JP3980103B2 - 原木の位置ずれ補正装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ベニヤレースによって原木を回転旋削する場合等において、その原木の位置ずれを補正するための装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、原木をベニヤレースによって旋削するには、原木の両木口(両端面)に対して進退自在となるスピンドルチャックにより各木口の旋削軸芯を把持させた後、スピンドルの回転に伴って鉋台を送りベニヤ単板を得ていた。この場合、原木は、旋削工程に先立って実施される芯出し工程において旋削軸芯が決定され、その旋削軸芯においてベニヤレースのスピンドル位置に装着される。その装着方法の一例を図40に示している。すなわち、(a)に示すように、予め断面が真円形状となるように加工された原木1の断面中心を断面径測定により求めてこれを旋削軸芯OLとするとともに、その原木1を受台39に載せてこれを昇降させることにより、ベニヤレーススピンドル170の中心OVと上記旋削軸芯OLとが一致する高さに位置決めする。そしてその状態で、(b)に示すように原木1の両端面に搬送爪(把持爪)70を食い込ませた後、(a)に示すように受台39を下方に退避させ、さらに原木1を搬送爪70とともに平行移動させることにより、ベニヤレーススピンドル170への原木1の装着が行われる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記方法においては、図40(b)に示すように、受台39が原木1を支持している状態では、原木1の旋削軸芯OLは正確に位置決めされた状態となっているが、受台39が下降・退避すると原木1は搬送爪70のみにより自重が支えられる形となる。この場合、同図(c)に示すように、搬送爪70の上側部分がその自重によりつぶれるように圧縮されて原木1が垂下し、同図(d)に示すように軸芯OLが下方に位置ずれを起こすことがある。また、原木1への搬送爪70の食込状況によっては、把持爪70の食込時にすでに位置ずれが生じていることもありうる。いずれにしろ、このような位置ずれが生ずることは、原木1の旋削の精度や歩留まり等に悪影響を及ぼすことにつながる。
【0004】
本発明の課題は、上述のように原木が自重等により位置ずれを起こした場合に、その補正を容易に行うことができる位置ずれ補正装置と、原木保持のために該原木の両端面に食い込んだ際に、該原木に位置ずれを生じにくい原木保持機構の把持爪とを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】
上述の課題を解決するために本発明の補正装置は、旋削軸芯位置で原木を保持するベニヤレースの旋削保持部と、旋削軸芯位置が位置決めされた原木を、その旋削軸芯位置から離れた原木両端面の保持位置において保持しながら、当該原木を旋削保持部に向けて移動する原木保持手段とを備え、その原木保持手段には、原木を保持するための把持ユニット有し、原木は補助保持手段によってその軸芯を所定高さに位置決めした状態で保持され、その補助保持手段が位置決めしている原木を原木保持手段の把持ユニットが保持位置で保持するときに生ずる原木の位置ずれ、及び前記補助保持手段の保持解除に伴う前記原木のその自重による位置ずれの少なくともいずれかを検出する位置ずれ量検出手段を備えることを特徴とする。
【0006】
すなわち、原木保持手段に保持された原木が位置ずれを起こした場合に、位置補正機構がその原木保持手段を駆動して位置ずれを解消するので、例えばベニヤレースで原木を旋削する場合には、原木をベニヤレースに対し正確に位置決めした状態で装着することができ、ひいてはその旋削を精度よくかつ高歩留まりで行うことができる。
【0007】
そして、より具体的な構成としては、原木を原木保持手段で保持するときに保持位置から位置ずれを起こした場合に、把持ユニットで保持したままの原木を上下方向と水平方向へ移動させる位置補正機構は、位置ずれ量検出手段で検出された位置ずれが縮小される方向に、把持ユニットを駆動して、当該原木を旋削軸芯位置において旋削保持部で保持させる構成とすることもできる。これにより位置ずれ量を正確に把握してその補正を行うことができるので、原木の位置決め精度がさらに向上する。
【0008】
原木保持手段は、原木の両端面に対応して設けられ、各々その端面において原木に食い込むことにより、当該原木を把持する把持爪を含んだものとして構成することができる。また、原木の端面に当接してその摩擦力により原木を保持する摩擦保持部材とすることもできる。このうち、把持爪を使用する態様では、原木を爪の食込みにより確実に保持することができ、位置ずれもより生じにくい構造となる。
【0009】
例えば水平保持された原木の、自重による下方への位置ずれが特に問題となる場合には、原木の垂直方向(Y方向)における変位を検出するものとして位置ずれ量検出手段を構成すれば、位置ずれを精度よく検出することができる。また、変位を互いに異なる2以上の方向、例えば上記垂直方向に加えて水平方向(X方向)の変位も検出するようにしておけば、ずれ変位が下方成分以外に横方向成分を含んでいる場合でも、これを正確に検出することができる。そして、これに対応して位置補正機構は、上記位置ずれ量検出手段の検出結果に基づいて、原木保持手段を互いに異なる2以上の方向に駆動するように構成することで、位置ずれ補正をより精密に行うことができる。
【0010】
また、位置ずれ量検出手段は、原木の長手方向において所定の間隔で複数設けることもでき、例えば原木の両端部に対応する位置にそれぞれ設けることができる。これにより、原木の位置ずれを3次元的に把握することができ、ひいては位置ずれの方向及び量をより正確に検出できる。また、この場合、位置補正機構は、両側の原木保持手段を互いに独立に駆動できるように構成しておけば、原木の両側で互いに異なる量あるいは向きによるずれ補正を行うことができ、補正精度を一層高めることができる。
【0011】
次に、原木を、その軸芯を所定高さに位置決めした状態で保持する補助保持手段を設けることができる。この場合、上記補助保持手段が位置決めしている原木を前述の原木保持手段がさらに保持することで、該原木はそれら原木保持手段と補助保持手段との双方によって保持された状態とされ、その後補助保持手段が保持状態を解除することで、原木は原木保持手段のみにより保持された状態へ移行する。そして、位置ずれ量検出手段は、補助保持手段が位置決めしている原木を原木保持手段がさらに保持する際に生ずる原木の位置ずれ、及び補助保持手段の保持解除に伴う原木の、その自重による位置ずれの少なくともいずれかを検出するものとすることができる。この補助保持手段は、例えば原木を下側から支持するものとして構成したり、あるいは原木の端面の、上記原木保持手段と干渉しない位置においてこれを保持するものとして構成することができる。
【0012】
また、原木保持手段に保持された原木を、補助保持手段の保持位置から、その下流側に設けられたベニヤレース内の旋削中心部まで、原木保持手段とともに一体的に搬送する原木搬送手段を設けることができる。この場合、位置補正機構は、原木保持手段と一体的に設けられて、補助保持手段の保持位置からベニヤレース内の旋削中心部に至る搬送経路上を原木が移動中に、該原木の位置補正を行うものとすることができる。これによれば、原木の移動中に位置ずれ補正が行われるので、原木を正確にしかも能率よくベニヤレースにセットすることができる。一方、位置補正機構が原木の位置補正を行った後に、原木搬送手段が補助保持手段の保持位置からベニヤレース内の旋削中心部への、原木の搬送を開始することもできる。
【0013】
次に、原木として、軸断面形状がほぼ真円となるように予め加工されたものを使用する場合には、下記のような装置態様が可能である。すなわち、その原木の断面径を検出する断面径検出手段を設け、補助保持手段は、その検出された断面径に基づいて定められる原木の軸芯が、ベニヤレースの旋削中心の高さとほぼ一致する高さで該原木を保持するものとして構成する。こうすれば、原木の旋削軸芯をその断面径から容易に決定することができ、しかもその原木は、ほぼ水平に移動させるだけでベニヤレースへの旋削中心に容易に装着することができる。なお、断面径検出手段を、位置ずれ量検出手段に兼用させることができる。この場合、その断面径検出手段は、原木の断面径を検出した後も、当該原木の位置を継続して検出することにより、補助保持手段が位置決めしている原木を原木保持手段がさらに保持する際に生ずる原木の位置ずれ、及び補助保持手段の保持解除に伴う原木のその自重による位置ずれの少なくともいずれかを検出するものとされる。これにより、断面径の検出手段と位置ずれ量の検出手段とを一体化でき、装置をよりコンパクトに構成することができる。
【0014】
上記構成において断面径検出手段は、原木の軸線と交差する向きにおいて、補助保持手段に保持された原木の側面に対し接近・離間可能に設けられた第一の測定部材と、原木の軸線を挟んでその第一の測定部材と反対側に配置され、当該軸線と交差する向きにおいて原木の側面に対し、第一の測定部材と反対方向から接近・離間可能に設けられた第二の測定部材とを備えたものとして構成することができる。この場合、上記断面径は、第一の測定部材の移動経路上において、原木の側面から離間した所定の第一の基準位置からその原木の側面に当接するまでの第一の測定部材の移動距離と、第二の測定部材の移動経路上において、原木の側面から離間した所定の第二の基準位置からその原木の側面に当接するまでの第二の測定部材の移動距離とに基づいて検出される。これにより、断面径検出手段の構成が単純化され、しかも原木の断面径を正確に測定することができる。
【0015】
この場合、第一の測定部材を、補助保持手段により保持された原木の側面に対し上側から接近・離間するものとし、第二の測定部材は、同じく該原木の側面に対し下側から接近・離間するものとして構成することができる。水平保持された原木に対し、上下から測定部材を接近・離間させることにより、原木の径の測定を能率よく行うことができる。この場合、補助保持手段は、原木を下側から支持する昇降可能な受台とすることができ、該受台に、上記第二の測定部材と、該第二の測定部材を原木に対し接近・離間させる駆動手段とを一体的に設けることができる。第二の測定部材とその駆動手段とを受台に対して一体的に設けることで、原木径測定装置をコンパクトに構成でき、また受台により原木を昇降させる工程中に、該原木の径を測定できるので能率的である。
【0016】
一方、断面が必ずしも真円でない原木を使用する場合には、下記のような構成とすることもできる。すなわち、原木をその両端面の仮軸芯位置において、該仮軸芯周りに回転可能に保持する補助保持手段としての仮回転保持部と、その仮回転保持部を介して原木をその輪郭検知のために仮軸芯周りに回転させる原木回転機構と、原木の外周に対応して設けられ、該原木の回転に従ってその断面輪郭を検出する輪郭検出手段と、その検出された断面輪郭の情報に基づいて、原木の旋削軸芯を演算する旋削中心演算手段と、その旋削軸芯が求められた後の原木の両端を仮回転保持部と干渉しない位置で保持する原木保持手段とを設ける。そして、位置補正機構は、原木をその旋削軸芯においてベニヤレースの旋削中心に装着するために、仮軸芯位置及び求められた旋削軸芯位置の偏差と、原木の自重による位置ずれとの双方が解消される方向に、該原木の位置補正を行うように構成される。
【0017】
これにより、断面が真円でない原木についても、その芯出しを容易にかつ正確に行うことができ、しかも仮軸芯位置と旋削軸芯位置との偏差の解消と、原木の自重による位置ずれ補正とが同時に行われるので、芯出しからベニヤレースへの原木の供給までの工程を能率的にしかも精度よく行うことができる。なお、輪郭検出手段は位置ずれ量検出手段に兼用することができる。この場合、輪郭検出手段は、原木の断面径を検出した後も、当該原木の位置を継続して検出することにより、仮回転保持部の保持解除に伴う原木の、その自重による位置ずれを検出するものとされる。これにより、断面輪郭の検出手段と位置ずれ量の検出手段とを一体化でき、装置をよりコンパクトに構成することができる。
【0018】
位置ずれ量検出手段は、原木に接触することにより原木の位置ずれを検知する接触式の検知器を含むものとして構成することができる。例えば、検知体付勢手段により原木側に付勢された状態で当該原木の外周面に当接する検知体を有し、原木が位置ずれを起こした場合には該検知体が原木に追従して移動するとともに、その検知体の移動量を測定することで、原木の位置ずれを検出する構成のものを使用することができる。検知体付勢手段としては、具体的にはエアシリンダを用いることができ、検知体はそのエアシリンダにより伸縮するピストンロッドの先端に設けることができる。そして、検知体の移動量は、そのピストンロッドの伸縮量磁気スケールやリニアエンコーダ等の測長器を用いて検出することができる。一方、位置ずれ量検出手段として非接触式のもの、例えばレーザー光、電磁波、超音波等の電波媒体が原木表面で反射又は遮蔽されることを利用したものも使用できる。
【0019】
さて、以上述べた構成においては、原木保持手段に原木が保持されることに伴う位置ずれ、及び/又は補助保持手段が保持を解除することに伴う原木の自重に起因した位置ずれが補正されるようになっていたが、その後の工程において、原木をベニヤレースの旋削中心にセットする際にも同様の位置ずれを生ずることがある。具体的には、ベニヤレース内において、スピンドルチャックなどの旋削保持部に原木を保持させた場合に、例えば当該旋削保持部が原木の端面に食い込む把持爪で構成されていると、その把持爪の原木への食込み、あるいは原木の自重付加に伴い把持爪の食込み部周辺が圧縮変形することによる原木の垂下、さらにはベニヤレースのスピンドルの撓みに伴う原木の垂下等が原木の位置ずれの原因となりうる。
【0020】
この場合、位置補正機構を、原木保持手段に保持された状態において原木に生ずる前述の位置ずれに加え、旋削軸芯をベニヤレースの旋削中心に位置決めした状態で、原木をその両端面においてベニヤレースの旋削保持部に保持させたときに、当該原木に生ずることが見込まれる旋削中心からの位置ずれ(旋削保持位置ずれ)との双方が解消される方向に原木保持手段を駆動して、当該原木の位置補正を行うものとすることができる。すなわち、原木をベニヤレースに装着した後に見込まれる位置ずれ量を合わせて補正するようにすることで、一層精度の高い旋削が可能となる。
【0021】
上記構成においては、旋削保持位置ずれの量を予め予測する旋削保持位置ずれ量予測手段を設けることができる。この場合、位置補正機構は、位置ずれ量検出手段が検出する位置ずれ量と、旋削保持位置ずれ量予測手段が予測する位置ずれ量との双方が縮小される方向に原木保持手段を駆動して、当該原木の位置補正を行うものとされる。
【0022】
ここで、見込まれる旋削保持位置ずれの量が原木の自重に応じて変化する場合には、原木の重量を反映した情報(重量反映情報)を検出する重量反映情報検出手段を設け、旋削保持位置ずれ量予測手段を、少なくともその検出された重量反映情報に基づいて旋削保持位置ずれの量を予測するものとして構成することで、精度の高い位置補正が可能となる。この場合、該位置ずれ量の値を上記重量反映情報と対応付けて記憶する位置ずれ量記憶手段を設け、検出された重量反映情報に対応する位置ずれ量の予測値が、その記憶された位置ずれ量の値に基づいて決定されるように構成することができる。また、重量反映情報検出手段は、原木保持手段の駆動手段が原木の位置決めのために該原木を重力に抗して移動させる際の、当該駆動手段の負荷を重量反映情報として検出するものとすることができる。例えば、駆動手段としてモータを使用する場合には、そのモータの駆動電力、電流あるいは電圧を重量反映情報として用いることができる。
【0023】
次に、本発明は、原木の両端面に対応して設けられ、各々その端面において原木に食い込むことにより当該原木を把持する把持爪を含んで構成された原木保持機構(前述の位置ずれ補正装置の原木保持手段として機能しうる)の、該把持爪の特有の構成として下記のものを提供する。すなわち、該把持爪は筒状に形成されるとともに、その一方の端面外縁に沿って鋭角断面を有する刃部が形成され、その刃部において原木に食い込むことを特徴とする。このように構成された把持爪においては、原木への食込みに伴う位置ずれ、あるいは自重による原木の垂下に伴う位置ずれが起こりにくく、位置決め精度のさらなる向上に寄与する。特に把持爪の刃部を軸対称形状に形成すれば、把持爪の原木に対する食込み時に、刃部が原木から受ける反作用の少なくとも一部が軸線周りて相殺しあうので、該食込み時における原木の位置ずれ防止効果に優れる。把持爪は、より具体的には円筒状に形成することができ、この場合は、該円筒状の把持爪の一方の端面外縁部に沿って、鋭角断面を有する円環状の刃部を形成することができる。
【0024】
また、把持爪の刃部は、外面が該把持爪の軸線とほぼ平行な切立面とされ、内面が該刃部の先端から前記軸線側に向けて傾斜する傾斜面とすることができる。こうすれば、把持爪が原木に食い込んだ際に、該原木の刃部内側に位置する部分は該刃部の上記傾斜面により、その軸線に向かう方向にほぼ等方的な圧縮力を受けるので、原木の位置ずれをさらに起こりにくくすることができる。
【0025】
なお、把持爪の刃部の先端角は、5°〜30°の範囲で調整することが望ましい。該先端角が30°よりも大きくなると刃部が原木に食い込みにくくなり、5°未満になると刃部の強度が不足することにつながる。なお、上記角度θは望ましくは15〜25°で設定するのがよく、さらに望ましくはほぼ20°となるように設定するのがよい。
【0026】
なお、上記把持爪は、原木保持機構に対し着脱可能に設けることができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に示すいくつかの実施例を参照して説明する。
(実施例1)
図1は、本発明の一実施例としての補正装置150の全体を模式的に示す側面図である。すなわち補正装置150においては、原木1を搬送するログホールコンベア2の終端部に近接して第一受枠4及び第二受枠5が互いに近接して設けられている。第一受け枠4はその後端が垂直状で、上面が搬送方向に対して下り勾配である。第二受け枠5はその上面が搬送方向に対して上り勾配となり、その上面には近接スイッチ、リミットスイッチ、リードスイッチ等の図示しない原木検知器が取り付けられている。これら第一受枠4と第二受枠5とは、図示しない昇降機構により互いに逆方向に昇降するようになっており、ログホールコンベヤ2側からの原木1を下流側の受渡コンベア13に向けて1本ずつ繰り出す繰出装置を構成している。なお、原木1は、予め皮剥きされた後、切削等により断面がほぼ真円形状となるように加工された状態でログホールコンベア2に供給される。
【0028】
次に、受渡コンベア13の出口に対応して、該受渡コンベア13から供給される原木1を下側で受け止めてこれを支持するVブロック状の受台39(補助保持手段)が、昇降可能に設けられている。この受台39は、図2(a)に示すように、2つのものが原木1の長手方向において互いに対向するように配置されており、それぞれこれと一体に外向きに張り出して形成された張出部151,152を有している。そして、それら張出部151,152には、それぞれこれを上下に貫通するガイド挿通孔151a、152aが形成されている。また一方の張出部151には、ガイド挿通孔151aとほぼ平行に雌ねじ孔154が形成されている。そして、図2(b)に示すように、この雌ねじ孔154にねじ軸155が螺合するとともに、フレーム156に固定されたサーボモータ157が該ねじ軸155を正方向又は逆方向に回転駆動することで、両受台39は、ガイド挿通孔151a,152aにそれぞれ挿通されたガイド部材151b,152bにより、それぞれリニアブロック151c,152cを介してガイドされつつ昇降することとなる。なお、図1及び図2に示すように、受渡コンベア13の末端側は、両受台39の間に入り込むように配置されている。
【0029】
上記受台39は、その原木支持面39aが受渡コンベア13の搬送面よりもやや下側となる受入位置で原木1の受入れを待機する。一方、受渡コンベア13の幅方向中央付近に対応して原木支持面39a側には、受台39と一体的に昇降するリミットスイッチ等で構成された原木検出センサ41が設けられており、原木1が受渡コンベア13により原木支持面39aの直上位置に到着すると付勢されて、これを検出するようになっている。後述する通り、該原木検出センサ41が原木を検出することにより、受台39は上昇を開始し、コンベア13上の原木1をその原木支持面39aにおいて受け取って、以後は該原木1を支持しつつ上昇を続けることとなる。
【0030】
また、図1(a)及び(b)に示すように、受渡コンベア13の搬送面から所定高さだけ上方において、受台39に支持される原木1の一方の端面下部に対応する位置には、原木1の搬送方向に沿う横長の原木検知部材40aが設けられている。原木検知部材40aは、図1(b)に示すように、旋回部材40bの末端部にこれと一体的に設けられており、該旋回部材40bが旋回軸40cの周りで旋回することで、原木1の端面に対する接近・離間が許容されている。原木1は、受渡コンベア13の末端部に到着するに伴い、その端面下部において原木検知部材40aを外向きに押しやるように付勢する。これにより、旋回部材40bが下向きに旋回して、その中間部に一体回転可能に設けられたスイッチ付勢部40dにより、これに近接して設けられたリミットスイッチ40が付勢され、原木1の到着が検出される。一方、その状態から原木1が受台39により上昇するに伴い、旋回部材40bは、原木検知部材40aと反対側の端部に設けられたおもり部材40eにより、原木検知部材40aに作用する重力に抗して逆向きに旋回し、原木1の下縁が受渡コンベア13の搬送面から一定高さだけ離間した位置において、リミットスイッチ40の付勢状態が解除されるようになっている。
【0031】
次に、図2(a)に示すように、該受台39に受け入れられた原木1の両端面に対応する位置にはプッシャー158が配置されており、これが取り付けられたピストンロッド160が油圧シリンダ159により伸縮駆動されることで、それぞれ該原木1の端面に対して接近・離間するようになっている。
【0032】
また、図2(b)に示すように、受台39にはこれと一体的にエアシリンダ(受台側シリンダ)161が設けられており、ピストンロッド162を上下に伸縮させるようになっている。ピストンロッド162は、その先端部(第二の測定部材)162aがV字状の原木支持面39aの底面近傍に位置する収縮位置を基準位置として、エアシリンダ161を付勢することにより、そこから受台39に支持された原木1の底部に向けて伸長し、該先端部162aが原木1に当たることで図8に示すようにその伸長を止められるようになっている。なお、ピストンロッド162の伸長量は、エアシリンダ161に組み込まれたリニアエンコーダ等の測長器(受台側測長器)163により検出される。
【0033】
図1に戻り、それら受台39の上方には、該受台39に支持された原木1の上面に対し接近・離間するY方向検知体(第一の検出部材)164が、図6に示すように原木1の両端部に対応してそれぞれ配置されている。図3に示すように、Y方向検知体164は、原木1の搬送方向においてほぼ水平に延びる水平部164aを有し、その水平部164aの一方の端部下面側で原木1の上面と接触するようになっている。一方、水平部164aのそれと反対側の端部上面からは、垂直部164bがこれと一体的に垂直上方に延びている。そして、水平部164aの該端部から側方に張り出して張出部164cが形成されており、その上面に、上下に延びるピストンロッド166の下端が連結されている。そして、このピストンロッド166がエアシリンダ(Y検知体シリンダ)165により伸縮することで、Y方向検知体164が昇降して原木1に対し接近・離間することとなる。一方、Y方向検知体164は、例えばその垂直部164bにピストンロッド166の一端が結合され、これがエアシリンダ165により伸縮することで、原木1の長手方向にそれぞれ進退駆動される。これにより、Y方向検知体164は、ピストンロッド166が伸長した状態では原木1の端部側面対応する所定位置に位置決めされ、収縮した状態では原木1の端面よりも外側に退避するようになっている。
【0034】
ここで、図8に示すように、ピストンロッド166の伸長量は、シリンダ165に組み込まれた磁気スケールやリニアエンコーダ等の測長器(Y検知体測長器)167により検出される。そして、ピストンロッド166の伸長は水平部164aが原木1の上面に当接することで止められるとともに、エアシリンダ165はY方向検知体164を原木1に押し付ける向きに付勢する。そして、後述する通りY方向検知体164は、原木1が位置ずれを起こして垂直方向(Y方向)に変位すると、上記シリンダ165による付勢力により原木1に追従して移動し、原木1のY方向変位を検知する位置ずれ量検出手段としても機能する。
【0035】
なお、Y方向検知体164の昇降は、シリンダ165のケース165aの側面に形成された図示しないガイド溝内を垂直部164bが移動することでガイドされるようになっている。また、図1及び図6に示すように、受台39の上方には、原木1の長手方向両側において、その原木1の搬送方向に延びる梁部材168aが配設されており、シリンダ165は、両梁部材168a間に渡されたフレーム168に固定されている。
【0036】
そして、図3に示すようにY方向検知体164と、受台39のピストンロッド162とは、それぞれシリンダ161及び165の作動により、上下方向から原木1に接近してこれを挟み付けるとともに、そのときのピストンロッド162及び166の伸長量から原木1の断面の直径が計測されることとなる。
【0037】
次に、図1に示すように、原木1の搬送方向において受台39の下流側にはベニヤレース169が配設されており、その旋削中心を与えるベニヤレーススピンドル170に原木1を装着して回転させながら、鉋台169aをこれに接近させることにより、当該原木1を旋削するようになっている。受台39は、原木1を支持した状態で昇降して、その軸芯がベニヤレーススピンドル170の中心とほぼ同一高さとなるように位置合わせを行う。そして、受台39の上方において原木1の昇降軌跡の側方には、その下端位置が上記ベニヤレーススピンドル170とほぼ同じ高さとなるようにX方向検知体171が配置されている。
【0038】
該X方向検知体171は、フレーム7に固定されたエアシリンダ172により水平方向に伸縮するピストンロッド173の先端に取り付けられて、受台39により上記位置合わせされた原木1に対し側方から接近・離間するようになっている。また、図8に示すように、シリンダ172内にはピストンロッド173の伸長量を検出する磁気スケールやリニアエンコーダ等の測長器174が組み込まれている。そして、Y方向検知体164と同様にX方向検知体171も、原木1に当接した状態でエアシリンダ172によりこれに押し付けられるように付勢され、原木1の位置ずれに伴い水平方向(X方向)に変位するとこれに追従して移動し、原木1のX方向変位を検知する位置ずれ量検出手段としても機能する。
【0039】
次に、図4に示すように、前述の両梁部材168a(図4では、その一方のみが図示されている)間には、これにまたがるように移動梁190が配置されており、それら梁部材168a上に敷設されたレール191上を、正逆両方向に回転可能なモータ193により車輪192を介して往復動するようになっている。そして、図1に示すように、その移動梁190の両側には、受台39により位置合わせされた原木1を両端部において把持する、原木保持手段としての把持ユニット175が設けられている。把持ユニット175は、上端側が移動梁190に対して懸垂状態で支持されてほぼ垂直下方に延びる移動アーム178と、その移動アーム178上を昇降可能に設けられたベースプレート177と、そのベースプレート177の原木1に面する側に重ね配置されて、該ベースプレート177に対し横方向(原木1の搬送方向)にスライド可能とされた爪プレート176とを備えている。そして、移動梁190が梁部材168a上を走行することにより把持ユニット175は、図21(b)に示すように、上記受台39による原木保持位置Kとベニヤレーススピンドル170の中心位置Ovとの間でほぼ水平に、かつ両者間の水平方向距離に応じて定まる一定のストロークLTで移動するようになっている(以下、移動梁190及びモータ193による把持爪ユニット175の水平移動機構のことをトラバーサ195という)。
【0040】
また、原木1に面する側において爪プレート176の表面には、複数の搬送爪(把持爪)70が突出形態で設けられている。図9(a)及び(b)に示すように、各搬送爪70は円筒状に形成されるとともに、その原木1に面する端面には、内側が凹むように逆円錐台状の斜面部70bが形成されており、その斜面部70bと円筒面をなす外周面70cとによって、鋭角断面を有する円環状の刃部70aが形成されている。ここで、その刃部70aの先端角(斜面部70bと外周面70cとのなす角度)θは、5°〜30°の範囲で調整される。θが30°よりも大きくなると刃部70aが原木1に食い込みにくくなり、5°未満になると刃部70aの強度が不足することにつながる。なお、上記角度θは望ましくは15〜25°で設定するのがよく、さらに望ましくはほぼ20°となるように設定するのがよい。なお、上記搬送爪70は、爪プレート176に対し着脱可能に設けることができる。
【0041】
図4に示すように、移動アーム178は、リニアブロック194により、移動梁190に沿ってその上面に配設されたレール190a上をスライド移動するようになってる。また、移動梁190の下面側に取り付けられた油圧シリンダ(把持爪チャックシリンダ)196が、先端が移動アーム178に連結されたピストンロッド197を伸縮させることにより、爪プレート176を含む把持ユニット175全体が、受台39に支持された原木1の端面に対し接近・離間するようになっている。ピストンロッド197が収縮すると爪プレート176は原木1に接近し、図9(c)に示すように、搬送爪70が刃部70aにおいて原木1の端面に食い込むことによりこれを把持する。そして、図1に示すように、その状態でトラバーサ195が把持爪ユニット175を水平移動させることにより、原木1はベニヤレース169側へ搬送されることとなる。
【0042】
次に、図5(b)及び(c)に示すように、ベースプレート177は、移動アーム178に面する側においてこれと一体に設けられたナット部材199に螺合するねじ軸200を、移動アーム178側に設けられたサーボモータ198により正逆両方向に回転駆動することで、該移動アーム178に沿って上下両方向(Y方向)に移動する。また、爪プレート176は、ベースプレート177に面する側においてこれと一体に設けられたナット部材202に螺合するねじ軸203を、ベースプレート177側に設けられたサーボモータ201により正逆両方向に回転駆動することで、ベースプレート177に対し左右両方向(X方向)に移動可能とされている。なお、ベースプレート177の移動アーム178に対する移動は、移動アーム178側に配設されたガイドレール178aと、これに係合するベースプレート177側のリニアブロック177aとによってガイドされる。また、爪プレート176のベースプレート177に対する移動は、ベースプレート177側のガイドレール177bと、これに係合する爪プレート176側のリニアブロック176aとによってガイドされる。
【0043】
そして、サーボモータ198、ナット部材199及びねじ軸200は、原木1の端面に沿う向きにおいて、爪プレート176をY方向移動させるY移動機構204を構成し、サーボモータ201、ナット部材202及びねじ軸203は、同じくX方向移動させるX移動機構205を構成する。そして、これらY移動機構204及びX移動機構205が、把持ユニット175により把持された原木1の、ベニヤレーススピンドル170に対する位置ずれを、互いに異なる2方向において補正する位置補正機構を構成する。
【0044】
次に、図12は、補正装置150の制御系の構成例を示すブロック図である。すなわち、該制御系はI/Oポート213と、それに接続されたCPU210、RAM211及びROM212等を含む中央制御部214を有し、そのI/Oポート213には、サーボ駆動ユニット215,222〜224、シリンダ駆動ユニット216,219,221,225、及びA/D変換器217,218,220がそれぞれ接続されている。そして、サーボ駆動ユニット215,222〜224には、前述の各サーボモータ157,193,198,201と、それら各モータの回転位置、すなわち受台39、トラバーサ195(把持ユニット175)、及び搬送爪70のY方向及びX方向における現在の右位置を知るためのパルスジェネレータ(PG)226〜229がそれぞれ接続されている。
【0045】
一方、シリンダ駆動ユニット216,219,221,225には、前述のエアシリンダ161,165,172及び油圧シリンダ196がそれぞれ接続されている。また、A/D変換器217,218,220には、受台側測長器163、Y検知体測長器167及びX検知体測長器174がそれぞれ接続されている。また、I/Oポート213には、前述の原木検出センサ41及びリミットスイッチ40がそれぞれ接続されている。
【0046】
さらに、ROM212には、補正装置150全体の作動制御を行うための制御プログラム212aが格納されている。また、RAM211には、上記制御プログラム212aを実行するためのワークエリア211a、Y検知体測長器167、X検知体測長器174及び受台側測長器163からのパルス信号をカウントするパルスカウンタメモリ211b〜211d、受台39の上昇基準位置(後述)のメモリ211g、同じく受台39を補助上昇させる場合の停止位置(後述)のメモリ211hがそれぞれ形成されている。なお、Y検知体シリンダ165、Y検知体測長器167、X検知体シリンダ172、X検知体測長器174、把持爪70のX−Y移動用のサーボモータ201及び198は、各々対応するA/D変換器及びサーボ駆動ユニットを含め、原木1の両側に対応して各2組ずつ設けられているが、上記ブロック図では1組のみを描いている。
【0047】
次に、把持爪70のY移動用のサーボ駆動ユニット223からは、対応するサーボモータ198の駆動電圧がA/D変換器300を介してI/Oポート213に入力されるようになっている。この駆動電圧値は、把持爪70により把持される原木1の重量の値を反映した重量反映情報となる。すなわち、原木1のY方向の位置補正を行う場合、これを把持した把持爪70を、原木1の重量に抗して上方(すなわちY方向)に駆動しなければならない。この場合、把持爪70のY方向移動の速度がほぼ一定となるように、モータ198の回転を制御するようにすれば、その定速運転時のモータ198の電流値は、モータ198にかかる負荷、すなわち原木1の重量が大きいほど高くなる。そして、図37(a)に示すように、モータ198の巻線抵抗の値が一定であると考えれば、該モータ198における電圧降下、すなわちモータ198の駆動電圧も原木1の重量が大きくなるほど高くなることとなる。
【0048】
ここで、図38に示すように、原木1はベニヤレース169に対し、原木1の軸芯(OL:図3等)がベニヤレーススピンドル170の中心線、すなわち旋削中心と一致するように装着されることとなるが、そのスピンドルチャック170aが原木1の端面に食い込む際に、該原木1の軸芯と旋削中心との間に位置ずれが生ずることがある。また、スピンドルチャック170aの食込み後においては、原木1の自重により、食い込んだスピンドルチャック170aの上方に位置する部分が圧縮されて原木1が垂下し、位置ずれを起こすことがある。さらに、図38(a)に示すように、原木1の自重付加によるベニヤレーススピンドル170の撓み、あるいは同図(b)に示すように原木1自体の撓みも位置ずれの原因となりうる。これらの位置ずれは、例えば主に原木1に対し垂直下方、すなわちY方向に生ずるものである。
【0049】
そして、ベニヤレース169に対する装着時あるいは装着後において見込まれる原木1の位置ずれ量(以下、旋削保持位置ずれ量という)は、例えばスピンドルチャック170aの食込み時に生ずる部分を別にすれば、原木1の重量が増大するほど大きくなることが予想される。ここで、各原木重量毎の旋削保持位置ずれ量は、例えば実験あるいは計算等により求めることができる。そして本実施例では、図12に示すように、この実験あるいは計算等により予め求められた旋削保持位置ずれ量の値が、Y移動用モータ198の駆動電圧値(すなわち原木の重量)と対応付けた形で、旋削保持位置ずれ量換算テーブル211iとしてRAM211に記憶されている。図39(a)は、旋削保持位置ずれ量換算テーブル211iの一例を示しており、互いに連続する駆動電圧値の範囲(V0〜V1、V1〜V2、V2〜V3、V3〜V4、‥‥;V0<V1<V2<V3<‥‥)毎に、旋削保持位置ずれ量がβ11、β12、β13、β14、‥‥等として記憶されており、サーボ駆動ユニット223から出力される駆動電圧の値に応じて対応するずれ量の値が読み出され、これがベニヤレース169に原木1を装着した際のずれ予測値として使用される。
【0050】
なお、同図(b)に示すように、旋削保持位置ずれ量β11、β12、β13、‥‥は、駆動電圧値の範囲ではなく離散的な各駆動電圧値V0、V1、V2‥‥に対応して記憶させるようにし、記憶されていない任意の駆動電圧値に対応する旋削保持位置ずれ量を、記憶されている駆動電圧値及び旋削保持位置ずれ量に基づいて、例えば補間法により求めるようにしてもよい。また、旋削保持位置ずれ量の値と駆動電圧値(重量反映情報の値)との間に一定の関係式が成立する場合には、その関係式を記憶しておき、検出された駆動電圧値をその関係式に当てはめて、旋削保持位置ずれ量を算出するようにしてもよい。
【0051】
ここで、図38(a)及び(b)に示す、ベニヤレーススピンドル170の撓み、あるいは原木1自体の撓みに基づく位置ずれ量は、原木1の重量以外に、原木の長さwにも依存して変化することがある。例えば、ベニヤレーススピンドル170が図示しないシリンダ等の駆動により、所定長伸長して原木1の端面に食い込むことによりこれを保持するようになっている場合、図38(c)に示すように、原木1の長さWが短くなるとベニヤレーススピンドル170の伸長量が増大し、該スピンドル170に撓みが生じやすくなる。そこで、図39に示す旋削保持位置ずれ量換算テーブル211iにおいては、原木1の種々の長さ範囲(W0〜W1、W1〜W2、W2〜W3、W3〜W4、‥‥;W0<W1<W2<W3<‥‥)について、各駆動電圧値(原木重量)毎の旋削保持位置ずれ量が記憶されており、原木長さWに応じて対応する位置ずれ量の値が使用されるようになっている。
【0052】
なお、原木長さWは、例えば図12においてI/Oポート213に接続された入力部301から入力することができ、入力されたWの値はRAM211の原木長さメモリ211kに格納される。一方、モータ198の駆動電圧値及び原木長さWに応じて換算テーブル211iから読み出された旋削保持位置ずれ量の値は、旋削保持位置ずれ量格納メモリ211mに格納される。
【0053】
以下、補正装置150の作動について、図13〜図15のフローチャートならびに図16〜図21の工程説明図を用いて説明する。
まず、図13において制御プログラム212aが起動し、S0において原木1の長さWが入力される。次いで、S1においてパルスカウンタメモリ211b〜211dの各カウンタ値N1〜N3がクリアされる。そして図16に示すように、ログホールコンベア2及び受渡コンベア13により原木1が搬送されて受台39の直上位置に到達すると、S2で原木検出センサ41が原木1を検出して受渡コンベア13を停止させる。このとき、図1(b)に示すように、原木1はその端面下部において原木検知部材40aを介してリミットスイッチ40を付勢している。
【0054】
次に、S4において、図17(a)に示すように受台39は原木1とともに上昇を開始する。そして、原木1は、その下縁部が受渡コンベア13の搬送面から所定高さだけ上昇した位置においてリミットスイッチ40の付勢を解除することとなる。ここで、受渡コンベア13の搬送面からリミットスイッチ40の付勢解除点までの距離をLS'とすれば、そこからさらに高さγだけ上昇した高さLS(=LS'+γ)に受台39の上昇基準位置が設定されている。受台39の昇降用モータ157は、リミットスイッチ40が付勢を解除されると減速を開始し、該付勢解除後においてPG226(図12)が、上記高さγに対応する一定数のパルスを出力すれば停止するように制御される。こうして、受台39は、原木1の下縁が上記上昇基準位置に位置決めされた状態で停止することとなる(S5)。次いで、図17(b)に示すように、図2のシリンダ159が作動して、両側のプッシャー158が互いに接近する方向に移動し、原木1を受台39上で移動させてこれをセンタリングする(S6)。
【0055】
次に、図13のS7に進み、Y検知体シリンダ165と受台側シリンダ161がそれぞれオンとなり、図18に示すように、ピストンロッド166及び162がそれぞれ原木1側へ伸長するとともに、パルスカウンタN1及びN3がY検知体測長器167及び受台側測長器163からのパルス信号のカウントを開始する。ピストンロッド166及び162は、各々その収縮位置から伸長位置へ向けて伸長しようとするが、Y方向検知体164及びロッド先端部162aが原木1に当たることで、これを挟み付けた状態でその伸長が止められ、以降は各シリンダ165及び161の空気圧により原木1側に付勢された状態を維持する。そして、この時点でのパルスカウンタN1及びN3のカウント値から、各ピストンロッド166及び162の伸長量L1及びL2が算出される。ここで、ピストン166及び162が収縮位置に位置する状態(それぞれ第一及び第二の基準位置に対応する)での、Y方向検知体164及びロッド先端部162a間の距離L0が固定であることから、原木1の直径Dが、
D=L0−(L1+L2)‥‥‥(1)
により算出される(S8)。
【0056】
ここで、原木1の直径Dが一定以下のときに、ピストンロッド166を限界位置まで伸長させてもY方向検知体164が原木1に届かない場合は、受台39をさらに付加的に上昇させて直径Dの測定を行うようにすることもできる。この場合、図17(a)に示すように、Y方向検知体164が原木1に届かなくなる限界位置に対応して補助センサ42(本実施例では、投光部42aと受光部42bとを備えた透過式光センサとされている)が設けられる。このときの作動の流れは、図13のフローチャートにおいてS51〜S55の各ステップを加えたものとなる。すなわち、S51において、原木1が補助センサ42に検出されていない場合はS52へ進んで受台39が上昇し、原木1の上縁が補助センサ42に検出されると減速を開始し、そこから一定高さだけ上方に位置する付加上昇位置で受台39が停止するように、PG226(図12)のパルス出力に基づいてモータ157の駆動が制御される。そして、Y方向検知体164及びロッド先端部162a間の距離L0は、前述の上昇基準位置から付加上昇位置へ至るまでの受台39の上昇量L4(図17(c))を差し引いたL0−L4と置き換えられる。一方、S51において原木1が補助センサ42に検出された場合はS56に進み、前述のL0の値がそのまま採用される。以下の処理は同様である。
【0057】
こうして原木1のDが測定されると、原木1の軸芯OLは、断面を真円とみなすことで、その直径の中点として求められる。なお、このタイミングで把持ユニット175は原木1の把持位置(受台39の位置)まで移動する。続いて受台39を上昇させることによりその軸芯OLの高さをベニヤレーススピンドル170(図1)の中心Ovの高さと一致させる。このときの受台39の移動量LAは、ピストン166の収縮状態におけるY方向検知体164の下面位置を基準としたときの、上記中心Ovまでの距離をLvとした場合に、図18に示すように、
LA=(L1+D/2)−Lv‥‥‥(2)
で与えられる(以上、図13:S9〜図14:S11)。また、Y方向検知体164はシリンダ165の付勢により、原木1に追従して移動する。
【0058】
そして、この状態でS12において、待機していた把持ユニット175の油圧シリンダ196(図4)が作動して、図9(c)に示すように搬送爪70が原木1の両端面にそれぞれ食い込んでロード状態となり、これを把持する。これにより原木1は、高さ方向(Y方向)においてはその軸芯OLがベニヤレーススピンドル170の中心Ovと同位置に位置決めされ、さらに水平方向(X方向)においては、トラバーサ195によりベニヤレース169に向けて定ストローク移動を行った場合に、上記軸芯OLが中心Ovに一致するように位置決めされることとなる。また、図19(a)に示すように、S13においてX検知体シリンダ172がオンとなり、X方向検知体171が該シリンダ172により付勢された状態で原木1に当接する。この時点で、Y検知体測長器167及びX検知体測長器174(図8)の両パルスカウント値N1及びN2をクリアするとともに(S14)、受台39を原位置まで下降させて、原木1を搬送爪70のみにより支持させた状態とする(S15)。
【0059】
ここで、原木1は、搬送爪70の食込みに伴い、その軸芯OLが位置決めされた位置からずれることがある。また、図19(b)に示すように、原木1は、受台39による支持解除に伴い、搬送爪70の把持力に抗してその自重により下側へ垂れ下がるように変位する。そして、前述の通り位置決めされていた軸芯OLは、これらに基づく変位UによりOL'へ位置ずれを起こすとともに、Y方向検知体164及びX方向検知体171は、原木1に追従して移動し、その時のパルスカウンタ値N1及びN2から上記変位UのY方向成分UYとX方向成分UXとがそれぞれ算出される(S16)。これら各成分値UY,UXはRAM211(図12)のメモリ領域211e及び211fにそれぞれ記憶される。なお、原木1の両側の各Y方向検知体164及びX方向検知体171は、それぞれ対応する側における原木1の変位Uを検出し、その変位成分(UX、UY)の値は各々個別にRAM211に記憶される。
【0060】
この状態で、図20に示すようにトラバーサ195(図1等)は、原木1を把持ユニット175とともにベニヤレース169に向けて搬送を開始する(S17)。そして、上記原木1の搬送中に、両側の各Y移動機構204とX移動機構205(図5)とが対応する把持ユニット175を、前述の変位Uが打ち消されるようにそれぞれ独立に駆動して、原木1の位置ずれ状態を解消する(S18)。
【0061】
次いで、S19の旋削保持位置ずれ補正処理に進む。その詳細は図15に示す通りである。すなわち、S191において、S18(図14)のY方向補正時のモータ198(図12)の駆動電圧をサーボ駆動ユニット223から読み込む。ここで、読み込むべき駆動電圧の値は、例えば図37(b)に示すように、モータ198の回転数が定常値に到達したときの電圧値VSを採用することができる。一方、所定高さに位置決めした状態で原木1を把持している場合においては、モータ198は回転は停止しているが、原木1を引き上げる向きに回転トルクを生じさせる一定の電圧VS'は付加されており、このトルクにより原木1に作用する重力に抗して原木1を当該位置決め位置に保持することとなる。この場合、該トルクを生じさせるための上記電圧VS'は、原木1の重量が増大する程大きくなるので、これを前記駆動電圧として読み込んでもよい。
【0062】
次に、S192において、読み込んだ駆動電圧VSと原木長さWに対応する旋削保持位置ずれ量βとを、位置ずれ量換算テーブル211i(図12及び図39)から読み出し、これを当該ずれ量の予測値としてメモリ211m(図12)にセットするとともに、S193において、図21(a)に示すように、該旋削保持位置ずれ量βが打ち消されるように、両側の各Y移動機構204により原木1の軸芯OLの位置を−βだけY方向に追加補正する。この場合、原木1の左右の端部に生ずることが見込まれる旋削保持位置ずれ量が互いにほぼ等しい場合は、上記追加補正の量も原木の左右でほぼ等しい値だけ施せばよい。一方、見込まれる旋削保持位置ずれ量が原木の左右で異なる値となる場合には、左右独立に対応する量の追加補正を行うことができる。この場合、旋削保持位置ずれ量のデータは、原木の左右それぞれに対応して2組記憶させておく必要がある。これに対し、より簡便な方法として、見込まれる位置ずれ量の左右の平均値に相当する追加補正を、原木の左右において互いに等しい量により行うことも可能である。この場合は、旋削保持位置ずれ量のデータは上記平均値に相当するものを1組だけ記憶させておけばよい。
【0063】
そして、図21(b)に示すように、原木1がベニヤレーススピンドル170の位置に到達するとトラバーサ195は移動を停止し(S22)、原木1は、把持ユニット175への装着時に生じた位置ずれ変位Uが解消され、かつベニヤレース169に装着したときに見込まれる旋削保持位置ずれ量βに対する追加補正がなされた状態、すなわち軸芯OLがベニヤレーススピンドル170の中心(旋削中心)Ovに一致する位置から−βだけY方向に変位した状態で、ベニヤレーススピンドル170に受け渡されてこれに装着される(S23)。受渡しが完了すればS24に進み、把持ユニット175はアンロード状態となって原木1の把持を解除する。これに伴い、原木1にはその自重に伴う垂下等により、前述の旋削保持位置ずれ量βに対応する量だけ下方に変位することとなるが、これが上記追加補正による変位−βとほぼ打ち消し合って、結果的に原木1は、その軸芯OLが旋削中心OVに正確に位置決めされた状態で、ベニヤレース169に装着される。
【0064】
なお、図14に示すように、原木1の位置ずれ補正は、ベニヤレース169への移動前に行ってもよいし(S60、S61)、また、ベニヤレーススピンドル位置に到達後に行うようにしてもよい(S70、S71)。
【0065】
また、上記実施例の旋削保持位置ずれ補正処理においては、Y方向の補正のみを行っていたが、X方向の補正も行うように構成することが可能である。この場合、旋削保持位置ずれ量換算テーブル211i(図12)には、Y方向の位置ずれ量に加え、X方向の位置ずれ量も合わせて記憶しておけばよい。また、原木1の重量は、Y移動用のモータ198の駆動電圧により検出するようにしていたが、これを駆動電流により検出する方法、あるいは図37(b)に示すように、モータ198が定常運転状態に到達するまでの駆動電圧の時間変化率ΔV/Δt(あるいは駆動電流の時間変化率)により検出する方法も可能である。また、原木1の重量を秤等を用いて予め測定しておき、その測定値に基づいて旋削保持位置ずれ量を定めるようにしてもよい。一方、ベニヤレース169に装着したときの原木1の位置ずれ量が十分小さい場合など、旋削保持位置ずれ補正処理を行う必要が生じない場合には、該補正処理機能を省略した装置構成も可能である。
【0066】
次に、搬送爪70としては、例えば図10(a)に示す円錐状のものや、同図(b)のナイフ状のもの等も使用できるが、図9(c)に示すように、円筒状の搬送爪70は、それらに比べて食い込んだ刃部70aにおける原木1との接触面積が大きく、また同図(d)に示すように、刃部70aが原木1の繊維細胞壁Cを分断するように食い込むので、強固な把持力が得られる利点がある。また、図9(c)に示すように、原木1の繊維Fが搬送爪70の内側に、その断面半径方向に等方的に圧縮されながら進入するので、搬送爪70の内側では原木1の自重による繊維Fの圧縮が起こりにくくなり、結果として受台39による支持解除後の原木1の位置ずれの程度を小さく抑さえることができる。なお、図11に示すように、角筒状の搬送爪70を使用することも可能である。
【0067】
なお、図7に示すように、Y方向検知体164及びX方向検知体171は、原木1の両側に設けるのではなく、例えば原木1の長手方向中央付近に対応して1組のみ設ける構成としてもよい。この場合、原木1の両側のY移動機構204及びX移動機構205は、上記実施例のように左右独立して行うのではなく、上記検知体164及び171の検出する位置ずれの変位に基づいて、原木1に対し互いに同量及び同方向の位置補正を行うものとすることができる。また、図8に示すように、検知体210を原木1に対し斜め方向から当接するように設けることも可能である。
【0068】
ここで、受台39の支持解除に伴う原木1の位置ずれの変位Uが、主にY方向(垂直方向)成分のみでX方向(水平方向)成分をほとんど含まない場合には、X方向検知体171を省略することもできる。さらに、変位Uの量及び方向が常にほぼ一定である場合は、原木1に対して予め定められた量及び方向の位置ずれ補正を行うようにして、両検知体164及び171をともに省略する構成も可能である。
【0069】
上記実施例においてY方向検知体164及びX方向検知体171は、エアシリンダ165ないし172により原木1に対し付勢されるようになっていたが、これをばね等の弾性部材を用いて付勢するようにしてもよい。一方、原木1の位置ずれを検出する手段としては、上記Y方向検知体164及びX方向検知体171のように接触式の検知体を使用する代わりに、これらを例えば図22(a)のように、非接触式の検知器215に置換することも可能である。これには、レーザ光、電磁波(例えば遠赤外線、光電管による光等)あるいは、超音波等の伝播媒体を原木1の外周面に投射し、その反射を利用するもの等を採用することができる。あるいは同図(b)の検知器215のように、投光器215Aから原木1の外周部に向かって高さ方向に連なる多数条の光又は高さ方向に所定の幅をもつ光帯を投射し、原木1の外周部で遮蔽されずに反対側の受光器215Bに到達した光の量を計測して原木1の位置ずれ変位を求める方式のものを採用することも可能である。さらに、同図(c)に示すように、CCDカメラ等の画像撮影装置216により原木1の端面の画像を撮影し、その画像の変化から位置ずれ変位を検出する方式も可能である。
【0070】
(実施例2)
図23は、本発明の補正装置の別の実施例及びそれを組み込んだ原木芯出し供給装置の全体構成を模式的に示している。すなわち、該原木芯出し供給装置250においては、実施例1の装置とほぼ同様の構成のログホールコンベア2及び受渡コンベア13により原木1が供給されるようになっているが、受渡コンベア13から排出された原木1は、フックコンベア32により斜め上方に搬送され、さらに昇降可能に設けられた受台39に受け渡されるようになっている。そして、その受台39の上方位置には、複数組の上部検知器42(L1、L2、・・・)が、原木1の直径に応じて複数段階の計測点を与えるために設けられている。これらの上部検知器42は、例えば光電式のもので、互いに対向する投光器42Aと受光器42Bとを備え、投光器42Aから発光される光が、受台39により上昇させられる原木1の上面で遮られることにより、上面検知の信号が出力される。
【0071】
そして、図24に示すように、下部検知器Kが原木1の下面(下面検知体31B)を検知してから、上部検知器L1又はL2が原木1の上面を検知するまでの原木上昇量Y1又はY3に基づき、原木1の直径d1又はd2が算出される。つまり、H1、H3は固定距離であるから、これらからY1又はY3を減算すればd1又はd2が求められる。これに基づき仮軸芯O1又はO2が決定され、あとは、その仮軸芯と後述する把持爪51の中心(O51)とが合致するまで原木1が受台39により上昇させられることとなる。
【0072】
次に、図25に示すように、フックコンベア32の上方には、原木1を仮軸芯を回転中心として1回転以上させることにより、その長手方向にわたる複数個所の断面輪郭を検知し、これに基づき原木1の旋削軸芯を求める原木芯出し装置300が設置されている。すなわち図26に示すように、左右一対で原木1の長さ方向に配置されたガイド44に基台45を載せるとともに、この基台45をねじ状横送り軸46に螺合し、それの一端に連結されたモータ47の駆動によって、基台45を原木1の長さ方向において接近・離間可能な構成としている。
【0073】
また、この左右一対の基台45上には、相対向して一対の把持用シリンダ48が設けられ、そのピストンロッド49の先端が、基台45のほぼ中央部に支持されているスピンドル50の後端に連結されていて、各スピンドル50の先端には、原木1の端面に突き刺される仮回転保持部としての把持爪51が取り付けられている。また基台45上に設置されたモータ52によりチエーン53を介して駆動されるチエーンホイール54が、軸方向に摺動可能、かつ回転方向に対して一体的に嵌挿されている。一方、相対向して位置する従動側のスピンドル50には、ギヤ55が軸方向に摺動可能、かつ回転方向に対して一体的に嵌挿され、このギヤ55が連係ギヤ55Aを介して、基台45に設けられたロータリエンコーダ56のピニオン57とかみ合い、これによって原木1の回転角を計測する回転角検知器が構成される。この回転角検知器は後述する変位検知器と協働して原木1の輪郭検出器を構成する。
【0074】
図27に示すように、横梁58には、原木1の長手方向にわたって各々任意長さを有し、かつ隣接するもの同士がほぼ密接状態となる検知域を有する接触式の検知体59が複数個配置されている(図示の例においては13個)。そして、それらの検知体59の個数と同じ数だけ検知体59の変位量を計測する変位検知器が設けられている。すなわち、横梁58に対して、複数本(この例では13本)の変位腕61が各基部近傍においてピン61A(図30)により垂直面内で揺動可能に取り付けられ、各先端部に上述の検知体59がそれぞれ設けられている。また、横梁58の前方に各変位腕61をそれぞれ引き上げる流体シリンダ62が一対の側板60間にピン結合されるとともに、そのピストンロッド63の先端が変位腕61にピン結合されている。
【0075】
そして、このシリンダ62は、変位腕61の自重の一部を支え、残余の自重により変位腕61の検知体59を原木1の外周面に当接させるとともに、内蔵されたリニヤエンコーダ62Aによって、検知体59の変位量を変位腕61を介して検知する。これら検知体59は、原木1の断面輪郭を検知する役割を果たすとともに、後述する原木1の自重に伴う位置ずれを検出する位置ずれ量検出手段としても機能する。ここで、検知体59は例えば13個存在するが、供給される原木1の長さが短い場合は、それに応じて検知に関与する検知体59の数を減少させ、それら検知体59の合計距離を原木長さにほぼ合わせるようにすることができる。例えば、原木1の長さを3段階に分けた場合、原木1の各長さに応じて検知体59の個数も例えば13個、11個、9個と選択できる。
【0076】
このような原木芯出し位置から芯出し後の原木1を、図23におけるベニヤレースのスピンドル68まで搬送するために、一対の傾斜梁69が原木1の搬送路を挟んで互いに対向するように設けられ、後述する進退機構により相対向する方向に進退可能とされている。また各傾斜梁69には往復動機構によって搬送爪70が傾斜方向へ往復動可能に組み付けられ、さらに、その傾斜梁69が昇降機構によって昇降させられるようになっている。
【0077】
ベニヤレースのスピンドル68の背後には、鉋台Rの旋削刃Sにより原木1が押圧されつつ旋削される際に、その押圧力に対抗する力を付与するバックアップローラ装置Tが設けられるが、傾斜梁69はそのバックアップローラ装置Tと干渉しないように、斜め下方に傾斜した原木搬送軌跡を与えるものである。
【0078】
前述の進退機構について言えば、機枠33上には、図29に示すように、原木1の搬送方向と直交する方向へ、ガイド71が取り付けられ、このガイド71にリニヤブロック72を備えた支持台73が設置されている。この支持台73は、機枠33に水平状に設けられたねじ状送り軸74に螺合され、これを回転させるモータ75によって進退可能とされている。さらに、この支持台73上には、水平方向のガイド76に移送台78が載置されるとともに、移送台78には、支持台73に固定された傾斜梁用シリンダ79のピストンロッド80が接続され、この移送台78が支持台73に対し移動できる構成とされている。
【0079】
この移送台78の前部には、原木1の搬送方向に一定の間隔をおいて一対のガイド81(図28)が垂直方向に形成されており、これらガイド81に、原木芯出し位置からベニヤレースのスピンドル68の近傍に至る前記各傾斜梁69が組み付けられている。また、傾斜梁69は移送台78に支持された垂直方向のねじ状縦送り軸82に螺合され、その軸82の一端に接続されたモータ83によって昇降可能とされている。さらに、移送台78に固定されたシリンダ84のピストンロッド85が傾斜梁69に接続され、上記シリンダ84が常時傾斜梁69ならびに搬送時の原木1を、有段あるいは無段階の圧力において引き上げることにより、それらの自重分の負荷を除去した昇降機構が、上記縦送り軸82及びモータ83によって構成されている。
【0080】
その昇降機構の縦送り軸82には、傾斜梁69のY軸上の移動量を測定するY軸距離測定器83Aが接続されており、これは、例えば縦送り軸82を駆動するサーボモータ83の回転数をパルス信号に変換するパルス発生器等を主体として構成され、そのパルス数に基づいてY軸方向の移動距離が測定される。なお、Y軸距離測定器としては、これ以外に、Y軸方向の移動量を直接的に求める磁気スケールであってもよいし、また、駆動源にモータ83でなく流体シリンダ機構が用いられる場合は、ピストンロッドの伸縮量を回転角に変換して測定するロータリエンコーダであってもよい。
【0081】
前記搬送爪70は、傾斜梁69に形成された傾斜ガイド87にリニヤブロック88を介して組み付けられており、傾斜梁69の傾斜方向に沿って設けられたねじ状の傾斜送り軸86が搬送爪70に螺合されている。そして、傾斜送り軸86の一端に連結されたモータ89によって搬送爪70が傾斜方向へ往復動させられる。また、傾斜梁69に固定されたシリンダ90のピストンロッド91がチエーン92を介して搬送爪70に接続され、搬送爪70並びに搬送爪70に把持された原木1を、有段あるいは無段階の圧力において常に引き上げることにより、それらの自重分を除去した往復動機構が構成されている。
【0082】
また、往復動機構の傾斜送り軸86には、搬送爪70の移動量を測定するために、ロータリエンコーダ等によって構成されるX軸距離測定器70Aが接続されている。なお、原木芯出し装置において得られた旋削軸芯の補正データは、仮軸芯からのX軸上、並びにY軸上の距離として指示される直交座標上の補正量であるが、搬送爪70に対する補正量は縦送り軸82及び傾斜送り軸86上の移動量であり、両者は直交座標とならない。その関係上、補正データを搬送爪70へ出力するには、縦送り軸82をY′、傾斜送り軸86をX′とする非直交座標上での指示値に変換する必要がある。ただし、本実施例では、説明の便宜上、傾斜送り軸86をX軸に相当するものとする。
【0083】
次に、上記装置250の作動を説明する。
まず、図23において、原木1がフックコンベヤ32から受台39上に乗り移ると、受台39は上昇を開始し、下面検知体31Bは原木1に接触しつつ若干上昇して、下部検知器Kによって検知され、これを上昇起点として受台39の上昇量を表わすパルス数の読み込みを開始する。これ以後、原木1の下面は下面検知体31Bから離れる一方、原木1の上面が、上方の互いに異なる高さにあるいずれかの上部検知器42の投光器42A、受光器42Bに検知されるまで上昇量が積算される。
【0084】
このとき、上部検知器42の設置数に対応して原木1の径が大径、中径、小径の3段階又は2段階等のどれに属するかが判別されることになる。そして、例えば図24の左側に示すように、上部検知器42(L1)より下部検知器Kまでの距離H1から、積算された上昇量Y1を減算して原木1の直径d1が得られ、さらにその半径r1から、上部検出器L1と原木芯出し装置300の把持爪51の中心O51との距離H2を減算し、その残量Y2だけさらに受台39を上昇させる。同様に図24の右側の例では、L1より上側に位置する上部検知器42(L2)が原木1の上面を検知するが、原木1の半径は、r2=(H3−Y3)/2で求められ、さらに、r2−H4=Y4によって受台39の更なる上昇量が定まる。
【0085】
いずれにしても、原木1の仮軸芯O1又はO2が決定されると、図23に示すように受台39は、図示しない横送り軸により定量分だけ前進し、原木1の仮軸芯部分を原木芯出し装置300の左右一対の把持爪51の中心を結ぶ線上に至らせる。このとき、原木1の長手方向にわたってほぼ密接して連なる検知域を有する複数の検知体59及び変位腕61は、上部検知器42等で判別された原木1の直径に応じた位置に待機している。また、把持爪51を支承している基台45(図26)は、搬入される原木1の長さに応じて、ねじ状の横送り軸46及びモータ47によって適宜進退調整されて待機しており、原木1は、一対の把持用シリンダ48の作動に伴い、一対の把持爪51によって把持される。その把持後、受台39は下降して次の原木に備える。
【0086】
一方、この間に、各変位腕61の各検知体59(図27)が原木1の外周面に当接させられ、かつ、モータ52(図26)の駆動により把持爪51が原木1とともに1回転させられる。この回転角は原木回転角検知器としてのロータリエンコーダ56によって、また原木1の両端面の仮軸芯を結ぶ線上からの検知体59の変位量は、変位検知器たるリニヤエンコーダ62A(図30)によって、各々同期的に検知される。したがって、原木回転角検知器によって検知された任意角の電気信号と、変位検知器によって検知された変位量の電気信号は同期的に取り出され、例えば13箇所の断面輪郭が微小角度ごとの点の集合としてそれぞれ検知される。
【0087】
次に、図31に示すブロック図によりその作動系を説明する。上記のようにして得られた13箇所の断面輪郭データは、記憶器101又は102に記憶される。そして、演算器100によりまず、原木1の両端部近傍A、A(図示例では最外端より一つ内方に位置する検知体59)並びに中央部Bの3箇所の断面輪郭データに基づいて各最大内接円が求められる。最大内接円の求め方の一例を図32に概念的に示すと、例えば有限要素法に基づき、仮軸芯Oを内側に含む正方形のマトリックスを考え、そのマトリックスの複数ポイントのそれぞれにおいて断面輪郭までの最短距離を求め、そのうちの最も長いものに基づき最適なポイントを1個見い出す。更にそのポイントを中心として前回より小さい正方形のマトリックスを設定してその中で更に最適なポイントを1個見い出すというように、正方形のマトリックスを順次縮小していき、予め定めたミニマムの正方形マトリックスにおいて、最終的なポイントを中心とする所定半径の円をもって求める最大内接円とする。
【0088】
このようにして、原木1の両端部近傍及び中央部の3断面輪郭の各最大内接円を求めた後、それら3個の最大内接円の配列に基づき、原木1の長手方向において取り得る最大直円筒の方向を予測する。つまり、図33に概念的にかつ誇張して示すように、原木1の仮軸芯Oはある程度ラフなものであるため、本来の軸芯とは任意のねじれ角をもつのが一般的である。そして、この仮軸芯Oに平行な方向では比較的小さい最大直円筒しか想定できないが、図34のα方向では相当大きな最大直円筒を想定できる。これは、図34のように仮軸芯OをZ軸とするX−Y−Z座標を考えたとき、左、中央及び右の3断面の各最大内接円L、C及びRの配列において、それら3円の重なり度合が最も大きくなる方向αを3円の各中心位置に基づいて求めることである。概念的には上記方向αがZ軸となるように座標系を変換(回転及び並進)させて、図35のような新たな座標系X′−Y′−Z′を作ることである。例えばこのような方向αとして、図34の各最大内接円L、C及びRの各中心からの距離の合計が最小となるような1つの直線を用いることができる。このような直線は、例えば最小2乗法等によって定められる。
【0089】
そして、図35に概念的に示すように、原木1の前記13断面の全ての断面輪郭を新たな座標系X′−Y′−Z′におけるY′−Z′平面に投影して重ね合わせ、これらの内側に入る最大直円筒Mを求めて、その中心線を所期の旋削軸芯Gとする。そして結果的には、その求めた中心線と原木1の両端面との各交点が図33に示す左軸芯GL、右軸芯GRとなる。これらの点は本来は変換前の前記X−Y−Z座標におけるX−Y平面への投影点となるが、説明の便宜上、仮軸芯Oを原点とする2次元のX−Y座標上の点GL(x1、y1)、GR(x2、y2)として表わすこととする。
【0090】
上記のような最大内接円の算出、最大直円筒の方向性の決定、更に最大直円筒の算出は、図31の演算器100が行う。演算器100はコンピュータのCPU等で構成することができ、また前述の記憶器101、102もコンピュータのメモリ装置を利用することができる。そして、求められた旋削軸芯の前記座標値が傾斜梁69及び搬送爪70における昇降機構のモータ83及び往復運動機構のモータ89へ出力されることとなる。
【0091】
図29の搬送爪70は、原木1の長さに対応して、送り軸74及びモータ75により予め待機位置が設定され、次いで、傾斜梁用シリンダ79を作動させて、各搬送爪70を原木1の両端面の上部へ食い込ませた後、把持爪51を両端面の中心部より離脱させる。このとき、搬送爪70の食込み部上部においては原木1の自重付加に伴う圧縮が生じて原木1が下方に位置ずれ変位を起こし、上記算定された旋削軸芯の座標値も原木1に対してその変位分だけ相対的にずれて、新たな偏差を生ずることとなる。
【0092】
ここで、前述の各検知体59は、この段階においても引き続き原木1に対して接触状態を維持しており、原木1に上記位置ずれが生ずると、検知体59もそれに追従して下方移動し、その移動量から原木1のY方向の位置ずれ変位UYを算出することができる。すなわち、検知体59が、実施例1の装置150におけるY方向検知体164と同様の役割を果たしていると見ることができる。ここで、複数の検知体59のすべてを用いて、各々上記位置ずれ変位UYを検出させるようにしてもよいし、一部のもの(例えば原木1の両端に対応するもの)のみに検出させてもよい。一方、図36に示すように、実施例1の装置150と同様の構成のX方向検知体171、シリンダ172及びX検知体測長器174を、検知体59等の他部材と干渉しない位置に設けることで、X方向の位置ずれ変位Uxを検出することも可能となる。このX方向検知体171も、実施例1と同様に、原木1の長手方向に所定の間隔で複数配置することができる。
【0093】
なお、複数の検知体59ないし171による変位UY 及びUxの検出値を使用する場合、それらを例えば原木1の長手方向における各検出位置Sと組にして、それぞれ2変数統計量(UY,S)及び(Ux,S)と表すことで最小2乗法により直線回帰を行い、原木1の両端位置における変位UYE 及びUxEをその回帰直線に基づいて算出することもできる。
【0094】
上記のように求められた旋削軸芯の座標値と仮軸芯とのX方向及びY方向の偏差を原木1の両端面ごとに求め、そのY方向成分及びX方向成分に、上記算出された原木の両端面における位置ずれ変位のY成分UYE及びX成分UxEを新たな偏差としてそれぞれ加算する。そして、X方向の偏差については左右の往復動機構のモータ89へ各別に出力し、案内87に沿って傾斜送り軸86により搬送爪70を前進させるとともに、エンコーダ70Aによって逐次検出した前進量を演算器100へ帰還させ、補正量を正確に制御する。また、Y方向の偏差については、左右の昇降機構のモータ83へ各別に出力し、案内81に沿って縦送り軸82により傾斜梁69を下降させるとともに、エンコーダ83Aによって逐次検出した下降量を演算器100へ帰還させ、補正量を正確に制御している。
【0095】
また、モータ83の駆動ユニット83aからの駆動電圧値は、原木1の重量に応じて変化するので、実施例1と同様にこれが演算器100に送信される。演算器100は、記憶器83bに格納された図39と同様の旋削保持ずれ量換算テーブルを参照して、ベニヤレースのスピンドルチャック68に原木1を装着したときに見込まれるずれ量(y方向下向きにβ(ただしβ>0)だけずれるとする)を予測し、該ずれが解消されるようにモータ83及び89を駆動して、原木1の位置を追加補正する。
【0096】
いま、図28において傾斜送り軸86の右下方向及び縦送り軸82の下方向をそれぞれ座標上の正方向とする。そして、左右に位置する各傾斜梁69の搬送爪70の待機原点が、傾斜送り軸86上の始端(上端)より少し手前に設定されている場合、すなわち、仮軸芯と旋削軸芯とのX座標上の負方向への偏差予測を加味した位置に各傾斜梁69が待機されている場合には、芯出しされた原木1の両端面の前記X方向の偏差に対して、各搬送爪70を別個独立にその待機原点よりその偏差分だけ正方向あるいは負方向へ、モータ89の駆動によって予め位置調整した後、各搬送爪70を定距離だけ送り軸86に沿って前進させればよい。また、搬送爪70の待機原点が傾斜送り軸86の始端(上端)位置に設定される場合は、予め定距離に対し偏差分だけ加算若しくは減算した距離だけ、各搬送爪70を別個独立して前進させる。
【0097】
一方、左右の傾斜梁69の待機原点が、縦送り軸82の上端より少し下がった位置、すなわち、仮軸芯と旋削軸芯とのY座標上の負方向への偏差予測を加味した位置に各傾斜梁69が待機していれば、芯出しされた原木1の両端面の前記Y方向の偏差に対して、各傾斜梁69を別個独立にその待機原点よりその偏差分だけ正方向あるいは負方向へ、モータ83の駆動によって予め昇降させた後、定距離だけ下降させればよい。また、各傾斜梁69の待機原点が縦送り軸82の上端位置であれば、予め定距離に対し偏差分だけ加算若しくは減算した距離だけ、各傾斜梁69を別個独立に下降させることになる。
【0098】
次に、各偏差の補正をまず前者の方式より具体的に説明する。いま仮に、仮軸芯Oを座標上の原点(0,0)とし、原木1の位置ずれに伴う偏差の寄与を加算した状態での、旋削軸芯Gの原木右端の座標値を(GRX,−GRY)、左端の座標値を(−GLX,GLY)とする。この場合、右搬送爪70は待機原点から(GRX)分だけ傾斜送り軸86上を後退し、また左搬送爪70は待機原点から(GLX)分だけ傾斜送り軸86上を前進し、その後、左右の搬送爪70は定距離前進する。一方、右傾斜梁69は待機原点から(GRY)分だけ縦送り軸82上を下降し、また左傾斜梁69は待機原点から(GLY)分だけ縦送り軸82上を上昇し、その後、左右の傾斜梁69は定距離下降する。これにより、原木1の求められた旋削軸芯Gは、ベニヤレースのスピンドル68の中心から、該スピンドル68への装着後に見込まれる旋削保持位置ずれを解消する変位分だけずれた位置に位置決めされることになる。
【0099】
これが後者の方式によれば、上例の各座標値を前提として、右搬送爪70の定距離前進量から(GRX)の距離分だけ減算し、また、左搬送爪70の定距離前進量に(GLX)距離分だけ加算し、算定後の各距離分だけ各傾斜送り軸86上を左右の搬送爪70を前進させることになる。一方、右傾斜梁69の定距離下降量に(GRY)の距離分だけ加算し、また、左傾斜梁69の定距離下降量から(GLY)の距離分だけ減算し、算定後の各距離分だけ各縦送り軸86上を左右の傾斜梁69を下降させる。これにより、原木1の求められた旋削軸芯Gは、ベニヤレースのスピンドル68の中心から、該スピンドル68への装着後に見込まれる旋削保持位置ずれを解消する変位分だけずれた位置に位置決めされる。
【0100】
従って、位置ずれに伴う偏差の寄与が加算された場合の旋削軸芯Gの座標値が(0,0)、すなわち、仮軸芯Oと同一であれば、右搬送爪70並びに左搬送爪70に関する各待機原点からの偏差補正は0であり、各傾斜送り軸86上の前進量は定距離となる。また、右傾斜梁69並びに左傾斜梁69も各待機原点からの偏差補正は0となり、各縦送り軸82上の下降量は定距離となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の装置全体の動きを模式的に示す説明図。
【図2】その受台の昇降機構の構成例を模式的に示す平面図及び側面図。
【図3】図1の装置の要部を示す側面図。
【図4】同じく把持ユニットの正面図。
【図5】図3とは反対側から見たときの把持ユニットの側面図及びその A−A、B−B断面図。
【図6】Y方向検知体の配置例を示す正面図及びX方向検知体の配置例を示す平面図。
【図7】図6の変形例を示す正面図及び平面図。
【図8】原木の位置ずれ量検出状態における各検知体の位置関係を示す側面図。
【図9】把持爪の斜視図及びその作用説明図。
【図10】把持爪のいくつかの変形例を示す説明図。
【図11】同じく別の変形例を示す説明図。
【図12】実施例1の装置の制御系を示すブロック図。
【図13】その処理の流れを示すフローチャート。
【図14】図13に続くフローチャート。
【図15】図14の旋削保持位置ずれ補正処理の詳細を示すフローチャート。
【図16】図1の装置の作動工程説明図。
【図17】図16に続く工程説明図。
【図18】図17に続く工程説明図。
【図19】図18に続く工程説明図。
【図20】図19に続く工程説明図。
【図21】図20に続く工程説明図。
【図22】位置ずれ量検出手段の変形例を示す模式図。
【図23】実施例2の全体の動きを模式的に示す説明図。
【図24】仮軸芯の算出手法の説明図。
【図25】図23の装置の詳細を示す平面図。
【図26】図23のE部の拡大正面図。
【図27】図23のF部の拡大平面図。
【図28】図23のG部の拡大側面図。
【図29】図28の側面図。
【図30】図27の拡大側面図。
【図31】実施例2の装置の制御系を示すブロック図。
【図32】最大内接円の算出の一例を概念的に示す説明図。
【図33】原木の仮軸芯と旋削軸芯との関係を概念的に示す説明図。
【図34】図32の別角度からみた説明図。
【図35】図32に対応する座標を概念的に示す説明図。
【図36】X方向検知体を併設した場合の側面模式図。
【図37】原木重量とモータの駆動電圧の関係、及びモータ駆動電圧の時間変化を模式的に示すグラフ。
【図38】原木をベニヤレースに装着したときに位置ずれが発生する様子を示す説明図。
【図39】旋削保持位置ずれ量換算テーブルのいくつかの例を示す説明図。
【図40】従来の芯出し装置の作動とその問題点を示す説明図。
【符号の説明】
1 原木
39 受台(補助保持手段)
59 検知体(輪郭検出手段、位置ずれ量検出手段)
70 把持爪、搬送爪(仮回転保持部)
150 補正装置
161 エアシリンダ(第二の測定部材)
163 測長器(受台側測長器)
164 Y方向検知体(位置ずれ量検出手段)
165 エアシリンダ(検知体付勢手段、第一の測定部材)
167 Y検知体測長器(位置ずれ量検出手段)
169 ベニヤレース
169a 鉋台
170 ベニヤレーススピンドル
171 X方向検知体(位置ずれ量検出手段)
172 エアシリンダ(検知体付勢手段)
174 X検知体測長器(位置ずれ量検出手段)
175 把持ユニット(原木保持手段)
195 トラバーサ(原木搬送手段)
204 Y移動機構(位置補正機構)
205 X移動機構(位置補正機構)
250 原木芯出し供給装置

Claims (15)

  1. 旋削軸芯位置で原木を保持するベニヤレースの旋削保持部と、前記旋削軸芯位置が位置決めされた原木を、その旋削軸芯位置から離れた原木両端面の保持位置において保持しながら、当該原木を前記旋削保持部に向けて移動する原木保持手段とを備え、
    その原木保持手段には、原木を保持するための把持ユニット有し、前記原木は補助保持手段によってその軸芯を所定高さに位置決めした状態で保持され、その補助保持手段が位置決めしている原木を前記原木保持手段の前記把持ユニットが前記保持位置で保持するときに生ずる原木の位置ずれ、及び前記補助保持手段の保持解除に伴う前記原木のその自重による位置ずれの少なくともいずれかを検出する位置ずれ量検出手段を備え、
    前記把持ユニットで保持したままの原木を上下方向と水平方向へ移動させる位置補正機構は、前記位置ずれ量検出手段で検出された位置ずれが縮小される方向に、前記把持ユニットを駆動して、当該原木を前記旋削軸芯位置において前記旋削保持部で保持させることを特徴とする原木の位置ずれ補正装置。
  2. 前記位置ずれ量検出手段は、前記原木保持手段によって前記保持位置で保持された前記原木の変位を、互いに異なる2以上の方向から検出するものとされ、
    前記位置補正機構は、その検出結果に基づいて、前記原木保持手段を互いに異なる2以上の方向に駆動することにより、前記原木の位置補正を行い、前記旋削保持部によって前記旋削軸心位置で保持させるものである請求項に記載の原木の位置ずれ補正装置。
  3. 補助保持手段が位置決めしている原木を前記原木保持手段が前記保持位置で保持することで、該原木はそれら原木保持手段と補助保持手段との双方によって保持された状態とされ、その後前記補助保持手段が保持状態を解除することで、前記原木は前記原木保持手段のみにより保持された状態へ移行するものである請求項に記載の原木の位置ずれ補正装置。
  4. 前記補助保持手段が原木を保持していた場所から、その下流側に設けられたベニヤレース内の旋削中心部まで、前記原木保持手段が原木を保持して、その原木保持手段とともに一体的に搬送する原木搬送手段を備え、
    前記位置補正機構は、前記原木保持手段と一体的に設けられて、前記補助保持手段が原木を保持していた場所から前記ベニヤレース内の旋削中心部に至る搬送経路上を前記原木が移動中に、当該原木の位置補正を行うものである請求項記載の原木の位置ずれ補正装置。
  5. 前記補助保持手段が原木を保持していた場所から、その下流側に設けられたベニヤレース内の旋削中心部まで、前記原木保持手段が原木を保持して、その原木保持手段とともに一体的に搬送する原木搬送手段を備え、
    前記位置補正機構は、前記原木保持手段と一体的に設けられており、
    該位置補正機構が前記原木の位置補正を行った後に、前記原木搬送手段が、前記補助保持手段が原木を保持していた場所から前記ベニヤレース内の旋削中心部への前記原木の搬送を開始する請求項記載の原木の位置ずれ補正装置。
  6. その軸断面形状がほぼ真円となるように予め加工された原木の、その断面径を検出する断面径検出手段を備え、
    前記補助保持手段は、その検出された断面径に基づいて定められる前記原木の軸芯が、前記ベニヤレースの旋削中心の高さとほぼ一致する高さで該原木を保持するとともに、
    前記断面径検出手段は前記位置ずれ量検出手段に兼用されており、前記原木の断面径を検出した後も、当該原木の位置を継続して検出することにより、前記補助保持手段が位置決めしている原木を前記原木保持手段が前記保持位置で保持する際に生ずる原木の位置ずれ、及び前記補助保持手段の保持解除に伴う前記原木のその自重による位置ずれの少なくともいずれかを検出するものとされている請求項ないしのいずれか1項に記載の原木の位置ずれ補正装置。
  7. 前記断面径検出手段は、
    前記原木の軸線と交差する向きにおいて、前記補助保持手段に保持された原木の側面に対し接近・離間可能に設けられた第一の測定部材と、
    前記原木の軸線を挟んで前記第一の測定部材と反対側に配置され、当該軸線と交差する向きにおいて前記原木の側面に対し、前記第一の測定部材と反対方向から接近・離間可能に設けられた第二の測定部材とを備え、
    前記第一の測定部材の移動経路上において、前記原木の側面から離間した所定の第一の基準位置から前記原木の側面に当接するまでの該第一の測定部材の移動距離と、前記第二の測定部材の移動経路上において、前記原木の側面から離間した所定の第二の基準位置から前記原木の側面に当接するまでの該第二の測定部材の移動距離とに基づいて前記断面径を検出するものである請求項記載の原木の位置ずれ補正装置。
  8. 前記原木をその両端面の仮軸芯位置において、該仮軸芯周りに回転可能に保持する前記補助保持手段としての仮回転保持部と、
    その仮回転保持部を介して前記原木をその輪郭検知のために前記仮軸芯周りに回転させる原木回転機構と、
    前記原木の外周に対応して設けられ、該原木の回転に従ってその断面輪郭を検出する輪郭検出手段と、
    その検出された断面輪郭の情報に基づいて、前記原木の旋削軸芯を演算する旋削中心演算手段と、
    その旋削軸芯が求められた後の原木の両端を前記仮回転保持部と干渉しない保持位置で保持する前記原木保持手段と、
    を含んで構成され、
    前記輪郭検出手段は前記位置ずれ量検出手段に兼用されており、前記原木の断面径を検出した後も、当該原木の位置を継続して検出することにより、前記仮回転保持部の保持解除に伴う前記原木の、その自重による位置ずれを検出するものとされ、
    また、前記位置補正機構は、前記原木をその旋削軸芯において前記ベニヤレースの旋削中心に装着するために、前記仮軸芯位置と前記求められた旋削軸芯位置との間の偏差と、前記自重による位置ずれとの双方が解消される方向に、該原木の位置補正を行うようになっている請求項記載の原木の位置ずれ補正装置。
  9. 前記位置ずれ量検出手段は、検知体付勢手段により原木側に付勢された状態で当該原木の外周面に当接する検知体を有し、前記原木が位置ずれを起こした場合には該検知体が原木に追従して移動するとともに、その検知体の移動量を測定することで、前記原木の位置ずれを検出するものである請求項2ないしのいずれか1項に記載の原木の位置ずれ補正装置。
  10. 前記位置補正機構は、
    前記原木を前記原木保持手段で保持するときの原木の前記保持位置と実際に保持する位置との間の位置ずれと、
    前記原木保持手段で保持した前記原木をその両端面においてその原木保持手段から前記ベニヤレースの前記旋削保持部に保持しなおしたときの、当該原木の前記旋削軸芯位置と原木を保持する位置との間の位置ずれとが、
    解消される方向に前記原木保持手段の前記把持ユニットを駆動して、当該原木を前記旋削軸芯位置において前記旋削保持部で保持させることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の原木の位置ずれ補正装置。
  11. 前記原木を把持爪で把持したときの位置ずれを、原木を前記原木保持手段の把持爪で把持して前記位置ずれ量検出手段で直接検出した後に、
    前記原木を把持爪で把持したとき同様の位置ずれが、原木を前記旋削保持部の把持爪で把持した時に発生すると予め予測して位置ずれ量を定める旋削保持位置ずれ量予測手段を備え、
    前記位置補正機構は、前記位置ずれ量検出手段が直接検出する位置ずれ量と、前記旋削保持位置ずれ量予測手段が予測する位置ずれ量との双方が減少する方向に、前記原木保持手段を駆動して、当該原木の位置補正を行うものとされている請求項10記載の原木の位置ずれ補正装置。
  12. 前記原木の重量を反映した情報(以下、重量反映情報という)を検出する重量反映情報検出手段を備え、
    前記旋削保持位置ずれ量予測手段は、前記旋削軸心位置からの位置ずれの量を予測するときに、少なくとも検出された重量反映情報を用いていることを特徴とする請求項11記載の原木の位置ずれ補正装置。
  13. 前記重量反映情報検出手段は、前記原木保持手段の前記位置補正機構の上下方向駆動手段が前記原木の位置決めのために該原木を重力に抗して上下移動させる際の、当該上下方向駆動手段の負荷を前記重量反映情報として検出するものである請求項12記載の原木の位置ずれ補正装置。
  14. 前記原木保持手段は、前記原木の両端面に対応して設けられ、各々その端面において前記原木に食い込むことにより、当該原木を把持する把持爪を含んで構成されている請求項1乃至13のいずれか1項に記載の原木の位置ずれ補正装置。
  15. 前記把持爪は筒状に形成されるとともに、その一方の端面外縁に沿って、鋭角断面を有する刃部が形成され、その刃部において前記原木に食い込むものとされている請求項14記載の原木の位置ずれ補正装置。
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