の形態の他の例を示すもので、(a)は角筒状の筒状体のブランクシートを示す平面図、(b)はベース材のブランクシートを示す平面図、(c)は三角柱状の筒状体のブランクシートを示す平面図である。
【図7】本発明における2の発明に係る段ボール製緩衝体の実施の形態のさらに他の例を示すもので、(a)は角筒状の筒状体のブランクシートを示す平面図、(b)はベース材のブランクシートを示す平面図、(c)は三角柱状の筒状体のブランクシートを示す平面図である。
【符号の説明】
1 段ボール製緩衝体
2 ベース材 21 ベース板
3 筒状体 31 筒状体形成片
4 長尺角筒体 41 長尺角筒体形成片
5 短尺角筒体 51 短尺角筒体形成片
6 箱状体 61 箱状体形成片
7 差込孔
8 差込片
9 切込
10 トレー状容器
11 段ボール箱
12 ゴトク
13 接当部
14 側板
15 抜止部
A アンプ
G ガスコンロ G1 本体
G2 天板
G3 操作部
Claims (8)
- 梱包時に収納体の両側部に夫々嵌め込むことによって該収納体を保護する段ボール製の緩衝体において、一側に該収納体の上面部か底面部の一方に接当させる長尺角筒体、該長尺角筒体に対向する他側の両端部に該収納体の上面部か底面部の他方に接当させる短尺角筒体、及び該短尺角筒体の間からコの字状に折曲して該長尺角筒体の内側面に掛合支持させ該収納体の側面部に接当させる箱状体を夫々折曲によって形成したベース材の両端部分に、周面が該収納体の前面部と後面部に面する状態に筒状体を夫々配したことを特徴とする段ボール製緩衝体。
- 筒状体は、別体に形成したものをベース材の両端部に掛合させて取り付けたものである請求項1記載の段ボール製緩衝体。
- 筒状体の少なくとも一方は、収納体に面する側の面を基部側が厚肉となるように傾斜させた三角柱状に形成したものである請求項1記載の段ボール製緩衝体。
- 箱状体は、各短尺角筒体の上面より下方に形成し、各短尺角筒体の間にスペースを設けた請求項1記載の段ボール製緩衝体。
- 梱包時に収納体の両側部に夫々嵌め込むことによって該収納体を保護する段ボール製の緩衝体において、一側に該収納体の底面部に接当させる長尺角筒体、該長尺角筒体に対向する他側の両端部に短尺角筒体、及び該短尺角筒体の間からコの字状に折曲して該長尺角筒体の内側面に掛合支持させ該収納体の側面部に接当させるもので各短尺角筒体の上面より下方で各短尺角筒体の間にスペースを形成する位置に箱状体を夫々折曲によって形成したベース材の両端部分に、周面が該収納体の前面部と後面部に面する状態に筒状体を夫々配したものであって、該収納体の両側部に夫々嵌め込んだ該ベース材の該短尺角筒体間のスペース同士に架け渡して該収納体の上面部に載置させるもので該短尺角筒体の上面とほぼ同じ高さ以上の上端部を有する別体の段ボール製のトレー状容器を介在させることを特徴とする段ボール製緩衝体。
- 筒状体は、別体に形成したものをベース材の両端部に掛合させて取り付けたものである請求項5記載の段ボール製緩衝体。
- 筒状体の少なくとも一方は、収納体に面する側の面を基部側が厚肉となるように傾斜させた三角柱状に形成したものである請求項5記載の段ボール製緩衝体。
- 筒状体は、収納体の一部を下方から支持する支持部を有するものである請求項5記載の段ボール製緩衝体。
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