JP3978623B2 - 多層配線板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フリップチップ技術を用いて電子部品を搭載される多層配線板に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器の発達にともない、電子機器の高性能化はもとより、配線板と電子部品とからなる回路板の小型化、軽量化の要求はますます厳しくなっている。これまで、スルーホールを設けた配線板にDIPパッケージやPGAパッケージなどを実装していた方式から表面に接続用の回路を設けた配線板にQFPパッケージやBGAパッケージなどを実装する方式に進化してきた。これは、後者の方が、配線板のデッドスペースが小さくなり、高密度実装が可能なこと、パッケージ自身が小型化、高性能化しやすいことによる。しかし、電子機器の発達は留まることを知らず、電子機器の高性能化と回路板の小型化、軽量化の両立は今でも大きな課題となっている。
【0003】
その解決方法の一つとして、半導体チップをパッケージングせずに、直接配線板に搭載する方法が注目を浴びている。この方法は半導体チップと配線板の接合の仕方により大きく2つに分かれる。一つはこれまでパッケージングの技術で汎用的に用いられてきたワイヤボンディングを用いる方法、もう一つはバンプ接続を用いる方法である。後者は一般的にフリップチップ接続と呼ばれ、エリアアレイ状に電極を形成できるので多ピン化が容易なこと、信号パス経路が短く電気特性が良好なことから、今後の普及の拡大が見込まれている。
【0004】
これまで、フリップチップ実装用配線板としては高価なセラミック配線板が主流であった。これは、ガラスエポキシ基板を代表とする有機材料配線板を用いると、その熱膨張率(15〜20ppm/℃)と半導体チップの熱膨張率(10ppm/℃未満)の差が大きいために熱サイクルによる疲労破壊が起こりやすく、接続信頼性が低いためであった。
最近、フリップチップ実装した半導体チップと配線板の間をアンダーフィルと呼ばれる樹脂で充填することにより、安価な有機材料配線板でも十分な接続信頼性を確保できるようになった。これは、アンダーフィルにより、バンプにかかる応力が分散され、応力集中が回避されるためと考えられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、アンダーフィルと有機材料配線板を用いる方法は高価なセラミック配線板を用いることに対するコストメリットはあるものの、材料や実装工程を増やし、安価な有機材料配線板のコストメリットを活かしきれず、十分な接続信頼性を確保できる安価なフリップチップ実装システム、材料が求められていた。
以上述べたように、従来技術では、安価なフリップチップ実装を行うことのできる多層配線板は見当たらず、本発明は、アンダーフィルなどの特殊な材料を用いることなく、接続信頼性の高いフリップチップ実装を行なうことのできる多層配線板を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、多層配線板の配線最外層の内側にありかつその配線最外層に接する絶縁層材料が樹脂と無機フィラーを必須として含み、その樹脂単体の硬化物の25℃における引張り弾性率が700MPa以下で、かつ無機フィラー1g当たりの表面積が5.0m2/g以下である絶縁層材料を用いた多層配線板である。そして、絶縁層材料に含まれる無機フィラーが、絶縁層材料100体積部に対して10〜50体積部であること、無機フィラーが、少なくともシリカを含むものであること、無機フィラー100重量部に対して、カップリング剤0.5〜10重量部を含むものであると好ましいものである。また、絶縁層材料の樹脂が、(a)アクリロニトリル18〜40重量%、官能基モノマーとしてグリシジル(メタ)アクリレート2〜6重量%及び残部がエチル(メタ)アクリレート若しくはブチル(メタ)アクリレートまたは両者の混合物から得られる共重合体で、Tg(ガラス転移点)が−10℃以上でかつ重量平均分子量が10万以上であるエポキシ基含有アクリルゴムを必須成分と含むこと、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂の硬化剤、エポキシ基含有アクリルゴムを必須成分として含むこと、前記(a)エポキシ基含有アクリルゴム100重量部、(b)エポキシ樹脂及びその硬化剤を合わせて50〜70重量部及び(c)硬化促進剤0.1〜5重量部を含むこと、さらに前記(a),(b),(c)に加えて、(d)エポキシ樹脂と相溶性でありかつ重量平均分子量3万以上の高分子量樹脂1〜60重量部または(e)エポキシ樹脂と非相溶性である重量平均分子量3万以上の高分子量樹脂1〜50重量部を含むこと、前記(d)が、フェノキシ樹脂,カルボキシル基含有アクリロニトリルブタジエンゴム,重量平均分子量が3万〜8万の高分子量エポキシ樹脂及び重量平均分子量が8万より大きい超高分子量エポキシ樹脂から選ばれた1種以上であること、無機イオン吸着剤または銅害防止剤を0.5〜10重量部を含むと好ましいものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明は、フリップチップ実装用の多層配線板の配線最外層である配線パターン層の内側にある配線パターンに接する絶縁層材料が樹脂と無機フィラーを必須として含み、その樹脂単体の硬化物の25℃における引張り弾性率が700MPa以下で、かつ無機フィラー1g当たりの表面積が5.0m2/g以下である絶縁層材料を用いた多層配線板である。
【0008】
フリップチップ実装において、その接続信頼性を向上させるためには、半導体チップとそれが搭載される配線板の熱膨張率差を小さくすることが一般的である。これは、熱膨張率差を小さくすることで、発生する熱歪みを小さくし、熱歪みを小さくすることで、発生する熱応力を小さくできるためである。
【0009】
有機材料にシリカやアルミナなどの無機フィラーを添加することにより、その熱膨張率を下げることができる。しかし、このような方法では半導体チップに用いられているシリコンの熱膨張率まで下げることは不可能である。
【0010】
先に述べたように接続信頼性を向上させるためには熱応力を緩和させることが有効である。熱応力は接合状態の構造によっても違うが、熱歪みおよび材料の弾性率の増大にともなって大きくなる。このことは、熱歪みが一定の場合、弾性率の低い材料を用いた方が、接続信頼性が良好であることを示唆している。
したがって、低弾性率の絶縁材料を用いた有機材料配線板がフリップチップ実装用配線板に適していることがわかる。しかし、フリップチップ実装を行なうような配線板は非常に高密度であり、寸法精度も要求される。熱膨張率が大きい場合には寸法精度のばらつきが大きくなり、部品実装の位置ずれによって接続信頼性の低下をまねく。
【0011】
これまで述べてきたように、接続信頼性の高い実装基板には、低熱膨張率と低弾性率を備えた絶縁層材料を配線回路の下部に有する配線板が求められる。しかし、低熱膨張率と低弾性率の特性は一般的に相反するものであり、同時に満足する絶縁層材料を得ることは困難であった。
発明者らは、樹脂と無機フィラーからなる絶縁層材料について、鋭意検討を重ね以下のことを見い出した。
1.樹脂に配合する無機フィラーの種類が同じ場合、絶縁層材料の熱膨張率は無機フィラーの形状によらず、一定である。
2.無機フィラーの種類が同じでもその形状によって絶縁層材料の弾性率が異なり、球状無機フィラーなど単位重量あたりの表面積が小さい無機フィラーを用いた方が弾性率は低い。
熱膨張は樹脂に無機フィラーが均一に分散されていれば、樹脂の熱膨張と無機フィラーの熱膨張の和となり、樹脂と無機フィラーの体積分率によって決まるものである。すなわち、体積分率が一定ならば、無機フィラーの形状には依存しないものである。しかし、絶縁層材料中に歪みが発生した場合、樹脂と無機フィラーの界面に発生する応力の和は、樹脂と無機フィラーの界面の和が大きいほど大きくなる。すなわち、単位重量あるいは単位体積あたりの表面積が大きい無機フィラーを用いた場合の方がマクロ的には発生する応力が大きくなり、絶縁層材料の弾性率は上昇する。
したがって、低弾性率を有する樹脂に単位体積あたりの表面積が小さい無機フィラーを添加することにより、弾性率の上昇を抑えながら、熱膨張率を低減することが可能となる。
【0012】
発明者らは、種々の樹脂と無機フィラーについて検討を重ねた結果、樹脂単体の硬化物の室温(25℃)における引張り弾性率が700MPa以下であり、かつこの樹脂に1g当たりの表面積が5.0m2/g以下である無機フィラーを用い、好ましくは絶縁層材料100体積部に対し10〜50体積部配合することにより、接続信頼性に優れた多層配線板を得ることができた。
【0013】
樹脂単体組成としては、アクリロニトリル18〜40重量%、官能基モノマーとしてグリシジル(メタ)アクリレート2〜6重量%及び残部がエチル(メタ)アクリレートもしくはブチル(メタ)アクリレートまたは両者の混合物から得られる共重合体で、Tg(ガラス転移点)が−10℃以上でかつ重量平均分子量が10万以上であるエポキシ基含有アクリルゴムを必須成分として含み、この(a)エポキシ基含有アクリルゴム100重量部、(b)エポキシ樹脂及びその硬化剤を合わせて50〜70重量部及び(c)硬化促進剤0.1〜5重量部を含む、さらに、前記(a),(b)、(c)に(d)エポキシ樹脂と相溶性でありかつ重量平均分子量3万以上の高分子量樹脂1〜60重量部または(e)エポキシ樹脂と非相溶性である重量平均分子量3万以上の高分子量樹脂1〜50重量部を含むと好ましい。また、無機フィラーは、1g当たりの表面積が5.0m2/g以下であれば特に限定するものではなく、シリカやアルミナなどの無機フィラーを用いることができる。特にシリカを含むものであるとより好ましい。
【0014】
本発明において、エポキシ基含有アクリルゴムは、アクリロニトリル18〜40重量%、官能基モノマーとしてグリシジル(メタ)アクリレート2〜6重量%及び残部がエチル(メタ)アクリレート若しくはブチル(メタ)アクリレートまたは両者の混合物から得られる共重合体である。
本発明においては、この共重合体中のアクリロニトリルを18〜40重量%とすることが好ましく、18重量%未満では、本発明の樹脂を用いた絶縁層材料が積層した後の工程において使用される溶剤に樹脂が侵されてしまうという耐溶剤性が低くなり、40重量%を超えると、他の成分と相溶性が低下したり、重合が困難となる。
本発明においては、このエポキシ基含有アクリルゴムの重量平均分子量を、10万以上とし、80万以上とすることがさらに好ましい。この範囲とすることにより、シート状、フィルム状での強度や可とう性の低下、タック性の増大がなくなるからである。また、分子量が大きくなるにつれフロー性が小さく、回路充填性が低下するので、エポキシ基含有アクリルゴムの重量平均分子量は、200万以下とすることが望ましい。
【0015】
官能基モノマーには、グリシジルアクリレートやグリシジルメタクリレートを用いるが、カルボン酸タイプのアクリル酸や、水酸基タイプのヒドロキシメチル(メタ)アクリレートを構成成分に含むポリマーを用いると、架橋反応が進行しやすく、ワニス状態でのゲル化、Bステージ状態での硬化度の上昇による接着力の低下等の問題があるため好ましくない。
本発明においては、グリシジル(メタ)アクリレートの量を、2〜6重量%の範囲とする。必要な接着力を得るためは2重量%以上を必要とし、ゴムのゲル化を防止するためには6重量以下である必要がある。
残部には、エチル(メタ)アクリレート若しくはブチル(メタ)アクリレートまたは両者の混合物を用いるが、混合比率は、共重合体のTgを考慮して決定する。すなわち、Tgが−10℃未満であるとBステージ状態での絶縁層材料のタック性が大きくなり取扱性が悪化するので、−10℃以上となるような混合比率とする。このような混合比率は、実験によって求めることができる。例えば、アクリロニトリル、グリシジルメタアクリレート、エチルアクリレートの共重合体の場合、組成比(重量%)を30:3:67とすることによって、Tgを−10℃とすることができる。
本発明においては、このエポキシ基含有アクリルゴムを、パール重合、乳化重合等の重合方法により得ることができる。
このようなエポキシ基含有アクリルゴムとしては、市販のものとして、HTR−860P−3(帝国化学産業株式会社製商品名)を使用できる。
【0016】
(b)のエポキシ樹脂としては、硬化して接着作用を呈するものであればよく、二官能以上で、分子量が5,000未満、好ましくは3,000未満のエポキシ樹脂が使用される。特に分子量が500以下のビスフェノールA型またはF型液状樹脂を用いると、積層時の流動性を向上することができて好ましい。 分子量が500以下のビスフェノールA型またはビスフェノールF型液状樹脂としては、市販のものとして、エピコート807、エピコート827、エピコート828(いずれも油化シェルエポキシ株式会社製商品名)、D.E.R.330、D.E.R.331、D.E.R.361(いずれも、ダウケミカル日本株式会社製商品名)、YD8125、YDF170(いずれも、東都化成株式会社製商品名)等を使用できる。また、難燃化を図ることを目的に、Br化エポキシ樹脂、非ハロゲン系の難燃性エポキシ樹脂等を使用してもよく、市販のものとして、ESB400(住友化学工業株式会社製商品名)を使用できる。
【0017】
さらに、低熱膨張化、高Tg化を目的に多官能エポキシ樹脂を加えてもよく、このような多官能エポキシ樹脂としては、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、サリチルアルデヒドノボラック型エポキシ樹脂が使用できる。
このような多官能エポキシ樹脂としては、市販のものとして、フェノールノボラック型エポキシ樹脂はEPPN−201(日本化薬株式会社製商品名)、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂はEOCN1012、EOCN1025、EOCN1027(いずれも、住友化学工業株式会社製商品名)、N−673−80M(大日本インキ化学工業株式会社製商品名)、ナフタレン型エポキシ樹脂はHP−4032(大日本インキ化学工業株式会社製商品名)、サリチルアルデヒドノボラック型エポキシ樹脂はEPPN502(日本化薬株式会社製商品名)等を使用できる。
【0018】
エポキシ樹脂の硬化剤は、フェノール性水酸基を1分子中に2個以上有する化合物である、フェノールノボラック樹脂、ビスフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、サリチルアルデヒドノボラック樹脂、ナフタレン型フェノール樹脂を用いるのが好ましい。吸湿時の耐電食性に優れるからである。
このような硬化剤としては、市販のものとして、フェノライトLF2882、バーカムTD−2090、バーカムTD−2149、フェノライトVH4150、フェノライトVH4170(いずれも、大日本インキ化学工業株式会社製商品名)、NH−7000(日本化薬株式会社製商品名)等を使用できる。
【0019】
本発明においては、このような(b)エポキシ樹脂及びその硬化剤を、(a)エポキシ基含有アクリルゴム100重量部に対して、合わせて50〜70重量部とするものである。このエポキシ樹脂及びその硬化剤が、エポキシ基含有アクリルゴム100重量部に対して、50重量部未満では、接着性成分の減少による接着性の低下、樹脂流動性の低下による回路充填性の不良等を招きやすく、70重量部を超えると、弾性率が増大して発生する熱応力が大きくなり、接続信頼性の低下が起こる。また、可撓性成分比の減少により取扱性の低下をも招く。
【0020】
(c)硬化促進剤には、各種イミダゾール類を用いるのが好ましい。イミダゾールとしては、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート等が挙げられる。
このようなイミダゾール類としては、市販のものとして、2E4MZ、2PZ−CN、2PZ−CNS(四国化成工業株式会社製商品名)等を使用できる。
【0021】
本発明においては、この硬化促進剤を、(a)エポキシ基含有アクリルゴム100重量部に対して、0.1〜5重量部の範囲で使用し、0.1重量部未満であると、硬化反応の進行が遅く、絶縁層材料の硬化不足により、密着性等の特性の低下を招き、また、5重量部を超えると、ワニスなどの保存安定性が低下し、製品管理に支障をきたす。
【0022】
(d)のエポキシ樹脂と相溶性でありかつ重量平均分子量が3万以上の高分子量樹脂としては、フェノキシ樹脂、重量平均分子量が3万〜8万の高分子量エポキシ樹脂、重量平均分子量が8万より大きい超高分子量エポキシ樹脂、カルボキシル基含有アクリロニトリルブタジエンゴムなどの極性の大きい官能基含有ゴム等を使用できる。このうちで、極性の大きい官能基含有ゴムとは、アクリロニトリル−ブタジエンゴムやアクリルゴムに、カルボキシル基のような極性が大きい官能基を付加したゴムである。
【0023】
フェノキシ樹脂としては、フェノトートYP−40(東都化成株式会社製商品名)を使用できる。高分子量エポキシ樹脂、超高分子量エポキシ樹脂としては、市販のものとして、HME(日立化成工業株式会社製商品名)を使用できる。また、極性の大きい官能基含有ゴムとしては、市販のものとして、カルボキシル基含有アクリロニトリル−ブタジエンゴムのPNR−1(日本合成ゴム株式会社製商品名)、ニポール1072(日本ゼオン株式会社製商品名)等、カルボキシル基含有アクリルゴムのHTR−860P(帝国化学産業株式会社製、商品名)を使用できる。
【0024】
本発明においては、この(d)エポキシ樹脂と相溶性でありかつ重量平均分子量3万以上の高分子量樹脂を、(a)エポキシ基含有アクリルゴム100重量部に対して、1〜60重量部の範囲で用いることが好ましく、60重量部を超えると、エポキシ樹脂とエポキシ樹脂と相溶性のある高分子量樹脂の相の割合が大きくなり、(e)エポキシ樹脂と非相溶性の高分子量樹脂の柔軟な相の割合が少なくなることにより、弾性率が増大して発生する熱応力が大きくなり、接続信頼性の低下が起こる。
【0025】
(e)エポキシ樹脂と非相溶性でありかつ重量平均分子量が3万以上の高分子量樹脂としては、未変性アクリルゴム、極性の小さい官能基含有ゴムなどがあり、極性の小さい官能基含有ゴムとは、アクリロニトリル−ブタジエンゴムやアクリルゴムに、エポキシのような極性が小さい官能基を付加したゴムである。この(e)エポキシ樹脂と非相溶性でありかつ重量平均分子量3万以上の高分子量樹脂を、(a)エポキシ基含有アクリルゴム100重量部に対して、1〜50重量部の範囲で用いることが好ましく、1重量部未満では、配合効果が乏しく、50重量部を超えると、柔軟層が多くなり、エポキシ樹脂相が少なくなるため、熱膨張率が大きくなり寸法精度、接続信頼性の低下が起こる。
【0026】
(d)エポキシ樹脂と相溶性である高分子量樹脂および(e)エポキシ樹脂と非相溶性である高分子量樹脂の重量平均分子量は、いずれも3万以上である必要がある。エポキシ樹脂と相溶性の分子とエポキシ樹脂と非相溶性の分子とが互いに絡み合うことにより、相分離を防ぐためである。
【0027】
本発明においては、無機フィラー配合量が絶縁層材料(樹脂と無機フィラー成分の和)100体積部に対して、10〜50体積部であることが好ましい。10体積部未満であると、熱膨張率が大きいので寸法精度のばらつきが大きくなり、部品実装の位置ずれによって接続信頼性の低下が起こる。50体積部を超えると、弾性率が増大して発生する熱応力が大きくなり、接続信頼性が低下する。
無機フィラーには、1g当たりの表面積が5.0m2/g以下であれば特に限定するものではなく、電子部品の絶縁材料に一般的に用いられている無機フィラーであるシリカやアルミナなどを使用できる。また、無機フィラーの表面積がこの値を超えると、無機フィラーを配合した絶縁層材料の弾性率が急激に上昇し、半導体チップを実装した基板の接続信頼性が低下する。
シリカとしては、市販のものとして、クリスタライトVX−S、クリスタライトVX−S2、ピュアレックスPLV−6、ピュアレックスTSS−6、ピュアレックスPLV−4、ピュアレックスTSS−4(いずれも、株式会社龍森製商品名)、FB−301(電気化学工業株式会社製商品名)等を使用できる。
アルミナとしては、市販のものとして、UA−5050、UA−5055、UA−5035、UA−5025、AS−50(いずれも、昭和電工株式会社製商品名)、AKP−20(住友化学工業株式会社商品名)等を使用できる。
【0028】
本発明の絶縁層材料には、樹脂と無機フィラーの界面結合をよくするために、カップリング剤を配合することが好ましい。カップリング剤としては、シランカップリング剤が好ましい。
シランカップリング剤としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
【0029】
前記したシランカップリング剤は、市販のものとして、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランであるNUC A−187(日本ユニカー株式会社製商品名)、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランであるNUC A−189(日本ユニカー株式会社製商品名)、γ−アミノプロピルトリエトキシシランであるNUC A−1100(日本ユニカー株式会社製商品名)、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシランであるNUC A−1160(日本ユニカー株式会社製商品名)、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランであるNUC A−1120(日本ユニカー株式会社製商品名)が使用できる。
【0030】
本発明においては、このカップリング剤の配合量を、無機フィラー100重量部に対して、0.5〜10重量部の範囲とすることが好ましく、0.5重量部未満では、密着性向上の効果がなく、10重量部を超えると、耐熱性低下、コストの上昇など問題点を生ずる。
【0031】
さらに、イオン性不純物を吸着して、吸湿時の絶縁信頼性をよくするために、無機イオン吸着剤を配合することが好ましい。このような無機イオン吸着剤としては、単にイオンを吸着するものと、イオン交換反応を示す無機イオン交換体と、この両者の性質を併せ持つものとがある。
このように単にイオンを吸着するものとしては、多孔性固体の吸着性を利用して液体、固体から物質移動を行いイオンを分離する無機物質であり、耐熱性、耐薬品性に優れた活性炭、天然及び合成ゼオライト、シリカゲル、活性アルミナ、活性白土などが挙げられる。
【0032】
無機イオン交換体は、イオン交換反応により液体、固体からイオンを分離するものであり、合成アルミノケイ酸塩例えば合成ゼオライト、金属の含水酸化物、例えば水和五酸化アンチモン、多価金属の酸性塩、例えばリン酸ジルコニウムなどが挙げられる。シリカゲルや活性白土も無機イオン交換体として作用する。ハイドロタルサイトは、ハロゲンを捕捉することが知られており、無機イオン交換体の一種である。
【0033】
このような無機イオン吸着剤としては、市販のものとして、ジルコニウム系化合物を成分とするIXE−100(東亜合成化学工業株式会社製商品名)、アンチモンビスマス系化合物を成分とするIXE−600(東亜合成化学工業株式会社製商品名)、マグネシウムアルミニウム系化合物を主成分とするIXE−700(東亜合成化学工業株式会社製商品名)、ハイドロタルサイトであるDHT−4A(協和化学工業株式会社製商品名)を使用できる。
【0034】
この無機イオン吸着剤の配合は、樹脂100重量部に対して、0.5〜10重量部の範囲が好ましく、0.5重量部未満であると、吸湿時の絶縁信頼性を改善できず、10重量部を超えると、耐熱性の低下、コストの上昇等の問題点を生じる。
【0035】
本発明の絶縁層材料には、銅がイオン化して溶け出すのを防止するため、銅害防止剤を配合することが好ましい。銅害防止剤として知られる化合物、例えば、トリアジンチオール化合物、ビスフェノール系還元剤を配合する。ビスフェノール系還元剤としては、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−第3−ブチルフェノール)、4,4’−チオ−ビス−(3−メチル−6−第3−ブチルフェノール)が挙げられる。
【0036】
トリアジンチオール化合物を成分とする銅害防止剤としては、ジスネットDB(三協製薬株式会社製商品名)を、ビスフェノール系還元剤を成分とする銅害防止剤としては、ヨシノックスBB(吉富製薬株式会社製商品名)を市販品として使用できる。
【0037】
本発明の絶縁層材料の製造方法は、ワニスとしてから形成するのが一般的であり、樹脂と無機フィラー成分を溶剤に十分に分散できる混合方法ならば、特に制限はない。たとえば、プロペラ撹拌により、各樹脂を溶剤に溶解・分散してワニス状とした後に、ビーズミルを用いた混練により、無機フィラーと樹脂ワニスを混練することにより、樹脂と無機フィラーが十分に分散されたワニスを得ることができる。混練に用いる機械は、ビーズミルの他に3本ロールやらいかい機などが使用でき、これらを組み合わせてもよい。また、無機フィラーと低分子量成分とをあらかじめ混合した後、高分子量樹脂を配合することにより、混合に要する時間を短縮することが可能である。これらのワニスを作製した後、真空脱気により、ワニス中の気泡を除去することが望ましい。
【0038】
ワニス化の溶剤は、比較的低沸点の、メチルエチルケントン、アセトン、メチルイソブチルケトン、2−エトキシエタノール、トルエン、ブチルセルソルブ、メタノール、エタノール、2−エトキシエタノールなどを用いるのが好ましい。また塗膜性を向上するなどの目的で、高沸点溶剤を加えてもよい。高沸点溶剤としては、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、メチルピロリドン、シクロヘキサンなどが挙げられる。
【0039】
本発明の絶縁層材料は、Bステージ(半硬化状態)の接着フィルムとし、ワニスを基材上に塗布し、加熱して溶剤を除去して得ることができる。基材には、基材フィルムや金属箔を用いることができ、基材フィルムの場合、接着フィルムの保護を目的に基材フィルムと接する接着フィルム面と反対側に、カバーフィルムを使用してもよい。これらの基材フィルムは基板積層プレスの際に剥離されるものである。
基材フィルム及びカバーフィルムに用いるフィルムとしては、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッソ系フィルム、離型処理したポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリイミドフィルム等のプラスチックフィルムが使用できる。
プラスチックフィルムには、ポリイミドフィルムであるカプトン(東レ・デュポン株式会社製商品名)、アピカル(鐘淵化学工業株式会社製商品名)、ポリエチレンテレフタレートフィルムであるルミラー(東レ・デュポン株式会社製商品名)、ピューレックス(帝人株式会社製商品名)等が、市販のものとして使用できる。
【0040】
本発明では、基材として銅箔を用いてもよい。銅箔は基板との積層後に回路配線を形成する材料としてそのまま用いることができる。
銅箔には、市販のものとして、SDGR、SDGL(いずれも、日本電解株式会社製商品名)、TSA、GTS(いずれも、古河サーキットホイル株式会社製商品名)、JTC(日鉱グールドフォイル株式会社製商品名)等を使用できる。
【0041】
本発明における絶縁層材料に用いる樹脂硬化物は、その引張り弾性率が、25℃において、700MPa以下であることが必要である。この値を超えると、無機フィラー配合後の弾性率上昇により、半導体チップを実装した基板の接続信頼性が低下する。無機フィラーの配合量により、適切な弾性率を有する樹脂硬化物を用いる必要がある。例えば、無機フィラーを多量に添加する場合には、弾性率の上昇が大きいので、弾性率の低い樹脂硬化物を用いなければならない。
なお、ここで、引張り弾性率とは、長さ100mm、幅10mm、厚み50〜200μmのフィルム状の試料を、チャック間距離50mm、引張り速度50mm/分で室温(25℃)において引張り試験を行い得られた引張り弾性率の値である。
【0042】
本発明の多層配線板は、絶縁層材料が多層配線板の配線最外層の内側となるように、前記した基材フィルム上に形成されているBステージの接着フィルムであれば、コア基板となる回路板の少なくとも片面に、銅箔とコア基板に挟んで、また、銅箔上に形成されているものであればそのままコア基板と重ね、一般的な多層配線板の積層方法を用いて、加熱加圧して積層一体化して多層基板を得る。このようにして得られた積層後の多層基板に、ドリルを用いて貫通孔を開けたり、レーザを用いて非貫通孔を設け、銅めっき等の導電材料による層間接続を行い、最外層の回路形成を行って、多層配線板を製造する。
多層配線板のコア基板となる回路板には、FR−4、SEM−3等の一般的な銅張積層基板を用いることができる。
銅張積層基板としては、市販のものとして、MCL−E−65、MCL−E−67、MCL−E−679(いずれも日立化成工業株式会社製商品名)等を使用することができる。
以下に、本発明を実施例によって具体的に説明する。
【0043】
【実施例】
(絶縁層材料となる接着フィルムの作製)
実施例及び比較例に用いた絶縁層材料となる接着フィルムの組成を表1にまとめて示す。表1に示す組成中で、硬化促進剤、カップリング剤及び無機フィラーを除いたもの200gを、1.0リットルのメチルエチルケトンに加え、混合し均一に溶解させた。この樹脂とメチルエチルケトンからなるワニスに、カップリング剤及び無機フィラーを加え、ビーズミル混練した。最後に、硬化促進剤を添加し、真空脱気してワニスを調整した。このワニスを基材で示したプラスチックフィルム、または銅箔上に流延した後、140℃で5分間加熱乾燥し、厚さ50μmの半硬化状の絶縁層材料となる接着フィルムを作製した。
尚、各組成の物質名および基材フィルムは、以下の通りである。
(a)エポキシ基含有アクリルゴム
HTR−860P−3(帝国化学産業株式会社製商品名分子量、100万)
(b)エポキシ樹脂
・ビスフェノールA型エポキシ樹脂;
エピコート828(油化シェルエポキシ株式会社製商品名)
YD1825(東都化成工業株式会社製商品名)
.多官能エポキシ樹脂
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂;
ESCN001(住友化学工業株式会社製商品名)
N−673−80M(大日本インキ化学工業株式会社製商品名)
サリチルアルデヒドノボラック型エポキシ樹脂;
TACTIX742(ダウケミカル社製商品名)
EPPN502(日本化薬株式会社製商品名)
ナフタレン骨格型エポキシ樹脂;
NC7000(日本化薬株式会社製商品名)
・難燃化エポキシ樹脂;
ESB−400(住友化学工業株式会社製商品名)
・硬化剤
ビスフェノールAノボラック樹脂;
フェノライトLF2822(大日本インキ化学工業株式会社製商品名)
フェノライトLF2882(大日本インキ化学工業株式会社製商品名)
ナフタレン骨格樹脂;
NH7000(日本化薬株式会社製商品名)
(c)硬化促進剤
1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール;キュアゾール2PZ−CN(四国化成工業株式会社製商品名)
(d)エポキシ樹脂と相溶性でありかつ重量平均分子量3万以上の高分子量樹脂
・フェノキシ樹脂;
YP−50(東都化成工業株式会社製商品名、分子量5万)
(e)エポキシ樹脂と非相溶性でありかつ重量平均分子量3万以上の高分子量樹脂
・エポキシ基含有アクリルゴム;
SG80−H(帝国化学産業株式会社製商品名、分子量35万)
(f)無機フィラー
・シリカフィラー;
ピュアレックスPLV−4(表面積4.5m2/g、株式会社龍森製商品名)
ピュアレックスTSS−4(表面積2.5m2/g、株式会社龍森製商品名)
FB−301(表面積4.6m2/g、電気化学工業株式会社商品名)
SO−25R(表面積7.0m2/g、株式会社龍森製商品名)
・アルミナフィラー;
UA−5055(表面積5.0m2/g、昭和電工株式会社製商品名)
AS−50(表面積2.0m2/g、昭和電工株式会社製商品名)
UA−5105(表面積10.0m2/g、昭和電工株式会社製商品名)
(g)カップリング剤
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン;
NUC A−187(日本ユニカー株式会社製商品名)
(h)無機イオン吸着剤
アンチモンビスマス系化合物;
IXE−600(東亜合成化学工業株式会社製商品名)
(i)銅害防止剤
ビスフェノール系還元剤;
ヨシノックスBB(吉富製薬株式会社製商品名)
(j)溶剤
メチルエチルケトン
(k)基材フィルム
プラスチックフィルム;
ピューレックス(帝人株式会社製商品名)
銅箔;
TSA (古河サーキットホイル株式会社製商品名、18μm)
【0044】
実施例1〜20、参考例1〜4
銅箔厚18μm、板厚0.6mmの両面銅箔張ガラスエポキシ積層基板MCL−E−679(日立化成工業株式会社製商品名)の表面にエッチングレジストを形成し、不要な銅箔をエッチング除去して、回路パターンを有する回路板を作製した。この回路板の回路表面には、常法により次亜塩素酸ナトリウムを主成分とする黒化処理と、ジメチルアミノボランを主成分とする還元処理によって、粗化処理を行った。基材が基材フィルムの場合には、18μm銅箔TSA/表1,表2の接着フィルム/回路板/表1、表2の接着フィルム/18μm銅箔TSA、基材が銅箔の場合には、表1、表2の銅箔付接着フィルム/回路板/表1、表2の銅箔付接着フィルムの順に重ね、170℃、2.5MPa、60分間のプレス条件で、加熱加圧し積層一体化し多層基板を得た。基材は表1中に○印で示したものである。この多層基板に、0.5mmのドリルで穴開けをし、常法により洗浄、触媒付与、密着促進処理後無電解銅めっきを行い、スルーホール内壁と銅箔表面に約20μmの無電解銅めっき層を形成した。この多層基板の表面にパッドや回路パターンなどを形成するためにエッチングレジストを形成し、不要な銅をエッチング除去して、図1に示すような多層配線板を作製した。スクリーン印刷により、接続パッドパターンの部分にはんだペーストを印刷し、半導体チップを位置合わせして配置した後、IRリフローを用いてはんだを溶融させて、半導体チップを多層配線板にフリップチップ実装し、実装多層配線板を得た。
【0045】
比較例1〜7
接着フィルムに表2中の比較例に示す組成比のものを用いた他は、実施例と同様の条件で実装多層配線板を作製した。
【0046】
試験方法は以下の通りである。
(樹脂単体の硬化物の引張り弾性率)
無機フィラーを除く、組成を1.0リットルのメチルエチルケトンに、200gを加え、これを混合し、均一に溶解させ、真空脱気してワニスを調整した。このワニスを基材フィルム(ピューレックス)に流延した後、140℃で5分間加熱乾燥し、厚さ50μmの半硬化状の接着フィルムを作製した。さらにこの接着フィルムを170℃で1時間硬化させ、樹脂単体の硬化物を作製した。
引張り弾性率は、オートグラフAG−100C(株式会社島津製作所製商品名)を用いて、長さ100mm、幅10mm、厚さ50μmのフィルム状の試料を、チャック間距離50mm、引張り速度50mm/分で室温(25℃)において引張り試験を行い伸びと荷重から引張り弾性率の値を求めた。
【0047】
(接続信頼性)
実施例、比較例で作製した実装多層配線板を、熱衝撃試験で評価した。気相で行う熱衝撃試験機を用い、試験条件は、−55℃の低温雰囲気に30分間放置し、その後125℃の高温雰囲気に30分間放置する工程を1サイクルとした。低温雰囲気から高温雰囲気に変わるとき、及びその逆のときには、室温雰囲気に5分間放置した。100サイクル毎に接続部の導通抵抗を測定し、初期値から10%以上上昇したところを終点とした。評価は、終点が500サイクル以上のものを良好とし○で示した。また、500サイクル未満ののものを不良とし×で示した。
【0048】
(多層配線板のはんだ耐熱性)
実施例、比較例で作製した実装多層配線板を、288℃のはんだ浴に20秒間フロートした後、室温まで冷却し、はんだ耐熱性試験を行った。はんだ耐熱性試験後、試料を切断し、その断面を、倍率50〜100倍の顕微鏡で観察し、多層配線板内部に剥離やボイドの発生がない場合を良好とし○で示した。剥離やボイドの発生がある場合を不良とし×で示した。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
実施例1〜24は、いずれも、樹脂単体の硬化物の引張り弾性率が700MPa以下で、かつ無機フィラー1g当たりの表面積が5.0m2/g以下である多層配線板の配線最外層に接する絶縁層材料を有する多層配線板である。これらを用いた実装多層配線板はいずれも接続信頼性に優れている。さらに、これらの多層配線板は、はんだ耐熱性にも優れている。
【0052】
比較例1は、低弾性率成分となるエポキシ基含有アクリルゴムが少ないために樹脂単体の引張り弾性率が高く、接続信頼性に劣る。比較例2は、低弾性率成分となるエポキシ基含有アクリルゴムが多いために回路充填性が悪く、はんだ耐熱性に劣る。比較例3は、エポキシ樹脂と相溶性でありかつ重量平均分子量3万以上の高分子量樹脂であるフェノキシ樹脂量が多いために樹脂単体の弾性率が高く、接続信頼性に劣る。比較例4および比較例5は、無機フィラーの表面積が大きいため、接続信頼性に劣る。比較例6は無機フィラーが添加されていないため、接続信頼性に劣る。比較例7は、無機フィラー配合量が多いため、接続信頼性に劣る。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明により、接続信頼性に優れたフリップチップ実装基板を得ることのできる多層配線板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例の一部の構造を示す斜視断面図である。
【符号の説明】
1.絶縁層材料
2.回路板
3.貫通孔
4.接続パッドパターン
Claims (7)
- 多層配線板の配線最外層の内側にありかつその配線最外層に接する絶縁層材料が樹脂と無機フィラーを必須として含み、その樹脂単体の硬化物の25℃における引張り弾性率が700MPa以下で、かつ無機フィラー1g当たりの表面積が5.0m2/g以下である絶縁層材料を用いた多層配線板であって、配線最外層に接する絶縁層材料の樹脂が、(a)アクリロニトリル18〜40重量%、官能基モノマーとしてグリシジル(メタ)アクリレート2〜6重量%及び残部がエチル(メタ)アクリレート若しくはブチル(メタ)アクリレートまたは両者の混合物から得られる共重合体で、Tg(ガラス転移点)が−10℃以上でかつ重量平均分子量が10万以上であるエポキシ基含有アクリルゴム100重量部、(b)エポキシ樹脂及びその硬化剤を合わせて50〜70重量部及び(c)硬化促進剤0.1〜5重量部を含む多層配線板。
- 多層配線板の配線最外層の内側にありかつその配線最外層に接する絶縁層材料に含まれる無機フィラーが、絶縁層材料100体積部に対して10〜50体積部である請求項1に記載の多層配線板。
- 多層配線板の配線最外層の内側にありかつその配線最外層に接する絶縁層材料の無機フィラーが、少なくともシリカを含むものである請求項1または請求項2に記載の多層配線板。
- 絶縁層材料の樹脂が(a)、(b)、(c)に加えて(d)エポキシ樹脂と相溶性でありかつ重量平均分子量3万以上の高分子量樹脂1〜60重量部または(e)エポキシ樹脂と非相溶性である重量平均分子量3万以上の高分子量樹脂1〜50重量部を含む請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の多層配線板。
- 請求項4に記載の(d)エポキシ樹脂と相溶性でありかつ重量平均分子量3万以上の高分子量樹脂が、フェノキシ樹脂、カルボキシル基含有アクリロニトリルブタジエンゴム、重量平均分子量が3万〜8万の高分子量エポキシ樹脂及び重量平均分子量が8万より大きい超高分子量エポキシ樹脂から選ばれた1種以上である請求項4に記載の多層配線板。
- 多層配線板の配線最外層の内側にありかつその配線最外層に接する絶縁層材料の無機フィラー100重量部に対して、カップリング剤0.5〜10重量部を含む請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の多層配線板。
- 多層配線板の配線最外層の内側にありかつその配線最外層に接する絶縁層材料の樹脂100重量部に対して無機イオン吸着剤または銅害防止剤を0.5〜10重量部を含む請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の多層配線板。
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