JP3978566B2 - 分岐状オルガノポリシロキサンエマルジョンの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、生産性に優れた分岐状オルガノポリシロキサンエマルジョンの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
分岐状オルガノポリシロキサンは、直鎖状オルガノポリシロキサンに比較して、低温特性や、チキソ性に優れることが従来より知られている。特に近年においては、消泡剤用途(特開平5−271689号、同8−196811号、同8−309104号各公報)或いは水性コーティング剤用途(特公昭60−22018号、特開平8−85760号各公報)に有用とされている。しかしながら、この分岐構造単位のオルガノポリシロキサン単位への導入は困難を伴うものであった。これらの分岐状オルガノポリシロキサンの製造方法としてはすでに報告があるが(特開平10−60115号公報)、更に生産性の向上が求められていた。
【0003】
また、従来、分岐状オルガノポリシロキサンエマルジョンの製造方法としては、環状シロキサンとトリアルコキシシランの乳化重合法(特公昭56−38609号、特開昭63−286434号公報)が知られている。しかしながら、これらは酸又はアルカリ性触媒による平衡化反応であるために揮発性の低分子シロキサンをシロキサン中8〜15重量%、一般的には12重量%程度含有するものであった。
【0004】
他方、揮発性の低分子シロキサンを低減化したオルガノポリシロキサンエマルジョンの製造方法としては、両末端ヒドロキシオルガノポリシロキサン、触媒からなるエマルジョンを40℃以下で重合させる方法(特開平4−178429号公報)、両末端ヒドロキシオルガノポリシロキサンと両末端アミノキシオルガノポリシロキサンを乳化重合する方法(特開平4−198321号公報)、両末端ヒドロキシオルガノポリシロキサンと特定のスルホン酸の存在下乳化重合する方法(特開平11−71522号公報)などがあるが、分岐状オルガノポリシロキサンエマルジョンの製造方法に関する記載はない。
【0005】
本発明は、上記事情を改善するためになされたもので、分岐状のオルガノポリシロキサンエマルジョンを効率よく製造する方法を提供することを目的とする。
【0006】
また、本発明は、低分子シロキサン含有量が少なく、このため繊維処理剤、コーティング剤の主剤として好適な分岐状オルガノポリシロキサンエマルジョンの製造方法を提供することを他の目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を行った結果、特定の構造を持つ分岐単位を含有するオルガノポリシロキサンと低分子オルガノシロキサンよりなるオルガノポリシロキサン混合物に酸性又は塩基性の界面活性剤を添加配合して水中に乳化分散させ、該乳化物中で酸性又は塩基性触媒の存在下に重合することにより、効率よく分岐状オルガノポリシロキサンエマルジョンを製造できることを見出した。
【0008】
即ち、本発明は、
(A)下記一般式(1)
【化4】
(式中、R1は炭素数1〜20のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、又はこれらの基の水素原子の一部をハロゲン原子、アミノ基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、エポキシ基、メルカプト基又はカルボキシル基で置換した基、R2は互いに同一又は異種の炭素数1〜20のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、又はこれらの基の水素原子の一部をハロゲン原子、アミノ基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、エポキシ基、メルカプト基又はカルボキシル基で置換した基、R3は水酸基、炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数1〜20のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、又はこれらの基の水素原子の一部をハロゲン原子、アミノ基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、エポキシ基、メルカプト基又はカルボキシル基で置換した基を示す。mは1≦m≦100を満足する数、aは0又は1、bは3又は4であり、a+b=4である。)
で示される分岐状オルガノポリシロキサン、及び
(B)下記一般式(7)
【化26】
(式中、R5は水素原子又は炭素数1〜8の1価炭化水素基であり、qは3≦q≦8を満足する整数である。)
で示される環状オルガノポリシロキサン及び下記一般式(8)
【化27】
(式中、R5は上記と同じである。R6は水酸基、炭素数1〜8のアルコキシ基又はR5を示し、0≦r≦40である。)
で示される鎖状オルガノポリシロキサンから選ばれる低分子オルガノシロキサン
よりなるオルガノポリシロキサン混合物に、(C)酸性又は塩基性の界面活性剤を添加して水中に乳化分散させ、該乳化物中で重合することを特徴とする分岐状オルガノポリシロキサンエマルジョンの製造方法を提供する。
【0009】
また、本発明者は、揮発性の低分子シロキサンを低減化した分岐状オルガノポリシロキサンエマルジョンを得るため鋭意検討を行った結果、それぞれケイ素原子数が10以下の環状低分子シロキサン含有量が5重量%以下である末端ヒドロキシ分岐単位含有オルガノポリシロキサンと末端ヒドロキシジオルガノポリシロキサンとを水と酸性又は塩基性の界面活性剤を用いて縮重合することにより、重合後のシロキサン中の、ケイ素原子数10以下の環状低分子シロキサン含有量が5重量%以下である分岐状オルガノポリシロキサンエマルジョンが得られ、これは低分子シロキサンの揮散が少ないので、環境汚染の少ない繊維処理剤やコーティング剤として有用であることを知見した。
【0010】
従って、本発明は、更に、
(D)下記一般式(2)
【化5】
(式中、R1は炭素数1〜20のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、又はこれらの基の水素原子の一部をハロゲン原子、アミノ基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、エポキシ基、メルカプト基又はカルボキシル基で置換した基、R2は互いに同一又は異種の炭素数1〜20のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、又はこれらの基の水素原子の一部をハロゲン原子、アミノ基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、エポキシ基、メルカプト基又はカルボキシル基で置換した基、pは4≦p≦100を満足する整数、aは0又は1、bは3又は4であり、a+b=4である。)
で示され、かつケイ素原子数が10以下の環状低分子シロキサン含有量が5重量%以下である分岐状オルガノポリシロキサン、
(E)下記一般式(3)
【化6】
(式中、R4は炭素数1〜20のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、又はこれらの基の水素原子の一部をハロゲン原子、アミノ基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、エポキシ基、メルカプト基又はカルボキシル基で置換した基、qは10≦q≦700を満足する整数を示す。)
で示され、かつケイ素原子数が10以下の環状低分子シロキサン含有量が5重量%以下である末端ヒドロキシオルガノポリシロキサン
よりなるオルガノポリシロキサン混合物に、(C)酸性又は塩基性の界面活性剤を添加して水中に乳化分散させ、該乳化物中で重合することを特徴とする重合後のシロキサン中の、ケイ素原子数が10以下の環状低分子シロキサン含有量が5重量%以下である分岐状オルガノポリシロキサンエマルジョンの製造方法を提供する。
【0011】
以下、本発明につき、更に詳しく説明する。
本発明の第1の分岐状オルガノポリシロキサンエマルジョンの製造方法は、下記(A)、(B)成分、更に下記(C)成分を使用する。
(A)成分
本発明の出発原料として使用する分岐構造単位を含有する(A)成分の分岐状オルガノポリシロキサンは、下記一般式(1)で表されるものである。
【0012】
【化7】
【0013】
ここで、R1は炭素数1〜20の下記の1価有機基、R2は互いに同一又は異種の炭素数1〜20の下記の1価有機基、R3は水酸基、炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数1〜20の下記の1価有機基であり、1≦m≦100である。
【0014】
このR1としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、エイコシル等のアルキル基、シクロペンチル、シクロヘキシルなどのシクロアルキル基、ビニル、アリル等のアルケニル基、フェニル、トリル、ナフチル等のアリール基、或いはこれらの有機基構造中の水素原子の一部をハロゲン原子や、アミノ、アクリロキシ、メタクリロキシ、エポキシ、メルカプト、カルボキシルの極性基含有の有機基で置換したものが挙げられる。これらの中ではメチル、ビニル、フェニルなどが特に好ましいものである。
【0015】
また、R2としては上記R1と同様の1価有機基から選択される1種又は2種以上の1価有機基が挙げられるが、90モル%以上がメチル基であることが特に好ましい。
【0016】
R3としては、水酸基、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシなどのアルコキシ基、或いは、上記R1と同様の1価有機基が挙げられるが、これらの中では水酸基が特に好ましい。
【0017】
また、mは1未満であると重合速度が小さくなるし、100を超えると(A)成分の配合量が多くなり、非効率となることから、mは平均数で1≦m≦100とされるが、好ましくは10≦m≦50である。
aは0又は1、bは3又は4であり、a+b=4である。
【0018】
この(A)成分の製造方法は必ずしも限定されるものではないが、例えば、下記一般式(4)又は(5)で表されるクロロシラン化合物と下記一般式(6)で表される水酸基含有オルガノポリシロキサンとの脱塩酸反応等により容易に得ることができる。
R1SiCl3 (4)
SiCl4 (5)
【0019】
【化8】
(式中、R1,R2,R3,mは上記と同じ。)
【0020】
(B)成分
本発明の出発原料として使用する(B)成分としての低分子オルガノシロキサンとしては、環状オルガノポリシロキサン、末端がトリオルガノシリル基、ジオルガノモノヒドロキシシリル基もしくはジオルガノモノアルコキシシリル基で封鎖された鎖状オルガノシロキサン又はこれらの混合物が好適に用いられる。
【0021】
ここで、環状オルガノポリシロキサンとしては、下記一般式(7)で示されるものが好ましく、具体的には、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、1,1−ジエチルヘキサメチルシクロテトラシロキサン、フェニルヘプタメチルシクロテトラシロキサン、1,1−ジフェニルヘキサメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラフェニルシクロテトラシロキサンなどが例示される。
【0022】
【化9】
【0023】
ここで、R5は水素原子又は炭素数1〜8の1価炭化水素基であり、1価炭化水素基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル等のアルキル基、シクロヘキシル等のシクロアルキル基、ビニル、アリル等のアルケニル基、フェニル等のアリール基、ベンジル等のアラルキル基や、これらの基の水素原子の一部又は全部が塩素、フッ素等のハロゲン原子で置換された基などを挙げることができる。なお、R5は互いに同一であっても異なっていてもよい。また、qは3≦q≦8を満足する整数である。
【0024】
また、上記末端封鎖基を有する鎖状オルガノシロキサンとしては、下記一般式(8)で示されるものが好ましく、具体的には、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ヘキサデカメチルヘプタシロキサン、ヘキサエチルジシロキサン、テトラメチルジエチルジシロキサン、テトラメチルジビニルジシロキサン、テトラメチルジヒドロキシジシロキサン、テトラメチルジメトキシジシロキサン、オクタメチルジヒドロキシテトラシロキサン、オクタメチルジメトキシテトラシロキサン等が例示される。
【0025】
【化10】
【0026】
ここで、R5は上記と同じである。R6は水酸基、炭素数1〜8のアルコキシ基又はR5を示し、0≦r≦40である。
【0027】
本発明の一つの態様としては、上記(A)成分と(B)成分のオルガノポリシロキサン混合物に酸性又は塩基性触媒を更に添加配合し、通常10〜200℃において重合を行い、その後は中和する製造方法である。この酸性又は塩基性触媒としては、従来公知のものが使用でき、具体的には、酸性触媒としては硫酸、リン酸、塩酸、硝酸等の無機酸、メタンスルホン酸、トリフロロメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などの有機酸などが挙げられ、塩基性触媒としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化セシウムなどの無機アルカリ化合物、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルホスホニウムヒドロキシド等の有機アルカリ化合物及びこれらのシラノレート化合物が挙げられる。
【0028】
なお、(A)成分と(B)成分からなるオルガノポリシロキサン混合物中の(A)成分の配合量は0.1重量%未満であると重合速度が低下するし、50重量%を超えると得られる分岐状オルガノポリシロキサンの粘度が高くなりすぎるおそれがあるため、0.1〜50重量%がよい。好ましくは1〜20重量%である。
【0029】
また、上記反応において、酸性触媒を用いる場合、酸性触媒の強度、及びシロキサンの重合度にもよるが、酸性触媒の量はシロキサンに対して、0.1〜10mol%、好ましくは0.2〜5mol%が好適に使用される。反応条件は、温度は室温〜70℃の範囲で行われることが好ましく、反応時間は通常3〜8時間である。塩基性触媒を用いる場合、塩基性触媒の強度、及びシロキサンの重合度にもよるが、塩基性触媒の量はシロキサンに対して、0.001〜1.0mol%、好ましくは0.01〜0.1mol%が好適に使用される。反応条件は、温度は70〜150℃の範囲で行われることが好ましく、反応時間は通常3〜8時間である。これらの反応は通常無溶媒で行われるが、粘度が高い場合や、触媒の活性を向上させる目的で、トルエン、キシレン、アセトン、THF等の溶媒を使用しても差し支えない。
【0030】
本発明のもう一つの態様としては、上記(A)成分と(B)成分のオルガノポリシロキサン混合物に、更に下記(C)成分として界面活性剤を添加配合して、水中に乳化分散させた後、10〜80℃において、酸性又は塩基性触媒の存在下に乳化重合を行い、中和して、分岐状オルガノポリシロキサン乳化重合物を得る方法である。
【0031】
(C)成分
(C)成分の界面活性剤としては、酸性又は塩基性の界面活性剤を使用することができる。この種の酸性又は塩基性の界面活性剤は、上記(A)、(B)成分の混合物の乳化剤として作用すると共に、重合触媒(酸性又は塩基性触媒)として作用し、従ってこの酸性又は塩基性の界面活性剤を使用する場合は、別途重合触媒(酸性又は塩基性触媒)を添加しなくてもよい。また、界面活性剤として、このような重合触媒作用を有さない界面活性剤、例えばノニオン系界面活性剤(ノニオン系乳化剤)を安定性を良好にするため用いることもでき、この場合は先に例示した酸性又は塩基性の界面活性剤と併用する。
【0032】
この場合、上記(A)成分と(B)成分とのオルガノポリシロキサン混合物の乳化剤兼重合触媒として作用する酸性の界面活性剤としては、特に制限されないが、下記一般式(9)〜(12)で示されるものが挙げられる。
【0033】
【化11】
(式中、R7,R8はそれぞれ炭素数6以上の脂肪族1価炭化水素基、s,tは1〜20の整数である。)
【0034】
ここで、式(9)〜(12)におけるR7,R8は、それぞれ炭素数6以上、好ましくは6〜18の脂肪族1価炭化水素基であり、例えばヘキシル、オクチル、デシル、セチル、ステアリル、ミリスチル、オレイル、ノネニル、オクチニル、フィチル、ペンタデカジエニル各基が挙げられる。これらの具体例としては、ヘキシルベンゼンスルホン酸、オクチルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、セチルベンゼンスルホン酸、オクチルサルフェート、ラウリルサルフェート、オレイルサルフェート、セチルサルフェート、ポリオキシエチレンノニルフェニルサルフェート、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテルサルフェート、ポリオキシエチレン化ラウリルサルフェート、ポリオキシエチレン化オレイルサルフェート、ポリオキシエチレン化セチルサルフェートなどが挙げられる。
【0035】
更に触媒作用の弱いアニオン系界面活性剤も上記酸性界面活性剤と併用して使用することができる。このようなアニオン系界面活性剤としては上記式(9)〜(12)のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩などが挙げられる。また、これら以外にも、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテルカルボン酸、ポリオキシエチレンステアリルエーテルカルボン酸、ポリオキシエチレンオクチルエーテルカルボン酸、及びそれらのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等を併用してもよい。
【0036】
また、上記の酸性界面活性剤と、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸を併用することも可能である。本発明においては、上記のオルガノポリシロキサン混合物を上述の酸性界面活性剤により水中に乳化分散させた後、好ましくは10〜80℃において重合を行う。この重合温度が10℃より低いと重合速度が遅くなり、80℃より高いと重合中に乳化物の安定性が低下するおそれがある。重合時間としては、通常1〜50時間、好ましくは5〜30時間であり、静置或いは1〜100rpmの緩やかな撹拌下に行うことが好ましい。この重合反応終了後は、アルカリ性物質を添加することでpH4〜9に中和することが好ましい。このpHは4より小さくても、9より大きくても得られる乳化物の安定性が低下するおそれがあるため、4〜9であることが好ましく、より好ましくは5〜8である。この時のアルカリ性物質としては水酸化アルカリ金属、水酸化アルカリ土類金属、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸塩等の無機アルカリ化合物、アンモニア、有機アミン等の有機アルカリ化合物が挙げられる。
【0037】
なお、この初期の乳化分散は、上記(A)〜(C)成分を水と共に従来公知の乳化機を用いて行えばよく、ホモジナイザー、マイクロフルイダイザー、ナノマイザー(以上、何れも商品名)、コロイドミル、ホモミキサー、アジホモミキサー(商品名)、コンビミキサー(商品名)等が挙げられる。
【0038】
次に、(A)成分と(B)成分との混合物の乳化剤兼重合触媒として作用する塩基性の界面活性剤としては、特に制限されないが、下記一般式(13)で示されるものが挙げられる。
R9R10R11R12NOH (13)
(式中、R9は炭素数6以上の脂肪族1価炭化水素基、R10〜R12は炭素数1〜8の1価炭化水素基である。)
【0039】
ここで、R9は炭素数6以上、好ましくは6〜18の脂肪族1価炭化水素基、例えばヘキシル、オクチル、デシル、セチル、ステアリル、ミリスチル、オレイル、ノネニル、オクチニル、フィチル、ペンタデカジエニル各基が挙げられる。また、R10〜R12は炭素数1〜8の1価炭化水素基であり、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、フェニル、ベンジル各基が挙げられる。
【0040】
これらの具体例としては、デシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ラウリルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、セチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ステアリルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルジメチルドデシルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。
【0041】
更に、触媒作用の弱いカチオン系界面活性剤も上記の塩基性界面活性剤と併用して使用することができる。このようなカチオン系界面活性剤としては、上記式(13)の塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩や、他のアルキルアミン塩、ポリアミン、アミノアルコール、脂肪酸誘導体等のアミン塩、ピリジニウム塩、イミダゾリウム塩等が挙げられる。
【0042】
また、上記の塩基性界面活性剤と、水酸化アルカリ金属、水酸化アルカリ土類金属、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸塩などの無機アルカリ化合物或いはアンモニア、有機アミンなどの有機アルカリ化合物を併用することも可能である。
【0043】
なお、この場合の乳化分散、重合については、上述の(C)成分が酸性界面活性剤の場合と同様に実施すればよいが、中和においては、酸性物質を添加することで、pHを好ましくは4〜9、より好ましくは5〜8とする。この時の酸性物質としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸等の無機酸や、ギ酸、酢酸、乳酸、プロピオン酸、マロン酸、クエン酸などの有機酸等が挙げられる。
【0044】
更に、本発明においては、(C)成分として上記触媒作用の弱いアニオン系界面活性剤、触媒作用の弱いカチオン系界面活性剤が使用でき、この場合には、前者においては酸、後者の場合にはアルカリ化合物を重合触媒として添加することが好ましい。また、(C)成分としてノニオン系界面活性剤(ノニオン系乳化剤)を併用することができ、この場合には、上記酸性又は塩基性の界面活性剤の触媒作用を損なわない範囲で添加する必要がある。
【0045】
上記ノニオン系界面活性剤としては、特に制限されるものではないが、HLBが6〜20のものが好ましく、このようなものとして例えばモノラウリン酸ポリオキシエチレン(6)ソルビタン、モノパルミチン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、トリオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、ポリオキシエチレン(6)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(7)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(12)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(9)オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(11)ノニルフェニルエーテル、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(14)、ジステアリン酸ポリエチレングリコール(80)、ポリオキシエチレン(25)硬化ヒマシ油等が挙げられる。
【0046】
このような触媒作用の弱いアニオン系又はカチオン系界面活性剤と、酸又はアルカリ性化合物(酸性又は塩基性触媒)とを用いて乳化分散、重合するには、上記と同様に行えばよい。
【0047】
これらの態様においての配合量は、(A)成分及び(B)成分からなるオルガノポリシロキサン混合物が10〜80重量%、(C)成分が0.1〜10重量%及び水が残部とするのがよい。ここで、オルガノポリシロキサン混合物が10重量%未満であると、安定性に劣るものになるし、80重量%を超えると粘度が増加して、生産効率が低下するおそれがあることから、10〜80重量%とすることがよいが、特に好ましくは30〜60重量%である。また、(C)成分が0.1重量%未満であると、重合速度が小さくなるし、10重量%を超えるとオルガノポリシロキサンの特性を阻害するおそれがある。特に好ましくは0.5〜5重量%である。なお、残部は水である。
【0048】
この場合、上記オルガノポリシロキサン混合物中の(A)、(B)成分の割合は上述した通りである。
【0049】
更に、上記の乳化重合によって得られる本発明の分岐状オルガノポリシロキサン乳化重合物の安定性を向上させるために、他のアニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、或いは両性系界面活性剤を本発明の目的を損なわない範囲で乳化重合後、或いは中和後に添加してもよい。このアニオン系界面活性剤としては、例えば高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、高級アルコールリン酸エステル塩、エトキシ化高級アルコール硫酸エステル塩、エトキシ化アルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、エトキシ化高級アルコールリン酸塩等が挙げられ、ノニオン系界面活性剤としては、例えばエトキシ化高級アルコール、エトキシ化アルキルフェノール、多価アルコール脂肪酸エステル、エトキシ化多価アルコール脂肪酸エステル、エトキシ化脂肪酸、エトキシ化脂肪酸アミド、ソルビトール、ソルビタン脂肪酸エステル、エトキシ化ソルビタン脂肪酸エステル、しょ糖脂肪酸エステルなどが挙げられ、カチオン系界面活性剤としては、アルキルアミン塩、ポリアミン及びアミノアルコール脂肪酸誘導体などのアミン塩、アルキル4級アンモニウム塩、芳香族4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、イミダゾリウム塩等が挙げられ、両性系界面活性剤としては、ベタイン類、アミノカルボン酸塩、イミダゾリン誘導体等が挙げられる。
【0050】
上記方法によれば、分岐状オルガノポリシロキサン及び分岐状オルガノポリシロキサン乳化重合物を重合時間を短縮して製造することができる。
【0051】
次に、本発明の第2の分岐状オルガノポリシロキサンの製造方法においては、下記(D)、(E)成分及び上記(C)成分、水を使用する。
(D)成分
本発明の出発原料として使用する分岐構造単位を含有する(D)成分のオルガノポリシロキサンは、下記一般式(2)で示されるものであり、かつケイ素原子数が10以下の環状低分子シロキサンの含有量が5重量%以下のものである。
【0052】
【化12】
【0053】
ここで、R1は炭素数1〜20の下記の1価有機基、R2は互いに同一又は異種の炭素数1〜20の下記の1価有機基、pは4≦p≦100である。
【0054】
このR1としてはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、エイコシル等のアルキル基、シクロペンチル、シクロヘキシルなどのシクロアルキル基、ビニル、アリル等のアルケニル基、フェニル、トリル、ナフチル等のアリール基、或いはこれらの有機基構造中の水素原子の一部をハロゲン原子や、アミノ、アクリロキシ、メタクリロキシ、エポキシ、メルカプト、カルボキシルの極性基含有の有機基で置換したものが挙げられる。これらの中ではメチル、ビニル、フェニルなどが特に好ましいものである。
【0055】
また、R2としては上記R1と同様の1価有機基から選択される1種又は2種以上の1価有機基が挙げられるが、90モル%以上がメチル基であることが特に好ましい。
【0056】
上記オルガノポリシロキサン中のケイ素原子数が10以下の環状低分子シロキサン含有量が5重量%より多い場合には、重合後のシロキサンポリマー中の揮発性低分子シロキサン含有量が5重量%を超えてしまう可能性があるため、5重量%以下、好ましくは4重量%以下、より好ましくは3重量%以下まで低分子シロキサン量を調節したものを使用する必要がある。pは4より小さいとケイ素原子数10以下の環状低分子シロキサン含有量を5重量%以下に調節するのが難しく、100より大きいと乳化した際のエマルジョン安定性が悪くなることから4≦p≦100である必要がある。また、分岐状シロキサンであることからa+b=4で、かつaは0又は1、bは3又は4である必要があり、縮合反応時の反応性の面から末端基はヒドロキシル基である必要がある。
【0057】
このような分岐状シロキサンは、両末端ヒドロキシジメチルポリシロキサンとトリクロロメチルシラン、トリクロロフェニルシラン、トリクロロビニルシラン、テトラクロロシランなどのクロロシランとの脱塩酸反応のような公知の方法で合成することができる。
【0058】
(E)成分
(E)成分は、下記一般式(3)で示され、かつケイ素原子数が10以下の環状低分子シロキサン含有量が5重量%以下である末端ヒドロキシオルガノポリシロキサンである。
【0059】
【化13】
(式中、R4は炭素数1〜20の1価有機基、qは10≦q≦700を満足する整数を示す。)
【0060】
ここで、R4は上記R1,R2と同様のものが挙げられるが、好ましくはメチル基である。このオルガノポリシロキサン中のケイ素原子数が10以下の環状低分子シロキサン含有量が5重量%より多い場合には、重合後のシロキサンポリマー中の揮発性低分子シロキサン含有量が5重量%を超えてしまう可能性があるため、5重量%以下、好ましくは4重量%以下、より好ましくは3重量%以下、更に好ましくは2重量%以下まで低分子シロキサン量を調節したものを使用する必要がある。更に、qは10より小さいとケイ素原子数10以下の環状低分子シロキサン含有量を5重量%以下に調節するのが難しく、700より大きいとエマルジョン化した際の安定性が悪くなることから10≦q≦700である必要があり、縮合反応時の反応性の面から未端基はヒドロキシル基である必要がある。
【0061】
上記(D)成分は(A)成分に、(E)成分は(B)成分にそれぞれ対応し得、従ってこれら(D)、(E)成分の配合割合はそれぞれ(A)、(B)成分の配合割合と同様である。また、(C)成分の配合割合も上記と同様である。
【0062】
上述した(D)成分、(E)成分、(C)成分をホモミキサー、ホモジナイザーなどの乳化機を使用して水中に均一に乳化分散した後、液温度を0〜30℃として必要に応じて触媒として硫酸、塩酸などの酸性物質又は水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ性物質を添加し、5〜200時間重合反応を実施する。重合時間が5時間より短い場合は縮重合反応が不十分であり、200時間より多くても縮重合反応による重合度変化はないことから不経済となるため、5〜200時間であることが好ましく、より好ましくは、10〜100時間である。なお、この際(C)成分である界面活性剤としてアルキルベンゼンスルホン酸のような酸型界面活性剤を使用する場合には、それ自身が触媒として作用するため触媒をあらたに添加する必要はない。重合時の液温度が30℃を超える場合には平衡化反応が優先的に進行するため低分子シロキサンが副生してしまう。このため、シラノール同士の縮合反応を優先的に進行させるため液温度は30℃以下であることが好ましい。0℃より低い場合には凍結によりエマルジョン安定性が悪くなってしまうので、0〜30℃であることが好ましく、より好ましくは0〜25℃、更に好ましくは0〜20℃である。重合終了後は酸性触媒を使用した場合には炭酸ナトリウム、アンモニア、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミンなどのアルカリ性物質で、アルカリ性触媒を使用した場合には酢酸、ギ酸、リン酸、塩酸などの酸性物質で中和すればよい。
【0063】
このようにして得られる分岐状オルガノポリシロキサンエマルジョンは、下記一般式(14)で示されるものであり、これはケイ素原子数10以下の環状低分子シロキサン含有量が5重量%以下のものである。
【0064】
【化14】
(式中、R1,R2,R4,a,b,pは上記と同じであり、xは正数、特に10≦x≦4,000である。)
【0065】
上記のようにして得られた分岐状オルガノポリシロキサンエマルジョンは、これに皮膜補強剤、密着向上剤、触媒などを配合したエマルジョン組成物にすることで、水を除去するだけで容易にゴム皮膜を形成するため、コーティング剤などとして有用である。
【0066】
上記方法によれば、低分子シロキサン含有量が低減した分岐状オルガノポリシロキサンエマルジョンを効率よく確実に製造することができる。
【0067】
【実施例】
以下に本発明の具体的態様を実施例、比較例により更に詳しく説明するが、本発明は以下の例によって限定されるものではない。なお、実施例中の粘度は25℃における値である。
【0068】
【化15】
【0069】
還流管、温度計、滴下ロート、撹拌羽根を備えた1000mlのガラスフラスコに、予め共沸脱水したトルエン450gと以下の平均構造式で示されるオルガノポリシロキサン(a−1)115.1g(0.09mol)を仕込み、ピリジン7.8g(0.099mol)を添加し、均一に混合した後、フェニルトリクロロシラン6.35g(0.03mol)を10分かけて室温で滴下した。白色のピリジン塩酸塩の生成が見られ、フラスコ温度は35℃まで上昇した。滴下終了後、1時間撹拌し、更に80℃に昇温して1時間撹拌した。冷却後、ピリジン塩酸塩を濾別し、濾液を5%硫酸ナトリウム水溶液で2回洗浄した。ピリジン塩酸塩の乾燥後重量は10.7gであり(理論生成量10.4g)、反応がほぼ定量的に進んだことが確認された。
【0070】
【化16】
【0071】
上記濾液に無水硫酸ナトリウムを投入し、1日乾燥後、無水硫酸ナトリウムを濾別し、ストリップによりトルエンを除去することにより、粘度115cpの無色液体が108g得られた。
【0072】
29Si−NMRにより同定を行ったところ、上記(A−1)の構造式であることが確認された。
【0073】
【化17】
【0074】
製造例1においてフェニルトリクロロシランのかわりに、メチルトリクロロシラン4.5g(0.03mol)を使用した他は、製造例1と全く同じ方法で合成を行ったところ、粘度102cpの無色液体が104g得られた。
【0075】
29Si−NMRにより同定を行ったところ、上記(A−2)の構造式であることが確認された。
【0076】
【化18】
【0077】
製造例1においてフェニルトリクロロシランのかわりに、テトラクロロシラン3.83g(0.0225mol)を使用した他は、製造例1と全く同じ方法で合成を行ったところ、粘度107cpの無色液体が101g得られた。
【0078】
29Si−NMRにより同定を行ったところ、上記(A−3)の構造式であることが確認された。
【0079】
[実施例1]
製造例1で合成した(A−1)31.4gとオクタメチルシクロテトラシロキサン470.4gの混合物に10%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液50g、脱イオン水50gを添加し、ホモミキサーで1000rpmで撹拌することにより転相乳化を行い、更に撹拌速度を5000rpmで15分間撹拌した。次いで、10%ドデシルベンゼンスルホン酸水溶液50gを添加し、更に脱イオン水333.1gを加えて希釈した。次に、これを「ナノマイザーLA−31」(ナノマイザー株式会社製)で1000kgf/cm2の圧力で2回通過させ、乳化分散を行った。これを50℃で6時間静置することにより重合させ、更に15℃で10時間熟成を行い、10%の炭酸ナトリウム水溶液9.8gを添加し、pH6.2に中和し、平均粒径185nmの均一な乳濁液を得た(「エマルジョン−1」)。この「エマルジョン−1」10gにイソプロピルアルコール90gを加えて、オイル成分の抽出を行い、105℃で3時間乾燥後のオイル成分の5%トルエン溶液の粘度を「回転振動型粘度計ビスコメイトVM−1G」(山一電気株式会社製)を用いて測定した。結果を表1に示す。
【0080】
[比較例1]
実施例1において、(A−1)の代わりにフェニルトリエトキシシラン1.8g、オクタメチルシクロテトラシロキサンを500g用いた以外は実施例1と同様にして、平均粒径198nmの乳濁液を得た(「エマルジョン−2」)。この「エマルジョン−2」について、実施例1と同様にしてオイル成分の抽出を行い、乾燥後のオイル成分の5%トルエン溶液の粘度を測定した。結果を表2に示す。
【0081】
[実施例2]
実施例1において、重合時間を25℃で20時間とし、熟成を行わなかった他は、実施例1と同様にして、平均粒径190nmの均一な乳濁液を得た(「エマルジョン−3」)。この「エマルジョン−3」について、実施例1と同様にしてオイル成分の抽出を行い、乾燥後のオイル成分の5%トルエン溶液の粘度を測定した。結果を表1に示す。
【0082】
[比較例2]
実施例2において、(A−1)の代わりにフェニルトリエトキシシラン1.8g、オクタメチルシクロテトラシロキサンを500g用いた以外は実施例2と同様に行い、平均粒径210nmの均一な乳濁液を得た(「エマルジョン−4」)。この「エマルジョン−4」について、実施例1と同様にしてオイル成分の抽出を行い、乾燥したところ、オイル成分は揮発してしまい、重合があまり進行していなかった。結果を表2に示す。
【0083】
[実施例3]
実施例1において、(A−1)の代わりに(A−2)を用い、「ナノマイザーLA−31」をホモジナイザー「15M−8TA」(APVゴーリン社製)に変更し、圧力を200kgf/cm2とし、重合を50℃で20時間とした他は実施例1と同様にして平均粒径402nmの均一な乳濁液を得た(「エマルジョン−5」)。この「エマルジョン−5」について、実施例1と同様にしてオイル成分の抽出を行い、乾燥後のオイル成分の5%トルエン溶液の粘度を測定した。結果を表1に示す。
【0084】
[比較例3]
実施例3において、(A−2)の代わりにメチルトリメトキシシラン1.0g、オクタメチルシクロテトラシロキサンを500.8g用いた以外は実施例3と同様にして、平均粒径412nmの均一な乳濁液を得た(「エマルジョン−6」)。この「エマルジョン−6」について、実施例1と同様にしてオイル成分の抽出を行い、乾燥後のオイル成分の5%トルエン溶液の粘度を測定した。結果を表2に示す。
【0085】
[実施例4]
製造例2で合成した(A−2)31.4gとオクタメチルシクロテトラシロキサン470.4gの混合物に40%ベンジルジメチルドデシルアンモニウムヒドロキシド水溶液を50g、脱イオン水40gを添加し、ホモミキサーで1000rpmで撹拌することにより転相乳化を行い、更に撹拌速度を5000rpmで15分間撹拌した。更に脱イオン水383.1gを加えて希釈した。次いでこれを「ナノマイザーLA−31」(ナノマイザー株式会社製)で1000kgf/cm2の圧力で2回通過させ、乳化分散を行った。これを50℃で20時間静置することにより重合させ、更に15℃で24時間熟成を行い、5%の塩酸46gを添加し、pH6.8に中和し、平均粒径129nmの均一な乳濁液を得た(「エマルジョン−7」)。この「エマルジョン−7」について、実施例1と同様にしてオイル成分の抽出を行い、乾燥後のオイル成分の5%トルエン溶液の粘度を測定した。結果を表1に示す。
【0086】
[比較例4]
実施例4において、(A−2)の代わりにメチルトリメトキシシラン1.0g、オクタメチルシクロテトラシロキサンを500.8g用いた以外は実施例4と同様にして平均粒径132nmの均一な乳濁液を得た(「エマルジョン−8」)。この「エマルジョン−8」について、実施例1と同様にしてオイル成分の抽出を行い、乾燥後のオイル成分の5%トルエン溶液の粘度を測定した。結果を表2に示す。
【0087】
[実施例5]
実施例1において、(A−1)の代わりに製造例3で合成した(A−3)を20.5g、オクタメチルシクロテトラシロキサンを479.5g使用した他は、実施例1と同様にして、平均粒径190nmの均一な乳濁液を得た(「エマルジョン−9)。この「エマルジョン−9」について、実施例1と同様にしてオイル成分の抽出を行い、乾燥後のオイル成分の5%トルエン溶液の粘度を測定した。結果を表1に示す。
【0088】
[比較例5]
実施例1において、(A−1)の代わりにテトラエトキシシラン0.82g、オクタメチルシクロテトラシロキサンを500g用いた以外は実施例1と同様に行い、平均粒径185nmの均一な乳濁液を得た(「エマルジョン−10」)。この「エマルジョン−10」について、実施例1と同様にしてオイル成分の抽出を行い、乾燥後のオイル成分の5%トルエン溶液の粘度を測定した。結果を表2に示す。
【0089】
【表1】
【0090】
【表2】
【0091】
[実施例6]
Si原子数10以下の環状低分子シロキサン含有量が2.8重量%であり、式(i)で示される分岐単位含有オルガノポリシロキサン24.4g、Si原子数10以下の環状低分子シロキサン含有量が1.3重量%であり、式(ii)で示される末端ヒドロキシオルガノポリシロキサン415.6g、10%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液100gを2リットルポリエチレン製ビーカーに仕込み、ホモミキサーで均一に乳化した後、水366gを徐々に加えて希釈し、圧力29.4MPaで高圧ホモジナイザーに2回通し、均一な白色エマルジョンを得た。このエマルジョンを5℃に冷却し、10%ドデシルベンゼンスルホン酸水溶液50gを添加し、70時間重合反応を行った。その後、3%アンモニア水11gでpH8に中和し、「エマルジョンA」を得た。このエマルジョンは105℃で3時間乾燥後の不揮発分が44.5重量%であった。物性を表3に示す。
【0092】
【化19】
【0093】
[実施例7]
Si原子数10以下の環状低分子シロキサン含有量が2.6重量%であり、式(iii)で示される分岐単位含有オルガノポリシロキサン24g、Si原子数10以下の環状低分子シロキサン含有量が1.3重量%であり、上記式(ii)で示される末端ヒドロキシオルガノポリシロキサン416gを使用した以外は実施例6と同様の方法で「エマルジョンB」を得た。このエマルジョンは105℃で3時間乾燥後の不揮発分が44.6重量%であった。物性を表3に示す。
【0094】
【化20】
【0095】
[実施例8]
Si原子数10以下の環状低分子シロキサン含有量が3.0重量%であり、式(iv)で示される分岐単位含有オルガノポリシロキサン24.1g、Si原子数10以下の環状低分子シロキサン含有量が1.3重量%であり、上記式(ii)で示される末端ヒドロキシオルガノポリシロキサン415.9gを使用した以外は実施例6と同様の方法で「エマルジョンC」を得た。このエマルジョンは105℃で3時間乾燥後の不揮発分が44.5重量%であった。物性を表3に示す。
【0096】
【化21】
[実施例9]
エマルジョンの温度を20℃にしたこと以外は実施例6と同様にして「エマルジョンD」を得た。このエマルジョンは105℃で3時間乾燥後の不揮発分が43.6重量%であった。物性を表3に示す。
【0097】
[比較例6]
C6H5Si(OC2H5)3で示される3官能アルコキシシラン1.6g、Si原子数10以下の環状低分子シロキサン含有量が1.3重量%であり、上記式(ii)で示される末端ヒドロキシオルガノポリシロキサン438.4gを使用した以外は実施例6と同様の方法で「エマルジョンE」を得た。このエマルジョンは105℃で3時間乾燥後の不揮発分が44.4重量%であった。物性を表3に示す。
【0098】
[比較例7]
C6H5Si(OC2H5)3で示される3官能アルコキシシラン1.6g、オクタメチルシクロテトラシロキサン438.4gを使用したこと以外は比較例6と同様の方法で「エマルジョンF」を得た。このエマルジョンは105℃で3時間乾燥後の不揮発分が40.0重量%であった。物性を表3に示す。
【0099】
上記で得られた「エマルジョンA〜F」を使用して、コーティング剤として公知の以下の組成で配合し、乾燥皮膜のゴム弾性を測定した。結果を表3に併記する。
【0100】
(組成)
エマルジョンA〜F 100重量部
皮膜補強剤(コロイダルシリカ20%スラリー) 30重量部
密着向上剤No.1 5重量部
密着向上剤No.2 2重量部
縮合触媒(ジオクチルスズジラウレートの30%エマルジョン) 1重量部
(注)
密着向上剤No.1:無水マレイン酸と(C2H5O)3SiC3H6NH2との反応生成物
【化22】
【0101】
(ゴム弾性測定)
上記配合物を125×80mmのトレーに20g採取し、室温で2日間風乾後、105℃/1時間キュアーさせて得られたゴムシートをJIS K−6249に準拠して「伸び」特性を測定した。コーティング剤として使用する際の目標レベルは250%以上である。
【0102】
【表3】
[低分子シロキサン含有量]
エマルジョン1ccに水10cc、メタノール10cc、n−ヘキサン20ccを添加、振盪してシロキサンを抽出したヘキサン相のガスクロ分析により定量した。
[5%トルエン溶液粘度]
エマルジョン5ccをIPA50ccに撹拌しながら添加してシロキサンを分離し、105℃で1時間乾燥後トルエンに溶解して5%溶液とし、オストワルド粘度計で測定した。
【0103】
【発明の効果】
本発明によれば、分岐状オルガノポリシロキサン及び分岐状オルガノポリシロキサン乳化重合物を重合時間を短縮して製造することができる。
Claims (3)
- (A)下記一般式(1)
で示される分岐状オルガノポリシロキサン、及び
(B)下記一般式(7)
で示される環状オルガノポリシロキサン及び下記一般式(8)
で示される鎖状オルガノシロキサンから選ばれる低分子オルガノシロキサン
よりなるオルガノポリシロキサン混合物に、(C)酸性又は塩基性の界面活性剤を添加して水中に乳化分散させ、該乳化物中で重合することを特徴とする分岐状オルガノポリシロキサンエマルジョンの製造方法。 - (D)下記一般式(2)
で示され、かつケイ素原子数が10以下の環状低分子シロキサン含有量が5重量%以下である分岐状オルガノポリシロキサン、
(E)下記一般式(3)
で示され、かつケイ素原子数が10以下の環状低分子シロキサン含有量が5重量%以下である末端ヒドロキシオルガノポリシロキサン
よりなるオルガノポリシロキサン混合物に、(C)酸性又は塩基性の界面活性剤を添加して水中に乳化分散させ、該乳化物中で重合することを特徴とする重合後のシロキサン中の、ケイ素原子数が10以下の環状低分子シロキサン含有量が5重量%以下である分岐状オルガノポリシロキサンエマルジョンの製造方法。
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