JP3978891B2 - 溶接用トーチ - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガスシ−ルド性が重要なガスシ−ルドア−ク溶接に用いるト−チに関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来の溶接用トーチとして、図８に示すようにノズル１０１内にシ−ルドガスが導入される所に円筒状のオリフィス１０２を配置し、シ−ルドガスの流れを整えるものが一般的であった。また、実公昭５３−１４６６９に示すようなノズル先端の内面にフィンを取り付けたものもあった。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これら従来の溶接用トーチでは、ノズル先端から出たガスが層流になりにくいため、ガスシ−ルドが不充分となり、改善が要望されていた。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明は、ワイヤをガイドするインナーチューブと、前記インナーチューブの外側に設けられておりチップを取り付けるためのチップボディーと、前記チップボディーの外側に設けられている絶縁体のオリフィスと、前記オリフィスの外側に設けられているノズルを有し、前記チップボディーはシールドガスを通すためのチップボディーのガス導入口を備え、前記オリフィスは前記シールドガスを通すためのオリフィスのガス導入口と前記オリフィスのガス導入口よりも前記ノズルの先端側にあるフィンを備え、前記オリフィスのガス導入口が設けられている部分の前記オリフィス外表面から前記ノズル内面までの距離と、前記フィンが設けられている部分の前記オリフィス外表面から前記ノズル内面までの距離とを同じにし、前記フィンは絶縁体からなり、前記フィンと前記ノズルの内面が接する溶接用トーチを提供するものである。
【０００８】
【発明の実施の形態】
ガスシ−ルドア−ク溶接に用いるト−チにおいて、ト−チ先端のノズル内にシ−ルドガスが導入され、シ−ルドガスがノズル先端から出るまでのガス経路として少なくともシ−ルドガスの流れを整えるフィン部及びフィン部を通過したガスがノズルから出るまでの整流部があるト−チにおいて、フィン部長さ、整流部長さ及びフィン部ノズル内径との関係、及びフィン部のガス経路断面積及び整流部のフィン部直下の断面積との関係に着目し検討を重ねた結果、フィン及びノズルは長いほどガスを層流に整える効果が高くなり、それらはフィン部のノズル内径と密接な関係があることがわかった。
【０００９】
更にガス流は同一流量でガスの流れる断面積が変化するとガス流速が変わるため、フィン部近辺のガス経路における断面積の変化量がシ−ルドガスの整流化に密接な関係があることがわかった。
【００１０】
これらの検討の結果発明者らは、（数３）式に示される各部の関係を満たすことにより、ノズルから出たシ−ルドガスを層流にし、ガスシ−ルド性を良くすることを見いだした。
【００１１】
更に、フィン部のガス経路断面積をＳ１及び整流部のオリフィス直下の断面積をＳ２としたときの関係が（数４）式の通りであることが、ノズル先端から出たガスの流れを層流にし、ガスシ−ルド性を非常に良くするのに有効であることを見いだした。
【００１２】
（実施の形態１）
以下、本発明の実施の形態の例について説明する。
【００１３】
図１において、１はノズル、２はフィンを有する絶縁体のオリフィス、２ａはフィン、２ｂはオリフィスのガス導入口、３はチップを取り付ける導電体のチップボディ、３ａはチップボディのガス導入口、４は導電体のチップ、５はワイヤをガイドするインナ−チュ−ブ、６はノズルを通電部から絶縁する絶縁筒を示す。
【００１４】
表１に示す構成で表２に示す条件で溶接をした時のガスシ−ルド性の結果を図４に示す。斜線部が本発明の条件である。本発明の条件では良い結果が得られた。評価は、ビ−ド両端のクリ−ニング幅とノズル先端から出たシ−ルドガスの流れ方を総合して評価した。
【００１５】
【表１】

【００１６】
【表２】

【００１７】
（実施の形態２）
表３に示す構成で、表２に示す条件で溶接した結果を図５に示す。斜線部が本発明の条件である。本発明の条件では非常に良い結果が得られた。評価は、ビ−ド両端のクリ−ニング幅とノズル先端から出たシ−ルドガスの流れ方を総合して評価した。
【００１８】
【表３】

【００１９】
ノズル先端から出たシ−ルドガスの流れ方が良い状態を図６に、悪い状態を図７に示す。
【００２０】
なお、フィンの形状及び個数は（実施の形態１）記載の形状に限るものではなく、図２に示すようなものや、図３に示すようにパイプに貫通穴を開けた特殊な形状をしていても良い。また、フィン部、整流部長さのガスシ−ルド性における上限はないが、経済性、溶接用ト−チの作業性の点からＬ１≦１５０ｍｍ、Ｌ２≦３０ｍｍが望ましい。
【００２１】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、ガスシ−ルドア−ク溶接に用いるト−チにおいて、ト−チ先端のノズル内にシ−ルドガスが導入され、シ−ルドガスがノズル先端から出るまでのガス経路として少なくともシ−ルドガスの流れを整えるフィン部及びフィン部を通過したガスがノズルから出るまでの整流部があるト−チにおいて、フィン部長さ、整流部長さ及びフィン部ノズル内径との関係、及びフィン部のガス経路断面積及び整流部のフィン部直下の断面積との関係を（数３）（数４）に示す適正な関係にすることにより、ノズルから出たシ−ルドガスが層流になり、健全なガスシ−ルドが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施の形態１における溶接用ト−チ詳細図
【図２】本発明の他の実施の形態におけるフィン形状の一例を示す図
【図３】本発明の他の実施の形態におけるフィン形状の一例を示す図
【図４】フィン部及び整流部長さとノズル内径の比を変化させたときのガスシ−ルド性を示す図
【図５】フィン部及びオリフィス直下のガス経路断面積比を変化させたときのガスシ−ルド性を示す図
【図６】本発明におけるノズル先端から出たシ−ルドガスの流れ方が良い状態を示す写真
【図７】ノズル先端から出たシ−ルドガスの流れ方が悪い状態を示す写真
【図８】従来の溶接用トーチの断面図
【符号の説明】
１ ノズル
２ フィンを有する絶縁体のオリフィス
２ａ フィン
２ｂ オリフィスのガス導入口
３ チップを取り付ける導電体のチップボディ
３ａ チップボディのガス導入口
４ 導電体のチップ
５ ワイヤをガイドするインナ−チュ−ブ
６ ノズルを通電部から絶縁する絶縁筒

Claims (1)

1. ワイヤをガイドするインナーチューブと、前記インナーチューブの外側に設けられておりチップを取り付けるためのチップボディーと、前記チップボディーの外側に設けられている絶縁体のオリフィスと、前記オリフィスの外側に設けられているノズルを有し、前記チップボディーはシールドガスを通すためのチップボディーのガス導入口を備え、前記オリフィスは前記シールドガスを通すためのオリフィスのガス導入口と前記オリフィスのガス導入口よりも前記ノズルの先端側にあるフィンを備え、前記オリフィスのガス導入口が設けられている部分の前記オリフィス外表面から前記ノズル内面までの距離と、前記フィンが設けられている部分の前記オリフィス外表面から前記ノズル内面までの距離とを同じにし、前記フィンは絶縁体からなり、前記フィンと前記ノズルの内面が接する溶接用トーチ。

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