JP4123543B2 - 回路板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、実装用基板とそれに搭載された電子部品と両者を固定する接着剤とからなる回路板に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、半導体チップをフェイスダウンボンディング方式により直接実装用基板に実装する方法として、半導体チップの電極部分にはんだバンプを形成し実装用基板にはんだ接続するフリップチップ方式や、半導体チップに設けた突起電極に導電性接着剤を塗布し実装用基板電極に接着する接続方法が用いられている。
【0003】
また、半導体チップや電子部品と実装用基板とを機械的な電極接続により電気的に接続する方法として、導電粒子を分散させた異方導電性接着剤がある。この異方導電性接着剤は、接着フィルムを電子部品と電極や回路の間に設け、加圧または加熱加圧手段を構じることによって、両者の電極同士が電気的に接続されると共に、隣接電極間の絶縁性を付与して、電子部品と回路とが接着固定されるものである。この機械的な電極接続による実装方法は、現在ガラス基板で適用されているほか、汎用性の高いガラスクロス補強樹脂製の配線板に適用する検討が進められている。
【0004】
さらに,半導体チップ等の電子部品と実装用基板とを機械的な電極接続により電気的に接続する方法として、半導体チップの電極に金バンプを形成し,実装用基板側の金電極と機械的に接触させると共に熱硬化性もしくは光硬化性接着剤により保持固定化する方法も提案されている。
実装用基板として用いられるガラスクロス補強樹脂製の配線板は、配線密度に優れ、かつ経済的に多層配線化でき、配線板材料としてもっとも一般的に利用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来のFR−4グレードのガラスクロス補強樹脂製配線板には、ガラスクロスが補強材として入っていることから、表面に形成された電極の表面は、ガラスクロスの織りに沿って周期的な凹凸を有していた。また、電子部品の接続電極(バンプ等)には、製造時の高さのばらつきがあった。したがって、これらを接続する場合、接続電極及び配線板表面の高さにばらつきが生じて接続信頼性が低下するという課題があった。特に、熱衝撃等が加わった場合、材料の熱膨張率の差から、電子部品と配線板の回路部との接続部に空隙を生じ、接続不良を発生することがあった。
【0006】
これを回避するためには電子部品と配線板回路との間に常に圧縮応力が働いていることが好ましく、電子部品と配線板回路を常に押しつけるような装置を設置することが考えられるが、コストの上昇、実装面積の増大をもたらすという課題がある。
【0007】
本発明は、接続信頼性に優れた回路板を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の回路板は、実装用基板とそれに搭載された電子部品と両者を固定する接着剤とからなる回路板であって、実装用基板の表面に電子部品の接続電極に対応して形成された接続用ランドと該電子部品の接続電極とが電気的に接続され、前記実装用基板が、内層絶縁層と、接続用ランドを支える外層絶縁層とを有し、実装用基板とそれに搭載された電子部品とを接着固定を行う温度での、該外層絶縁層の圧縮永久ひずみ量が、20%以下であることを特徴とする。
【0009】
本発明でいう圧縮永久ひずみ量は、JIS K6301に規定される圧縮永久ひずみ量をいい、その測定は、下記のようにして行うことができる。
1)外層絶縁層となる接着フィルムを厚さ12.7mm厚に積層したものを円形回転刃を用いて内径28.7mmの円盤状に切り抜く。
2)2枚の圧縮板と圧縮板を固定するためのボルト及びナット並びにスペーサーからなる圧縮装置を用いて試験片の厚さの5%圧縮し、170℃70時間後に取り出し厚さを測定する。
3)圧縮永久ひずみ量を、測定結果から次式によって計算する。
圧縮永久ひずみ量=(t0−t1)/(t0−t2)×100
t0:試験片の原厚(mm)
t1:試験片を圧縮装置から取り出した30分後の厚さ(mm)
t2:スペーサーの厚さ(mm)
【0010】
【発明の実施の形態】
(外層絶縁層)
本発明の実装用基板の外層絶縁層の弾性率は、実装用基板とそれに搭載された電子部品とを固定する温度で、0.1MPa〜10000MPaの範囲であることが好ましく、0.1MPa未満であると、電子部品の接着固定時の圧力により、絶縁層が変形し厚さが薄くなるため、絶縁性が悪化するため好ましくなく、10000MPaを超えると、電子部品の接着固定時の圧力による絶縁層の変形量が少なく、バンプの高さのばらつきに絶縁層が追従しないため、バンプと配線板回路との良好な接触が得られないため、バンプと基板との接続信頼性が十分でない。
本発明でいう弾性率は、DVE引っ張り法による貯蔵弾性率をいい、例えば、レオロジ株式会社製のレオスペクトラDVE−4(商品名)を、引っぱりモード、周波数10Hz、5℃/分で昇温して測定できる。
【0011】
このような絶縁材料としては、エポキシ樹脂、高分子量エポキシ樹脂、アクリルゴム、官能基含有アクリルゴム、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂,変性ポリフェニレンエーテル樹脂,フェノキシ樹脂,アミドエポキシ樹脂,フェノール樹脂やこれらの混合物、共重合物等が使用でき、また,ポリサルフォン,ポリエーテルサルフォン,ポリエーテルエーテルケトン,全芳香族液晶ポリエステル、フッ素系樹脂などの耐熱性熱可塑性エンジニヤリングプラスチックのフィルムも使用できる。
【0012】
このうちエポキシ樹脂と官能基含有アクリルゴムを併用したものは、絶縁性、耐湿性に優れる点から好ましく、a.エポキシ樹脂及びその硬化剤を合わせて100重量部、b.エポキシ樹脂と相溶性でありかつ平均分子量3万以上の高分子量成分を10〜40重量部、c.アクリロニトリル18〜40重量%、官能基モノマーとしてグリシジルメタクリレート2〜6重量%及び残部がエチルアクリレート及びブチルアクリレートまたは両者の混合物からなるものであり、Tgが−10℃以上でかつ重量平均分子量が80万以上であるエポキシ基含有アクリルエラストマーを20〜100重量部、d.硬化促進剤を0.1〜5重量部からなる組成物を用い、特に、aの硬化剤としてフェノール樹脂を用い、bのエポキシ樹脂と相溶性でありかつ平均分子量3万以上の高分子量成分にフェノキシ樹脂を用いるのが良い。
【0013】
(外層絶縁層の添加フィラー)
さらに、その熱伝導性をよくすること、難燃性を与えること、溶融粘度を調整すること、チクソトロピック性を付与すること、表面硬度を向上することなどを目的として、各種フィラーを配合することができる。
熱伝導性をよくするためには、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、結晶性シリカ、非晶性シリカが好ましい。この内、アルミナは、放熱性が良く、耐熱性、絶縁性が良好な点で好適である。また、結晶性シリカまたは非晶性シリカは、放熱性の点ではアルミナより劣るが、イオン性不純物が少ないため、PCT処理(温度121℃、相対湿度100%、気圧2026hPaのプレッシャークッカーにて96時間処理時の絶縁性が高く、銅箔、アルミ線、アルミ板等の腐食が少ない点で好適である。
難燃性を与えるためには、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムが好ましい。
溶融粘度調整やチクソトロピック性の付与の目的には、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、アルミナ、結晶性シリカ、非晶性シリカが好ましい。
表面硬度の向上に関しては、短繊維アルミナ、ほう酸アルミウイスカが好ましい。
【0014】
これらのフィラーの形状としては、粒状、円盤状、短繊維状などのフィラーが使用できる、これらのフィラーの配合量は、それぞれ目的とする特性が現れ、それ以上の添加によって特性が改善されず経済的でなくなるかもしくは別の課題が発生するようにならない量を最大限とし、予備的に行った上で確かめることが必要であるが、一般的には、上記樹脂100体積部に対し、50体積部以下であることが好ましい。
【0015】
(外層絶縁層の添加剤)
さらに、上記フィラーの他に、異種材料間の界面結合をよくするためのカップリング剤、電食抑制剤、イオン性不純物を吸着して、吸湿時の絶縁信頼性をよくするためのイオン性不純物吸着剤、または銅害防止剤等の添加剤を含有してもよい。
【0016】
このようなカップリング剤としては、シランカップリング剤が好ましく、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられ、市販のものとして、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランがNUC A−187、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランがNUC A−189、γ−アミノプロピルトリエトキシシランがNUC A−1100、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシランがNUC A−1160、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランがNUC A−1120という商品名で、いずれも日本ユニカ−株式会社から市販されている。
【0017】
無機イオン吸着剤としては、東亜合成化学工業株式会社から、ジルコニウム系化合物を成分とするものがIXE−100という商品名で、アンチモンビスマス系化合物を成分とするものがIXE−600という商品名で、マグネシウムアルミニウム系化合物を成分とするものがIXE−700という商品名で、市販されている。また、ハイドロタルサイトは、協和化学工業株式会社から、DHT−4Aという商品名で市販されている。この無機イオン吸着剤の配合量は、通常10重量%以下であることが好ましく、多過ぎると、耐熱性が低下したり、コストが上昇する。
【0018】
この他、必要により、銅がイオン化して溶け出すのを防止するため、銅害防止剤として知られる化合物例えば、トリアジンチオール化合物、ビスフェノール系還元剤を配合してもよい。ビスフェノール系還元剤としては、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−第3−ブチルフェノール)、4,4’−チオ−ビス−(3−メチル−6−第3−ブチルフェノール)が挙げられる。このようなもので市販されているものは、トリアジンチオール化合物を成分とする銅害防止剤が、吉富製薬株式会社から、ヨシノックスBBという商品名で市販され、また、ビスフェノール系還元剤を成分とする銅害防止剤が、三協製薬株式会社から、ジスネットDBという商品名で市販されている。
【0019】
(外層絶縁層の調整)
本発明の外層絶縁層は、これらの各成分を溶剤に溶解・分散してワニスとし、ベースフィルムまたは銅箔上に塗布し、加熱して溶剤を除去して使用する。
このようなベースフィルムとしては、テトラフルオロエチレンフィルム、離型処理したポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどが使用され、ベースフィルムは使用時に剥離される。また銅はくやアルミニウムはくをベースフィルムとして、外層絶縁層となる接着剤を塗布することにより、接着剤付き金属をえることが出来る。金属箔は、マット面処理等の粗化処理を行っていることが好ましい。
また、このようなワニス状態の絶縁接着材料を、配線板上にスクリーン印刷または塗布して使用することも可能である。
【0020】
この外層絶縁層の厚さは、25μm〜200μmの範囲であることが好ましく、25μm未満では、層間の絶縁性が十分ではなく、200μmを超えると、層間の絶縁性は十分であるが、ドリルやレーザでの加工性が低下し、層間の接続を取るためのスルーホールあるいはインタースティシャルバイアホール(以下、IVHという。)が形成しにくくなる点で好ましくない。
【0021】
(内層絶縁層)
内層絶縁層のうちの少なくとも1層の平面方向での線膨張率が、13ppm/℃以下であることが好ましく、これを超えると、熱衝撃等が加わった場合、半導体チップ等の電子部品と内層絶縁層の熱膨張率の差から、電子部品と実装用基板の回路部との接続部にクラックや空隙を生じ、接続不良を発生することがある。
【0022】
この内層絶縁層には、ガラス基材で補強された樹脂よりなるものが使用でき、例えば、ガラスクロス−エポキシ樹脂積層板、ガラスクロス−ポリイミド樹脂積層板、ガラスクロス−フェノール樹脂積層板等が使用できる。
【0023】
(接着剤)
本発明において電子部品の接着固定に用いられる接着剤としては、特に限定するものではないが、接続時の良好な流動性や高接続信頼性を得られる接着剤として、エポキシ樹脂とイミダゾール系、ヒドラジド系、三フッ化ホウ素-アミン錯体、スルホニウム塩、アミンイミド、ポリアミンの塩、ジシアンジアミド等の1以上を用いた潜在性硬化剤に、アクリルゴムを配合した接着剤を使用することが好ましい。
また、接着剤にはフィルム形成性をより容易にするためにフェノキシ樹脂などの熱可塑性樹脂を配合することもでき、特に、フェノキシ樹脂は、エポキシ樹脂と構造が類似しているため、エポキシ樹脂との相溶性、接着性に優れるなどの特徴を有するので好ましい。
【0024】
電子部品を接着固定するために使用する接着剤には、チップのバンプや回路電極の高さばらつきを吸収するために、異方導電性を積極的に付与する目的で導電粒子を分散することもでき、このような導電粒子としては、例えば、Au、Ni、Ag、Cu、Wやはんだなどの金属粒子またはこれらの金属粒子表面に金やパラジウムなどの薄膜をめっきや蒸着によって形成した金属粒子や、ポリスチレン等の高分子の球状の核材にNi、Cu、Au、はんだ等の導電層を設けた導電粒子を用いることができる。
このような導電粒子の粒径は、基板の電極の最小の間隔よりも小さいことが必要で、電極の高さばらつきがある場合、高さばらつきよりも大きいことが好ましく、1μm〜10μmの範囲であることが好ましい。また、接着剤に分散される導電粒子量は、0.1〜30体積%の範囲であることが好ましく、より好ましくは0.2〜15体積%の範囲である。0.1体積%未満であると、粒子の分散が大きすぎ、導電性を損ない、30体積%を超えると、隣接する粒子と接触して短絡することがある。
【0025】
(接着剤の調整)
本発明に用いる接着剤は、塗布することもできるが、フィルム状にして用いることが加工時の取り扱い性がよく、また、選択的に塗布するにはシルクスクリーン版などの治具を必要とするが、フィルム状にすれば、必要な分量だけ裁断して使用できるので好ましい。
接着剤をフィルム状に形成するには、上記のエポキシ樹脂、アクリルゴム、フェノキシ樹脂、潜在性硬化剤からなる接着組成物、あるいはさらに導電粒子を、有機溶剤に溶解あるいは分散し、液状化して、剥離性の基材上に塗布し、硬化剤の活性温度以下で溶剤を除去することにより行われれる。この時用いる溶剤は、芳香族炭化水素系と含酸素系の混合溶剤が材料の溶解性を向上させるため好ましい。
【0026】
(電子部品)
本発明の電子部品には、表面実装のためのチップ抵抗、チップコンデンサ、チップインダクタ、または半導体チップを用いることができる。
また、このような半導体チップの接続電極には、金、ニッケル、ハンダ等をめっきし突起電極としためっきバンプや、金、アルミニウム等の金属ワイヤの先端を熱エネルギによりボール状としこのボールを接続端子が構成される半導体チップの電極パッド上に圧着した後前記金属ワイヤを切断したボールバンプもしくはスタッドバンプのほか,はんだボール,溶融はんだ成形バンプ,カラムの半田付け等による突起電極が使用できる。
【0027】
【実施例】
(外層絶縁層の作製)
表1に組成を示すワニスA,Bを、銅箔上に、乾燥した後の膜厚が50μmになるようにコンマコータによって塗布し、110℃で10分間乾燥し、半硬化状の銅箔付き絶縁接着材料を得る。
【0028】
【表1】
・エピコート828:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ株式会社製、商品名)
・ESCN−001:クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(住友化学工業株式会社製、商品名)
・プライオーフェンLF2882:ビスフェノールAノボラック樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製、商品名)
・YP−50:フェノキシ樹脂、分子量5万(東都化成株式会社製、商品名)
・HTR−860P−3:エポキシ含有アクリルゴム、分子量100万(帝国化学産業株式会社製、商品名)
・2PZ−CN:硬化促進剤(四国化成工業株式会社製、商品名)
・NUC Aー187:γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、シランカップリング剤(日本ユニカー株式会社製、商品名)
AL−160SG−1:昭和電工株式会社製、商品名
AS−50:昭和電工株式会社製、商品名
【0029】
実施例1
X及びY方向の線膨張率が16ppm/℃,Tgが約170℃,Tg以下の弾性率が1.8×104MPaのガラスクロス・エポキシ樹脂両面銅張り積層板であるMCL−E−679(日立化成工業株式会社製、商品名)の表面銅箔の不要な箇所をエッチング除去し、内層回路を形成した。
表1のワニスAを用いた銅箔付き絶縁接着材料に、ドリル穴加工を行い、上述の内層回路の表面に重ね、170℃、40kgf/cm2、60分の条件でプレス積層接着し,スルーホール穴あけ,無電解銅めっきを行って,不要な箇所の銅をエッチング除去して外層回路を加工し、はんだコートを行い、実装用基板を得た。
このときに外層絶縁層として使用した銅箔付き絶縁接着材料の弾性率は、170℃で100MPa、圧縮永久ひずみ量は、170℃で10%であった。
この後、接着フィルムである異方導電性フィルムのANISOLM(日立化成工業株式会社製、商品名)を、実装用基板に転写した後、接続電極としてはんだボールにより突起電極を形成した半導体チップの突起電極と実装用基板の半導体チップ搭載用回路との位置合せを行い、半導体チップを170℃で、10kgf/チップの圧力により20秒間加熱圧着して異方導電性フィルムを硬化させた。これによって、異方導電性フィルムを介して半導体チップの突起電極と実装用基板の半導体チップ搭載用回路とが電気的に接続されると同時に半導体チップと実装用基板間は異方導電性フィルムの硬化によって、この接続状態が保持される。
【0030】
実施例2
半導体チップの接続電極として、金ワイヤを電極にボンディング後切断して構成された突起電極であるスタッドバンプにより突起電極を形成したものを用いた他は、実施例1と同様にした。
【0031】
実施例3
X及びY方向の線膨張率が16ppm/℃,Tgが約170℃,Tg以下の弾性率が1.8×104MPaのガラスクロス・エポキシ樹脂両面銅張り積層板であるMCL−E−679(日立化成工業株式会社製、商品名)の、表面銅箔の不要な箇所をエッチング除去して、内層回路を形成した。
外層絶縁層として、表1のワニスBを用いた銅箔付き絶縁接着材料に、ドリル穴加工を行い、この内層回路板に重ね、170℃、40kgf/cm2、60分の条件でプレス積層接着し,スルーホール穴あけ,無電解銅めっきを行い,不要な銅をエッチング除去して外層回路を形成し、無電解ニッケル/金めっきを行って実装用基板を得た。
このとき、最外層の絶縁接着フィルムの弾性率は、170℃で10MPa、圧縮永久ひずみ量は、170℃で15%であった。
この後、接着フィルムである異方導電性フィルムのANISOLM(日立化成工業株式会社製、商品名)を、実装用基板に転写した後、接続電極としてはんだボールにより突起電極を形成した半導体チップの突起電極と実装用基板の半導体チップ搭載用回路との位置合せを行い、半導体チップを170℃で、10kgf/チップの圧力により20秒間加熱圧着して異方導電性フィルムを硬化させた。これによって、異方導電性フィルムを介して半導体チップの突起電極と実装用基板の半導体チップ搭載用回路とが電気的に接続されると同時に半導体チップと実装用基板間は異方導電性フィルムの硬化によって、この接続状態が保持される。
【0032】
実施例4〜6
実施例1〜3において、ガラスクロス・エポキシ樹脂両面銅箔張り積層板に、X及びY方向の線膨張率が、9〜11ppm/℃のガラスクロス・エポキシ樹脂両面銅張り積層板であるMCL−E−679LD(日立化成工業株式会社製、商品名)を用いた以外は、実施例1〜3と同様の半導体チップ、異方導電性フィルム及び実装条件で半導体チップと実装用基板を接続した。
【0033】
(試験方法)
このようにして作製した半導体チップ実装基板に、以下のような試験を行った。結果を表2に示す。
(絶縁接着材料の圧縮永久ひずみ量)
1)絶縁接着材料を厚さ12.7mm厚に積層、170℃1時間硬化したものを円形回転刃を用いて内径28.7mmの円盤状に切り抜き、これを試験片とした。
2)2枚の圧縮板と圧縮板を固定するためのボルト及びナット並びにスペーサーからなる圧縮装置を用いて試験片の厚さの5%圧縮し、170℃70時間後に取りだし厚さを測定した。
3)圧縮永久ひずみ量は測定結果から次式によって計算した。
圧縮永久ひずみ量=(t0−t1)/(t0−t2)×100
t0:試験片の原厚(mm)
t1:試験片を圧縮装置から取り出して30分後の厚さ(mm)
t2:スペーサーの厚さ(mm)
【0034】
(絶縁接着材料の弾性率)
絶縁接着材料を厚さ0.1mm厚に積層、170℃1時間硬化したものを刃を用いて長さ30mm、幅5mmの短冊状に切り抜き、これを試験片とした。
レオロジ(株)製レオスペクトラDVE-4(引っぱりモード、周波数10Hz、5℃/minで昇温)を使用して測定した。
【0035】
(接続信頼性)
半導体チップと実装用基板を接続した半導体チップ実装基板を(−55℃、30分)/(125℃、30分)の条件で繰り返す冷熱サイクル試験に曝した。この冷熱サイクル試験1,000回後の半導体チップの突起電極と実装用基板の半導体チップ搭載用回路の接続抵抗で、50mΩ以下を◎、100mΩ以下を○、1Ω以下を△、1Ω以上を×として評価した。
【0036】
(耐電圧)
銅箔付き絶縁接着材料(膜厚が50μmになるようにコンマコータによって塗布し、110℃で10分間乾燥し、半硬化状の銅箔付き絶縁接着材料)を、絶縁接着材料が重なるように2枚重ね合わせ積層、170℃1時間硬化したもの30mm×30mmの四角形に切り抜いた。さらに銅箔を直径20mmの円形になるように不要部をエッチング除去したものを試験片とした。
試験片について温度121℃、相対湿度100%、気圧2026hPaのプレッシャークッカーにて96時間処理前及び処理後の試験片を絶縁油中に浸漬し、室温で交流電圧を銅はくと銅はくの間に印加し、絶縁破壊する電圧を測定。なお、耐電圧の単位はkVである。
【0037】
(密着性)
半導体チップ実装基板について温度121℃、相対湿度100%、気圧2026hPaのプレッシャークッカーにて96時間処理前及び処理後、層間に剥離が生じているものを不良、層間に剥離が生じていないものを良好とした。
【0038】
【表2】
【0039】
【発明の効果】
本発明により、半導体チップと実装用基板との接続信頼性に優れる回路板を得ることができる。
Claims (4)
- 実装用基板とそれに搭載された電子部品と両者を固定する0.1〜30体積%の導電粒子が分散されている接着剤とからなる回路板であって、実装用基板の表面に電子部品の接続電極に対応して形成された接続用ランドと該電子部品の接続電極とが電気的に接続され、前記実装用基板がガラス基材で補強された樹脂よりなる内層絶縁層と、接続用ランドを支える外層絶縁層とを有し、前記外層絶縁層は、厚さが25μm〜200μmの範囲にあり、かつ弾性率が実装用基板とそれに搭載された電子部品とを固定する温度で、0.1MPa〜10000MPaの範囲にあり、該外層絶縁層が、a.エポキシ樹脂及びその硬化剤としてフェノール樹脂を合わせて100重量部、b.エポキシ樹脂と相溶性でありかつ平均分子量3万以上の高分子量成分としてフェノキシ樹脂を10〜40重量部、c.アクリロニトリル18〜40重量%、官能基モノマーとしてグリシジルメタクリレート2〜6重量%及び残部がエチルアクリレート及びブチルアクリレートまたは両者の混合物からなるものであり、Tgが−10℃以上でかつ重量平均分子量が80万以上であるエポキシ基含有アクリルエラストマーを20〜100重量部、d.硬化促進剤を0.1〜5重量部を含む組成物からなる絶縁材料を用いて形成されたものであり、実装用基板とそれに搭載された電子部品とを接着固定を行う温度での、該外層絶縁層の圧縮永久ひずみ量が、20%以下であることを特徴とする回路板。
- 内層絶縁層のうちの少なくとも1層の平面方向での線膨張率が、13ppm/℃以下であることを特徴とする請求項1に記載の回路板。
- 接着剤が、少なくともエポキシ樹脂、アクリルゴム及び潜在性硬化剤を含有するものであることを特徴とする請求項1または2に記載の回路板。
- 電子部品が、半導体チップであることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれかに記載の回路板。
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