JP3978211B2 - 抄紙機のスムージングプレス及びスムージングプレス付き抄紙機用プレス - Google Patents
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Description
なお、ノーオープンドロー型プレスとは、図9に示すように、抄紙機のプレス部2において湿紙1の両面又は片面がフェルトやベルト等で常に保持された状態で湿紙1が走行するプレス構成をいい、オープンドロー型プレスとは、図10に示すように、抄紙機のプレス部2において湿紙1の両面ともフェルトやベルト等で保持されていない状態で湿紙1が走行するプレス構成をいう。
この例では、最終搾水プレス4は、プレスロール(又はシュープレス)4aとプレスロール4bとをそなえて構成されており、これらプレスロール4a,4bのニップ圧により湿紙1に含まれる水分をフェルト6a,6bに移動させて搾水を行なうようになっている。
このようなノーオープンドロー型プレスは、例えば米国特許第5611892号明細書(以下、特許文献1という)及び特公平3−45156号公報(米国特許第4493351号明細書。以下、特許文献2という)に開示されており、これら特許文献1,2の技術でも、プレス部において湿紙をフェルトやベルトに保持させた状態(即ちノーオープンドロー)で搾水を行ない、その後ドライヤ部3へ移送する構成となっている。
スムージングプレス10は最終搾水プレス4の下流側に設けられ、表面にソフトカバー(例えばゴム外皮)が装着されたプレスロール10aと、表面にハードカバー(ソフトカバーよりも硬質な外皮)が装着されたプレスロール10bとをそなえて構成されている。
ところで、上述したようにノーオープンドロー型プレスでは、湿紙1をフェルトやベルトで保持しているので高速運転時にも湿紙1を安定して走行させることが可能であり、湿紙1の損傷を防止でき、通紙性も良好になる。
特に、最近ではプレス部内のプレス装置の数を減らす傾向にあり、プレス装置の数を減らすとニップ部の数が減少することになるため、プレス部における搾水効率が低下してしまう。このため、より表面の繊維直径(バット径)を太くしたフェルトを用いて脱水性を向上させることが考えられるが、湿紙1表面の平滑性がさらに低下してしまう。詳述すると、通常の多段型プレスでは、前段部のプレスには搾水性を重視して表層の繊維直径(バット径)が太い(14〜18d)フェルトを用い、後段のプレスには表面性を重視して表層の繊維直径(バット径)が細い(6〜10d)フェルトを用いているが、それにもかかわらずフェルト側の紙の平滑性はロール側に比べて低い(荒い)傾向にある。特に、プレス段数を低減させた場合、フェルトには搾水性と平滑性の相反する機能が要求され、フェルト側のみの対応では不十分である。
このように、従来のノーオープンドロー型プレス及びオープンドロー型プレスには一長一短があり、特に、抄紙機の運転を高速化しようとした場合、湿紙1を安定走行させながら湿紙1の平滑性を向上させることは困難であった。
すなわち、本発明の抄紙機のスムージングプレスは、抄紙機のプレス部の最終段のプレスとして設けられ、走行する湿紙の表面を平滑にすべく機能するスムージングプレスであって、該湿紙の一面を保持しながら該湿紙の走行を案内する弾性部材と、該湿紙の他面に接し、表面が硬質材で形成される第1のプレスロールと、表面が硬質材で形成され、該弾性部材を介して前記第1のプレスロールと協働してニップ圧を発生させて該湿紙を押圧する第2のプレスロールとをそなえ、該湿紙は、前記第1のプレスロールと前記第2のプレスロールとによってニップ圧が加えられた後、前記第1のプレスロールとともにカンバスまで移動し、該カンバスを介してドライヤ部へ移送されることを特徴としている。
また、ノーオープンドロー型プレスでは、シュープレスを適用する例が多く、その高い搾水性能から湿紙の平滑性が悪化する傾向にあるが、本発明によりスムージングプレスを併用することができ、シュープレスの場合にも湿紙の平滑性を改善できる。
また、前記弾性部材は、通気性を有さない通紙ベルトであることが好ましい。あるいは、前記弾性部材は、通気性を有する表面性改善用フェルトであることが好ましい。
本発明の第1のスムージングプレス付き抄紙機用プレスは、上述した弾性部材が通紙ベルトであるスムージングプレスをそなえた抄紙機用プレスであって、該スムージングプレスの上流側に、該プレス部の最終搾水プレスから該スムージングプレスへ該湿紙を搬送する搬送ベルトと、該湿紙を該搬送ベルトと前記通紙ベルトとの間に挟んだ状態で該湿紙にニップ圧を発生させる一対のニップトランスファロールとをそなえ、前記通紙ベルトの硬度が、該搬送ベルトの硬度よりも高く設定されていることを特徴としている。
本発明の第2のスムージングプレス付き抄紙機用プレスは、上述した弾性部材が表面性改善用フェルトであるスムージングプレスをそなえた抄紙機用プレスであって、該スムージングプレスの上流側に、該プレス部の最終搾水プレスから該スムージングプレスへ該湿紙を搬送する搬送フェルトと、前記表面性改善用フェルトを介して該搬送フェルト上の該湿紙を吸引するサクションロールとをそなえていることを特徴としている。
本発明の第3のスムージングプレス付き抄紙機用プレスは、上述した弾性部材が通紙ベルトであるスムージングプレスをそなえた抄紙機用プレスであって、該スムージングプレスの上流側に設けられた一対のニップトランスファロールと、該ニップトランスファロールの上流側に設けられた案内ロールとをそなえ、前記通紙ベルトは、該案内ロールを介して該ニップトランスファロールのニップ部に突入するように構成されていることを特徴としている。
(A)第1実施形態
図1は、本発明の第1実施形態としてのスムージングプレス付き抄紙機用プレスを説明するための概略構成図である。なお、図1において、前述した従来例と同一のものについては同一の符号を用いて示している。
なお、最終搾水プレス4は、ここではプレスロール(又はシュープレス)4aとプレスロール4bとをそなえて構成されており、これらプレスロール4a,4bのニップ圧により湿紙1に含まれる水分をフェルト6a,6bに移動させて搾水を行なうようになっている。
このような通紙ベルト13をプレスロール12a,12bの間に挟んでプレスロール12a,12bでニップ圧を発生させることにより、通紙ベルト13はこのニップ部で弾性変形を起こすので、ニップ幅を確保できるようになっている。
通常、湿紙1は、ニップ圧が加えられた場合、表面のより滑らかな方に貼り付いて移動するので、通紙ベルト13とフェルト6bとに挟まれた状態でニップトランスファロール11a,11b間でニップ圧が加えられると、湿紙1はフェルト6bよりも表面が滑らかな通紙ベルト13に貼り付いて、フェルト6b上から通紙ベルト13上へ走行路を変更する。
なお、フェルト6bの代わりに、通紙ベルトAを用いても良い。この場合、この通紙ベルトAは当然ながら、通常のフェルトよりも表面が非常に滑らかで、且つ通気性を有さない(水分を全く吸収しない)ゴムベルト等で構成される。このように構成すれば、最終搾水プレス4のニップ部において湿紙1はフェルト6aよりも表面の滑らかな通紙ベルトAに貼り付いて移動するので、サクションロール5bを設ける必要はない(即ち、この場合、湿紙は図1に符号Lで示す二点鎖線のように走行する)が、上記のフェルト6bに代わる通紙ベルトAは湿紙の搬送先の通紙ベルト13よりも表面平滑性を低下させるか、或いは低い硬度に設定しておくことが必要である。
その後、湿紙1は、カンバス7cを介してドライヤ部3に移送され、1番ドライヤ3aから図示しない2番ドライヤ,3番ドライヤと順に経由し、湿紙1の乾燥が行なわれる。なお、図1中の符号20a,20bは真空ロールである。
また、従来、オープンドロー型プレスにしか設置できなかったスムージングプレスを、ノーオープンドロー型プレスに設置することができ、オープンドロー部分がないので、通紙性が良く、高速運転時においても安定して湿紙1を搬送させることができる。つまり、抄紙機の高速化が可能であり、抄紙機の高速運転時においても湿紙1の通紙性及び平滑性を向上することが可能である。
また、従来のノーオープンドロー型プレスではシュープレスを適用する例が多く、その高い搾水性能から湿紙1の平滑性が悪化する傾向にあるが、本発明によりスムージングプレスを併用することができ、シュープレスの場合にも湿紙1の平滑性を改善できる。
図2は、第1実施形態の変形例1を示す概略構成図である。以下、第1実施形態とは異なる点について説明する。
図2に示すように、変形例1では、ニップトランスファロール11a,11bの上流側に案内ロール19が設けられ、通紙ベルト13がこの案内ロール19を介してニップトランスファロール11a,11bのニップ部に突入するようになっている。
(A−2)変形例2
図3は、第1実施形態の変形例2を示す概略構成図である。以下、第1実施形態とは異なる点について説明する。
表面性改善用フェルト14は、通気性を有しているが、通常の搾水用フェルトよりも表面が非常に滑らかに形成されており、通紙ベルト13と同様に、湿紙1の表面を平滑にすべく機能するものである。通常の搾水用フェルトは通気度20cc/(sec・cm2)程度であるが、本発明における表面性改善用フェルト14は通気度10cc/(sec・cm2)以下に設定されている。
(A−3)変形例3
図4は、第1実施形態の変形例3を説明するためのもので、第1実施形態のスムージングプレスを、図10に示す従来の抄紙機用プレスに適用した場合の概略構成図である。
これにより、湿紙1は、フェルト6c,6dに挟まれた状態でプレスロール9a,9bのニップ部で搾水された後、プレスロール9cとプレスロール9dとのニップ部、及び、プレスロール9cとプレスロール(又はシュープレス)9eとのニップ部で搾水される。
このように、プレスロール9cに通紙ベルト15を掛け、ニップトランスファロール11a,11bにより湿紙1を移送する構成とすることで、図10に示すような従来の抄紙機用プレス(クラスタープレス)にも適用可能である。また、通紙ベルト13の代わりに表面性改善用フェルトを適用し、ニップトランスファロール11a,11bの代わりにサクションロールを適用することも可能である。
図5は、本発明の第2実施形態としてのスムージングプレス付き抄紙機用プレスを説明するための概略構成図である。
以下、第1実施形態と異なる点について説明する。
図5に示すように、本抄紙機用プレスにそなえられるスムージングプレス12では、プレスロール12aに掛け渡される通紙ベルト13が、最終搾水プレス4のニップ部にも掛け渡されてそなえられている。
本実施形態の抄紙機のスムージングプレスは、上述のように構成されているので、図5に示すように、最終搾水プレス4上流側のプレス又はフォーマを経由してきた湿紙1は、ニップトランスファロール11a,11bによりフェルトから通紙ベルト13に移送された後、フェルト6bと通紙ベルト13とに挟まれた状態で最終搾水プレス4のニップ部にて搾水が行なわれる。
このように、本抄紙機用プレスによれば、第1実施形態のサクションロール5a,5bやフェルト6a等(図1参照)を必要としないので、第1実施形態の効果に加え、コストを低減できるとともに、装置のコンパクト化が可能である。
図6は、第2実施形態の変形例1を示す概略構成図である。以下、第2実施形態とは異なる点について説明する。
図6に示すように、変形例1は、ニップトランスファロール11a,11bの代わりに、最終搾水プレス4上流側の前段プレス16から搬送されてきた湿紙1を吸引するサクションロール5dと、このサクションロール5dにより吸引された湿紙1を保持して搬送するフェルト17と、このフェルト17に保持されている湿紙1を吸引してフェルト6bへ移送するサクションロール5eとをそなえた構成となっている。
図7は、第2実施形態の変形例2を説明するためのもので、第2実施形態のスムージングプレスを、図10に示す従来の抄紙機用プレスに適用した場合の概略構成図である。
図7に示すように、変形例2では、湿紙1は、プレスロール9cとプレスロール9eとの間のニップ部を通過した後、オープンドローでペーパロール18を介してフェルト6fに移送される。そして、このフェルト6fと通紙ベルト13とに保持された状態で最終搾水プレス4により搾水された後、通紙ベルト13に片面を保持された状態でスムージングプレス12により湿紙1表面の平滑化が行なわれる。
(B−3)変形例3
図8は、第2実施形態の変形例3を説明するためのもので、第2実施形態のスムージングプレスを、図10に示す従来の抄紙機用プレスに適用した場合の概略構成図である。
したがって、湿紙1は、プレスロール9cとプレスロール(又はシュープレス)9eとのニップ部を通過した後、通紙ベルト15に保持された状態(ノーオープンドロー)で、ニップトランスファロール11a,11bのニップ圧を受けて通紙ベルト13へ移送された後、最終搾水プレス4により搾水され、通紙ベルト13に片面を保持された状態でスムージングプレス12により湿紙1表面の平滑化が行なわれる。
(C)その他
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
Claims (8)
- 抄紙機のプレス部の最終段のプレスとして設けられ、走行する湿紙の表面を平滑にすべく機能するスムージングプレスであって、
該湿紙の一面を保持しながら該湿紙の走行を案内する弾性部材と、
該湿紙の他面に接し、表面が硬質材で形成される第1のプレスロールと、
表面が硬質材で形成され、該弾性部材を介して前記第1のプレスロールと協働してニップ圧を発生させて該湿紙を押圧する第2のプレスロールとをそなえ、
該湿紙は、前記第1のプレスロールと前記第2のプレスロールとによってニップ圧が加えられた後、前記第1のプレスロールとともにカンバスまで移動し、該カンバスを介してドライヤ部へ移送される
ことを特徴とする、抄紙機のスムージングプレス。 - 前記第1のプレスロール及び前記第2のプレスロールの上流側には、そのニップ圧で該湿紙の搾水を行なう最終搾水プレスが設けられており、
前記弾性部材は、前記第1のプレスロール及び前記第2のプレスロール間のニップ部に通される一方、該最終搾水プレスのニップ部には通されていない
ことを特徴とする、請求項1記載の抄紙機のスムージングプレス。 - 前記弾性部材は、通気性を有さない通紙ベルトである
ことを特徴とする、請求項1又は2記載の抄紙機のスムージングプレス。 - 前記弾性部材は、通気性を有する表面性改善用フェルトである
ことを特徴とする、請求項1又は2記載の抄紙機のスムージングプレス。 - 前記第1のプレスロール及び第2のプレスロールの表面の硬度は、JIS99°以上JIS100°以下である
ことを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載のスムージングプレス。 - 請求項3記載のスムージングプレスをそなえた抄紙機用プレスであって、
該スムージングプレスの上流側に、該プレス部の最終搾水プレスから該スムージングプレスへ該湿紙を搬送する搬送ベルトと、該湿紙を該搬送ベルトと前記通紙ベルトとの間に挟んだ状態で該湿紙にニップ圧を発生させる一対のニップトランスファロールとをそなえ、
前記通紙ベルトの硬度が、該搬送ベルトの硬度よりも高く設定されている
ことを特徴とする、スムージングプレス付き抄紙機用プレス。 - 請求項4記載のスムージングプレスをそなえた抄紙機用プレスであって、
該スムージングプレスの上流側に、該プレス部の最終搾水プレスから該スムージングプレスへ該湿紙を搬送する搬送フェルトと、前記表面性改善用フェルトを介して該搬送フェルト上の該湿紙を吸引するサクションロールとをそなえている
ことを特徴とする、スムージングプレス付き抄紙機用プレス。 - 請求項3記載のスムージングプレスをそなえた抄紙機用プレスであって、
該スムージングプレスの上流側に設けられた一対のニップトランスファロールと、
該ニップトランスファロールの上流側に設けられた案内ロールとをそなえ、
前記通紙ベルトは、該案内ロールを介して該ニップトランスファロールのニップ部に突入するように構成されている
ことを特徴とする、スムージングプレス付き抄紙機用プレス。
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