JP3977077B2 - 記録物、記録物の製造方法及び画像堅牢性の向上方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、多孔質構造のインク受容層にインクジェット法により形成した画像の堅牢性を向上させる技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録により高品位の印字または画像を得ようとする場合、主にインク組成の改良と、被記録媒体の改良の両面より工夫が行われている。得られる画像はにじみのない、色再現性に優れる等の画質面と、更に形成された高品質の画質を長期間維持する、すなわち太陽光、室内光などによる劣化、さらには空気中の窒素酸化物、硫黄酸化物、硫化水素、塩素、オゾン、アンモニアその他の物質による劣化に対して耐性を有することが求められる。また、画像が物理的な強さを有すること、展示、アルバム保存などによっても擦れ等により画質が損なわれないことが求められる。
【0003】
また、インク等の記録用の液体(記録液)の微小液滴を種々の作動原理により飛翔させて、紙などの被記録媒体に付着させ、画像、文字などの記録を行うインクジェット記録方法は、高速低騒音、多色化が容易であり、記録パターンへの融通性が大きく、現像が不要であるなどの特徴があり、プリンタ単体への展開をはじめとして、複写機、ワープロ、ファクシミリ、プロッター等の情報機器における出力部への展開がさらに行われ、急速に普及している。更に、近年、高性能のデジタルカメラ、ビデオカメラ、スキャナー等が安価に提供されつつあり、パーソナルコンピュータの普及と相俟って、これらから得た画像情報の出力にインクジェット記録方法を採用したプリンタが極めて好適に用いられるようになってきている。このような背景において、銀塩系写真や製版方式の多色印刷と比較して遜色のない画像を、手軽にインクジェット記録方式で出力することが求められるようになってきた。
【0004】
一方で、銀塩系写真に匹敵する記録画像の保存性も要求されるようになってきており、記録画像の保存性向上を目的としたインク組成物の改良、被記録媒体の改良が行われている。具体的には、画像の光に対する保存性を改良する方法として、特公平6−30951号公報には特殊なカチオン化合物を含む被記録媒体が、同4−28232号公報には耐光性改良剤としてアミノアルコールを含む被記録媒体が、同4−34512号公報、特開平11−245504号公報には耐光性改良剤として、ヒンダードアミン化合物を含む被記録媒体が開示されている。また、特公平8−13569号公報には、記録画像を室内に保管した時の変色(主に、黒インクが茶色に変色する現象)とオゾンガスによる変色との関係が開示されており、表面の活性を抑えたシリカ系顔料が室内における画像の変色に対して効果的であることが開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、例えば、記録画像を室内に展示してあるような場合に起こる褪色現象は、画像全体が赤みを帯びたり、緑みがかかったり、非印字部が黄変したりというように様々である。また、原因となる要因も光のみに限らず、空気中の各種のガスや、温度、湿度の影響等複合した要因が考えられる。そこで、画像の褪色現象を総合的な要因から解決する方法が求められている。
【0006】
また、銀塩写真に匹敵する画像形成が可能な被記録媒体(以下、フォト用記録要素ともいう)は優れた染料の発色性を達成するために透明性の高い材料構成を有している。このようなフォト用記録要素において、画像の保存性を改良するために前記のような耐光性改良剤のような添加剤を多量に含有させると記録画像の透明性が低下し画像記録品位の低下を招く場合があるという問題があった。このように、フォト用記録要素に画像堅牢性を付与するには、記録特性とのバランスの面で更に解決すべき課題がある。
【0007】
本発明の目的は、インクジェット記録方式を用いて得られる画像の画像品位は低下せずに画像堅牢性が向上した記録物とその製造方法を提供することである。また本発明の目的は、インクを被記録媒体に付着させて記録を行うインクジェット記録方式を用いて形成された記録物に好適に使用でき、画像濃度、色調、解像度等の画像品位を低下させることなしに記録画像の堅牢性を向上させることのできる方法を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかる記録物は、多孔質構造のインク受容層を備え、且つ、該インク受容層がインクジェット法によって付与された色材により画像が形成されている領域を有する記録物であって、
該領域は、インク受容層の厚さ方向に分布している色材の全てまたは実質的に全てが、該色材を溶解しない、不揮発性の液体中にある部分を有し、
該不揮発性の液体が、シリコーンオイル及び下記構造式(6)で示される置換基を1つ以上有するヒンダードアミン化合物を含むことを特徴とするものである。
【化4】
(上記式(6)中、R9は、水素原子またはアルキル基、R10〜R13は、各々独立に、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を示す。)
【0010】
また、本発明にかかる記録物の製造方法は、多孔質構造のインク受容層を備え、且つ、該インク受容層が色材により画像が形成されている領域を有する記録物の製造方法であって、
(i)該インク受容層にインクをインクジェット法によって付与して、該インクに含有された色材により画像が形成された領域を得る工程、
(ii)該インク受容層に、該色材を溶解しない不揮発性の液体を含む液体を付与する工程、及び
(iii)該画像が形成された領域に、インク受容層の厚さ方向に分布している該色材の全てまたは実質的に全てが該不揮発性の液体中にある部分を形成する工程を有し、
該不揮発性の液体が、シリコーンオイル及び下記構造式(6)で示される置換基を1つ以上有するヒンダードアミン化合物を含むことを特徴とするものである。
【化5】
(上記式(6)中、R9は、水素原子またはアルキル基、R10〜R13は、各々独立に、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を示す。)
【0011】
また、本発明にかかる記録物の画像堅牢性向上方法は、多孔質構造のインク受容層を備え、且つ、該インク受容層がインクジェット法によって付与された色材により画像が形成されている領域を有する記録物の画像堅牢性向上方法であって、
該画像が形成されている領域に、インク受容層の厚さ方向に分布している該色材の全てまたは実質的に全てが該色材を溶解しない、不揮発性の液体中にある部分を形成する工程を有し、
該不揮発性の液体が、シリコーンオイル及び下記構造式(6)で示される置換基を1つ以上有するヒンダードアミン化合物を含むことを特徴とするものである。
【化6】
(上記式(6)中、R9は、水素原子またはアルキル基、R10〜R13は、各々独立に、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を示す。)
【0013】
上記の不揮発性液体を画像堅牢性向上剤として利用できる。この画像堅牢性向上剤は、多孔質構造のインク受容層を備え、且つ、該インク受容層が色材により画像が形成されている領域を有する記録物の画像堅牢性向上剤であって、該色材を溶解しない、不揮発性の液体を主として含んでいることを特徴とするものである。
【0014】
上記の画像堅牢性向上剤を用いて画像の堅牢性向上化キットを提供することができる。このキットは、多孔質構造のインク受容層を備え、且つ、該インク受容層が色材により画像が形成されている領域を有する記録物の該画像の堅牢性向上化キットであって、 上記の画像堅牢性向上剤を含んでいる容器と、該液体を該インク受容層表面に供給したのちに、該表面に対して、ふき取り及び研磨の少なくとも一方を行う為の部材とを具備していることを特徴とするものである。
【0015】
上記構成の画像堅牢性向上剤を用いてディスペンサを提供することができる。
【0016】
上記構成の画像堅牢化向上剤を用いてアプリケータを構成することができる。このアプリケータは、上記構成の画像堅牢性向上剤を貯蔵する貯蔵部と、該画像堅牢性向上剤の塗布部材とが一体化され、該貯蔵部内の画像堅牢性向上剤が塗布部材表面に滲出可能に構成されていることを特徴とするものである。
【0018】
上記の画像堅牢性向上剤を用いて他の画像堅牢性向上化キットを提供することができる。このキットは、多孔質構造のインク受容層を具備している被記録媒体及び上記画像堅牢性向上剤を備えていることを特徴とするものである。
【0019】
そしてかかる構成を採用することによって、コート紙などのインク受容層を備えた被記録媒体に水性インク等により形成した画像を有する記録物の堅牢性、特にNOx、SOxやオゾンなどのガスに対する堅牢性を驚異的に向上させることができ、また画像の色味自体にも、より一層の深みを加えることが可能となる。また、特開昭56−77154号公報には多孔性構造を有するインクジェットシートの空隙を、不揮発性の物質で充填することが記載されているが、本発明にかかる具体的技術については何ら開示がない。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に本発明にかかる記録物の1例の断面図を用いて詳細に説明する。本発明にかかる記録物とは、例えば、図2(b)に示すように、支持体(1000)表面に、微粒子(1005)を含む多孔質構造のインク受容層(1003)を備え、該微粒子の表面に吸着した色材(1009)により画像が形成されている領域を有する記録物であって、該領域の少なくとも一部は該インク受容層の厚さ方向に分布している該色材の全てまたは実質的に全てが、画像堅牢性向上剤1001(以下、向上剤)中にあるものである。そして、該記録物は、インク受容層の厚さ方向に分布している色材の全てが向上剤中にあるようにすることで、該向上剤が付与された画像領域の画像堅牢性の向上が達成される。また、本発明にかかる記録物のインク受容層は多孔質構造であれば、特に微粒子を含むものに限定されるものではない。
【0021】
本発明によってインク受容層を有する被記録媒体に形成した水性インク等による記録物(プリント物)の色味の改善や耐ガス性の驚異的な向上が達成される理由は以下のようなメカニズムによるものと考えられる。
【0022】
図1は、紙などからなる支持体上に微粒子からなる多孔質構造のインク受容層を備える、いわゆるコート紙の断面構造を模式的に示している。図1において、1000は支持体、1003は、支持体1000に保持されているインク受容層である。インク受容層1003は、微粒子1005を含む多孔質構造を形成しており、微粒子は、結着剤1007によって固定されている。そしてこのようなコート紙に付与されたインク滴は、インク受容層1003に染み込んでいく過程において、インクに含まれる色材1009が微粒子1005の表面に吸着され、画像が形成される。
【0023】
このようにして記録の為されたコート紙の表面に、図2(a)に示した様に、向上剤1001を供給するのみでは、インク受容層の厚さ方向に分布している色材の全てが必ずしも向上剤中にあるとは限らない。そこで、インク受容層の比較的深部にある色材をも向上剤中にあらしめるために、インク供給後にラビング処理を行うと、向上剤は、インク受容層1003中の孔部、ここでは微粒子1005の隙間(間隙)1011を充填していく。向上剤は、非水系の物質であることから、粒子間にトラップされている水性インクの水性媒体を次々と置換していき、微粒子表面に吸着している色材の周囲も被覆していく。そして、最終的に図2(b)に示した様に、間隙1011が向上剤1001で充填され、インク受容層の厚さ方向に分布している色材の全てまたは実質的に全てが向上剤中にあるようになると、色材1009は大気中のSOXやNOXなどのガスあるいはそれらを含む水分との接触を断たれることとなる。その結果、インク受容層中の色材の劣化が抑制され、画像の堅牢性の向上が図られるものと考えられる。また、本発明による画像の堅牢性向上効果と共に得られる色味の改善、印字濃度向上、光沢度の向上の効果は、インク受容層を形成している物質と孔部(空気)、ここでは微粒子と間隙(空気)との屈折率の差によって生じていたインク受容層表面および内部における光の乱反射が、該間隙が向上剤で充填されることによって抑制される為であると考えられる。
【0024】
特開平9−48180号公報には水性インク印字物をシリコーンオイルなどで被覆することで耐水性を向上させることが開示されている。しかし、当該公知資料には、多孔質構造のインク受容層を有する被記録媒体を用いて形成した印字物にかかる保護剤を適用することについては何ら開示されておらず、またその効果についても何ら示唆していない。また、本発明者らの検討によれば、単に印字物を被覆するだけでは、本発明で目的とする画像堅牢性を満足に得ることができなかった。これは、インク受容層中に向上剤で充填されていない孔部が残っており、そこに存在する色材が劣化する為であると考えられる。このことは、残存孔部にガス成分や水分を含んだまま記録物の表面が被覆されるため、逃げ道を失ったガスや水分の作用により、その孔部部分から徐々に画像の劣化が進展していくという現象からも説明でき、本発明による耐ガス性の向上効果が、インク受容層中の色材の周囲が堅牢性向上剤で被覆され、空気や水分との接触から遮断されてしまうことによるものであることの裏付けになると考えられる。つまり、本発明はインク受容層の厚さ方向に存在する色材の全てまたは実質的に全てが被覆されるに十分な向上剤を供給すると共に、ラビング処理等によって、該向上剤を十分にインク受容層中の孔部に充填する、という作業を経て漸く達成されるものであり、単にインク受容層表面を被覆するという思想のもとで為される記録物表面への噴霧や塗布だけでは、本発明によって得られるような色味の改善や耐ガス性の向上などの効果を確実に享受することは困難である。本発明は、さらに好ましくは、インク受容層内に空気や水分を残留させないために、インク受容層の厚さ方向に存在する孔部の全てあるいは実質的に全てを該向上剤によって充填させるものであり、この場合、当然ながら、インク受容層の厚さ方向に存在する全てあるいは実質的に全ての色材が該向上剤中にある。
【0025】
本発明で用いられる堅牢性向上剤は、液体の状態でインク受容層に付与される。そのため、インク受容層への浸透が容易に行われ、かつインク受容層内の多孔質構造の形状に対応して変形し、向上剤中への色材の取り込み効果を十分に発揮することが可能である。しかも、液体としてインク受容層内に保持されることで、記録物に許容できる変形を生じさせた場合において、インク受容層の多孔質構造、例えば間隙の内壁や微粒子が含有されている場合における微粒子の外壁との向上剤の接触状態が良好に維持される。
【0026】
一方、向上剤を、ワックスなどの通温において固形状態の形態とした場合は、インク受容層への浸透に圧力を必要としたり、均一な浸透状態が得られ難いなどの問題がある。更に、揮発性溶剤により希釈された状態で適用され、適用後に固化するもの、あるいは液体で適用された後に固化する成分を含むものなどの形態とした場合は、固化する過程で水分や気泡の取り込みによる向上剤の相の白濁化が生じる場合があり、更に、固化する際の体積減少が生じた場合には、向上剤の相と多孔質構造との間に空隙が生じ、色材の保護機能が減少するおそれがある。本発明で用いられる向上剤は、液体状態で供給され、液体状態のままインク受容層内に保持されるので、このような固体、あるいは適用後に固化する形態のものを用いた際に生じる不都合を回避することができる。インク受容層の局所的な熱分析等の方法により、物質溶解時の熱挙動(吸熱、発熱)がないことを確認することによって、インク受容層中に液体状態で保持されていることを確認することが可能である。
【0027】
本発明で用いる、ラビング処理とは、堅牢性向上剤をインク受容層中の孔部に積極的に充填させるための拭き取りおよび研磨の少なくとも一方の処理を示す。
【0028】
なお、本発明者らは、本発明による効果が十分に得られている印字物の断面構造をSEMにて観察した。ここで用いた印字物のインク受容層は微粒子から形成されている。このときに、向上剤の浸透先端が認識できるように、向上剤に可溶な染料で該向上剤を着色した。その結果、向上剤はインク受容層の全厚み方向に渡り、浸透しており、またインク受容層中の微粒子間の間隙は向上剤で充填され、インク受容層の厚さ方向に存在する色材の全てが向上剤中にあることが確認できた。このことからも、単なる被覆ではなく、インク受容層の間隙に向上剤を積極的に充填せしめることの重要性が理解されよう。
【0029】
本発明に用い得る各構成要素について以下に説明する。
【0030】
A:画像堅牢性向上剤
本発明で用いられる画像堅牢性向上剤としては、画像の形成に用いる色材の種類によって異なるが、ここでは、一例として、現在のインクジェットプリンタの主流である水溶性の染料を含んでいる水性インクで形成された画像の堅牢性を向上させるために好適に用い得る画像堅牢性向上剤について説明する。本発明に用いられる画像堅牢性の向上剤としては、常温(15〜30℃)・常圧で液体状態であり、色材を溶解しない不揮発性の物質であることが好ましいが、本発明の効果を達成する範囲であれば、主として上記した性質をもつ不揮発性の物質を含み、更に他の物質を含んでいても良い。画像堅牢性向上剤として好ましく用いられる物質として、具体的には、シリコーンオイル、脂肪酸エステルやヒンダードアミンなどが挙げられる。本発明では、不揮発性の物質としてシリコーンオイル及び先に示した構造式(6)で示される置換基を1つ以上有するヒンダードアミンを含むものが用いられる。更にまた、これら向上剤を使用することで、インク受容層表面の光沢感も出すことができ、視覚的にも更に好ましい記録物を得ることができる。不揮発性の物質とは、例えば、口径4.5cmの100mlサンプル瓶に該物質を50g入れ、開放系で300時間、100℃加熱保存した際の重量変化が0.5%以下のものであり、該不揮発性物質を用いて本発明にかかる製造方法で製造した記録物を80℃の恒温槽に5時間放置した後でも、画質の変化はほとんどない。
【0031】
A−a:シリコーンオイル
本発明で用いられる画像堅牢性の向上剤として用いることのできるシリコーンオイルとしては、例えばジメチルシリコーンオイルに代表されるストレートシリコーンオイルやアルキル基変性シリコーンオイルに代表される有機変性シリコーンオイル等が含まれるが、特には下記構造式(1)で示されるようなシリコーンオイルが好ましい。
【0032】
【化29】
【0033】
上記式(1)中、R1、R2、R3、R4は各々独立してフェニル基、置換若しくは未置換のアルキル基、UV吸収能あるいは抗酸化能を有する機能性置換基からなる群より選択される。アルキル基としては、例えば炭素数1〜20の直鎖状若しく は分岐鎖状のアルキル基が挙げられ、またアルキル基の少なくとも1つの水素原子が、例えばハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子など)、1級もしくは2級のアミノ基等で置換されていてもよい。UV吸収能あるいは抗酸化能を有する機能性置換基としては、例えば、以下に示す一般式(17)〜(19)から選ばれるリンカーの末端が、一般式(20)〜(22)から選ばれる置換基で置換されたものが挙げられる。
【0034】
<リンカー>
【0035】
【化30】
【0036】
R20〜R25は、各々、水素原子、C=1〜10の直鎖または分岐鎖状のアルキル基、ハロゲン原子、アミノ基からなる群より選択され、更にこのアルキル基は、アルキル基の少なくとも1つの水素原子が、例えばハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子など)、1級もしくは2級のアミノ基等で置換されていてもよい。qは1〜20の整数である。
<置換基>
【0037】
【化31】
【0038】
上記式中、Meはメチル基を、t−C4H9はtert-ブチル基をそれぞれ表す。
【0039】
また、上記一般式(1)中のx及びyは各々独立して0または正の整数であり、且つ、後述する向上剤の好ましい粘度や不揮発性の液体の粘度を満たす様、適宜選択することが好ましい。但し、xとyとが同時に0となることはない。
上記式(1)で示されるシリコーンオイルの中でも、特に取り扱い易さ、画像堅牢性向上効果の観点から、ジメチルシリコーンオイル、フッ素化アルキル基を側鎖に有するフッ素変性シリコーンオイル、アルキル基を側鎖に有するアルキル変性シリコーンオイル、1級アミンを側鎖に有するアミノ変性シリコーンオイルが好ましく、特に下記式(2)で示されるようなフッ素変性シリコーンオイルや、下記式(23)で示されるアルキル変性シリコーンオイルが最も好適である。
【0040】
【化32】
【0041】
上記式(2)中、nは50〜600の整数、mおよびm'は各々独立して1〜20の整数である。
【0042】
【化33】
【0043】
上記式(23)中、R14は置換若しくは未置換のアルキル基、k及びpは各々独立して正の整数を表す。ここでアルキル基としては、例えば炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基が挙げられ、またアルキル基の少なくとも1つの水素原子が、例えばハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子など)、1級もしくは2級アミノ基などで置換されていてもよい。k及びpについても向上剤の好ましい粘度や不揮発性の液体の粘度を満たす様、適宜選択することが好ましい。k及びpも同時に0となることはない。
【0044】
このような変性シリコーンオイルが、画像の堅牢性向上効果に優れている理由は明らかでないが、本発明者らの知見によれば、インク受容層中の孔部にこのような変性シリコーンオイルを充填した後の、受容層表面の撥水性が、通常のシリコーンオイルと比較しても高いことから、受容層内部に水分が侵入することを効果的に抑制でき、向上剤中にある色材と水分子の接触をより抑制できる為ではないかと考えられる。
A−b:シリコーン溶解剤
本発明で用いられる画像堅牢性向上剤に用いることのできるシリコーンオイルは、一般的に各種の溶剤との溶解性が悪いが、下記構造式(3)で示す分岐モノエステルを含むシリコーン溶解剤を用いることにより、何ら問題なく用いることができるようになる。つまり、他の添加物(ヒンダードアミン、紫外線吸収剤や抗酸化剤など)が粉体状であっても油溶性であれば、本シリコーン溶解剤を添加することでシリコーンオイル中に一様な液体として溶解させることができるため、画像堅牢性向上剤の材料選択の幅を広げることができる。
【0045】
【化34】
【0046】
(上記式(3)中、R16は炭素数5〜18の分岐鎖状のアルキル基、R17は炭素数3〜18の分岐鎖状のアルキル基を表わす)。
【0047】
A−c:脂肪酸エステル
本発明で用いられる堅牢性向上剤として用い得る他の材料として、脂肪酸エステルがある。炭素数が5個から18個の飽和脂肪酸と炭素数2個から30個のアルコールによって得られるエステルが好ましく、その中でも取り扱い易さ、画像堅牢性向上効果の観点から、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソノナン酸、イソステアリン酸あるいは2−エチルヘキサン酸などの飽和脂肪酸とネオペンチルポリオールに代表される嵩高いポリオール類とのエステル、あるいはアジピン酸に代表される多価飽和脂肪酸とアルコールとのエステル類が更に好ましい。これらのエステルから選択された1種あるいは2種以上の組合せを用いることができる。特に、下記構造式(4)、(5)に示されるようなヒンダードエステル類や、炭素数8個と10個の飽和脂肪酸のトリメチロールプロパノールとのエステル類が好適である。更に好ましい態様としては、下記構造式(4)および(5)で示されるヒンダードエステルを含む場合であり、より好ましくは、下記構造式(4)および(5)で示されるヒンダードエステルを含み、且つ、構造式(4)で示されるヒンダードエステルの含有量が、向上剤の全質量に対して50%以上の場合である。
【0048】
脂肪酸エステルを使用することで、画像堅牢性が向上する理由は明らかではないが、インク受容層中の孔部に脂肪酸エステルを含む向上剤を充填することで、該インク受容層の気体透過性が低下し、該向上剤中の色材に対するガス(空気など)の接触が抑制されるため、画像の堅牢性が向上すると考えられる。特に、ヒンダードエステルを使用することで、この効果は顕著であり、また、ヒンダードエステルは一般のエステルに比べ、熱安定性が高く、加水分解もおこりにくいため好適に用いられる。
【0049】
【化35】
【0050】
A−d:ヒンダードアミン系化合物
画像堅牢性向上剤として用いられる他の材料として、酸化防止および光安定効果も有する、ヒンダードアミン系化合物が挙げられる。下記構造式(6)で示される置換基を1つ以上有するヒンダードアミン化合物が好ましく用いられるが、中でも、下記式(7)で示されるようなテトラカルボン酸のエステルタイプとなっているヒンダードアミン系化合物、ヒンダードアミン部位を有するポリグリセリンエステル、ヒンダードアミン部位を有する飽和脂肪酸エステル、ヒンダードアミン部位を有するオルガノポリシロキサンが好適に用いられる。なお、置換基を複数有する場合には、複数の置換基が同一であっても、複数の置換基に異なる2以上の置換基が含まれていても良い。
【0051】
【化36】
【0052】
上記式(6)中、R9は水素原子またはアルキル基であり、炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状のものが好ましい。R10〜R13は各々独立に、水素原子または炭素数1〜3の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基である。
【0053】
【化37】
【0054】
上記式(7)中、R5〜R8の少なくとも1つは上記式(6)で示される基であり、他は水素原子、または1価の有機残基である。1価の有機残基としては、炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基や下記式(8)に示す置換基などが挙げられる。また、上記式(7)中のR5〜R8が、上記式(6)もしくはC=13の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基であり、且つこれらをそれぞれ少なくとも一つずつ有し、更に、上記式(6)中のR9がメチル基である場合、該物質は液体であり、画像記録剤の被記録媒体への供給とインク受容層中の孔部への確実な充填のための作業性や効率を考慮した場合に好ましいものである。
【0055】
また、上記(6)を置換基として2つ以上有するものも更に好ましく用いられ、例示化合物を下記式(8)に示す。
【0056】
【化38】
【0057】
なお、ヒンダードアミンをインク受容層間隙に充填することで、画像堅牢性が向上する理由は明らかでないものの、光や酸化劣化により生成させるラジカルをヒンダードアミンが捕捉することで、色材の劣化を防止するという機構の他に、上記のシリコーンオイルなどの場合とは異なり、インク受容層中の色材分子の周囲を嵩高いヒンダードアミンが取り囲むことで、色材が化学的なアタックを受けにくくなる為であると考えられる。インクジェット用被記録媒体の分野において、インク受容層中にヒンダードアミンを含有させることは知られているものの、画像が形成された後の被記録媒体に対して、ヒンダードアミン化合物を含み、色材を溶解せず、且つ不揮発性の液体を供給し、インク受容層中の厚さ方向に存在する全てあるいは実質的に全ての色材が該液体中にあることによって得られる画像堅牢化の効果は、予めインク受容層中にヒンダードアミン化合物を添加しておいた場合のそれと比較しても顕著な差異がある。そして、本発明においてはシリコーンオイルや脂肪酸エステルとともにヒンダードアミン化合物を含む液体を用いた場合、シリコーンオイルや脂肪酸エステルによる空気或いは水分からの色材の遮断効果と、ヒンダードアミン化合物の嵩高さによる化学物質の色材のアタックを抑止する効果の双方が相乗的に効いているものと推測される。
【0058】
ところで、このヒンダードアミン化合物は、液体のものであればより好ましく用いられるが、粉体のものであっても、作業性の改善及び/又は間隙への充填の為に、インクや色材に対して非相溶性の溶剤で溶解あるいは希釈して用いられる。この際、溶媒として上記したシリコーンオイルや飽和脂肪酸エステルなどが用いられることが好ましい。これらヒンダードアミン化合物の好ましい添加量は、重量比でシリコーンオイルまたは脂肪酸エステル:ヒンダードアミン化合物=100:1〜1:100であり、特に9:1〜5:5がより好適である。
【0059】
本発明に使用される画像堅牢性向上剤には必要に応じて上述した物質を1種、お互いに親和性がある場合には2種以上を混合使用しても良い。この場合、シリコーンオイルと飽和脂肪酸エステルの混合物のように属性が異なっていても良い。
【0060】
さらに、本発明で用いられる画像堅牢性向上剤には、上記した不揮発性の液体に対して溶解または均一分散可能な物質を添加剤として更に含ませてもよい。添化剤として、例えば、酸化防止剤、光安定剤、ラジカル消光剤、紫外線吸収剤、増粘剤、香料、艶出し剤、殺菌剤、殺虫剤等の薬効を有する薬剤等を、含有させることが可能である。この中で酸化防止剤、光安定剤としてはヒンダードアミン類、ヒンダードフェノール類、ビタミン類、ラジカル消光剤としては安定ラジカル類、紫外線吸収剤としてはサリチル酸フェニル系、ヒンダードフェニル系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系が好ましく、増粘剤、香料、艶出し剤、殺菌剤、殺虫剤等の薬効を有する薬剤は更なる機能付加の為に適宜添加される。添加物を含む場合、上述の画像堅牢性向上剤の有効成分としての液体が、これらの添加剤の溶媒あるいは分散媒として機能する。画像堅牢性向上剤中におけるこれら化合物の溶解性が不充分である場合、揮発性である場合、さらには大粒子状態で分散された場合には、塗布後に画像品位および効果の低下を招くことから、常温・常圧で液体状態であって比重が上述した主成分であるシリコーンオイル、脂肪酸エステルとほぼ等しくなる物質、あるいは上述した有効成分のみに完全に溶解可能な物質が最も好適であるが、本発明の効果を達成し得る範囲であれば、特に限定なく添加剤を加えることが可能である。下記に好ましい添加剤について説明する。
【0061】
A−e:紫外線吸収剤
上記画像堅牢性向上剤に添加する紫外線吸収剤としては例えば、下記構造式(9)〜(16)で示されるものが挙げられる。
【0062】
【化39】
【0063】
【化40】
【0064】
上記式中、t−C4H9はtret-ブチル基を、t−C8H17はtert-オクチル基をそれぞれ表す。
A−f:増粘剤
本発明で用いられる画像堅牢性向上剤に添加する増粘剤としては、例えば、下記構造式(24)で示される化合物が挙げられる。
【0065】
【化41】
【0066】
上記式中、R26はベヘン酸残基(−CO-(CH2)20-CH3)または水素原子を表す。
【0067】
画像堅牢性向上剤としては、被記録媒体へ塗布された際の裏抜けのし難さ、およびインク受容層中の間隙への充填、および間隙への定着の観点から、インク受容層への供給およびラビング工程の環境下において、被記録媒体への塗布時の向上剤の動的粘度が50cs〜600csであることが好ましい。特に、例えば、下記に述べる図4や図5に示すような器具を用いて向上剤を付与する場合は、該動的粘度は100〜400cs、更には200cs〜400cscsであることが好ましく、図6に示すような機械によって向上剤を付与する場合には、該動的粘度は50〜200csが好ましい。また、被記録媒体に付与された後の向上剤の動的粘度は、孔部での移動が生じにくく、該向上剤の充填の保持安定性を良好にするために、150〜300csであることが好ましい。動的粘度は、JISK−2283に従って測定した。
【0068】
本発明で用いられる画像堅牢性向上剤の表面張力としては、インク受容層への充填のしやすさ、充填後におけるインク受容層表面への滲出のし難さを考慮すると、20〜30mN/m程度が好ましい。さらに、常温・常圧で液体であるという観点から、沸点および融点は該画像堅牢性向上剤が常温で液体となる範囲であり、被記録媒体中で透明性を確保するという観点から屈折率(25℃)が1.3〜1.5、被記録媒体のインク受容層へのスムーズな浸透および定着性という観点から比重が0.95〜1.4の範囲が好ましい。
【0069】
また、当該液体の他の効果の一つとして、インク受容層表面の光沢感を向上させることができ、視覚的により高品位な記録物を得られることが挙げられる。
B:被記録媒体
本発明に用い得る被記録媒体としては、多孔質層のインク受容層を有し、インクが付着することで記録を行う被記録媒体であればいずれのものでも使用することができる。しかし、本発明では被記録媒体にシリコーンオイル類、脂肪酸エステル類等の画像堅牢性向上剤を含浸させるため、裏抜けしない媒体であることが好ましい。本発明に用い得る被記録媒体は、特に、インク受容層の多孔質構造が微粒子から形成され、且つ、該微粒子に色材が吸着するような被記録媒体がインクジェット法を利用する場合に特に好適である。このようなインクジェット用の被記録媒体としては支持体上のインク受容層に形成された間隙によりインクを吸収するいわゆる吸収タイプであることが好ましい。吸収タイプのインク受容層は、微粒子を主体とし、必要に応じて、バインダーやその他の添加剤を含有する多孔質構造を有する。微粒子の例としては、シリカ、クレー、タルク、炭酸カルシウム、カオリン、アルミナあるいはアルミナ水和物等の酸化アルミニウム、珪藻土、酸化チタン、ハイドロタルサイト、酸化亜鉛等の無機顔料や尿素ホルマリン樹脂、エチレン樹脂、スチレン樹脂等の有機顔料が挙げられ、これらの1種以上が使用される。バインダーとして好適に使用されているものには水溶性高分子やラテックスを挙げることができる。例えば、ポリビニルアルコールまたはその変性体、澱粉またはその変性体、ゼラチンまたはその変性体、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロース誘導体、SBRラテックス、NBRラテックス、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体ラテックス、官能基変性重合体ラテックス、エチレン酢酸ビニル共重合体などのビニル系共重合体ラテックス、ポリビニルピロリドン、無水マレイン酸またはその共重合体、アクリル酸エステル共重合体などが使用され、必要に応じて2種以上を組み合せて用いることができる。その他、添加剤を使用することもでき、例えば、必要に応じて分散剤、増粘剤、pH調整剤、潤滑剤、流動性変性剤、界面活性剤、消泡剤、離型剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤などが使用される。
【0070】
本発明において特に好適な被記録媒体は、上述の微粒子として、平均粒子径が1μm以下の微粒子を主体として、インク受容層を形成したものが好ましい。上記の微粒子として、特に好ましいものは、例えばシリカまたは酸化アルミニウム微粒子等が挙げられる。酸化アルミニウム微粒子、シリカにおいて特に効果的な理由としては以下の様に考えられる。即ち、酸化アルミニウム微粒子、シリカに吸着された色材は、NOX、SOX、オゾン等のガスによる色材の褪色を受け易いことが判ったが、これらの微粒子はガスを引き寄せやすく、色材の近傍にガスが存在することになり色材が褪色し易くなるためと思われる。シリカ微粒子として好ましいものは、コロイダルシリカに代表されるシリカ微粒子である。コロイダルシリカ自体も市場より入手可能なものであるが、特に好ましいものとして、例えば特許第2803134号、同2881847号公報に掲載されたものを挙げることができる。酸化アルミ微粒子として好ましいものとしては、アルミナ水和物微粒子を挙げることができる。このようなアルミナ系顔料の一つとして下記一般式(25)により表されるアルミナ水和物を好適なものとして挙げることができる。
【0071】
Al2O3-n(OH)2n・mH2O(25)
上記式(25)中、nは1、2または3の整数のいずれかを表し、mは0〜10、好ましくは0〜5の値を表す。但し、mとnは同時には0にはならない。mH2Oは、多くの場合mH2O結晶格子の形成に関与しない脱離可能な水相をも表すものである為、mは整数または整数でない値を取ることもできる。またこの種の材料を加熱するとmは0の値に達することがありうる。アルミナ水和物は一般的には、米国特許第4242271号、米国特許第4202870号に記載されているようなアルミニウムアルコキシドの加水分解やアルミン酸ナトリウムの加水分解のような、また特公昭57−44605号公報に記載されているアルミン酸ナトリウム等の水溶液に硫酸ナトリウム、塩化アルミニウム等の水溶液を加えて中和を行う方法などの公知の方法で製造されたものを使用したものが好適である。
【0072】
更に、これらのアルミナ水和物を使用したインクジェット用被記録媒体は、本発明で用いられる画像堅牢性向上剤との親和性、吸収性、定着性が優れる上、前述したような写真画質を実現するために必要とされる光沢、透明性および染料等の記録液中の色材の定着性等が優れていることより、本発明を適用するのに更に好適である。本発明に用いられるインクジェット用被記録媒体の微粒子と前記のバインダーの混合比は、重量比で、1:1〜100:1の範囲にあることが好ましい。バインダーの量を上記範囲とすることで、インク受容層への画像堅牢性向上剤の含浸に好適な細孔容積の維持が可能となる。酸化アルミニウム微粒子またはシリカ微粒子のインク受容層中の好ましい含有量としては、50重量%以上、より好ましくは70重量%以上、更に好ましくは、80重量%以上であり、99重量%以下であることが最も好適である。インク受容層の塗工量としては、画像堅牢性向上剤の含浸性を良好とするために乾燥固形分換算で10g/m2以上であることが好ましく、10〜30g/m2が最も好適である。
【0073】
本発明に用いられる被記録媒体は上記したインク受容層を支持するための支持体を有することが好ましいが、支持体としては、特段の制限がなく、上記した多孔質構造のインク受容層の形成が可能であって、且つインクジェットプリンタ等の搬送機構によって搬送可能な剛度を与えるものであれば、いずれのものでも使用できる。より好ましい被記録媒体として、支持体とインク受容層の間に、適度なサイジングを施した紙や、繊維状の基材の上に例えば硫酸バリウム等の無機顔料等をバインダーと共に塗工して形成したインク受容層より緻密な多孔性の層(例えば、バライタ層等)を有するもの(例えばバライタ紙等)が挙げられる。このような被記録媒体は、前記した本発明のより好ましい態様である、「画像形成領域が、インク受容層の厚さ方向に存在する孔部の全てあるいは実質的に全てが向上剤によって充填されている部分を有する記録物」に用いられた場合により効果がある。つまり、インク受容層の厚さ方向に存在する孔部の全てあるいは実質的に全てが向上剤によって充填されている記録物を、高温・高湿環境下に長時間放置したような場合であっても、記録物表面への向上剤の染み出しなどによる表面のべたつきなどが生じることを極めて有効に抑制でき、保管性においても極めて優れた記録物とすることができる。上記したような効果を得られる理由は、明らかでないが先に説明したように、インク受容層の厚さ方向に存在する孔部の全てあるいは実質的に全てを向上剤によって充填するために供給された向上剤は緻密で透気度の低い、例えば、バライタ層を通り抜け難い為、向上剤による孔部の充填が確実に行われ、さらにまた、インク受容層中の孔部に存在している空気や水分が、図3に模式的に示した様に、堅牢性向上剤の孔部への充填処理に伴って、緻密な多孔質層(1301)に移行し、或いは吸着されて、インク受容層中への空気や水分の残留を抑制もしくは防止することができる為であると考えられる。
【0074】
この推測は、透気性や吸水性の全くない、プラスチックシート製の支持体上にインク受容層を設けてなる被記録媒体を用いて、本発明にかかる画像堅牢性向上方法を施したときには、所期の効果は得られるものの、その記録物を高温、高湿条件下に保存したような場合に、堅牢性向上剤の、インク受容層表面への滲み出しが観察されるという実験事実からも裏付けられるものである。本発明に適用できる被記録媒体として、表層に多孔質層を有している形態としては、基材上に多孔質のインク受容層を形成したものに限らず、アルマイト等も使用できる。
C:記録物の製造方法および画像堅牢性向上方法
(1)本発明にかかる記録物の製造方法あるいは画像堅牢性向上方法の一実施態様としては、先に述べたように、多孔質構造のインク受容層を備え、該インク受容層への水性インク或いは水性インク滴の付与によって、文字や絵等の画像が記録されている記録シートの、該インク受容層表面に、前記した堅牢性向上剤を供給し、その後にラビング処理を行う方法が挙げられる。ここで、向上剤は、記録シートの画像記録部分の少なくとも一部にのみ供給し、塗り込んでもよいが、記録シートの全面に塗りこむことが最も好ましい。これによってインク受容層中の色材が、NOXやSOXやオゾン等のガスによって攻撃されることをより確実に抑制することができる。
【0075】
また、前記したように、本発明のより好ましい態様は、インク受容層の厚さ方向に存在する孔部の全て或いは実質的に全てが向上剤で充填されているものである。この場合、向上剤の供給量は、塗りこみの手間等を考慮すると、孔部が完全に充填される量と、塗布部材への吸収分などを考慮した量とするのが適当である。ここで、孔部が完全に充填される量とは、例えば、微粒子からなるインク受容層の場合はインク受容層の間隙度(吸油量など)などから考慮する。このような量の向上剤を供給し、塗り込むことで、インク受容層の孔部をほぼ確実に向上剤で充填することができる。具体的には、例えば向上剤として前記した式(1)で示したようなシリコーンオイルを使用する場合、吸油量が0.3ccである記録媒体に形成されてなる画像の堅牢性を向上させる為には、約0.3g程度の向上剤を付与し、ラビング処理することで十分な堅牢性の向上効果を得ることができる。このことは、インク受容層の表面部分を覆うだけではなく、堅牢性向上剤がインク受容層の孔部を充填することによって、本発明の効果が達成されるものであることを表すものである。
【0076】
本発明は、インク受容層の厚さ方向に存在する色材の全てあるいは実質的に全てが向上剤中にある様にすることで達成されるものであり、これを達成する範囲であれば、向上剤の付与量は吸油量以下であっても何ら問題ない。
【0077】
以下に、本発明を達成するための具体的な方法について、例を挙げる。本発明を達成する具体的な方法として、例えば、図5に示した様に、適当量の向上化剤をインク受容層表面に一定量を供給可能な機能5001(スプレーやポンプなど)を備えた容器5003(ディスペンサー等)に該向上化剤を含むものとラビング用の部材とがセットとなった画像堅牢性向上化キットを用いることで実現可能である。
【0078】
また他の実施態様としては、図4(a)及び(b)に示した様な、堅牢性向上剤を含んでいる画像堅牢性向上化剤貯蔵部4001と、該向上化剤の塗布部材4002とが一体化され、該貯蔵部内の向上化剤が該塗布部材表面に滲出可能に構成されているアプリケータを用いて、向上化剤の供給とラビング処理とを同時に行うようにしてもよい。尚、塗布部材4002の向上剤が少なくなってきた場合に、画像堅牢性向上化剤貯蔵部4001に圧力をかけることにより、塗布部材に該向上剤がしみ込むような構成であっても良い。4003は4002の蓋である。本発明にかかる方法で画像堅牢性に優れた記録物を得るために、上記被記媒体と上記画像記録性向上剤とのセットを用いることで、簡便に堅牢性の高い画像をえることができる。
【0079】
(2)本発明にかかる記録物の製造方法あるいは画像堅牢性向上方法の他の実施態様として、記録装置内で人手を介在させること無しに処理する方法を挙げることができる。図6は、画像堅牢性に優れた記録物を得るための装置の概略断面図であり、インクジェット法による記録媒体への画像の記録と、形成された画像への堅牢性付与の処理とを行う手段を各々備えている。図6において、25は筐体であり、1は積層された未使用の記録媒体で、サプライトレイ(給紙用カセット)2に略水平に載置されている。3は吸盤で、吸盤移動機構(不図示)により、図中aの位置から積層された未使用の記録紙1の最上部の1枚に接する位置bに移動し、最上位の用紙を吸引して持ち上げることができる。この際、吸引機構(不図示)により、吸盤3が記録紙に接した状態で吸盤3の内部の圧力を減少させて記録紙1の最上部の1枚を吸着して、その記録紙を他の記録紙から分離させる。その状態で吸盤移動機構により図中cの位置に移動し、その分離した1枚の記録紙の先端を搬送ローラ4,5の間に差し込むことができる。その後、吸引機構による吸引動作を停止させて吸盤3の吸着力を解除し、吸盤3による記録紙の拘束を解くことができる。
【0080】
搬送用ローラ4,5は、搬送用モータ(不図示)等の駆動源によりクラッチ機構(不図示)等を介して回転駆動される。6,7はガイド板で、所定の間隔を持って対向して配置されており、搬送用ローラ4,5の回転により搬送される記録紙の供給経路を形成している。これらガイド板6,7で形成される供給経路の断面形状は略半円形であり、搬送用ローラ4,5近傍から上方の副走査用ローラ8,9に至っている。これら副走査用ローラ8,9は、図中左方向に平行に配置された第2の副走査用ローラ対10,11と共に、搬送されてきた記録紙を挟持し、後述する制御部(不図示)などの制御の下に紙送りを行っている。15は副走査用ローラ8,9,10,11の間での記録紙の位置を規制するガイド板である。12は記録ヘッド(インクジェットヘッド)で、記録紙1の搬送方向に複数のインク吐出用ノズルが配されている。尚、この記録ヘッド12は、それぞれが異なる色のインクを吐出する複数のインクジェットヘッドを備えていても良い。13は記録ヘッド12に供給するインクを収容しているインクタンクである。記録ヘッド12とインクタンク13はキャリッジに載置されており、副走査用ローラ8〜11の回転軸と略平行に配置されたキャリッジガイドにより、記録紙の搬送方向に略直交する方向に移動可能に保持されている。
【0081】
16は、上方の記録紙収容部に積層して収容された未使用の第2の記録紙である。17は積層収納された記録紙16を載置し、分離ローラ18方向に適宜押圧する圧板である。19,20はガイド板で、分離ローラ18により取り出された1枚の記録紙の先端を副走査用ローラ8,9に導くための第2の供給経路を形成している。
【0082】
21,22,23,24は、例えば特開平1−264879号公報で開示されている各記録紙1,16の有無及びその紙質を検知する手段である。21,23はそれぞれ記録紙1,16の表面に所定波長の光を照射する光源、22,24は、その光源から照射された光が記録紙表面から反射された光を受光する光検出器である。
【0083】
このような反射光による記録紙の紙質の検知は、記録紙の種類に応じて表面の粗さが異なり、それに伴って光の拡散の程度が異なってくることに起因してなされるものである。例えば普通紙の表面は微視的にみれば繊維の絡み合ったもので表面の拡散は大きく、従って検出器22,24の出力は小さくなる。一方、表面が平滑で、光の拡散の程度の低いシートの場合、検出器22,24の出力が大きくなる。このような光による検出手段を用いて、吸盤3を使用した第1の分離機構、或は分離ローラ18を使用した第2の分離機構に対応する記録紙がそれぞれ対応するカセットに装填されているか、又は記録に適した記録紙が装着されているかなどが判断可能となる。
【0084】
26,27は記録ヘッド12による記録終了後、副走査ローラ10,11の回転に伴って排出される記録紙を後述の工程に導くための搬送路を形成するガイド板である。ガイド板には面状のヒータ(不図示)が取り付けられており、ガイド板26,27で形成された搬送路内の記録紙を加熱し、その記録紙上に吐出されたインクの乾燥を促進する。
【0085】
こうして得られた記録物の記録面に対して、画像堅牢性向上剤を供給し、該記録物のインク受容層に、画像堅牢性向上剤が充填された領域を形成する。
【0086】
液体52は、画像堅牢性向上剤であり、容器51に不図示のタンクから不図示の供給装置にて供給され、常に容器51内における液面の高さが所定の範囲内になるように自動的に供給・制御されている。53は堅牢性向上剤塗布用ローラで、その表面部53aは堅牢性向上剤52が浸透可能なスポンジ状の構造となっており、その一部が容器51内の堅牢性向上剤52に接していて、液体塗布用ローラ53が不図示の駆動源の駆動により回転することにより、その表面部53aに一様に堅牢性向上剤52を浸潤させることができる。54は塗布用ローラ53との協動により記録媒体を挟持して搬送する搬送用ローラである。尚、この搬送用ローラ54は、その表面に堅牢性向上剤52が付着しないように、記録媒体が挟持されていない時は塗布用ローラ53と離間し、記録媒体が介在している場合にのみ塗布用ローラ53と搬送用ローラ54と接触して記録媒体を挟持するのが望ましい。55は乾燥用ヒータで、堅牢性向上剤52が塗布された記録紙を乾燥させるのに使用される。
【0087】
以上の構成により、記録ヘッド12による記録が終了した後、その記録紙の後端が第2の副走査ローラ対10,11から離れる以前に記録媒体の先端が搬送用ローラ54,塗布用ローラ53の位置にまで到達する。そして、搬送用ローラ54と塗布用ローラ53との間に記録媒体が挟持され、これらローラ53,54の回転に伴って記録媒体の片方の面に堅牢性向上剤52が一様に供給され、またラビングされて、インク受容層の間隙に充填される。この液体が充填された記録紙は、必要に応じて更なるラビング処理を施した後、排紙用ローラ33の回転により34の排紙口から装置外に排出される。なお、図6では、インクジェット記録と画像堅牢性向上剤の充填とが、同一の装置内で処理される形態の画像記録装置を説明したが、これに限定されず、画像記録部と堅牢性向上液の充填部とを分離した構成の画像記録装置、更には、堅牢性向上液の充填部を、画像形成部と独立させた、画像堅牢性向上液の塗布装置とすることもできる。
【0088】
また、本発明者らは、微粒子による多孔質構造のインク受容層を備えた被記録媒体を用いて作成された、本発明による効果が十分に得られている記録物(印字物ともいう)のインク受容層の断面構造を電子顕微鏡にて観察した。その結果、堅牢性向上剤付与前の印字物は図7であるのに対し、本発明にかかる堅牢性向上剤付与後の印字物では図8のようになった。図7において、黒色部分がアルミナ微粒子あるいはその集合体であり、白色部分が間隙である。図8において、801はアルミナ微粒子の集合体であると考えられる。そして多くの集合体が、インク受容層の厚さ方向に細長い、すなわち厚さ方向に直行する方向の幅よりも厚さ方向が長い形状で配向し、集合体の間に厚さ方向に伸びる領域を主体とする向上剤が充填された領域が生じている。すなわち、向上剤が充填された領域も集合体の配向に沿って、受容層の厚さ方向に概略配向している。ここで、図8に示す記録物は、具体的には、飽和脂肪酸エステルを主として含む堅牢性向上剤を、アルミナ微粒子を含む多孔質構造のインク受容層に対し、該受容層の間隙度に基づき受容層内の間隙を充填するに充分な量を付与した後、拭き取って製造したものである。
【0089】
堅牢性向上剤を付与することでこのようにインク受容層の断面構造に変化がおこる理由は明らかではないが、本発明者らは以下のような理由によるものではないかと考えた。
【0090】
本発明にかかる記録物とは、インク受容層上に付与した堅牢性向上剤を、インク受容層の厚さ方向に浸透させて作るが、向上剤中の脂肪酸エステルはインク受容層を構成しているアルミナ微粒子に対して親和性があるため、向上剤が浸透する際に向上剤に引っ張られる形でアルミナ微粒子も受容層の厚さ方向へ移動するものと考えられる。尚、向上剤の充填後で画像の変化は全く認められないことから、この移動は極めてミクロなレベルのものと考えられる。
【0091】
さらに、拭き取りや研磨などにより向上剤をインク受容層に対し積極的に供給した結果、向上剤がインク受容層の深部まで浸透し、受容層深部においてもアルミナ微粒子の移動が生じ、それに伴って受容層中の間隙の形態も徐々に変化すると思われる。つまり、受容層中にほぼ均一に存在していた間隙が、向上剤が浸透するための流路を形成する過程で、表面から厚さ方向に伸びた間隙に変化すると考えられる。そして、最終的にこの間隙が向上剤充填領域となり、図8のような構造を形成したと考える。
【0092】
また、本発明者らは、向上剤付与前は、色材は、比較的インク受容層表面近傍に存在しているアルミナ微粒子に吸着しているが(図10)、向上剤充填後には、受容層表面近傍の色材が吸着した層(1001)が消滅したことを確認しており、このことからも上記した現象による色材の受容層内部への移動が生じているものと考えられる。ここで、1003は色材の吸着していないインク受容層内部の部分であり、1001と1003をあわせた1009がインク受容層である。1005は多孔質層、1007が支持体である。そして、堅牢性が向上する理由として、色材が、向上剤が充填されるに伴い、受容層内部に移動し、更に、該向上剤によって周囲を充填されることで、空気やガスとの接触の抑制をより高レベルで行うことができ、本発明の効果である優れた堅牢性向上効果が達成されているものと考えられる。また、一般に色材がインク受容層内部へ浸透すると深部の色材は画像の発色に寄与しなくなる為、記録物の印字濃度が低下するが、本発明においては、図8に示したように向上剤の充填領域が受容層の厚さ方向に形成され、また、向上剤とアルミナ微粒子との屈折率差も小さいため、インク受容層内部に存在する色材も画像の発色に寄与することとなり、堅牢性向上とともに印字濃度も向上すると考えられる。
【0093】
堅牢性向上剤の充填領域の形態は、微粒子と向上剤の親和性の強度、向上剤の物性(粘度など)、充填方法などによって差があるものと考えられる。本発明にかかる他の態様の記録物として、シリコーンオイルを主として含む堅牢性向上剤を、シリカ微粒子を含む多孔質構造のインク受容層に対し、該受容層の間隙度に基づき、受容層内の間隙を充填するに充分な量付与した後、拭き取って記録物を製造し、これについても上記と同様の観察を行った結果、上記図8によって示した断面構造と類似の断面構造(図9)を有することを確認した。
【0094】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明を更に説明する。
【0095】
実施例1〜2、比較例1〜4
(画像堅牢性向上剤の調製)
画像堅牢性向上剤の調製は、シリコーンオイルおよび飽和脂肪酸エステルの少なくとも一つと、常温で液体状態のヒンダードアミン化合物を表2−1に示した割合で混合することによって実施例1〜2の画像堅牢性向上化剤及び比較例2〜4の化合物を調製した。
グループA.シリコーンオイル
A−1.ジメチルシリコーンオイルSH200(東レ・ダウコーニングシリコーン社製)
【0096】
【化42】
【0097】
A-2.フッ素変性シリコーンオイルFS1265(東レ・ダウコーニングシリコーン社製)
【0098】
【化43】
【0103】
グループB.常温で液体のヒンダードアミン化合物
B-1. 商品名:TINUVIN 123 (チバガイギー社製)
【0104】
【化46】
【0105】
B-2. 商品名:TINUVIN 292 (チバガイギー社製)
【0106】
【化47】
【0114】
比較例1〜4
比較例1は画像堅牢性向上化剤を用いない場合であり、比較例2〜4で用いた材料は以下のとおりである。
比較例2:カチオン樹脂溶液 ジシアンジアミド・ポリエチレンアミン 商品名:ネオフィックス 日華化学株式会社
比較例3:アクリル樹脂溶液 アクリル樹脂系エマルジョン 商品名:ボンコート4001 大日本インキ化学工業株式会社
比較例4:スチレン樹脂溶液 スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン 商品名:SAE−1014 日本ゼオン株式会社
<被記録媒体の製造例>
塩化アルミニウムの4重量%溶液中にアルミン酸ソーダを加えpHを4に調整した。その後、攪拌をしながら90℃まで昇温し、しばらく攪拌を行なった。その後、再びアルミン酸ソーダを加えてpHを10に調整し、その温度を保持しながら40時間熟成反応を行なった。その後、室温に戻し、pHを7〜8に調整した。この分散液に対して脱塩処理を行い、その後酢酸により解膠処理を行なってコロイダルゾルを得た。このアルミナ水和物のコロイダルゾルを濃縮して17重量%の溶液を得た。ポリビニルアルコール PVA117(商品名:クラレ社製 )を純水に溶解して9重量%の溶液を得た。上記アルミナ水和物のコロイダルゾルとポリビニルアルコール溶液を、アルミナ水和物固形分とポリビニルアルコール固形分が重量比で10:1になるように混合攪拌して、分散液を得た。
【0115】
この分散液をバライタ層を有する基材(ベック平滑度420秒、白色度89%)のバライタ層上にダイコートにより乾燥重量30g/m2で塗工した。この時の基材は、秤量150g/m2、ステキヒトサイズ度200秒の繊維状基体上に、硫酸バリウム100重量部に対しゼラチン10重量部からなるバライタ組成物を乾燥重量30g/m2となるように塗工し、カレンダー処理を行ったものである。このようにしてバライタ層を有する基材上にインク受容層を持つ被記録媒体を作成した。この被記録媒体のインク受容層表面にリウエットキャストコーターを用いて、熱湯を用いたリウエットキャスト処理を行い被記録媒体を得た。被記録媒体の吸油量は約21cc/m2であった。
<記録物の作成、及び堅牢化処理>
上記で作成した被記録媒体に、下記の方法で画像を記録した記録物を作成し、その記録物に対して、実施例1及び2の画像堅牢性向上化剤及び比較例2〜4の化合物を用いて、下記の方法(1)〜(4)に従って各種の画像堅牢性試験を行なった。また、何も処理しなかった記録物を比較例1として同様に評価を行った。
【0116】
インクジェット方式を用いたフォト用プリンタ(商品名:BJ−F870キヤノン製)に当該プリンタに純正のインクタンク(商品名:BCI−6BK、BCI−6Y、M、C、BCI−6PM、BCI−6PC)を装着し、上記で得た被記録媒体の記録面に、単色として、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエロー、コンポジットカラーとして、コンポジットブラック、葉緑色、肌色および空色の各色について、100%、80%、60%、40%、20%及び10%の各濃度のベタパッチを印字して記録物を作成した。なお、印字に用いたインクは、上記プリンタ純正品であって、全て水溶性染料を含んでいる水性インクである。次いで、この記録物のインク受容層表面に、126mm×89mmの面積あたり約0.3gの割合で、上述した種々の画像堅牢性向上剤、及び比較例2〜4の化合物を付与し、天然コットン素材のラビング部材で画像全面に亘ってラビング処理を行って、実施例1及び2、及び比較例1〜4の記録物を得た。そして各記録物について、各色O.Dが約1.0のパッチを選んで、以下の画像堅牢性試験に用いた。
【0117】
耐光性および耐ガス性の評価方法:上記の記録物の試験前の画像濃度と試験後の画像濃度とを分光光度計・スペクトリノ(グレタグマクベス社製)を用いて測定した。耐光性および耐ガス性評価は、以下に記述する判定基準に基づき判定し、結果は第1表に示した。
・試験方法
(1)耐光性試験1
以下の試験条件に従って、キセノンフェードメーターを用いて、耐光暴露試験を行なった。本試験は、室内における窓越し太陽光の影響を考慮した画像堅牢性試験である。
試験条件:
照射光量:70klux
試験時間:100時間
試験槽内温湿度条件:24℃・60%RH
フィルタ:(アウター)ソーダライム、(インナー)ボロシリケート
耐光性評価:
ISO10977(1993)の基準を参考に耐光暴露試験後の反射濃度残存率(ΔE)データより評価した。具体的には、単色のインクによる記録部に関しては、試験後の記録部が示す反射濃度残存率を測定し、下記表1の基準に従って評価した。一方、複数色のインクを重ねて形成した コンポジットカラーの記録部に関しては、試験後の各記録部の反射濃度残存率に加えて、各コンポジットカラー記録部を構成している複数の構成色それぞれの耐光暴露試験後の反射濃度残存率を測定し、得られた反射濃度残存率の差を算出し、表1に示す基準に従って評価した。コンポジットカラー記録部の評価に、該コンポジットカラー記録部を構成する構成色の反射濃度残存率の差を加えた理由は、コンポジットカラー記録部の画像堅牢性は記録部自体の反射濃度残存率だけでなく、コンポジットカラー記録部を構成している複数の構成色のそれぞれの褪色の程度も視覚上の画質に大きな影響を及ぼすからである。つまり、例えコンポジットカラーの記録部自体の反射濃度残存率が大きい場合であっても、コンポジットカラーを構成している構成色の何れか1つでも、試験前後で反射濃度が大きく変化している場合には、目視におけるカラーバランスが崩れ、視覚的に退色が大きい様に感じることがある為である。
【0118】
表1において、例えば、濃度残存率が90%以上というのは、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー、コンポジットブラック、葉緑色、肌色および空色の各記録部の反射濃度残存率の内、最も低い値でも90%以上であることを示す。また、例えば、濃度残存率の差が5%未満というのは、上記した4色のコンポジットカラー記録部において、各コンポジットカラー記録部を構成している構成色それぞれの試験前の反射濃度残存率の値の差のうちの最大値が、5%未満の場合である。濃度残存率の差が5%以上10%未満というのは、該4色コンポジットカラー記録部のそれぞれを構成している構成色それぞれの反射濃度残存率の差のうちの最大値が5%以上10%未満の場合である。
【0119】
【表1】
【0120】
評価結果を表2−1および表2−2に示す。
(2)耐光性試験2
以下の試験条件に従って、蛍光灯耐光性試験機を用いて、耐光暴露試験を行なった。本試験は、室内における蛍光灯光の影響を考慮した画像堅牢性試験である。
試験条件;
照射光量:70klux
試験時間:520時間
試験層内温湿度条件:24℃・60%RH
フィルタ:ソーダライム
耐光性評価;
ISO10977(1993)の基準を参考に耐光暴露試験後の濃度残存率データより耐光性を上記(1)と同様の評価基準を用いて評価した。結果を表2−1および表2−2に示す。
(3)耐ガス性試験
(3)−1.
以下の試験条件(ANSI/ISA−S71.04−1985)に従って、ガス腐食試験機を用いて、ガス暴露試験を行なった。本試験は、室内における各種のガスの影響を考慮した画像堅牢性試験である。
試験条件:
暴露ガス組成:H2S10ppb;SO2100ppb;NO2125ppb;Cl22ppb;O325ppb。
試験時間:168時間
試験層内温湿度条件:30℃・80%RH
耐ガス性評価;
耐ガス暴露試験後の濃度残存率データを上記(1)の評価と同様の評価基準を用いて評価した。結果を表2−1および表2−2に示す。
(3)−2.
以下の試験条件(ANSI/ISA−S71.04−1985)に従って、ガス腐食試験機を用いて、ガス暴露試験を行なった。本試験は、(3)−1.よりもより厳しい条件を想定して行った画像堅牢性試験であり、評価は(3)−1と同様に行った。結果は表2−1および表2−2に示す。
試験条件;
暴露ガス組成:H2S50ppb;SO2300ppb;NO21250ppb;Cl210ppb;O3100ppb。
試験時間:240時間
試験層内温湿度条件:24℃・60%RH
(4)黄変試験
・試験方法及び評価方法
未印字の被記録媒体に対して、実施例1及び2の向上剤、比較例2〜4の化合物の各々を上記と同様にして付与し、ラビング処理して実施例1及び2、比較例2〜4のサンプルを調製し、比較例1としての未処理のサンプルを加えて、以下の環境の中に各サンプルを放置し、試験前後の記録面の色味を比較した。結果は、表2−1および表2−2に示した。
試験条件;
試験層温湿度条件:50℃、80%RH
試験時間:240時間
【0121】
【表2】
【0122】
【表3】
【0127】
実施例3
上記実施例1及び2と同様に、純正のインクタンクを装着したインクジェットプリンタ(商品名:BJ−F870;キヤノン社製)及び上記実施例にて調製した被記録媒体を用いて、当該被記録媒体の単位面積あたりのインク打ち込み量が、100%、80%、60%、40%、20%及び10%となる様に、コンポジットブラックのベタパッチを作成した。次いでO.D.が約1.0のパッチを選んで、試験時間を672時間に変更した以外は、前記耐ガス性試験(3)−1と同様の条件下で暴露試験を行い、当該パッチのΔEの変化を観察した。尚、この環境下で504時間暴露した結果は、東京の一般的な室内に1年間放置した結果とほぼ同等である。これの対照として、通常の銀塩写真方式によるプリント物を同じ環境下で暴露試験を行い、当該写真画像のΔEの変化も観察した。ここで用いた銀塩写真方式によるプリント物は、富士写真フィルム(株)社製の銀塩方式のデジタル写真プリントシステム(FDi)を用いて、銀塩方式のカラー印画紙(商品名:エバー・ビューティ・ペーパー(EVER−BEAUTYPAPER)に直接レーザ露光し、その印画紙を現像処理することによって作成したコンポジットブラックの銀塩写真プリントからO.D.が約1.0のものを選択した。その結果を、図11に示す。図11において、(a)は銀塩写真方式によるプリント物のΔEの変化を示し、(b)は、本実施例のコンポジットブラックパッチのΔEの変化を示している。図11から明らかな様に、本実施例にかかるコンポジットブラックのパッチは、銀塩写真方式のプリント物を上回る耐ガス堅牢性を有する結果となった。
【0128】
【発明の効果】
本発明によって、インクジェット記録画像の堅牢性が向上し、特に、インクジェット記録画像を家庭やオフィス等の通常の室内環境で展示する用途に使用しても画像の褪色を劇的に防止することができる。又、本発明は、銀塩系写真並みの質感、画質を有する記録画像の記録品位を低下させることなく画像堅牢性を向上することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いられる被記録媒体の断面構造を模式的に示す概略断面図である。
【図2】本発明にかかる画像堅牢性の向上方法の概略説明図であり、(a)はインク受容層上に堅牢性向上剤を付与した状態を示す概略断面図、(b)はインク受容層中の間隙に向上剤が充填された状態を示す概略断面図である。
【図3】被記録媒体の支持体として、インク受容層側の表面に緻密な多孔質層があるものを用いたときの、インク受容層中の水分子の挙動の説明図である。
【図4】本発明にかかるアプリケータの一実施態様である。(a)は、使用時の形態を示す概略斜視図であり、(b)は収納や携帯に適する、塗布部が蓋で保護された形態を示す概略斜視図である。
【図5】本発明にかかるアトマイザの概略断面図である。
【図6】本発明にかかるインクジェット記録装置の概略断面図である。
【図7】本発明に用い得る被記録媒体のインク受容層の断面図である。
【図8】本発明にかかる記録物のインク受容層の断面図の一例である。
【図9】本発明にかかる記録物のインク受容層の断面図の他の例である。
【図10】本発明に用い得る被記録媒体に記録を行い、且つ、堅牢性向上剤を付与する前の記録物の断面図である。
【図11】本発明にかかる記録物の一例と銀塩写真方式の記録物の一例の耐ガス堅牢性を対比したグラフである。
【符号の説明】
801 アルミナ粒子集合体
1000 支持体
1001 画像堅牢性向上剤
1003 インク受容層
1005 微粒子
1007 結着剤
1009 色材
1011 インク受容層中の間隙
1301 緻密な多孔質層
4001 画像堅牢性向上剤貯蔵部
4002 画像堅牢性向上剤塗布部
4003 蓋
5001 ディスペンス手段(スプレー部)
5003 画像堅牢性向上化剤貯蔵部
Claims (10)
- 多孔質構造のインク受容層を備え、且つ、該インク受容層が色材により画像が形成されている領域を有する記録物の製造方法であって、
(i)該インク受容層にインクをインクジェット法によって付与して、該インクに含有された色材により画像が形成された領域を得る工程、
(ii)該インク受容層に、該色材を溶解しない不揮発性の液体を含む液体を付与する工程、及び
(iii)該画像が形成された領域に、インク受容層の厚さ方向に分布している該色材の全てまたは実質的に全てが該不揮発性の液体中にある部分を形成する工程を有し、
該不揮発性の液体が、シリコーンオイル及び下記構造式(6)で示される置換基を1つ以上有するヒンダードアミン化合物を含むことを特徴とする記録物の製造方法。
- 該インク受容層の多孔質構造が微粒子によって形成され、且つ該色剤が該微粒子の表面に吸着している請求項2に記載の記録物の製造方法。
- 該工程(iii)が、該画像が形成されている領域の少なくとも一部のインク受容層の厚さ方向に存在している孔部の全てまたは実質的に全てを、該不揮発性の液体によって充填する工程を含む請求項2または3に記載の記録物の製造方法。
- 該シリコーンオイルが、変性シリコーンオイルである請求項2〜4のいずれかに記載の記録物の製造方法。
- 該ヒンダードアミン化合物が、液体である請求項2〜5のいずれかに記載の記録物の製造方法。
- インク受容層と該インク受容層を支持するための支持体と、更に該インク受容層と該支持体との間に多孔質層を備えている請求項2〜6のいずれかに記載の記録物の製造方法。
- 該多孔質層が、硫酸バリウムを含んでいる請求項7に記載の記録物の製造方法。
- 該微粒子がアルミナからなる請求項3〜8のいずれかに記載の記録物の製造方法。
- 多孔質構造のインク受容層を備え、且つ、該インク受容層がインクジェット法によって付与された色材により画像が形成されている領域を有する記録物の画像堅牢性向上方法であって、
該画像が形成されている領域に、インク受容層の厚さ方向に分布している該色材の全てまたは実質的に全てが該色材を溶解しない、不揮発性の液体中にある部分を形成する工程を有し、
該不揮発性の液体が、シリコーンオイル及び下記構造式(6)で示される置換基を1つ以上有するヒンダードアミン化合物を含むことを特徴とする画像堅牢性の向上方法。
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